JPH10237267A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH10237267A
JPH10237267A JP35882897A JP35882897A JPH10237267A JP H10237267 A JPH10237267 A JP H10237267A JP 35882897 A JP35882897 A JP 35882897A JP 35882897 A JP35882897 A JP 35882897A JP H10237267 A JPH10237267 A JP H10237267A
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JP
Japan
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weight
copolymer
olefin
silicone oil
composition
Prior art date
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Pending
Application number
JP35882897A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Koyanagi
宏史 小柳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車に用いられるエアバッグカバーにおい
て補強用ナイロン系ネットを入れたウレタン塗装品では
できなかった非塗装のエアバッグカバーに用いられる新
規な熱可塑性エラストマー組成物を提供する。 【解決手段】 スチレン系エラストマーを主成分とし、
共重合体ゴムまたは熱可塑性エラストマー、プロピレン
とα−オレフィンとの共重合体、シリコーンオイルとポ
リオレフィンとのグラフト共重合体よりなる組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などの安全
装置として用いられるエアバッグシステムのエアバッグ
カバーにおいて、エアバッグの展開性、展開時の耐飛散
性に優れ、かつ塗装が必要でない熱可塑性エラストマー
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エアバッグカバーは中に補強用ナ
イロン系ネットを入れたウレタンが使用されており、内
部に折り畳まれて収納されたエアバッグの膨張展開によ
って、補強用ナイロン系ネットのない薄肉部で破裂する
ようになっている。しかし、このようなエアバッグカバ
ーは補強用ナイロン系ネットを使用しない場合では、破
裂時に薄肉の開裂部以外に亀裂が生じる、あるいはカバ
ーが飛散するといった問題が生じ、補強用ナイロン系ネ
ットを使用した場合では、エアバック展開時の開裂性の
問題は解決されるものの、エアバッグカバー成形時、補
強用ネットの位置合わせに時間がかかる、補強用ナイロ
ン系ネットの位置ズレによる不良率が高くなる、あるい
はウレタンRIM成形によるため生産性が低くなるとい
った欠点があった。
【0003】また、補強用ナイロン系ネットをいれない
熱可塑性樹脂によるエアバッグカバーも数多く検討され
たが、これらのものでは硬度が40〜98という自動車
内装部品として人間が不愉快に感じない柔らかさで温度
−40℃〜90℃において確実にエアバッグが展開し、
エアバッグ展開時にエアバッグカバーが開裂部以外に亀
裂を生じたり、破片が絶対飛散しないことは非常に困難
であった。その中でも、一部のポリオレフィン系熱可塑
性樹脂において、成形直後の状態では温度−40℃〜9
0℃において良好な展開性能を有するものの高温老化試
験、あるいは耐候性試験後にポリオレフィン系熱可塑性
樹脂の結晶化度の変化などの相構造の変化に伴う物性の
変化により、これらの高温老化試験、耐候性試験後に温
度−40℃〜90℃におけるエアバッグの展開性、展開
時の耐飛散性が満足できない。このように、成形直後の
みならず高温老化試験、耐候性試験後においてもに優れ
た展開性能を有する硬度40〜98のエアバッグカバー
は開発されていないのが現状である。
【0004】さらに、これらの現在検討されているエア
ーバッグカバーは、そのほとんどが爪、衣服などによる
傷、べたつきなどの不快な触感、太陽光による変色を抑
えるために塗装がなされており、生産性・経済性などの
面から塗装の必要ないエアーバッグカバーが求められて
きた。これまで耐傷つき性の向上、あるいはべたつきの
抑制のために、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級
脂肪酸アミドといった有機滑剤や、低粘度のシリコーン
オイルを添加し、成形品の表面滑り性を大きくすること
で改良する試みがなされている。しかしながら、これら
のものは経時あるいは熱などにより表面への著しく移行
するために、成形品の外観が損なわれたり、耐傷つき性
が低下してしまう問題があった。これまで、この前記の
外観や耐傷つき性を改良する試みがこれまで種々なされ
ている。例えば、熱可塑性エラストマー組成物(特開平
