JPH1024411A - ワイヤソーの加工制御方法及び装置 - Google Patents

ワイヤソーの加工制御方法及び装置

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JPH1024411A
JPH1024411A JP18346396A JP18346396A JPH1024411A JP H1024411 A JPH1024411 A JP H1024411A JP 18346396 A JP18346396 A JP 18346396A JP 18346396 A JP18346396 A JP 18346396A JP H1024411 A JPH1024411 A JP H1024411A
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JP18346396A
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Kiyoaki Shimizu
清彬 清水
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Nippei Toyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ワイヤソーにおける加工条件の適応制御の精度
を制御手段の複雑化をもたらすことなく向上する。 【解決手段】動力検出器28は加工用モータ21の動力
を検出する。現在位置検出器29はワーク23の上下方
向の現在位置を検出する。ファジィ推論装置31は、動
力検出器28及び現在位置検出器29から得られた検出
情報に基づいてワーク23の下降速度及び切断用ワイヤ
20の張力をファジィ推論する。ファジィ推論装置31
はファジィ推論で決定した下降速度及び張力の情報を制
御装置32に出力する。制御装置32はワーク23を昇
降するモータ26の回転速度及びテンション調整機構1
9のステッピングモータ193,194をフヘードバッ
ク制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体材
料、磁性材料、セラミックス等の脆性材料をワイヤによ
り切断するワイヤソーに係り、特にワイヤソーの加工制
御方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のワイヤソーにおいて
は、ワイヤが複数の加工用ローラ間に所定ピッチで螺旋
状に巻き付けられた状態で走行される。この走行するワ
イヤ上には砥粒を含むスラリが供給される。そして、こ
の状態でワークがワイヤに対して押し付けられ、ワーク
がウェハ状に切断加工される。
【0003】従来、ワイヤの走行速度、ワークがワイヤ
に押し付けられる力等の加工条件は、ワークの種類、形
状、要求される加工精度(寸法精度、面粗度等)を考慮
しながら作業者が試切断を繰り返し実行して最適な加工
条件を実験的に決定するのが一般的である。しかし、こ
のような作業者による試行錯誤的な決定方式では時間が
かかって面倒である上、決定された加工条件の適正度が
作業者の熟練に応じてばらつきを生じる。そのため、ス
ライス作業の加工精度を高めることができず、安定した
加工品質を得ることもできない。しかも、試行錯誤的に
決定された加工条件は、上記のワークの種類、形状、要
求される加工精度が大きく変化しない限り大きく変化さ
せることはなかった。そのため、ワークの種類、形状、
要求される加工精度が大きく変化したような場合には加
工条件が最適にはならず、加工品質が低下する。
【0004】スライス作業の生産性向上あるいは加工品
質向上のため、ワークの加工状態を検出し、この検出値
に基づいてワイヤの走行速度、ワークに対する切り込み
送り速度等の加工条件を調整するという適応制御も行わ
れている。例えば、加工用ローラを回転駆動するモータ
の電流値を検出し、この検出電流値と予め設定した電流
値パターンとを比較し、両者の差が許容範囲を越えたと
きにワーク送り速度を変化させるという制御は前記適応
制御の一例である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この従来の適応制御に
おける制御精度を高めるには、前記電流値、ワイヤの張
力、スラリ温度、加工に伴って発生する加工振動等の多
くの加工状態の検出値から加工条件を決定する必要があ
