JPH10244306A - 厚板圧延におけるキャンバ制御方法 - Google Patents

厚板圧延におけるキャンバ制御方法

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JPH10244306A
JPH10244306A JP9046491A JP4649197A JPH10244306A JP H10244306 A JPH10244306 A JP H10244306A JP 9046491 A JP9046491 A JP 9046491A JP 4649197 A JP4649197 A JP 4649197A JP H10244306 A JPH10244306 A JP H10244306A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】厚板圧延において生じるキャンバの発生をより
高精度に修正する。 【解決手段】圧延後の圧延材のキャンバ量をキャンバ計
4により検出してキャンバが発生又は終了する変化点を
検出し、この変化点の圧延材端部からの位置をパルスジ
ェネレータ7からのパルス信号のカウント値に基づき検
出する。これに基づき、次パスにおいて前記変化点がワ
ークロール1に到達するまでの距離を予測し、これをワ
ークロール1に圧延材Tの先端が到達してから変化点が
到達するまでのカウント値(変化点カウント値)を予測
する。次パスの圧延を行う際に、前パスでキャンバが終
了する変化点を検出した場合には圧延材Tの先端がワー
クロール1に到達してからのパルス信号をカウントし、
変化点カウント値と一致したとき、左右のロードセル6
の荷重差を求め、これを減少し得るロール開度差を求め
て自動板厚制御処理における目標ロール開度差を補正す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚板圧延における
キャンバの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、板材の圧延においては、圧延材
の幅方向の両端部の硬度差、或いは圧延機の圧延材幅方
向両端部の伸び率(ミル定数)の差、等その他のさまざ
まな要因により、圧延材の幅方向両端部の厚みに差が生
じ、この厚みの差によってキャンバと称する曲がりが発
生することがある。
【0003】この板材のキャンバは歩留りの低下をもた
らすばかりでなく、キャンバが大きい場合には、圧延ロ
ールやサイドガイドを傷つけたり、これら設備を破損し
たりすることもある。
【0004】このキャンバの発生を防止する方法とし
て、従来種々の方法が提案されており、例えば特開昭6
3−90309号公報に開示されるように、圧延完了後
の圧延板のキャンバ曲率を求め、このキャンバを解消し
得る左右のロール開度差に応じて圧延機のロール圧下設
定値を修正し、これにより以後の圧延においてキャンバ
の発生を防止するようにした方法等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のキャンバ制御方法においては、圧延完了後の圧延材
のキャンバ曲率を求めてこれに基づき、ロール圧下設定
値を修正するようにしているため、検出したキャンバに
関する情報を次の圧延対象の圧延材にしか反映すること
ができず、圧延中の圧延材に対しては反映させることが
できない。
【0006】これに対して、例えば特開昭62−252
604号公報に開示されるように、圧延パスの前後にお
ける厚板のキャンバ量及び幅方向左右の板厚差であるウ
ェッジの値を検出し、これに基づき次以降の圧延パスに
おける目標板厚差を算出することにより、ある圧延パス
における圧延材のキャンバに関する情報を次の圧延パス
に反映させるようにした方法等も提案されている。しか
しながら、この場合、実際にはキャンバが生じていない
領域もキャンバ制御の制御対象となってしまい、キャン
バが生じていない領域に対して不必要な制御を行うこと
になり、却って悪影響を及ぼしかねないという問題があ