8−319383号公報)などが提案されている。しか
し、耐傷つき性を改良するには不十分なものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題点を解決し、自動車などの安全装置として用いら
れるエアバッグシステムのエアバッグカバーにおいて補
強用ナイロン系ネットを入れたウレタン塗装品ではでき
なかった補強用ナイロン系ネットを必要としないJIS
K6301のスプリング硬さ(硬度)40〜98の非
塗装エアバッグカバーに用いられる新規な熱可塑性エラ
ストマー組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の研
究を進めた結果、a成分の水添ブロック共重合体として
知られるスチレン系エラストマーのうち特に数平均分子
量が70000以上のものを主成分とし、d成分の共重
合体ゴムまたはe成分の熱可塑性エラストマーを添加ア
ロイ化することによって低温側での展開性能を改善し、
c成分のプロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンと
の共重合体を添加アロイ化することによって高温側での
展開性能を改善し、f成分であるグラフト共重合体によ
り耐傷つき性、べたつきを改善するという配合設計思想
で、−40℃〜90℃という広い温度範囲で展開性、展
開時の耐飛散性に優れたエアバッグカバーを得ることが
でき、かつこれらの最適な組み合わせにより、成形直後
のみならず高温老化試験、耐候性試験後も−40℃〜9
0℃という広い温度範囲で展開性、展開時の耐飛散性に
優れた塗装の必要のないエアバッグカバーを得ることを
見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】即ち本発明は、下記に記載の成分a、b、
c、d、fまたは成分a、b、c、e、fを溶融混練し
てペレット化したエアバッグカバーに好適な高温、低温
展開性能に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供す
るものである。 (a)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とす
る末端重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエ
ン化合物を主体とする中間重合体ブロックBとからなる
ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック
共重合体で数平均分子量が70000以上のもの 5〜
50重量% (b)プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの
共重合体のうち熱変形温度が90℃以上のもの 20〜
60重量% (c)パラフィン系オイル 5〜50重量% (d)エチレン−α・オレフィン共重合体ゴム及びまた
はエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴ
ムのうちガラス転移点が−30℃以下のもの 5〜70
重量% (e)動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン共重
合体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体または、
動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン−非共役ジ
エン共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体
からなる熱可塑性エラストマーのうち脆化温度が−50
℃以下のもの 5〜70重量% (f)粘度(JIS Z8803、25℃)が5000
0センチスト−クス(以下cstという)以上であるシ
リコ−ンオイルとポリオレフォンとのグラフト共重合体
組成物全体の重量にしめるシリコーンオイルの量
0.1〜20重量%
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。本発明で用いられる水添ブロック共重合体は、少
なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とする末端重
合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物
を主体とする中間重合体ブロックBとからなるブロック
共重合体を水素添加して得られるものであり、下記一般
式で示される構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジ
エン化合物ブロック共重合体の水素添加されたものであ
る。 A−(B−A)n (1≦n≦5) この水添ブロック共重合体は、水添ブロック共重合体エ
ラストマー組成物を得るために硬度99以下、好適には
90以下のものを使用する必要があるので、ビニル芳香
族化合物を5〜50重量%、好ましくは10〜40重量
%含み、さらにブロック構造について言及すると、ビニ
