JPH10238216A

JPH10238216A - ドアガラス開放装置

Info

Publication number: JPH10238216A
Application number: JP9021089A
Authority: JP
Inventors: Tadao Tanaka; 忠男田中; Naoji Nagai; 直司永井
Original assignee: NIPPON KUATSU SYST KK
Current assignee: NIPPON KUATSU SYST KK
Priority date: 1996-12-27
Filing date: 1997-01-20
Publication date: 1998-09-08
Also published as: US5823608A; DE19757641A1

Abstract

(57)【要約】【課題】手動的あるいは自動的にドアガラスをすばや
く開いて、例えば、車ごと海や川に転落したときに車内
に乗員が閉じ込められるのを防止したり、エアバッグ装
置を設置したことによる二次災害を防止したりできるド
アガラス開放装置を提供することである。【解決手段】車両のドアガラスに内蔵されたドアガラ
スと、ドアガラスを上下にスライドさせるドアガラス開
閉機構とを備えた車両に、ガス源と、手動的あるいは自
動的にガス源のガスを噴出するガス噴出機構と、ガス噴
出機構からの噴出ガスによって作動するアクチュエータ
とを設け、このアクチュエータの作動力をドアガラス開
閉機構に伝達して、ドアガラスを開く構成にしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ドアガラスを開
くためのドアガラス開放装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両のドアには、ドアガラスが内蔵され
ている。そして、このドアガラスを開閉する方式として
は、手でレギュレータハンドルを回す手動方式と、電動
モータを用いたパワーウインドウ方式とが採用されてい
る。ただ、いずれの方式でも基本的な構成は同じで、レ
ギュレータハンドルあるいは電動モータの回転力をドア
ガラス開閉機構に伝達する。そして、具体的には図示し
ないが、このドアガラス開閉機構は、回転力をＸ型アー
ムなどを介して上下方向の力に変換し、ドアガラスを上
下にスライドさせる構成となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、衝突事故な
どが起きたりすると、ドアが開かなくなって車内に乗員
が閉じ込められることがある。しかし、前述のドアガラ
ス開閉機構の構造上、ドアガラスは車外から開閉できな
くなっている。そのため、ドアガラスがすべて閉じられ
ていると、その救助活動を妨げてしまうことがあった。
また、車ごと海や川に転落したとき、水圧によってドア
が開かなくなって、車内に乗員が閉じ込めれるといった
事故も起きている。このとき、ドアガラスを開いて脱出
することが考えられるが、手動方式の場合、レギュレー
タハンドルを回さなければならず、手間がかかってしま
い、また、パワーウインドウ方式の場合、ドア内部に水
が侵入してショートするなどの故障が発生し、ドアガラ
スが開かなくなることもある。

【０００４】さらに、最近では、車両の運転席側や助手
席側に、エアバッグ装置を搭載することが多くなってい
る。エアバッグ装置を簡単に説明すると、図６に示すよ
うに、衝撃センサ１０１と、通常は折り畳んで収納され
ているエアバッグ１０２と、衝撃センサ１０１が衝撃を
感知したとき、ガスを発生するガス発生部１０３とから
構成されている。このようにしたエアバッグ装置では、
衝突などにより車両に大きな衝撃が作用したとき、衝撃
センサ１０１がそれを感知して、ガス発生部１０３に電
流を流す。このガス発生部１０３では、電流が流される
と、窒化ナトリウムなどからなる固体のガス発生材に着
火する。そして、このガス発生材が燃焼してガスを発生
し、エアバッグ１０２を膨らませることになる。

