JPH10237384A - 金属蒸着用下塗り剤組成物 - Google Patents

金属蒸着用下塗り剤組成物

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JPH10237384A
JPH10237384A JP6212897A JP6212897A JPH10237384A JP H10237384 A JPH10237384 A JP H10237384A JP 6212897 A JP6212897 A JP 6212897A JP 6212897 A JP6212897 A JP 6212897A JP H10237384 A JPH10237384 A JP H10237384A
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政義 藤田
Mitsuo Koseki
光生 古関
Toshiro Shimada
寿郎 島田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術に比べ、高温・高湿下における蒸着
金属との接着性および鏡面性に優れた金属蒸着用下塗り
剤組成物を提供する。 【解決手段】 分子中にカルボキシル基を有するNCO
基末端ウレタンプレポリマーからなる主剤と、分子側鎖
に少なくとも2個のオキサゾリン基を有するビニル系重
合体および水酸基当量が30〜1,000のポリオール
からなる硬化剤とからなる金属蒸着用下塗り剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属蒸着用下塗り剤
組成物に関する。さらに詳しくは、高温・高湿下におけ
る蒸着金属との接着性および鏡面性に優れる金属蒸着用
下塗り剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、柔軟性を有するポリウレタン樹脂
を下塗り剤に用いた場合、一般に金属を蒸着しても蒸着
金属の鏡面性および密着性が悪く、蒸着金属の鏡面性を
良くするためにポリイソシアネート等で架橋させたり、
蒸着金属との密着性を良くするために樹脂成分中に極性
基を導入したりする方法(例えば特開昭59−1572
77号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ものは、高温・高湿下における蒸着金属との接着性およ
び鏡面性が不十分であるという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決する金属蒸着用下塗り剤を得るべく鋭意検討し
た結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、分子中
にカルボキシル基を有するNCO基末端ウレタンプレポ
リマー(A)からなる主剤と、分子側鎖に少なくとも2
個のオキサゾリン基を有するビニル系重合体(B)およ
び水酸基当量が30〜1,000のポリオール(C)か
らなる硬化剤とからなることを特徴とする金属蒸着用下
塗り剤組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明における主剤を構成する、
分子中にカルボキシル基を有するNCO基末端ウレタン
プレポリマー(A)は、過剰当量の有機ポリイソシアネ
ート(a1)と、カルボキシル基含有ポリオール(a
2)、水酸基当量が300〜2,000の高分子ポリオ
ール(a3)および必要により2価以上の低分子活性水
素化合物(a4)とを公知の方法で反応させることによ
り得られる。
【0006】有機ポリイソシアネート(a1)として
は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネー
ト、脂環式ジイソシアネートおよびこれらのジイソシア
ネートの変性体が挙げられる。該芳香族ジイソシアネー
トとしてはトリレンジイソシアネート(TDI)、α,
α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネ
ート(TMXDI)、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(ND
I)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などが挙
げられる。脂肪族ジイソシアネートとしてはヘキサメチ
レンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソ
シアネート(LDI)などが挙げられる。脂環式ジイソ
シアネートとしてはジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネー
ト(CHDI)、水添キシレンジイソシアネート(水添
XDI)、水添トリレンジイソシアネート(水添TD
I)などが挙げられる。上記ジイソシアネートの変性体
としてはイソシアヌレート変性体、ビューレット変性
体、ウレトジオン変性体、カーボジイミド変性体などが
挙げられる。これら(a1)として例示したものは2種
以上を併用することができる。これらのうち好ましいも
