JPH10237416A - 親水性付与材と親水性発揮材およびその製造方法 - Google Patents

親水性付与材と親水性発揮材およびその製造方法

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JPH10237416A
JPH10237416A JP21739797A JP21739797A JPH10237416A JP H10237416 A JPH10237416 A JP H10237416A JP 21739797 A JP21739797 A JP 21739797A JP 21739797 A JP21739797 A JP 21739797A JP H10237416 A JPH10237416 A JP H10237416A
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JP21739797A
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Tatsuhiko Kuga
辰彦 久我
Tomoaki Morikawa
智章 森川
Yoshimitsu Saeki
義光 佐伯
Hidenori Kobayashi
秀紀 小林
Hiroto Hasuo
博人 蓮生
Kazuya Tsujimichi
万也 辻道
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い親水性を確実かつ長期に亘り有する新た
な親水性発揮材を提供する。 【解決手段】 本発明の親水性発揮材は、タイル等の基
材表面に、チタニア等の光触媒と、水酸基の吸着が可能
なシリカ等の化合物を含有して形成された表面層を有す
る。この表面層では、チタニアが紫外線照射を受けて生
成した水酸ラジカル・OHがシリカの表面に達して当該
表面に水酸基として化学吸着されることになる。従っ
て、チタニアが生成した水酸基をより効果的かつ高密度
でシリカ表面に化学吸着して保持でき、この水酸基の存
在をもって高い親水性を発揮できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に親水性
を付与する親水性付与材と基材表面で親水性を発揮する
親水性発揮材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、基材表面に親水性を付与する
利点として曇り防止が知られている。例えばガラスやレ
ンズ等の表面に親水性を付与すれば、これらガラスやレ
ンズの曇りを防止できる。このため、以下に記すような
種々の技術が提案されている。
【0003】最も簡単な手法は、ポリエチレングリコー
ルのような親水性有機化合物を含んだ防曇用組成物を基
材表面に塗布し、防曇性被膜を形成する手法である。こ
のほか、基材表面に設けたポリマー層に紫外線照射、ア
ルカリ処理等を施してポリマー層に酸性基を生成し、こ
の酸性基の存在をもってポリマー層表面を親水性にする
技術が提案されている(実開平3−129357)。ま
た、当初から親水基を有するアクリル系モノマーと疎水
基を有するモノマーとをグラフト重合してグラフトポリ
マーのフィルムを形成し、この親水基と疎水基の存在を
もってフィルム表面を親水性とする技術も知られている
(実開平5−68006)。
【0004】ところで、近年になって、表面を親水性と
することでその表面の汚れを防止できることが知見され
るに到った(高分子、第44巻、1995年5月号、
p.307)。このため、建築物外壁や自動車、電車等
の車両ボディに親水性のグラフトポリマーからなる塗膜
を形成して、これら表面の汚れ防止を図ることをも試み
られつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の技術では、次のような問題点があった。基材表
面に形成した防曇性被膜は、組成物塗布による都合上、
基材表面に一時的に存在するに過ぎず、基材表面の水洗
等により比較的容易に取り除かれてしまう。よって、防
曇効果が短期間の内に得られなくなる。また、表面が親
水性とされたポリマー層にあっては、付着した汚染物質
の影響を受けて表面の親水性が時間の経過と共に失わ
れ、これに伴って防曇効果も低下する。
【0006】親水性は水との接触角で換算でき、この接
触角が小さいほど水に対する濡れ性が向上し、親水性表
面に接触した水はその接触表面に止まりにくくなる。そ
して、このように水が止まりにくくなれば、雨水等に含
まれた都市塵埃等の汚れ成分は水と共に親水性表面から
流れ落ち、汚れ防止効果が高まる。しかし、上記のよう
にして親水性が付与されたグラフトポリマーにあって
は、水との接触角で換算される親水性が約30〜約40
°であるために表面に水が比較的止まりやすく、汚れ防
止効果や防曇効果が必ずしも十分でなかった。また、粘
土鉱物で代表される無機質塵埃は、水との接触角が約2
0〜約50°であるために、上記接触角を有するグラフ
トポリマーとの親和性を呈し、グラフトポリマー表面に
付着しやすい。このことと相俟って、グラフトポリマー
の塗膜やフィルムは、特に無機質塵埃に対する高い汚れ
防止効果を奏することは困難であった。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、基材表面に高い親水性を確実かつ長期に亘り付与
することと、高い親水性を確実にかつ長期に亘り有する
新たな材料を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題を解決するため、第1の発明の親水性付与材
は、基材表面に親水性を付与する親水性付与材であっ
て、照射された光のエネルギにより励起電子と正孔を生
成して触媒として機能し、触媒表面の水分又は水分と酸
素の存在化での水酸ラジカルの生成を経て水酸基を生成
する光触媒と、該水酸基が化学吸着する性質を有する化
合物とを含有し、前記水酸基を前記光触媒および化合物
の表面に化学吸着して保持し、該保持された水酸基によ
り親水性を付与することを特徴とする。
【0009】上記構成を有する第1の発明の親水性付与
材では、光が照射されると光触媒により水酸基が生成さ
れ、この生成された水酸基は、光触媒はもとより化合物
の表面に化学吸着して保持される。そして、触媒表面に
おける水分(空気中水蒸気や雨水等)がゼロとなる事態
は起きないので、光が照射されている間は、水酸基は絶
えず生成されているといえる。このため、水酸基は極め
て高い密度で保持され、しかもその保持は化学吸着とい
う結合でなされているので、水酸基は強固に保持されて
いるといえる。その一方、光が照射されない間では、光
触媒による水酸基生成は起きないが、それまでに生成さ
れていた水酸基が光触媒と化合物の表面に強固に保持さ
れており、不用意に水酸基が取り除かれることはない。
しかも、改めて光が照射されれば、それまでに水酸基の
密度が低下していても、高密度の保持状態に速やかに復
帰する。従って、第1の発明の親水性付与材を何らかの
基材表面に固定すれば、この基材表面を確実に高い親水
性とし、この高親水性を長期に亘り確実に維持すること
ができる。よって、第1の発明の親水性付与材を建築物
内外壁表面や自動車、電車等の車両ボディ表面に固定す
れば、このように付与された高い親水性をもってして高
い汚れ防止効果を奏することができる。この場合、これ
ら表面に時折雨が降り注げば、高い親水性が付与されて
いるためにその降雨の都度に表面の粉塵や汚濁物質は雨
水と共に表面から洗い流されるので、これら表面は自己
浄化される。つまり、水の流れに沿って筋上に粉塵等が
残るいわゆる雨筋汚れが効果的に抑制される。また、第
1の発明の親水性付与材をガラスやレンズ或いは鏡等の
表面に固定すれば、高い親水性をもってして高い防曇効
果を奏することができる。
【0010】上記の構成を有する第1の発明の親水性付
与材において、以下の態様を採ることができる。第1の
態様は、親水性を付与するに当たって、水との接触角に
換算して約10°以下の親水性を付与することが好まし
い。
【0011】このようにすれば、本発明の親水性付与材
を固定した基材表面での防曇効果がより一層高まり好ま
しい。また、この第1の態様における接触角は、親油性
成分を多く含む都市塵埃や粘土鉱物のような無機質塵埃
等の接触角よりも極めて低くなるので、本発明の親水性
付与材を固定した基材表面にはこれら塵埃が親和性を発
揮することはなく、汚れ防止効果をより一層高めること
ができ好ましい。接触角がゼロ度に近づくほど親水性は
高まり水は基材表面で膜上に拡散し流れやすくなるの
で、上記の都市塵埃はもとより無機塵埃も容易に基材表
面から水と共に流れ落ちる。この場合、汚れ防止効果を
高める上では、接触角が約5°以下でゼロに近い値であ
ることがより好ましい。
【0012】第2の態様は、前記光触媒は、TiO2
ZnO,SnO2,SrTiO3,WO3,Bi23,F
23から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物であ
る。
【0013】これら金属酸化物は、生成の上で特段の支
障はなく入手が容易であり好ましい。また、金属元素と
酸素元素が表面に存在するので、水酸基の化学吸着も起
きやすいため好ましい。特にチタニア(TiO2)は、
人体に無害かつ化学的に安定であるため最も好ましく、
結晶型がアナターゼ或いはルチルのいずれであっても良
い。そして、アナターゼ型チタニアは、非常に細かい微
粒子として分散させてゾルを市場で容易に入手できると
共に、基材表面に固定した際にその厚みを薄くできるの
という利点がある。ルチル型のチタニアは、高温で焼結
できることから基材表面に焼結形成でき、高い強度と耐
摩耗性をもって基材表面に固定でき好ましい。この場
