JPH10230560A - 光学機能性膜及びその製造方法 - Google Patents

光学機能性膜及びその製造方法

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JPH10230560A
JPH10230560A JP9048595A JP4859597A JPH10230560A JP H10230560 A JPH10230560 A JP H10230560A JP 9048595 A JP9048595 A JP 9048595A JP 4859597 A JP4859597 A JP 4859597A JP H10230560 A JPH10230560 A JP H10230560A
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JP
Japan
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film
metal oxide
electron beam
functional film
irradiation
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JP9048595A
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English (en)
Inventor
Mitsuru Tsuchiya
充 土屋
Yurie Oota
友里恵 太田
Hiroaki Imai
宏明 今井
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 気相法により得られる薄膜と同等以上の膜の
均一性を有する高機能且つ高品質な機能性薄膜を大量生
産や設備コスト面で有利な塗布法によって提供するこ
と。 【解決手段】 透明基材と、該基材の少なくとも一方の
面に直接又は他の層を介して金属酸化物ゾルから形成さ
れた金属酸化物膜とからなる光学機能性膜において、該
膜中における粒径10nm以上の粒子の数が膜面積10
μm×10μm当たり平均で1000個以下であること
を特徴とする光学機能性膜、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線遮断効果、
熱線反射効果、反射防止効果等を有する各種光学機能性
膜とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紫外線遮断効果、熱線反射効果、
反射防止効果等を有する機能性薄膜の形成方法は、一般
に気相法と溶液法とに大別され、気相法による機能性薄
膜の製造方法には、真空蒸着法、スパッタリング法等の
物理的方法と、CVD法等の化学的方法とがある。又、
溶液法には、スプレー法、浸漬法及びスクリーン印刷
法、ゾル−ゲル法等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】気相法による機能性薄
膜の製造方法では、高機能且つ高品質な薄膜を得ること
が可能であるが、高真空系での精密な雰囲気の制御が必
要であり、又、特殊な加熱又はイオン発生加速装置を必
要とし、製造装置が複雑で大型化するために、必然的に
製造コストが高くなるという問題がある。又、薄膜の大
面積化或は複雑な形状のものを製造することが困難であ
るという問題がある。
【0004】他方、塗布法による機能性薄膜の製造方法
のうち、スプレー法によるものは、塗液の利用効率が悪
く、成膜条件の制御が困難である等の問題がある。又、
浸漬法及びスクリーン印刷法等による塗布法を利用する
機能性薄膜の製造方法は、成膜原料の利用効率が良く、
大量生産や設備コスト面での有利さがあるが、塗布法に
より得られる機能性薄膜は、気相法により得られる薄膜
に比較して機能及び品質が劣ると云う問題点がある。
【0005】近年、塗布法によって優れた品質の薄膜を
得る方法として、無機又は有機超微粒子を酸性及び又は
アルカリ水溶液中に分散した分散液を、基材上に塗布
し、焼成する方法が提案されている。この製造方法によ
ると、大量生産や設備コスト面では有利であるが、製造
工程中に高温での焼成過程を必要とするため、プラスチ
ック基材には成膜が不可能なこと、又、基材と塗布膜と
の収縮度の違い等により膜の均一性が十分でなく、気相
法により得られる薄膜に比較した場合に、依然として性
能が劣り、又、熱処理に長時間(例えば、数十分間以
上)を要し、生産性に劣ると云う欠点を有する。従っ
て、本発明の目的は、気相法により得られる薄膜と同等