のはTDI、MDI、HDI、水添MDIおよびIPD
Iであり、特に好ましいものはMDI、HDIおよび水
添MDIである。
【0007】カルボキシル基含有ポリオール(a2)と
しては、ジメチロールアルカン酸(ジメチロールプロピ
オン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン
酸、ジメチロールヘキサン酸、ジメチロールヘプタン
酸、ジメチロールオクタン酸など);カルボキシル基含
有ポリカプロラクトンポリオールなど;およびこれらの
2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましい
のはジメチロールアルカン酸であり、特に好ましいもの
はジメチロールブタン酸である。
【0008】水酸基当量が300〜2,000の高分子
ポリオール(a3)としては、ポリエーテルポリオー
ル、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオ
ール、ポリラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオ
ールなど;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられ
る。(a3)の水酸基当量が300未満では得られた皮
膜の柔軟性が乏しく、2,000を超えると蒸着金属の
鏡面性が悪くなる。
【0009】2価以上の低分子活性水素化合物(a4)
としては、2〜4価の多価アルコール類(エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトールなど);これらの多価アルコールのアルキレ
ンオキサイド(炭素数2〜4)付加物(分子量400未
満);重合度が2〜8のポリエチレングリコール;多価
フェノール類(ピガロール、カテコール、レゾルシノー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールFなど)のアル
キレンオキサイド(炭素数2〜4)付加物(分子量40
0未満);ジアミン類(イソホロンジアミン、ジシクロ
ヘキシルメタンジアミン、エチレンジアミンなど)な
ど;およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0010】分子中にカルボキシル基を有するNCO基
末端ウレタンプレポリマー(A)を得るための反応温度
は、通常50〜120℃である。該ウレタン化反応に際
しては、公知の触媒(ジブチル錫ジラウリレート、第1
スズオクトエート、トリエチレンジアミン、トリエチル
アミンなど)を添加して反応を促進させることができ
る。該プレポリマー化反応は通常、イソシアネートに対
して不活性な有機溶剤の存在下で行われる。有機溶剤と
しては、たとえば芳香族炭化水素(トルエン、キシレ
ン、トリメチルベンゼンなど);エステル(酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなど);エ−テル(テトラヒドロフラ
ン、イソプロピルエーテルなど);ケトン(メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
など);酸アミド(N,N−ジメチルホルムアミドな
ど)など;およびこれらの2種以上の混合溶剤を挙げる
ことができる。
【0011】該プレポリマー(A)中のカルボキシル基
(−COOH)量は、通常1〜20重量%、好ましくは
2〜15重量%、さらに好ましくは2〜10重量%であ
る。カルボキシル基量が1重量%未満では蒸着金属との
接着性が悪くなり、20重量%を超えると得られた硬化
皮膜の柔軟性が乏しくなる。
【0012】該(A)中の遊離イソシアネート基含量
は、通常0.5〜10重量%、好ましくは0.5〜5重
量%、さらに好ましくは1〜3重量%である。遊離イソ
シアネート基含量が0.5重量%未満では、高温・高湿
下での蒸着金属の鏡面性および接着性が悪くなり、10
重量%を超えると得られた硬化皮膜の柔軟性が乏しくな
る。
【0013】また、該(A)の示差走査熱量測定法(D
SC法)によるガラス転移温度は、通常30〜130
℃、好ましくは40〜120℃である。(A)のガラス
転移温度が30℃未満では蒸着金属の鏡面性が悪くな
り、130℃を超えると蒸着金属との接着性が悪くな
る。
【0014】本発明における硬化剤を構成する、分子側
鎖に少なくとも2個のオキサゾリン基を有するビニル系
重合体(B)は、オキサゾリン基含有重合性単量体(b
1)と必要に応じて1種以上のその他の単量体(b2)
とから構成される。
【0015】該オキサゾリン基含有重合性単量体(b
1)は、下記一般式
【0016】
【化2】
【0017】[式中、R1,R2,R3およびR4はそれぞ
れ独立に水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であ
り、R5はビニル基またはイソプロペニル基である。]
で示される化合物であり、例えば、2−ビニル−2−オ
キサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリ
ン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−
イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニ
ル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニ
ル−5−エチル−2−オキサゾリンおよびこれらの2種
以上の混合物が具体例として挙げられる。これらのうち
好ましいものは2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾ
リン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリンおよ
び2−イソプロペニル−2−オキサゾリンである。
【0018】その他の単量体(b2)としては、オキサ
ゾリン基、イソシアネート基またはカルボキシル基と反
応する官能基を有せず、該(b1)と共重合しうるもの
であれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸
エステル[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート
など];芳香族系重合性単量体(スチレン、ビニルトル
エンなど);ニトリル基を有する重合性単量体[(メ
タ)アクリロニトリル、α−クロロ(メタ)アクリロニ
トリルなど];ハロゲン含有重合性単量体(塩化ビニ
ル、塩化ビニリデンなど);ビニルエステル系重合性単
量体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、
バーサテイク酸ビニルなど);ビニルエーテル系重合性
単量体(ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテ
ル、ビニルイソブチルエーテルなど)など;およびこれ
らの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ま
しいものは(メタ)アクリル酸エステルおよび芳香族系
重合性単量体である。
【0019】該ビニル系重合体(B)中のオキサゾリン
基含有重合性単量体(b1)単位の量は5重量%以上で
あることが好ましい。5重量%未満では、高温・高湿下
での蒸着金属の鏡面性、接着性が悪くなる。
【0020】該ビニル系重合体(B)の製造は、公知の
重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイ
ソバレロニトリルなどのアゾ系重合開始剤;ベンゾイル
パーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウ
リルパーオキサイドなどのパーオキサイド系重合開始剤
など)を使用して、公知の重合方法(塊状重合、溶液重
合、懸濁重合など)により行うことができる。
【0021】また、該(B)のオキサゾリン基当量(オ
キサゾリン基1個当たりの分子量)は、通常100〜
2,000、好ましくは300〜1,000である。
(B)のオキサゾリン基当量が100未満では高温、高
湿下での蒸着金属の鏡面性および接着性が悪くなり、
2,000を超えると、高温・高湿下での蒸着金属の鏡
面性および接着性が悪くなる。
【0022】(B)の数平均分子量は、通常500〜5
00,000、好ましくは1,000〜100,00
0、さらに好ましくは2,000〜50,000であ
る。(B)の数平均分子量が500未満では高温、高湿
下での蒸着金属の鏡面性および接着性が悪くなり、50
0,000を超えると得られた硬化皮膜の透明性が悪く
なる。
【0023】本発明における(A)に対する(B)の量
は、(A)中のカルボキシル基1当量に対して(B)中
のオキサゾリン基の量が、通常0.05〜0.9当量、
好ましくは0.1〜0.8当量の範囲となる量である。
(B)中のオキサゾリン基が0.05当量未満では高温
・高湿下における蒸着金属との接着性および鏡面性が悪
くなり、0.9当量を超えると蒸着金属との接着性が悪
くなる。
【0024】本発明における硬化剤を構成するもう一方
に成分である、水酸基当量が30〜1,000のポリオ
ール(C)としては、アミン類(c1)に炭素数が2〜
4のアルキレンオキサイド(c2)を付加することによ
り得られるアミン系ポリオール;2〜8価の脂肪族多価
アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトールなど);該多価ア
ルコールに炭素数が2〜4のアルキレンオキサイドを付
加して得られるポリオール;重合度が2〜20のポリエ
チレングリコール;ポリエーテルポリオール;二塩基酸
と多価アルコールとの重縮合反応によるポリエステルポ
リオール;ポリラクトンポリオール;ポリカーボネート
ジオール;ポリオレフィンポリオールなど;およびこれ
らの2種以上の混合物が挙げられる。該(C)の水酸基
当量は、通常30〜1,000、好ましくは30〜50
0、さらに好ましくは、30〜300である。(C)の
水酸基当量が30未満では得られた硬化皮膜の柔軟性が
乏しくなり、1,000を超えると蒸着金属の鏡面性が