る。しかし、このような多くの加工状態の検出値から最
適の加工条件を決定するには従来の制御方式では制御手
段が複雑化し、コスト高になるという問題がある。
【0006】本発明は、ワイヤソーにおける加工条件の
適応制御の精度を制御手段の複雑化をもたらすことなく
向上することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのために請求項1の発
明では、ワイヤソーの加工動作によって生じる加工状態
を検出し、ワークに対するワイヤの切断作用を制御する
ための加工条件を検出された加工状態に基づいてファジ
ィ推論によって決定し、この決定された加工条件によっ
てワイヤの切断作用を制御するようにした。
【0008】加工条件は検出された加工状態からファジ
ィ推論によって求められ、ワイヤソーによる加工が前記
求められた加工条件によってリアルタイムに行われる。
ファジィ推論では多種の加工状態を用いても加工条件を
求めることができ、多種の加工状態を用いることによっ
て適応制御の精度を向上することができる。
【0009】請求項2の発明では、ワークに対する切断
開始時から切断終了時までの間の一部で前記ファジィ推
論による制御を行なうようにした。加工状態によっては
ファジィ推論による制御が適正でない場合があり、ファ
ジィ推論による制御が適正である加工状態の場合におい
てファジィ推論による制御が適用される。
【0010】請求項3の発明では、前記切断開始時を含
む範囲及び前記切断終了時を含む範囲では予め設定され
た速度パターンに基づいてワイヤの走行経路に対するワ
ークの送り速度の制御を行なうようにした。
【0011】通常、前記切断開始時を含む範囲及び前記
切断終了時を含む範囲では、ファジィ推論による制御が
適正でない場合がある。このような範囲では予め設定さ
れた速度パターンにワークの送り速度を合わせる制御が
行われる。
【0012】請求項4の発明では、ワイヤソーの加工動
作によって生じる加工状態を検出する加工状態検出手段
と、加工状態検出手段によって検出された加工状態に基
づいてワークに対するワイヤの切断作用を制御するため
の加工条件をファジィ推論によって決定するファジィ推
論手段とを備えたワイヤソーの加工制御装置を構成し
た。
【0013】ファジィ推論手段は、加工状態検出手段に
よって検出された加工状態から加工条件を決定する。フ
ァジィ推論では多種の加工状態を用いても簡単なハード
構成のファジィ推論手段によって加工状態を求めること
ができ、しかも多種の加工状態を用いることによって適
応制御の精度を向上することができる。
【0014】請求項5の発明では、前記ファジィ推論手
段によって推論決定された加工条件に基づいてワイヤの
切断作用を制御する制御手段を備えたワイヤソーの加工
制御装置を構成した。
【0015】制御手段は、ファジィ推論手段によって推
論決定された加工条件に基づいてワークに対するワイヤ
の切断作用を制御する。請求項6の発明では、ワークに
対する切断開始時から切断終了時までの間の一部で前記
ファジィ推論による制御を行なう制御手段を構成した。
【0016】制御手段は、ファジィ推論手段によって推
論決定された加工条件に基づいてワークに対するワイヤ
の切断作用を切断開始時から切断終了時までの間の一部
で制御する。切断開始時から切断終了時までの間の一部
は、例えば切断開始時を含む範囲及び切断終了時を含む
範囲を除いた範囲である。
【0017】請求項7の発明では、加工状態検出手段に
よって検出された加工状態と予め設定された加工状態と
の偏差を演算する偏差演算手段を含み、偏差演算手段に
よって演算された偏差を入力値として前記加工条件をフ
ァジィ推論によって決定するファジィ推論手段を構成し
た。
【0018】ファジィ推論手段は、偏差演算手段によっ
て演算された偏差を入力値として加工条件をファジィ推
論によって決定する。請求項8の発明では、ワークの送
り方向の現在位置を検出する現在位置検出手段と、ワイ
ヤを駆動する駆動手段の動力を検出する動力検出手段と
を含み、現在位置検出手段によって検出された現在位置
に基づいてワークの切断長を演算する切断長演算手段
と、切断長演算手段によって演算された切断長及び動力
検出手段によって検出された動力に基づいてワイヤの単
位長さ当たりの単位圧力を演算する単位圧力演算手段
と、単位圧力によって演算された単位圧力と予め設定さ
れた単位圧力との偏差を演算する偏差演算手段とを備え
