JPH10227809A - 回転状態検出装置 - Google Patents

回転状態検出装置

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JPH10227809A
JPH10227809A JP3394297A JP3394297A JPH10227809A JP H10227809 A JPH10227809 A JP H10227809A JP 3394297 A JP3394297 A JP 3394297A JP 3394297 A JP3394297 A JP 3394297A JP H10227809 A JPH10227809 A JP H10227809A
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magnetic
magnetic field
rotation
magnetoresistive element
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JP3394297A
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Yasuharu Terada
康晴 寺田
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検出すべき被検出体の回転方向の検出を可能
とした回転状態検出装置を提供すること。 【解決手段】 被検出体である回転軸2の回転に応じて
変化する磁界を発生させるロータ3と、このロータ3に
より生ずる磁界内に配置され磁界の変化に対応した検出
信号を出力する磁気抵抗素子4と、その検出信号に基づ
いて被検出体の回転状態を演算する演算回路5とを備え
ており、回転軸2の回転に伴ってロータ3が磁気抵抗素
子4に及ぼす磁界を変化させ、磁気抵抗素子4に少なく
とも三種類の極値を有する検出信号を出力させ、かつ、
それらの極値が回転軸2の回転方向の相違に基づき異な
る順序で検出される。このため、それらの極値の現れる
順序を検出することにより、回転軸2の回転方向の判別
が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検出体の回転方
向、回転角度又は回転速度などの回転状態を検出するた
めの磁気式の回転状態検出装置に関し、特に、車両など
の各種装置に組み込まれる回転部分の回転状態の検出に
適した磁気式の回転状態検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、被検出体の回転状態を検出する装
置としては、特開昭61−97515号公報に記載され
るものが知られている。この公報に記載される回転検出
装置は、磁気記録式のロータリーエンコーダであって、
公報第1図に示されるように、検出対象であるモータの
回転軸に取り付けられた磁気ドラムと、この磁気ドラム
の外周面に対し離間して配した磁気抵抗素子とを備えて
構成されている。また、磁気ドラムの外周部分には、そ
の周方向に沿って異なる磁極N、Sが交互に着磁されて
おり、その磁極のうちの一つが大型なものとされてい
る。
【0003】このようなロータリーエンコーダによれ
ば、モータの駆動と共に磁気ドラムが回転して、磁気抵
抗素子の周囲の磁界が変化する。この磁界の変化により
磁気抵抗素子の抵抗値が変化して、その磁気抵抗素子か
ら磁界変化に応じた信号が出力される。このとき、磁気
ドラムの一つの磁極が大型なものであるため、磁気ドラ
ムの一回転ごとに一パルスの基準信号が得られることに
なる。そして、この基準信号により、モータの回転位置
を検出しようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
回転検出装置(ロータリーエンコーダ)にあっては、検
出すべき回転体の回転方向が検出できないという問題点
がある。すなわち、前述の磁気記録式のロータリーエン
コーダにあっては、基準信号に基づいて回転体であるモ
ータ回転軸の回転角度を検出することは可能であるが、
モータ回転軸の回転方向を検出する手段を備えておら
ず、その回転方向の検出が行えない。このため、モータ
が回転駆動中に逆回転し始めた場合など、その回転方向
の変化を検知できず、それに起因してモータ回転軸の回
転位置(回転角度)も正確に検出することができない。
【0005】そこで本発明は、以上のような問題点を解
決するためのなされたものであって、検出すべき被検出
体の回転方向の検出を可能とした回転状態検出装置を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の回転状態検出装置は、被検出体の回
転に応じて変化する磁界を発生させる磁界発生手段と、
この磁界発生手段により生ずる磁界内に配置され磁界の
変化に対応した検出信号を出力する磁気検出手段と、検
出信号に基づいて被検出体の回転状態を演算する演算手
段とを備えた回転状態検出装置において、磁界発生手段
が被検出体の回転に伴う磁界の変化により磁気検出手段
に少なくとも三種類の極値を有する検出信号を出力さ
せ、かつ、それらの極値が被検出体の回転方向の相違に
基づき異なる順序で検出され、極値の出現順序の相違に
基づき被検出体の回転方向を判別する判別手段を備えた
ことを特徴とする。
【0007】この発明によれば、磁気検出手段から出力
される検出信号において、少なくとも三種類の極値が検
出され、それらの極値が被検出体の回転方向の相違に基
づき異なる順序で検出される。このため、それらの極値
の現れる順序を検出することにより、被検出体の回転方
向の判別が可能となる。
【0008】また本発明の回転状態検出装置は、被検出
体の回転に応じて変化する磁界を発生させる磁界発生手
段と、この磁界発生手段により生ずる磁界内に配置され
磁界の変化に対応した検出信号を出力する磁気検出手段
と、検出信号に基づいて被検出体の回転状態を演算する
演算手段とを備えた回転状態検出装置において、磁界発
生手段が被検出体の回転に伴う磁界の変化により磁気検
出手段に少なくとも二種類の極値を有する検出信号を出
力させ、かつ、それらの極値が被検出体の回転方向の相
違に基づき異なる時間間隔で検出され、極値の出現の時
間間隔に基づき被検出体の回転方向を判別する判別手段
を備えたことを特徴とする。
【0009】この発明によれば、被検出体の回転方向が
異なることにより、磁気検出手段から出力される検出信
号において、二種類の極値が異なる時間間隔で検出され
る。このため、これらの極値の現れるタイミングを検出
することにより、被検出体の回転方向の判別が可能とな
る。
【0010】また本発明の回転状態検出装置は、前述の
磁気検出手段が磁気抵抗素子であることを特徴とする。
【0011】この発明によれば、磁気検出手段から出力
される検出信号が被検出体の回転速度に依存することな
く被検出体の回転に応じた出力値となる。このため、被
検出体の低速回転時においても、被検出体の回転方向が
確実に検出可能となる。
【0012】更に本発明の回転状態検出装置は、前述の
磁気検出手段が強磁性体と非磁性体を交互に積層させた
人工格子を有する磁気抵抗素子であることを特徴とす
る。
【0013】この発明によれば、磁界発生手段の磁界変
化に応じて磁気検出手段から出力される検出信号が大き
く変動するので、磁気検出手段を磁界発生手段に極度に
接近させて配置する必要がない。このため、磁界発生手
段及び磁気検出手段を構成する部品について精密な寸法
精度が要求されず、磁界発生手段及び磁気検出手段の部
品コストが低減でき、また、その製造が容易なものとな
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき、本発明
の種々の実施形態について説明する。尚、各図において
同一要素には同一符号を付して説明を省略する。また、
図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致していな
い。
