JPH10241171A - 光ディスク装置のトレース制御回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ディスク装置のトレース制御で、光ディス
クの媒体偏心や軸偏心等が大きい場合にトレース中のレ
ンズの振れ幅が大きいことにより発生するトラッキング
エラー信号の中のオフセット交流分を除去する回路を安
価で簡単な回路構成で実現する光ディスク装置のトレー
ス制御回路を提供する。 【解決手段】 トラッキングエラー信号に含まれるオフ
セット交流分がキャンセルされるようなトラッキングエ
ラー信号ｂとレンズ位置誤差信号ｅの加算比を予め調べ
ておき、その加算比となるように抵抗Ｒｔと抵抗Ｒｓの
値を決める。例えば、トラッキングエラー信号を１とし
てレンズ位置誤差信号の加算比が２ならば、Ｒｔ：Ｒｓ
＝２：１となる。これで加算抵抗２つだけの簡単な回路
でトラッキングエラー信号のオフセット交流分を除去す
る光ディスク装置のトレース制御回路を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トラッキングエラ
ー信号のオフセットを除去するトレース制御回路に関
し、特に光ディスク装置のトレース制御回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】光ディスク装置の光ヘッドから得られる
光ディスクのトラック位置ずれ量を表すトラッキングエ
ラー信号は、光ヘッドのレンズが光ヘッドの中心位置よ
りずれるとトラッキングエラー信号にオフセットを発生
してしまう。レンズずれは、トラッキングサーボにより
光ディスクの偏心にレンズが追従した場合や、光ヘッド
の送りサーボの偏差によって光ヘッドの追従が遅れた場
合等に発生する。このトラッキングエラー信号のオフセ
ットを除去する装置として、特開平３−２８６４３０号
公報が公告されており、図４に示すように、光ヘッドの
レンズの半径方向のずれを検出するレンズ位置検出回路
１２及びトラッキングエラー（プシュプルエラー）検出
回路３により、レンズ位置を検出するレンズずれ位置信
号とトラッキングエラー信号のオフセット交流分（偏心
成分）は比例関係にあるため、レンズずれ位置信号をト
ラッキングエラー信号のオフセットと逆相にし補正回路
１３により振幅レベルをトラッキングエラー信号のオフ
セット交流分の振幅と同じにしてトラッキングエラー信
号に加算してオフセットを打ち消す手法を採っている。
ここで、トラッキングエラー信号のオフセット交流分を
抽出するために、交流分抽出用の高域通過フィルタやオ
フセット検出回路５にピークホールド回路やボトムホー
ルド回路を採用しており、さらにレンズ位置検出信号の
振幅を調整するために増幅率可変回路１３やマイコン１
１に振幅値を取り込むためのＡ／Ｄ変換回路１０、１５
を採用している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術に
おいては、トラッキングエラー信号のオフセットを除去
するのに、オフセット検出にピークホールド回路やボト
ムホールド回路を使用し、レベル補正に増幅率可変回路
を、マイコンに振幅値を取り込むためのＡ／Ｄ変換回路
を使用するなど複雑な回路を使用するので、部品点数が
多くなるために原価が高くなり、また回路規模が大きく
なるので基板の縮小化が難しい。

【０００４】また、一般的にトレース中にトラッキング
エラー信号にオフセットがあると、トラッキングエラー
信号のオフセットが、トラッキングサーボ偏差となり、
オフトラックの状態で記録してしまうのでトラック上に
記録できる割合が小さくなり、さらに、トラッキングサ
ーボ信号としての負帰還ループ制御を実現できないレベ
ルに達する場合があるのでトラッキングサーボが不安定
となり、記録再生性能を低下させたり、トラッキングが
不安定になるという欠点がある。

【０００５】本発明は、簡単な回路構成でトレース中の
トラッキングエラー信号のオフセットを除去する安価で
コンパクトな光ディスク装置のトレース制御回路を実現
することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の光ディスク装置
のトレース制御回路は、光ディスクに情報の記録再生を
行う光ディスク装置のトレース中の光ヘッドと光ディス
クのトラックとの位置ずれ量を表すトラッキングエラー
信号を出力するトラッキングエラー信号生成回路と、光
ヘッドのレンズの光ヘッド中心位置からの光ディスクの
半径方向のずれを表すレンズ位置検出信号を出力するレ
ンズ位置誤差信号増幅回路とを有する光ディスク装置の
トレース制御回路において、前記トラッキングエラー信
号と前記レンズ位置検出信号とを２つの抵抗器で抵抗加
算することにより光ディスク装置のレンズの駆動信号を
生成する手段を有することを特徴とする。

