JPH102267A - 噴射弁のリフト量調整方法及びその装置 - Google Patents

噴射弁のリフト量調整方法及びその装置

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JPH102267A
JPH102267A JP17579296A JP17579296A JPH102267A JP H102267 A JPH102267 A JP H102267A JP 17579296 A JP17579296 A JP 17579296A JP 17579296 A JP17579296 A JP 17579296A JP H102267 A JPH102267 A JP H102267A
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一 後藤
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秀行 鹿木
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勝利 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 噴射弁のリフト量を直接的に調整することに
より、調整装置を簡略化し小型化を図るようにする。 【解決手段】 噴射弁1には、ノズルホルダ5の先端側
に弁座部材6を固着し、その弁座6Aには弁体8を離着
座させる。一方、リフト量調整装置はプッシャ機構12
のプッシャ12Aにより噴射弁1の弁座部材6を加圧
し、変形部5Aを塑性変形させることによって弁体8の
リフト量を調整する。また、弁体位置検出器14は測定
子14Aにより弁体8のリフト量を検出し、プッシャ位
置検出器15はプッシャ12Aの位置を検出する。そし
て、リフト量調整装置は各検出器14,15の検出値に
基づいてプッシャ機構12を駆動制御し、弁体8のリフ
ト量が規格値となるようにフィードバック制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車等の
エンジンに燃料を噴射する噴射弁に用いて好適な噴射弁
のリフト量調整方法及びその装置に関し、特に、弁体の
リフト量を調整することにより、噴射量を調整するよう
にした噴射弁のリフト量調整方法及びその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車等のエンジンでは、エン
ジンの運転状態に応じて燃料の噴射弁に入力する噴射パ
ルス幅を制御することにより、噴射弁がこの噴射パルス
幅に対応した規定の噴射量でエンジンの各気筒に燃料を
噴射する。
【0003】この種の従来技術による燃料の噴射弁で
は、弁体が弁ケーシング内に開,閉弁可能に設けられ、
この弁体は電磁アクチュエータ等に駆動されることによ
り弁ケーシングの一端側に固定された弁座部材に離,着
座するようになっている。そして、この電磁アクチュエ
ータ等に噴射パルス信号が入力されると、弁体がこの噴
射パルス幅に対応した時間だけ弁座側から離間(リフ
ト)することにより、噴射パルス幅にほぼ比例した量の
燃料が外部に噴射される。
【0004】しかし、噴射パルス幅に対する燃料の噴射
量には製造上のばらつきがあるため、噴射弁の製造時に
はその特性を厳密に調整する必要があり、このため従来
技術では、例えば流量調整装置等により噴射弁の出荷に
先立ってその噴射量(流量)を調整するようにしてい
る。
【0005】ここで、この流量調整装置は、調整対象と
なる噴射弁を取付ける基台と、噴射弁に試験液を供給す
る試験液タンクと、噴射弁の噴射量(流量)を測定する
流量計と、噴射弁の弁座側を外部から加圧するプッシャ
機構と、これらを制御するコントローラ等とを備えてい
る。
【0006】そして、噴射弁の流量を調整する調整作業
では、作業者等が噴射弁を基台に液密状態に取付けた後
に流量調整装置を作動させると、試験液タンク内の試験
液が噴射弁内に供給され、噴射弁の噴射口から外部に流
出する。また、このときの試験液の流量は流量計により
測定され、コントローラに入力される。
【0007】そして、コントローラは流量計の測定結果
に基づいてプッシャ機構を所定の送り量だけ駆動制御
し、噴射弁の弁座側を加圧することにより塑性変形さ
せ、弁体のリフト量と共に試験液の流量を変化させる。
従って、コントローラは流量計の測定結果に基づいてプ
ッシャ機構を何度か繰返し駆動させることにより、噴射
弁の流量を予め定められた規格値となるように調整す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、噴射弁内に試験液を実際に流通させること
により流量の調整作業を行うため、流量調整装置には、
試験液タンクや、該試験液タンクから基台に向けて試験
液を供給,停止する供給機構、さらに噴射弁の噴射口か
ら流出した試験液を例えば試験液タンク内にリターンさ
せるリターン機構等が必要になる上、噴射弁を取付ける
基台の取付部には噴射弁を液密状態に保持するシール機
構が必要となり、流量調整装置が複雑化,大型化すると
いう問題がある。
【0009】また、調整作業の少なくとも前,後には、
例えば試験液タンク内の試験液を補充したり、噴射弁の
着脱時に基台付近に漏洩した試験液を拭き取ったりする
作業等が必要となるから、流量調整装置のメンテナンス
や準備作業に手間がかかるという問題がある。
【0010】さらに、従来技術では、コントローラがプ
ッシャ機構を駆動し噴射弁の流量を一旦変化させると、
変化後の流量が定常状態に達するまでこの流量に基づい
てプッシャ機構を駆動制御することができないから、コ
ントローラによるプッシャ機構の制御間隔が長くなり、
流量の調整作業に時間がかかるという問題がある。
【0011】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、噴射弁の噴射量を弁体のリフト量として
調整することにより、調整装置を簡略化でき、そのメン
テナンス性を向上できると共に、弁体のリフト量を効率
的に調整できるようにした噴射弁のリフト量調整方法及
びその装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1に記載の発明は、噴射弁の弁体を開,
閉弁させることにより該弁体のリフト量を測定するリフ