【0015】(第一実施形態)図1は、本実施形態に係
る回転状態検出装置の構成概略図である。図1に示すよ
うに、回転状態検出装置1は、被検出体である回転軸2
に取り付けられたロータ3と、そのロータ3の近傍に配
置された磁気抵抗素子4と、その磁気抵抗素子4に接続
された演算回路5とにより構成されている。ロータ3
は、回転軸2の回転に応じて変化する磁界を発生させる
ための磁界発生手段であり、磁界を発生させる機能とそ
の磁界を変化させる機能を有している。このロータ3
は、例えば、外周部分に磁極31、32を有する円筒体
により形成される。ロータ3の磁極31及び磁極32
は、互い異なる極性(N、S)のものであって、ロータ
3の周方向に沿って交互に連続して配設されている。こ
の各磁極31、32により、図2に示すようにロータ3
の外周近傍の空間には、各磁極31、32ごとに磁界が
形成される。
【0016】また、図1に示すように、磁極31、32
のうち二つのもの、即ち磁極31a、32aは他の磁極
31、32に対して磁力が大きく、そして、磁極31a
は磁極32aの磁力に対して大きな磁力を有している。
例えば、磁極32aは磁極31、32に比べ、ロータ3
の軸方向(図1では上方)に長いものとされ、磁極31
aはその磁極32aに比べ、更に軸方向に長いものとさ
れる。このため、図2に示すように、ロータ3における
磁極31a、32aの外周近傍の空間には、他の磁極3
1、32に比べ強い磁界が形成される。そして、その磁
界は、磁極32aに比べ磁極31aのものが強いものと
なる。
【0017】一方、図1において、ロータ3は、回転軸
2に対し同心状に取り付けられており、回転軸2の回転
と同時に回転する構造となっている。このため、回転軸
2及びロータ3の回転により、その外部近傍の空間に
は、磁極31、32が交互に通過することになり、変化
する磁界が与えられることになる。そして、磁極31
a、32aの通過に伴って、より強い磁界が与えられる
ことになる。
【0018】このようなロータ3は、円筒体又は円柱体
などの外周に磁極31等となる磁石を個々に取り付ける
などして形成してもよいが、N、S極の磁性物質を樹脂
に混在させて一体成型により形成することが望ましい。
この場合、ロータ3の外周面を滑らかな円弧状とするこ
とが容易に行え、ロータ3が外部空間に対して適正に磁
界を与えるものとなる。
【0019】なお、図1、2において、ロータ3におけ
る磁極31a、32aは隣り合う位置に配設されている
が、磁極31a、32aが互いにロータ3の対称位置
(回転軸2を中心として対称な位置)に配されていなけ
れば、それらが隣り合わない位置に配設されていてもよ
い。また、磁極31a、32aは、他の磁極31、32
の磁界に対して異なる磁界の強さを形成するものであれ
ばよく、他の磁極31、32に比べ弱い磁界を形成する
ものであってもよい。更に、ロータ3は、磁極31、3
2及び磁極31a、32aがロータ3の外周面に形成さ
れるものに限られるものでなく、回転軸2及びロータ3
の回転に伴って外部空間に対し変化する磁界を与えるも
のであれば、各磁極がロータ3の側面などその他の部分
に形成されていてもよい。
【0020】図1において、ロータ3の外周近傍には、
磁気抵抗素子4が設置されている。磁気抵抗素子4は、
ロータ3の磁極31、32などにより形成される磁界内
に配置され、その磁界の変化に対応して検出信号を出力
する磁気検出手段であり、例えば、人工格子膜を備えた
ものが用いられる。
【0021】図3に磁気抵抗素子4の構造説明図を示
す。図3において、磁気抵抗素子4は、上面を鏡面仕上
げしたシリコン基板41上に絶縁層となる酸化膜(Si
2膜:図示なし)が形成され、この酸化膜上に磁性体
からなるバッファ層42が形成され、更にバッファ層4
2上に人工格子膜43が形成された構造となっている。
バッファ層42及び人工格子膜43は、線状パターン化
され、磁界の変化を検知する磁気検知部44を構成して
いる。また、人工格子膜43は、強磁性体と非磁性体を
交互に積層してなる多層構造体により構成されている。
【0022】このような磁気抵抗素子4の具体的な製造
方法の一例を挙げると、まず、シリコン基板41上に鉄
ニッケル(NiFe)からなる数nm(例えば、5n
m)の厚さのバッファ層42を蒸着した後、そのバッフ
ァ層42上に強磁性体としてコバルト(Co)、非磁性
体として銅(Cu)を各1〜2nmの厚さで交互に各1
6層蒸着して人工格子膜43を形成する。そして、所望
の線状パターンのレジストパターン層を用い、このレジ
ストパターン層部分以外のバッファ層42、人工格子膜
(強磁性体、非磁性体)の各層を除去して、所望の形状
に人工格子膜43を線状パターン化し磁気検知部44を
形成する。その後、バッファ層42及び人工格子膜43
をシリコン酸化膜(SiO2膜)などからなる保護膜4
5により覆い、人工格子膜43の両端に電極46、46
を形成して、磁気抵抗素子4の製造が完了する。
【0023】図4(a)、(b)は、磁気抵抗素子4の
磁界検出機能の説明図である。図4(a)に模式的な磁
気抵抗素子4の垂直断面を示し、図4(b)に平面から
見た模式的な磁気抵抗素子4を示す。図4(a)におい
て矢印Aのように人工格子膜43の積層方向に対し垂直
な方向を磁気抵抗素子4の「垂直方向」とし、図4
(b)において矢印B、Cのように人工格子膜43の積
層方向に対して平行な方向を磁気抵抗素子4の「水平方
向」とすると、磁気抵抗素子4は、その垂直方向及び水
平方向の両方向における磁界の強さの変化に対応し抵抗
値(電気抵抗値)が変化する素子である。特に、水平方
向の磁界変化に対して、大きく抵抗値が変化することが
知られている。
【0024】図5に、磁気抵抗素子4における水平方向
の磁界の強さ−抵抗変化率特性のグラフを示す。図5に
おいて、磁気抵抗素子4の水平方向における磁界の強さ
が0エルステッドのとき、人工格子膜43の抵抗値が最
大となる。そして、水平方向の磁界の強さが大きくなる
に連れて抵抗値が減少し、その強さが±500エルステ
ッド程度となると人工格子膜43の抵抗値が最小となっ
て飽和し、それ以上に磁界の強さが変化しても抵抗値は
変わらない。ここで、抵抗変化率を(最大抵抗値−最小
抵抗値)/(最大抵抗値)とすると、前述のように磁界
の強さが変化したときの磁気抵抗素子4の抵抗変化率
は、約20%である。この磁気抵抗素子4の抵抗値変化
に応じて検出信号を出力させるには、例えば、磁気抵抗
素子4の人工格子膜43、即ち磁気検知部44に一定電
流を供給すればよい。この場合、その周囲の磁界の強さ
の変化に応じて変動する検出信号が得られることにな
る。また、磁気抵抗素子4に固定抵抗値の抵抗を接続
し、それらの両端に一定電圧を供給した状態とした場合
でも、磁気抵抗素子4の周囲の磁界の強さの変化に応じ
て変動する検出信号が得られることになる。
【0025】このように、磁気抵抗素子4は、その周囲
の磁界の強さの変化に対応して人工格子膜43の抵抗値
が大きく変化するものである。このため、この磁気抵抗
素子4を磁界方向の検出手段として用いる場合、磁界を
生じさせるロータ3に極度に接近させて配置しなくても
検出信号の検出が可能となる。従って、ロータ3及び磁
気抵抗素子4について精密な寸法精度が要求されず、そ
れらの部品コストが低減できる。また、それらの設置も
容易なものとなる。
【0026】図1に示すように、磁気抵抗素子4は、ロ
ータ3により形成される磁界内に配置され、演算回路5
により電極46、46を通じて人工格子膜43よりなる
磁気検知部44に定電流が供給されている。このため、
回転軸2と共にロータ3が回転すると、磁気抵抗素子4
の周囲の磁界が変化することになり、磁気抵抗素子4か
らその磁界の変化に対応した検出信号が出力される。こ
のとき、ロータ3の外周近傍の空間には、その外周面に
対してほぼ直交する磁力線を有する磁界が形成されるか
ら、図1のようにその磁力線が磁気抵抗素子4の水平方
向(人工格子膜43の各層と平行となる方向)となるよ
うに磁気抵抗素子4を配置すれば、磁界変化を効率よく
検出できる。
【0027】また、磁気抵抗素子4は、回転するロータ