以上の膜の均一性を有する高機能且つ高品質な機能性薄
膜を大量生産や設備コスト面で有利な塗布法によって提
供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、透明基材と、該
基材の少なくとも一方の面に直接又は他の層を介して金
属酸化物ゾルから形成された金属酸化物膜とからなる光
学機能性膜において、該膜中における粒径10nm以上
の粒子の数が膜面積10μm×10μm当たり平均で1
000個以下であることを特徴とする光学機能性膜、及
びその製造方法である。
【0007】透明基材表面に金属酸化物ゾルを塗布及び
乾燥後、形成された膜に複数回の電子線照射を行うこと
によって、気相法により得られる薄膜と同等以上の膜の
均一性を有する高機能且つ高品質な機能性薄膜を、大量
生産や設備コスト面で有利な塗布法によって提供するこ
とができる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に詳しく説明する。本発明においては、光学
機能性膜の基材となる透明樹脂フイルムに種々の光学機
能特性を付与するものであって、例えば、ワープロ、コ
ンピューター、テレビ等の各種ディスプレイ、液晶表示
素子に用いる偏光板の表面、サングラスレンズ、度付メ
ガネレンズ、カメラ用ファインダーレンズ等の光学レン
ズ、各種計器のカバー、自動車、電車等の窓ガラス等に
必要な機能、例えば、反射防止機能を付与する目的に有
用である。
【0009】本発明で使用する基材は特に限定されない
が、本発明において特に有用な基材は透明樹脂基材であ
り、例えば、ポリエチレンテレフタレート、アセテート
ブチレートセルロースフイルム、ポリエーテルサルホン
フイルム、ポリアクリル系樹脂フイルム、ポリウレタン
系樹脂フイルム、ポリエステルフイルム、ポリカーボネ
ートフイルム、ポリスルホンフイルム、ポリエーテルフ
イルム、トリメチルペンテンフイルム、ポリエーテルケ
トンフイルム、(メタ)アクリロニトリルフイルム等が
使用できるが、特に一軸延伸ポリエステルフイルムが透
明性に優れ、光学的に異方性が無い点で好適に用いられ
る。その厚みは、通常は8μm〜1000μm程度のも
のが好適に用いられる。
【0010】本発明で使用する金属酸化物ゾルは、各種
の機能を発揮する金属酸化物のゾルであり、使用する金
属としては特に限定されないが、好ましい金属は、珪
素、チタン及びタンタルである。金属酸化物の金属とし
て珪素を使用する場合には、酸化珪素のゾルを形成する
ために低級珪素アルコキシドを使用することが好まし
い。低級珪素アルコキシドは、RmSi(OR´)nで表
される化合物であり、ここでR、R´は炭素数1〜10
のアルキル基を表し、m+nは4である。更に具体的に
は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポ
キシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−s
ec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシ
ラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−i
so−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキ
シシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラ
ペンタ−sec−ブトシシラン、テトラペンタ−ter
t−ブトシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メ
チルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、
ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、
ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メ
チルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等
が挙げられる。
【0011】又、本発明において金属酸化物の金属とし
てチタン又はタンタルを使用する場合には、酸化チタン
又は酸化タンタルのゾルを形成するためにチタン又はタ
ンタルの低級アルコキシドを使用することが好ましい。
チタン又はタンタルの低級アルコキシドは、R Ti
(OR´)(Rは炭素数0〜10のアルキル基を表