ト量測定工程と、前記弁体の予め定められたリフト量の
規格値とリフト量の測定値とを比較することにより調整
すべきリフト量の目標調整量を演算する調整量演算工程
と、前記目標調整量の演算結果に基づき前記噴射弁の弁
座側をプッシャによって加圧する加圧工程とを含んでな
る噴射弁のリフト量調整方法を採用している。
【0013】この場合、リフト量測定工程で測定した弁
体のリフト量測定結果とリフト量の規格値とに基づいて
調整量演算工程によりリフト量の目標調整量を演算でき
るから、加圧工程では、この目標調整量の演算結果に基
づいてプッシャにより噴射弁の弁座側を加圧でき、弁体
のリフト量が前記規格値となるようにプッシャをフィー
ドバック制御することができる。
【0014】また、請求項2に記載の発明では、噴射弁
の弁体を開,閉弁させることにより該弁体の初期リフト
量を測定する第1のリフト量測定工程と、前記弁体の予
め定められたリフト量の規格値と初期リフト量の測定値
とを比較することによりリフト量の初期調整量を演算す
る初期調整量演算工程と、前記初期調整量の演算結果に
基づき前記噴射弁の弁座側をプッシャによって初期加圧
する第1の加圧工程と、前記噴射弁の弁座側を前記プッ
シャにより初期加圧した状態で前記弁体のリフト量を測
定する第2のリフト量測定工程と、前記プッシャによる
弁座側への初期加圧を開放した状態で前記弁体のリフト
量を測定する第3のリフト量測定工程と、前記初期加圧
状態のリフト量測定値と初期加圧を開放した状態でのリ
フト量測定値とに基づき前記プッシャの目標送り量を演
算する目標送り量演算工程と、前記目標送り量の演算結
果に基づいた送り量分だけ前記プッシャを駆動し該プッ
シャによって前記噴射弁の弁座側を加圧する第2の加圧
工程とを含んでなる方法を採用している。
【0015】この場合、第1のリフト量測定工程で測定
した弁体の初期リフト量とリフト量の規格値とに基づい
て初期調整量演算工程によりリフト量の初期調整量を演
算できるから、第1の加圧工程では、この初期調整量の
演算結果に基づいて弁体のリフト量が規格値に近い値と
なるように噴射弁の弁座側を初期加圧できる。また、目
標送り量演算工程は、第2および第3のリフト量測定工
程により初期加圧後に測定した弁体のリフト量に基づい
てプッシャの目標送り量を演算できるから、第2の加圧
工程では、この目標送り量の演算結果に基づいてプッシ
ャにより噴射弁の弁座側を加圧でき、弁体のリフト量が
規格値となるようにプッシャをフィードバック制御する
ことができる。
【0016】一方、請求項3に記載の発明は、噴射弁の
弁座側を加圧することにより弁体のリフト量を可変に調
整するプッシャ機構と、前記弁体の開弁位置と閉弁位置
とを検出することにより該弁体のリフト量を測定するリ
フト量測定手段と、該リフト量測定手段による測定結果
と前記弁体の予め定められたリフト量の規格値とから調
整すべきリフト量の目標調整量を演算する調整量演算手
段と、該調整量演算手段による目標調整量に基づいて前
記プッシャ機構を駆動制御し該プッシャ機構によって前
記噴射弁の弁座側を加圧させるプッシャ制御手段とから
構成してなる噴射弁のリフト量調整装置を採用してい
る。
【0017】これにより、調整量演算手段は、リフト量
測定手段で測定した弁体のリフト量測定結果とリフト量
の規格値とに基づいてリフト量の目標調整量を演算でき
るから、プッシャ制御手段は、この目標調整量の演算結
果に基づいてプッシャ機構により噴射弁の弁座側を加圧
でき、弁体のリフト量が規格値となるようにプッシャ機
構をフィードバック制御することができる。
【0018】また、請求項4に記載の発明では、噴射弁
の弁座側を加圧することにより弁体のリフト量を可変に
調整するプッシャ機構と、前記弁体の開弁位置と閉弁位
置とを検出することにより該弁体のリフト量を測定する
リフト量測定手段と、該リフト量測定手段による測定結
果と前記弁体の予め定められたリフト量の規格値とから
調整すべきリフト量の初期調整量を演算する初期調整量
演算手段と、該初期調整量演算手段による初期調整量に
基づいて前記プッシャ機構を駆動制御し該プッシャ機構
により前記噴射弁の弁座側を初期加圧させる第1のプッ
シャ制御手段と、少なくとも該第1のプッシャ制御手段
による初期加圧後に前記リフト量測定手段により測定し
た前記弁体のリフト量に基づき、前記プッシャ機構の目
標送り量を演算する目標送り量演算手段と、該目標送り
量演算手段による目標送り量分だけ前記プッシャ機構を
駆動制御し該プッシャ機構により前記噴射弁の弁座側を
加圧させる第2のプッシャ制御手段とからなる構成を採
用している。
【0019】これにより、初期調整量演算手段は、リフ
ト量測定手段で測定した弁体のリフト量測定結果とリフ
ト量の規格値とに基づいてリフト量の初期調整量を演算
できるから、第1のプッシャ制御手段は、この初期調整
量の演算結果に基づいてプッシャ機構により噴射弁の弁
座側を初期加圧でき、この初期加圧によって弁体のリフ
ト量を規格値に近い値まで調整できる。また、目標送り
量演算手段は、初期加圧後に測定した弁体のリフト量に
基づいてプッシャ機構の目標送り量を演算できるから、
第2のプッシャ機構制御手段は、この目標送り量の演算
結果に基づいてプッシャ機構を駆動制御し、弁体のリフ
ト量が規格値となるようにプッシャ機構をフィードバッ
ク制御することができる。
【0020】さらに、請求項5に記載の発明では、前記
目標送り量演算手段は、前記プッシャ機構により噴射弁
の弁座側を初期加圧した状態での前記弁体のリフト量と
初期加圧を開放したときのリフト量とから前記弁座側で
のスプリングバック量を演算し、前記初期加圧を開放し
たときのリフト量と前記規格値とから残り調整量を演算
すると共に、該残り調整量と前記スプリングバック量と
に基づいて前記プッシャ機構の目標送り量を演算する構
成としている。
【0021】これにより、目標送り量演算手段は、初期
加圧後に弾性力によって復元(スプリングバック)する
弁座側のスプリングバック量を演算できるから、プッシ
ャ機構の目標送り量を予めスプリングバック量分だけ大
きく設定できる。この結果、第2のプッシャ制御手段
は、弁体のリフト量が弁座側のスプリングバック後に規
格値となるように、プッシャ機構によって噴射弁の弁座
側を加圧できる。
【0022】また、請求項6に記載の発明では、前記目
標送り量演算手段は、前記プッシャ機構により噴射弁の