3が形成する磁界の変化に応じて、三種類の極値を有す
る検出信号を出力する機能を有している。例えば、磁気
抵抗素子4は、ロータ3による磁界変化を検知して、図
8に示すような検出信号S1を出力する。磁気抵抗素子
4がこのような検出信号を出力するのは、ロータ3が形
成する磁界の変化量がその回転位置により異なることに
起因する。すなわち、前述のように、ロータ3は磁極3
1、32、磁極31a及び磁極32aはそれぞれ異なる
磁力を有するものとして構成されており、これら各磁極
が形成する磁界の強さがそれぞれ異なっている。このた
め、ロータ3の回転により磁気抵抗素子4の前を各磁極
が通過するごとに磁気抵抗素子4から出力される検出信
号が変動して極値となる。そして、磁気抵抗素子4の前
を磁力の大きい磁極31a及び磁極32aが通過する
と、検出信号が大きく変動して大きな波高値(例えば電
圧値)を有する極値となる。しかも、磁極31aと磁極
32aの磁力も異なっているため、その通過に伴う検出
信号の波高値も異なるものとなる。このように、ロータ
3の回転により、磁気抵抗素子4の検出信号は三種類の
極値を有するものとなる。
【0028】ここで、検出信号における「極値」とは、
検出信号の変動による各凹凸ごとの最大値又は最小値を
いい、極大値及び極小値の双方を含むものである。例え
ば、検出信号が正弦波信号でなく、矩形波が連続してな
るパルス信号などであるときには、各矩形波ごとの最大
値又は最小値がここでいう「極値」となる。
【0029】更に、その検出信号の三種類の極値は、ロ
ータ3の回転方向、即ち回転軸2の回転方向の相違に基
づき異なる順序で検出される。例えば、図1において、
ロータ3が右回りに回転すると、磁気抵抗素子4の前を
磁極31、32が通過した後、磁極31a、磁極32a
の順序でそれらが通過することになる。このため、磁気
抵抗素子4から出力される検出信号において、磁極3
1、32の通過に伴う小さい極値が現れた後、最も大き
い極値が現れ、そしてやや大きい極値が現れることにな
る。一方、ロータ3が左回りに回転すると、磁気抵抗素
子4の前を磁極31、32が通過した後、磁極32a、
磁極31aの順序でそれらが通過することになる。この
ため、磁気抵抗素子4から出力される検出信号におい
て、磁極31、32の通過に伴う小さい極値が現れた
後、やや大きい極値が現れ、そして最も大きい極値が現
れることになる。
【0030】このように、磁気抵抗素子4の検出信号に
おいて、回転軸2の回転方向の相違に基づき異なる順序
で波高値の異なる極値が現れることになる。そして、回
転軸2の回転状態の検出において、検出信号の異なる極
値の現れる順序を検出することにより、回転軸2の回転
方向の判別が可能となる。
【0031】なお、磁気検出手段としては、検出感度の
高い人工格子膜43を有する磁気抵抗素子4を用いるの
が望ましいが、強磁性体を用いたMR素子、半導体を用
いたMR素子、スピンバルブを用いたGMR素子などを
用いる場合もある。
【0032】図6に演算回路の構成概略図を示す。図6
において、演算回路5は、磁気抵抗素子4から出力され
る検出信号に基づいて回転軸2の回転状態を演算する機
能を備えた演算手段であって、その回転状態を判別する
判別手段であり、例えば、定電流源51、極値検出部5
2及びマイコン53により構成される。定電流源51
は、磁気抵抗素子4の一方の端子に接続されており、そ
の磁気抵抗素子4に一定電流を供給している。また、磁
気抵抗素子4の他方の端子は、演算回路5内で接地され
ている。極値検出部52は、磁気抵抗素子4の検出信号
における極値の数に対応して三つのコンパレータ52
a、52b及び52cを備えている。これらコンパレー
タ52a〜52cは、非反転端子(+)にそれぞれ異な
るしきい値が設定されている。例えば、図8に示すよう
に、コンパレータ52aのしきい値Vaは、検出信号S
1における全ての極値を検出できるように設定されてい
る。また、コンパレータ52bのしきい値Vbは、ロー
タ3の磁極31a、32aの磁界による極値のみを検出
できるように設定されている。更に、コンパレータ52
cのしきい値Vcは、ロータ3の磁極31aの磁界によ
る極値のみを検出できるように設定されている。これら
のしきい値Va〜Vcは、検出信号S1の各極値の波高
値を考慮して適宜設定すればよい。一方、コンパレータ
52a〜52cの各反転端子(−)には磁気抵抗素子4
の他方の端子が接続され、磁気抵抗素子4の検出信号が
入力されるようになっている。
【0033】このような演算回路5に磁気抵抗素子4の
検出信号が入力されると、コンパレータ52aから検出
信号の全ての極値に対応したパルス信号が出力される。
また、コンパレータ52bから磁極31a、32aによ
る極値に対応したパルス信号が出力され、コンパレータ
52cから磁極31aによる極値に対応したパルス信号
が出力される。そして、これらの各パルス信号は、マイ
コン53に入力されることになる。
【0034】図6において、マイコン53は、極値検出
部52の各コンパレータ52からの出力信号に基づいて
回転軸2の回転状態などを演算し判別するものである。
例えば、マイコン53は、コンパレータ52aの出力信
号に基づき単位時間当りのパルス入力数を計測し、その
パルス入力数により回転軸2の回転速度の演算を行う。
また、コンパレータ52b、52cの出力信号を比較
し、コンパレータ52cの出力信号におけるパルス入力
のタイミングを検出して、回転軸2の回転方向の判別を
行う。更に、コンパレータ52a、53cの出力信号を
比較し、コンパレータ52cの出力信号におけるパルス
入力時を基準としてコンパレータ52aの出力信号にお
けるパルス入力数を計測し、回転軸2の回転角度の演算
を行う。
【0035】このように、演算回路5によれば、磁気抵
抗素子4の検出信号に基づいて、回転軸2の回転角度、
回転速度及び回転方向を演算することが可能となる。な
お、回転状態検出装置1における演算手段及び判別手段
は、このような演算回路5に限られるものではなく、磁
気抵抗素子4の検出信号に基づき回転軸2の回転方向が
演算し判別できるものであれば、その他のものを用いて
もよい。
【0036】次に、回転状態検出装置1の使用方法及び
その動作について説明する。
【0037】図1に示すように、被検出体である回転軸
2にロータ3を取り付け、回転軸2と共にロータ3が回
転するようにしておく。このとき、被検出体としては、
長尺状の軸体に限られるものでなく、回転体であり、か
つ、ロータ3が同心状に回転するように取付可能であれ
ば、その他の形状などを呈するものであってもよい。
【0038】そして、回転軸2に取り付けたロータ3の
外周近傍に、磁気抵抗素子4を配置する。このとき、ロ
ータ3の磁極31、32、31a及び32aにより形成
される磁界内に磁気抵抗素子4を配置することが肝要で
ある。磁気抵抗素子4は、ロータ3の磁界の磁力線の向
きに対し人工格子膜43が平行となるような向きに配置
することが望ましい。このような向きに磁気抵抗素子4
を配置することにより、回転軸2の回転状態の検出感度
を高めることができる。また、このように配置すること
により十分に検出信号の出力が得られるため、磁気抵抗
素子4をロータ3の外周面に極度に接近させる必要がな
い。従って、ロータ3などの構成部品を精密な寸法精度
で製造する必要がなく部品コストの軽減が図れる。ま
た、回転状態検出装置1の製造も容易なものとなる。更
に、磁気抵抗素子4の検出信号を増幅器を介することな
くコンパレータなどで直接的に極値を検出することがで
き、演算回路5の簡略化が図れる。
【0039】そして、磁気抵抗素子4に演算回路5を電
気的に接続し、一方の電極46に一定電流値の定電流を
供給する。この定電流の供給により、磁気抵抗素子4の
人工格子膜43である磁気検知部44に一定の電流が流
れ、人工格子膜43の抵抗値に従って電極46、46間
に電位差が生じ、その電位差が検出信号として検知され
ることになる。
【0040】この状態(図1の状態)において、回転軸
2が右回り(図1の矢印方向)に回転すると、それに伴