ル芳香族化合物を主体とする末端重合体Aが、ビニル芳
香族化合物重合体ブロックまたは、ビニル芳香族化合物
を50重量%を越え好ましくは70重量%以上含有する
ビニル芳香族化合物と水素添加された共役ジエン化合物
との共重合体ブロックの構造を有しており、さらに、水
素添加された共役ジエン化合物を主体とする中間重合体
ブロックBが、水素添加された共役ジエン化合物重合体
ブロック、または水素添加された共役ジエン化合物を5
0重量%を越え好ましくは70重量%以上含有する水素
添加された共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との
共重合体ブロックの構造を有するものである。また、ビ
ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック及び水素
添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロッ
クがそれぞれ2個以上ある場合は、各重合体ブロックは
それぞれが同一構造でもよく、異なる構造であっても良
い。
【0009】水添ブロック共重合体を構成するビニル芳
香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のう
ちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレン
が好ましい。また水素添加された共役ジエン化合物を構
成する水添前の共役ジエン化合物としては、例えばブタ
ジエン、イソプレン、2.3−ジメチル−1.3−ブタ
ジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中で
もブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好
ましい。さらに水添ブロック共重合体の分子構造は、直
鎖状、分岐状、放射状或いはこれらの任意の組み合わせ
のいずれであっても良い。また、本発明で用いるa成分
の水添ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は70
000以上、好ましくは90000〜200000の範
囲であり、分子量分布Mw/Mnは10以下(Mw:重
量平均分子量)、好ましくは5以下、さらに好ましくは
2以下である。数平均分子量が70000未満の場合、
十分な耐熱性を付与することができない。分子量分布が
10をこえると強度、耐熱性が低下する。a成分の配合
量としては、5〜50重量%で、好ましくは10〜45
重量%である。a成分の配合量が5重量%未満では、高
温、低温ともに充分な強度、あるいは耐衝撃性を付与す
ることができず、50重量%を越える場合は、流動性が
著しく低下するため成形時後に良好な外観の成形品を得
ることができない。また、a成分の水添ブロック共重合
体は、数平均分子量が大きいため作業性改善のために、
後述のc成分のパラフィン系オイルの油展品を適宜用い
ることができる。
【0010】次に、本発明の成分bとして用いられてい
るプロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの共重
合体、得られる組成物の加工性、耐熱性向上に有効であ
り、例えばプロピレンと他の少量のα−オレフィンのラ
ンダムまたは及びブロック共重合体、具体的にはポリプ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセ
ン共重合体、プロピレンー4ーメチルー1ペンテン共重
合体、及びポリ4ーメチルー1−ペンテン、ポリブテン
−1等があげられ、なかでもエチレン−プロピレンブロ
ック共重合体が好ましく、その中でもエチレン含有量が
2〜30重量%のものが好ましい。さらに高温老化試
験、耐候性試験での物性の変化を抑えるために造核剤が
添加されていることが好ましい。このプロピレンと炭素
数2〜8のα−オレフィンとの共重合体のメルトフロー
レート(ASTM-D-1238L条件、230℃)は0.1〜60g
/10min特に0.5〜50g/10minの範囲の
ものが好適に使用できる。メルトフローレートが0.1
g/10min未満では、成形時の流動性が悪化し、6
0g/10minより大きいと耐熱性が低下するので好
ましくない。また、ここで熱変形温度(JIS K7207 4.6k
gf/cm2)を90℃以上に制限したのは、それ未満の場合
は耐熱性向上に効果がないためである。b成分の配合量
としては、20〜60重量%であり、好ましくは30〜
50重量%である。b成分の配合量が20重量%未満で
は十分な耐熱性を付与することができず、60重量%を
こえるとと、低温での耐衝撃性が著しく低下するために
−40℃でのエアバックカバー展開時に良好な展開性能
を発揮することができない。
【0011】本発明で用いるc成分のパラフィン系オイ
ルは、得られる組成物の硬度を調整し、柔軟性を与える
作用を持つ必須成分である。一般にゴムの軟化、増容、
加工性向上に用いられるプロセスオイルまたはエクステ
ンダーオイルとよばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は芳香族