し、R’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+n
は4の整数である)又はR Ta(OR´)(Rは炭
素数0〜10のアルキル基を表し、R’は炭素数1〜1
0のアルキル基を表し、m+nは5の整数である)で表
される金属アルコキシドである。更に具体的には、チタ
ンテトラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシ
ド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−
n−ブトキシド、チタンテトラ−sec−ブトキシド、
チタンテトラ−tert−ブトキシド、タンタルペンタ
エトキシド、タンタルペンタ−i−プロポキシド、タン
タルペンタ−n−プロポキシド、タンタルペンタ−n−
ブトキシド、タンタルペンタ−sec−ブトキシド、タ
ンタルペンタ−tert−ブトキシド等が挙げられる。
【0012】上記金属アルコキシドの加水分解は、上記
金属アルコキシドを適当な溶媒中に溶解して行う。使用
する溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、イソ
プロピルアルコール、メタノール、エタノール、メチル
イソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のアルコ
ール、ケトン、エステル類、ハロゲン化炭化水素、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素、或はこれらの混合
物が挙げられる。上記アルコキシドは上記溶媒中に、該
アルコキシドが100%加水分解及び縮合したとして生
じる金属酸化物換算で0.1%以上、好ましくは0.1
〜10重量%になるように溶解する。金属酸化物ゾルの
濃度が0.1重量%未満であると形成される機能膜が所
望の特性が充分に発揮できず、一方、10重量%を越え
ると透明均質膜の形成が困難となる。又、本発明におい
ては、以上の固形分以内であるならば、有機物や無機物
バインダーを併用することも可能である。
【0013】この溶液に加水分解に必要な量以上の水を
加え、15〜35℃、好ましくは22〜28℃の温度
で、5〜30時間、好ましくは12〜16時間撹拌を行
う。上記加水分解においては、触媒を用いることが好ま
しく、これらの触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸又は酢
酸等の酸が好ましく、これらの酸を約0.001〜2
0.0N、好ましくは0.005〜5.0N程度の水溶
液として加え、該水溶液中の水分を加水分解用の水分と
することができる。
【0014】以上の如くして得られた金属酸化物ゾル
は、無色透明な液体であり、ポットライフが約1ケ月の
安定な溶液であり、基材に対して濡れ性が良く、塗布適
性に優れている。上記ゾル溶液には、各種の添加剤を添
加することができる。最も重要な添加剤としては、成膜
を促進する硬化剤が挙げられ、これらの硬化剤として
は、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム等の有機酸金属塩の
酢酸、ギ酸等の有機酸溶液が挙げられる。該有機溶剤溶
液の濃度は約0.01〜0.1重量%程度であり、ゾル
溶液に対する添加量は、ゾル溶液中に存在する金属酸化
物100重量部に対して上記有機酸塩として約0.1〜
1重量部程度の範囲が好ましい。
【0015】更に最終的に得られるゲル膜を、例えば、
反射防止膜、熱線反射膜、散乱膜等に使用する場合に
は、その屈折率の調整する必要があり、例えば、屈折率
を下げるためにフッ素系有機珪素化合物、屈折率を高め
るために有機珪素化合物、屈折率を更に高めるために硼
素系有機化合物等を添加することができる。具体的に
は、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、アルキ
ルトリアルコキシシラン、コロコート40(コルコート
社製)、MS51(三菱化学製)、スノーテックス(日
産化学製)等の有機珪素化合物、ザフロンFC−11
0,220,250(東亜合成化学製)、セクラルコー
トA−402B(セントラル硝子製)、ヘプタデカフル
オロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオク
チルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメ
トキシシラン等のフッ素化合物、硼酸トリエチル、硼酸
トリメチル、硼酸トリプロピル、硼酸トリブチル等の硼