ってロータ3も右回りに回転し始める。このため、ロー
タ3の磁極31、32が順次磁気抵抗素子4の前を通過
することになる。このとき、図2に示すようにロータ3
の外周近傍の空間には、隣接する磁極ごとに異なる向き
の磁界が形成されているから、磁気抵抗素子4の前を各
磁極が通過するごとに磁気検知部44の抵抗値が変動す
ることになる。このような磁気検知部44の抵抗値変動
は、磁気抵抗素子4の検出信号において極値となって現
れる。そして、磁力の強い磁極31a、32aが磁気抵
抗素子4の前を通過するとき、磁気検知部44の抵抗値
は大きく変動して、検出信号の振幅が大きくなり、異な
る極値が現れる。
【0041】このような回転軸2及びロータ3の回転に
伴う検出信号の出力について、図7、図8に基づいて詳
述する。図7は、回転検出時におけるロータ3と磁気抵
抗素子4と位置関係を示す図である。図8は、磁気抵抗
素子4の検出信号の電圧波形を示す図である。図7
(a)に示すように、磁気抵抗素子4の前にロータ3の
磁極32が位置するときには、磁極32の近傍空間に弱
い磁界しか形成されておらず、磁気検知部44に三分の
一程度の範囲しか磁界が加わらないため、その磁界を受
けて磁気検知部44の抵抗値が若干低下する。従って、
図8中の時間(a)に示すように、磁気抵抗素子4の検
出信号S1が若干低く変動して、演算回路5のしきい値
Vaを下回る程度の極値が現れる。
【0042】そして、ロータ3が更に回転すると、図7
(b)に示すように、磁気抵抗素子4の前に磁極31a
が位置することになる。このとき、磁極31aの近傍空
間には非常に強い磁界が形成されており、磁気検知部4
4の全範囲に磁界が加わるため、その磁界を受けて磁気
検知部44の抵抗値が大きく低下する。従って、図8中
の時間(b)に示すように、磁気抵抗素子4の検出信号
が非常に低くなり、演算回路5のしきい値Va、Vb、
Vcの全てを下回るほどの極値が現れる。
【0043】このとき、磁気抵抗素子4に加わる磁界の
向きは、図7(a)のとき(磁気抵抗素子4の前に磁極
32が位置するとき)に対し反対の向きとなるが、磁気
検知部44の抵抗値は、磁界の向きに依存せず、その磁
界の強度に応じて低下する。なお、磁気抵抗素子4の前
に各磁極の境界部分が位置するときには、磁気抵抗素子
4の水平方向にかかる磁界が非常に小さいものとなるた
め、磁気検知部44の抵抗値が高くなる。このため、磁
気抵抗素子4の検出信号S1において電圧が高い状態と
なる。
【0044】そして、ロータ3が更に回転すると、図7
(c)に示すように、磁気抵抗素子4の前に磁極32a
が位置することになる。このとき、磁極32aの近傍空
間にはやや強い磁界が形成されており、磁気検知部44
の三分の二程度の範囲に磁界が加わるため、その磁界を
受けて磁気検知部44の抵抗値がやや大きく低下する。
従って、図8中の時間(c)に示すように、磁気抵抗素
子4の検出信号S1がやや大きく低下し、演算回路5の
しきい値Va、Vbを下回るほどの極値が現れる。
【0045】そして、ロータ3が更に回転すると、図7
(d)に示すように、磁気抵抗素子4の前に磁極32が
位置することになる。このとき、磁極32の近傍空間に
は弱い磁界しか形成されておらず、磁気検知部44の三
分の一程度の範囲しか磁界が加わらないため、その磁界
を受けて磁気検知部44の抵抗値が若干低下する。従っ
て、図8中の時間(d)に示すように、磁気抵抗素子4
の検出信号S1がやや低下し、演算回路5のしきい値V
aのみを下回るほどの極値が現れる。
【0046】更にロータ3が回転し続けると、磁気抵抗
素子4の前を磁極31と磁極32が交互に位置すること
になる。このため、その各磁極が磁気検知部44の前を
通過するごとに、磁気抵抗素子4の検出信号S1にしき
い値Vaのみを下回るほどの極値が現れることになる。
【0047】このように、回転軸2の回転に伴ってロー
タ3が回転すると、磁気抵抗素子4から図8に示すよう
な三種類の極値を有する検出信号S1が出力されること
になる。そして、図6のように、磁気抵抗素子4の検出
信号S1は演算回路5に入力される。そして、検出信号
S1は、極値検出部52の各コンパレータ52a〜52
cにそれぞれ入力される。
【0048】図9に演算回路5におけるコンパレータ5
2a〜52cの出力信号のタイミングチャートを示す。
コンパレータ52aには各磁極の通過による全て極値が
検出できるようにしきい値Vaが設定されているので、
図9(a)のように、コンパレータ52aからは全ての
極値に応じたパルス波を有するパルス信号S1aが出力
される。また、コンパレータ52bには磁極31a、3
2aの通過による極値が検出されるようにしきい値Vb
が設定されているので、図9(b)のように、コンパレ
ータ52bからは磁極31a、32aによる極値に応じ
たパルス波を有するパルス信号S1bが出力される。更
に、コンパレータ52cには磁極31aの通過による極
値のみが検出されるようにしきい値Vcが設定されてい
るので、図9(c)のように、コンパレータ52bから
は磁極31aによる極値のみに応じたパルス波を有する
パルス信号S1cが出力されることになる。
【0049】そして、図6のように、これらの各パルス
信号S1a、S1b及びS1cは、マイコン53に入力さ
れて演算され、ロータ3の回転速度、回転角度及び回転
方向が検出される。例えば、マイコン53により、コン
パレータ52aのパルス信号S1aに基づき単位時間当
りのパルス入力数が計測され、そのパルス入力数により
回転軸2の回転速度が算出される。また、コンパレータ
52a、53cのパルス信号S1a、S1cが比較され、
コンパレータ52cのパルス信号S1cにおけるパルス
入力時を基準としてコンパレータ52aのパルス信号S
1aにおけるパルス入力数が計測されて、回転軸2の回
転角度が算出される。
【0050】更に、コンパレータ52b、52cのパル
ス信号S1b、S1cが比較され、コンパレータ52cの
パルス信号S1cにおけるパルス入力のタイミングによ
り、回転軸2の回転方向が検出される。例えば、パルス
信号S1bの一つ目のパルス入力時にパルス信号S1cで
パルス入力されるときには(図9(b)、(c)に示す
ようなときには)、回転軸2が右回りに回転していると
判断される。また、パルス信号S1bの一つ目のパルス
入力時にパルス信号S1cでパルス入力されず、パルス
信号S1bの二つ目のパルス入力時にパルス信号S1cで
パルス入力されるときには、回転軸2が左回りに回転し
ていると判断される。
【0051】このように、演算回路5により、磁気抵抗
素子4の検出信号に基づいて、ロータ3の回転角度、回
転速度及び回転方向、即ち被検出体である回転軸2の回
転角度、回転速度及び回転方向が検出される。なお、回
転軸2が右回りに回転した場合について説明したが、左
回りに回転したときも同様にして、その回転軸2の回転
角度、回転速度及び回転方向が検出可能である。
【0052】以上のように、本実施形態に係る回転状態
検出装置1によれば、磁気抵抗素子4から出力される三
種類の極値を有する検出信号に基づいて、それらの三種
類の極値の現れる順序を検出することにより、被検出体
である回転軸2の回転方向を容易に判別することができ
る。
【0053】また、磁気検出手段として磁気抵抗素子4
を用いることにより、その磁気抵抗素子4から回転軸2
の回転速度に依存することなく検出信号が確実に得られ
る。このため、回転軸2が低速又は高速で回転する場合
などでも、回転軸2の回転方向が確実に検出できる。
【0054】更に、磁気検出手段として強磁性体と非磁
性体を交互に積層させた人工格子膜43を有する磁気抵
抗素子4を用いることにより、微弱な磁界変化を検出す
ることが可能となる。このため、磁気抵抗素子4をロー
タ3に極度に接近させて配置する必要がない。従って、
磁気抵抗素子4及びロータ3を構成する部品について精
密な寸法精度が要求されず、磁気抵抗素子4及びロータ
3の部品コストの低減が図れる。また、それら磁気抵抗
素子4及びロータ3の配設作業が容易となり、製造性に