る。
【0007】そこで、本発明は上記従来の問題点に着目
してなされたものであり、厚板圧延においてキャンバの
発生を的確に抑制することの可能な厚板圧延におけるキ
ャンバ制御方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に係る厚板圧延におけるキャンバ
制御方法は、厚板圧延機からの圧延材の噛出しの際に前
記圧延材のキャンバ発生領域及びその位置を検出し、前
記キャンバ発生領域の位置に基づいて次の圧延パスにお
いて前記キャンバ発生領域を含む前記圧延材の所定領域
が圧延ロールを通過すると予測される間、前記圧延ロー
ルの左右における圧延荷重差を減少させるように左右の
ロール開度差を調節することを特徴としている。
【0009】この発明によれば、例えばオフセンタ計等
によって、ある圧延パスにおける圧延後の圧延材のキャ
ンバの有無が検出され、例えば圧延材の端部からキャン
バが生じている領域の端部までの距離を測定すること等
により、圧延材の右端側或いは左端側等、キャンバが発
生している領域の圧延材における位置が検出される。そ
して、検出したキャンバの発生位置と、次パスにおいて
予測される圧延材の長さと、等に基づいて、次の圧延パ
スにおいて例えば圧延ロールに圧延材が噛込まれてから
圧延ロールをキャンバ発生領域が通過し始める時間又は
通過し終わる時間が予測される。
【0010】そして、次の圧延パスを実行する際には、
当該圧延パスにおける圧延材の進行方向後端側にキャン
バ発生領域が位置するときには圧延材が圧延ロールに噛
込まれた時点から、キャンバ発生領域が通過し始めると
して予測した時間が経過した時点でロール開度差の調整
が開始され、逆に、進行方向先端側にキャンバ発生領域
が位置するときには圧延材が圧延ロールに噛込まれた時
点からロール開度差の調整が開始され、予測した時間が
経過した時点でロール開度差の調整が終了される。
【0011】また、請求項2に係る厚板圧延におけるキ
ャンバ制御方法は、厚板圧延機からの圧延材の噛出しの
際に前記圧延材のキャンバ発生領域を検出して前記圧延
材長手方向端部から前記キャンバ発生領域と非発生領域
との境界までの距離を検出し、当該距離に基づき次の圧
延パスにおいて前記圧延ロールに前記圧延材の進行方向
先端が噛込まれてから前記境界が噛込まれるまでの所要
時間を予測し、次の圧延パスを実行するとき、前記キャ
ンバ発生領域が圧延材の進行方向先端にあるときには当
該進行方向先端が前記圧延ロールに噛込まれた後前記所
要時間が経過するまでの間、前記圧延ロールの左右にお
ける圧延荷重差を減少させるように左右のロール開度差
を調整する調整処理を実行し、前記キャンバ発生領域が
圧延材の進行方向後端にあるときには前記進行方向先端
が前記圧延ロールに噛込まれた後前記所要時間が経過し
た時点から前記調整処理を実行することを特徴としてい
る。
【0012】この発明によれば、例えばオフセンタ計等
によって、圧延材のキャンバの発生の有無が検出され
る。そして、例えばワークロールに設けたパルスジェネ
レータの検出値等に基づき、キャンバの発生している領
域が検出され、圧延材の端部からキャンバの発生領域と
非発生領域との境界の位置までの距離を検出する等によ
り、圧延材上でのキャンバ発生領域の境界の位置が検出
される。そして、検出したキャンバ発生領域の境界位置
と、予測される圧延材の長さと等に基づいて、次の圧延
パスにおいて、例えば圧延材の端部が圧延ロールに噛込
まれてからキャンバの境界位置が圧延ロールに噛込まれ
るまでの所要時間が予測される。
【0013】そして、次の圧延パスで圧延を行う際に、
圧延材の圧延方向端後端にキャンバが生じている場合に
は、圧延材が圧延ロールに噛込まれた後予測した所要時
間が経過した時点から、つまり、圧延材の境界位置が圧
延ロールに噛込まれた時点から左右の圧延荷重差が測定
されてこの荷重差を減少するようにロール開度差を調整
する調整処理が実行される。また圧延材の圧延方向先端
にキャンバが生じている場合には、圧延材の先端が圧延
