JPH10233036A - 偏光光学素子または光学ヘッド装置 - Google Patents

偏光光学素子または光学ヘッド装置

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JPH10233036A
JPH10233036A JP3590997A JP3590997A JPH10233036A JP H10233036 A JPH10233036 A JP H10233036A JP 3590997 A JP3590997 A JP 3590997A JP 3590997 A JP3590997 A JP 3590997A JP H10233036 A JPH10233036 A JP H10233036A
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JP
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optical
light beam
head device
objective lens
light
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Application number
JP3590997A
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English (en)
Inventor
Kunikazu Onishi
邦一 大西
Masayuki Inoue
雅之 井上
Yukio Fukui
幸夫 福井
Yasuyuki Sugi
靖幸 杉
Hidenori Shinohara
秀則 篠原
Shinji Fujita
真治 藤田
Ritsuo Imada
律夫 今田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1個の対物レンズと1個または複数の光学モジ
ュールを備え小型化,簡略化された光ヘッド装置であり
ながら,基板厚さが異なる複数種類の光ディスクの再生
を可能にする高機能の光ヘッド装置を提供する。 【解決手段】中心部に設けられた円盤状の透過領域と,
その外側に設けられた偏光異方性を有する回折格子領域
からなる偏光光学素子と1/4波長板を光路中に配置す
る。CD再生時には,この偏光光学素子の働きにより所
定の実効的開口数になるようビーム径が制限されてDV
D用対物レンズに入射する。その結果DVD用対物レン
ズを用いてもCD記録面に良好な集光スポットが形成さ
れる。一方,ディスクを反射してきた復路光は,1/4
波長板によって偏光方向が90°回転するため,偏光光
学素子をそのまま透過する。したがって,対物レンズ変
位に伴う復路光ビームのケラレは生じず良好なCD再生
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は円盤状の光学的情報
記録媒体(以下,簡単のため光ディスクと記す。)上に
記録された信号の再生もしくは該光学的情報記録媒体へ
の情報信号の記録に好適な光学ヘッド装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年,光学ヘッド装置の小型化,薄型化
を実現するため,半導体レーザ光源と光検出器を同一の
匡体(パッケージ)内に格納したいわゆる光学モジュー
ルが注目されている。例えば特開平1−98131公報
に記載されている光学ヘッド装置は,半導体レーザ光源
と4分割光検出器を格納した光学モジュールの窓部にあ
たるところに所定の格子パターンを有する2分割ホログ
ラム素子を配置し,この光学モジュールと対物レンズだ
けで,光ディスクに記録された情報信号の再生できるよ
うにようになっている。この公知例のように,光学モジ
ュールを用い光源および光検出系を一体化することによ
り,光学ヘッド装置の大幅な小型化,薄型化,簡略化を
実現することができる。
【0003】ところで,現在一般的に使用されている光
ディスクは,主にディスクの基板厚さの違いおよび記録
密度の違いによって幾つかの種類に分けられる。例え
ば,ディジタルビデオディスク(DVD)のように基板
厚さが約0.6mmで比較的高密度に情報信号が記録され
ている大容量ディスクと,コンパクトディスク(CD)