【０００５】しかし、エアバッグ１０２が膨らむと、そ
の体積分だけ車内の空気が押しのけられることになる。
そのため、車内が密室状態にあると、車内の圧力が上昇
して、乗員の鼓膜を破るなどの二次災害が起きることが
あった。また、エアバッグ１０２に供給されるガスとし
ては、不活性ガスが主流となっている。そのため、車内
が密室状態にあるとき、エアバッグ内のガスが漏れたり
すると、車内にガスが充満して、酸欠などを引き起こす
ことも考えられる。この発明の目的は、手動的にあるい
は自動的にドアガラスをすばやく開いて、上記のような
問題を解決することのできるドアガラス開放装置を提供
することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、ドアガラ
ス開放装置に係り、車両のドアに内臓されたドアガラス
と、ドアガラスを上下にスライドさせるドアガラス開閉
機構とを備えた車両に、ガス源と、手動的あるいは自動
的にガス源のガスを噴出するガス噴出機構と、ガス噴出
機構からの噴出ガスによって作動するアクチュエータと
を設け、このアクチュエータの作動力をドアガラス開閉
機構に伝達して、ドアガラスを開く構成にした点に特徴
を有する。第２の発明は、第１の発明において、ドアガ
ラス開閉機構は、回転力を上下方向の力に変換して、ド
アガラスを上下にスライドさせる構成とする一方、アク
チュエータは、噴出ガスを受けて回転する回転体からな
り、この回転体の回転力をドアガラス開閉機構に伝達し
て、ドアガラスを開く構成にした点に特徴を有する。第
３の発明は、第１、２の発明において、衝撃センサを設
け、衝撃を感知したとき自動的にガス噴出機構からガス
源のガスを噴出する構成にした点に特徴を有する。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１〜４に、ドアガラス開放装置
の一実施例を示す。ドア内には、図１に示すように、パ
ワーウインドウ用の電動モータ１を設置している。そし
て、この電動モータ１の一端から出力軸２を突出させ、
前述のドアガラス開閉機構３に連係させている。上記電
動モータ１の他端からは、出力軸２に連係する補助軸４
を突出させている。そして、この補助軸４を、カップリ
ング５を介して回転体６に連係させている。したがっ
て、回転体６が回転すれば、カップリング５及び補助軸
４を介して、電動モータ１の出力軸２を回転させること
ができる。そして、回転力がドアガラス開閉機構３に伝
達されれば、その回転方向に応じて、ドアガラスを上下
にスライドさせることになる。

【０００８】回転体６は、図１、２に示すように、対面
させた二枚の円形板からなり、これら二枚の円形板間に
は、回転中心から径方向に向かう複数の動翼７を設けて
いる。そして、これら複数の動翼７を、回転方向にほぼ
等間隔に配置している。また、ガス噴出機構８のボディ
９を、フレーム１０で支持するとともに、上記回転体６
の隣に位置させている。このとき、ボディ９に取り付け
たガス噴出ノズル１１を、回転体６のいずれか一枚の動
翼７に対向させている。したがって、ガス噴出ノズル１
１からガスが噴出されると、動翼７がそのガスを受けて
回転体６は回転する。このように回転体６が回転すれ
ば、次々と動翼７がガスを受けるので、回転体６は矢印
ｋ方向に回転し続けることになる。ここでは、矢印ｋ方
向が、ドアガラスを下にスライドさせる方向、つまり、
ドアガラスを開く方向となっている。

【０００９】上記ボディ９には摺動孔１２を形成し、そ
の下端をボンベ装着口１３として開放している。この摺
動孔１２には摺動自在に可動体１４を組み込み、その周
囲にＯリングを設けている。そして、この可動体１４
に、ボンベ装着口１３側に向かってスプリング１５の弾
性力を作用させている。また、ボンベ装着口１３には、
小型ガスボンベ１６をネジ式に装着している。このと
き、ボンベ装着口１３に位置する小型ガスボンベ１６の
吐出口１６ａを、メタル箔によって塞いでいる。

【００１０】さらに、可動体１４の下端には、先端をニ
ードル状にした筒状ピン１７を取り付けている。そし
て、スプリング１５が自然長にあるとき、この筒状ピン
１７の先端が、上記ガスボンベ１６のメタル箔を突き破
るようにしている。この筒状ピン１７は、図３に示すよ
うに、完全な筒体ではなく、その側面に開放部１９を形
成している。これは、筒状ピン１７の先端がメタル箔を
突き破って吐出口１６ａに挿入したとき、筒状ピン１７
内部→開放部１９→導入通路２０からなるガス放出通路
を構成するためである。また、可動体１４には、開放部
１９側に段部２４を形成している。したがって、筒状ピ
ン１７の先端がメタル箔を突き破った状態で、この開放
部１９を塞いでしまうことがない。

【００１１】可動体１４の上端部には、ロッド部材２１
を固定している。そして、このロッド部材２１を、ボデ
ィ９に形成した貫通孔２２に挿入して、ボディ９の上端
に突出させている。この状態で、ロッド部材２１の端部
に設けたストッパ２３を、ボディ９の上端部に引っ掛け
ている。そして、このときにスプリング１５が縮めら
れ、イニシャル荷重を持つ構成にしている。

【００１２】ここでは、図４に示すように、貫通孔２４
を長孔形状としている。また、ストッパ２３を棒型とし
て、ロッド部材２１とストッパ２３とが略Ｔ字型になる
ようにしている。このようにロッド部材２１とストッパ
２３とを略Ｔ字型としておけば、このストッパ２３を長
孔形状に沿わせながら、ロッド部材２１を摺動孔１２側
から貫通孔２２に挿入することができる。そして、スト
ッパ２３をボディ９の上端に突出させ状態で、ロッド部
材２１を９０度ほど回転させれば、このストッパ２３を
ボディ９の上端部に引っ掛けることができる。