悪くなる。硬化剤を構成する該ポリオール(C)の少な
くとも一部はアミン系ポリオールであることが好まし
い。
【0025】上記アミン系ポリオールを構成するアミン
類(c1)としては、アンモニア、脂肪族アミン、芳香
族モノアミンもしくはポリアミン、(ポリ)アルキレン
ポリアミンが挙げられる。上記脂肪族アミンとしてはメ
チルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルア
ミン、ペンチルアミンなど;芳香族モノアミンもしくは
ポリアミンとしてはアニリン、o−トルイジン、m−ト
ルイジン、p−トルイジン、トルエンジアミン、o−フ
ェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなど;(ポ
リ)アルキレンポリアミンとしてはアルキレン基の炭素
数が2〜6の(ポリ)アルキレンポリアミン(エチレン
ジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジ
エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ
エチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、プロ
ピレンジアミン、ジプロピレントリアミンなど)が挙げ
られる。これらは2種以上を混合して用いることができ
る。これらのうちで好ましいものは、(ポリ)アルキレ
ンポリアミンのうちの(ポリ)エチレンポリアミンおよ
び(ポリ)プロピレンポリアミンであり、特に好ましい
ものは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミンおよびジプロピレントリアミンで
ある。
【0026】アミン系ポリオールを構成する炭素数が2
〜4のアルキレンオキサイド(c2)としてはエチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−または
2,3−ブチレンオキサイドおよびこれらの2種以上の
混合物が挙げられる。(c1)中の活性水素原子1個当
たりの(c2)の平均付加モル数は、通常0.5〜10
モル、好ましくは1〜5モル、さらに好ましくは1〜2
モルである。(c2)の平均付加モル数が、0.5モル
未満では高温、高湿下における蒸着金属との接着性およ
び鏡面性が悪くなり、10モルを超えると蒸着金属の鏡
面性が悪くなる。該(c2)の(c1)への付加は、通
常の方法で行うことができ、無溶媒または適当な媒体
(キシレン、トルエンなど)の存在下に、無触媒または
アルカリ触媒の存在下で常圧または加圧下に行われる。
【0027】本発明における硬化剤成分に用いられるア
ミン系ポリオールとして特に好ましいものは、エチレン
ジアミンのプロピレンオキサイド4モル付加物およびジ
エチレントリアミンのプロピレンオキサイド5モル付加
物である。
【0028】本発明における(A)に対する(C)の量
は、(A)中の遊離イソシアネート基1当量に対して
(C)中の水酸基が、通常0.4〜1.05当量、好ま
しくは、0.6〜0.99当量の範囲となる量である。
0.4当量未満では高温・高湿下における蒸着金属との
接着性および鏡面性が悪くなり、1.05当量を超える
と高湿下における蒸着金属との接着性および鏡面性が悪
くなる。
【0029】本発明の金属蒸着用下塗り剤組成物をプラ
スチックフィルムまたは紙基材上に塗布後、加熱処理し
て得られた硬化皮膜上に真空下で金属または金属化合物
を蒸着することにより金属蒸着フィルムを製造すること
ができる。
【0030】上記プラスチックフィルムとしては、ポリ
エステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、
ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、AB
S、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニル、ポリメ
タクリル酸メチル等のフィルムが挙げられる。紙として
は、コート紙、アート紙、上質紙、合成紙、和紙、クラ
フト紙、グラシン紙、不織布等が挙げられる。
【0031】蒸着金属層に使用される金属または金属化
合物としては、アルミニウム、金、銀、パラジュウム、
鉄などの金属;沃化銅、酸化インジュウム、酸化スズ、
酸化チタン、酸化カドミウムなどの金属化合物;および
これらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0032】金属蒸着フィルムは、上記プラスチックフ
ィルムまたは紙基材上に、本発明の金属蒸着用下塗り剤
組成物を、固形分重量が通常1〜40g/m2となるよ
うに、グラビアコーティング装置、リバースコーティン
グ装置などを使用して塗布後、100〜160℃×1〜
20分程度の加熱処理を行うことにより得られた硬化皮
膜上に、真空蒸着法またはスパッタリング法等の公知の
方法で上記金属または金属化合物を蒸着することで得る
ことができる。上記コーティング装置を使用して下塗り
剤をコーティングする時の粘度は特に限定されないが、
通常1〜100mPa・s(25℃)程度が好適であ