のように基板厚さが約1.2mmで情報信号記録密度が比
較的低い中容量ディスクの2種類が代表的な例である。
通常,これら基板厚さが異なるディスクを再生する場合
は,各ディスクに対して集光スポットの収差が所定の許
容値以下になるように最適化された別々の対物レンズが
用いる構成が一般的である。このため,ディスク間相互
の互換性を高めるため,1台の光学ヘッド装置でこれら
複数種類の光ディスクを再生するためには,従来は1台
の光学ヘッド装置内に2個以上の対物レンズを搭載する
構成が主流であった。しかしながら,このような構成で
は部品点数が増加し装置が大型になるため,実用的な光
学ヘッド装置にとっては著しく不利である。すなわち,
光学ヘッド装置のディスク互換性と実用性をともに確保
するためには,1個の対物レンズによって基板厚さが異
なる複数の光ディスクを再生できる新たな技術の開発が
必要不可欠である。
【0004】このような開発課題に対して,最近幾つか
の有効な光学的手段が開示されている。例えば特開平8
−55363号公報には,DVD用の無限系対物レンズ
に発散光を入射させ,かつ光源と対物レンズの間の光路
中に所定の制限開口を設けてディスク上に集光される光
ビームの開口数(NA)を減少させることにより,CD
の再生を実現する技術が開示されている。この技術は,
特に高価な光学部品を追加することなく,1個のDVD
用対物レンズで基板厚さが異なるDVDとCDを共に再
生することができるため,光学ヘッド装置の高性能化に
極めて有効な技術である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記従
来技術は,最初に述べたような光学モジュールを用いた
小型光学ヘッド装置に適用する場合,以下に示すような
問題が生じる。
【0006】すなわち,光学モジュールを用いた光学ヘ
ッド装置では半導体レーザ光源と光検出器が同一のパッ
ケージ内の近接した位置に配置されるため,光源を発し
光ディスク上に集光される往路光ビームとこの光ディス
クを反射し光検出器によって信号が検出される復路光ビ
ームがほぼ同一の光路をたどることになる。このため,
往路の光路中に制限開口を設けると,それは同時に復路
光ビームに対しても制限開口として機能することにな
る。このような状態で信号再生を行った場合,対物レン
ズがトラッキング制御機構の働きでわずかでも変位する
と,ディスクを反射してきた復路光ビームと問題の制限
開口との間の相対位置関係がずれが生じ,結果的に復路
光ビームにケラレが生じるため正しく信号を再生するこ
とができなくなってしまう。このような復路光ビームの
ケラレを防ぐには,対物レンズの変位にあわせて制限開
口を一緒に変位させる必要があるが,そのような機構を
設けることは,光学ヘッド装置の大型化,複雑化につな
がってしまう。そもそもこの復路光ビームのケラレの発
生原因は,明らかに往復光路中に固定された制限開口が
往路光ビームだけではなく復路光ビームに対しても制限
開口として機能してしまうところにある。したがって,
光学モジュールを用いた小型光ヘッド装置に上記従来技
術を適用するためには,往復光路中に配置しても往路光
ビームに対してのみ制限開口として機能し,復路光ビー
ムには全く制限開口として機能しない新たな光学素子が
必要になるわけである。
【0007】本発明の目的は,上記の状況を鑑み,1個
の対物レンズと1個または複数の光学モジュールを搭載
した小型光ヘッド装置において,異なる基板厚さ有する
複数種類の光ディスクの再生を可能にするような新しい
光学素子またはそれを用いた光学ヘッド装置を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を実現するた
め,本発明では半導体レーザ光源または半導体レーザ光
源と光検出器とを同一の匡体内に格納した光学モジュー
ルと,1個の対物レンズとを備えた光学ヘッド装置にお
いて,前記半導体レーザ光源または光学モジュールから
前記対物レンズに至る光路中に,所定の方向の直線偏光
を有する光ビームは回折せず,前記所定方向に対して直
角な方向の直線偏光を有する光ビームはほぼ100%の
回折効率で回折する偏光異方性回折格子領域と,偏光方
向に因らず,入射光をほぼ100%透過させる透過領域
とを合わせもつ偏光光学素子と,所定の1/4波長板と
を配置した。