た加工状態検出手段を構成した。
【0019】一般に、ワイヤソーに依る加工では、ワー
クの切断部の単位長さ当たりの荷重を単位圧力とした場
合、この値が一定でないと加工面精度に大きな影響を与
え、ソーマークやウネリが生じ、又、極端に大きい場合
にはワイヤの破断に至る。従って、切断中はこの単位圧
力の値を一定にしなければならない。ワイヤの走行経路
に対して送られるワークに対するワイヤの接触長さ、即
ち切断長はワークとワイヤとの相対的な現在位置から把
握される。切断長演算手段は前記現在位置から切断長を
演算する。単位圧力演算手段は、演算された切断長及び
検出された動力から単位圧力を演算する。偏差演算手段
は、演算された単位圧力と予め設定された単位圧力との
偏差を演算する。ファジィ推論手段はこの偏差に基づい
て加工条件をファジィ推論する。検出された現在位置及
び検出された動力はそれぞれ加工状態の一種であり、単
位圧力は検出された現在位置及び検出された動力を変数
とする関数となる。加工状態検出手段は複数種の加工状
態を検出しており、ファジィ推論手段は加工状態検出手
段から得られる単位圧力に基づいて加工条件をファジィ
推論する。
【0020】請求項9の発明では、ワイヤの走行経路に
対するワークの送り速度及びワイヤの張力を加工条件と
した。ファジィ推論手段は加工状態検出手段から出力さ
れる単位圧力に基づいてワイヤの走行経路に対するワー
クの送り速度及びワイヤの張力をファジィ推論する。
【0021】なお、加工条件としてはワークの送り速度
及びワイヤの張力のいずれか単独でもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0023】図1に示すように、フレーム11上には切
断機構12、ワイヤ20を繰り出しあるいは巻き取るリ
ール機構13及びコラム14が配設されている。切断機
構12の支持台15の前面には加工用駆動ローラ16及
び加工用ガイドローラ17が支持されている。各ローラ
16,17の外周面には多数の環状溝(図示略)が所定
ピッチで形成されている。加工用駆動ローラ16はフレ
ーム11上の加工用モータ21によって回転駆動され
る。リール機構13は前後に巻き取りリール131及び
繰り出しリール132を備えている。
【0024】コラム14の前面には複数のガイドローラ
18及びテンション調整機構19が支持されている。テ
ンション調整機構19は、図3に示すようにダンサアー
ム191,192上のウェイト37,38の位置をステ
ッピングモータ193,194によって調整することに
より切断用ワイヤ20に対する付与張力を加減する。即
ち、ステッピングモータ193,194はそれぞれダン
サアーム191,192に取り付けられており、ダンサ
アーム191,192には可動台39,40がその長手
方向へ移動可能に支持されている。ダンサアーム19
1,192の先端にはテンションローラ197,198
が取り付けられており、切断用ワイヤ20はテンション
ローラ197,198に案内される。ステッピングモー
タ193,194の駆動ねじ軸195,196は可動台
39,40に螺合されており、可動台39,40にはウ
ェイト37,38が取り付けられている。ステッピング
モータ193,194のステップ回転によりウェイト3
7,38がダンサアーム191,192の長手方向に移
動する。これにより切断用ワイヤ20に対する所定の張
力付与が可能となる。
【0025】1本の鋼線からなる切断用ワイヤ20は、
加工用駆動ローラ16及び加工用ガイドローラ17の環
状溝に螺旋状に巻き回されており、切断用ワイヤ20の
両端が巻き取りリール131及び繰り出しリール132
に巻き回されている。加工用モータ21が加工用駆動ロ
ーラ16を駆動すると、切断用ワイヤ20が走行する。
【0026】フレーム11上には一対のスラリ供給パイ
プ27が配設されている。スラリ供給パイプ27は、砥
粒を含むスラリを切断用ワイヤ20上に供給する。コラ
ム14の側面にはワーク支持機構22が昇降可能に支持
されている。図2に示すようにワーク支持機構22の下
部にはワーク取り付け台221があり、ワーク23と一
体になったワーク支持板24がクランプ25によってワ
ーク取り付け台221の下面に取り付けられる。ワーク
支持機構22はモータ26の正逆作動によって昇降す
る。ワーク支持機構22の下降に伴ってワーク23が一
対の加工用ローラ17間の切断用ワイヤ20の走行経路
