JPH10226703A - 溶剤処理による被膜から成る成形品の作成方法 - Google Patents

溶剤処理による被膜から成る成形品の作成方法

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JPH10226703A
JPH10226703A JP4485497A JP4485497A JPH10226703A JP H10226703 A JPH10226703 A JP H10226703A JP 4485497 A JP4485497 A JP 4485497A JP 4485497 A JP4485497 A JP 4485497A JP H10226703 A JPH10226703 A JP H10226703A
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JP
Japan
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cellulose
film
solvent
bacterial cellulose
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Application number
JP4485497A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ogiya
浩 扇谷
Otohiko Watabe
乙比古 渡部
Naoki Nishimura
直樹 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bio Polymer Research Co Ltd
Original Assignee
Bio Polymer Research Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細繊維状セルロース等から成る被膜の成形
品を調製する際に、基体と被膜との間の強固な結着によ
る被膜形状の損傷を防ぐこと。 【解決手段】 基体を溶剤処理によって溶解させ、該基
体とその上に形成させた微細繊維状セルロース等から成
る被膜とを分離させる方法、及びそれによる成形品の作
成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、基体に対す
る付着性と被膜形成性を有する高分子を成分とする被膜
にかかわる成形品の作成方法、及び該方法における分離
方法に係わる。例えば、セルロース生産菌を培養するこ
とによって製造し得るセルロース性物質(以下、「バク
テリアセルロース」又は「BC」という。)等の微小繊
維状セルロース(以下、「MFC」ともいう。)を成分
とする被膜から成る成形品の作成方法、及び該方法に於
ける被膜の分離方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】BC(バクテリアセルロース)は可食性
であり無味無臭であるため、食品分野で利用されるほ
か、水系分散性に優れているので食品、化粧品又は塗料
等の粘度の保持、食品原料生地の強化、水分の保持、食
品安定性向上、低カロリー添加物又は乳化安定化助剤と
しての産業上利用価値がある。BCは木材パルプ等から
製造されるセルロースに較べ、フィブリルの断片幅が2
ケタ程度も小さいことを特徴とする。従って、BCの離
解物はフィブリルのかかる構造的物理的特徴に基づき高
分子、特に水系高分子用補強剤として各種の産業用用途
がある。このようなセルロース性離解物を紙状または固
型状に固化した物質は高い引張弾性率を示すのでフィブ
リルの構造的特徴に基づくすぐれた機械特性が期待さ
れ、各種産業用素材としての応用がある。一方、植物由
来の他のMFCも約0.1ミクロン〜10ミクロン程度
の大きさの微小体セルロースとして従来から知られてお
り、水系分散性に優れているので食品、化粧品又は塗料
等の粘度の保持、食品原料生地の強化、水分の保持、食
品安定性向上、低カロリー添加物又は乳化安定化助剤と
しての産業上利用価値がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】さて、従来は、これら
微細繊維状セルロースから成る被膜等の成形品を調製す
る際には、基体上にかかるセルロース被膜を形成させた
後に、該基体から被膜を引き剥がす等の機械的外力を被
膜に加えることによって、該基体から被膜を分離させて
いた。しかしながら、乾燥を伴う基体上のセルロース被
膜の形成によって、該基体とセルロース被膜とが強固に
結着してしまう場合が多く、このような場合、セルロー
ス被膜の形状を損なうことなく基体から分離させること
は著しく困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
することを目的とする。即ち、本発明は、基体を溶剤処
理によって溶解させ、該基体と該基体上に形成させた被