優れたものとなる。
【0055】(第二実施形態)次に、第二実施形態に係
る回転状態検出装置について説明する。
【0056】第一実施形態に係る回転状態検出装置1に
あっては、磁気抵抗素子4から出力される三種類の極値
を有する検出信号に基づき、それらの極値の現れる順序
を検出して被検出体の回転方向を判別するものであった
が、その磁気抵抗素子4から出力される検出信号が四種
類以上の極値を有するものであってもよい。すなわち、
本実施形態に係る回転状態検出装置1aは、ロータ3が
磁力の異なる四つ以上の磁極を有しているものである。
例えば、前述の回転状態検出装置1において、ロータ3
が四つ以上の異なる磁力を有する磁極を有するものとし
て回転状態検出装置1aを構成すれば、磁気抵抗素子4
の検出信号にその異なる磁力の磁極の種類数に対応した
極値が現れることになる。この場合であっても、第一実
施形態の回転状態検出装置1と同様な作用効果を得るこ
とができる。
【0057】(第三実施形態)次に、第三実施形態に係
る回転状態検出装置について説明する。
【0058】第一実施形態及び第二実施形態に係る回転
状態検出装置1、1aにあっては、磁気抵抗素子4から
出力される検出信号が少なくとも三種類の極値を有する
ものであったが、その検出信号における二種類の極値か
ら被検出体の回転方向を判別するものであってもよい。
すなわち、本実施形態に係る回転状態検出装置1bは、
磁界発生手段が被検出体の回転に伴う磁界の変化により
磁気検出手段に少なくとも二種類の極値を有する検出信
号を出力させ、かつ、それらの極値の検出されるタイミ
ングに基づき被検出体の回転方向を判別するものであ
る。
【0059】図10に本実施形態に係る回転状態検出装
置1bの構成概略図を示す。図10において、回転状態
検出装置1bは、磁気発生手段である磁石6及びロータ
7と、磁気検出手段である磁気抵抗素子4bと、演算手
段及び判別手段である演算回路5bとにより構成されて
いる。ロータ7は、被検出体である回転軸2に取り付け
られ、回転軸2と共に回転する構造となっており、その
回転により磁石6が形成する磁界を変化させる機能を有
している。このロータ7は、鉄などの磁路となり得る物
質よりなる円筒体であって、その周面に上下二段に複数
の孔71、72を開口している。孔71、72は、ロー
タ7の回転に対応して磁石6の磁界の方向を変える部位
であって、ロータ7の周方向に沿って連続して一定間隔
で開口されている。なお、ロータ7において、磁界の方
向を変える部位としては、ロータ7の周面を貫通する孔
71、72に限られず、ロータ7の外表面又は内表面に
設けた凸部又は凹部であってもよい。
【0060】また、図10に示すように、孔71と孔7
2は、ロータ7の周方向に対して互いに上下で一致しな
い位置、即ちズレた位置に開口されている。ここで、孔
71、71までの一周期分の距離をTとすると、例え
ば、孔72は、孔71から左回りに1/3Tの距離を隔
てて開口される。このように、孔71、72を互いの中
間位置に設けないことにより、ロータ7の回転方向、即
ち回転軸2の回転方向の違いにより、異なる磁界の変化
を生じさせることが可能となる。
【0061】図10において、ロータ7の外周面に隔て
て磁石6が配設されている。この磁石6は、磁界を発生
させるためのものであり、ロータ7の外周面側に磁力線
が向くように配置されている。なお、図10では、ロー
タ7のN極がロータ7に対面しているが、そのS極がロ
ータ7に対面するようにロータ7が配置されていてもよ
い。また、磁界を発生させる手段としては、永久磁石で
ある磁石6に限られず、電磁石などその他のものを用い
てもよい。
【0062】図10において、ロータ7と磁石6の間に
は、磁気抵抗素子4bが配設されている。磁気抵抗素子
4bは、ロータ7の回転による磁界の変化に対応して検
出信号を出力する磁気検出手段であり、磁石6により形
成される磁界内に配されている。この磁気抵抗素子4b
は、基本構造としては、前述した磁気抵抗素子4と同様
なものであるが、磁気検知部44が低抵抗部44aと高
抵抗部44bを備える点で磁気抵抗素子4と異なってい
る。すなわち、図10に示すように、磁気検知部44
は、異なる抵抗値を示す低抵抗部44a及び高抵抗部4
4bを備えており、磁気抵抗素子4bに加わる磁界が変
化したときにその磁界変化の位置も検出可能な構造とな
っている。低抵抗部44aは、直線状の人工格子膜43
より形成され、一方、高抵抗部44bは、低抵抗部44
aと連続して形成され人工格子膜43を複数回折返して
高抵抗値となっている。なお、この高抵抗部44bは、
低抵抗部44aに対し高い抵抗値であれば、人工格子膜
43のパターン幅を変えるなどして形成してもよい。
【0063】図10のように、磁気検知部44がロータ
7の外周近傍に位置するように磁気抵抗素子4bが配置
されている。そして、磁気検知部44の低抵抗部44a
がロータ7の上段の孔71の前に配され、高抵抗部44
bが下段の孔72の前に配されている。このため、ロー
タ7の回転により孔71が低抵抗部44aの前を通過す
るごとに磁気抵抗素子4bから出力される検出信号に小
さな極値が現れ、また、孔72が高抵抗部44bの前を
通過するごとに検出信号に大きな極値が現れることにな
る。つまり、ロータ7の回転により大小の二種類の極値
を有する検出信号が出力され、かつ、ロータ7の回転方
向により孔71、72の通過タイミングが異なるので回
転軸2の回転方向の相違に基づき異なるタイミングでそ
れらの極値が検出される。従って、このような磁気検知
部44によれば、同一の磁気抵抗素子4bにより孔7
1、72ごとの通過時をそれぞれ検知して、ロータ7の
回転速度及び回転方向を検出することが可能となる。な
お、図10におけるロータ7に対する磁気抵抗素子4b
の配置状態において、低抵抗部44aと高抵抗部44b
が上下逆の位置に配される場合もある。
【0064】なお、磁気検出手段としては、検出感度の
高い人工格子膜を有する磁気抵抗素子4bを用いること
が望ましいが、強磁性体を用いたMR素子、半導体を用
いたMR素子、スピンバルブを用いたGMR素子などを
用いる場合もある。
【0065】図11に演算回路5bの構成概略図を示
す。図11において、演算回路5bは、磁気抵抗素子4
bから出力される検出信号に基づいて回転軸2の回転状
態を演算する機能を有する演算手段であって、その回転
状態を判別する判別手段であり、例えば、定電流源5
1、極値検出部54及びマイコン55により構成され
る。定電流源51は、磁気抵抗素子4bの一方の端子に
接続されており、その磁気抵抗素子4bに一定電流を供
給している。また、磁気抵抗素子4bの他方の端子は、
演算回路5b内で接地されている。極値検出部54は、
磁気抵抗素子4bの検出信号における極値の数に対応し
て二つのコンパレータ54a、54bを備えている。こ
れらコンパレータ54a、54bは、反転端子(−)に
それぞれ異なるしきい値が設定されている。また、コン
パレータ54a、54bの非反転端子(+)には磁気抵
抗素子4bの他方の端子が接続され、磁気抵抗素子4b
の検出信号が入力されるようになっている。また、コン
パレータ54aのしきい値Vaは、検出信号S2におけ
る全ての極値を検出できるように設定されている。ま
た、コンパレータ54bのしきい値Vbは、ロータ7の
孔72が磁気抵抗素子4b前を通過したときの磁界変化
における極値のみを検出できるように設定されている。
これらのしきい値Va、Vbは、検出信号S2の各極値
の波高値を考慮して適宜設定すればよい。
【0066】このような演算回路5bに磁気抵抗素子4
bの検出信号が入力されると、コンパレータ54aから
検出信号の全ての極値に対応したパルス信号が出力され
る。また、コンパレータ54bからロータ7の孔72の
通過に伴う極値のみに対応したパルス信号が出力され
る。そして、これらの各パルス信号は、マイコン55に
入力されることになる。
【0067】図6において、マイコン55は、極値検出
部54の各コンパレータ54からの出力信号に基づいて
回転軸2の回転方向、回転速度などの回転状態を演算し