と交差し、ワーク23が走行する切断用ワイヤ20に押
し付けられる。走行する切断用ワイヤ20は押し付けら
れたワーク23をスラリに含まれる砥粒のラッピング作
用により切断してゆき、図2に示すようにワーク23が
所定厚さの多数のウェハWにスライス加工される。
【0027】加工用モータ21には動力検出手段となる
動力検出器28が接続されている。動力検出器28は加
工用モータ21の動力(消費電力)を検出する。コラム
14と切断機構12との間には位置検出手段となる位置
検出器29が設けられている。位置検出器29はワーク
23と切断用ワイヤ20との相対位置を検出する。リー
ル機構13の近傍には張力検出器30が設置されてい
る。張力検出器30は切断用ワイヤ20の張力を検出す
る。動力検出器28及び位置検出器29はいずれも検出
情報をファジィ推論装置31に送る。ファジィ推論装置
31は、動力検出器28及び位置検出器29から得られ
た検出情報に基づいてワーク23の下降速度v及び切断
用ワイヤ20の張力Tをファジィ推論する。ファジィ推
論装置31はファジィ推論で決定した下降速度v及び張
力Tの情報を制御装置32に出力する。又、位置検出器
29及び張力検出器30は制御装置32に検出情報を送
る。制御手段となる制御装置32はモータ26に組み込
まれたロータリエンコーダ261から得られる回転速度
情報に基づいてモータ26の回転速度をフィードバック
制御する。又、制御装置32は張力検出器30から得ら
れる張力情報に基づいてテンション調整機構19のステ
ッピングモータ193,194にフィードバック制御す
る。
【0028】図4に示すように、ファジィ推論装置31
は、切断長演算手段となる切断長演算部311と、単位
圧力演算手段となる単位圧力演算部312と、偏差演算
手段となる偏差演算部313と、ファジィ推論部314
とからなる。切断長演算部311は、位置検出器29か
ら得られる現在位置検出情報に基づいてワーク23と接
触する切断用ワイヤ20の接触長さ、即ち切断長Lを演
算する。図5(a)に示すように、本実施の形態におけ
るワーク23は断面円形である。ワーク23の半径を
r、ワーク23に対する切断用ワイヤ20の切り込み深
さをxとすると、切断長Lは式(1)で表される。
【0029】L=2(2rx−x2 1/2 ・・・(1) 単位圧力演算部312は、切断長演算部311で演算さ
れた切断長Lと、動力検出器28から得られる検出動力
Wとに基づいて切断用ワイヤ20の単位長さ当たりの加
工圧力(以下、単位圧力Pという)を演算する。単位圧
力Pと動力Wとの関係は式(2)で表される。
【0030】P・L・n・V・f・η=W・・・(2) 但し、nは加工用駆動ローラ16及び加工用ローラ17
に巻き回された切断用ワイヤ20の巻き回し回数、Vは
切断用ワイヤ20の走行速度、fは砥粒材質、砥粒番
手、ワーク形状等によって左右されるファクター、ηは
機械系の効率を表す。従って、単位圧力Pは式(3)で
表される。
【0031】 P=W/(L・n・V・f・η)・・・(3) 式(3)は式(1)を用いて式(4)のように表され
る。 P=W/〔2(2rx−x2 1/2 ・n・V・f・η〕・・・(4) 偏差演算部313は、単位圧力演算部312によって演
算された単位圧力Pと予め設定された単位圧力Po との
偏差ΔPを演算する。ファジィ推論部314は偏差演算
部313によって演算された偏差ΔPに基づいてワーク
の送り速度v及び張力Tをファジィ推論する。
【0032】ファジィ推論ではプロダクションルールと
して以下のように設定する。 Pが設定値Po よりかなり〈小さい〉→ワークの送り
速度vを中位プラス〈+M〉にする 張力Tをプラス〈+〉にする Pが設定値Po のほぼ〈同じ〉である→ワークの送り
速度vを変更しない〈ZR〉 張力Tをプラス〈+〉にする Pが設定値Po よりかなり〈大きい〉→ワークの送り
速度vを中位マイナス〈−M〉にする 張力Tを変更しない〈ZR〉 Pが設定値Po より〈過大〉である →ワークの送り
速度vを大きくマイナス〈−L〉にする 張力Tをマイナス〈−〉にする 表1は〜のプロダクションルールを表す。
【0033】
【表1】
【0034】図7のグラフは単位圧力Pの設定されたメ
ンバーシップ関数を表す。図8のグラフは送り速度vの
設定されたメンバーシップ関数を表し、横軸Mは補正率
を表す。図9のグラフは張力Tの設定されたメンバーシ
ップ関数を表し、横軸は補正率Nを表す。各グラフの縦