ロールに噛込まれた時点からロール開度差の調整処理が
行われ、所要時間が経過したときにロール開度差の調整
処理が終了される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。図1は、本発明における厚板圧延におけるキャ
ンバ制御方法を適用した厚板圧延機の一例を示す概略構
成図である。
【0015】この厚板圧延機100は可逆式の圧延機で
あって、上下一対のワークロール1と、当該ワークロー
ルの上下にそれぞれ上下のバックアップロール2を有
し、上下ワークロール1の圧延荷重は、上下バックアッ
プロールによって決定されるようになっている。この上
下バックアップロール2は、バックアップロール2の両
端にそれぞれ設けられ且つ個別に圧下量を調整可能な圧
下装置3により制御され、固定支持された上バックアッ
プロール2に対して、上下方向に移動可能に指示された
下バックアップロール2のロール軸が左右の圧下装置3
により上下方向に移動制御されることによって、上下バ
ックアップロール2間の間隙が変化し、これに押され
て、ワークロール1間のロールギャップが変化するよう
になっている。また、厚板圧延機100を挟んで一方の
側、例えば図1において右側には、圧延ラインセンタを
中心として圧延材のセンタとの位置のずれ量を検出する
例えば下部光源方式のCCDラインセンサ等で形成され
るキャンバ計4が配設されている。
【0016】このキャンバ計4は、例えば、CCDライ
ンセンサで検出可能な幅方向中央部が圧延ラインのセン
タと一致するように配置され、圧延材Tはその中央部が
圧延ラインのセンタと一致するように搬送されているこ
とから、例えばCCDラインセンサの検出可能範囲にお
いて、検出した圧延材Tの位置が右寄り或いは左寄りに
位置する場合にはキャンバが生じているとして検出する
ことができるようになっている。
【0017】前記圧下装置3は、自動板厚制御処理を行
うAGC部5aを備えた制御用計算機5により制御さ
れ、このAGC部5aでは、例えば上バックアップロー
ル2のロール軸の左右両端に設けられたロードセル6等
の荷重センサによって検出されるワークロール1による
圧延荷重Pと、例えば下バックアップロール2を上下方
向に移動させる圧下用電動機の速度実績値等と、から求
めたゲージメータ板厚H及び予め設定された目標板厚h
0 の差である板厚偏差ΔHを求め、この板厚偏差ΔHが
零となるように、前記圧下装置3を制御してワークロー
ル1間のロールギャップを調整するようになっている。
【0018】また、制御用計算機5では、キャンバ制御
処理を行い、図1において左から右側へ圧延材Tが移動
して圧延が行われるパス、つまり、キャンバ計4で圧延
後の圧延材Tの形状を計測する状態となるパスをiパス
とすると、iパスにおける圧延時には、キャンバ計4か
らの検出値をもとに圧延材Tのキャンバ量を算出し、こ
のキャンバ量が予め設定した基準値よりも小さい状態か
ら大きい状態、または、キャンバ量が基準値よりも大き
い状態から小さい状態となるキャンバ発生状態の変化点
を検出する。
【0019】そして、制御用計算機5では、キャンバ発
生状態の変化点を検出した場合には、この変化点におけ
る、ワークロール1に配設されたパルスジェネレータ7
からの回転パルス信号の例えば圧延材Tを噛込んだ時点
からのカウント値を保持すると共に、キャンバ量が基準
値よりも大きくなったのか小さくなったのか、つまり、
キャンバが発生した時点であるのか終了した時点である
のかというキャンバ変化情報を保持する。そして、カウ
ント値をもとに、圧延材Tの例えば右端からの距離を求
めることにより、圧延材Tのどこに前記変化点が位置す
るかを検出する。
【0020】次いで、圧延材Tがワークロール1に噛込
まれた時点から通過し終わった時点までのパルスジェネ
レータ7からの回転パルス信号のカウント数に基づく圧
延材Tの圧延材長及び圧延荷重P等に基づいて(i+
1)パスによる圧延後の圧延材Tの長さ(予測長さ)を
予測し、予測長さに基づいて(i+1)パスにおける圧
