JPH10233334A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH10233334A
JPH10233334A JP3576897A JP3576897A JPH10233334A JP H10233334 A JPH10233334 A JP H10233334A JP 3576897 A JP3576897 A JP 3576897A JP 3576897 A JP3576897 A JP 3576897A JP H10233334 A JPH10233334 A JP H10233334A
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magnetic
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JP3576897A
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Toshiharu Suzuki
俊治 鈴木
Tomohisa Suzuki
友久 鈴木
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Minebea Co Ltd
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Minebea Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録層とヨーク層とを一体の層により構
成することができ、かつ磁気効率の向上を図った磁気記
録媒体の製造方法を提供しようとすること。 【解決手段】 初期に窒素及び/又は炭素を含有するガ
ス雰囲気中で希土類金属と鉄の合金を成膜することによ
り、下層側を軟磁性層に形成し、引き続き膜上層の窒素
及び/又は炭素濃度を膜下層より小さくして、希土類金
属と鉄の合金を成膜することにより、該下層の上層にこ
れと一体不可分に硬磁性層を形成し、それらの接する部
分で、いずれか一方の層に向かって他方の層の組成が漸
減する構成により両者の境界部分5が形成され、下層を
ヨーク層3とし上層を磁気記録層4として形成する磁気
記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータの外
部記憶装置である磁気記録装置に使用される磁気記録媒
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの外部記憶装置には、従来
から磁気記録媒体が使用されている。該記録媒体はその
トラックに対して水平方向に磁化してデータを記録する
長手記録方式が広く用いられているが、この方式の磁化
反転領域では隣り合う磁化同士が反発しあうため、高い
記録密度を達成させることはできない。
【0003】近年、コンピュータの外部記憶装置はアク
セス速度を高速化し、更に記憶容量を急激に大きくする
試みがなされており、この試みを可能にするため、垂直
磁気記録方式が提唱されている。この方式は、磁性膜面
に垂直方向に異方性を有する垂直記録層を設けたもので
ある。また、この方式において記録再生効率や信号対ノ
イズ比を高めるために、垂直記録層の下層に面内異方性
を有する磁性膜を形成した二層膜構造の媒体も提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、磁気記
録媒体の基板上に、下層となる、面内異方性を有するパ
ーマロイ等の磁性層を被着形成し、その上に、媒体面に
対して垂直方向に異方性を有するCoーCr系の硬磁性
層を形成し、磁気記録層を形成する垂直磁気記録媒体の
場合、硬磁性層が下層の結晶性や磁性の影響を受け記録
媒体の基板面に対して垂直異方性をもちにくいために、
スパッタリング諸条件を厳しく管理して成膜をしてい
る。或いは、このような下層の影響を除くために上層と
下層の界面に薄いバッファ層を設けることが行われてい
るが、工程数が増えるだけでなく磁気的な効率を著しく
下げることになり、記録再生効率や信号対ノイズ比の低
下や記録磁化状態の安定性を損なう要因となっている。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目