合、上記の各金属酸化物は、光触媒としていずれも単独
で機能するが、それぞれの金属酸化物間では、触媒機能
の特性に優劣がある。例えば、チタニアやZnO,Sr
TiO3の群の各金属酸化物は、SnO2,WO3,Bi2
3,Fe23の群の各金属酸化物よりも触媒機能に勝
るため、前者の群に属する金属酸化物を光触媒とした場
合には、後者の群に属する金属酸化物は、上記したよう
に金属元素と酸素元素が表面に存在して水酸基の化学吸
着も起きやすいことから、光触媒と共に含まれる化合物
ともなりうる。具体的には、チタニアを光触媒とした場
合には、SnO2をこの光触媒と共に化合物としてもよ
い。
【0014】第3の態様は、前記化合物は、前記光触媒
が有する湿潤熱と同程度以上の湿潤熱を有する化合物で
ある。
【0015】湿潤熱は、表面に水酸基が存在し得る物質
ではその表面の水酸基の保持特性を示す指標として捉え
ることができ、湿潤熱が高いほど水酸基保持の程度が高
く水酸基密度が高い。よって、この第3の態様によれ
ば、光触媒が生成した水酸基をより効果的かつ高密度で
化合物に化学吸着して保持でき、基材表面に高親水性を
より確実かつ長期に亘り付与することができる。この場
合、光触媒として特に好ましいチタニアの湿潤熱は、ア
ナターゼ型で320〜512x10-3Jm-2、ルチル型
で293〜645x10-3Jm-2であることから、50
0x10-3Jm-2以上の湿潤熱を有する化合物であるこ
とがより好ましい。
【0016】第4の態様は、前記化合物は、SiO2
Al23,ZrO2,GeO2,ThO2,ZnOから選
ばれた少なくとも一つの金属酸化物である。
【0017】これら金属酸化物は、光触媒として特に好
ましいチタニアの湿潤熱と同等以上の湿潤熱を有するの
で、水酸基の保持密度がより高まり好ましい。特に、シ
リカ(SiO2)、アルミナ(α−Al23)、Ge
2,ThO2は、その有する湿潤熱の範囲における上限
が1000x10-3Jm-2を越えるためより好ましい。
【0018】なお、ZnOは光触媒であると共に高い湿
潤熱を有する金属酸化物であるので、光触媒としてZn
Oを選択した場合には、高い湿潤熱を有する化合物とし
てZnOを選択することはないことは勿論である。
【0019】第5の態様は、前記化合物は、約0.00
5〜約0.1μmの粒径範囲で調整されて含有されてい
るものとすることができる。
【0020】水酸ラジカル(・OH;この・は水酸基と
区別するための符号であり荷電子が不足していることを
示す)は、光触媒への光照射の間に絶えず生成される
が、生成された・OH自体はその性質がラジカルである
ためごく短時間の内に反応して水酸基に変遷したり他の
物質と反応する。そして、・OHが反応を起こす系の広
がりは、・OHがラジカルなままで存在できると思われ
る時間で規定され、この時間が約10-6〜約10-8se
cであることから、拡散距離に換算してほぼ0.05μ
m程度である。このため、化合物が約0.1μm以下の
粒径範囲で調整されていれば、光触媒が化合物粒子にそ
の両側で接触若しくは近接している際には、この化合物
粒子は光触媒が生成する・OHの反応の系内に含まれて
いることになる。
【0021】即ち、図1にて模式的に示すように、化合
物(SiO2)が約0.1μm以下の粒径範囲で調整さ
れていれば、この化合物の両側の光触媒(TiO2)で
生成された・OHが化合物粒子表面にその両側から到達
し、化合物のほぼ総ての表面で・OHが水酸基として化
学吸着されることになる。従って、この第4の態様によ
れば、光触媒が生成した水酸基をより効果的かつ高密度
で化合物粒子表面に化学吸着して保持でき、基材表面に
高親水性をより確実かつ長期に亘り付与することができ
る。また、粒径が約0.005μm以上であれば、周知
のボールミル、ゾルゲル法等の手法で粒度調整ができ、
特異な粒度調整処理を要しないので好ましい。この場
合、光触媒も上記の粒径範囲で粒度調整されていること
が、粒子の分散・混合の点で好ましい。もっとも、化合
物の粒子が上記の粒径範囲を越える場合であっても、一
つの化合物粒子表面の複数箇所に光触媒粒子が1μm以
下の間隔をおいて複数接触又は接近している場合には、
化合物粒子表面の上記複数箇所が個々に反応の系内に含
まれるので、上記の粒径範囲を越える化合物粒子として
も反応の系内に含まれることになり、特段の支障はな
い。
【0022】第6の態様は、前記化合物は、その重量を
a、前記光触媒の重量をbと表した場合、a/(a+
b)で規定される固形分比が約0.01〜約0.5とな
るように含有されているものである。
【0023】この第6の態様のように、固形分比a/
(a+b)が約0.01以上であれば、水酸基を化学吸
着して保持する化合物が少なすぎることはないので、高
密度での水酸基保持が確実に起き、これをもって高い親
水性の付与を図ることができ好ましい。また、固形分比
a/(a+b)が約0.5以下であれば、bで表される
光触媒の量が上記の化合物に対して少なすぎることがな
く、十分な量の光触媒での確実な水酸基の生成を通じ
て、高い水酸性の付与を図ることができ好ましい。
【0024】第7の態様は、前記光触媒は、水酸ラジカ
ルの生成を高める性質を発揮できる金属又は金属化合物
の粒子を表面に担持固定しているものである。
【0025】この第7の態様によれば、表面に担持固定
した金属又は金属化合物の粒子により光触媒での水酸ラ
ジカルの生成を高めるので、より確実に高い密度で水酸
基を保持でき、高い親水性を発揮できる。この場合、こ
のような金属又は金属化合物としては、Pt,Rh,P
d,Cu,Ag,Zn等の金属とこれら金属の塩を例示
することができる。そして、光触媒表面への担持は、浸
漬法、光析出法、混合法、化学析出法等の適宜な手法を
採ればよい。
【0026】第8の態様は、上記の第1の発明又はその
各態様の親水性付与材を塗料又は釉薬に混合分散してな
る親水性付与材である。
【0027】この第8の態様では、この塗料が塗布され
たものの表面の塗膜において、或いは釉薬が施釉された
ものの表面の釉において、上記したように高い親水性を
長期に亘り確実に維持することができる。
【0028】この場合、光触媒と化合物の混合分散対象
である塗料や釉薬は既存のものでよく、釉薬の場合にあ
っては、釉薬原料、例えば長石や炭酸カリウム等のフリ
ット等と共に光触媒と化合物が溶液中に分散している。
なお、光触媒と化合物の分散混合に際しては、釉薬製造
の過程で上記の釉薬原料と共に配合してもよく、完成済
みの釉薬にその施釉に先立ち配合してもよい。
【0029】第2の発明の親水性発揮材は、基材表面に
親水性を発揮する表面層を有する親水性発揮材であっ
て、前記表面層として、上記の第1の発明又はその各態
様の親水性付与材からなる表面層を有することを特徴と
する。
【0030】第3の発明の親水性発揮材は、基材表面に
親水性を発揮する表面層を有する親水性発揮材であっ
て、前記表面層は、上記の第1の発明又はその各態様の
親水性付与材がバインダを介在させて前記基材表面に形
成された表面層であることを特徴とする。
【0031】この第3の発明において、前記バインダ
は、その軟化温度が前記基材の軟化温度より低い材料か
らなるバインダとすることや、釉薬とすることが好適で
ある。
【0032】上記構成を有する第2、第3の発明では、
親水性付与材からなる表面層自体が上記したように高い
親水性を長期に亘り確実に維持する。よって、このよう
な表面層を有する第2、第3の発明の親水性発揮材によ
れば、高い親水性を確実にかつ長期に亘って発揮できる
新たな材料を提供することができる。
【0033】第4の発明の親水性発揮材は、基材表面に
親水性を発揮する表面層を有する親水性発揮材であっ
て、前記表面層は、照射された光のエネルギにより励起
電子と正孔を生成して触媒として機能し、触媒表面の水
分又は水分と酸素の存在下での水酸ラジカルの生成を経
て水酸基を生成する光触媒を含有して形成された表面層
であり、表面層表面の表面粗さが中心線平均粗さ(R
a)で約0.15μm以上で約1μm以下とされている
ことを特徴とする。
【0034】この第4の発明の親水性発揮材では、表面
層を形成する光触媒により、光が照射されている間に亘
っては絶えず水酸基が生成されており、表面層表面はこ
の生成された水酸基が高密度で保持される。よって、光
照射下に親水性発揮材が置かれている間では、高密度で
の水酸基の存在をもってして高い親水性を確実に発揮で
きる。しかしながら、地域的な特性等により日照量が少
なかったり曇天が長期に亘って続くような場合、例えば
高緯度地域の冬季期間では、光触媒による水酸基生成が
低調となるので、水酸基の保持密度が低下し親水性が低
下する。
【0035】この第4の発明の親水性発揮材では、上記
したように光触媒で親水性を表面層にて発揮することに
加え、表面層表面の表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)
で約0.15μm以上で約1μm以下としている。表面
の粗さは、当該表面における水の接触角に影響を及ぼ
し、この両者の間には、次のような関係があるとされて
いる。
【0036】cosθ=νxcosθ’ ここで、θ’は、表面が平滑であるときの接触角(定
数)である。νは、表面粗さのある表面を平滑表面に換
算したときの面積に対する見かけ上の面積比であり、表
面粗さが大きくなるにつれてその値は増大する。
【0037】従って、表面粗さが粗くなるとνが増大し
て接触角θは低減するので、表面層表面の物理的要因で
ある表面粗さでもって接触角θ延いては親水性を調整す
ることとした。第4の発明の親水性発揮材では、上記の
範囲の表面粗さとすることで、表面層に存在する水滴
を、表面粗さという物理的な要因で広がりやすくでき
る。よって、この第4の発明の親水性発揮材では、表面
粗さの調整を通した物理的な接触角低減効果の相乗効果