【0009】さらに前記光学ヘッド装置は,互いに波長
が異なる光ビームを発する少なくとも2個以上の半導体
レーザ光源または光学モジュールと,該各半導体レーザ
光源または光学モジュールを発した光ビームを合成して
前記対物レンズに導くためのミラーまたはプリズムとを
備え,前記複数の半導体レーザ光源または光学モジュー
ル内の所定の半導体レーザ光源または光学モジュールと
前記ミラーまたはプリズムとの間の光路中に前記偏光光
学素子と前記波長板を配置した。
【0010】また前記対物レンズは基板厚さが0.6mm
のディジタルビデオディスク(DVD)用の対物レンズ
であり,かつ前記半導体レーザ光源または光学モジュー
ル内のうちすくなくとも1個は,波長630nm乃至67
0nmの波長を有する光ビームを発する一方で、他の1個
は波長770nm乃至790nmの波長を有する光ビームを
発するようにした。
【0011】しかも前記偏光光学素子は,該偏光光学素
子に入射する光ビームの中心光軸近傍を含み所定の半径
を有する円盤状の前記透過領域とその外側に設けられた
円環状の前記偏光異方性回折格子領域からなり,該偏光
異方性回折格子領域においては,同心円状の軌跡を有す
る回折格子が設けられている。
【0012】さらにまた前記偏光光学素子内の前記透過
領域は,該透過領域を透過した光ビームが前記対物レン
ズによって前記光学的情報記録媒体上に集光される際,
出射側の開口数(NA)が0.3以上0.5以下の所定の
値に相当するよう前記円盤状透過領域の半径が所定の大
きさに定められており,かつ前記偏光光学素子内の前記
偏光異方性回折格子領域における回折格子の格子定数
は,30μm以下に定めた。
【0013】
【発明の実施の形態】以下,本発明の第1の実施例を図
1を用いて説明する。図1は本発明の光学ヘッド装置の
概略構成を示した図である。
【0014】図1の実施例における光学ヘッド装置は,
1個の対物レンズと互いに波長が異なる光ビームを出射
する2個の光学モジュールを備えている。そして,例え
ばDVDとCDなどのように基板厚さが異なる複数の光
ディスクに対してそれぞれ別々の光学モジュールから発
した別々の光ビームで信号の再生を行うようになってい
る。
【0015】光学モジュール1はDVDなどの大容量デ
ィスクを再生するために設けられた光学モジュールで,
例えば波長650nmのレーザ光ビームを出射する半導体
レーザ光源と多分割の光検出器を備えている。この光学
モジュール1を出射した光ビーム50は,光ビーム合成
用プリズム2を反射したのちコリメートレンズ3に入射
し,このコリメートレンズ3によって平行光ビーム51
に変換されたのち光路偏向用ミラー4を経て対物レンズ
5に入射する。この対物レンズ5はDVD用の無限系レ
ンズであり,波長650nmの平行光ビーム51を基板厚
さ0.6mmのDVD6(破線で表示)の基板越しに正し
く集光しDVD記録面上に光スポット20を形成する。
そしてこのDVD6を反射した光ビームは往路とほぼ同
じ光路をたどって光学モジュール1に戻り,モジュール
内に設けられた多分割光検出器(図示せず)に入射して
ディスクに記録されている情報信号や対物レンズ5の位
置制御を行うためのオートフォーカスサーボ信号,トラ
ッキングサーボ信号などが検出される。
【0016】一方,図中に示した光学モジュール7は,
CDなどの中容量ディスクを再生するために設けられた
光学モジュールで,例えば波長780nmのレーザ光ビー
ムを出射する半導体レーザ光源と多分割の光検出器を備
えている。CDなどの中容量ディスクを再生する場合
は,光学モジュール1を消灯しこの光学モジュール7内
の半導体レーザ光源(図示せず)を点灯して所定の直線
偏光を有するレーザ光ビームを出射させる。光学モジュ
ール7を出射した光ビーム60は,発散レンズ(凹レン
ズ)8を経て本発明の偏光光学素子9,1/4波長板1
0を経て光ビーム合成用プリズム2を透過したのちコリ
メートレンズ3に達する。このとき光学モジュール7内
にある半導体レーザ光源の発光点はコリメートレンズ3
の光源側焦点位置に一致しているが、コリメートレンズ
3に入射する光ビーム60は発散レンズ(凹レンズ)8
の光ビーム発散作用により,実際の発光点よりも所定距
離だけコリメートレンズ3側によった位置に仮想的な発
光点を有する発散光に変換されるため,コリメートレン