弁座側を初期加圧した状態での前記弁体のリフト量と初
期加圧を開放したときのリフト量とから前記弁座側での
スプリングバック量を演算し、前記初期加圧を開放した
ときのリフト量と前記規格値とから残り調整量を演算す
ると共に、前記初期加圧を開放した状態での前記弁座側
の塑性変形量を演算し、さらに該塑性変形量と前記残り
調整量とから該残り調整量の補正係数を算定することに
より、これらの補正係数,残り調整量および前記スプリ
ングバック量に基づいて前記プッシャ機構の目標送り量
を演算する構成としている。
【0023】これにより、目標送り量演算手段は弁座側
のスプリングバック量を演算できると共に、弁体の初期
リフト量と初期加圧を開放したときのリフト量とから弁
座側の塑性変形量を演算できるから、この塑性変形量と
残り調整量とに基づいて弁座側を残り調整量分だけ塑性
変形させるための補正係数を算定でき、これらの補正係
数、残り調整量およびスプリングバック量に基づいてプ
ッシャ機構の目標送り量を演算できる。この結果、第2
のプッシャ制御手段は、噴射弁の弁座側がスプリングバ
ックした後に残り調整量分だけ塑性変形し、弁体のリフ
ト量が規格値となるようにプッシャ機構によって弁座側
を加圧できる。
【0024】さらに、請求項7に記載の発明では、前記
プッシャ機構には前記噴射弁の弁座側に対する加圧力を
検出する加圧力検出手段を設け、前記初期調整量演算手
段は前記リフト量測定手段による初期状態でのリフト量
と前記規格値とに基づいて前記噴射弁の弁座側に対する
初期加圧力を初期調整量として求め、前記第1のプッシ
ャ制御手段は、前記加圧力検出手段による加圧力の検出
値が前記初期加圧力に達したときに、前記プッシャ機構
の駆動を停止させる構成としている。
【0025】これにより、初期調整量演算手段は、プッ
シャ機構による弁座側への初期加圧力を弁体の初期状態
でのリフト量と規格値とに基づいて設定できるから、第
1のプッシャ制御手段は、加圧力検出手段による加圧力
の検出値が初期加圧力に達したときにプッシャ機構の駆
動を停止させ、弁体のリフト量を規格値に近い値まで初
期調整することができる。
【0026】また、請求項8に記載の発明では、前記第
1のプッシャ制御手段は前記プッシャ機構を荒送り制御
し、前記第2のプッシャ制御手段は、前記プッシャ機構
を前記第1のプッシャ制御手段による荒送り制御よりも
遅い速度で微調送り制御する構成としている。
【0027】これにより、第1のプッシャ制御手段はプ
ッシャ機構を荒送り制御することにより、弁体のリフト
量を規格値に近い値まで速やかに調整でき、第2のプッ
シャ制御手段はプッシャ機構を微調送り制御することに
より、弁体のリフト量が規格値となるようにプッシャ機
構を正確に制御することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に従って詳細に説明する。
【0029】ここで、図1ないし図3は本発明の第1の
実施例を示している。
【0030】図中、1は本実施例によるリフト量調整装
置の調整対象となる噴射弁を示し、該噴射弁1は略筒状
の弁ケーシング2を有し、該弁ケーシング2には内部に
燃料を流入,出させる流入口2A,2Aおよび戻り口2
Bが設けられている。また、弁ケーシング2の先端面
は、後述する弁体8の開弁時にアンカプレート10が当
接する当たり面2Cとなっている。
【0031】3は弁ケーシング2に内蔵された電磁アク
チュエータとしてのソレノイドを示し、該ソレノイド3
は弁ケーシング2内を軸方向に伸長するコア筒4の先端
側外周に固着されている。そして、ソレノイド3は外部
から噴射パルス信号が入力されると、これによって励磁
されコア筒4の先端側からアンカプレート10に向けて
磁力を発生させる。
【0032】5は弁ケーシング2の一部を構成するノズ
ルホルダで、該ノズルホルダ5は金属材料等により段付
き筒状に形成され、弁ケーシング2の先端側外周にカシ
メ等の手段により固着されている。また、ノズルホルダ
5の先端側内周には後述の弁座部材6が固着され、この
固着位置の外周側は、後述のプッシャ12Aにより弁座
部材6が加圧されたときに変形する弁座6A側の変形部
5Aとなっている。
【0033】6はノズルホルダ5の先端側内周に固着さ
れた環状の弁座部材で、該弁座部材6の上端側には弁体
8を離,着座させる弁座6Aが凹湾曲状に形成されてい
る。また、弁座部材6の内周側には、弁体8の開弁時に
弁ケーシング2内の燃料を外部に噴射させる噴射ノズル
7が固着されている。
【0034】8は弁ケーシング2とノズルホルダ5との
間に位置して上下方向に変位可能に配設された半球形状
の弁体を示し、該弁体8は弁ばね9により弁座部材6に
向けて常時付勢され、閉弁状態では弁座部材6の弁座6
Aに着座している。そして、弁体8はソレノイド3に駆
動されることにより開弁すると、アンカプレート10が
弁ケーシング2の当たり面2Cに当接するまで上向きに
変位し、このときの変位量が弁体8のリフト量Lとな
る。
【0035】10は弁体8の背面側に固着されたアンカ
プレートで、該アンカプレート10は磁性材料等により
略環状に形成され、ソレノイド3が励磁されると、コア
筒4の先端側に発生した磁力により弁体8と共に上向き
に吸引され、該弁体8を開弁方向に変位させる。
【0036】11は弁ばね9のばね荷重を調整する円筒
状の調整筒で、該調整筒11はコア筒4の内周側に嵌合
されている。また、調整筒11の内周側は、噴射弁1の
外部から弁体8を臨む貫通穴11Aとなり、この貫通穴
11Aは弁体8のリフト量調整時を除いて蓋体(図示せ
ず)等により施蓋される。
【0037】これにより、噴射弁1は、ソレノイド3に
外部から噴射パルス信号が入力されると、アンカプレー
ト10がコア筒4に吸引されることにより弁体8が開弁
し、流入口2Aから弁ケーシング2内に流入した燃料の
一部が噴射ノズル7から外部に噴射される。
【0038】一方、12は本実施例による噴射弁1のリ
フト量調整装置を構成するプッシャ機構を示し、該プッ
シャ機構12は噴射弁1を取付けるリフト量調整装置の
基台(図示せず)等に設けられている。また、プッシャ
機構12には筒状のプッシャ12Aが上下方向に移動可
能な可動部として設けられ、該プッシャ12Aは例えば
精密ボールネジ等の微小送りが可能な動力伝達機構(図
示せず)を介して後述のプッシャ用モータ13等に駆動