素系化合物が挙げられる。これらの添加剤はゾルの調製
時に加えてもよいし、ゾルの形成後に加えてもよい。こ
れらの添加剤を用いることによって、金属アルコキシド
の加水分解時、或はその後にシラノール基と反応して更
に均一で透明なゾル溶液が得られ、且つ形成されるゲル
膜の屈折率をある程度の範囲で変化させることができ
る。
【0016】本発明の製造方法では、前記金属酸化物ゾ
ルを、前記透明樹脂基体の表面に対し、塗布法を用いて
塗布し、その後塗布物を電子線照射処理することによ
り、金属酸化物ゲル膜を形成する。前記金属酸化物ゾル
の樹脂基体への塗布方法としては、スピンコート法、デ
ィップ法、スプレー法、ロールコーター法、メニスカス
コーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビー
ドコーター法等が挙げられる。
【0017】本発明の製造方法は、上記金属酸化物ゾル
を基材に塗布及び乾燥後、形成された膜に複数回の電子
線照射を行うことを特徴としている。電子線照射の回数
は2〜50回であることが好ましく、又、照射する電子
線の総量は50〜500Mradの範囲であることが好
ましい。電子線照射の回数が2回未満であるか、或いは
照射総量が50Mrad未満であると、基材に塗布した
金属酸化物ゾルの硬化反応が充分には促進されず、形成
される塗膜の緻密性及び硬度が低い為、満足する結果が
得られない。
【0018】一方、電子線照射の回数が50回を超える
回数であるか、或いは総照射量が500Mradを超え
ると、基材であるプラスチックフィルムが電子線により
分解を起こす為、満足する結果が得られない。電子線の
照射は酸素雰囲気、窒素雰囲気中又は水蒸気雰囲気中で
行うことができ、酸素雰囲気の場合には、活性酸素発生
により基材に塗布した金属酸化物ゾルの架橋反応が促進
される点で有利であり、窒素雰囲気の場合には、基材に
塗布した金属酸化物ゾルの架橋反応が系内で均一に進
み、又、装置改造の必要がない点で有利であり、又、水
蒸気雰囲気の場合には、電子線によりイオン化した水素
やOH基の存在により、基材に塗布した金属酸化物ゾル
の架橋反応が促進される点で有利である。
【0019】使用する電子線としては、例えば、電子線
硬化の場合にはコックロフトワルトン型、バンデグラフ
型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミ
トロン型、高周波型等の各種電子線加速機から放出され
る50〜1,000KeV、好ましくは100〜300
KeVのエネルギーを有する電子線が使用される。
【0020】以上、本発明の光学機能性膜の製造方法に
おいては、用いる塗布材料の選択により所望の機能を持
つ光学機能性膜を得ることができる。又、本発明により
得られる光学機能性膜は、単層の反射防止膜として、或
は多層の反射防止膜における低屈折率層として使用する
ことができる。
【0021】以上の如くして得られる本発明の光学機機
能性膜は、電子線の照射によって膜が均一化されてお
り、図1及び図2の模写図に示す如く、比較例の図3に
比べて粒子の存在しない面積が多く、粒子は大きいがそ
の数は非常に少なくなっている。本発明によれば、図1
及び図2に示す如く膜中における粒径10nm以上の粒
子の数が膜面積10μm×10μm当たり平均で100
0個以下になると、気相法により得られる薄膜と同等の
膜均一性となり、種々の用途において十分な機能を発揮
することを見出した。図1及び図2中における大きな粒
子は電子線の照射回数及び/又は総照射量を上げること
によって消滅し、粒子が全く観察されなくなる。
【0022】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。 実施例1 メチルトリエトキシシラン(MTEOS)が理想的にS
iO又はMeSiO1.5に加水分解及び縮合したと
仮定した時の固形分濃度が3重量%となるように、MT
EOSを溶媒であるメチルエチルケトンに溶解し、液温
が25℃に安定するまで30分間撹拌した(A液)。A
液中に、触媒である濃度0.005Nの塩酸をMTEO
Sのアルコキシド基と等モル量加え、25℃で1昼夜加
水分解を行った(B液)。このB液に、硬化剤として酢
酸ナトリウムの酢酸溶液を加えた。この液を25℃で3
時間撹拌しゾル溶液を得た。
【0023】得られたゾル溶液をポリエチレンテレフタ
レートフイルム上に固形分0.1g/mの割合で塗布
し、電子線(EB)照射装置を用いて180kv、20
mAで1回の照射量を20Mradとして20回照射を
行い、総照射量を400Mradとしたところ、良質な