ズ3通過後の光ビーム61も所定の仮想光源から発する
発散光となって対物レンズ5に入射する。そしてこの対
物レンズ5により板厚さ1.2mmのCD11(実線で表
示)の基板越しに集光され、ディスクの記録面上に光ス
ポット21を形成する。
【0017】ところで,光学モジュール7を発した光ビ
ーム60が通過する偏光光学素子9は,図2の概略平面
図にしめすようにその中心部に設けられた所定の直径W
を有する円盤状の透過領域90と,その外側に設けられ
た同心円状の格子溝パターンを有する回折格子領域91
からなる。しかもこの回折格子領域91はいわゆる偏光
異方性を有しており,光学モジュール7を発しこの偏光
光学素子9に入射する光ビーム60と同じ偏光方向(例
えばP偏光)を有する光ビームは,ほぼ100%の効率
で回折する一方で,光ビーム60の偏光方向に直角に交
わる偏光方向(例えばS偏光)を有する光ビームはほと
んど回折せずそのまま透過させる性質をもっている。こ
のような偏光異方性 回折格子を得る手段はいくつか存
在するが、代表的な製作法としては、例えばリチウムナ
イオゲイト(LiNbO3)などのような屈折率異方性
を有する光学材料に格子溝に合わせたプロトン交換層を
形成する手段がある。
【0018】さて上記のような性質を有する偏光光学素
子9に光学モジュール7を発した往路光ビーム60が入
射すると,図3(a)に示すように,中心部の直径Wの
透過領域90に入射した光ビームはそのまま透過する
が,その外側にある回折格子領域91に入射した光ビー
ムはすべてが回折し,光路が曲げられてしまう。この
時,回折格子領域91の格子溝ピッチを十分細かくする
と、ここで回折された光ビームは本来の光路から十分偏
向することになり,その結果進行中に他の光学素子やレ
ンズ等の有効経外にけり出されたり,光ディスクの記録
面上に集光される光スポットに対して著しくデフォーカ
スしてしまうことになり,実質的に光ディスク記録面へ
の光ビームの集光に寄与しなくなる。つまり実質的に光
ディスク記録面上に集光されるのは所定の直径Wの透過
領域を透過した光ビームのみに限定されるわけである。
これは,ちょうど従来の制限開口によって光束径を制限
した場合と同様の状態である。
【0019】本来、ディスクの基板厚さ0.6mmのDV
Dを再生する場合に集光スポットの波面収差が最適にな
るよう設計されたDVD用対物レンズを使ってディスク
基板厚さ1.2mmのCDの記録面に集光スポットを形成
する場合は、明らかに著しく大きな球面収差が発生する
ためCDの再生は事実上不可能になる。しかしながら、
上記のように光ビームを所定の発散光の状態にし、かつ
光ビーム径を所定の大きさ制限して実効的な対物レンズ
開口数を減少させると、発生する球面収差を大幅に低減
し,CDの再生に支障を起こさない程度の良好な集光ス
ポットに改善することができる。
【0020】図4はその事実を説明するための線図であ
る。すなわち,第1の実施例と同様にDVD用無限系対
物レンズ(開口数=0.6)に所定の発散光を入射さ
せ、かつディスク側の実効的な開口数が0.45になる
ように入射光ビーム径を制限した場合と,従来のCD用
有限系対物レンズ(開口数=0.45)を用いた場合に
ついて,対物レンズ偏心量とCD再生時の集光スポット
の波面収差の関係をしめしている。なお,光ビームの波
長はいずれも780nmである。図から明らかなように,
DVD用対物レンズを通常の状態すなわち平行光ビーム
を開口数=0.6のままでを集光させてCD記録面に集
光スポットを形成する場合は,CD記録面上の集光スポ
ットの波面収差はrms値で約0.5λにも達する。こ
のように大きな収差がある場合は,CDの再生はほぼ不
可能である。一方、同じDVD用対物レンズを用いて
も,本発明のように対物レンズ入射光を所定の発散光に
してかつ実効的な開口数が0.45に相当するよう入射
光の光ビーム径を制限すると,集光スポットの波面収差
はrms値で0.01λ〜0.03λ程度まで減少し,従
来のCD用有限系対物レンズとほぼ同様の集光スポット
品質を確保できる。計算によると,波長が770nm乃至
790nmの光ビームを再生光とする場合は,対物レン
ズのディスク側における実効的な開口数が0.4乃至0.
5程度になるように,また波長630nm乃至670nmの
光ビームを再生光とする場合は,実効的な開口数が0.