判別するものである。例えば、マイコン55は、コンパ
レータ54aの出力信号に基づき単位時間当りのパルス
入力数が計測され、そのパルス入力数により回転軸2の
回転速度の演算を行う。また、コンパレータ54a、5
4bの出力信号を比較し、コンパレータ54bの出力信
号におけるパルス入力のタイミングを検出して、回転軸
2の回転方向の演算を行う。
【0068】このように、演算回路5bによれば、磁気
抵抗素子4bの検出信号に基づいて、回転軸2の回転方
向及び回転速度を演算することが可能となる。なお、回
転状態検出装置1bにおける演算手段は、このような演
算回路5bに限られるものではなく、磁気抵抗素子4b
の検出信号に基づき回転軸2の回転方向が演算できるも
のであれば、その他のものを用いてもよい。
【0069】次に、回転状態検出装置1bの使用方法及
びその動作について説明する。
【0070】図10に示すように、演算回路5bにより
磁気抵抗素子4bに定電流が供給されている状態におい
て、回転軸2が右回り(図10の矢印方向)に回転する
と、それに伴ってロータ7も右回りに回転し始める。こ
のため、ロータ7の孔71、72が順次磁気抵抗素子4
bの前を通過することになる。
【0071】このとき、図12(a)のようにロータ7
の孔72と孔71との間の部分が磁気抵抗素子4bの前
に位置するときは、図12(b)のように磁気抵抗素子
4bが磁石6の磁界を大きく受けることになる。このた
め、磁気抵抗素子4bの磁気検知部44が抵抗値が低く
なり、図16(a)のt12に示すように検出信号S2の
電圧値は低いものとなる。
【0072】そして、ロータ7が更に回転すると、図1
3(a)に示すように、磁気抵抗素子4bの前に孔71
が位置することになる。このとき、図13(b)のよう
に、磁気検知部44の低抵抗部44aは磁石6の磁界の
影響をあまり受けないため、磁気検知部44の抵抗値が
やや高いものとなる。従って、図16(a)のt13に示
すように検出信号S2の電圧値が上昇し、コンパレータ
54aのしきい値Vaを上回るほどの極値となる。
【0073】そして、ロータ7が更に回転すると、図1
4(a)に示すように、磁気抵抗素子4bの前に孔71
と孔72の間の部分が位置することになる。このとき、
図14(b)のように、磁気検知部44の低抵抗部44
a及び高抵抗部44bの双方とも磁石6の磁界の影響を
受けるため、磁気検知部44の抵抗値は低いものとな
る。従って、図16(a)のt14に示すように検出信号
S2の電圧値が下降する。
【0074】そして、ロータ7が更に回転すると、図1
5(a)に示すように、磁気抵抗素子4bの前に孔72
が位置することになる。このとき、図15(b)のよう
に、磁気検知部44の高抵抗部44bが磁石6の磁界の
影響をあまり受けないため、磁気検知部44の抵抗値は
非常に高いものとなる。従って、図16(a)のt15に
示すように検出信号S2の電圧値が上昇し、コンパレー
タ54aのしきい値Va及びコンパレータ54bのしき
い値Vbを上回るほどの極値となる。
【0075】更にロータ7が回転し続けると、磁気抵抗
素子4bの前に孔71、72が交互に位置することにな
る。このため、その孔71、72が磁気検知部44の前
を通過するごとに、磁気抵抗素子4bの検出信号S2に
異なる波高値を有する極値が交互に現れる。そして、磁
気抵抗素子4bの前を孔71が通過して孔72が通過す
るまでの時間に対し、磁気抵抗素子4bの前を孔72が
通過して孔71が通過するまでの時間は、長いものとな
る。従って、図16(a)に示すように、磁気抵抗素子
4bの検出信号S2には、異なる波高値を有する極値が
異なる時間間隔をおいて現れることになる。
【0076】この検出信号S2は、図11に示すように
演算回路5bに入力される。そして、検出信号S2は、
極値検出部54の各コンパレータ54a、54bにそれ
ぞれ入力される。コンパレータ54aには孔71、72
の通過による全て極値が検出できるようにしきい値Va
が設定されているので、図16(b)に示すようにコン
パレータ54aからは全ての極値に応じたパルス波を有
するパルス信号S2aが出力される。また、コンパレー
タ54bには孔72の通過による極値のみが検出される
ようにしきい値Vbが設定されているので、図16
(c)に示すようにコンパレータ54bからは孔72に
よる極値のみに応じたパルス波を有するパルス信号S2
bが出力される。
【0077】そして、これらの各パルス信号S2a、S2
bは、図11のようにマイコン55に入力されて演算さ
れ、ロータ7の回転速度及び回転方向が検出される。例
えば、マイコン55により、コンパレータ54aのパル
ス信号S2aに基づき単位時間当りのパルス入力数が計
測され、そのパルス入力数により回転軸2の回転速度が
算出される。また、コンパレータ54a、54bのパル
ス信号S2a、S2bが比較され、コンパレータ54bの
パルス信号S2bにおけるパルス入力のタイミングによ
り、回転軸2の回転方向が検出される。
【0078】このように、演算回路5bにより、磁気抵
抗素子4bの検出信号に基づいて、ロータ7の回転速度
及び回転方向、即ち被検出体である回転軸2の回転速度
及び回転方向が検出される。なお、回転軸2が右回りに
回転した場合について説明したが、左回りに回転したと
きも同様にして、その回転軸2の回転角度、回転速度及
び回転方向が検出可能である。
【0079】以上のように、本実施形態に係る回転状態
検出装置1bによれば、磁気抵抗素子4bから出力され
る二種類の極値を有する検出信号に基づいて、それらの
二種類の極値の現れる時間を検出することにより、被検
出体である回転軸2の回転速度と共に、その回転方向を
容易に判別することができる。
【0080】また、磁気検出手段として磁気抵抗素子4
bを用いることにより、その磁気抵抗素子4bから回転
軸2の回転速度に依存することなく検出信号が確実に得
られる。このため、回転軸2が低速又は高速で回転する
場合などでも、回転軸2の回転方向が確実に検出でき
る。
【0081】更に、磁気検出手段として強磁性体と非磁
性体を交互に積層させた人工格子を有する磁気抵抗素子
4bを用いることにより、微弱な磁界変化を検出するこ
とが可能となる。このため、磁気抵抗素子4bをロータ
7に極度に接近させて配置する必要がない。従って、磁
気抵抗素子4b及びロータ7を構成する部品について精
密な寸法精度が要求されず、磁気抵抗素子4b及びロー
タ7の部品コストの低減が図れる。また、それら磁気抵
抗素子4b及びロータ7の配設作業が容易となり、製造
性に優れたものとなる。
【0082】(第四実施形態)次に、第四実施形態に係
る回転状態検出装置について説明する。
【0083】本実施形態に係る回転状態検出装置1c
は、第三実施形態に係る回転状態検出装置1bが被検出
体の回転速度及び回転方向を検出するものであったのに
対し、更に被検出体の回転角度を検出可能としたもので
ある。
【0084】図17に本実施形態に係る回転状態検出装
置1cの構成概略図を示す。図17において、回転状態
検出装置1cは、第三実施形態の回転状態検出装置1b
に対し、ロータ7をロータ7cに代えたものであり、そ
の他の磁石6、磁気抵抗素子4b、演算回路5bについ
ては同様のものにより構成されている。ロータ7cは、
周面に開口される孔72の配列領域において不連続部7
3を有するものである。このような回転状態検出装置1
cによれば、回転軸2が回転すると、それに伴ってロー
タ7cも回転し始め、ロータ7cの孔71、72が順次
磁気抵抗素子4bの前を通過することになる。この孔7
1、72の通過に伴い磁気抵抗素子4bの磁気検知部4
4の抵抗値が高くなるため、検出信号に極値が現れる。
そして、磁気抵抗素子4bの前に開口されていない不連
続部73が通過するときには、極値が現れないことにな
る。このため、この極値が現れない部分を基準すること
により、ロータ7の回転角度、即ち被検出体である回転
軸2の回転角度を検出することが可能となる。なお、ロ
ータ7cにおける不連続部73は、孔71の配列領域に
設けられていてもよい。