され、前記基台に取付けられた噴射弁1の弁座部材6を
上方に向けて加圧する。
【0039】13はプッシャ駆動手段としてのプッシャ
用モータで、該プッシャ用モータ13は例えばステッピ
ングモータ等により構成され、図2に示す如く後述のコ
ントローラ17から出力される駆動信号によりプッシャ
機構12のプッシャ12Aを所望の移動量だけ上向きに
送ったり、下向きに戻したりするものである。
【0040】14は弁体8の位置を検出する弁体位置検
出器を示し、該弁体位置検出器14には図1に示すよう
に、棒状の測定子14Aが上下方向に移動可能に設けら
れている。そして、噴射弁1のリフト量調整時には測定
子14Aが噴射弁1の貫通穴11A内に挿通され、その
先端側が弁体8の背面側に当接した状態で該弁体8に追
従して上下方向に変位する。これにより、弁体位置検出
器14は弁体8の上下方向の位置を測定子14Aの位置
として検出し、その検出信号をコントローラ17に出力
する。
【0041】15はプッシャ12Aの位置を検出するプ
ッシャ位置検出器を示し、該プッシャ位置検出器15は
図1に示すようにプッシャ12Aの上下方向の位置を検
出し、その検出信号をコントローラ17に出力するもの
である。
【0042】16はプッシャ12Aによる加圧力を検出
する加圧力検出手段としての圧力検出器で、該圧力検出
器16は例えばロードセル等の圧力センサにより構成さ
れ、プッシャ12Aが噴射弁1の弁座部材6を加圧する
ときの反力をプッシャ12Aの加圧力として検出し、そ
の検出信号をコントローラ17に出力する。
【0043】17はリフト量調整装置の制御部となるコ
ントローラを示し、該コントローラ17は図2に示すよ
うに、例えばROM,RAM等からなる記憶エリア17
Aを備えたマイクロコンピュータ等により構成されてい
る。そして、記憶エリア17A内には、図3に示すリフ
ト量調整処理用のプログラムと、後述する初期加圧力P
および補正係数aを算定するための表1,表2に示すデ
ータテーブル等とが格納されている。また、コントロー
ラ17の入力側には、弁体位置検出器14、プッシャ位
置検出器15および圧力検出器16が接続され、コント
ローラ17の出力側には、噴射弁1のソレノイド3およ
びプッシャ用モータ13が接続されている。
【0044】そして、コントローラ17は、弁体位置検
出器14により検出した弁体8の開弁位置と閉弁位置と
からそのリフト量Lを測定し、このリフト量測定値に基
づいてプッシャ用モータ13を駆動制御することによ
り、弁体8のリフト量Lが予め定められた規格値L0 と
なるように調整する。
【0045】本実施例による噴射弁1のリフト量調整装
置は上述の如き構成を有するもので、次にそのリフト量
調整処理を図3を参照しつつ説明する。
【0046】まず、作業者等は噴射弁1をリフト量調整
装置の基台に取付けた後に、プッシャ機構12のプッシ
ャ12Aを噴射弁1の弁座部材6に下側から当接させ
る。さらに、弁体位置検出器14の測定子14Aを噴射
弁1の貫通穴11A内に挿通し、その先端側を弁体8の
背面側に当接させる。
【0047】そして、コントローラ17を作動させる
と、コントローラ17はリフト量調整処理を開始し、ス
テップ1では、第1のリフト量測定工程として弁体8の
初期リフト量L1 を測定する。即ち、弁体位置検出器1
4が検出した弁体8の閉弁位置を読込んだ後に、ソレノ
イド3を駆動して弁体8を開弁させ、この状態で弁体8
の開弁位置を新たに読込むことにより、これらの開弁位
置と閉弁位置との差から弁体8のリフト量Lを測定し、
測定結果を弁体8の未調整状態(初期状態)での初期リ
フト量L1 として記憶する。
【0048】次に、ステップ2では、前記初期リフト量
L1 と規格値L0 との差ΔLを、
【0049】
【数1】ΔL=L1 −L0 として求める。
【0050】ここで、規格値L0 とは、噴射弁1が規定
の噴射量をもって燃料を噴射するように予め定められた
弁体8のリフト量の規格値であり、例えば60μm程度
に設定されている。そして、噴射弁1のリフト量は、こ
の規格値L0 から所定の規格範囲(例えば、L0 ±5μ
m)内に収まるように調整される。
【0051】次に、ステップ3では、後述の初期加圧工
程でプッシャ12Aにより噴射弁1の弁座部材6を加圧
するときの初期加圧力Pを初期調整量演算工程によって
下記の表1から初期調整量として算定し、この初期加圧
力Pを記憶エリア17Aに予め記憶されたデータテーブ
ルから前記リフト量の差ΔLに基づいて求める。即ち、
噴射弁1の変形部5A等をリフト量の差ΔL分だけ変形
させるのに適切な初期加圧力Pを設定する。
【0052】
【表1】
【0053】この場合、初期リフト量L1 を85μmと
すると、リフト量の差ΔL=25μmとなるから、初期
加圧力P=60kgとして求められる。
【0054】そして、ステップ4では、プッシャ用モー
タ13を駆動することによりプッシャ12Aを噴射弁1
の弁座部材6に向けて送り、該プッシャ12Aによって
弁座部材6を初期加圧する第1の加圧工程としての初期
加圧工程を行う。そして、圧力検出器16により検出し
たプッシャ12Aの加圧力検出値が初期加圧力Pに達し
たときに、プッシャ用モータ13の駆動を停止して初期
加圧工程を終了し、プッシャ12Aをその位置で保持す
る。
【0055】この結果、ノズルホルダ5の変形部5Aが
初期加圧力Pに応じて上向きに変形し、弁座部材6(弁
座6A)が弁体8の開弁方向に押動され、弁体8のリフ
ト量Lは規格値L0 に近い値まで減少する。そこで、ス
テップ5では、このときの弁体8のリフト量Lを第2の
リフト量測定工程によりステップ1と同様の手順で測定
し、この測定結果を弁座部材6がプッシャ12Aにより
初期加圧された状態での加圧時リフト量L2 として記憶
する。
【0056】続いて、ステップ6では、プッシャ用モー
タ13を逆転駆動することにより、プッシャ12Aを例
えば200μm程度の戻し量Bをもって下向きに戻し、
噴射弁1の弁座部材6から離間させる。この結果、ノズ
ルホルダ5の変形部5Aが弾性力により復元(スプリン
グバック)するから、弁座部材6が下向きに変位し、弁
体8のリフト量が加圧時リフト量L2 から増大する。
【0057】そこで、ステップ6では、このときのリフ
ト量を第3のリフト量測定工程によって測定し、測定結
果をプッシャ12Aによる初期加圧状態から弁座部材6