35乃至0.4程度になるように光ビーム径を制限し,
かつそれぞれ所定の発散光の状態で対物レンズに入射さ
せることにより,DVD用対物レンズを用いてもCDを
支障無く再生することができる。
【0021】なお偏光光学素子9の回折格子領域91に
設けられる回折格子は、その格子溝ピッチ(格子定数)
が細かければ細かいほど回折角が大きくなるので、回折
光が光ディスクの記録面上の集光スポットに影響する度
合も小さくなり有利である。しかし計算によると、対物
レンズやコリメートレンズなどの光学部品に現在ごく一
般的に使用されている部品を用いる場合、回折格子領域
91の格子溝ピッチ(格子定数)は30μm以下程度で
あれば回折光の影響はほぼ無視できる。また回折される
光束は、集光スポットに影響を及ぼさなければどのよう
な状態であってもよく、したがって回折格子領域91の
格子溝パターンも図2の例のように等間隔同心円状のパ
ターンに限定されるものではなく、格子溝ピッチが場所
により変化したり同心円以外のパターンでも一向に構わ
ない。
【0022】ところで、CDの記録面上に形成された集
光スポット21は、ディスクの記録面を反射し復路光ビ
ームになると、DVD再生時と同様、往路光ビームと同
じ光路を逆にたどり、対物レンズ5、光路偏向用ミラー
4、コリメートレンズ3、光ビーム合成用プリズム2を
順次透過後、1/4波長板10を経て偏光光学素子9に
入射する。この時この復路光ビームは、往路と復路でそ
れぞれ1回ずつ合計2回1/4波長板10を透過してい
るので、光学モジュール7を発した往路光に対して偏光
方向が90°回転している。(例えばP偏光からS偏光
に変わっている。)この場合は、前述したように偏光光
学素子9の回折領域91は回折格子としては作用せず、
図3(b)に示すように素子全面にわたって入射光をほ
ぼ100%透過させるだけである。これは、ディスクを
反射してきた復路光ビームにとって、光路中にあった制
限開口が完全に取り払われた状態と同じ状態になってい
るわけである。このように制限開口が往路光ビームにの
み作用し、復路光ビームには作用しない場合は、往復光
路中に従来の制限開口を固定した場合と異なり以下のよ
うな効果があらわれる。
【0023】図5は制限開口と対物レンズの相対位置関
係が変わった場合の往復の光ビームの変化を模式的にし
めした図である。(a)は従来の一般的な制限開口を設
けた場合(すなわち制限開口が往路光にも復路光にも作
用する場合)で、(b)は本発明の偏光光学素子を制限
開口として用いた場合である。通常の光学ヘッド装置に
おいては、常にディスクの所定の記録トラック上に集光
スポットを正しく照射させるため、再生中はディスクの
回転に伴う記録トラックの位置の変動に応じて対物レン
ズを変位させるいわゆるトラッキング制御をおこなって
いる。このような場合に従来の制限開口30あるいは本
発明の偏光光学素子9が往復光路中に固定されている
と、対物レンズ5の変位にともなってその相対的な位置
関係が変化する。この時、従来のように往路光にも復路
光にも作用する光制限開口では、図5(a)のように復
路光ビームの一部が開口の縁によってけられてしまう。
(図中の斜線で表わされた領域70がケラレの領域に相
当)一方、本発明の偏光光学素子9を制限開口として用
いた場合は、復路光ビームに対しては制限開口が全く無
い状態と同じ状態になるので、図5(b)のように対物
レンズが変位しても復路光ビームにケラレが生じるよう
なことはなく、ディスクを反射してきた復路光がつねに
完全な状態で光学モジュール内の多分割光検出器に入射
する。
【0024】以上説明したように光ヘッド装置の往復の
光路が重なる位置に本発明の偏光光学素子を配置する
と、往路光ビームに対しては制限開口として作用しDV
D用対物レンズによってCDの記録面上に良好な集光ス
ポットを形成させることができる。一方、復路光ビーム
に対しては制限開口として作用しないので、トラッキン
グ制御により対物レンズが変位しても復路光びームには
ケラレは生じず常に良好にディスク反射光(復路光)を
検出できる。したがって、半導体レーザ光源と光検出器
が一体になった光学モジュールを用い、かつ1個の対物
レンズしか搭載していない小型の光学ヘッド装置に対し
ても、複数種類のディスクを良好に再生する高機能性を
付与することができる。