軸はいずれも確度Qを表す。
【0035】図12及び図13は送り速度v及び張力T
を制御するためのプログラムを表すフローチャートであ
る。ファジィ推論装置31及び制御装置32はこの制御
プログラムに基づいて送り速度v及び張力Tを制御す
る。
【0036】ワーク23が下降開始してから少し切り込
んだ図5(b)に示す位置まで到達する間はファジィ推
論装置31はファジィ推論を行わず、制御装置32が予
め設定された設定速度パターンに基づいてモータ26の
作動を制御する。
【0037】図5(b)に示すようにワーク23に対す
る切断用ワイヤ20の切り込み深さxがx1に到達する
と、ファジィ推論装置31はファジィ推論を開始する。
即ち、切り込み深さX1はファジィ推論による制御開始
点となる。切断長演算部311は、位置検出器29から
得られる現在位置情報から把握される切り込み深さxに
基づいて切断長Lを演算する。単位圧力演算部312
は、演算された切断長L、動力検出器28から得られる
動力W及び式(4)に基づいて単位圧力Pを演算する。
ファジィ推論部314は演算された単位圧力Pに基づい
てファジィ推論する。
【0038】図10(a)に示すように検出された単位
圧力P=P1が設定値Po より小さい場合、このときの
〈小さい〉に関する確度はQ1であり、〈同じ〉に関す
る確度はQ2である。従って、図10(b)に示すよう
に確度Q1,Q2に基づいて形成される斜線部分の面積
重心はS1の所となり、速度Vの補正率はM1倍とな
る。又、図10(c)に示すようにすように確度Q1,
Q2に基づいて形成される斜線部分の面積重心はS2の
所となり、張力Tの補正率はN1倍となる。このように
単位圧力P=P1が設定値Po より小さい場合にはファ
ジィ推論部314は速度vをM1倍、張力TをN1倍に
補正する推論を行なう。Q1=0.4、Q2=0.6の
場合には、M1=1.1、N1=1.3となる。従っ
て、この場合、ワークの送り速度vを1.1倍、張力T
を130%に補正する。
【0039】図11(a)に示すように検出された単位
圧力P=P2が設定値Po より大きい場合、このときの
〈大きい〉に関する確度はQ4であり、〈過大〉に関す
る確度はQ3である。従って、図11(b)に示すよう
に確度Q3,Q4に基づいて形成される斜線部分の面積
重心はS3の所となり、速度Vの補正率はM2倍とな
る。又、図11(c)に示すようにすように確度Q3,
Q4に基づいて形成される斜線部分の面積重心はS4の
所となり、張力Tの補正率はN2倍となる。このように
単位圧力P=P2が設定値Po より大きい場合にはファ
ジィ推論部314は速度vをM2倍、張力TをN2倍に
補正する推論を行なう。Q3=0.3、Q4=0.8の
場合には、M2=0.5、N2=0.8となる。従っ
て、この場合、ワークの送り速度vを0.5倍に落と
し、張力Tを80%に補正する。
【0040】制御装置32はファジィ推論装置31にお
いてファジィ推論された補正率に基づいて速度v及び張
力Tを変更制御する。このようなファジィ推論に基づく
速度v及び張力Tの変更制御は切り込み深さxが図5
(c)に示すようにx2となるまで行われる。
【0041】切り込み深さxがx2になると、ファジィ
推論装置31はファジィ推論を終了し、制御装置32が
予め設定された設定速度パターンに基づいて下降速度v
を制御する。
【0042】第1の実施の形態では以下の効果が得られ
る。 (1-1)動力検出器28によって検出される動力W及び
位置検出器29によって検出されるワーク23の現在位
置は、ワーク23に対する切断用ワイヤ20の切断作用
によって生じる加工状態を表す。動力検出器28及び位
置検出器29は加工状態検出手段を構成し、加工状態検
出手段は複数種の加工状態を検出していることになる。
ワーク23に対する切断用ワイヤ20の切断作用を制御
するための加工条件となる速度v及び張力Tの補正率
M,Nは、検出された動力W及びワーク23の現在位置
から把握される単位圧力Pに基づいてファジィ推論によ
って求められる。単位圧力Pは検出された現在位置及び
検出された動力Wを変数とする関数となる。ファジィ推
論装置31は加工状態検出手段から出力される単位圧力
に基づいて加工条件をファジィ推論する。ファジィ推論
では多種の加工状態を用いても加工条件を求めることが
でき、多種の加工状態を用いた総合的な判断によって加
工条件を決定するため、適応制御の精度が向上する。 (1-2)ファジィ推論では多種の加工状態を用いても簡