延材Tの前記変化点の位置を予測する。そして、これに
基づき(i+1)パスの圧延実行時にキャンバの発生位
置がワークロール1に到達するまでの時間(所要時
間)、すなわち、圧延材Tがワークロール1に噛込まれ
てから変化点がワークロール1に噛込まれるまでのパル
スジェネレータ7のパルスのカウント値を求め、これを
変化点カウント値とする。
【0021】そして、キャンバ量に基づいてキャンバの
変化点を検出したときには、次パス(i+1)での圧延
実行時に、前記変化点がキャンバが終了した変化点であ
る場合には、圧延材Tがワークロール1に噛込まれた時
点からのパルスジェネレータ7のパルス信号のカウント
値が、変化点カウント値となったときロール開度差制御
処理を実行する。一方、変化点がキャンバが発生した変
化点である場合には、圧延材Tがワークロール1に噛込
まれた時点からロール開度差制御処理を実行開始し、パ
ルスジェネレータ7のパルス信号のカウント値が変化点
カウント値となったとき、ロール開度差制御を終了す
る。
【0022】このロール開度差制御処理では、各ロード
セル6の荷重差を求め、この荷重差と、ゲージメータ板
厚Hと、計測した幅とをもとに、荷重差を減少し得るワ
ークロール1間のロール間開度を左右それぞれについて
求め、これに応じて、自動板圧制御機能により設定した
ロール間開度を調整する。
【0023】次に、上記実施の形態の動作を、図2及び
図4に示す制御用計算機5における処理手順の一例を示
すフローチャートに基づいて説明する。制御用計算機5
では、AGC部5aにより自動板厚制御処理が実行さ
れ、ロードセル6等の荷重センサによって検出されるワ
ークロール1による圧延荷重Pと、圧下装置3の圧下用
電動機の速度実績値等とから求めたゲージメータ板厚H
及び予め設定された目標板厚h0 の差である板厚偏差Δ
Hが求められ、これに応じて圧下装置3が制御されて圧
延材Tの板厚が均一となるように制御される。
【0024】また、制御用計算機5では、キャンバ制御
処理が実行され、図1において、左側から右側へと圧延
材Tを搬送するiパスの圧延時には、図2のフローチャ
ートに示すように、キャンバ計4からの検出信号に基づ
き、iパスにおける圧延後の圧延材Tの板幅中心と圧延
ラインのセンタとのずれ量であるキャンバ量が算出され
る(ステップS1)。そして、キャンバ量に基づき、キ
ャンバ量が予め設定したキャンバが生じているとみなす
基準値以下の状態から基準値以上となったかどうか、つ
まり、キャンバが発生したがどうか、また、キャンバ量
が基準値以上の状態から基準値以下の状態となったかど
うか、つまり、キャンバが終了したかどうかを検出する
(ステップS2)。そして、これらを検出したとき、こ
れら時点における、圧延材Tがワークロール1に噛込ま
れた時点からのパルスジェネレータ7のパルス信号のカ
ウント値と、キャンバが発生したのか或いは終了したの
かというキャンバ変化情報とを所定の記憶領域に格納す
る(ステップS3)。
【0025】一方、圧延材Tのキャンバ量に変化がない
場合には、引き続きキャンバ量の計測を行う。例えば、
図3(a)に示すように、圧延材T(i)の右端QR
らQM 間にキャンバが生じている場合には、iパスの圧
延中、圧延材T(i)の先端QR がキャンバ計4を通過
したとき制御用計算機5によってキャンバが生じている
ことが検出され、その後キャンバ計4をQM が通過しキ
ャンバ量が基準値以下となったとき圧延材T(i)にお
いてキャンバが終了したことが検出され、QM がキャン
バ計4を通過した時点におけるパルスジェネレータ7の
パルス信号のカウント値が、変化点カウント値として、
キャンバの終了というキャンバ変化情報と共に所定の記
憶領域に保持される。
【0026】そして、圧延材Tの全体についてキャンバ
量の計測が終了したとき(ステップS4)、例えばワー
クロール1を圧延材T(i)の右端QR が通過した時点
からQM が通過するまでの変化点カウント値と、ワーク
ロール1の円周とをもとに、QR 及びQM 間の距離L1