により、上記した水酸基の生成を通して光触媒により発
揮される親水性を補完して、高い親水性を得ることがで
きる。つまり、光照射下では、光触媒による絶え間ない
水酸基の生成に基づく高い親水性と表面粗さに基づく物
理的な接触角低減効果とが相俟って、より迅速に高い親
水性を発揮し、且つ維持できる。また、光触媒による水
酸基生成が低調となって光触媒に起因する親水性が低下
しても、表面粗さに基づく物理的な接触角低減効果によ
り、表面層表面における親水性低減を抑制し、ある程度
高いままの親水性を維持できる。このため、この第4の
発明の親水性発揮材によっても、高い親水性を確実に且
つ長期に亘って発揮できる新たな材料を提供することが
できる。
【0038】第5の発明の親水性発揮材は、基材表面に
親水性を発揮する表面層を有する親水性発揮材であっ
て、前記表面層として、上記の第1の発明又はその各態
様の親水性付与材からなる表面層を有し、前記表面層の
表面の表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)で約0.1
5μm以上で約1μm以下とされていることを特徴とす
る。
【0039】この第5の発明の親水性発揮材では、親水
性付与材からなる表面層自体が上記したように高い親水
性を長期に亘り確実に維持し、更に、表面粗さに基づく
物理的な接触角低減効果を相乗的に奏することができ
る。よって、このような表面層を有する第5の発明の親
水性発揮材によれば、高い親水性を確実にかつ長期に亘
つて発揮できる新たな材料を提供することができる。
【0040】上記の第2ないし第5の発明において、以
下の態様を採ることができる。第1の態様では、前記基
材は、セラミック、樹脂、金属、ガラス、陶器若しくは
木材のいずれかの基材である。よって、この態様の親水
性発揮材を建築物内外壁の壁材や自動車、電車等の車両
ボディの鋼板等に利用すれば、その表面層で発揮される
高い親水性をもってして高い汚れ防止効果を奏すること
ができる。また、ビル、家屋並びに車両等の窓ガラスに
利用すれば、高い汚れ防止効果に加えて高い防曇効果を
奏することができ、窓掃除等が不要若しくは掃除頻度が
低下し好ましい。
【0041】第2の態様では、前記表面層は、焼成して
形成されている。この態様によれば、表面層を強固に基
材に形成することができる。
【0042】第6の発明の親水性発揮材の製造方法は、
基材表面に親水性を発揮する表面層を有する親水性発揮
材の製造方法であって、 上記第1の発明又はその各態
様の親水性付与材又は該親水性付与材が分散されてゾル
状とされた親水性付与材ゾルを準備する工程と、前記親
水性付与材又は前記親水性付与材ゾルを前記基材表面に
層状に配設する配設工程と、前記親水性付与材又は前記
親水性付与材ゾルの層状配設物から前記表面層を形成す
る工程とを有することを特徴とする。
【0043】この場合、親水性付与材ゾルは、水、アル
コール等の溶液に親水性付与材を分散させることで取得
できる。
【0044】この第6の発明の製造方法によれば、特殊
な工程を必要としないことから、高い親水性を確実にか
つ長期に亘って発揮できる新規な親水性発揮材を容易に
製造することができる。この際、表面層の形成に当たっ
ては、配設した親水性付与材又は親水性付与材ゾルに応
じて適宜な手法、例えば熱処理や乾燥処理を採ることが
できる。
【0045】この第6の発明において、前記配設工程
は、前記親水性付与材又は前記親水性付与材ゾルを前記
基材表面に層状に配設する際に、前記親水性付与材又は
前記親水性付与材ゾルを、前記基材表面に層状に載置、
塗布或いは印刷する工程を有する親水性発揮材の製造方
法とすれば、次のような利点がある。
【0046】この第6の発明によれば、親水性付与材か
らなり厚みがほぼ均一の表面層で高い親水性を確実にか
つ長期に亘って発揮できる新規な親水性発揮材を容易に
製造することができる。なお、基材表面への親水性付与
材の層状塗布は、スプレー塗布等の適宜な塗布手法によ
り、層状印刷は、ロール印刷等の適宜な印刷手法により
実行することができる。
【0047】第7の発明の親水性発揮材の製造方法は、
基材表面に親水性を発揮する表面層を有する親水性発揮
材の製造方法であって、 上記の第1の発明又はその各
態様の親水性付与材又は該親水性付与材が分散されてゾ
ル状とされた親水性付与材ゾルを準備する工程と、前記
基材表面にバインダを層状に配設し、バインダ層を形成
する工程と、前記親水性付与材又は前記親水性付与材ゾ
ルを前記バインダ層表面に層状に配置する配設工程と、
前記バインダの軟化温度よりも30℃以上300℃以下
の範囲で高く、且つ、前記基材の軟化温度よりも低い温
度環境化で熱処理し、前記親水性付与材又は前記親水性
付与材ゾルの層状排泄物から前記表面層を形成する工程
とを有することを特徴とする。
【0048】この第7の発明によれば、バインダ層と表
面層との境界ではこの表面層における親水性付与材、具
体的には光触媒と化合物をバインダ層に埋まった状態で
保持して、表面層をバインダ層表面に形成できる。この
ため、表面層を強固にバインダ層に固定できると共に、
親水性付与材の光触媒と化合物を有効に外気に接触させ
ることできる。よって、高い親水性を表面層において確
実に且つ長期に亘って発揮できる新規な親水性発揮材を
製造することができる。この場合、加熱温度をバインダ
の軟化温度より30℃以上高くしたので、加熱によるバ
インダの軟化に不用意に長期間を要せず好ましい。ま
た、加熱温度をバインダの軟化温度より300℃を越え
て高くしないので、バインダの急激な溶融を回避して、
親水性付与材の光触媒と化合物の過剰の埋まりや凹凸面
の発生或いはピンホールの発生等の不具合を抑制でき
る。
【0049】上記の第6、第7の発明において、前記表
面層を形成する工程は、約150〜約1300℃の温度
環境下で熱処理する工程を有するものとすることが好ま
しい。このようにすれば、既存の加熱装置を使用して、
高い親水性を表面層において確実にかつ長期に亘って発
揮できる新規な親水性発揮材を製造することができる。
この場合、熱処理温度を約150℃以上とすれば、既存
の釉薬や塗料(無機塗料)の熱処理温度と合致させ、従
来と熱処理条件の変更を要しない。また、熱処理温度を
約1300℃以下とすれば、熱処理を要する基材、例え
ばタイルや陶磁器等の生成時の熱処理温度と合致させ、
従来と熱処理条件の変更を要しない。
【0050】第8の発明の親水性発揮材の製造方法は、
基材表面に親水性を発揮する表面層を有する親水性発揮
材の製造方法であって、 照射された光のエネルギによ
り励起電子と正孔を生成して触媒として機能し、触媒表
面の水分又は水分と酸素の存在下での水酸ラジカルの生
成を経て水酸基を生成する光触媒の粒子を準備し、該光
触媒粒子が分散した懸濁液を準備する工程と、前記基材
表面の加熱と前記基材表面への前記懸濁液のスプレー塗
布とを、温度調整と塗布量調整とを行いつつ実行し、前
記光触媒粒子からなる前記表面層を、表面粗さが中心線
平均粗さ(Ra)で約0.15μm以上で約1μm以下
となるように形成する工程とを有することを特徴とす
る。
【0051】第9の発明の親水性発揮材の製造方法は、
基材表面に親水性を発揮する表面層を有する親水性発揮
材の製造方法であって、 上記の第1の発明又はその各
態様の親水性付与材が粒状に分散された懸濁液を準備す
る工程と、前記基材表面の加熱と前記基材表面への前記
懸濁液のスプレー塗布とを、温度調整と塗布量調整とを
行いつつ実行し、前記親水性付与材粒子からなる前記表
面層を、表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で約0.1
5μm以上で約1μm以下となるように形成する工程と
を有することを特徴とする親水性発揮材の製造方法。
【0052】この第8、第9の発明の親水性発揮材の製
造方法によれば、表面層で上記したように高い親水性を
確実に発揮してこれを維持し、更に、表面粗さに基づく
物理的な接触角低減効果を層状的に奏することができる
新規な親水性発揮材を製造することができる。この量発
明の製造方法において表面層を焼成すれば、強固に表面
層を基材表面に固定形成でき、より好ましい。
【0053】
【発明の他の態様】本発明は、以下のような他の態様を
とることも可能であり、第1の他の態様は、基材表面に
親水性を付与する親水性付与材の製造方法であって、照
射された光のエネルギにより励起電子と正孔を生成して
触媒として機能し、触媒表面の水分又は水分と酸素の存
在下での水酸ラジカルの生成を経て水酸基を生成する光
触媒の粒子が分散した第1のゾルを準備する工程(A)
と、該水酸基が化学吸着する性質を有する化合物の粒子
が分散した第2のゾルを準備する工程(B)と、前記第
1のゾルと第2のゾルとを混合する工程(C)とを備え
ることを特徴とする。
【0054】この他の態様の製造方法によれば、第1、
第2のゾルの混合を経ることで、容易に光触媒と化合物
とを溶媒に分散させることができる。そして、工程
(C)を経た混合ゾルは、光触媒のみが凝集して存在し
たり化合物のみが凝集して存在することがなく、親水性
付与材をなす光触媒と化合物がほぼ均一に混合分散した
ゾルとなる。よって、この混合ゾルは、親水性付与材ゾ
ルとして用いるのに好適であり、液状のまま使用される
材料、例えば塗料や釉薬への光触媒と化合物の配合が容
易となる。更に、ゾル状であるために第1、第2のゾル
の秤量が容易であるので、それぞれのゾルの秤量を通し
て容易に光触媒と化合物の混合割合を調整できる。ま
た、混合ゾルにおける溶媒を乾燥等の手法で除去すれ
ば、光触媒と化合物がほぼ均一に混合した固形で粒状の
親水性付与材を得ることができる。
【0055】この場合、第1のゾルと第2のゾルの溶媒
を同一のものとしたり、いわゆるなじみのよい溶媒を用