環、ナフテン環、パラフィン鎖の3者が組わさった混合
物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素数の50%以
上占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素
数が30から45%のものがナフテン系、芳香環炭素数
が30%を越えるものが芳香族系とされる。本発明の成
分cとして用いられるオイルは上記区分でパラフィン系
のものが好ましく、ナフテン系、芳香族系のものは分散
性、溶解性の点で好ましくない。パラフィン系ゴム用軟
化剤の性状は37.8℃における動粘度はが20〜50
0cst、流動点が−10〜−15℃および引火点が1
70〜300℃を示す。c成分のパラフィン系オイルの
配合量は5〜50重量%であり、好ましくは10〜30
重量%である。c成分の配合量が5重量%未満の配合で
は、得られる組成物が樹脂組成物に近くなるため、硬度
が増し、柔軟性を失う他に経済的観点からも好ましくな
い。c成分の配合量が50重量%をこえた配合のもの
は、軟化剤のブリードアウトを生じやすく最終製品に粘
着性を生じる恐れがあり、機械的性質を低下させるため
好ましくない。
【0012】更に、本発明のd成分として用いられる共
重合体ゴムは、−40℃でのエアバッグ展開性を改善す
るための必須成分である。エチレン−α・オレフィン共
重合体ゴム及びまたはエチレン−α・オレフィン−非共
役ジエン共重合体ゴムにおけるα・オレフィンは炭素数
3〜15のものが適する。非共役ジエンとしてはジシク
ロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノ
ルボルネン、及びメチレンノルボルネン等が使用でき
る。本発明においては入手の容易さ、耐衝撃性改良の観
点からα・オレフィンとしてはポリプロピレンが適す
る。従って、d成分としてはいわゆるEPR、EPDM
が好適となる。共重合ゴムのエチレン/α・オレフィン
比は重量比で50/50〜90/10、さらに好ましく
は、60/40〜80/20が適する。ここで、ガラス
転移点を−30℃以下に規定したのは、−30℃をこえ
るガラス転移点を持つものは−40℃でのエアバッグ展
開性を改善できない為である。d成分の配合量は5〜7
0重量%の範囲で選ぶことができ、好ましくは10〜6
5重量%である。d成分が5重量%未満では共重合体ゴ
ムを添加する効果としての−40℃でのエアバッグ展開
性の改善が認められず好ましくない。d成分が70重量
%をこえると得られるエラストマー状組成物の高温での
強度を保持できず、90℃でのエアバッグ展開性が好ま
しくないばかりか、高温時の耐熱保形性が著しく悪化し
成形物としての使用に耐えない。
【0013】本発明のe成分として用いられる熱可塑性
エラストマーは−40℃でのエアバッグ展開性を改善す
るための成分であり、共重合体ゴムにおけるα・オレフ
ィンは炭素数3〜15のものが適する。非共役ジエンと
してはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、
エチリデンノルボルネン、及びメチレンノルボルネン等
が使用できる。本発明においては入手の容易さ、耐衝撃
性改良の観点からα・オレフィンとしてはポリプロピレ
ンが適する。従って、e成分中のエチレン−α・オレフ
ィン−非共役ジエン共重合体ゴムとしてはいわゆるEP
DMが好適となる。共重合ゴムのエチレン/α・オレフ
ィン比は重量比で50/50〜90/10、さらに好適
には60/40〜80/20が適する。加硫剤としては
通常のゴム用の加硫剤を用いる事ができ、とくに硫黄の
他にアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ジク
ミルペルオキシドのような有機過酸化物が特に好適に用
いられる。加硫剤の他に加硫助剤、酸化防止剤等を併用
しても良い。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹
脂の添加量は共重合体ゴム100重量部に対して、0.
5部〜15重量部の範囲が強度と加工性のバランスの点
で好ましい。有機過酸化物の場合、共重合体ゴム100
重量部に対して0.05重量部〜1重量部の範囲が強度
と加工性のバランスの点で好ましい。共重合体ゴム10
0重量部に対して、ポリオレフィン系樹脂を5重量部以
上含むことが加工性を保つために不可欠である。共重合
体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体を動的に溶
融混練させながら、加硫剤を加えて加硫させて本成分e
を得る事ができる。ここで熱可塑性エラストマーの脆化
温度を−50℃以下に規定したのは、それ以上の脆化温
度を持つものは−40℃でのエアバッグ展開性を改善で
きない為である。e成分の配合量は5〜70重量%の範
囲で選ぶことができ、好ましくは10〜65重量%の範
囲である。e成分が5重量%未満の配合では共重合体ゴ
ムを添加する効果としての−40℃でのエアバッグ展開
性の改善が認められず好ましくない。e成分が70重量
%をこえると得られるエラストマー状組成物の高温での