【0085】このように、本実施形態に係る回転状態検
出装置1cによれば、第三実施形態に係る回転状態検出
装置1bにおける作用効果に加え、被検出体である回転
軸2の回転角度の検出が行える。
【0086】(第五実施形態)次に、第五実施形態に係
る回転状態検出装置について説明する。
【0087】本実施形態に係る回転状態検出装置1d
は、第四実施形態に係る回転状態検出装置1cと同様
に、被検出体の回転速度及び回転方向を検出するととも
に、被検出体の回転角度も検出可能としたものである。
【0088】図18に本実施形態に係る回転状態検出装
置1dの構成概略図を示す。図18において、回転状態
検出装置1dは、第四実施形態の回転状態検出装置1c
に対し、ロータ7cをロータ7dに代えたものであり、
その他の磁石6、磁気抵抗素子4b、演算回路5bにつ
いては同様のものが用いられる。ロータ7dは、周面に
開口される孔72の配列領域において、他の孔72の開
口周期と異なる位置に開口している基準孔74を有する
ものである。例えば、図18に示すように、ロータ7d
は周方向へ一定の周期Tで開設される複数の孔71、7
2を有しており、その孔72は孔71の周方向へ1/3
Tの距離隔てた位置に開設されている。そして、その孔
72の配列領域内に孔71の周方向へ1/2Tの距離隔
てた位置、即ち孔71、71の中間位置に開口している
基準孔74が設けられている。
【0089】このような回転状態検出装置1dによれ
ば、回転軸2が回転すると、それに伴ってロータ7dも
回転し始め、ロータ7dの孔71、72及び基準孔74
が順次磁気抵抗素子4bの前を通過することになる。そ
して、この孔71、72及び基準孔74の通過に伴い磁
気抵抗素子4bの磁気検知部44の抵抗値が高くなるた
め、検出信号に極値が現れる。そして、磁気抵抗素子4
bの前に基準孔74が通過するときには、他の孔72が
通過する場合に比べ異なるタイミングで極値が現れるこ
とになり、検出信号の位相がずれることになる。このた
め、この基準孔74の通過に伴う極値を基準することに
より、ロータ7dの回転角度、即ち被検出体である回転
軸2の回転角度を検出することが可能となる。なお、ロ
ータ7dにおける基準孔74は、孔71の配列領域に設
けられていてもよい。
【0090】また、回転状態検出装置1dにおいて、ロ
ータ7dの孔72が孔71の周方向へ1/2Tの距離隔
てた位置、即ち孔71、71の中間位置に開設されてお
り、そして、その孔72の配列領域内に孔71の周方向
へ1/3Tの距離隔てて基準孔74が開設されていても
よい。この場合であっても、前述の回転状態検出装置1
dと同様な作用効果が得られる。
【0091】更に、回転状態検出装置1dにおいて、ロ
ータ7dに開設される基準孔74に隣り合う位置に孔7
1又は孔72の開口を行わないものとする場合もある。
この場合、磁気抵抗素子4bの検出信号において、基準
孔74の通過に伴い位相のずれた極値が現れると共に、
それと連続して極値が現れないことになる。このため、
その極値の現れないことを検出することにより、位相の
ずれた極値の検出が確実となる。従って、被検出体の回
転基準位置が確実に検出できる。
【0092】このように、本実施形態に係る回転状態検
出装置1dによれば、第三実施形態に係る回転状態検出
装置1bにおける作用効果に加え、被検出体である回転
軸2の回転角度の検出が行える。
【0093】(第六実施形態)次に、第六実施形態に係
る回転状態検出装置について説明する。
【0094】本実施形態に係る回転状態検出装置1e
は、被検出体の回転速度を検出し、その検出精度を高め
るためのものである。
【0095】図19に本実施形態に係る回転状態検出装
置1eの構成概略図を示す。図19において、回転状態
検出装置1eは、磁気発生手段である磁石6及びロータ
7eと、磁気検出手段である磁気抵抗素子4と、演算手
段である演算回路5とにより構成されている。ロータ7
eは、上下二段にそれぞれ配列された複数の孔71、7
2が開設されており、孔71は周方向に対し孔72、7
2の中間位置に開口し、孔72は周方向に対し孔71、
71の中間位置に開口している。なお、この場合、演算
回路5としては、極値検出部52にコンパレータ52a
(検出信号の全ての極値に対応してパルスを出力するも
の)のみが設けられるものであればよい。
【0096】このような回転状態検出装置1eによれ
ば、回転軸2が回転すると、それに伴ってロータ7も回
転し始め、ロータ7eの孔71、72が順次磁気抵抗素
子4の前を通過することになる。そして、この孔71、
72の通過に伴い磁気抵抗素子4の磁気検知部44の抵
抗値が高くなるため、検出信号に極値が現れる。この検
出信号における極値は、孔71及び孔72の通過時に異
なることなく検出される。このため、この極値を演算回
路5のコンパレータ52aで検出すれば、被検出体であ
る回転軸2の回転に対して多数のパルスが得られ、回転
軸2の回転速度を精密に検出することができる。
【0097】このように、本実施形態に係る回転状態検
出装置1eによれば、被検出体である回転軸2の回転速
度の検出が精密に行える。このため、被検出体が低速回
転するものである場合など非常に有効である。
【0098】(第七実施形態)次に、第七実施形態に係
る回転状態検出装置について説明する。
【0099】本実施形態に係る回転状態検出装置1f
は、被検出体の回転速度を精密に検出可能であって、回
転角度も検出可能としたものである。
【0100】図20に本実施形態に係る回転状態検出装
置1fの構成概略図を示す。図20において、回転状態
検出装置1fは、第六実施形態の回転状態検出装置1e
に対し、ロータ7eをロータ7fに代えたものであり、
その他の磁気抵抗素子4、磁石6及び演算回路5につい
ては同様なものが用いられる。ロータ7fは、上下二段
にそれぞれ配列された複数の孔71、72が開設されて
おり、孔71は周方向に対し孔72、72の中間位置に
開口し、孔72は周方向に対し孔71、71の中間位置
に開口している。そして、孔71、71の間の一箇所に
基準孔75が開設されている。
【0101】このような回転状態検出装置1fによれ
ば、回転軸2が回転すると、それに伴ってロータ7も回
転し始め、ロータ7eの孔71、72及び基準孔75が
順次磁気抵抗素子4の前を通過することになる。そし
て、この孔71、72及び基準孔75の通過に伴い磁気
抵抗素子4の磁気検知部44の抵抗値が高くなるため、
検出信号に極値が現れる。そして、基準孔75の通過時
には、同時に孔72の通過を伴うため、磁気抵抗素子4
の磁気検知部44の抵抗値が非常に高くなる。このた
め、磁気抵抗素子4bの検出信号に波高値の高い極値が
現れ、他の孔71、72の通過に伴う極値に対し識別可
能となる。この基準孔75の通過に伴う極値を基準とす
ることにより、被検出体である回転軸2の回転角度が検
出可能となる。
【0102】このように、本実施形態に係る回転状態検
出装置1fによれば、被検出体である回転軸2の回転速
度及び回転角度の検出が精密に行える。このため、被検
出体が低速回転するものである場合など非常に有効であ
る。
【0103】(第八実施形態)第三実施形態〜第七実施
形態に係る回転状態検出装置にあっては、ロータが外周
面に上下二段として孔71、72が開設されたものであ
ったが、そのようなものに限られるものでなく、ロータ
が上下方向に三段以上にわたり孔が開設されるものであ
ってもよい。この場合、磁気抵抗素子4などの磁気検出
手段から被検出体の回転に対応して多数のパルスが得ら
れることになる。従って、被検出体の回転速度、回転角
度を精密に(高分解能をもって)検出することができ
る。
【0104】(第九実施形態)第三実施形態〜第八実施
形態に係る回転状態検出装置にあっては、ロータの孔7
1、72又は基準孔74、75の開口位置に対応させて
磁気検出手段の検出信号に極値を形成するものであった
が、そのようなものに限られず、ロータにおける非開口
部分(孔71等以外の部分)に対応させて磁気検出手段
の検出信号に極値を形成するものであってもよい。例え