いると好ましい。
【0056】上記の他の態様の製造方法において、前記
工程(B)は、前記化合物の粒子を約0.005〜約
0.1μmの粒径範囲となるように調整する工程を有す
るものとすることができる。
【0057】この態様によれば、化合物粒子を光触媒が
生成する・OHの反応の系内に含ませることが可能とな
り、化合物粒子のほぼ総ての表面に・OHが達して当該
表面に水酸基として化学吸着されることになる。従っ
て、この態様によれば、光触媒が生成した水酸基をより
効果的且つ高密度で化合物粒子表面に化学吸着して保持
でき、基材表面に高親水性をより確実且つ長期に亘り付
与することができる新規な親水性付与材を容易に製造す
ることができる。また、粒径が約0.005μm以上で
あれば、周知のボールミル、ゾルゲル法等の手法で粒度
調整ができ、特異な粒度調整処理を要しないので好まし
い。
【0058】更に、上記の他の態様の製造方法におい
て、前記工程(A)は、前記光触媒の粒子を約0.00
5〜約0.1μmの粒径範囲調整する工程を有するもの
とすることができる。
【0059】この態様によれば、水酸基を生成する光触
媒と水酸基を保持する化合物とがほぼ均一に混じり合っ
た親水性付与材を容易に得ることができる。
【0060】また、上記のそれぞれの他の態様の製造方
法において、前記工程(C)は、前記化合物の重量を
a、前記光触媒の重量をbと表した場合、a/(a+
b)で規定される固形分比が約0.01〜約0.5とな
るように前記第1のゾルと第2のゾルとを調合する工程
を有するものとすることができる。
【0061】この態様によれば、水酸基保持のための化
合物の量が少なすぎることがなく、また、光触媒の量が
上記の化合物に対して少なすぎることがないために、高
い親水性を確実にかつ長期に亘り付与することができる
親水性付与材を容易に得ることができる。
【0062】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。
【0063】まず、実施例で用いる親水性付与材の調合
について説明する。光触媒としてはアナターゼ型のチタ
ニアを用い、この光触媒と共に配合する金属酸化物とし
ては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、S
nO2及びZrO2を用いた。そして、親水性付与材の調
合に際しては、以下の工程をとった。
【0064】光触媒並びに金属酸化物のゾル調達 チタニアの重量比が既知のチタニアゾルを準備する。準
備したチタニアゾルは、粒子の平均粒径が約0.02μ
m,約0.01μm,約0.007μmの3種類であ
る。シリカなどの金属酸化物についても重量比が既知の
以下のゾル(金属酸化物ゾル)を準備した。
【0065】シリカ:平均粒径が約0.01〜約0.0
2μm、約0.007〜約0.009μmの2種類のゾ
ル。 アルミナ:平均粒径が約0.01〜約0.02μmのゾ
ル。 SnO2:平均粒径が約約0.002μmのゾル。 ZrO2:平均粒径が約0.07μmのゾル。
【0066】親水性付与材の調整 その後、上記の各種のチタニアゾル(光触媒ゾル)に、
上記の金属酸化物ゾルを混合・撹拌し、チタニア混合ゾ
ル(Ti/Siゾル、Ti/Alゾル、Ti/Snゾル
およびTi/Zrゾル)を得る。この場合、上記の各チ
タニア混合ゾルの調整に当たっては、各混合ゾルにおけ
る金属酸化物の重量をa、光触媒(チタニア)の重量を
bと表した場合に、a/(a+b)で規定される固形分
比が0.2となるように、チタニアゾルと金属酸化物ゾ
ルの混合量を秤量した。
【0067】なお、上記の、の工程を採るほか、調
達済みのチタニアに粒度調整済みのシリカ、アルミナ等
の上記金属酸化物の粒子を添加した分散させ、Ti/S
iゾル等とすることもできる。また、粒度調整済みのチ
タニア粒子とシリカ、アルミナ等の金属酸化物粒子を交
互に或は同時に溶媒に分散させて、当初からチタニア粒
子と金属酸化物粒子が分散したゾルとすることもでき
る。また、上記のそれぞれのゾルは、市販品でよいこと
は勿論である。
【0068】次に、上記のように調整した親水性付与材
(Ti/Siゾル、Ti/Alゾル、Ti/Snゾルお
よびTi/Zrゾルの各チタニア混合ゾル)を用いて親
水性が付与された親水性発揮材について説明する。本実
施例では、この親水性発揮材をタイルとし、次のように
して製造した。
【0069】施釉済のタイルを基材として用意し、この
タイル表面に規定された濃度の上記各チタニア混合ゾル
を、その膜厚が約0.5μmとなるようにスプレー塗布
する。次いで、光触媒たるチタニア並びに各金属酸化物
の溶融温度を考慮した温度(本実施例にあたっては、約
850℃)で、チタニア混合ゾルのスプレー塗布後のタ
イルを約60分に亘って焼成し、基材表面に表面層を有
する最終的な親水性発揮材(親水性発揮タイル)とし
た。この表面層は、チタニアとシリカ、アルミナ等の各
金属酸化物からなる表面層となる。なお、焼成には、R
HK(ローラーハースキルン)を用いた。
【0070】こうして製造した親水性発揮タイルについ
て、水との接触角の状態でその評価を下すこととした。
その試験概要は以下の通りである。
【0071】まず、本発明の実施例品との対比を取るた
めに、施釉しただけのタイル(未処理タイルと)、チタ
ニアゾルのみからなる表面層を有する比較例タイルと、
実施例の親水性発揮タイル(実施例タイル)を、以下の
ように用意した。なお、比較例タイルにおけるチタニア
ゾルのスプレー塗布量は、膜厚が実施例タイルと同様に
約0.5μmとなるようにされている。また、焼成条件
についても、実施例タイルと同一である。つまり、比較
例タイルは、タイル表面の表面層においてチタニアのみ
が有し比較対照の上で基準となる親水性を発揮するの
で、この比較例タイルと上記の各実施例タイルを比較す
ることで、それぞれの金属酸化物を配合したことで得ら
れる親水性の向上の有無やその程度が判明する。
【0072】上記の未処理タイルと比較例タイルと各実
施例タイルについて次のように試験した。試験には、各
タイルについて適宜な大きさのサンプル片を用い、この
サンプル片に滴下した水滴の接触角を、タイル製造直後
と、紫外線を照射するランプ(波長が320〜380n
mにおいてサンプル片の受光量が約1mW/cm2)で
約24時間に亘って紫外線を照射した後と、この紫外線
照射後に約48時間に亘って暗所に放置した後について
測定した。その結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】この表1から明らかなように、未処理タイ
ルではほとんど接触角は変化せず、表面の親水性は変化
していないのに対し、比較例タイルおよび実施例タイル
とも、紫外線照射により接触角は減少し、紫外線照射を
受けたチタニアによる水酸基の生成を通して表面の親水
性の向上が見られた。しかも、この際の接触角は、比較
例タイルにあってはチタニアの流径の大小に拘わらず半
減し、実施例タイルでは、いずれの金属酸化物が混合さ
れた実施例タイルであっても、比較例タイル以上に接触
角が減少し、比較例タイルよりも高い親水性を発揮でき
た。特に、平均流径が約0.007〜約0.009μm
のシリカを混合した実施例タイル1や、SnO2,Zr
2,アルミナを混合した実施例タイル3,4,6で
は、比較例タイルより格段に接触角が減少し、比較例タ
イルに比べて顕著に高い親水性を発揮できた。
【0075】また、比較例タイルでは、暗所下に置かれ
るとほぼ接触角が製造直後の初期値に戻るのに対し、実
施例タイルでは、いずれのタイルであっても、それぞれ
の初期値を下回る接触角にしか戻らなかった。このこと
から、各実施例タイルでは、混合したそれぞれの金属酸
化物により、暗所下にあっても高い親水性を維持するこ
とができるといえる。特に、実施例タイル1〜4では、
比較例タイルが光照射下で呈する接触角を僅かに上回っ
た程度の接触角を暗所下でも得ることができ、暗所下で
も高い親水性を維持できた。そして、アルミナを混合し
た実施例タイル6では、光照射下の接触角とほぼ同程度
の接触角を暗所下でも得ることができ、光照射により高
まった親水性をほぼそのままで暗所下でも維持できた。
【0076】また、各実施例タイルとも、その表面状態
は凹凸の程度などに異常は観察されず優れていた。しか
も、JIS−A6808に則りプラスチック消しゴムを
用いた摺動磨耗試験を試みたところ、各実施例タイルと
も、40回程度の往復摺動を終えても表面層に劣化や剥
がれは見られず、耐磨耗性に優れていることも判明し
た。このことは、上記したゾルの混合という手法で製造
した親水性付与材は、焼成塗料や釉薬は勿論のこと焼
成、印刷、バインダ等に適用できることを意味する。ま
た、上記のように高い親水性を確実に付与できる新規な
親水性付与材や、高い親水性を長期に亘って確実に維持
できる新規な親水性発揮材を、上記したゾルの混合とい
う手法により容易に製造できるといえる。
【0077】次に、混合した金属酸化物の混合(配合)
の程度と親水性との関係について、シリカを金属酸化物
の例に採り評価した。
【0078】準備したタイルは以下の通りである。 (1)実施例タイル チタニアの重量比が既知のチタニアゾル(チタニア粒子
の平均粒径:約0.02μm)と、コロイド状のシリカ
(シリカ粒子の平均粒径:約0.007〜約0.009
μm)とを準備し、チタニアの重量が同一で、シリカの
重量をa、チタニアの重量をbと表わした場合にa/
(a+b)で規定される固形分比が異なる混合懸濁液を
用意する。この懸濁液がこの実施例での親水性付与材と
なる。そして、この懸濁液のそれぞれを基材となる無施
釉タイルの表面に膜厚が約0.5μmとなるように塗布
し、RHKにて約850℃で約60分に亘って焼成し、
基材表面に表面層を有する実施例タイル(親水性発揮タ