的は、磁気記録媒体の基板上に、該基板面と同方向に磁
束を通過させるヨーク層と、該ヨーク層の上面に形成さ
れ該基板に対して垂直方向に異方性を有する磁気記録層
とを具備する磁気記録媒体において、磁気記録層とヨー
ク層とを一体の層により構成することができ、かつ磁気
効率の向上を図った磁気記録媒体の製造方法を提供しよ
うとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、本発明は、磁気記録媒体の基板上に軟磁性
層からなるヨーク層と、該ヨーク層の上面に形成される
磁気記録層とを具備する磁気記録媒体の製造方法におい
て、初期に不活性ガス及び窒素、炭素、ボロンの内少な
くとも1つの元素を含むガス雰囲気中で希土類金属と鉄
の合金を基板上にスパッタリングして希土類金属と鉄と
の合金中に上記元素を含有せしめた合金膜を成膜し、引
き続き窒素、炭素、ボロンの内少なくとも1つの元素を
含むガスの供給を止めて合金膜を成膜することにより、
下層側を軟磁性層に形成し、該下層の上層にこれと一体
不可分に硬磁性層を形成し、それらの接する部分で、い
ずれか一方の層に向かって他方の層の組成が漸減する構
成により両者の境界部分が形成され、下層をヨーク層と
し上層を磁気記録層として形成してなることを特徴とす
る磁気記録媒体の製造方法と、磁気記録媒体の基板上に
軟磁性層からなるヨーク層と、該ヨーク層の上面に形成
される磁気記録層とを具備する磁気記録媒体の製造方法
において、初期に不活性ガス及び窒素、炭素、ボロンの
内少なくとも1つの元素を含むガス雰囲気中で希土類金
属と鉄の合金を基板上にスパッタリングして希土類金属
と鉄との合金中に上記元素を含有せしめた合金膜を成膜
し、引き続き窒素、炭素、ボロンの内少なくとも1つの
元素を含むガスの供給量を低減せしめて合金膜を成膜す
ることにより、下層側を軟磁性層に形成し、該下層の上
層にこれと一体不可分に硬磁性層を形成し、それらの接
する部分で、いずれか一方の層に向かって他方の層の組
成が漸減する構成により両者の境界部分が形成され、下
層をヨーク層とし上層を磁気記録層として形成してなる
ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【0006】上記窒素元素を含むガスは窒素ガスまたは
アンモニアガスを用いることによって得ることを特徴と
し、上記炭素元素を含むガスは炭化水素ガスを用いるこ
とによって得ることを特徴とする。
【0007】また、上記磁気記録媒体を構成する希土類
金属は、希土類元素3ー15at%、炭素、窒素、ボロ
ンのうちの少なくとも1種類の元素0.05−25at
%および残り鉄から構成することを特徴とする。
【0008】さらに上記磁気記録層の厚みを、磁気記録
層、境界部分およびヨーク層全体の厚みのほぼ2〜50
%に形成することを特徴とし、上記磁気記録層内に含有
せしめる炭素、窒素、ボロンのうちの少なくとも1種類
の元素は2at%未満とすることを特徴とする。
【0009】また、上記基板上に希土類金属と鉄の合金
膜を形成する際、Co,Ni,Al,Si,Ti,V,
Cr,Mn,Zr,Nb,Mo,Ga,Sn,Hf,T
a,Wの内のいずれか一種以上を、0.02−20at
%含めることを特徴とし、上記基板上に希土類金属と鉄
の合金膜を形成する際、この合金膜にTh2 Zn17、T
2 Ni17、 TbCu7 、 ThMn12、 R3 ( Fe、
M)29型の、いずれか1つの結晶構造を保持せしめるこ
とを特徴とする。
【0010】この他、上記磁気記録層を形成した後、こ
の上面に保護膜を被着するとよい。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明の一実施形態を詳細に
説明する。図1は、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法を用いて形成した磁気記録媒体の部分断面図である。
図1において、1はガラスやアルミニウム等からなる基
板である。該基板1の上面には、磁気媒体層2が形成さ
れている。該磁気媒体層2は基板上に被着されたヨーク
層3と表面の磁気記録層4とその間に形成されている境
界部分5とから形成される。
【0012】基板1は、機械的強度が高く、温度変化に
より膨張収縮が小さいSiO2 系のガラスを用いるとよ