【００１３】上記ロッド部材２１は、Ｐｂ、Ｓｅ、Ｓｎ
などのヒューズメタル、つまり、一定の温度で融解する
可溶合金で成形されている。また、図２に示すように、
貫通孔２２の途中には、このロッド部材２１を囲んでヒ
ータ２５を設けている。そして、上記ヒータ２５を、電
源である乾電池２６と、衝撃を感知する衝撃センサ２７
とに接続し、衝撃センサ２７が衝撃を感知したとき、ヒ
ータ２５に通電する構成にしている。もちろん、これら
電源あるいは衝撃センサは、エアバッグ装置に連動させ
る意味からも、車両に搭載されているエアバッグ装置の
ものを共用してもよい。

【００１４】次に、この実施例のドアガラス開放装置の
作用を説明する。衝撃センサ２７が衝撃を感知すると、
ヒータ２５に通電する。したがって、ヒータ２５で熱が
発生して、ロッド部材２１を溶断することになる。ロッ
ド部材２１が溶断されると、スプリング１５のイニシャ
ル荷重によって、可動体１４が、ボンベ装着口１３方向
に移動する。そして、可動体１３に設けた筒状ピン１７
の先端が、小型ガスボンベ１６のメタルシールを突き破
って、吐出口１６ａ内に挿入される。

【００１５】したがって、小型ガスボンベ１６のガス
が、吐出口１６ａ→筒状ピン１７内→開放部１９→導入
通路２０を通過してガス噴出ノズル１１に導かれ、回転
体６の動翼７に向かって噴出される。そして、既に説明
したように、回転体６は、その動翼７がガスを受けて回
転し、電動モータ１の出力軸２を回転させる。したがっ
て、その回転力がドアガラス開閉機構３に伝達され、ド
アガラスを開くことになる。

【００１６】なお、回転体６と補助軸４とを連係するカ
ップリング５としては、例えば、回転体６側からの回転
は伝達するが、補助軸４側からの回転を遮断する構成に
したものを用いればよい。そうすれば、普通に電動モー
タ１によってドアガラスを開閉するとき、それが回転体
６によって妨げられることはない。あるいは、カップリ
ング５として、回転体６から補助軸４側に伝達される回
転力が所定の大きさに達したとき、それ以上の伝達を遮
断する構成にしたものを用いてもよい。そうすれば、例
えば、既にドアガラスが開き切った状況で回転体６を回
転させたとしても、補助軸４は回転できないので、回転
体６に大きな負荷がかかる。そして、その負荷が所定の
大きさになれば、カップリング５がそれ以上の伝達を遮
断するので、過剰な力でドアガラス開閉機構３などが故
障したりするのを避けることができる。

【００１７】以上述べた実施例によれば、衝突事故など
が起きたり、車ごと海や川に転落したりしたとき、衝撃
センサ２７がその衝撃を感知して、自動的にドアガラス
をすばやく開くことができる。したがって、衝突事故な
どの後に、車内に閉じ込められた乗員の救助活動を迅速
に行うことができ、また、海や川に転落した後に、乗員
が自ら脱出することが可能となる。また、エアバッグ装
置を搭載した車両に用いれば、衝撃によってエアバッグ
１０２が膨らむのと同時にドアガラスを開くことがで
き、車内の圧力の上昇を避けて、乗員の鼓膜を破るなど
の二次災害を未然に防ぐことができる。あるいは、エア
バッグ１０２内のガスが漏れたとしても、車内にガスが
充満することがなく、酸欠などを引き起こすこともな
い。

【００１８】この実施例では、衝撃センサ２７を設け
て、自動的にドアガラスを開く構成としたが、衝撃セン
サ２７の代りにスイッチを設けて、手動的にヒータ２５
に通電するようにしてもかまわない。あるいは、図５に
示すように、衝撃センサ２７とスイッチ２８とを並列に
接続しておけば、例えば、車ごと海や川に転落したよう
な場合に、衝撃センサ２７が感知するだけの衝撃が発生
しなくても、手動的にドアガラスをすばやく開くことが
できる。この場合、スイッチ２８をオンにするだけでよ
いので、レギュレータハンドルを回すような手間がいら
ない。