イル)とした。なお、固形分比は、0.01〜0.6ま
での範囲の値とした。 (2)比較例タイル 上記粒径のチタニアを含有するチタニアゾルのみからな
る表面層を有するタイルであり、焼成条件等は実施例タ
イルと同一である。なお、この比較例タイルは、シリカ
の固形分比はゼロである。 (3)未処理タイル 無施釉のタイルである。
【0079】これらのタイルについて、上記の評価と同
様に水との接触角をタイル製造直後と、紫外線を照射す
るランプ(波長が320〜380nmにおいてサンプル
片の受光量が約1mW/cm2)で約24時間に亘って
紫外線を照射した後と、この紫外線照射後に約48時間
に亘って暗所に放置した後について測定した。この評価
試験にあっても、比較例タイルは基準となる親水性を発
揮するので、この比較例タイルとシリカ配合量が異なる
各実施例タイルを比較することで、定量の光触媒を配合
した場合の親水性の向上に及ぼすシリカ配合量の影響が
判明する。その結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】この表2から明らかなように、光照射下お
よび暗所下で比較例タイル以上の接触角の低減、即ち親
水性の向上が見られたのは、シリカ配合量が固形分比で
0.01〜0.5の範囲の実施例タイルであり、固形分
比が0.6であると比較例と同程度しか接触角は低減し
なかった。つまり、シリカ配合量が固形分比で0.01
〜0.5の範囲であれば、光照射下であっても暗所下で
あっても、高い親水性を発揮することができる。この場
合、固形分比が0.01以上であれば、水酸基を化学吸
着して保持するシリカが少なすぎることはないので、そ
の表面に高密度で水酸基を確実に保持でき、これをもっ
て高い親水性を確実に発揮できる。また、固形分比が
0.5以下であれば、チタニアの量がシリカに対して少
なすぎることがなく、十分な量の光触媒(チタニア)で
の確実な水酸基の生成を通して、高い親水性の付与を図
ることができる。そして、固形分比で0.1〜0.3で
あれば比較例タイルに比べて顕著な接触角の低減、即ち
親水性の向上が見られ、より好ましい。
【0082】次に、表面層の表面粗さと親水性との関係
について説明する。まず、表面粗さの調整手法について
説明する。チタニアゾル(チタニア粒子の平均粒径:約
0.02μm、固定分濃度1.0wt%)を準備し、表
面温度が異なる施釉済みタイル(基材)の表面に膜厚が
約0.5μmとなるようにスプレー塗布する。次いで、
RHKにて約840℃で約60分に亘って焼成し、基材
表面に表面層を有する実施例タイル(親水性発揮タイ
ル)とした。そして、スプレー塗布時のタイルの表面温
度は放射温度計で測定し、焼成後のタイル表面の表面粗
さを形状測定器にて中心線平均粗さ(Ra)として測定
した。その結果を図2に示す。
【0083】この図2から、タイル表面を60〜120
℃に制御しておけば、タイル表面の表面層の表面粗さを
中心線平均粗さ(Ra)で約0.15〜0.25μm程
度とすることができる。この場合、基材である施釉済み
タイル自体の表面粗さは中心線平均粗さ(Ra)で約
0.08μmであったので、タイル表面の温度制御で表
面層の表面粗さを調整できるといえる。そして、タイル
表面温度の制御を通して表面粗さを制御できるのは、以
下のような理由による。
【0084】スプレー塗布されたチタニアゾルの噴霧粒
子は、加熱されたタイル表面に到達するとタイルから熱
を受けて気化し、その噴霧粒子に含まれていた固定分
(この場合はチタニア)がタイル表面に残留する。この
際、噴霧粒子はタイル表面温度が高いほど速やかに気化
するので、タイル表面では噴霧粒子が広がらないうちに
気化して固定分が比較的凝集して残留する。このため、
タイル表面温度が高いほど表面粗さが粗くなる。
【0085】また、チタニアゾル(チタニア粒子の平均
粒径:約0.02μm、チタニアの固定分比は一定)を
準備し、表面温度が一定(約90℃)の施釉済みタイル
(基材の)表面に膜厚が約0.125〜1μmとなるよ
うに塗布する。次いで、RHKにて約840℃で約60
分に亘って焼成し、基材表面の表面層における膜厚が異
なる実施例タイル(親水性発揮タイル)とした。この場
合、膜厚が異なれば表面層におけるチタニアの分量(重
量)も異なることから、この実施例タイルは、表面層に
おけるチタニア重量が異なるタイルでもあるといえる。
そして、焼成後のタイル表面の表面粗さ(中心線平均粗
さ(Ra))と膜厚(平均膜厚)との関係を調べた。そ
の結果を図3に示す。
【0086】この図3から、平均膜厚を約0.5μm以
上とすれば、タイル表面の表面層の表面粗さを中心線平
均粗さ(Ra)で約0.22〜0.25μm程度とする
ことができる。この場合も、基材である施釉済みタイル
自体の表面粗さは中心線平均粗さ(Ra)で0.08μ
mであったので、膜厚の調製を通して表面層の表面粗さ
を調整できるといえる。
【0087】次に、タイル表面温度の制御を通して表面
層の表面粗さを調整したタイルについて、以下のように
評価した。なお、評価には、表面が施釉されているもの
の光触媒たるチタニアを含有する表面層を有しない未処
理タイル(中心線平均粗さ(Ra):約0.08μm)
と、タイル表面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で
0.10μm,0.16μm,0.21μmのタイルと
を用いた。また、評価を下すための試験には、これら各
タイルについて適宜な大きさのサンプル片を用い、この
サンプル片に滴下した水滴の接触角を、紫外線を照射す
るランプ(波長が320〜380nmにおいてサンプル
片の受光量が約1mW/cm2)での紫外線照射が約8
時間経過した時点と、紫外線照射が約24時間経過した
時点と、その後に暗所に放置して更に48時間経過した
時点について測定した。その結果を表3に示す。
【0088】
【表3】
【0089】この表3から明らかなように、未処理タイ
ルではほとんど接触角は変化せず、表面の親水性は変化
していないのに対し、チタニアゾルから形成した表面層
を有するタイルでは、いずれのタイルとも、光照射環境
下では接触角は減少し、紫外線照射を受けたチタニアに
よる水酸基の生成を通して表面の親水性の向上が見られ
た。しかも、この際の接触角は、表面粗さが粗くなるほ
ど低減し、表面粗さが0.16μmと0.21μmのタ
イルにあっては、表面粗さが0.10μmのタイルより
も接触角が大きく減少し顕著に高い親水性を発揮でき
た。
【0090】また、各表面粗さのタイルでは、いずれの
タイルであっても、紫外線照射に伴う水酸基の生成が停
止するので接触角が増大するものの、表面粗さが0.1
6μmと0.21μmのタイルにあっては、表面粗さが
0.10μmのタイルよりも接触角の増大の程度は小さ
く、親水性が著しく低下しなかった。特に、表面粗さが
0.21μmのタイルにあっては、暗所下での接触角
は、表面粗さが0.10μmのタイルが24時間に亘っ
て紫外線の照射を受けた場合の接触角を下回る接触角に
しか増大せず、高い親水性が維持されたままであった。
これらのことから、チタニアゾルから形成した表面層の
表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.16μm以上
とすれば、表面層を光触媒たるチタニアのみを含有する
ものとしても、高い親水性を暗所下において維持するこ
とができるといえる。
【0091】次に、表面層の表面粗さと親水性との関係
について、他の手法で評価した。この際の評価は、タイ
ル表面の汚れ試験で下すこととした。試験には、上記の
評価の場合と同様に、未処理タイル(中心線平均粗さ
(Ra):約0.08μm)と、タイル表面の表面粗さ
が中心線平均粗さ(Ra)で0.10μm,0.16μ
m,0.21μmのタイルとを用いた。また、評価を下
すための汚れ試験は、建材試験センター規格(JSTM J7
602T-1992)で規格されている流下式汚染促進試験法に準
拠して行なった。この場合、試験に先だって、各タイル
には紫外線を照射するランプ(波長が320〜380n
mにおいてサンプル片の受光量が約1mW/cm2)に
て約24時間に亘って照射した後48時間に亘って48
時間暗所に保管した。つまり、紫外線照射と暗所保管を
経て上記試験を暗所下で行なった。そして、流下式汚染
促進試験を10サイクル繰り返した時点での色値を測定
し、試験開始前の色値との比較値(△E*)で評価する
こととした。なお、色値は、汚濁の激しい表面領域と汚
濁が進んでいない表面領域とを目視選択して、各タイル
のこれら表面領域についてそれぞれ5箇所ずつ測定し、
各表面領域について得られた比較値(△E*)の平均値
を測定値とした。その結果を表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】この表4から明らかなように、未処理タイ
ルでは、汚濁の激しい表面領域で得られた最大の比較値
(△E*)と汚濁が進んでいない表面領域で得られた最
小の比較値(△E*)との差が15.2あるのに対し、
チタニアゾルから形成した表面層を有するタイルでは、
いずれのタイルとも、比較値(△E*)の差は未処理タ
イルより減少し、汚れ防止効果を得ることができた。な
お、この効果は、紫外線照射を受けたチタニアによる水
酸基の生成を通して表面の親水性が向上したために得ら
れたものである。しかも、この比較値(△E*)の差
は、表面粗さが粗くなるほど低減し、表面粗さが0.1
6μmと0.21μmのタイルにあっては、表面粗さが
0.10μmのタイルよりも大きく減少し、顕著な高い
親水性をもってしてより高い汚れ防止効果を得ることが
できた。また、このような汚れ防止効果は、目視にても
はっきりと確認できた。特に、表面粗さが0.21μm
のタイルにあっては、比較値(△E*)の差が僅か0.