い。ヨーク層3は、軟磁性体からなるか、あるいは基板
1の平面方向に軸が揃い、いずれも該基板1の平面と同
方向に磁束を通過させることができるように構成されて
いる。磁気記録層4は、基板1の平面に対して垂直方向
の異方性を持ち、且つ優れた硬磁気特性を示す磁気記録
層である。境界部分5は明確にヨーク層3と磁気記録層
4とが、明確な境界面で隔離されているわけではなく、
双方が入り交った状態となっており、それらの境界部分
5において、いずれか一方の層に向かって他方の層の組
成が漸減する構成により両者の境界部分5が形成されて
いるが、その詳細については後に詳細に説明する。
【0013】基板1は上述のようにガラスにより構成す
ることもできるが、図2に示すように、基板6をアルミ
ニウムにより構成することもできる。この場合、基板6
と磁気記録層2との間に非磁性の金属からなる下地膜7
を形成し、基板表面の欠陥を補修すると同時に磁気記録
層2と基板6間に生じる物理的ひずみを吸収させるよう
に構成するとよい。
【0014】本発明の製造方法により得られる磁気記録
媒体の、単一磁性膜内の上層部と下層部に異なる磁気的
性質を付与する原理は次のようである。例えば、スパッ
タリングによって基板上に正方晶の(001)面が堆積
したSmFe11Ti合金膜を形成する際に、成膜初期に
おいて窒素或いは炭素原子を膜内に侵入させることによ
り、この膜は結晶磁気異方性が著しく低下し面内に小さ
な異方性をもつ軟磁性膜となる。そして、成膜後期には
膜上層部に窒素或いは炭素原子を実質的に含まなくする
ことにより、上層の膜は基板面と垂直方向に大きな結晶
磁気異方性を持ち、硬磁気特性を示す磁気記録層が得ら
れる。従って、膜内の窒素又は炭素の組成比を変えるこ
とにより、異方性と硬軟両磁性を制御した磁性膜の製作
が可能となる。
【0015】本発明の製造方法については、例えばガラ
ス基板上に直接或いは非磁性の下地膜を設けたアルミ基
板上に、スパッタリングによって希土類金属と鉄の合金
膜を形成する。この際、成膜初期においては窒素ガスや
アンモニアガス、或いは侵入速度を制御するために水素
ガスを併用して窒素を侵入させる、或いはアセチレンや
メタンガス等の炭化水素ガスを用いて炭素を侵入させ、
成膜後期においてアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中
で成膜する。
【0016】窒素又は炭素を侵入させる合金膜下層の厚
さは、磁気記録層としての役割と磁束を効率よく通すた
めの軟磁性下層の役割を勘案して決まる。一般にハード
ディスク用媒体では、磁気記録層は薄く数十nm〜数百
nmの範囲にあり、軟磁性下層の厚さはその数倍〜十数
倍になる。本発明においても、窒素又は炭素を侵入させ
る軟磁性下層の厚さをその程度とするのがよい。その理
由は、軟磁性層の厚さが不要なほど厚すぎると成膜上の
負担となり、また薄すぎると、記録層から発生する磁束
が軟磁性層を全て通ることが出来ずに、外部空間に漏れ
てしまい磁気効率の低下を招く。なお、合金膜の上層か
ら下層にかけての窒素或いは炭素濃度が必ずしも断続し
てなく、傾斜していても記録情報の再生には差し支えな
い。
【0017】本発明による合金膜の成分組成について
は、Sm,Nd,Ce,Pr等ランタナイド族の希土類
元素の単独又は複合と、鉄を必須元素として含む。希土
類元素は3−15at%であり、窒素及び炭素は2−2
5at%,残りが鉄で構成される。希土類元素が3%a
t未満では、保磁力が小さく記録層に必要な保磁力が得
られない。15at%を越えると飽和磁化の低下が著し
くなり、また希土類含有率の多い不純物層が生成して膜
の耐酸化性が損なわれる。窒素及び炭素は少量の侵入に
よって磁性を変化する働きがあるが、2at%未満では
膜の極一部下層のみが軟磁性層となり磁気効率上必要な
厚さが不足する。25at%を越えると逆に、磁気記録
層の相対的厚さが減少する、或いは侵入量が過剰となっ
て結晶組織が壊れて磁気特性が損なわれる。
【0018】さらに希土類元素と鉄以外に、強磁性のC
o,Ni或いはAl,Si,Ti,V,Cr,Mn,Z
r,Nb,Mo,Ga,Sn,Hf,Ta,Wの内の1
種類上の添加により、合金結晶構造の安定化や磁気特性
の調整が行われる。但し、これら元素の総添加量が0.