【０００７】また、レンズ位置検出信号を出力するレン
ズ位置誤差信号増幅回路は、光ディスク媒体の１回転に
１周期の偏心成分の周波数以下の低周波を抽出する濾波
手段を有することを特徴とする。

【０００８】光ヘッドがトレース中に光ヘッドのレンズ
が光ヘッドの中心位置からずれると、そのずれ量に比例
してトラックと光ヘッドとの位置ずれを表すトラッキン
グエラー信号に含まれるオフセット量が増加する。即
ち、トラッキングエラー信号のオフセット量と光ヘッド
のレンズが光ヘッドの中心位置から光ディスクの半径方
向の位置ずれ量は比例する。従って、あるレンズの振れ
量に対して発生するトラッキングエラー信号のオフセッ
ト交流分を打ち消すだけのレンズ位置誤差信号の加算比
が分かれば、トラッキングエラー信号のオフセット交流
分とレンズ位置誤差信号振幅は比例するので、レンズの
振れ量が変化してもトラッキングエラー信号のオフセッ
ト分を打ち消すレンズ位置誤差信号加算比は変わらな
い。従ってレンズが光ディスクの半径方向にある一定の
振れ幅に対して発生するトラッキングエラー信号のオフ
セット交流分を打ち消すだけのレンズ位置誤差信号の加
算比が、数多くのドライブを調べて決定すれば、固定抵
抗２つで前記加算比になるようにトラッキングエラー信
号とレンズ位置誤差信号とを抵抗加算したものを改めて
トラッキングエラー信号とすれば、媒体偏心に追従する
ときに発生するトラッキングエラー信号のオフセット交
流分は除去できる。

【０００９】また、レンズ位置誤差信号にはトラッキン
グ動作を乱すようなノイズ成分の高周波成分が含まれて
いる場合があるが、レンズ位置誤差信号を媒体偏心周波
数以上をカットする低域通過フィルタに通すことで高周
波成分をカットできるので低域通過フィルタ後のレンズ
位置誤差信号を加算した信号ではトラッキングは乱れな
く安定してトレース動作ができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面を参考にして説明する。図１は、本実施形態例の光
ディスク装置のトレース制御回路の構成を示すブロック
図である。光ディスク装置は、光ヘッド３に支持されて
トラッキング制御され、光ヘッド３からのトラッキング
エラー信号ａを増幅してゲイン調整するトラッキングエ
ラー信号生成回路５と、レンズ位置検出センサ２からの
レンズ位置誤差信号ｃを増幅するレンズ位置誤算信号増
幅回路４と、増幅されたレンズ位置誤差信号ｄから高周
波成分を除去する低域通過フィルタ６と、トラッキング
エラー信号ｂとレンズ位置誤差信号ｅとを加算するトラ
ックアクチュエータ駆動信号生成回路７と、生成された
アクチュエータ駆動信号ｆでレンズ１の位置制御をする
トラッキングパワーアンプ８とから構成される。

【００１１】次に、本発明の実施の形態の動作につい
て、図１と図３を参照して説明する。本発明の光ディス
ク装置は、光ヘッド３にあるレンズ１において、光ディ
スク媒体９に向けてレーザー光を出射して反射光を受光
する。このとき、オントラック上はグルーブと呼ばれる
溝構造なのでトラック上からの反射光量は小さく、逆に
トラックとトラックの間はランドと呼ばれる山構造なの
で反射光量は大きく、この反射光量の変化でトラックと
レンズの位置ずれ量を表すトラッキングエラー信号ａが
光ヘッド３から出力される。このヘッド３から出力され
るトラッキングエラー信号ａの振幅は小さいので、トラ
ッキングエラー信号生成回路５にて増幅され、ゲイン調
整されたトラッキングエラー信号ｂが生成される。ま
た、レンズ１の光ヘツドの中心位置からの位置ずれ量を
表すレンズ位置誤差信号ｃがレンズ位置検出センサ２か
ら出力される。このレンズ位置誤差信号ｃはフォトセン
サの出力なので振幅が小さいため、レンズ位置誤差信号
増幅回路４にて振幅が増幅される。このとき、ノイズ成
分による高周波成分も増幅されるので、低域通過フィル
タ６にて光ディスク媒体９の１回転中に１周期の偏心成
分の周波数よりも高い周波数成分を除去する。そして、
トラックアクチュエータ駆動信号生成回路７において、
トラッキングエラー信号ｂと高周波成分を除去したレン
ズ位置誤差信号ｅとを、トラッキングエラー信号のオフ
セット交流分をキャンセルするような加算比で加算さ
れ、トラッキングパワーアンプ８に入力される。トラッ
キングエラー信号ｂとレンズ位置誤差信号ｅとを抵抗加
算した結果は、図３の波形ｆに示すように偏心周波数成
分のオフトラック交流分が除去される。そして、トラッ
キングパワーアンプ８の出力信号のトラックアクチュエ
ータ駆動信号ｇで光ヘッド３のトレース制御が行われ
る。