が開放された状態での開放時リフト量L3 として記憶す
る。これにより、弁体8のリフト量は初期加圧工程によ
って初期リフト量L1 から開放時リフト量L3 へと調整
されたことになる。
【0058】次に、ステップ7では、前記開放時リフト
量L3 がリフト量の規格値L0 に基づいた所定の規格範
囲(例えば、L0 ±5μm)内に収まるか否かを判定す
る。そして、ステップ7で「YES」と判定したときに
は、ステップ8に移ってこの噴射弁1のリフト量調整処
理を終了し、作業者等はリフト量調整装置の基台からこ
の噴射弁1を取外し、新たに調整を行う他の噴射弁1を
基台に取付ける。
【0059】一方、ステップ7で「NO」と判定したと
きには、弁体8の開放時リフト量L3 をさらに調整する
必要があるから、ステップ9〜13に示す目標送り量演
算工程に移行し、後述の調整加圧工程においてプッシャ
12Aを送るべき目標送り量Y1 を演算する。
【0060】即ち、ステップ9では、調整加圧工程で新
たに調整すべきリフト量の残り調整量A1 を、初期加圧
工程後の開放時リフト量L3 とリフト量の規格値L0 と
に基づき、
【0061】
【数2】A1 =L3 −L0 として求め、ステップ10では、ステップ6でプッシャ
12Aを戻したときにノズルホルダ5(変形部5A)が
スプリングバックしたスプリングバック量Sを、前述し
た加圧時リフト量L2 と開放時リフト量L3 とに基づい
て、
【0062】
【数3】S=L3 −L2 として演算する。この場合、加圧時リフト量L2 =58
μmとし、開放時リフト量L3 =73μmとすると、ス
プリングバック量S=15μmとなる。
【0063】また、ステップ11では、初期加圧工程で
ノズルホルダ5の変形部5A等が塑性変形した塑性変形
量Dを、前記初期リフト量L1 と初期加圧工程後の開放
時リフト量L3 とを比較することにより、
【0064】
【数4】D=L1 −L3 として演算する。
【0065】さらに、ステップ12では、前記残り調整
量A1 の補正係数aを、記憶エリア17A内に予め記憶
された表2による補正係数aのデータテーブルから残り
調整量A1 と塑性変形量Dとに基づいて算定する。ここ
で、この補正係数aは、ノズルホルダ5等を残り調整量
A1 分だけ塑性変形させるために、これまでの実験デー
タ等から決定した補正係数である。
【0066】
【表2】
【0067】この場合、前述した規格値L0 、初期リフ
ト量L1 および開放時リフト量L3の具体例を用いる
と、残り調整量A1 =13μm、塑性変形量D=12μ
mとなるから、補正係数a=2.63として求められ
る。なお、上述した補正係数aのデータテーブルは、ス
テップ3による初期加圧力P=60kgの場合を一例と
して示したもので、このデータテーブルは初期加圧力P
の値に応じて複数個設けられている。
【0068】そして、ステップ13では、プッシャ12
Aの目標送り量Y1 を、前記残り調整量A1 、スプリン
グバック量S、塑性変形量D、補正係数aおよびステッ
プ6によるプッシャ12Aの戻し量Bに基づいて、
【0069】
【数5】Y1 =A1 ×a+S+B として演算し、プッシャ12Aをステップ6で戻された
状態から弁座部材6に向けて送るための送り量を求め
る。即ち、前述した具体例によれば、目標送り量Y1 =
13×2.63+15+200=249.19μmとし
て求められる。
【0070】次に、ステップ14では、プッシャ位置検
出器15によってプッシャ12Aの位置を検出しつつプ
ッシャ用モータ13を駆動制御することにより、プッシ
ャ12Aを目標送り量Y1 分だけ噴射弁1の弁座部材6
に向けて送り、該弁座部材6を加圧する第2の加圧工程
としての調整加圧工程を行う。
【0071】そして、ステップ14の終了後には、再び
ステップ5,6に戻って加圧時リフト量L2 および開放
時リフト量L3 を新たに測定した後に、ステップ7で調
整加圧工程後の開放時リフト量L3 が前述した所定の規
格範囲内に収まるか否かを判定する。ここで、「YE
S」と判定したときにはステップ8に移ってこの噴射弁
1のリフト量調整処理を終了し、「NO」と判定したと
きにはステップ9以降の処理を繰り返し、再び目標送り
量Y1 を演算して調整加圧工程等を実施する。
【0072】かくして、本実施例によれば、プッシャ機
構12、プッシャ用モータ13、弁体位置検出器14お
よびコントローラ17等を備えたリフト量調整装置によ
って弁体8のリフト量が規格値L0 となるように調整
し、これにより噴射弁1が規定の噴射量を有するように
調整する構成としたから、従来技術のように噴射弁1に
試験液等を流通させることなく噴射量の調整を行うこと
ができる。
【0073】従って、リフト量調整装置の構造を大幅に
簡略化でき、小型化できると共に、そのメンテナンスを
容易に行うことができる。また、弁体位置検出器14に
より弁体8の開弁位置と閉弁位置とを簡単に検出でき、
これらの検出値に基づいて各リフト量測定工程により弁
体8のリフト量を直ちに測定できるから、調整作業の途
中で試験液等の流量を安定化させてからこれを測定する
必要がなく、調整作業の効率を大幅に向上させることが
できる。
【0074】また、噴射弁1のリフト量調整処理を、初
期リフト量L1 を測定する第1のリフト量測定工程と、
初期リフト量L1 に基づいてプッシャ12Aの初期加圧
力Pを算定する初期調整量演算工程と、プッシャ12A
による加圧力が初期加圧Pに達するまで弁座部材6を初
期加圧する初期加圧工程と、加圧時リフト量L2 ,開放
時リフト量L3 を測定する第2,第3のリフト量測定工
程と、加圧時リフト量L2 ,開放時リフト量L3 および
初期リフト量L1 等に基づいて目標送り量Y1を演算す
る目標調整量演算工程と、プッシャ12Aを目標送り量
Y1 分だけ送る調整加圧工程等とから構成したから、初
期加圧工程および調整加圧工程では、弁体8のリフト量
が規格値L0 となるようにプッシャ12Aによって弁座
部材6を適切に加圧でき、コントローラ17によりプッ
シャ機構12に対して効率的なフィードバック制御を行
うことができる。
【0075】即ち、図3中のステップ3に示す初期調整
量演算工程では、初期加圧力Pを弁体8の初期リフト量
L1 と規格値L0 との差ΔLに基づいて適切に設定でき
るから、ステップ4に示す初期加圧工程では、圧力検出
器16による加圧力の検出値が初期加圧力Pに達したと