単なハード構成のファジィ推論手段によって加工状態を
求めることができる。 (1-3)切断用ワイヤ20が図5(b)に示すようにワ
ーク23を切断開始する付近及び図5(c)に示すよう
にワーク23を切断終了する直前の付近では、式(1)
で示す切断長Lが小さくなる。切断長Lが小さいと、式
(4)で示す単位圧力Pは極めて大きくなり、実際とは
合わない。このように前記切断開始時を含む範囲及び前
記切断終了時を含む範囲というファジィ推論による制御
が適正でない範囲では、予め設定された速度パターンに
ワーク23の速度vを合わせる制御が行われる。図6
(a)のグラフの曲線Dは切り込み深さxと切断長Lと
の関係を示し、図6(b)のグラフの曲線Eは切り込み
深さxと速度vとの関係を示す。曲線Eの範囲E1,E
2は設定速度パターンを表す。このような制御方式の使
い分けは加工精度の向上に寄与する。
【0043】次に、図14の第2の実施の形態を説明す
る。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付し
てある。この実施の形態では、モータ26の動力を検出
する動力検出器33、スラリの温度を検出する温度検出
器34、ワーク23の振動を検出する振動検出器35、
アコースティック−エミッション波検出器36が設置さ
れている。これら各検出器から得られる加工状態の情報
はファジィ推論装置31へ送られ、ファジィ推論装置3
1はこれら多種の加工状態から速度v及び張力Tを推論
決定する。
【0044】加工中のワーク23の振動は振動検出器3
5によって検出され、ワーク23の検出振動をファジィ
推論の入力値とすることにより高精度の制御ができる。
スラリの温度はスライス形成されたウェハの面精度、切
断時の加工条件に影響する。温度検出器34によって検
出されたスラリの検出温度をファジィ推論の入力値とす
ることにより高精度の制御ができる。
【0045】接触検出式の検出手段では加工中のワーク
23への接触による加工状態の検出が困難な場合でも、
アコースティック−エミッション波検出器36は非接触
でアコースティック−エミッション波を検出できる。こ
のような非接触式で検出した加工状態をファジィ推論の
入力値とすることにより高精度の制御ができる。
【0046】又、本発明では、ワーク23の送り量ある
いは切断用ワイヤ20の張力を検出し、この検出送り量
あるいは検出張力をファジィ推論の入力値としてもよ
い。即ち、ワーク23の実際の送り量あるいは切断用ワ
イヤ20の張力は切断状態によって制御装置32から指
示された量と異なるため、ワーク23の実際の送り量あ
るいは切断用ワイヤ20の張力を検出してファジィ推論
すれば信頼性の高い制御が可能となる。
【0047】さらに本発明では、加工時の加工音、加工
時のワークの温度等をファジィ推論のための入力値とし
て用いることもでき、又、ファジィ推論の入力変数とし
てワイヤ速度等を用いてもよい。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように本発明では、ワイヤ
ソーの加工動作によって生じる加工状態を検出し、ワー
クに対するワイヤの切断作用を制御するための加工条件
を検出された加工状態に基づいてファジィ推論によって
決定し、この決定された加工条件によってワイヤの切断
作用をリアルタイムに制御するようにしたので、ワイヤ
ソーにおける加工条件の適応制御の精度を制御手段の複
雑化をもたらすことなく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す正面図。
【図2】切断状態を示す断面図。
【図3】テンション調整機構を示す平断面図。
【図4】ファジィ推論装置のブロック図。
【図5】(a)はワークの断面図。(b)はワークを切
断開始付近の状態を示す断面図。(c)は切断終了付近
の状態を示す断面図。
【図6】(a)は切り込み深さxを表すグラフ。(b)
は設定速度パターン及びファジィ推論によって決定され
る速度を表すグラフ。
【図7】単位圧力Pのメンバーシップ関数を表すグラ
フ。
【図8】速度vのメンバーシップ関数を表すグラフ。
【図9】張力Tのメンバーシップ関数を表すグラフ。
【図10】(a)は単位圧力が小さい場合の確度を求め
るグラフ。(b)は速度vに関する面積重心を求めるグ
ラフ。(c)は張力Tに関する面積重心を求めるグラ
フ。