SiOゲル膜が得られた。このSiO膜の屈折率は
1.44であり、膜厚は電子線未照射の場合(屈折率
1.38)と比較して30%程度減少しており、SiO
ゲル膜の緻密化が進んでいることが分かる。又、赤外
分光光度計により塗膜の赤外吸収スペクトルを測定した
ところ、電子線照射の代わりに熱処理して得られるSi
ゲル膜に見られるシラノール基の減少が認められな
いため、上記の電子線照射によってSiOゲルの化学
構造を変化させずに三次元構造が変化していると思われ
る。
【0024】そこで得られたSiOゲル膜の表面SE
M写真による観察を行ったところ、熱処理により得られ
るSiOゲル膜の表面は粒径が30nm程度の粒子の
集合体である(図3)のに対して、総照射量400Mr
adで得られた前記のSiOゲル膜の表面は熱処理の
場合と比較すると均一で緻密な構造になっていることが
分かる(図1)。尚、得られた膜の膜面積10μm×1
0μm当たりの膜中における粒径10nm以上の粒子の
数は約30個であった。
【0025】上記のシリカゲル膜の全光線透過率は9
3.4(93.2)%、ヘイズは0.8(0.8)、ダ
イヤモンドスクラッチテストによる硬度は28(28)
mN、そしてテープ剥離試験による密着性は100(1
00)%であり、同一膜厚のSiO膜を蒸着法でポリ
エチレンテレフタレートフイルム上に形成したものの物
性(上記括弧内)と比べても遜色がなかった。
【0026】実施例2 実施例1において、電子線の照射量と照射回数を下記表
1に記載の如く変化させたところ下記表1に示す結果が
得られた。
【表1】 註1)膜面積10μm×10μm当たりの膜中における
粒径10nm以上の粒子の数
【0027】実施例3 テトラプロポキシチタン(TPOT)が理想的にTiO
に加水分解及び縮合したと仮定した時の固形分濃度が
3重量%となる様に、溶媒であるエチルセロソルブに溶
解し、液温が25℃に安定するまで30分間撹拌した
(A液)。A液中に、触媒である濃度3Nの塩酸をTP
OTのアルコキシド基と等モル量加え、25℃で3時間
加水分解を行った(B液)。この液を25℃で3時間撹
拌しゾル溶液を得た。
【0028】得られたゾル溶液をポリエチレンテレフタ
レートフイルム上に固形分0.1g/mの割合で塗布
し、電子線(EB)照射装置を用いて180kv、20
mAで1回の照射量を20Mradとして20回照射を
行い、総照射量を400Mradとしたところ、良質な
TiOゲル膜が得られた。このTiO膜の屈折率は
1.44であり、膜厚は電子線未照射の場合(屈折率
1.65)と比較して20%程度減少しており、TiO
ゲル膜の緻密化が進んでいることが分かる。又、赤外
分光光度計により塗膜の赤外吸収スペクトルを測定した
ところ、電子線照射の代わりに熱処理して得られるTi
ゲル膜に見られる水酸基の減少が認められないた
め、上記の電子線照射によってTiOゲルの化学構造
を変化させずに三次元構造が変化していると思われる。
尚、得られた膜の膜面積10μm×10μm当たりの膜
中における粒径10nm以上の粒子の数は約30個であ
った。
【0029】上記のTiOゲル膜の全光線透過率は9
3.4(93.2)%、ヘイズは0.8(0.8)、ダ
イヤモンドスクラッチテストによる硬度は28(28)
mN、そしてテープ剥離試験による密着性は100(1
00)%であり、同一膜厚のTiO膜を蒸着法でポリ
エチレンテレフタレートフイルム上に形成したもの物性
(上記括弧内)と比べても遜色がなかった。
【0030】実施例4 実施例3において、電子線の照射量と照射回数を下記表
2に記載の如く変化させたところ下記表2に示す結果が
得られた。
【表2】 註1)膜面積10μm×10μm当たりの膜中における
粒径10nm以上の粒子の数
【0031】実施例5 ペンタエトキシタンタル(PEOT)が理想的にTa
に加水分解及び縮合したと仮定した時の固形分濃度
が3重量%となる様に、溶媒であるイソプロピルアルコ
ール(IPA)に溶解し、液温が25℃に安定するまで
30分間撹拌した(A液)。A液中に、触媒である濃度
1Nの塩酸を溶解した水をPEOT1モルに対して5モ
ル加え、室温で3時間加水分解を行った(B液)。この
液を25℃で3時間撹拌しゾル溶液を得た。
【0032】得られたゾル溶液をポリエチレンテレフタ
レートフイルム上に固形分0.1g/mの割合で塗布
し、電子線(EB)照射装置を用いて180kv、20
mAで1回の照射量を20Mradとして20回照射を
行い、総照射量を400Mradとしたところ、良質な
Taゲル膜が得られた。このTa膜の屈折
率は1.93であり、又、赤外分光光度計により塗膜の