きにプッシャ機構12を停止することにより、弁体8の
リフト量を規格値L0 に近い値まで効率良く初期調整で
きる。
【0076】また、ステップ9〜13に示す目標送り量
演算工程では、初期加圧工程によるノズルホルダ5(変
形部5A)の塑性変形量Dとリフト量の残り調整量A1
とから表2のデータテーブルに基づき補正係数aを算定
し、弁座部材6側のスプリングバック量Sを演算するこ
とにより、ノズルホルダ5の変形部5Aがスプリングバ
ックした後に残り調整量分A1 だけ塑性変形するよう
に、目標送り量Y1 を正確に設定することができる。
【0077】これにより、ステップ14に示す調整加圧
工程では、ノズルホルダ5の変形部5Aを残り調整量A
1 分だけ正確に塑性変形できるから、弁体8のリフト量
が規格値L0 となるように確実に調整することができ
る。
【0078】さらに、目標送り量Y1 を補正係数aによ
り予め設定できるから、調整加圧工程では、プッシャ1
2Aを目標送り量Y1 によって定まる目標位置に向けて
速やかに送ることができ、調整加圧工程を効率良く行う
ことができる。
【0079】また、初期加圧工程でのスプリングバック
量Sを調整加圧工程の目標送り量Y1 にフィードバック
する構成としたから、弁体8のリフト量がスプリングバ
ック量の違いにより製造ロット毎にばらつくのを確実に
防止できる。
【0080】一方、プッシャ12Aを精密ボールネジ等
を介してステッピングモータからなるプッシャ用モータ
13により駆動する構成としたから、コントローラ17
から出力される駆動信号によりプッシャ12Aを所望の
送り量だけ高精度に送ることができる。
【0081】次に、図4は本発明による第2の実施例を
示し、本実施例では前記第1の実施例と同一の構成要素
に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
しかし、本実施例の特徴は、初期加圧工程と調整加圧工
程とでプッシャ12Aの送り速度を切換える構成とした
ことにある。
【0082】ここで、本実施例による噴射弁1のリフト
量調整装置は前記第1の実施例と同様に、プッシャ機構
12、プッシャ用モータ13、弁体位置検出器14およ
びコントローラ17等を備えているものの、本実施例で
は、コントローラ17により前記第1の実施例とは異な
るリフト量調整処理を行うようにしている。
【0083】即ち、図4に示すステップ21では、第1
の実施例と同様に初期リフト量L1を測定する第1のリ
フト量測定工程を行い、ステップ22では、初期調整量
演算工程として後述の初期加圧工程で調整すべきリフト
量の初期調整量A2 を演算している。
【0084】しかし、ステップ22では、初期調整量A
2 を前記リフト量の規格値L0 と初期リフト量L1 とに
基づいて、
【0085】
【数6】A2 =L1 −(L0 +α) として求めている。ここで、αは初期調整量A2 の荒送
り補正量であり、本実施例では、後述の初期加圧工程を
高速な荒送り制御によって行うため、初期調整量A2 を
数6に示す式に基づいて前記第1の実施例よりも荒送り
補正量α分だけ小さく設定することにより、高速で送ら
れたプッシャ12Aが噴射弁1の弁座部材6を加圧し過
ぎるのを避けるものである。なお、荒送り補正量αは、
例えば5〜15μm程度に設定される。
【0086】次に、ステップ23では、ステップ4の初
期加圧工程を行うために、プッシャ用モータ13の駆動
速度を荒送り側に設定し、ステップ24では、ステップ
23での設定に基づいてプッシャ用モータ13に駆動信
号が出力されることにより、プッシャ12Aは弁座部材
6に向けて初期調整量A2 分だけ高速(荒送り)で送ら
れ、第1の加圧工程としての初期加圧工程を行う。
【0087】そして、ステップ25では前記第1の実施
例と同様に、第2のリフト量測定工程により加圧時リフ
ト量L2 を測定し、ステップ26では、プッシャ12A
を戻し量Bだけ戻した後に、第3のリフト量測定工程に
よって開放時リフト量L3 を測定する。
【0088】次に、ステップ27では、前記開放時リフ
ト量L3 がリフト量の規格値L0 に基づいた所定の規格
範囲内に収まるか否かを判定する。ここで、「YES」
と判定されたときにはステップ28に移ってこの噴射弁
1のリフト量調整処理を終了し、「NO」と判定された
ときには、ステップ29〜31に示す目標送り量演算工
程に移行し、プッシャ12Aの目標送り量Y2 を演算す
る。
【0089】即ち、ステップ29では前記第1の実施例
と同様に、リフト量の残り調整量A3 を開放時リフト量
L3 とリフト量の規格値L0 とに基づき、
【0090】
【数7】A3 =L3 −L0 として求め、ステップ30では、ステップ26によるノ
ズルホルダ5のスプリングバック量Sを前記数3の式に
基づいて演算する。
【0091】しかし、ステップ31では、プッシャ12
Aの目標送り量Y2 を、前記残り調整量A3 、スプリン
グバック量Sおよびプッシャ12Aの戻し量Bに基づ
き、
【0092】
【数8】Y2 =A3 +S+B として演算する。
【0093】次に、ステップ32では、ステップ33の
調整加圧工程を行うために、プッシャ用モータ13の駆
動速度を微調送り側に設定し、ステップ33では、ステ
ップ32での設定に基づいてプッシャ用モータ13にス
テップ24よりも低い電流値の駆動信号が出力されるこ
とにより、プッシャ12Aは噴射弁1側に向けて初期調
整量A2 分だけ低速(微調送り)で送られ、第2の加圧
工程としての調整加圧工程を行う。
【0094】そして、ステップ33の終了後には前記第
1の実施例と同様に、ステップ25〜27に戻って調整
加圧工程後の開放時リフト量L3 が前述した所定の規格
範囲内に収まるか否かの判定等を行う。
【0095】このように構成される本実施例のリフト量
調整装置でも、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果
を得られるが、特に本実施例では、ステップ24に示す
初期加圧工程においてプッシャ12Aを荒送り制御する
構成としたから、初期加圧工程におけるリフト量の初期
調整をさらに効率的に行うことができる。
【0096】なお、前記各実施例では、ステップ3,9
〜13,22,29〜31が調整量演算手段を示し、ス
テップ1,21が第1のリフト量測定手段を示すと共
に、ステップ3,22は初期調整量演算手段を、ステッ