強度が保持できず、90℃でのエアバッグ展開性が好ま
しくないばかりか、高温時の耐熱保形性が著しく悪化し
成形物としての使用に耐えない。
【0014】本発明で用いられるf成分であるシリコ−
ンオイルとポリオレフォンとのグラフト共重合体は、耐
傷つき性を付与し、エラストマー特有のべたつきを防ぐ
成分である。この共重合体の成分であるシリコーンオイ
ルの分子構造におけるシロキサン主鎖の結合する置換基
の種類については特に限定するものではないが、その中
でもジメチルシリコーンオイル、、メチルフェニルシリ
コーンオイル、あるいはアルキル変性シリコーンオイル
が好適に用いられる。このf成分であるシリコーンオイ
ルの粘度は50000cst以上、好ましくは1000
00以上である。シリコーンオイルの粘度が50000
cst未満では初期の耐傷つき性、べたつきが改良され
るものの経時、あるいは熱による成形品表面の移行が著
しくなり好ましくない。また、ポリオレフィン樹脂の種
類については特に限定するものではないが、一般的なポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレンとαーオレフィ
ンの共重合体、α−オレフィンとしてはC3〜C12の
例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、オクテ
ン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン
−1、4,4−ジメチルペンテン−1、ノネン−1、デ
セン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等である。或
いは、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EE
A)、エチレンーメチルメタクリレート共重合体(EM
MA)、エチレンービニルアセテート共重合体(EV
A)、塩素化ポリエチレン(CPE)及びこれらの混合
物を挙げることができる。なかでもポリプロピレンが好
ましい。共重合体のシリコーンオイル/ポリオレフィン
比は重量比で5/95〜90/10、好ましくは20/
80〜60/40である。シリコーンオイルの重量比が
5未満になると耐傷つき性が低下し、90を越えると経
時によるシリコーンオイルの表面への移行が多くなる。
f成分の配合量としては組成物全体に対してシリコーン
オイルの含有量で0.1〜20重量%、好ましくは0.
2〜10重量%である。f成分の配合量がシリコーンオ
イルの含有量で0.1重量%未満では耐傷つき性、べた
つきを十分に改良することができず、20重量%をこえ
ると得られる組成物の機械的強度を低下させ、さらに経
済的な面からも好ましくない。
【0015】上記の(a)〜(f)成分のほかに、本発
明の組成物はさらに必要に応じて、無機充鎮剤、ポリス
チレン樹脂のような安価な樹脂を配合することも可能で
ある。これらは、増量剤として製品コストの低下をはか
ることの利益があるばかりでなく、品質改良(無機充填
剤:耐熱保形、難燃性付与等 ポリスチレン樹脂:加工
性向上等)に積極的効果を付与する利点もある。無機充
鎮剤としては、例えば炭酸カルシウム、カーボンブラッ
ク、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウ
ム、天然ケイ酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、酸
化チタン等があり、カーボンブラックとしてはチャンネ
ルブラック、ファーネスブラック等が使用できる。これ
らの無機充填剤のうちタルク、炭酸カルシウムは経済的
にも有利で好ましいものである。また、この目的で使用
できるポリスチレン樹脂は、ラジカル重合法、イオン性
重合法で得られるものが好適に使用でき、その数平均分
子量は5000〜500000、好ましくは10000
〜200000の範囲から選択でき、分子量分布Mw/
Mnは5以下のものが好ましい。さらに必要に応じて造
核剤、外滑剤、内滑剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミ
ン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、着
色剤等を添加しても良い。
【0016】本発明の組成物を製造する方法としては、
通常の樹脂組成物、ゴム組成物の製造に用いられる一般
的な方法を採用できる。基本的には機械的溶融混練方法
であり、これらには単軸押出機、二軸押出機、バンバリ
ーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、ロール等が
用いられる。この際、各成分の添加順序には制限がな
く、例えば、全成分をヘンシェルミキサー、ブレンダー
等の混合機で予備混合し上記の混練機で溶融混練した
り、任意の成分を予備混合しマスターバッチ的に溶融混
練し、さらに残りの成分を添加し溶融混練する等の添加
方法を採用できる。また、この際溶融混練する温度は1
80℃〜300℃の中から好適に選ぶことができる。こ
こで得られた水添ブロック共重合体組成物はさらにエア