赤外吸収スペクトルを測定したところ、Ta−OH基の
吸収が減少していることから、EB照射により加水分解
物の脱水反応が進行し、Ta−O−Ta重縮合が促進さ
れることが示唆された。尚、得られた膜の膜面積10μ
m×10μm当たりの膜中における粒径10nm以上の
粒子の数は約30個であった。
【0033】実施例6 実施例5において、電子線の照射量と照射回数を下記表
3に記載の如く変化させたところ下記表3に示す結果が
得られた。
【表3】 註1)膜面積10μm×10μm当たりの膜中における
粒径10nm以上の粒子の数
【0034】実施例7 実施例1における電子線照射を水蒸気雰囲気で1回の照
射量15Mradで5回、総照射量75Mradの条件
で行ったところ図2に示すように粒子数の少ない均一な
膜が得られた。
【0035】比較例1 上記実施例1により得られるゾル溶液をポリエチレンテ
レフタレートフイルム上に固形分0.1g/mの割合
で塗布し、乾燥後、120℃で1時間加熱したところ、
SiO膜が得られたが、120℃の高温で処理するた
めに、ポリエチレンテレフタレートフイルムが薄い場
合、クラックの発生が見られた。又、加熱処理に1時間
を要するため、大量生産には向かないと云う問題があ
る。
【0036】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、基材表面
に金属酸化物ゾルを塗布及び乾燥後、形成された膜に複
数回の電子線照射を行うことによって、気相法により得
られる薄膜と同等以上の膜の均一性を有する高機能且つ
高品質な機能性薄膜を、大量生産や設備コスト面で有利
な塗布法によって提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られるゲル膜のSEM写真の
模写図(倍率10万倍)
【図2】実施例7により得られるゲル膜のSEM写真模
写図(倍率10万倍)
【図3】比較例1により得られるゲル膜のSEM写真模
写図(倍率10万倍)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基材と、該基材の少なくとも一方の
    面に直接又は他の層を介して金属酸化物ゾルから形成さ
    れた金属酸化物膜とからなる光学機能性膜において、該
    膜中における粒径10nm以上の粒子の数が膜面積10
    μm×10μm当たり平均で1000個以下であること
    を特徴とする光学機能性膜。
  2. 【請求項2】 金属酸化物膜を構成する金属が珪素、チ
    タン又はタンタルである請求項1に記載の光学機能性
    膜。
  3. 【請求項3】 金属酸化物膜の厚みが0.01〜1μm
    である請求項1に記載の光学機能性膜。
  4. 【請求項4】 金属酸化物膜の硬度(mN)が10〜3
    5の範囲である請求項1に記載の光学機能性膜。
  5. 【請求項5】 基材が透明プラスチックフイルムであ
    り、金属酸化物膜の硬度(mN)が10〜25の範囲で
    ある請求項1に記載の光学機能性膜。
  6. 【請求項6】 基材表面に直接又は他の層を介して金属
    酸化物ゾルを塗布及び乾燥後、形成された膜に複数回の
    電子線照射を行うことを特徴とする光学機能性膜の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 電子線照射の回数が2〜50回である請
    求項6に記載の光学機能性膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 照射する電子線の総量が50〜500M
    radの範囲である請求項6に記載の光学機能性膜の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 金属酸化物ゾルが、金属アルコキシドを
    加水分解して調製したゾルである請求項6に記載の光学
    機能性膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 電子線照射を酸素雰囲気、窒素雰囲気
    中又は水蒸気雰囲気中で行う請求項6に記載の光学機能
    性膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 形成される膜の屈折率が1.38〜
    2.2である請求項6に記載の光学機能性膜の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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