(i)を検出することにより、iパスにおける圧延後の
圧延材T(i)における変化点の位置を検出する。また
同様にして右端QR から左端QL までの距離L2 (i)
を検出する(ステップS5)。
【0027】次いで、圧延材T(i)の長さL
2 (i),次パス(i+1)において設定されると予測
される圧延荷重P,iパスによる圧延後の圧延材T
(i)における変化点QM の位置等をもとに、(i+
1)パスにおける圧延後の圧延材T(i+1)の予測長
さL2 (i+1)を予測し、これに基づき圧延材T(i
+1)における、左端QL から変化点QM までの距離L
3 (i+1)を算出する(図3(b))。そして、これ
をもとに左端QL がワークロール1を通過してから変化
点QMが通過するまでのパルスジェネレータ7のカウン
ト値に変換する(ステップS6)。これにより、iパス
圧延時のキャンバ制御処理が終了する。
【0028】次に、(i+1)パスにおける圧延を実行
する際には、図4に示すように、所定の記憶領域を参照
し、iパスでのキャンバ制御処理においてキャンバの変
化点が検出されたか否かを判定し、変化点が検出されて
いない場合には、そのままキャンバ制御処理を終了し
(ステップS11)、AGC部5aによる自動板厚制御
処理に応じて圧延を行う。
【0029】一方、変化点が検出されている場合には、
キャンバ変化情報をもとに、キャンバが発生した変化点
か或いは終了した変化点であるのかを判定する(ステッ
プS12)。図3(a)の場合、キャンバが終了した変
化点であるから、圧延材T(i+1)の左端QL からQ
M 間はキャンバが生じていないことになる。よって、圧
延材T(i+1)がワークロール1に噛込まれてからの
パルスジェネレータ7のパルス信号をカウントし、ステ
ップS6で予測した変化点カウント値となるまでの間、
つまり、ワークロール1に変化点QM が到達するまでの
期間はロール開度差制御処理を実行せず、カウント値が
変化点カウント値となった時点から(ステップS1
3)、ロール開度差制御処理を開始する(ステップS1
4)。そして、圧延材T(i+1)全体の圧延が終了し
たとき、ロール開度差制御処理を終了する(ステップS
15)。
【0030】このロール開度差制御処理では、ロードセ
ル6の検出信号をもとに左右の圧延荷重差ΔPを検出し
てこの荷重差ΔPが減少するようなロール開度差ΔXを
算出する。例えば圧延荷重Pと、圧下装置3の圧下用電
動機の速度実績値等とから求めたゲージメータ板厚等に
基づく圧延材T(i+1)の板厚と、キャンバ計4から
の検出信号をもとに検出した圧延材T(i+1)の板幅
と、荷重差ΔPとをもとに、キャンバの発生を抑制する
ために必要とするロール開度差ΔXを、次式(1)に基
づいて求め、これに応じて、AGC部5aにおいて設定
した目標ロール開度を補正する。
【0031】ΔX=K・ΔP ……(1) なお、式中のKは圧延板厚,幅に応じて設定される制御
係数,ΔPは左右の荷重差である。
【0032】したがって、圧延材T(i+1)パスにお
いては、図3(b)に示す圧延材T(i+1)の場合、
左端QL から変化点QM 間、つまり、キャンバが生じて
いない間はロール開度差制御処理は実行されずに、変化
点QM から右端QR 間、つまり、キャンバが生じている
間のみロール開度差制御処理が実行されることになる。
よって、キャンバが生じている変化点QM から右端QR
間は、ロール開度差制御処理が実行されて、AGC部5
aにおいて設定した目標ロール開度が補正され、補正さ
れた目標ロール開度に基づいて圧下装置3が制御されて
キャンバが修正される。
【0033】一方、保持しているキャンバ変化情報がキ
ャンバが発生した変化点である場合には、圧延材T(i
+1)の左端QL から変化点QM 間にキャンバが生じて
いることになるから、圧延材T(i+1)の左端QL
ワークロール1に噛込まれた時点からロール開度差制御
処理を実行し、AGC部5aによる自動板厚制御処理に
おいて設定した目標ロール開度を補正する(ステップS
16)。