り、コーティングに適切な粘度に調整するために有機溶
剤(前記ウレタン化反応時に使用できる溶剤として例示
したもの)で希釈してもよい。
【0033】本発明の金属蒸着用下塗り剤組成物には、
蒸着金属との接着性および鏡面性を阻害しない範囲で公
知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料等の各種添
加剤を適宜添加してもよい。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより限定されるものではな
い。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示
す。
【0035】製造例1 攪拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付した
2L容量の4つ口コルベンに、ポリカーボネートジオー
ル「カルボジオールD−2000」(東亞合成株式会社
製、水酸基当量1,000、数平均分子量2,000)
52部、テトラエチレングリコール20部、エチレング
リコール18部、ジメチロールブタン酸30部、ジシク
ロヘキシルメタンジイソシアネート180部、ジブチル
錫ジラウレート0.1部、メチルエチルケトン(ME
K)150部、N,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)150部を仕込み、窒素気流下85℃で10時間反
応させた。次いでメチルエチルケトン400部で希釈し
てNCO基末端ウレタンプレポリマー溶液(A−1、固
形分30%)を得た。このNCO基末端ウレタンプレポ
リマーのガラス転移温度は80℃、数平均分子量は4,
800、カルボキシル基量は3.0%、遊離イソシアネ
ート基含量は1.8%であった。
【0036】製造例2 実施例1と同様の反応容器に、ポリカプロラクトンジオ
ール「PCL−220AL」(ダイセル化学株式会社
製、水酸基当量1,000、数平均分子量2,000)
49部、エチレングリコール2部、テトラエチレングリ
コール30部、ジメチロールブタン酸58部、ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート139部、ヘキサメチ
レンジイソシアネート22部、ジブチル錫ジラウレート
0.1部、MEK150部、DMF150部を仕込み、
窒素気流下85℃で10時間反応させた。さらにMEK
400部で希釈してNCO基末端ウレタンプレポリマー
溶液(A−2、固形分30%)を得た。このNCO基末
端ウレタンプレポリマーのガラス転移温度は75℃、数
平均分子量は5,000、カルボキシル基量は5.9
%、遊離イソシアネート基含量は1.6%であった。
【0037】製造例3 実施例1と同様の反応容器に、ポリプロピレンエーテル
ジオール「サンニックスジオールPP−2000」(三
洋化成工業株式会社製、水酸基当量1,000、数平均
分子量2,000)49部、テトラエチレングリコール
35部、ジメチロールブタン酸56部、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート160部、MEK150部、DMF
150部を仕込み、窒素気流下75℃で5時間反応させ
た。さらにMEK400部で希釈してNCO基末端ウレ
タンプレポリマー溶液(A−3、固形分30%)を得
た。このNCO基末端ウレタンプレポリマーのガラス転
移温度は70℃、数平均分子量は5,100、カルボキ
シル基量は5.7%、遊離イソシアネート基含量は1.
6%であった。
【0038】製造例4 実施例1と同様の反応容器に、製造例1で得た(A−
1)500部にメタノール2部を仕込み、窒素気流下6
0℃で3時間反応させた。さらにMEK5部で希釈して
ポリウレタン樹脂溶液(A−4、固形分30%)を得
た。このポリウレタン樹脂のガラス転移温度は70℃、
数平均分子量は5,160、カルボキシル基量は5.7
%であった。
【0039】実施例1 製造例1で得た(A−1)96.9部に、分子側鎖に少
なくとも2個のオキサゾリン基を有するビニル系重合体
(B)として「エポクロスRS−1205T」(株式会
社日本触媒製、オキサゾリン基当量550、数平均分子
量7,500、固形分50%)を2.2部[(A−1)
のカルボキシル基1当量に対して(B)のオキサゾリン
基が0.1当量に相当]と、水酸基当量が30〜1,0
00のポリオール(C)としてN,N,N’,N”,
N”−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレ
ントリアミン「ニューポールNP−400」(三洋化成
工業株式会社製、水酸基当量80、固形分100%)を
0.9部[(A−1)の遊離イソシアネート基1当量に
対して(C)の水酸基が0.9当量に相当]を加え、下
塗り剤組成物溶液を作成した。この下塗り剤組成物溶液
を厚み25μmのポリエステルフィルムの表面に乾燥硬
化後の重量が10g/m2になるようにコーティング
し、150℃で10分間加熱処理して得られた硬化皮膜
上に真空蒸着法でアルミニウムを蒸着した。このものの
性能評価結果を表1に示す。