【0025】次に再び図1の実施例の説明にもどる。光
学モジュール1および7には各々別個のレーザ点灯回路
100、102と各々別個の信号再生回路101、10
3が接続されており、それぞれの光学モジュール内の半
導体レーザ光源の点灯/消灯とディスクに記録されてい
る情報信号の再生を独立に行うようになっている。一
方、いわゆる対物レンズのオートフォーカス制御(AF
サーボ)およびトラッキング制御(TRサーボ)につい
ては、それぞれについて1つずつのサーボ信号生成回路
104、105を備えている。そして、切り換えスイッ
チ回路106を切り換えることにより、そのとき半導体
レーザ光源が点灯し信号再生状態になっている方の光学
モジュールからの検出信号が各サーボ信号生成回路に入
力されるようになっている。そしてここで生成された各
サーボ信号が2次元アクチュエータ12にフィードバッ
クされ対物レンズ5の位置制御がおこなわれる。またコ
ントロール回路107は,再生されるディスクの種類を
判別してその判別結果に応じて必要な光学モジュールを
駆動し,かつ切り換えスイッチ回路106を適宜切り換
える機能を有する。なお,これらの回路構成については
本発明と直接関係するものではなく、また図1の実施例
に限定されるものではないのでこれ以上の詳細な説明は
省略する。
【0026】ところで,図1の実施例は、光ビーム61
を所定の発散光の状態にして対物レンズ5に入射させる
ために光学モジュール7とコリメートレンズ3のあいだ
に発散レンズ(凹レンズ)8を配置する構成をとってい
る。しかしながら当然、光学系の構成としてはこれに限
定されるものではない。例えば,発散レンズ(凹レン
ズ)8を設ける代わりに光学モジュール7を所定距離だ
けコリメートレンズ3側に近づけて配置してもよい。こ
のようにすれば、発散レンズ(凹レンズ)8を省略して
も対物レンズ5に入射する光ビームを図1の実施例同様
所定の発散光にすることができ、光学系を一層簡略化で
きる。またコリメートレンズ3を光学モジュール1と光
ビーム合成用プリズム2の間に配置し光学モジュール7
から発した光ビームはコリメートレンズを経ずに対物レ
ンズに入射するような構成にして構わない。さらには各
光学モジュールと光ビーム合成用プリズム2の間の光路
中に各々別個のレンズまたはレンズ系を設けてもよい。
この場合は,光学モジュール1から発した光ビーム50
が通過する第1のレンズまたはレンズ系には、この光ビ
ーム50を平行光に変換するコリメートレンズの機能を
もたせ,光学モジュール7から発した光ビーム60が通
過する第2のレンズまたはレンズ系には,この光ビーム
60を所定の発散光に変換して対物レンズに入射させる
機能を持たせる必要がある。
【0027】ところで図1の実施例では,DVDとCD
などのように基板厚さが異なる複数種類の光ディスクを
再生するため,互いに異なる波長の光ビームを発する複
数の半導体レーザ光源または光学モジュールを備えた構
成になっているが,もちろん1個の光源または光学モジ
ュールで複数種類の光ディスクに対応する構成の光学ヘ
ッド装置においても本発明を適用することができる。
【0028】図6および図7は,それぞれ光学モジュー
ルを1個だけ搭載し,かつ例えばDVDとCD等のよう
に基板厚さが異なる2種類の光ディスクの再生を行うこ
とができる光学ヘッド装置の一実施例を示す概略構成図
である。いずれも図1の実施例と同じ部品には同じ番号
を付している。
【0029】図6の実施例では,例えば波長650nmの
レーザ光ビームが出射する半導体レーザ光源を備えた光
学モジュール1とコリメートレンズ3の間の光路中に発
散レンズ(凹レンズ)8と本発明の偏光光学素子9およ
び1/4波長板10を配置し,かつこれらの光学部品が
必要に応じて光路中から出し入れできるようになってい
る。すなわち,CDを再生する時には,光学モジュール
1を発した光ビームは光路中に設けた発散レンズ(凹レ
ンズ)8および本発明の偏光光学素子9により光ビーム
径が所定の径に制限されかつ発散光の状態でDVD用対
物レンズ5に入射する。その結果,CDの記録面上に形
成された集光スポット21は、図1の実施例で説明した
原理と同様の原理で再生上支障無い程度に収差が低減さ
れた良好な集光スポットになっている。一方,DVD再
生時には上記各光学部品は光路よりはずされる。これに