6しか過ぎず、数値的には汚れに対して試験前後でほと
んど同一の性状を維持しているといえる。これらのこと
から、チタニアゾルから形成した表面層の表面粗さを中
心線平均粗さ(Ra)で0.16以上とすれば、表面層
を光触媒たるチタニアのみを含有するものとしても、高
い親水性を通して高い汚れ防止効果と筋状汚れ防止効果
とを発揮することができるといえる。
【0094】次に、表面層の表面粗さと親水性との関係
について、他の観点から評価した。この際の評価試験に
供したタイル、試験手法は以下の通りである。
【0095】準備したタイルは以下の通りである。 (1)実施例タイル この実施例タイルは、チタニアにシリカを配合して形成
した表面層を有するタイルである。この表面層は、チタ
ニアの重量比が既知のチタニアゾル(チタニア粒子の平
均流径:約0.02μm)にコロイド状のシリカ(シリ
カ粒子の平均流径:約0.007〜約0.009μm)
をシリカの固形分比が0.2となるように配合した混合
懸濁液から、既述した条件(膜厚約0.5μm,焼成温
度約830°x60分)で形成(焼成)されている。そ
して、表面層における表面粗さは、タイル表面温度の制
御を通して調整されている。 (2)比較例タイル 比較例タイルは、シリカから形成した表面層を有するタ
イルであり、その表面層は、施釉済みのタイル表面にコ
ロイド状のシリカ(シリカ粒子の平均流径:約0.00
7〜約0.009μm)を塗布して既述した条件(膜厚
約0.5μm,焼成温度約830°x60分)で形成
(焼成)されている。そして、この表面層にあっても、
上記の実施例タイルと同様、タイル表面温度の制御を通
して表面粗さが調整されている。 (3)未処理タイル 光触媒を含有した表面層を有しない施釉済みタイルであ
って、タイル表面(釉の表面)の表面粗さが異なるタイ
ルである。
【0096】試験手法は以下の通りである。試験には、
5wt%のコーボンブラック、67.5wt%のイエロ
ーオーカー、22.5wt%の焼成関東ロームおよび1
wt%のシリカ粉を汚染物質として懸濁させこの汚染物
質を1g/リットルの割合で有する懸濁液を用いた。こ
の懸濁液を、約20度に傾斜させた上記の各タイルのサ
ンプル片の表面に約20cmの高さから1滴/秒の間隔
で5時間に亘って滴下し続けた。そして、5時間滴下後
の色値を測定し、滴下開始前(試験開始前)の色値との
比較値(△E*)で汚れ度合いを評価することとした。
その結果を図4に示す。この試験によれば、滴下された
懸濁液は絶えずタイル表面を流れ落ちることから、タイ
ル表面(表面層表面)への上記の汚染物質の付着の度合
いと水による洗浄性の有無と洗浄の程度を評価できる。
なお、実施例タイルでは、同一の実施例タイルについ
て、上記したランプにより紫外線を約8時間照射した場
合と、暗所下に約48時間保管した場合とで比較値(△
E*)をそれぞれ求めた。
【0097】この図4に示すように、未処理タイルと比
較タイルでは、色値の比較値(△E*)が4程度以上で
あり、汚れ防止効果を得ることはできなかった。その一
方、上記したように紫外線照射により高い親水性を発揮
・維持する各実施例タイルでは、表面粗さに拘わらず色
値の比較値(△E*)がほぼゼロに等しく、高い汚れ防
止効果を得ることができた。この実施例タイルが約48
時間程度の期間に亘って紫外線照射を受けなくなると、
表2,表3でもって説明したように親水性が低下するの
で、比較値(△E*)は増大し汚れ防止効果は低下す
る。しかし、表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で0.
15μm以上の実施例タイルでは、暗所下におかれた場
合であっても、未処理タイルの表面粗さが0.15μm
以上の比較例タイルよりも比較値(△E*)を小さくす
ることができ、未処理タイルや比較例タイルに比べて優
れた汚れ防止効果を得ることができる。これらのことか
ら次のように考察できる。
【0098】比較例タイルは、表面層の表面粗さは0.
15μm以上ではあるものの、この表面層は、シリカか
らなるものであるため、水酸基の生成を通して自らが高
い親水性を発揮することはなく、シリカに元々保持され
ていた水酸基に基づいた低い親水性しか発揮できない。
そして、上記したようにこの比較例タイルでは、色値の
比較値(△E*)が大きく汚れ防止効果を得ることはで
きなっかた。これに対して、実施例タイルでは、紫外線
照射により一旦その親水性が高められ、その高い親水性
がある程度維持されている場合には、具体的には光り照
射後に暗所下におかれた場合には、表面層の表面粗さが
0.15μm以上であれば比較例タイルよりも高い汚れ
防止効果を得ることができた。従って、表面粗さの調整
を通した接触角の低減効果は、その表面の親水性が低い
場合には十分発揮されるものではなく、表面の親水性が
高いことと相俟って得られること考えられる。そして、
図4に示すように、表面層の表面粗さが0.2μm以上
の実施例タイルによれば、表面粗さの調整を通した接触
角の低減効果と表面の高い親水性とが相乗的に働いて、
暗所下におかれた場合でも色値の比較値(△E*)を1
以下とでき、暗所下での高い汚れ防止効果を得ることが
できたと考えられる。
【0099】次に、更に他の実施例について説明する。
この他の実施例ではタイル表面にチタニア等の光触媒と
シリカ等の特定の金属酸化物とを有する親水性付与材か
らなる表面層の形成手順が相違する。この他の実施例で
は、まず、表面層を形成する基材を用意する。この機材
としては、セラミック、樹脂、金属、ガラス、陶器若し
くは木材等でよく、ビルや家屋並びに橋梁、道路遮音壁
等の建築構造物に使用される基材であれば、これら建築
構造物自体の表面で汚れ防止効果を得ることができ好ま
しい。
【0100】次いで、この用意した基材表面にバインダ
層を形成する。このバインダ層は、その軟化温度が基材
の軟化温度よりも低いバインダ材料を選定し、適宜な手
法でこのバインダ材料を用いて形成される。例えば、基
材がタイル、ホーロー又は陶磁器である場合には、表面
に彩色等を行なうための釉薬層や印刷層をバインダ層と
してそのまま利用することができる。バインダ層形成後
には、そのバインダ層の表面に、上記した実施例におけ
る混合ゾルを塗布或は印刷したり、このゾルから溶媒を
除去して得られたチタニア粒子とシリカ粒子との混合粒
子を散布したりして、後に表面層となる親水性付与材層
を形成する。又は、単独で別途制作したバインダ層に親
水性付与材層を形成し、このバインダ層を基材表面に載
置しても良い。これらの場合、親水性付与材層は、後の
焼成の際にバインダ層から離脱しないようにバインダ層
に形成されていればよい。
【0101】その後、バインダ層のバインダ材料の軟化
温度よりも30℃以上300℃以下の範囲で高く、且
つ、基材の軟化温度よりも低い温度環境化で加熱処理す
る。この加熱処理を経ることで、バインダ材料は溶融固
化してタイル表面にはバインダ層が強固に固定されると
共に、親水性付与材層から表面層が形成される。この
際、バインダ層との境界では、表面層における親水性付
与材の粒子(チタニア粒子、シリカ粒子)がバインダ材
料の溶融の過程でバインダ層に沈降し、この粒子はバイ
ンダ層に埋まった状態で保持されバインダ層に強固に固
定される。また、親水性付与材層において隣接する粒子
同士が粒子相互間の分子間力や焼成による焼結によって
結合することで表面層は形成され、この表面層では、そ
の表面においてチタニアとシリカのそれぞれの粒子を露
出させる。このため、表面層を強固にバインダ層に固定
できると共に、チタニアとシリカのそれぞれの粒子を有
効に外気に接触させることできる。従って、上記の他の
実施例における製造方法によれば、高い親水性に基づい
て高い汚れ防止効果を奏することのできる表面層を有す
る建築構造物材料等を容易に製造することができる。
【0102】この場合、加熱温度をバインダ材料の軟化
温度より30℃以上高くしたので、加熱によるバインダ
材料の軟化に不用意に長時間を要せず好ましく、チタニ
アやシリカの粒子の沈降・保持に支障をきたさないので
好ましい。また、加熱温度をバインダの軟化温度より3
00℃を越えて高くしないので、バインダ材料の急激な
溶融を回避して、チタニアやシリカの粒子の過剰の沈降
や凸凹面の発生或はピンホールの発生等の不具合を抑制
でき好ましい。なお、加熱温度は、バインダ材料の軟化
温度よりも50℃以上150℃以下の範囲で高い温度で
あることが好ましい。
【0103】次に、別の実施例について説明する。この
実施例は、光触媒たるチタニアの粒子表面にPt,R
h,Pd,Cu,Ag,Zn等の金属粒子を担持固定さ
せている。その製造に当たっては、チタニアゾルにこれ
ら金属粒子を分散させたゾルを用意し、そのゾルを上記
した各実施例でのチタニアゾルに替わって用い表面層を
形成(焼成)すればよい。このようにすれば、上記の金
属により、チタニア表面での水酸ラジカルの生成が高ま
り、より確実に高い密度で水酸基を保持でき、これをも
って高い親水性を発揮できる。この場合、上記の金属の
塩であってもよい。
【0104】(表1)に戻って、シリカを混合した実施
例タイル1とアルミナを混合した実施例タイル6にあっ
ては、チタニアのみの比較例タイルより格段に接触角が
減少し、比較例タイルに比べて顕著に高い親水性を発揮
できた。そこで次に、チタニアにシリカとアルミナの両
方を混合したものについて評価した。この際の評価試験