05at%未満では磁気特性の調整効果がほとんど見ら
れず、一方20at%を越えると合金本来の結晶構造が
維持できなくなって所望の磁気特性が得られなくなる。
また、本発明合金膜は、Th2 Zn17、 Th2Ni17
TbCu7 、 ThMn12、 R3 ( Fe、M)29型のいず
れかの結晶構造をもつことにより、いずれの合金におい
ても窒素や炭素の侵入によって所望の磁気的性質を得る
ことができる。
【0019】本発明における合金膜の構成については、
例えば窒素又は炭素を侵入させたSmFe11Ti合金を
その結晶のC面が膜面内にあるように形成することによ
り、下層膜の磁気異方性が小さく且つ膜面に並行にな
り、その結果下層膜は軟磁性を有する。さらに、その上
層に窒素又は炭素を含まないSmFe11Ti合金を形成
することにより、膜面に凡そ垂直に強い磁気異方性が現
れ、その結果として上層膜は磁気記録層として必要な硬
磁性を示す。
【0020】なお、 上記希土類鉄系合金膜は一般に活性
であるために、実用においては基板上に形成された希土
類金属と鉄の合金膜上に、酸化を防止する為の酸化珪素
やカーボン、或いは高分子等の保護膜を形成する事は有
効である。
【0021】上記のように構成した、面内異方性をもつ
軟磁性膜と垂直異方性を有する記録層とから成る磁気記
録媒体は、硬軟両磁性膜界面での結晶学的な乱れがない
ために、平滑性に優れるだけでなく従来の二層膜に見ら
れる磁気的なギャップも生じないために、記録再生特性
や信号対ノイズ比が高く、かつ記録磁化状態の安定性に
も優れる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1 対向ターゲット型のスパッタリング装置に10.5at
%Sm−9.0at%Ti−残Fe組成の合金ターゲッ
トを装着し、厚さ0.7mm径3.5インチのガラス基
板上にSm−Fe−Ti系の薄膜を形成した。初期成膜
条件は基板面に平行に磁界を作用させ、ターゲットと基
板間に8W/cm2 の電力パワー密度を加え、装置内に
40cc/分のアルゴンガスと10cc/分の窒素ガス
を流しながら、ガス圧5mTorr、基板加熱温度摂氏
400度の下で行い、600nmの膜厚を有する下層磁
性膜を形成した。後期成膜は、引き続き装置内をアルゴ
ンガスのみの雰囲気に変更し、スパッタリングにより7
0nmの上層磁性膜を形成して、本発明試料(A)とし
た。
【0023】また別途、測定用に下層膜のみの参考試料
(B)と、ガラス基板上に厚さ600nmのパーマロイ
膜と80nmのCo−Cr−Ta膜を形成した比較例試
料(C)を製作した。得られた各試料を10x10mm
に切断してX線回折による結晶構造解析と、振動試料型
磁力計による磁気測定を行った。
【0024】下層膜のみの参考試料(B)は、ThMn
12型の結晶構造を有し且つ原子の最密充填面である(0
01)面が膜面に平行に堆積していた。また、窒素が侵
入したことによって磁気異方性が膜面内に小さく分散し
て、軟磁性を示した。一方上層膜は、SmFe11Ti化
合物に由来する強い結晶磁気異方性を持ち、その磁化容
易軸が膜面に垂直であることが磁気測定の結果より明ら
かになった。また合金膜全体の成分組成は9.8at%
Sm−8.4at%Ti−6.3at%N−残Feであ
った。本発明及び比較例試料の保磁力を図3の表に示
す。
【0025】図3に示す表から明らかなように、本発明
試料は下層膜が軟磁気的性質を示し、上層は比較例試料
よりやや高い保磁力を有しており、高記録密度に好適な
膜が得られた。次に試料(A)(C)の膜表面にフロロ
カーボン膜を5nm塗布した後、垂直磁気ヘッドを用い
て記録再生特性を測定した。なお、一般に保護膜として
はダイヤモンドライクカーボン(DLC)や酸化珪素
が、また潤滑膜としてはグラファイトや摩擦係数の小さ
い各種の高分子膜が用いられる。
【0026】本発明により製作された試料(A)、比較
例試料(C)を媒体に用いた記録再生特性を示す。測定
には垂直磁気記録で一般的に使用される単磁極ヘッドを
使用した。トラック幅は10μm、コイル巻き数は26
ターン、周速は10m/sとした。図4にその周波数特
性を示す。(A)は(C)と比較して再生出力が高い。
また、高記録密度の目安となるD50も(A)は高い。D
50は最大再生出力の半値を示す記録密度を指し、この値
が高いほどより記録密度特性が優れていることがわか
る。再生出力やD50を高くするためには保磁力が高いこ
とも必要ではあるが、磁化遷移領域を狭くすることが重
要であると考えられている。媒体において磁化遷移領域
が狭くするためには、保磁力の分散を少なくすることが