【００１９】また、図５に示すように、ガス噴出機構
８、電源である乾電池２６、衝撃センサ２７あるいはス
イッチ２８などを防水ケース２９で囲んでおけば、車ご
と海や川に転落したような場合の対策として効果的であ
る。さらに、水中であっても噴出ガスの圧力によって回
転体６を回転させることはできるが、図５に示すよう
に、配管によってガス噴出ノズル１１を回転体６の動翼
７付近に位置させれば、より有効である。さらにまた、
手動的にガスを噴出させる機構として、電源を使用した
電気的な回路を用いたくなければ、機械的な構成でガス
噴出機構８を作動させるようにしてもよい。具体的には
図示しないが、例えば、ピンなどを使って、筒状ピン１
７にスプリング１５のイニシャル荷重を作用させた状態
を維持するとともに、このピンを引き抜いたとき、筒状
ピン１７が小型ガスボンベ１６のメタル箔を突き破るよ
うな構成にしておけばよい。

【００２０】なお、この実施例では、アクチュエータと
して回転体６を用いているが、例えば、ピストン及びピ
ストンが組み込まれたシリンダを使用してもよい。この
場合、そのピストンを、ドアガラス開閉機構のうち電動
モータ１側ではなく、ドアガラス側、すなわちドアガラ
スに上下方向の力を与える部分に連係させておく。そし
て、ガス噴出機構８からガスが噴出されたとき、そのガ
スをシリンダ内のいずれか所定の圧力室に導いて、この
ガスの圧力によって、ピストンが、ドアガラスを下にス
ライドさせる方向、つまり、ドアガラスを開く方向に力
を発揮するようにしておけばよい。

【００２１】また、この実施例では、ガス源として小型
ガスボンベ１６を使用しているが、その他のものであっ
てもかまわない。そして、ガス噴射機構８も、そのガス
源にあわせて変更すればよい。例えば、ガス源としてガ
ス発生材を使用する場合、ガス噴出機構８は、ガス発生
材に着火してガスを発生させ、そのガスを回転体６の動
翼７に向かって噴射する構成にすればよい。さらに、こ
の実施例では、パワーウインドウ方式のものについて説
明したが、手でレギュレータハンドルを回す手動方式で
あっても同じである。つまり、手動方式であっても、回
転力でドアガラスを開閉することは同じであり、その回
転力を回転体６で得れば、自動的にドアガラスを開くこ
とができる。

【００２２】

【発明の効果】この発明によれば、手動的あるいは自動
的にガスを噴出させるだけで、ドアガラスをすばやく開
くことができる。そして、衝撃センサを設け、衝撃を感
知したときドアガラスを自動的に開くようにすれば、衝
突事故などの後に、車内に閉じ込められた乗員の救助活
動を迅速に行うことができ、また、海や川に転落した後
に、乗員が自ら脱出することが可能となる。また、エア
バッグ装置を搭載した車両に用いて、衝撃によってエア
バッグが膨らむのと同時にドアガラスを開いてやれば、
車内の圧力の上昇を避けて、乗員の鼓膜を破るなどの二
次災害を未然に防ぐことができる。あるいは、エアバッ
グ内のガスが漏れたとしても、車内にガスが充満するこ
とがなく、酸欠などを引き起こすこともない。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例のドアガラス開放装置を示す図である。

【図２】図１のドアガラス開放装置を、矢印II方向から
見た一部断面図である。

【図３】図１のドアガラス開放装置のIII−III線で切断
した面を見た図である。

【図４】図１のドアガラス開放装置のIV−IV線で切断し
た面を見た図である。

【図５】衝撃センサ１７とスイッチ２８とを並列に接続
した例を示す図である。

【図６】エアバッグ装置を示した図である。

【符号の説明】

３ドアガラス開閉機構６回転体８ガス噴射機構１６小型ボンベ２７衝撃センサ２８スイッチ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】車両のドアに内臓されたドアガラスと、
ドアガラスを上下にスライドさせるドアガラス開閉機構
とを備えた車両に、ガス源と、手動的あるいは自動的に
ガス源のガスを噴出するガス噴出機構と、ガス噴出機構
からの噴出ガスによって作動するアクチュエータとを設
け、このアクチュエータの作動力をドアガラス開閉機構
に伝達して、ドアガラスを開く構成にしたことを特徴と
するドアガラス開放装置。
【請求項２】ドアガラス開閉機構は、回転力を上下方
向の力に変換して、ドアガラスを上下にスライドさせる
構成とする一方、アクチュエータは、噴出ガスを受けて
回転する回転体からなり、この回転体の回転力をドアガ
ラス開閉機構に伝達して、ドアガラスを開く構成にした
ことを特徴とする請求項１記載のドアガラス開放装置。
【請求項３】衝撃センサを設け、衝撃を感知したとき
自動的にガス噴出機構からガス源のガスを噴出する構成
にしたことを特徴とする請求項１又は２記載のドアガラ
ス開放装置。