【００１２】

【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。図２（Ａ）を参照にしてトラックア
クチュエータ駆動信号生成回路７の具体的なトラッキン
グエラー信号とレンズ位置誤差信号との加算回路構成を
説明する。トラッキングエラー信号ｂとレンズ位置誤差
信号ｅとの加算比は抵抗Ｒｔと抵抗Ｒｓで決まる。つま
り、トラッキングエラー信号対レンズ位置誤差信号の加
算比はＲｓ：Ｒｔである。例えば、トラッキングエラー
信号ｂの加算比を１としレンズ位置誤差信号ｅの加算比
を２とすれば、抵抗値の比率はＲｓ：Ｒｔ＝１：２であ
る。そしてこの抵抗比率は光ディスクの媒体偏心や軸偏
心に光ヘッドが追従するときに発生するトラッキングエ
ラー信号のオフセット交流分（周波数は偏心周波数に同
じ）を除去するような比率に決めておく。そして、その
抵抗比率であるが、レンズ位置ずれ量と発生するトラッ
キングエラー信号に含まれるオフセット交流分は比例関
係にあるので、あるレンズ振れ量に対してトラッキング
エラー信号のオフセットがキャンセルされる加算抵抗比
が分かれば、その比率固定でレンズ振れ量が変わっても
トラッキングエラー信号のオフセットはキャンセルされ
ることになるので、ある決まったレンズ振れ量に対して
トラッキングエラー信号のオフセットがキャンセルされ
る比率を調べて、抵抗値ＲｓとＲｔを決めるものとす
る。

【００１３】次に、抵抗Ｒｓと抵抗Ｒｔの抵抗値を決め
る方法を図１と図２（Ａ）を参照して説明する。まず初
めに抵抗Ｒｓと抵抗Ｒｔを抵抗値を変えられるように可
変抵抗にしておく、そしてトラッキングサーボループ制
御をオフにした状態で、即ち、図１のトラックサーボス
イッチ１０をオープンした状態でフォーカスサーボルー
プ制御だけ投入しおき、トラッキングパワーアンプ８に
レンズを光ディスクの半径方向に単振動させる外乱正弦
波形１１を挿入して、レンズ１を光ヘッド３の中心位置
を中心に±３００ｕｍ程振らせる。このとき、可変抵抗
にしておいた抵抗ＲｓとＲｔのボリュームをまわしてト
ラッキングエラー信号ｂとレンズ位置誤算信号ｅの加算
出力のトラッキングパワーアンプ入力信号ｆに含まれる
偏心周波数成分に相当するオフセット交流分がなくなる
ポイントを探す。そして、そのときの２つの可変抵抗の
値を固定抵抗ＲｓとＲｔの値とする。

【００１４】次に図２（Ｂ）を参照にして、低域通過フ
ィルタ６の具体的な回路構成を説明する。低域通過フィ
ルタ６の回路構成は抵抗１つとコンデンサ１つの簡単な
回路構成とする。ノイズ成分を含んだレンズ位置誤差信
号ｄから除去する周波数は媒体１回転中に１周期の周波
数よりも高い周波数なので、光ディスク媒体の最高回転
数を考え、例えば、ＣＤ８倍速ドライブでは、最高回転
数が４０００ｒｐｍ付近であり、回転周波数は６７Ｈｚ
である。また一般にノイズ成分は１ｋＨｚ以上の周波数
なので、この場合の低域通過フィルタのカットオフ周波
数は１ｋＨｚ程度の設定にする。図２（Ｂ）の回路にお
けるカットオフ周波数をｆｃとすると、ｆｃ＝１／２π
ＲＣであるから、１／２πＲＣ＝１０００となるように
抵抗値Ｒとコンデンサ容量Ｃを決定する。例えば、Ｒ＝
１ｋΩ，Ｃ＝０．１６ｕＦとする。