要求される。よって(A)は保磁力の分散が少ない媒体
であることがわかる。また、SN比も(A)は−42d
B、(C)は−34dBとなった。SN比は信号とノイ
ズの比であるために、その差は大きいことが望まれてい
るため(A)は従来品(C)よりも良好な値を示してい
る。この要因としては、本発明の媒体は、下層の軟磁性
膜から上層の記録層までが連続した工程で成膜されてい
るために静磁的結合が従来品(C)よりも強いことが予
想される。
【0027】実施例2 実施例1と同様に、初期成膜はスパッタリング装置内に
35cc/分のアルゴンガスとアンモニアと水素の混合
ガスを15cc/分で流しながら、窒素を侵入させた厚
さ400nmのSm−Fe−Mo下層磁性膜を形成し
た。後期成膜は、引き続き装置内をアルゴンガスのみの
雰囲気に変更し、スパッタリングにより100nmの上
層磁性膜を形成して本発明試料(D)とした。また初期
成膜において、アンモニアと水素の代わりにアセチレン
と水素の混合ガスを15cc/分で流しながら炭素を4
00nm侵入させた後、上層磁性膜を形成して本発明試
料(E)とした。
【0028】本発明の製造方法で製作した試料(D)
(E)は、いずれもThMn12型の結晶構造をもち、そ
れぞれの合金膜全体の成分組成は前者が8.7at%S
m−10.4at%Mo−6.7at%N−残Fe,後
者が8.8at%Sm−10.2at%Mo−5.8a
t%C−残Feであった。なお、水素は窒化或いは炭素
侵入促進の役割を持ち成膜後には膜内から離脱すること
が明らかになっている。さらに、(D)(E)共に磁気
測定の結果、上層は磁化容易軸が膜面に垂直であること
が明らかになった。これら試料の保磁力の測定結果を図
5の表に示す。
【0029】図5に示す表から明らかなように、本発明
試料は下層膜が窒素或いは炭素の侵入に係わらず軟磁気
的性質を示し、上層は磁気記録層に好適な高保磁力を示
した。本発明の製造方法で製作した試料(D)、(E)
を媒体に用いた記録再生特性を示す。測定には垂直磁気
記録で一般的に使用される単磁極ヘッドを使用した。ト
ラック幅は10μm、コイル巻き数は26ターン、周速
は10m/sとした。図6にその周波数特性を示す。本
発明の製造方法で製作した試料(D)、(E)は図3の
(C)と比較して再生出力が高い。高記録密度の目安と
なるD50も高い。(D)、(E)は保磁力が高いだけで
なく、保磁力の分散が少ない媒体であることがわかる。
また、SN比も(D)は−43dB、(E)は−41d
Bとなった。SN比は信号とノイズの比であるために、
その差は大きいことが望まれているため(D)、(E)
は(C)よりも良好な値を示している。この要因として
は、本発明の製法で製作した媒体は、下層の軟磁性膜か
ら上層の記録層までが連続した工程で成膜されているた
めに静磁的結合が従来品(C)よりも強いことが予想さ
れる。
【0030】実施例3 実施例1と同様のスパッタリングによって、無電解ニッ
ケルメッキを下地層として有するアルミ基板上に、40
cc/分のアルゴンガスと10cc/分の窒素ガスを流
しながらCe−Nd−V−Fe系下層磁性膜を形成し
た。引き続き装置内をアルゴンガスのみの雰囲気に変更
して上層磁性膜を形成し、本発明の製造方法で製作した
試料(F)とした。得られた合金膜の下層厚さは800
nm、上層厚さは150nmであり、膜全体の成分組成
は6.3at%Ce−3.5at%Nd−7at%V−
7.8N−残Feであった。また、上層の磁化容易軸は
膜面におよそ垂直で、この試料の保磁力は下層が1.8
Oeで上層が1870Oeであった。
【0031】本発明の製造方法で製作した試料(F)を
媒体に用いた記録再生特性を示す。測定には垂直磁気記
録で一般的に使用される単磁極ヘッドを使用した。トラ
ック幅は10μm、コイル巻き数は26ターン、周速は
10m/sとした。図7にその周波数特性を示す。本発
明の製法で製作した試料(F)は図3の(C)と比較し
て再生出力が高い。高記録密度の目安となるD50も高
い。(F)は保磁力が高いだけでなく、保磁力の分散が
少ない媒体であることがわかる。また、SN比も(F)
は−40dBとなった。SN比は信号とノイズの比であ
るために、その差は大きいことが望まれているため
(F)は(C)よりも良好な値を示している。この要因
としては、本発明の製法で製作した媒体は、下層の軟磁
性膜から上層の記録層までが連続した工程で成膜されて
いるために静磁的結合が従来品(C)よりも強いことが
予想される。
【0032】実施例4 8at%W−2at%Si−残Fe組成の合金ターゲッ