プ4,24は第1のプッシャ制御手段を、ステップ5,
25は第2のリフト量測定手段を、ステップ6,26は
第3のリフト量測定手段を、ステップ9〜13,29〜
31は目標送り量演算手段を、ステップ14,33は第
2のプッシャ制御手段をそれぞれ示している。また、目
標調整量は、初期加圧力P、初期調整量A1 、または目
標送り量Y1 ,Y2 として示す。
【0097】一方、前記第1の実施例では、初期加圧工
程と調整加圧工程とでプッシャ12Aを同じ送り速度を
もって送る構成としたが、本発明はこれに限らず、第1
の実施例のプッシャ12Aを前記第2の実施例と同様に
初期加圧工程で荒送り制御し、調整加圧工程で微調送り
制御する構成としてもよい。
【0098】また、前記各実施例では、弁体位置検出器
14が測定子14Aを弁体8の背面側に当接することに
よりその位置を検出する構成としたが、本発明はこれに
限らず、例えば超音波センサ等を弁体位置検出器として
用いる構成としてもよい。
【0099】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1に記載の発
明によれば、リフト量測定工程で測定した弁体のリフト
量測定結果に基づいて調整量演算工程によりリフト量の
目標調整量を演算し、この演算結果に基づいて加圧工程
により噴射弁の弁座側を加圧する構成としたから、従来
技術よりも簡単な工程で噴射弁の噴射量を弁体のリフト
量として正確に調整でき、リフト量調整作業の作業効率
を大幅に向上できると共に、試験液等を用いる必要がな
いためリフト量調整装置のメンテナンス作業を容易に行
うことができる。
【0100】また、請求項2に記載の発明によれば、第
1のリフト量測定工程で測定した弁体の初期リフト量に
基づいて初期調整量演算工程によりリフト量の初期調整
量を演算し、この演算結果に基づき第1の加圧工程によ
って噴射弁の弁座側を初期加圧する構成としたから、弁
体のリフト量を規格値に近い値まで効率良く初期調整で
きる。また、第2および第3のリフト量測定工程で測定
した弁体のリフト量に基づいて目標送り量演算工程によ
りプッシャの目標送り量を演算し、この演算結果に基づ
いて第2の加圧工程により噴射弁の弁座側を加圧する構
成としたから、弁体のリフト量が規格値となるようにプ
ッシャを効率的にフィードバック制御でき、リフト量調
整作業の作業効率を大幅に向上させることができる。
【0101】一方、請求項3に記載の発明によれば、弁
体の開弁位置と閉弁位置とを検出することでリフト量測
定手段により弁体のリフト量を簡単に測定でき、この測
定結果から演算したリフト量の目標調整量に基づいてプ
ッシャ制御手段によりプッシャ機構を正確に駆動制御で
きるから、噴射弁の噴射量を弁体のリフト量として簡単
に調整でき、リフト量調整装置の構造を大幅に簡略化で
きると共に、小型化を図ることができる。
【0102】また、請求項4に記載の発明によれば、初
期調整量演算手段によりリフト量の初期調整量を演算
し、この初期調整量の演算結果に基づいてプッシャ制御
手段によりプッシャ機構を駆動制御することで噴射弁の
弁座側を初期加圧する構成としたから、プッシャ機構に
より弁体のリフト量を規格値に近い値まで効率良く初期
調整できる。また、初期加圧後に測定した弁体のリフト
量に基づき目標送り量演算手段によってプッシャ機構の
目標送り量を演算し、この目標送り量の演算結果に基づ
いて第2のプッシャ機構制御手段によりプッシャ機構を
駆動制御する構成としたから、弁体のリフト量が規格値
となるようにプッシャ機構を効率的にフィードバック制
御でき、リフト量調整作業の作業効率を大幅に向上させ
ることができる。
【0103】さらに、請求項5に記載の発明によれば、
弁座側のスプリングバック量を目標送り量演算手段によ
って演算する構成としたから、プッシャ機構の目標送り
量を予めスプリングバック量分だけ大きく設定でき、弁
体のリフト量が弁座側のスプリングバックした後にリフ
ト量の規格値となるように、プッシャ機構を効率的にフ
ィードバック制御することができる。
【0104】また、請求項6に記載の発明によれば、目
標送り量演算手段により弁座側のスプリングバック量と
塑性変形量とを演算し、この塑性変形量と残り調整量と
に基づいて残り調整量の補正係数を算定すると共に、こ
れらの補正係数、残り調整量およびスプリングバック量
に基づいてプッシャ機構の目標送り量を演算する構成と
したから、弁座側がスプリングバックした後でも残り補
正量分だけ塑性変形し弁体のリフト量が規格値となるよ
うなプッシャ機構の目標送り量を正確に求めることがで
き、プッシャ機構を効率的にフィードバック制御するこ
とができる。
【0105】さらに、請求項7に記載の発明によれば、
プッシャ機構の初期加圧力を初期調整量演算手段により
求め、プッシャ機構の加圧力が初期加圧力に達するまで
第1のプッシャ制御手段によりプッシャ機構を駆動制御
する構成としたから、弁体の初期リフト量に基づいて初
期調整量演算手段により初期加圧力を適切に算定でき、
第1のプッシャ制御手段により弁体のリフト量を規格値
に近い値まで効率良く初期調整することができる。
【0106】また、請求項8に記載の発明によれば、第
1のプッシャ制御手段によりプッシャ機構を荒送り制御
し、第2のプッシャ制御手段によりプッシャ機構を微調
送り制御する構成としたから、第1のプッシャ制御手段
ではプッシャ機構により弁体のリフト量を規格値に近い
値まで速やかに調整でき、第2のプッシャ制御手段では
弁体のリフト量が規格値となるようにプッシャ機構を正
確に制御でき、プッシャ機構を効率的にフィードバック
制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるリフト量調整装置
を噴射弁と共に示す縦断面図である。
【図2】図1中のリフト量調整装置を示す制御ブロック
図である。
【図3】図2中のコントローラによるリフト量調整処理
を示す流れ図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるリフト量調整装置
を示す図3と同様の流れ図である。
【符号の説明】 1 噴射弁 5 ノズルホルダ 5A 変形部(弁座側) 6 弁座部材 6A 弁座 8 弁体 12 プッシャ機構 12A プッシャ 14 弁体位置検出器(リフト量測定手段) 16 圧力検出器(加圧力検出手段) L0 規格値 L1 初期リフト量 L2 加圧時リフト量 L3 開放時リフト量 P 初期加圧力(初期調整量) A1 ,A3 残り調整量 A2 初期調整量 S スプリングバック量 D 塑性変形量 a 補正係数