【００１５】次に、本発明の実施例の動作について、図
１と図２と図４を参照して説明する。本発明の光ディス
ク装置は、図１のトラックサーボスイッチ１０をオープ
ンにして、トラッキングパワーアンプ８に外乱正弦波形
１１を挿入すると、レンズ１は光ヘッド３の中心位置を
中心に単振動する。このときのレンズ位置検出センサ２
から得られるレンズ位置誤差信号ｃの増幅された波形は
図３の波形ｄのようにレンズ１往復に１周期の波形にノ
イズ成分が含まれる波形となるので、低域通過フィルタ
６に通すことで、図３の波形ｅのようにレンズ位置誤差
信号からノイズが除去される。また、トラッキングエラ
ー信号生成回路５から得られるトラッキングエラー信号
は図３の波形ｂのようにレンズ１往復に１周期のオフセ
ット成分が含まれる。図２（Ａ）のトラックアクチュエ
ータ駆動信号生成回路において、出力のトラッキングパ
ワーアンプ入力信号ｆを観測しながら図３の波形ｆのよ
うにオフセット分が除去されるような抵抗Ｒｓと抵抗Ｒ
ｔの値を探す。そして決定された抵抗ＲｓとＲｔを固定
抵抗として使用すれば、トラッキングパワーアンプ入力
信号ｆはレンズ振れ量が変化しても図３の波形ｆのよう
にオフセット分は常にキャンセルされる。従って、媒体
偏心が大きい場合の光ヘッドのトレース中でも、トラッ
キング駆動信号ｇにトラッキングを乱すオフトラック成
分はない状態で安定したトレース制御を行うことができ
る。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、トレース中に発生する
トラッキングエラー信号のオフセット交流分を除去でき
る回路を加算抵抗２つだけの構成で実現させているの
で、基板の面積をあまりとらず、安価な回路構成で光デ
ィスク装置のトレース制御回路を実現でき効果がある。

【００１７】また、トラックアクチュエータ駆動信号に
ノイズ成分が含まれないので、トラッキングが乱されな
い効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光ディスク装置のトレース制御の一実
施の形態を示すブロック図である。

【図２】（Ａ）は本発明の一実施の形態のトラックアク
チュエータ駆動信号生成回路部分の詳細な構成を示す回
路図である。（Ｂ）は本発明の一実施の形態の低域通過
フィルタ部分の詳細な構成を示す回路図である。

【図３】本発明の光ディスク装置のトレース制御の一実
施の形態の各部の動作を示す波形図である。

【図４】従来の一実施例を示すブロック図である。

【符号の説明】

１ レンズ ２ レンズ位置検出センサ ３ 光ヘッド ４ レンズ位置誤差信号増幅回路 ５ トラッキングエラー信号生成回路 ６ 低域通過フィルタ ７ トラックアクチュエータ駆動信号生成回路 ８ トラッキングパワーアンプ ９ 光ディスク媒体 １０ トラックサーボスイッチ １１ 外乱正弦波信号

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光ディスクに情報の記録再生を行う光デ
   ィスク装置のトレース中の光ヘッドと光ディスクのトラ
   ックとの位置ずれ量を表すトラッキングエラー信号を出
   力するトラッキングエラー信号生成回路と、光ヘッドの
   レンズの光ヘッド中心位置からの光ディスクの半径方向
   のずれを表すレンズ位置検出信号を出力するレンズ位置
   誤差信号増幅回路とを有する光ディスク装置のトレース
   制御回路において、 前記トラッキングエラー信号と前記レンズ位置検出信号
   とを２つの抵抗器で抵抗加算することにより光ディスク
   装置のレンズの駆動信号を生成する手段を有することを
   特徴とする光ディスク装置のトレース制御回路。
2. 【請求項２】 前記レンズ位置検出信号を出力するレン
   ズ位置誤差信号増幅回路が、 前記光ディスク媒体の１回転に１周期の偏心成分の周波
   数以下の低周波を抽出する濾波手段を有することを特徴
   とする請求項１記載の光ディスク装置のトレース制御回
   路。