【図11】(a)は単位圧力が大きい場合の確度を求め
るグラフ。(b)は速度vに関する面積重心を求めるグ
ラフ。(c)は張力Tに関する面積重心を求めるグラ
フ。
【図12】制御プログラムを表すフローチャート。
【図13】制御プログラムを表すフローチャート。
【図14】第2の実施の形態を示す正面図。
【符号の説明】
20…切断用ワイヤ、21…加工用モータ、23…ワー
ク、26…モータ、28…動力検出手段となる動力検出
器、29…位置検出手段となる位置検出器、30…張力
検出器、31…ファジィ推論手段となるファジィ推論装
置、311…切断長演算手段となる切断長演算部、31
2…単位圧力演算手段となる単位圧力演算部、313…
偏差演算手段となる偏差演算部、314…ファジィ推論
部、32…制御手段となる制御装置。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワイヤを走行させてワークの切断を行なう
    ワイヤソーにおいて、 ワイヤソーの加工動作によって生じる加工状態を検出
    し、ワークに対するワイヤの切断を制御するための加工
    条件を、検出された加工状態に基づいてファジィ推論に
    よって決定し、この決定された加工条件によってワイヤ
    の切断を制御するワイヤソーの加工制御方法。
  2. 【請求項2】ワークに対する切断開始時から切断終了時
    までの間の一部で前記ファジィ推論による制御を行なう
    請求項1に記載のワイヤソーの加工制御方法。
  3. 【請求項3】前記切断開始時を含む範囲及び前記切断終
    了時を含む範囲では予め設定された速度パターンに基づ
    いてワイヤの走行経路に対するワークの送り速度を制御
    する請求項2に記載のワイヤソーの加工制御方法。
  4. 【請求項4】ワイヤを走行させてワークの切断を行なう
    ワイヤソーにおいて、 ワイヤソーの加工動作によって生じる加工状態を検出す
    る加工状態検出手段と、 加工状態検出手段によって検出された加工状態に基づい
    てワークに対するワイヤの切断作用を制御するための加
    工条件をファジィ推論によって決定するファジィ推論手
    段とを備えたワイヤソーの加工制御装置。
  5. 【請求項5】前記ファジィ推論手段によって推論決定さ
    れた加工条件に基づいてワイヤの切断作用を制御する制
    御手段を備えている請求項4に記載のワイヤソーの加工
    制御装置。
  6. 【請求項6】請求項5の制御手段は、ワークに対する切
    断開始時から切断終了時までの間の一部で前記ファジィ
    推論による制御を行なうワイヤソーの加工制御装置。
  7. 【請求項7】ファジィ推論手段は、加工状態検出手段に
    よって検出された加工状態と予め設定された加工状態と
    の偏差を演算する偏差演算手段を含み、偏差演算手段に
    よって演算された偏差を入力値として前記加工条件をフ
    ァジィ推論によって決定する請求項4乃至請求項6のい
    ずれか1項に記載のワイヤソーの加工制御装置。
  8. 【請求項8】加工状態検出手段は、ワークの送り方向の
    現在位置を検出する現在位置検出手段と、ワイヤを駆動
    する駆動手段の動力を検出する動力検出手段とを含み、
    ファジィ推論手段は、現在位置検出手段によって検出さ
    れた現在位置に基づいてワークの切断長を演算する切断
    長演算手段と、切断長演算手段によって演算された切断
    長及び動力検出手段によって検出された動力に基づいて
    ワイヤの単位長さ当たりの単位圧力を演算する単位圧力
    演算手段と、単位圧力によって演算された単位圧力と予
    め設定された単位圧力との偏差を演算する偏差演算手段
    とを備えている請求項7に記載のワイヤソーの加工制御
    装置。
  9. 【請求項9】加工条件は、ワイヤの走行経路に対するワ
    ークの送り速度及びワイヤの張力である請求項8に記載
    のワイヤソーの加工制御装置。
  10. 【請求項10】加工条件は、ワークの送り速度のみであ
    る請求項8に記載のワイヤソーの加工制御装置。
  11. 【請求項11】加工条件は、ワイヤの張力のみである請
    求項8に記載のワイヤソーの加工制御装置。
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