膜とを分離させることを特徴とする成形品の作成方法に
係わる。被膜の成分は、例えば、バクテリアセルロース
や植物由来の微細繊維状セルロース:デンプン、カード
ラン、プルラン、キサンタンガム、デキストラン、ジェ
ランガム、グアガム、タマリンドガム、ローカストビー
ンガム、アルギン酸類、カラギーナン、ペクチン及びデ
キストリン等の水溶性多糖:キチン及びキトサン等の不
溶性多糖:並びにポリアクリルアミド、ポリアクリル酸
及びポリビニルアルコール等の水溶性合成高分子:のよ
うに基体に対する付着性と被膜形成性を有するものであ
れば何でも良い。基体上に被膜を形成させる方法は従来
公知の任意の手段を用いて行なうことができる。例え
ば、シャーレ等の平坦な容器の表面上に微細繊維状セル
ロースを含む懸濁液を載置し、乾燥等によって被膜を形
成させることができる。又は、該懸濁液を基体上にロー
ル又はハケ等を用いて塗布したり、スプレーして被膜を
形成させることも可能である。スプレーをする場合にあ
っては、スプレー操作は適当な時間及び間隔で連続的又
は断続的に実施することができる。懸濁液は、水、又
は、極性溶剤等の有機物質を溶媒とすることができる。
又、スプレーした後の乾燥は、従来公知の適当な方法、
例えば風乾等の自然乾燥、熱プレス又は赤外線、マイク
ロ波等を利用した乾燥機等を使用して実施することがで
きる。
【0005】スプレー操作自体は従来のスプレー装置を
使用して行なうことができる。即ち、スプレーの具体的
な方法としては、例えば、加圧ノズルによるもの、2流
体ノズルによるもの等があるが、ノズル方式のものは、
2流体ノズルの方式のものに比べて粒子が粗粒となる。
噴霧のさせ方は、目的に応じて適宜選択することができ
る。また、スプレー時の平均粒径に特に制限はないが、
平均粒径が約100μm以下であるものが好適に使用さ
れる。本発明で得られる被膜の厚さは、被膜成分の種
類、成形品の構造、用途等に応じて当業者が適宜選択す
ることができ、その範囲は通常、0.02μm 〜数cm
以上である。本発明方法で用いる基体は任意の形態であ
り得、特に上記スプレー操作により被膜を形成する場合
には、基体表面が三次元的に複雑な形状を有することが
できる。その場合には、最終的に作成される成形品は該
基体表面の複雑な形状に対応した被膜から成る複雑な形
状を有するものとなる。但し、基体の表面全体に亘って
被膜を形成させる必要はない。基体の材質は、溶剤処理
で溶解できるものの中から当業者が適宜選択することが
でき、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、ABS樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メタク
リレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリグリ
コール、ポリメチルペンテン、ポリサルフォン、ポリウ
レタン、スチレンアクリロニトリル、塩化ビニリデン樹
脂、酢酸ビニル樹脂、アセタール樹脂、酢酸セルロー
ス、エチレン酢酸ビニル樹脂等の各種プラスチックを挙
げることができる。その他、後述するような溶媒に溶け
る物質や自己溶解性を有する物質であれば何でも良い。
【0006】基体を溶解させる為の溶剤処理の方法及び
それに用いる溶剤の種類は、基体の材質等に応じて当業
者が適宜選択することができる。例えば、基体としてポ
リスチレンシャーレを使用してセルロース被膜を形成す
るような場合には、該シャーレ全体をトルエン中に浸漬
し、適当時間その中に保持することによってシャーレを
溶解し、該被膜を分離させることができる。被膜成分の
構造には影響を与えないような溶剤が好ましく、一般に
トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、エチレ
ンオキサイド、ベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルホ
ルムアミド、ジオキサン、アセトアルデヒド、アクリロ
ニトリル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、メタクリル
酸メチル、フェノール、酢酸プロピル、テトラクロロエ
チレン、キシレン等の有機溶剤を使用することができ
る。その他、水、超臨界液体等前述する基体を溶解でき
る溶媒であれば何でも良い。基体は溶剤処理によって完
全に溶解される必要はなく、被膜に過度な外力を加えず
該被膜の機械的特性を損なわないように、該被膜を基体
から分離することができる程度に基体を溶解することが
できていれば良い。従って、溶剤処理の諸条件、例え
ば、溶剤中に基体を浸漬させる場合の溶剤の温度、反応
時間等は、溶剤及び基体の材質又は基体の形状等に応じ
て当業者が適宜選択することができる。尚、有機溶剤等
は基体から分離された成形品を、例えば、適当時間自然
乾燥させる等によって蒸発除去され、最終的に得られる
成形品中には残留させないようにすることができる。本