より,光学モジュール1を発した光ビームは,対物レン
ズ5の開口に対して十分に大きな光ビーム径で,かつ完
全に平行光の状態で対物レンズ5に入射する。そしてD
VDの記録面上には収差が十分に低減された良好なDV
D再生用集光スポットが形成される。
【0030】なお図6および図1の実施例では,図中に
しめすように偏光光学素子9と1/4波長板10を貼り
合わせて一体化することが可能である。一方,図7の実
施例は図6の実施例とほぼ同様の構成の光学ヘッド構成
を示しているが,偏光光学素子9と1/4波長板10は
一体化されず,それぞれ光軸回りに独立に回転できるよ
うになっている点と、発散レンズ(凹レンズ)が無く代
わりにコリメートレンズ3が光軸に沿って前後に所定距
離だけ移動できるようになっている点が,これまで述べ
た実施例と異なっている。すなわち図7の実施例では,
DVD再生時には,偏光光学素子9を光軸回りに回転さ
せ,光学モジュール1を発した光ビームの偏光方向が,
この偏光光学素子9の回折格子領域91において回折光
を発生させない向き(例えばS偏光状態)になるように
設置する。さらに1/4波長板の主軸を入射光の偏光方
向に一致させる。このようにすれば1/4波長板10は
光ビームが何度通過してもその偏光方向を変化させる機
能を持たなくなるため,往路光,復路光どちらにとって
も偏光光学素子9は回折格子として機能せず,単なるガ
ラス板と同様に光が透過するだけである。一方,CD再
生時には,DVD再生時の状態から偏光光学素子9は光
軸まわりに90°,1/4波長板10は45°だけ回転
させる。このようにすると,光学モジュール1を発しこ
の偏光光学素子9に入射する光ビームは偏光光学素子9
にとってS偏光状態からP偏光状態にかわるので,その
回折領域91では入射光ビームの回折が起こり,図1お
よび図6の実施例で述べたCD再生時と同様の作用で光
束径が制限される。しかも1/4波長板にはやはり図1
および図6の実施例と同様,往路光と復路光で偏光方向
を90°回転させる機能があらわれるので,これまでの
実施例と同様,偏光光学素子9は往路光にのみ回折格子
として機能し復路光には機能しなくなる。さらにこのと
きコリメートレンズ3を光軸に沿って所定距離だけ光学
モジュール側に変位させると,対物レンズ5に入射する
光ビームは平行光から所定の発散光に変化する。このよ
うに各光学部品を回転もしくは変位させることにより,
図1および図6の実施例におけるCD再生時と同様の状
態にすることができるので,各実施例と同様CD再生に
支障ない程度に良好な集光スポットを形成することがで
きる。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように,本発明によれば1個
の対物レンズと1個または複数の光学モジュールを備え
小型化,簡略化された光ヘッド装置でありながら,基板
厚さが異なる複数種類の光ディスクの再生を可能にする
高機能の光学ヘッド装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学ヘッド装置の第1の実施例を示し
た主要部の概略構成図である。
【図2】本発明における偏光光学素子を示す概略平面図
である。
【図3】本発明のおける偏光光学素子の機能を説明する
ための主要部の模式図である。
【図4】往路光に対する本発明の効果を説明するため
に,対物レンズ偏心量と集光スポットの波面収差の関係
を示した線図である。
【図5】復路光に対する本発明の効果を説明するための
主要部の模式図である。
【図6】本発明の光学ヘッド装置の第2の実施例を示し
た主要部の概略構成図である。
【図7】本発明の光学ヘッド装置の第3の実施例を示し
た主要部の概略構成図である。
【符号の説明】
1…DVD用光学モジュール,3…コリメートレンズ,
5…DVD用対物レンズ,6…ディジタルビデオディス
ク(DVD),7…CD用光学モジュール,8…発散レ
ンズ(凹レンズ),9…偏光光学素子,10…1/4波
長板,11…コンパクトディスク(CD)