に供したタイル、試験手法は以下の通りである。
【0105】(光触媒ならびに金属酸化物のゾル調達) TiO2ゾル:平均粒子径約0.02μm(石原産業製) SiO2ゾル:平均粒子径約0.007〜約0.009μm(日産化
学スノーテックスS) Al2O3ゾル:平均粒子径約0.01〜約0.02μm(日産化
学アルミナゾル520) (親水性付与材の調整)金属酸化物ゾルの混合は上記ゾ
ルを固形分濃度が0.4重量%の濃度となるように予め
希釈し、以下の(表5)に示す比率でチタニアゾル及び
コロイダルシリカゾル(日産化学スノーテックスS)を
混合攪拌し、その後に所定量のアルミナゾルを加え十分
に攪拌した。この時、金属酸化物の沈降は生じなかっ
た。また、アルミナゾルを加えない混合ゾルと、コロイ
ダルシリカゾルを加えない混合ゾルも作成した。 0.4重量%チタニアゾルの使用液重量をa 0.4重量%コロイダルシリカゾルの使用液重量をb 0.4重量%アルミナゾルの使用液重量をc とすると、全混合ゾル中の固形分重量比は0.4重量%
となり、チタニア、シリカ、アルミナの固形分比はa:
b:cとなる。 (親水性発揮タイルの作製)施釉タイル(TOTO A
B06E11)を基材として用意し、このタイル表面に
所定量の上記各チタニア混合ゾルを、その膜厚が約0.
4μmとなるようにスプレー塗布した。これをRHK
(ローラーハースキルン)で最高温度約850℃から約
900℃、焼成時間約60分で焼成した。
【0106】
【表5】
【0107】親水性の評価は水の静止接触角で評価し
た。まず試験タイルを紫外線照度1.2mW/cm2の
BLB蛍光灯(三共電気製、ブラックライトブルー、F
L20BLB)で24時間照射した後、水との接触角を
測定した。その後、72時間遮光保存(暗所保存)し、
水との接触角を測定した。結果を前記(表5)及び図5
及び図6に示す。また、膜強度についてモース硬度を用
いて評価した。結果を前記(表5)及び図7及び図8に
示す。
【0108】ここで、図5はチタニア添加量と光照射下
での水の接触角の関係を示すグラフ、図6はアルミナ添
加量と暗所下での水の接触角の関係を示すグラフ、図7
はアルミナとシリカの添加量と膜強度との関係を示すグ
ラフ、図8はシリカのみを添加した場合の添加量と膜強
度との関係を示すグラフである。尚、図に於けるプロッ
トの数は(表5)の試料の数よりも少ないが、これは1
つのプロットに複数の試料の数値が重なっているためで
ある。
【0109】(表5)及び図5から、紫外線照射下で
は、TiO2/(TiO2+SiO2+Al23)≧0.5の
範囲では水との接触角が10°以下となり十分な親水化
がなされることが分かる。また、(表5)及び図6か
ら、暗所保存下では、TiO2の量が同量ならAl23
添加量が多い程親水性が高い状態で維持されることが分
かる。また、(表5)及び図7、図8から、(SiO2
Al23)/(TiO2+SiO2+Al23)≦0.5の範
囲において、SiO2を添加することにより、また添加量
を多くすることにより硬度が上昇することが分かる。
【0110】以上まとめると、光触媒(TiO2)にSi
2及びAl23を添加することで、光触媒単体よりも光
照射下での親水性が向上し、また暗所下での親水性の維
持力も向上し、更にSiO2及びAl23を添加すること
で、膜硬度と緻密性の向上も確認された。この効果のう
ち、親水性の向上は主としてアルミナの添加によっても
たらされ、膜硬度の向上は主としてシリカの添加によっ
てもたらされると考えられる。
【0111】そして、特に上記の効果が期待できるの
は、 TiO2/(TiO2+SiO2+Al23)≧0.5 (SiO2+Al23)/(TiO2+SiO2+Al23
≦0.5 の条件を満たす場合である。
【0112】更に、上記の試料2及び試料8を用いて、
光触媒による一酸化窒素の浄化試験を行った。用いた装
置は、常温常圧固定床流通型反応装置であり、この装置
の反応器内に試料タイルを約250cm2設置し、ここ
に一酸化窒素(NO)約1ppmを含む空気を空間速度
960h-1で供給し、反応器出口のNOx濃度を、化学
発光式NOx濃度測定装置を用いて測定した。光の照射
のない暗所では、反応器出口のNOx濃度は1ppmの
ままであったが、試料タイルに紫外線を照射すると(三
共電気製、ブラックライトブルー、FL20BLB、波
長が約300nm〜約400nmの範囲における紫外線
強度が約0.4mW/cm2)、反応器出口のNOx濃度
は直ちに減少した。紫外線照射開始から1時間における
供給総NO量と反応器出口から排出された総NOx量か
らNOx浄化率を求めたところ、試料2では16%、試
料8では25.4%であった。このことから、TiO2
Al23及びSiO2の3成分からなる光触媒混合物は高
いNOx浄化能力を持つことが判明した。
【0113】更に上記TiO2、Al23及びSiO2の3
成分からなる光触媒混合物に関し、それぞれの混合割合
について、親水性と膜強度を基準として以下の実験を行
った。
【0114】(光触媒ならびに金属酸化物のゾル調達) TiO2ゾル:日産化学製酸化チタンゾルTA-15(固形分
15%) Al23ゾル:日産化学製アルミナゾル520(固形分5
%) SiO2ゾル:日本合成ゴム製グラスカT2202(シリカ分
22%)
【0115】(コーティング液の調整)上記原料を一定
比で混合した後、エタノールで3倍に希釈し、コーティ
ング液とする。作製したコーティング液の成分比を以下
の(表6)に示す。
【0116】
【表6】
【0117】(コーティング方法)基材はタイルを用
い、スピンコーティング法(基材の中心にコーティング
液を滴下した後、基材を回転させ、遠心力にて均一な厚
さの膜を形成する方法)により、各コーティング液を塗
布した後、150℃で30分間加熱し、硬化せしめた。
【0118】(評価)膜硬度については、鉛筆硬度試験
(JIS K5400塗料一般試験)を実施した。結果
を(表7)に示す。親水性については、作製したサンプ
ルに紫外線(三共電気製、ブラックライトブルー、FL
20BLB、1.2mW/cm2)を照射した。結果を
(表8)に示す。
【0119】
【表7】
【0120】
【表8】
【0121】(表7)より、SiO2/TiO2が0.1以
下のものはバインダ(SiO2ゾル)不足で膜強度が極端
に低下することが分かる。また、(表8)より、SiO2
/TiO2が1/5〜2の範囲において、Al23/TiO
2が1/12〜2であれば、アルミナ添加による親水速
度向上の効果が発現することが分かる。
【0122】また、図9は照射する紫外線量を0.03
mW/cm2と小さくしたときのアルミナ添加系と非添
加系での水接触角の経時変化を示し、この図から、紫外
線量の弱い領域でもアルミナ添加効果が発現されること
が分かる。
【0123】即ち、TiO2、SiO2からなる光触媒塗料
で、SiO2/TiO2が1/5〜2の範囲において、Al2
3をTiO2に対して1/12〜2だけ添加すれば、高
い親水性を発揮することができる。
【0124】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種
々なる態様で実施得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光触媒であるチタニアにより生成された水酸ラ
ジカルがシリカ表面に吸着される様子を模式的に示す説
明図。
【図2】チタニアゾルを塗布して表面層を形成する際の
タイル表面温度と、焼成後のタイル表面層の表面粗さの
と関係を示すグラフ。
【図3】チタニアゾルを塗布して表面層を形成する際の
表面層の平均膜厚と、焼成後のタイル表面層の表面粗さ
のと関係を示すグラフ。
【図4】流下式汚染促進試験法での汚れ試験における色
値の比較値(△E*)と表面粗さとの関係を示すグラ
フ。
【図5】チタニア添加量と光照射下での水の接触角の関
係を示すグラフ。
【図6】アルミナ添加量と暗所下での水の接触角の関係
を示すグラフ。
【図7】アルミナとシリカの添加量と膜強度との関係を
示すグラフ。
【図8】シリカのみを添加した場合の添加量と膜強度と
の関係を示すグラフ。
【図9】照射する紫外線量を0.03mW/cm2と小
さくしたときのアルミナ添加系と非添加系での水接触角
の経時変化を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐伯 義光 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 小林 秀紀 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 蓮生 博人 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 辻道 万也 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に親水性を付与する親水性付与
    材であって、 照射された光のエネルギにより励起電子と正孔を生成し
    て触媒として機能し、触媒表面の水分又は水分と酸素の
    存在下での水酸ラジカルの生成を経て水酸基を生成する
    光触媒と、 該水酸基が化学吸着する性質を有する化合物とを含有
    し、 前記水酸基を前記光触媒および化合物の表面に化学吸着
    して保持し、該保持された水酸基により親水性を付与す