発明は更に、基体を溶剤処理によって溶解させ、該基体
上に形成された微細繊維状セルロース等の被膜を該基体
から分離させる方法にも係わるものである。
【0007】本発明方法に於いて好適に使用し得るセル
ロース性物質は離解処理を受けたものでも良い。バクテ
リアセルロースの離解現象は、機械的外力等によってセ
ルロース内部に発生した応力が、これを変形・破壊する
ことによる現象と考えられる。従って、バクテリアセル
ロースの離解処理は、バクテリアセルロースに機械的外
力を与えることにより行なえる。更に酸加水分解、酵素
加水分解及び漂白剤によっても離解処理を行なうことが
できる。ここでいう機械的外力とは、例えば、引っ張
り、曲げ、圧縮、ねじり、衝撃及び剪断等の応力が挙げ
られるが、一般的には圧縮、衝撃及び剪断応力が主体で
ある。実際にこれら機械的外力をバクテリアセルロース
に与える場合は、例えば、ミキサー、ポリトロン又は自
励式超音波粉砕機のような超音波発振機等を使用するこ
とで達成できる。
【0008】ミキサーによる離解処理においては、機械
的外力は攪拌羽根とバクテリアセルロースが衝突するこ
とによる衝撃力と、媒体の速度差によるズレ現象によっ
て発生する剪断力が主体となる。ポリトロンによる離解
処理においては、機械的外力はバクテリアセルロースが
外歯と内歯に挟まることによる圧縮力、高速に回転する
歯とバクテリアセルロースが衝突することによる衝撃
力、静止している外歯と高速に回転する内歯の隙間に存
在する媒体に発生する剪断応力が主体となる。超音波粉
砕機による離解においては、機械的外力は超音波発振部
の発振により媒体中にキャビテーション(空洞現象)が
連続的に発生し、局部的に生じる著しい剪断応力が主体
となる。本発明の離解処理は、バクテリアセルロースに
一定の負荷(機械的外力)を与えることができれば、上
記具体例以外のいかなる方法でも行ない得る。その他の
離解処理条件は当業者が適宜選択することが出来る。更
に、特願平7−160173号に記載されているよう
に、かかる離解処理後に、BC離解物自体の粒度を調整
する目的で所定の目開きを有するスクリーンで篩い分け
することもできる。
【0009】以上、離解処理について説明したが、本発
明でいう離解処理が、セルロース生産菌の攪拌培養後、
培養液から分離・精製されたバクテリアセルロースに対
して行なう、独立した二次的な操作のみに限定されない
ことは、当業者には自明のことである。即ち、後述する
ように攪拌操作にはバクテリアセルロースを離解する作
用があり、本発明で採用した攪拌培養においては、培養
を目的とした攪拌作用によってもバクテリアセルロース
を離解処理することが十分に可能であるからである。更
に、攪拌培養により得たバクテリアセルロースを分離、
洗浄、精製及び輸送する操作においても同様のことが言
え、これらの操作において付加的に離解処理を行なうこ
とも本発明の離解処理に包含されることに留意された
い。
【0010】本発明におけるバクテリアセルロースの生
産に使用されるセルロース生産菌は、例えば、BPR2
001株に代表されるアセトバクター・キシリナム・サ
ブスピーシーズ・シュクロファーメンタンス(Acetobac
ter xylinum subsp. sucrofermentans)、アセトバクタ
ー・キシリナム(Acetobacter xylinum )ATCC23
768、アセトバクター・キシリナムATCC2376
9、アセトバクター・パスツリアヌス(A. pasteurianu
s )ATCC10245、アセトバクター・キシリナム
ATCC14851、アセトバクター・キシリナムAT
CC11142及びアセトバクター・キシリナムATC
C10821等の酢酸菌(アセトバクター属)、その他
に、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ
属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリ
ゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズ
ーグレア属並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジ
ン)等を用いる公知の方法によって変異処理することに
より創製される各種変異株である。尚、BPR2001
株は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の寄託の国際的承認に関す
るブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FERM B
P−4545)に移管されている。NTG等の変異剤を
用いての化学的変異処理方法には、例えば、Bio Factor
s,Vol. l, p.297−302 (1988)及び J. Gen. Microbiol,
Vol. 135, p.2917−2929(1989) 等に記載されているも