フロントページの続き (72)発明者 福井 幸夫 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所映像情報メディア事業部内 (72)発明者 杉 靖幸 茨城県ひたちなか市稲田1410番地株式会社 日立製作所映像情報メディア事業部内 (72)発明者 篠原 秀則 茨城県ひたちなか市稲田1410番地株式会社 日立製作所映像情報メディア事業部内 (72)発明者 藤田 真治 茨城県ひたちなか市稲田1410番地株式会社 日立製作所映像情報メディア事業部内 (72)発明者 今田 律夫 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所映像情報メディア事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の波長および所定の直線偏光からなる
    光ビームを放射する半導体レーザ光源,または該半導体
    レーザ光源と該半導体レーザ光源を出射し所定の光学的
    情報記録媒体上に集光されたのち該光学的情報記録媒体
    を反射した前記光ビームを受光するように配置された光
    検出器とを同一の匡体内に格納した光学モジュールと,
    前記半導体レーザ光源または光学モジュールを発した光
    ビームを前記光学的情報記録媒体上に集光するための少
    なくとも1個の対物レンズとを備えた光学ヘッド装置に
    おいて,前記半導体レーザ光源または前記光学モジュー
    ルから前記対物レンズに至る光路中に配置され,所定の
    方向の直線偏光を有する光ビームは回折せず,前記所定
    の偏光方向に対して略垂直な直線偏光を有する光ビーム
    はほぼ100%の回折効率で回折する偏光異方性回折格
    子領域と,偏光方向に因らず,入射光をほぼ100%透
    過させる透過領域とを合わせもつことを特長とする偏光
    光学素子または該偏光光学素子と所定の1/4波長板と
    を備えたことを特長とする光学ヘッド装置。
  2. 【請求項2】前記光学ヘッド装置は,互いに波長が異な
    る光ビームを発する少なくとも2個以上の半導体レーザ
    光源または光学モジュールと,該各半導体レーザ光源ま
    たは光学モジュールを発した光ビームを合成して前記対
    物レンズに導くための光ビーム合成用ミラーまたはプリ
    ズムとを備え,前記複数の半導体レーザ光源または光学
    モジュールの内,所定の半導体レーザ光源または光学モ
    ジュールと前記光ビーム合成用ミラーまたはプリズムと
    の間の光路中に前記偏光光学素子と前記1/4波長板を
    配置したことを特長とする請求項1記載の光学ヘッド装
    置。
  3. 【請求項3】前記対物レンズは基板厚さが0.6mmのデ
    ィジタルビデオディスク(DVD)用の対物レンズであ
    り,前記半導体レーザまたは前記光学モジュールうち少
    なくとも1個は波長630nm乃至670nmの波長を有す
    る光ビームを発し、他の1個は波長770nm乃至790
    nmの波長を有する光ビームを発することを特長とする請
    求項1または2記載の光学ヘッド装置。
  4. 【請求項4】前記偏光光学素子は,該偏光光学素子に入
    射する光ビームの中心光軸近傍を含みかつ所定の半径を
    有する円盤状の前記透過領域とその外側に設けられた円
    環状の前記偏光異方性回折格子領域からなり,該偏光異
    方性回折格子領域においては,同心円状の溝軌跡を有す
    る回折格子が設けられていることを特長とする請求項1
    記載または2または3記載の偏光光学素子または光学ヘ
    ッド装置。
  5. 【請求項5】前記偏光光学素子内の前記透過領域は,該
    透過領域を透過した光ビームが前記対物レンズによって
    前記所定の光学的情報記録媒体上に集光される際,出射
    側の開口数(NA)が0.3以上0.5以下に相当するよ
    う前記円盤状透過領域の半径が所定の大きさに定められ
    ていることを特長とする請求項4記載の偏光光学素子ま
    たは光学ヘッド装置。
  6. 【請求項6】前記偏光光学素子内の前記偏光異方性回折
    格子領域における回折格子の格子定数が,30μm以下
    であることを特長とする請求項4記載の偏光光学素子ま
    たは光学ヘッド装置。
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