【0034】そして、パルスジェネレータ7からのパル
ス信号のカウント値がステップS6の処理で設定した変
化点カウント値となるまでの間は、ロール開度差制御処
理を実行し、変化点カウント値となったとき(ステップ
S17)、ロール開度差制御処理を終了してキャンバ制
御処理を終了する。
【0035】したがって、この場合、左端QL から変化
点QM 間、つまり、キャンバが生じている間はロール開
度差制御処理が実行され、変化点QM から右端QR 間、
つまり、キャンバが生じていない間はロール開度差制御
処理が実行されない。
【0036】よって、iパスにおいて、圧延材T(i)
のキャンバの発生状況を検出し、(i+1)パスにおい
ては、iパスにおいてキャンバが生じていることを検出
した領域に対してのみキャンバ制御が行われるから、キ
ャンバの発生を抑制するためにロール開度差を調整する
必要がある箇所に対してのみ処理が行われ、ロール開度
差の調整を必要としない箇所に対しては処理が行われな
い。したがって、キャンバが発生していない箇所に対し
て無駄な処理が行われることを確実に回避することがで
き、これに伴い圧延材に対して悪影響を与えることを回
避することができる。
【0037】よって、キャンバを精度よく修正すること
ができるから、圧延製品の品質向上を図ることができ、
また、歩留りの低下を回避することができると共に、キ
ャンバによって、圧延ロールやサイドガイド等の設備の
破損が引き起こされることを回避することができる。
【0038】また、検出したキャンバ量に基づいて、次
パスにおいて、キャンバを抑制するようにロール開度差
を調整しているから、圧延材の形状に応じてより高精度
にキャンバを抑制することができる。
【0039】図5(a)は、本発明による厚板圧延にお
けるキャンバ制御方法を適用した厚板圧延機において圧
延を行った場合のキャンバ量毎の発生頻度を表したもの
であり、図5(b)は、本発明によるキャンバ制御を行
わない場合のキャンバ量毎の発生頻度を表したものであ
る。それぞれ5≦圧延厚≦10〔mm〕,3000≦圧
延幅≦4000〔mm〕の圧延材に対して圧延を行った
ものである。なお、図中のnは測定件数,Xは平均値,
σは標準偏差,手介入率はオペレータが、圧延途中に手
動でロール開度差調整を行った割合を表す。
【0040】図5(a)及び(b)からわかるように、
本発明におけるキャンバ制御を行うことで、圧延材のキ
ャンバのバラツキが減少すると共にキャンバ量が減少
し、その結果、オペレータの手介入率も減少しているこ
とがわかる。
【0041】なお、上記実施の形態においては、キャン
バ計4としてCCDラインセンサを用いた場合について
説明したが、これに限るものではなく、例えば2つのC
CDカメラ等により圧延材の両端を検出するようにして
もよい。
【0042】また、上記実施の形態においては、次パス
での圧延材T(i+1)におけるキャンバの変化点の長
手方向端部からの位置を予測してこれをパルスジェネレ
ータ7のカウント値に変換し、キャンバの変化点がワー
クロール1に噛込まれると予測される時点からロール開
度差制御処理を実行するようにした場合について説明し
たが、例えば、変化点カウント値の予測誤差、或いは、
圧下装置3の応答時間等を考慮して変化点カウント値を
設定し、例えば予測した圧延材T(i+1)におけるキ
ャンバの変化点の長手方向端部からの位置に基づく変化
点カウント値を誤差分だけ小さく補正し、より早い時点
からロール開度差制御処理を実行するようにしてもよ
い。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係る厚板圧延におけるキャンバ制御方法によれば、圧
延材のキャンバ発生領域を検出し、次パスで圧延を行う
際には、前記キャンバ発生領域に基づく所定の領域が圧
延ロールを通過する間、圧延ロールの左右における圧延
荷重差を減少させるように左右のロール開度差を調節す
るようにしたから、キャンバが発生した領域に対しての
み圧延ロールのロール開度差を調整することになり、よ