バッグカバーの金型を備えた射出成形機に供給し短時間
で射出成形しエアバッグカバーを得ることができる。ま
た、射出成形品の不要なバリ、ランナー部、およびスプ
ール部は本発明の組成物が熱可塑性であるため、リサイ
クル成形が可能であり、再度エアバッグカバーの素材と
して利用出来る長所を持つ。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明は、これら実施例に限定されるもので
はない。以下に示す実施例及び比較例において配合した
各成分は以下の通りである。 <成分a−1>クラレ製セプトン4055:ポリスチレ
ン−水素添加されたポリイソプレン−ポリスチレンの構
造を有し、結合スチレン量30重量%、数平均分子量が
約170000。 <成分a−2>旭化成工業製タフテックH1272:ポ
リスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチ
レンの構造を有し、結合スチレン量35重量%、数平均
分子量が約120000(パラフィン系オイル(出光興
産製ダイアナプロセスオイルPW−380[パラフィン
系プロセスオイル、動粘度:381.6cst(40
℃)、30.1(100℃)、平均分子量746、環分
析値:CA=0%、CN=27%、CP=73%])35
重量%油展品、)。 <成分a−3>クラレ製セプトン2007:ポリスチレ
ン−水素添加されたポリイソプレン−ポリスチレンの構
造を有し、結合スチレン量30重量%、数平均分子量が
約40000。 <成分b−1>旭化成工業製エチレン−プロピレンブロ
ック共重合体:旭ポリプロM7646:メルトフローレ
ート15dg/min(ASTM D1238)、熱変
形温度120℃(ASTM D648(4.6kgf/c
m2))。 <成分b−2>旭化成工業製ポリプロピレン:旭ポリプ
ロM1700:メルトフローレート31dg/min
(ASTM D1238)、熱変形温度119℃(AS
TM D648(4.6kgf/cm2)。
【0018】<成分c>出光興産製ダイアナプロセスオ
イルPW−380[パラフィン系プロセスオイル、動粘
度:381.6cst(40℃)、30.1(100
℃)、平均分子量746、環分析値:CA=0%、CN=
27%、CP=73%]。 <成分d>日本合成ゴム製エチレンープロピレン共重合
体ゴムEP07P[プロピレン含量:25重量% MF
R(230℃)=0.7g/10分 Tg:−38
℃]。 <成分e>住友化学製住友TPE3570[加硫剤:有
機過酸化物 脆化温度:−60℃>]。 <成分f>東レ・ダウコーニング・シリコーン製グラフ
トシリコ−ンコンセントレート BY27−201:ポ
リプロピレン含有率60重量%、シリコーンオイル含有
量40重量%[シリコ−ンオイル、粘度100000c
st(25℃)比重0.977(25℃)屈折率1.4
03(25℃)流動点−50℃以下]。
【0019】実施例1〜12及び比較例1〜10は表に
示した配合割合のものを十分ドライブレンドした後、二
軸混練機を用いて樹脂温180〜270℃になるような
条件で溶融混練し押し出しペレタイズ化した。このペレ
ットを使用して以下の評価を行った。 (1) 硬度(JIS K6301):このペレットよりプ
レスシートを作成し測定した。 (2) 外観:このペレットより射出成形機で、エアバッグ
カバーの開裂部の厚み0.5mm、エアバッグカバーの
開裂部以外の厚み2〜5mmのエアバッグカバーの成形
品を作製し、目視にてフローマーク、艶等の外観を成形
直後、及び温度110℃、400時間の高温老化試験後
で観察し、良好なものを○、若干不良なものを△、不良
なものを×とした。 (3) 耐熱保形性:このエアバッグカバー成形品を温度1
10℃の環境で耐熱保形性試験を行った。24時間後保
形性が良好でへたり等を生じていないものを○、へたり
等を生じたものを×とした。
【0020】(4) 展開試験:(4)-1.常態:このエアバッ
グカバー成形品を環境温度90℃、23℃及び−40℃
でエアバッグ展開試験を行った。エアバッグカバーの開
裂部より良好に展開したものを○、エアバッグカバーの
開裂部以外に亀裂を生じたり、カバーが飛散したもの、
エアバッグが良好に展開しなかったものを×とした。 (4)-2.高温老化試験後:このエアバッグカバー成形品を
温度110℃の環境で高温老化試験を行った。400時
間の高温老化試験後、環境温度90℃、23℃及び−4
0℃でエアバッグ展開試験を行った。エアバッグカバー
の開裂部より良好に展開したものを○、エアバッグカバ
ーの開裂部以外に亀裂を生じたり、カバーが飛散したも
の、エアバッグが良好に展開しなかったものを×とし
た。 (5)耐傷つき性試験:このエアーバッグカバー成形品
の上面を垂直荷重が100gf、成形品表面との接触面
積が約1平方センチメートとなるカナキン3号布によ
り、往復距離100ミリメートルを毎秒100ミリメー
トルで10回往復させた。試験後の成形品表面を目視に
より観察し、傷がほとんど目立たないものを○、若干目
立つものを△、不良を×とした。
【0021】その結果を実施例として表1に示し、比較
例としては表2に示した。尚、表中の成分a−2の数値