ト上にSmチップを各種枚数載せて、40cc/分のア
ルゴンガスと10cc/分の窒素ガスを流しながらスパ
ッタリングを行いガラス基板上にSm−Fe−W−Si
系下層磁性膜を600nm形成した。引き続きアルゴン
ガス中で上層磁性膜を80nm形成し、各種組成の本発
明の製法で製作した試料(H)〜(K)と比較例試料
(G)(L)とした。図8に示す表に、合金膜全体の成
分組成と上下層の保磁力測定結果を示す。
【0033】図8に示す表から明らかなように、いずれ
の試料も下層膜は軟磁気的性質を示したが、本発明の製
造方法で製作した試料(H)〜(K)においてのみ磁気
記録に好適な高保磁力を持つ上層が得られた。一方、比
較例試料(G)と(L)はSm量が過小或いは過大なた
め、良質のSm2 Fe17相が得られずに、充分な保磁力
が得られなかったと考えられる。
【0034】次に、以上に述べた試料を媒体に用いた記
録再生特性を示す。測定には垂直磁気記録で一般的に使
用される単磁極ヘッドを使用した。トラック幅は10μ
m、コイル巻き数は26ターン、周速は10m/sとし
た。図9にその周波数特性を示す。図9から再生出力、
50(最大再生出力の半値になるところの記録密度)と
もにSm量10.0at%(本発明試料:J)でピーク
値を示している。特に比較例試料(G)と(L)は再生
出力、D50が低い。これは Sm量が過小或いは過大な
場合は充分な保磁力が得られず、記録磁化遷移領域が拡
がったためと考えられる。本発明の媒体においてはSm
量10.0at%が適当な量であることがわかる。
【0035】以上、本発明を上述のように詳細に説明し
たが、本発明の主旨の範囲内で種々の変形や応用が可能
であり、これらの変形や応用を本発明の範囲から排除す
るものではない。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明は、初
期に窒素及び/又は炭素を含有するガス雰囲気中で希土
類金属と鉄の合金を成膜し、引き続き希土類金属と鉄の
合金を成膜することにより、膜上層の窒素及び/又は炭
素濃度を膜下層より小さくして磁気記録媒体を構成した
ので、単一磁性膜内の異方性と保磁力を制御することが
実現出来た。またその結果として、再生出力やSN比の
高い優れた記録再生特性が得られ、さらに従来のような
2種の磁性層を成膜する必要がないために製造プロセス
の簡略化に寄与する。
【0037】また、本発明の製造方法により製造された
面内異方性をもつ軟磁性層と垂直異方性を有する磁気記
録層とから成る磁気記録媒体は、硬軟両磁性膜界面での
結晶学的な乱れがないために、平滑性に優れるだけでな
く従来の二層膜に見られる磁気的なギャップも生じない
ために、記録再生特性や信号対ノイズ比が高く、かつ記
録磁化状態の安定性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の磁気記録媒体の部分断面図で
ある。
【図2】図2は、本発明の他の磁気記録媒体の部分断面
図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1と従来例との比較を
示す図表図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1と従来例の磁気記録
媒体の周波数特性図である。
【図5】図5は、本発明の実施例2の特性を示す図表図
である。
【図6】図6は、本発明の実施例2の磁気記録媒体の周
波数特性図である。
【図7】図7は、本発明の実施例3の磁気記録媒体の周
波数特性図である。
【図8】図8は、本発明の実施例4と従来例の特性を示
す図表図である。
【図9】図9は、本発明の実施例4の磁気記録媒体の周
波数特性図である。
【符号の説明】
1・・・・・基板 2・・・・・磁気媒体層 3・・・・・ヨーク層 4・・・・・磁気記録層 5・・・・・境界部分 6・・・・・基板 7・・・・・下地膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気記録媒体の基板上に軟磁性層からなる
    ヨーク層と、該ヨーク層の上面に形成される磁気記録層
    とを具備する磁気記録媒体の製造方法において、 初期に不活性ガス及び窒素、炭素、ボロンの内少なくと
    も1つの元素を含むガス雰囲気中で希土類金属と鉄の合
    金を基板上にスパッタリングして希土類金属と鉄との合
    金中に上記元素を含有せしめた合金膜を成膜し、引き続
    き窒素、炭素、ボロンの内少なくとも1つの元素を含む
    ガスの供給を止めて合金膜を成膜することにより、下層