り効率よく高精度にキャンバの修正を行うことができ
る。
【0044】また、本発明の請求項2に係る厚板圧延に
おけるキャンバ制御方法によれば、圧延材の長手方向端
部からキャンバ発生領域と非発生領域との境界までの距
離を検出してこれをもとに次の圧延パスにおいて前記圧
延ロールに前記圧延材が噛込まれてから前記境界が噛込
まれるまでの所要時間を予測し、次の圧延パスで圧延を
行う際には、キャンバ発生領域が圧延材の圧延方向先端
にあるときには前記圧延材が圧延ロールに噛込まれてか
ら前記所要時間が経過するまでの間、前記圧延ロールの
左右における圧延荷重差を減少させるように左右のロー
ル開度差を調整する調整処理を実行し、前記キャンバ発
生領域が圧延材の圧延方向後端にあるときには圧延材が
圧延ロールに噛込まれてから前記所要時間が経過した時
点から前記調整処理を実行するようにしたから、キャン
バが発生している領域に対してのみ、キャンバを修正す
る処理を実行することができ、より高精度にキャンバの
修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における厚板圧延におけるキャンバ制御
方法を適用した厚板圧延機の一例を示す概略構成図であ
る。
【図2】制御用計算機における、iパスにおける圧延実
行時のキャンバ制御処理の一例を示すフローチャートで
ある。
【図3】本発明の動作説明に供する説明図である。
【図4】制御用計算機における、(i+1)パスにおけ
る圧延実行時のキャンバ制御処理の一例を示すフローチ
ャートである。
【図5】本発明における厚板圧延におけるキャンバ制御
方法を適用した厚板圧延機により圧延を行った場合と、
前記キャンバ制御方法を適用しない厚板圧延機により圧
延を行った場合とにおける、キャンバ量とその発生頻度
を表すヒストグラムである。
【符号の説明】
1 ワークロール 3 圧下装置 4 キャンバ計 5 制御用計算機 6 ロードセル 7 パルスジェネレータ 100 厚板圧延機

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚板圧延機からの圧延材の噛出しの際に
    前記圧延材のキャンバ発生領域及びその位置を検出し、
    前記キャンバ発生領域の位置に基づいて次の圧延パスに
    おいて前記キャンバ発生領域を含む前記圧延材の所定領
    域が圧延ロールを通過すると予測される間、前記圧延ロ
    ールの左右における圧延荷重差を減少させるように左右
    のロール開度差を調節することを特徴とする厚板圧延に
    おけるキャンバ制御方法。
  2. 【請求項2】 厚板圧延機からの圧延材の噛出しの際に
    前記圧延材のキャンバ発生領域を検出して前記圧延材長
    手方向端部から前記キャンバ発生領域と非発生領域との
    境界までの距離を検出し、当該距離に基づき次の圧延パ
    スにおいて前記圧延ロールに前記圧延材の進行方向先端
    が噛込まれてから前記境界が噛込まれるまでの所要時間
    を予測し、次の圧延パスを実行するとき、前記キャンバ
    発生領域が圧延材の進行方向先端にあるときには当該進
    行方向先端が前記圧延ロールに噛込まれた後前記所要時
    間が経過するまでの間、前記圧延ロールの左右における
    圧延荷重差を減少させるように左右のロール開度差を調
    整する調整処理を実行し、前記キャンバ発生領域が圧延
    材の進行方向後端にあるときには前記進行方向先端が前
    記圧延ロールに噛込まれた後前記所要時間が経過した時
    点から前記調整処理を実行することを特徴とする厚板圧
    延におけるキャンバ制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109877184A (zh) * 2019-03-28 2019-06-14 北京首钢股份有限公司 一种改善钢带镰刀弯缺陷的方法

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