は成分a−2中の油展オイル成分を除いた重量%であ
る。成分a−2を使用している場合、表中の成分cの数
値は成分a−2中の油展オイル成分の重量%を成分cの
重量%に加えた部数である。この結果から、本発明で得
られた組成物を成形したエアバッグカバーは、硬度40
〜98であり、しかも−40℃〜90℃のエアバッグ展
開性に優れていることがわかる。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】本発明の組成物により成形したエアバッ
グカバーは−40℃〜90℃間におけるエアバッグ展開
時に開裂部以外に亀裂が生じたりカバーが飛散すること
なしに良好なエアバッグの展開が得られる。また、耐高
温老化性、耐候性等の長期信頼性にも優れている。しか
も従来のウレタンと補強用ナイロンネットに較べ、良好
な成形加工性がある、良好な生産性がある、色合わせが
簡単である、コストが安価である等利用価値は非常に大
きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 91/08 C08L 91/08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも2個のビニル芳香族化
    合物を主体とする末端重合体ブロックAと、少なくとも
    1個の共役ジエン化合物を主体とする中間重合体ブロッ
    クBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られ
    る水添ブロック共重合体で数平均分子量が70000以
    上のもの 5〜50重量% (b)プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの
    共重合体のうち熱変形温度が90℃以上のもの 20〜
    60重量% (c)パラフィン系オイル 5〜50重量% (d)エチレン−α・オレフィン共重合体ゴム及びまた
    はエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴ
    ムのうちガラス転移点が−30℃以下のもの 5〜70
    重量% (f)粘度(JIS Z8803、25℃)が5000
    0センチスト−クス以上であるシリコ−ンオイルとポリ
    オレフォンとのグラフト共重合体で、組成物全体の重量
    に占めるシリコーンオイルの量 0.1〜20重量%よ
    りなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 (a)少なくとも2個のビニル芳香族化
    合物を主体とする末端重合体ブロックAと、少なくとも
    1個の共役ジエン化合物を主体とする中間重合体ブロッ
    クBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られ
    る水添ブロック共重合体で数平均分子量が70000以
    上のもの 5〜50重量% (b)プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの
    共重合体のうち熱変形温度が90℃以上のもの 20〜
    60重量% (c)パラフィン系オイル 5〜50重量% (e)動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン共重
    合体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体または、
    動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン−非共役ジ
    エン共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体
    からなる熱可塑性エラストマーのうち脆化温度が−50
    ℃以下のもの 5〜70重量% (f)粘度(JIS Z8803、25℃)が5000
    0センチスト−クス以上であるシリコ−ンオイルとポリ
    オレフォンとのグラフト共重合体で、組成物全体の重量
    に占めるシリコーンオイルの量 0.1〜20重量%よ
    りなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 (f)のシリコ−ンオイルとポリオレフ
    ォンとのグラフト共重合体に占めるシリコーンオイルの
    含有量が5〜90重量%である請求項1または2記載の
    熱可塑性エラストマー組成物。
JP35882897A 1996-12-26 1997-12-26 熱可塑性エラストマー組成物 Pending JPH10237267A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7196137B2 (en) 2002-02-08 2007-03-27 Teknor Apex Company Polymer compositions

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