    側を軟磁性層に形成し、該下層の上層にこれと一体不可
    分に硬磁性層を形成し、それらの接する部分で、いずれ
    か一方の層に向かって他方の層の組成が漸減する構成に
    より両者の境界部分が形成され、下層をヨーク層とし上
    層を磁気記録層として形成してなることを特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】磁気記録媒体の基板上に軟磁性層からなる
    ヨーク層と、該ヨーク層の上面に形成される磁気記録層
    とを具備する磁気記録媒体の製造方法において、 初期に不活性ガス及び窒素、炭素、ボロンの内少なくと
    も1つの元素を含むガス雰囲気中で希土類金属と鉄の合
    金を基板上にスパッタリングして希土類金属と鉄との合
    金中に上記元素を含有せしめた合金膜を成膜し、引き続
    き窒素、炭素、ボロンの内少なくとも1つの元素を含む
    ガスの供給量を低減せしめて合金膜を成膜することによ
    り、下層側を軟磁性層に形成し、該下層の上層にこれと
    一体不可分に硬磁性層を形成し、それらの接する部分
    で、いずれか一方の層に向かって他方の層の組成が漸減
    する構成により両者の境界部分が形成され、下層をヨー
    ク層とし上層を磁気記録層として形成してなることを特
    徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】窒素元素を含むガスは窒素ガスまたはアン
    モニアガスを用いることによって得ることを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】炭素元素を含むガスは炭化水素ガスを用い
    ることによって得ることを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】上記磁気記録媒体を構成する希土類金属
    は、希土類元素3ー15at%、炭素、窒素、ボロンの
    うちの少なくとも1種類の元素0.05−25at%お
    よび残り鉄から構成することを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】磁気記録層の厚みを、磁気記録層、境界部
    分およびヨーク層全体の厚みのほぼ2〜50%に形成す
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁
    気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】磁気記録層内に含有せしめる炭素、窒素、
    ボロンのうちの少なくとも1種類の元素は2%未満とす
    ることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】基板上に希土類金属と鉄の合金膜を形成す
    る際、Co,Ni,Al,Si,Ti,V,Cr,M
    n,Zr,Nb,Mo,Ga,Sn,Hf,Ta,Wの
    内のいずれか一種以上を、0.02−20at%含める
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気
    記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】基板上に希土類金属と鉄の合金膜を形成す
    る際、この合金膜にTh2 Zn17、Th2 Ni17、 Tb
    Cu7 、 ThMn12、 R3 ( Fe、M)29型の、いずれ
    か1つの結晶構造を保持せしめることを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】上記磁気記録層を形成した後、この上面
    に保護膜を被着することを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7220482B2 (en) 2001-01-24 2007-05-22 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Aligned fine particles, method for producing the same and device using the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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