【0040】実施例2 製造例2で得た(A−2)87.8部に、分子側鎖に少
なくとも2個のオキサゾリン基を有するビニル系重合体
(B)として「エポクロスRS−1205T」(株式会
社日本触媒製、オキサゾリン基当量550、数平均分子
量7,500、固形分50%)を11.5部[(A−
2)のカルボキシル基1当量に対して(B)のオキサゾ
リン基が0.3当量に相当]と、水酸基当量が30〜
1,000のポリオール(C)としてN,N,N’,
N”,N”−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジ
エチレントリアミン「ニューポールNP−400」(三
洋化成工業株式会社製、水酸基当量80、固形分100
%)を0.7部[(A−2)の遊離イソシアネート基1
当量に対して(C)の水酸基が0.9当量に相当]を加
え、下塗り剤組成物溶液を作成した。この下塗り剤組成
物溶液を厚み25μmのポリエステルフィルムの表面に
乾燥硬化後の重量が10g/m2になるようにコーティ
ングし、150℃で10分間加熱処理して得られた硬化
皮膜上に真空蒸着法でアルミニウムを蒸着した。このも
のの性能評価結果を表1に示す。
【0041】実施例3 製造例3で得た(A−3)88.2部に、分子側鎖に少
なくとも2個のオキサゾリン基を有するビニル系重合体
(B)として「エポクロスRS−1205T」(株式会
社日本触媒製、オキサゾリン基当量550、数平均分子
量7,500、固形分50%)を11.0部[(A−
3)のカルボキシル基1当量に対して(B)のオキサゾ
リン基が0.3当量に相当]、水酸基当量が30〜1,
000のポリオール(C)としてN,N,N’,N’−
テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミ
ン「ニューポールNP−300」(三洋化成工業株式会
社製、水酸基当量75、固形分100%)を0.4部
[(A−3)の遊離イソシアネート基1当量に対して
(C)の水酸基が0.5当量に相当]およびペンタエリ
スリトールのプロピレンオキサイド4.5モル付加物
「サンニックスEP−400」(三洋化成工業株式会社
製、水酸基当量100、固形分100%)を0.4部
[(A−3)の遊離イソシアネート基1当量に対して
(C)の水酸基が0.4当量に相当]を加え、下塗り剤
組成物溶液を作成した。この下塗り剤組成物溶液を厚み
25μmのポリエステルフィルムの表面に乾燥硬化後の
重量が10g/m2になるようにコーティングし、15
0℃で2分間加熱処理して得られた硬化皮膜上に真空蒸
着法でアルミニウムを蒸着した。このものの性能評価結
果を表1に示す。
【0042】比較例1 製造例1で得た(A−1)96.9部に、水酸基当量が
30〜1,000のポリオール(C)としてN,N,
N’,N”,N”−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピ
ル)ジエチレントリアミン「ニューポールNP−40
0」(三洋化成工業株式会社製、水酸基当量80、固形
分100%)を0.9部[(A−1)の遊離イソシアネ
ート基1当量に対して(C)の水酸基が0.9当量に相
当]を加え、下塗り剤組成物溶液を作成した。この下塗
り剤組成物溶液を厚み25μmのポリエステルフィルム
の表面に乾燥硬化後の重量が10g/m2になるように
コーティングし、150℃で10分間加熱処理して得ら
れた硬化皮膜上に真空蒸着法でアルミニウムを蒸着し
た。このものの性能評価結果を表1に示す。
【0043】比較例2 製造例4で得た(A−4)92.0部に、分子側鎖に少
なくとも2個のオキサゾリン基を有するビニル系重合体
(B)として「エポクロスRS−1205T」(株式会
社日本触媒製、オキサゾリン基当量550、数平均分子
量7,500、固形分50%)を8.0部[(A−1)
のカルボキシル基1当量に対して(B)のオキサゾリン
基が0.4当量に相当]を加え、下塗り剤組成物溶液を
作成した。この下塗り剤組成物溶液を厚み25μmのポ
リエステルフィルムの表面に乾燥硬化後の重量が10g
/m2になるようにコーティングし、150℃で10分
間加熱処理して得られた硬化皮膜上に真空蒸着法でアル
ミニウムを蒸着した。このものの性能評価結果を表1に
示す。
【0044】比較例3 製造例3で得た(A−3)78.2部に、分子側鎖に少
なくとも2個のオキサゾリン基を有するビニル系重合体
(B)として「エポクロスRS−1205T」(株式会
社日本触媒製、オキサゾリン基当量550、数平均分子
量7,500、固形分50%)を9.8部[(A−3)
のカルボキシル基1当量に対して(B)のオキサゾリン
基が0.3当量に相当]と、水酸基当量が30〜1,0
00のポリオール(C)としてポリプロピレンエーテル
ジオール「サンニックスPP−3000」(三洋化成工
業株式会社製、水酸基当量1500、固形分100%)
を12.0部[(A−3)の遊離イソシアネート基1当
量に対して(C)の水酸基が0.9当量に相当]を加
え、下塗り剤組成物溶液を作成した。この下塗り剤組成
物溶液を厚み25μmのポリエステルフィルムの表面に
乾燥硬化後の重量が10g/m2になるようにコーティ