のがある。従って、当業者であればこれら公知の方法に
基づき本発明で用いる変異株を得ることができる。ま
た、本発明で用いる変異株は他の変異方法、例えば放射
線照射等によっても得ることができる。
【0011】上述の方法によって創製されるセルロース
生産菌の中でも、通気攪拌培養することによって、ポリ
スチレン換算の重量平均重合度が1.6×104 以上、
好ましくは1.7×104 以上である高重合度のバクテ
リアセルロースを製造するか、又は、静置培養すること
によって、ポリスチレン換算の重量平均重合度が2.0
×104 以上である高重合度のバクテリアセルロースを
製造する菌株が好ましい。本発明で使用し得る高重合度
のバクテリアセルロースの生産菌のうち、BPR300
1Aは、平成7年6月12日付で通商産業省工業技術院
生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託
され(受託番号FERM P−14982)、その後、
1996年8月23日付で特許手続上の寄託の国際的承
認に関するブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FE
RM BP−5421)に移管されている。一般的に、
高分子材料の強度や弾性率は、高分子の重合度が高いほ
ど、高いものとなることが知られている。バクテリアセ
ルロースの場合にも同様で、高重合度のバクテリアセル
ロースを原料として形成させた被膜は、相対的に低い重
合度のバクテリアセルロースを原料として形成させた被
膜と比較して、その強度や弾性率が高い。従って、本発
明の被膜として、高強度や弾性率のものを形成させたい
場合には、先に述べたような高重合度のバクテリアセル
ロースを用いた方が高い効果が得られる。
【0012】本発明におけるBC等の各種セルロースの
重量平均重合度は、検出器としてRIを内蔵したGPC
システム(Tosoh HLC−8020)を用いて以下のよ
うにして測定する。各種セルロース試料を発煙硝酸−五
酸化リン溶液で W.J. Alexander, R.L. Mitchell, Anal
ytical chemistry 21, 12, 1497-1500 (1949) の方法に
よりニトロ化する。コントロールとして同時にニトロ化
したコットンリンターを用いる。セルロースニトロ化物
はTHF(和光純薬 1級)に0.05%濃度で溶かし
たのち、1.0μmポアサイズのフィルターで濾過す
る。GPCの溶離液にもTHFを用いる。流速は0.5
ml/min 、圧力は10〜13kg f/cm2 、サンプル注入
量は100μl とする。カラムはTSKgel GMH
−HR(S)(7.5ID×300mm×2本)とガード
カラム(HHR(S))(Tosoh Co., Ltd.) を用い35
℃で測定する。分子量算出のためにスタンダードポリス
チレン(Tosoh) を用いポリスチレン換算の相対分子量を
求める。2×107 から2630の分子量のポリスチレ
ンを用い、溶出時間(t)と分子量の対数(logM)
について、3次式:(logM=At3 +Bt2 +Ct
+D)による近似を行いスタンダード曲線を作製する。
分子量はTosoh のデータ処理専用機(SC−8020)
に内蔵されたプログラム(ver.3,10)により重
量平均分子量を計算する。これらの分子量の値からニト
ロ化後の置換度を考慮して重量平均重合度を計算する。
【0013】培養に用いる培地の組成物中、炭素源とし
てはシュクロース、グルコース、フラクトース、マンニ
トール、ソルビトール、ガラクトース、マルトース、エ
リスリット、グリセリン、エチレングリコール、エタノ
ール等を単独或いは併用して使用することができる。更
にはこれらのものを含有する澱粉水解物、シトラスモラ
セス、ビートモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、
柑橘類を始めとする果汁等をシュクロースに加えて使用
することもできる。 また、窒素源としては硫酸アンモ
ニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等のア
ンモニウム塩、硝酸塩、尿素等有機或いは無機の窒素源
を使用することができ、或いはBacto−Pepto
ne、Bacto−Soytone、Yeast−Ex
tract、豆濃などの含窒素天然栄養源を使用しても
よい。有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタミン、脂肪
酸、核酸、2,7,9−トリカルボキシ−1Hピロロ
〔2,3,5〕−キノリン−4,5−ジオン、亜硫酸パ
ルプ廃液、リグニンスルホン酸等を添加してもよい。
【0014】生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を使用する場合には、要求される栄養素を補添する