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 噴射弁の弁体を開,閉弁させることによ
    り該弁体のリフト量を測定するリフト量測定工程と、前
    記弁体の予め定められたリフト量の規格値とリフト量の
    測定値とを比較することにより調整すべきリフト量の目
    標調整量を演算する調整量演算工程と、前記目標調整量
    の演算結果に基づき前記噴射弁の弁座側をプッシャによ
    って加圧する加圧工程とからなる噴射弁のリフト量調整
    方法。
  2. 【請求項2】 噴射弁の弁体を開,閉弁させることによ
    り該弁体の初期リフト量を測定する第1のリフト量測定
    工程と、前記弁体の予め定められたリフト量の規格値と
    初期リフト量の測定値とを比較することによりリフト量
    の初期調整量を演算する初期調整量演算工程と、前記初
    期調整量の演算結果に基づき前記噴射弁の弁座側をプッ
    シャによって初期加圧する第1の加圧工程と、前記噴射
    弁の弁座側を前記プッシャにより初期加圧した状態で前
    記弁体のリフト量を測定する第2のリフト量測定工程
    と、前記プッシャによる弁座側への初期加圧を開放した
    状態で前記弁体のリフト量を測定する第3のリフト量測
    定工程と、前記初期加圧状態のリフト量測定値と初期加
    圧を開放した状態でのリフト量測定値とに基づき前記プ
    ッシャの目標送り量を演算する目標送り量演算工程と、
    前記目標送り量の演算結果に基づいた送り量分だけ前記
    プッシャを駆動し該プッシャによって前記噴射弁の弁座
    側を加圧する第2の加圧工程とからなる噴射弁のリフト
    量調整方法。
  3. 【請求項3】 噴射弁の弁座側を加圧することにより弁
    体のリフト量を可変に調整するプッシャ機構と、前記弁
    体の開弁位置と閉弁位置とを検出することにより該弁体
    のリフト量を測定するリフト量測定手段と、該リフト量
    測定手段による測定結果と前記弁体の予め定められたリ
    フト量の規格値とから調整すべきリフト量の目標調整量
    を演算する調整量演算手段と、該調整量演算手段による
    目標調整量に基づいて前記プッシャ機構を駆動制御し該
    プッシャ機構によって前記噴射弁の弁座側を加圧させる
    プッシャ制御手段とから構成してなる噴射弁のリフト量
    調整装置。
  4. 【請求項4】 噴射弁の弁座側を加圧することにより弁
    体のリフト量を可変に調整するプッシャ機構と、前記弁
    体の開弁位置と閉弁位置とを検出することにより該弁体
    のリフト量を測定するリフト量測定手段と、該リフト量
    測定手段による測定結果と前記弁体の予め定められたリ
    フト量の規格値とから調整すべきリフト量の初期調整量
    を演算する初期調整量演算手段と、該初期調整量演算手
    段による初期調整量に基づいて前記プッシャ機構を駆動
    制御し該プッシャ機構により前記噴射弁の弁座側を初期
    加圧させる第1のプッシャ制御手段と、少なくとも該第
    1のプッシャ制御手段による初期加圧後に前記リフト量
    測定手段により測定した前記弁体のリフト量に基づき、
    前記プッシャ機構の目標送り量を演算する目標送り量演
    算手段と、該目標送り量演算手段による目標送り量分だ
    け前記プッシャ機構を駆動制御し該プッシャ機構により
    前記噴射弁の弁座側を加圧させる第2のプッシャ制御手
    段とから構成してなる噴射弁のリフト量調整装置。
  5. 【請求項5】 前記目標送り量演算手段は、前記プッシ
    ャ機構により噴射弁の弁座側を初期加圧した状態での前
    記弁体のリフト量と初期加圧を開放したときのリフト量
    とから前記弁座側でのスプリングバック量を演算し、前
    記初期加圧を開放したときのリフト量と前記規格値とか
    ら残り調整量を演算すると共に、該残り調整量と前記ス
    プリングバック量とに基づいて前記プッシャ機構の目標
    送り量を演算する構成としてなる請求項4に記載の噴射
    弁のリフト量調整装置。
  6. 【請求項6】 前記目標送り量演算手段は、前記プッシ
    ャ機構により噴射弁の弁座側を初期加圧した状態での前
    記弁体のリフト量と初期加圧を開放したときのリフト量
    とから前記弁座側でのスプリングバック量を演算し、前
    記初期加圧を開放したときのリフト量と前記規格値とか
    ら残り調整量を演算すると共に、前記初期加圧を開放し
    た状態での前記弁座側の塑性変形量を演算し、さらに該
    塑性変形量と前記残り調整量とから該残り調整量の補正
    係数を算定することにより、これらの補正係数,残り調
    整量および前記スプリングバック量に基づいて前記プッ
    シャ機構の目標送り量を演算する構成としてなる請求項
    4に記載の噴射弁のリフト量調整装置。
  7. 【請求項7】 前記プッシャ機構には前記噴射弁の弁座
    側に対する加圧力を検出する加圧力検出手段を設け、前
    記初期調整量演算手段は前記リフト量測定手段による初
    期状態でのリフト量と前記規格値とに基づいて前記噴射
    弁の弁座側に対する初期加圧力を初期調整量として求
    め、前記第1のプッシャ制御手段は、前記加圧力検出手
    段による加圧力の検出値が前記初期加圧力に達したとき
    に、前記プッシャ機構の駆動を停止させる構成としてな
    る請求項4,5または6に記載の噴射弁のリフト量調整
    装置。
  8. 【請求項8】 前記第1のプッシャ制御手段は前記プッ
    シャ機構を荒送り制御し、前記第2のプッシャ制御手段
    は、前記プッシャ機構を前記第1のプッシャ制御手段に
    よる荒送り制御よりも遅い速度で微調送り制御する構成
    としてなる請求項4,5または6に記載の噴射弁のリフ
    ト量調整装置。
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