    ることを特徴とする親水性付与材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の親水性付与材であって、 親水性を付与するに当たって、水との接触角に換算して
    約10°以下の親水性を付与する親水性付与材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の親水性付与材であって、 前記光触媒は、TiO2,ZnO,SnO2,SrTiO
    3,WO3,Bi23,Fe23から選ばれた少なくとも
    一つの金属酸化物である親水性付与材。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の親水性付与材であって、 前記化合物は、前記光触媒が有する湿潤熱と同程度以上
    の湿潤熱を有する化合物である親水性付与材。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の親水性付与材であって、 前記化合物は、SiO2,Al23,ZrO2,Ge
    2,ThO2,ZnOから選ばれた少なくとも一つの金
    属酸化物である親水性付与材。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5いずれか記載の
    親水性付与材であって、 前記化合物は、約0.005〜約0.1μmの粒径範囲
    で調整されて含有されている親水性付与材。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の親水性付与材であって、 前記化合物は、その重量をa、前記光触媒の重量をbと
    表した場合、a/(a+b)で規定される固形分比が約
    0.01〜約0.5となるように含有されている親水性
    付与材。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7いずれか記載の
    親水性付与材であって、 前記光触媒は、水酸ラジカルの生成を高める性質を発揮
    できる金属又は金属化合物の粒子を表面に担持固定して
    いる親水性付与材。
  9. 【請求項9】 基材表面に親水性を付与する親水性付与
    材であって、 請求項1ないし請求項8いずれか記載の親水性付与材を
    塗料又は釉薬に混合分散してなる親水性付与材。
  10. 【請求項10】 基材表面に親水性を発揮する表面層を
    有する親水性発揮材であって、 前記表面層として、 請求項1ないし請求項9いずれか記載の親水性付与材か
    らなる表面層を有する親水性発揮材。
  11. 【請求項11】 基材表面に親水性を発揮する表面層を
    有する親水性発揮材であって、 前記表面層は、 請求項1ないし請求項7いずれか記載の親水性付与材が
    バインダを介在させて前記基材表面に形成された表面層
    である親水性発揮材。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の親水性発揮材であっ
    て、前記バインダは、その軟化温度が前記基材の軟化温
    度より低い材料からなるバインダである親水性発揮材。
  13. 【請求項13】 請求項11又は請求項12いずれか記
    載の親水性発揮材であって、 前記バインダは釉薬である親水性発揮材。
  14. 【請求項14】 基材表面に親水性を発揮する表面層を
    有する親水性発揮材であって、 前記表面層は、 照射された光のエネルギにより励起電子と正孔を生成し
    て触媒として機能し、触媒表面の水分又は水分と酸素の
    存在下での水酸ラジカルの生成を経て水酸基を生成する
    光触媒を含有して形成された表面層であり、 表面層表面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で約
    0.15μm以上で約1μm以下とされていることを特
    徴とする親水性発揮材。
  15. 【請求項15】 基材表面に親水性を発揮する表面層を
    有する親水性発揮材であって、 前記表面層として、 請求項1ないし請求項9いずれか記載の親水性付与材か
    らなる表面層を有し、 前記表面層の表面の表面粗さは、中心線平均粗さ(R
    a)で約0.15μm以上で約1μm以下とされている
    ことを特徴とする親水性発揮材。
  16. 【請求項16】 請求項10ないし請求項15いずれか
    記載の親水性発揮材であって、 前記基材は、セラミック、樹脂、金属、ガラス、陶器若
    しくは木材のいずれかの基材である親水性発揮材。
  17. 【請求項17】 請求項10ないし請求項16いずれか
    記載の親水性発揮材であって、 前記表面層は、焼成して形成されている親水性発揮材。
  18. 【請求項18】 基材表面に親水性を発揮する表面層を
    有する親水性発揮材の製造方法であって、 請求項1ないし請求項7いずれか記載の親水性付与材又
    は該親水性付与材が分散されてゾル状とされた親水性付
    与材ゾルを準備とする工程と、 前記親水性付与材又は前記親水性付与材ゾルを前記基材
    表面に層状に配設する配設工程と、 前記親水性付与材又は前記親水性付与材ゾルの層状配設
    物から前記表面層を形成する工程とを有することを特徴
    とする親水性発揮材の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の製造方法であって、 前記配設工程は、 前記親水性付与材又は前記親水性付与材ゾルを前記基材
    表面に層状に配設する際に、前記親水性付与材又は前記
    親水性付与材ゾルを、前記基材表面に層状に載置、塗布
    或いは印刷する工程を有する親水性発揮材の製造方法。
  20. 【請求項20】 基材表面に親水性を発揮する表面層を
    有する親水性発揮材の製造方法であって、 請求項1ないし請求項7いずれか記載の親水性付与材又
    は該親水性付与材が分散されてゾル状とされた親水性付
    与材ゾルを準備する工程と、 前記基材表面にバインダを層状に配設し、バインダ層を
    形成する工程と、 前記親水性付与材又は前記親水性付与材ゾルを前記バイ
    ンダ層表面に層状に配設する配設工程と、 前記バインダの軟化温度よりも30℃以上300℃以下
    の範囲で高く、且つ、前記基材の軟化温度よりも低い温
    度環境下で熱処理し、前記親水性付与材又は前記親水性
    付与材ゾルの層状配設物から前記表面層を形成する工程
    とを有することを特徴とする親水性発揮材の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項18ないし請求項20いずれか
    記載の製造方法であって、 前記表面層を形成する工程は、 約150〜約1300℃の温度環境下で熱処理する工程
    を有する親水性発揮材の製造方法。
  22. 【請求項22】 基材表面に親水性を発揮する表面層を
    有する親水性発揮材の製造方法であって、 照射された光のエネルギにより励起電子と正孔を生成し
    て触媒として機能し、触媒表面の水分又は水分と酸素の
    存在下での水酸ラジカルの生成を経て水酸基を生成する
    光触媒の粒子を準備し、該光触媒粒子が分散した懸濁液
    を準備する工程と、 前記基材表面の加熱と前記基材表面への前記懸濁液のス
    プレー塗布とを、温度調整と塗布量調整とを行いつつ実
    行し、前記光触媒粒子からなる前記表面層を、表面粗さ
    が中心線平均粗さ(Ra)で約0.15μm以上で約1
    μm以下となるように形成する工程とを有することを特
    徴とする親水性発揮材の製造方法。
  23. 【請求項23】 基材表面に親水性を発揮する表面層を
    有する親水性発揮材の製造方法であって、 請求項1ないし請求項7いずれか記載の親水性付与材が
    粒状に分散された懸濁液を準備する工程と、 前記基材表面の加熱と前記基材表面への前記懸濁液のス
    プレー塗布とを、温度調整と塗布量調整とを行いつつ実
    行し、前記親水性付与材粒子からなる前記表面層を、表
    面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で約0.15μm以上
    で約1μm以下となるように形成する工程とを有するこ
    とを特徴とする親水性発揮材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6368668B1 (en) * 1998-07-30 2002-04-09 Toto Ltd. Method and apparatus for producing a photocatalytic material
KR100391062B1 (ko) * 2000-03-17 2003-09-17 가부시기가이샤 이낙스 친수성의 미세다공 오염방지층을 가진 구조체 및 그 구조체를 제조하는 방법
JP2005176716A (ja) * 2003-12-19 2005-07-07 Fuji Photo Film Co Ltd 核酸の分離精製方法

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