ングし、150℃で10分間加熱処理して得られた硬化
皮膜上に真空蒸着法でアルミニウムを蒸着した。このも
のの性能評価結果を表1に示す。
【0045】表1における蒸着皮膜の性能評価項目およ
び評価方法は以下の通りである。 初期鏡面性:蒸着直後の蒸着金属層の鏡面性。目視で評
価を行った。 初期接着性:蒸着直後の蒸着金属層と硬化皮膜層との接
着性。セロテープ剥離法で評価を行った。 耐熱鏡面性:90℃の雰囲気下に240時間置いた後
の、蒸着金属層の鏡面性。目視で評価を行った。 耐熱接着性:90℃の雰囲気下に240時間置いた後
の、蒸着金属層と硬化皮膜層との接着性。セロテープ剥
離法で評価を行った。 耐温水鏡面性:85℃の温水に1時間浸漬後の、蒸着金
属層の鏡面性。目視で評価を行った。 耐温水接着性:85℃の温水に1時間浸漬後の、蒸着金
属層と硬化皮膜層との接着性。セロテープ剥離法で評価
を行った。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明の金属蒸着用下塗り剤組成物は、
主剤中のカルボキシル基と硬化剤中のオキサゾリン基と
の反応および主剤中のNCO基と硬化剤中の水酸基との
反応が同時に行われて硬化するため、従来のものと比較
して高温・高湿下での硬化皮膜の耐久性および平滑性が
優れている。このため該下塗り剤組成物を使用した金属
蒸着フィルムは、従来のものと比較して高温、高湿下で
の蒸着金属の接着性および鏡面性が良好である。上記効
果を奏することから本発明の金属蒸着用下塗り剤を用い
た金属蒸着フィルムは、特に高温、高湿下で使用するよ
うな用途、例えば車輌、建材および家電用のラベルやス
テッカーなどのマーキングフィルム、包装用フィルムお
よび衣料用フィルムなどに好適に使用することができ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にカルボキシル基を有するNCO
    基末端ウレタンプレポリマー(A)からなる主剤と、分
    子側鎖に少なくとも2個のオキサゾリン基を有するビニ
    ル系重合体(B)および水酸基当量が30〜1,000
    のポリオール(C)からなる硬化剤とからなることを特
    徴とする金属蒸着用下塗り剤組成物。
  2. 【請求項2】 (B)が、下記一般式 【化1】 [式中、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ独立に水素
    原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R5はビ
    ニル基またはイソプロペニル基である。]で示されるオ
    キサゾリン基含有重合性単量体(b1)を必須構成単量
    体としてなるビニル系重合体である請求項1記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】 (C)がアミン系ポリオールである請求
    項1または2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 (A)が、有機ポリイソシアネート(a
    1)、カルボキシル基含有ポリオール(a2)、水酸基
    当量が300〜2,000の高分子ポリオール(a3)
    および必要により2価以上の低分子活性水素化合物(a
    4)からのNCO基末端ウレタンプレポリマーであり、
    かつその示差走査熱量測定法(DSC法)によるガラス
    転移温度が30〜130℃である請求項1〜3のいずれ
    か記載の組成物。
  5. 【請求項5】 (A)中のカルボキシル基(−COO
    H)量が1〜20重量%である請求項1〜4のいずれか
    記載の組成物。
  6. 【請求項6】 (B)中のオキサゾリン基の量が、
    (A)中のカルボキシル基1当量に対して0.05〜
    0.9当量となる量である請求項1〜5のいずれか記載
    の組成物。
  7. 【請求項7】 (C)中の水酸基の量が、(A)中の遊
    離イソシアネート基1当量に対して0.4〜1.05当
    量となる量である請求項1〜6のいずれか記載の組成
    物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか記載の金属蒸着
    用下塗り剤組成物をプラスチックフィルムまたは紙基材
    上に塗布、加熱処理して得られる硬化皮膜上に、真空下
    で金属または金属化合物を蒸着してなる金属蒸着フィル
    ム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010001750A1 (ja) * 2008-07-03 2010-01-07 東洋紡績株式会社 光学用易接着性ポリエステルフィルム
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WO2024063024A1 (ja) * 2022-09-20 2024-03-28 株式会社ダイセル 生分解性ポリウレタン樹脂

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