ば、第三実施形態〜第八実施形態に係る回転状態検出装
置において、図21(a)、(b)に示すように、ロー
タ7、7a〜7fの孔71、72又は基準孔74、75
(以下、本実施形態の欄において、単に「孔76」とい
う。)を周方向に長く開口させた場合であっても、それ
らの孔76、76間の非開口部分77に対応して磁気検
出手段である磁気抵抗素子4などから極値を有する検出
信号が出力される。この検出信号に基づいて、被検出体
の回転速度、回転方向又は回転角度の検出が可能であ
る。このため、前述の第三実施形態〜第八実施形態に係
る回転状態検出装置と同様な作用効果を得ることができ
る。
【0105】また、このような広い孔76を有する回転
状態検出装置によれば、その回転状態検出装置の小型化
が図れるという効果もある。すなわち、ロータを小型な
ものとしようとすると、それに伴い孔76の開口面積を
小さくせざるを得ず、その孔76の開口面積を小さくす
るにも一定の制限がある。このような場合、本実施形態
の回転状態検出装置によれば、孔76の開口面積が大き
くとれるため、ロータの小型化が容易に行え、回転状態
検出装置全体の小型化が図れることになる。
【0106】(第十実施形態)第一実施形態〜第九実施
形態に係る回転状態検出装置にあっては、磁気検出手段
として磁気抵抗素子を用いたものであったが、磁気変化
を検出可能なものであれば、MI素子(磁気インピーダ
ンス素子)、ホール素子などその他のものを用いる場合
もある。この場合であっても、前述の各実施形態と同様
に、被検出体の回転速度、回転方向又は回転角度の検出
が行える。
【0107】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような効果を得ることができる。
【0108】磁気検出手段から出力される検出信号の極
値の検出順序に基づき、被検出体の回転方向を検出する
ことができる。
【0109】また、磁気検出手段から出力される検出信
号の極値の検出タイミングに基づき、被検出体の回転方
向を検出することができる。
【0110】また、磁気検出手段として磁気抵抗素子を
用いることにより、この磁気検出手段から出力される検
出信号が被検出体の回転速度に依存することなく被検出
体の回転に応じた出力値となる。このため、被検出体の
低速回転時においても、被検出体の回転方向が確実に検
出できる。
【0111】更に、磁気検出手段として強磁性体と非磁
性体を交互に積層させた人工格子を有する磁気抵抗素子
を用いることにより、磁界発生手段の磁界変化に応じて
磁気検出手段から出力される検出信号が大きく変動させ
ることができる。このため、磁気検出手段を磁界発生手
段に極度に接近させて配置する必要がないので、磁界発
生手段及び磁気検出手段を構成する部品について精密な
寸法精度が要求されない。従って、磁界発生手段及び磁
気検出手段の部品コストが低減でき、また、その製造が
容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転状態検出装置の構成概略図である。
【図2】ロータの説明図である。
【図3】磁気抵抗素子の構造説明図である。
【図4】磁気抵抗素子の磁界検出機能の説明図である。
【図5】磁気抵抗素子の特性説明図である。
【図6】演算回路の説明図である。
【図7】回転状態検出装置の動作説明図である。
【図8】磁気抵抗素子の検出信号の説明図である。
【図9】演算回路における信号の説明図である。
【図10】第三実施形態に係る回転状態検出装置の構成
概要図である。
【図11】第三実施形態に係る回転状態検出装置におけ
る演算回路の説明図である。
【図12】第三実施形態に係る回転状態検出装置の動作
説明図である。
【図13】第三実施形態に係る回転状態検出装置の動作
説明図である。
【図14】第三実施形態に係る回転状態検出装置の動作
説明図である。
【図15】第三実施形態に係る回転状態検出装置の動作
説明図である。
【図16】第三実施形態に係る回転状態検出装置におけ
る検出信号の説明図である。
【図17】第四実施形態に係る回転状態検出装置の構成
概要図である。
【図18】第五実施形態に係る回転状態検出装置の構成
概要図である。
【図19】第六実施形態に係る回転状態検出装置の構成
概要図である。
【図20】第七実施形態に係る回転状態検出装置の構成
概要図である。
【図21】第九実施形態に係る回転状態検出装置の説明
図である。
【符号の説明】
1…回転状態検出装置、2…回転軸、3…ロータ、4…
磁気抵抗素子、5…演算回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検出体の回転に応じて変化する磁界を
    発生させる磁界発生手段と、この磁界発生手段により生
    ずる前記磁界内に配置され前記磁界の変化に対応した検
    出信号を出力する磁気検出手段と、前記検出信号に基づ
    いて前記被検出体の回転状態を演算する演算手段とを備
    えた回転状態検出装置において、 前記磁界発生手段が前記被検出体の回転に伴う前記磁界
    の変化により前記磁気検出手段に少なくとも三種類の極
    値を有する前記検出信号を出力させ、かつ、それらの極
    値が前記被検出体の回転方向の相違に基づき異なる順序
    で検出され、 前記極値の出現順序の相違に基づき被検出体の回転方向
    を判別する判別手段を備えたこと、を特徴とする回転状
    態検出装置。
  2. 【請求項2】 被検出体の回転に応じて変化する磁界を
    発生させる磁界発生手段と、この磁界発生手段により生
    ずる前記磁界内に配置され前記磁界の変化に対応した検
    出信号を出力する磁気検出手段と、前記検出信号に基づ
    いて前記被検出体の回転状態を演算する演算手段とを備
    えた回転状態検出装置において、 前記磁界発生手段が前記被検出体の回転に伴う前記磁界
    の変化により前記磁気検出手段に少なくとも二種類の極
    値を有する前記検出信号を出力させ、かつ、それらの極
    値が前記被検出体の回転方向の相違に基づき異なる時間
    間隔で検出され、 前記極値の出現の時間間隔に基づき被検出体の回転方向
    を判別する判別手段を備えたこと、を特徴とする回転状
    態検出装置。
  3. 【請求項3】 前記磁気検出手段が磁気抵抗素子である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転状態検出
    装置。
  4. 【請求項4】 前記磁気検出手段が強磁性体と非磁性体
    を交互に積層させた人工格子を有する磁気抵抗素子であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回
    転状態検出装置。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002195854A (ja) * 2000-12-25 2002-07-10 Aichi Steel Works Ltd 回転検出センサ
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JP2005300246A (ja) * 2004-04-08 2005-10-27 Tdk Corp 移動体検出装置
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CN103675337A (zh) * 2012-09-19 2014-03-26 财团法人车辆研究测试中心 非接触式转向感测方法与装置
JP2019108226A (ja) * 2017-12-19 2019-07-04 フィーブス イントラロジスティクス ソチエタ ペル アツィオニ コン ソチオ ウニコ 選別機
KR20190106642A (ko) * 2018-03-08 2019-09-18 (주)샤론테크 홀센서를 이용한 아이들러 회전감지장치

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