ことが必要である。無機塩類としてはリン酸塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コバルト
塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート金属類等が使用
される。更に、イノシトール、フィチン酸、ピロロキノ
リンキノン(PQQ)(特公平5−1718号公報;高
井光男,紙パ技協誌,第42巻,第3号,第237〜2
44頁)、カルボン酸又はその塩(特願平5−1914
67号)、インベルターゼ(特願平5−331491
号)及びメチオニン(特願平5−335764号)等の
セルロース生成促進因子を適宜培地中に添加することも
できる。例えば、酢酸菌を生産菌として用いる場合に
は、培養のpHは3ないし7に、好ましくは5付近に制
御する。培養温度は10〜40℃、好ましくは25〜3
5℃の範囲で行う。培養装置に供給する酸素濃度は1〜
100%、望ましくは21〜80%であれば良い。これ
ら培地中の各成分の組成割合及び培地に対する菌体の接
種等は培養方法に応じて当業者が適宜選択し得るもので
ある。バクテリアセルロースは、従来より、微生物を培
養する培養形式として公知の形式、即ち、静置、振盪も
しくは通気攪拌培養等、また、培養操作法として公知
の、いわゆる回分発酵法、流加回分発酵法、反復回分発
酵法及び連続発酵法等によって製造することができる。
尚、攪拌手段としては、例えばインペラー(攪拌羽
根)、エアーリフト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆動循
環、及びこれら手段の組合せ等が使用されている。
【0015】尚、攪拌培養とは、培養液を攪拌しながら
行なう培養法であり、当該攪拌培養中に受ける攪拌作用
によって、バクテリアセルロースの構造が、例えば、結
晶化指数が低下して非晶部が増すように変化する。攪拌
手段としては、例えばインペラー、エアーリフト発酵
槽、発酵ブロスのポンプ駆動循環、及びこれら手段の組
合せ等を使用することができる。培養操作法としては、
いわゆる回分発酵法、流加回分発酵法、反復回分発酵法
及び連続発酵法等がある。更に、本出願人名義の特願平
6−192287号に記載された培養装置と分離装置の
間で菌体を含む培養液を循環させるセルロース性物質の
製造方法であって、該分離装置に於いて、生産物である
セルロース性物質を菌体及び培養液から分離することを
特徴とする前記方法や、同じく、本出願人名義の特願平
6−192288号に記載されたセルロース生産菌を培
養してセルロース性物質を製造する方法であって、培養
期間中、培養系からの培養液の引き抜き及び該引き抜き
量とほぼ等容量の新たな培養液の供給を連続的に行なう
ことによって、培養中の培養液に於けるセルロース性物
質の濃度を低く維持することを特徴とする前記製造方法
がある。
【0016】前記攪拌培養を行なうための槽としては、
例えば、ジャーファーメンター及びタンク等の攪拌槽、
並びにバッフル付きフラスコ、坂口フラスコ及びエアー
リフト型の攪拌槽が使用可能であるがこの限りではな
い。本発明でいう攪拌培養においては、攪拌と同時に、
必要に応じて、通気を行なっても良い。ここでいう通気
とは、例えば空気等の酸素を含有するガス、並びに例え
ばアルゴン及び窒素等の酸素を含有しないガスのいずれ
を通気しても良く、これらガスは培養系の条件に合わせ
て当業者により適宜、選択されよう。例えば、嫌気性の
微生物の場合は、不活性ガスを通気をすれば、その気泡
によって培養液を攪拌することができる。好気性の微生
物の場合には、酸素を含有するガスを通気することで微
生物の成育に必要な酸素を供給すると同時に、培養液を
攪拌することができる。
【0017】攪拌培養により得たバクテリアセルロース
を遠心分離法又は濾過法等により培養液から分離する。
バクテリアセルロースは菌体と一緒に回収してもよく、
さらに本物質中に含まれる菌体を含むセルロース性物質
以外の不純物を取り除く処理を施すことが出来る。不純
物を取り除くためには、水洗、加圧脱水、希酸洗浄、ア
ルカリ洗浄、次亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素などの漂
白剤による処理、リゾチームなどの菌体溶解酵素による
処理、ラウリル硫酸ソーダ、デオキシコール酸などの界
面活性剤による処理、常温から200℃の範囲の加熱洗
浄などを単独及び併用して行い、セルロース性物質から
不純物をほぼ完全に除去することができる。このように
して得られた本発明でいうセルロース性物質とは、セル
ロース及び、セルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含む
もの及びβ−1,3、β−1,2等のグルカンを含むも
のである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成
分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロ
ース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六
炭糖、五炭糖及び有機酸等である。なおこれ等の多糖が
単一物質である場合もあるし2種以上の多糖が水素結合
等により混在してもよい。
【0018】さて、周知のようにセルロースは、グルコ
ースの1位と4位の炭素がβ結合してできたホモポリマ
ーである。このグルコース残基の2、3、6位には、水
酸基が結合しているが、これらの水酸基とグルコースの
ピラノース環の中の酸素原子との間に水素結合が形成さ
れる。微細繊維と微細繊維の間には、水分が存在してい
るが、乾燥の過程でこれらの水分が除去されると、微細
繊維表面にも水酸基と酸素原子が存在するために、微細
繊維間にも水素結合が形成される。バクテリアセルロー
ス又は微小繊維状セルロースのリボン状の微細繊維は、
通常のセルロース繊維、例えば、植物パルプ繊維と比較
して非常に細い分、表面積が大きいので、水素結合に寄
与する部分が多くなるので、微細繊維間の水素結合は、
通常のパルプ繊維などと比較して非常に強固なものとな
る。従って、BC等のMFCの懸濁液に水以外の第3成
分を予め加えることにより、乾燥の際に形成される微細
繊維間の水素結合を防止し、被膜の多孔度(空隙率)を
調整することもできる。この為に、すでに述べたよう
に、有機物質を水に代えて、セルロース懸濁液の溶媒と
することも出来る。
【0019】かかる第3成分の例としては、アルコール
及びエステル等の極性溶剤、アセトン、ヘキサン系の非
極性溶剤、親水性液体、親水性固体、水不溶性物質及び
水難溶性物質等を挙げることができる。本発明方法に於
いて、第3成分として用いる親水性液体の例として、グ
リセリン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、乳酸、グルコ
ン酸及びデルタグルコノラクトン並びにそれら1つ以上
の混合物を挙げることができる。更に、第3成分として
用いることができる親水性固体には、水溶性低分子及び
水溶性高分子等の水溶性物質、並びに水不溶性物質及び
水難溶性物質が含まれる。
【0020】この中で水溶性低分子とは、例えば、糖類
(グルコース、フラクトース、ガラクトース、キシロー
ス、マンノース、アラビノース、シュクロース、ラクト
ース、セロビオース、パラチノース、マルトース、ゲン
チオビオース、トレハロース、ラムノース、オリゴ糖、
イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、フラクトオリゴ
糖、ガラクトオリゴ糖、ラクトスクロース、カップリン
グシュガー、液糖、サイクロデキストリン、糖アルコー
ル、ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、マ
ルチトール、キシリトール、マンニット、ズルシッ
ト)、塩類(硫酸ナトリウム、硫安、食塩、塩化カルシ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ロッセル
塩)、アミノ酸、アミノ酸塩、有機酸、有機酸塩、核
酸、核酸塩、アルキルケテンダイマー、スチレンーアク
リル系サイズ剤、オレフィンー無水マレイン酸系サイズ
剤、高級脂肪酸系サイズ剤、エポキシ化合物からなる耐
水性材料、蛍光増白剤、消泡剤、帯電防止剤、顔料、染
料、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソー
ダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミ
ニウム、アルミナゾル、水溶性アルミニウム化合物、硫
酸第1鉄、塩化第2鉄、及びアルケニル無水コハク酸系
サイズ剤並びにそれら1つ以上の混合物をいう。
【0021】また水溶性高分子とは、例えば、セルロー
ス誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロー
ス)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリ
ン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガ
ム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かた
くり粉、クズ粉、陽性澱粉、燐酸化澱粉、コーンスター
チ、アラビアガム、ローカストビーンガム、グアガム、
ゲランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、
水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆
蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリア
クリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロ
リドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポ
リリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サ
イズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリ
アミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガ
ム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポ
リアクリル酸塩、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タ
マリンドガム、ジェランガム、ペクチン、グァーガム及
びコロイダルシリカ並びにそれら1つ以上の混合物をい
う。
【0022】更に、水不溶性物質または水難溶性物質と
は、例えば、米粉、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、大豆
粉、小豆粉、ソバ粉、フスマ粉、トウモロコシ粉、炭酸
カルシウム、クレー、タルク、ガラス微粉末、炭素粉、
カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カ
ルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二
酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、珪酸マグネシウム、
珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、アルミノ珪酸塩、シ
リカ、セリサイト、セライト、ベントナイト、スメクタ
イト、ポリスチレン微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒
子、微小中空粒子、セルロース粒子、ラウロイルリジ
ン、珪藻土及びバクテリアセルロース被膜の二次加工用
の各種有機物質並びにそれら1つ以上の混合物をいう。
【0023】以上述べた第3成分は、被膜の多孔度の調
整に加えて、本発明の被膜の使用目的により、当該業者
によって選択されるものである。固体成分、低分子可溶
成分、高分子成分などを組み合わせて用いることもあ
る。例えば、製紙分野において無機粉体シートを作成す
る際に、BCの無機粉体の結着特性と、無機粉体の機能
(例えば、磁性粉など)を、できた無機粉体シート表面
で効率よく発現させるためには、原料となる本発明の被
膜は、BC離解物、磁性無機粉体、アクリルアミド(凝
集剤)、カチオン化澱粉(糊料)を、例えば、100:
15:1:3程度の比率で混合して用いればよい。また
別な例として、食品分野で光沢増強剤として用いる場合
には、キシログルカン、食塩、シュクロースなどを、例
えば、10:5:50の比率で、組み合わせで用いる場
合がある。特に、食品に用いる場合に無味、無臭、無
色、無害のものが求められる場合には、第3成分として
は、可食性可溶性の高分子が望ましい。更に、被膜の表
面を疎水性にする為には第3成分としてポリスチレンラ
テックス等を添加したり、又、第3成分として、各種薬
剤成分を加えることも可能である。これら第3成分の添
加量は、当業者であれば物質の種類等に応じて適宜選択
することができ、通常BC又はMFCの重量に対して2
〜1,000重量%である。又、これらの第3成分は、
セルロースの懸濁中に予め混合させる他にも、別途、他
の方法によって基体上に適用することもできる。更に、
第3成分が含まれるバクテリアセルロース懸濁液の例と
して、セルロース生産菌の培養液そのものを使用するこ
ともできる。
【0024】尚、植物由来のMFCは、従来公知の方
法、例えば、パルプ繊維等のセルロース繊維のボールミ
ル等による打砕・粉砕、水中での加圧粉砕、液体窒素中
での粉砕及び音波による粉砕、又は特開昭56−100
801に記載された方法等によって製造することができ
る。また、本発明においては、このようなパルプ繊維由
来のMFC以外に、砂糖大根の柔組織細胞セルロース
(「PCC」とも称する)からなる微小繊維状セルロー
スを用いてもよい。この、PCCは、BCと同様に非常
に微細なセルロースミクロフィブリルやこれらの束から
なる。その幅はおおよそサブミクロンから数ミクロンの
間にある。この構造、物性、製造法の詳細については、
特開昭59−80402号公報や「CELLULOSE(1996)3,
183-188 」に報告されている。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳細
に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0026】
【実施例】
実施例1 セルロース生産菌の通気攪拌培養とセルロー
ス(BC)の調製 (1) BPR2001株をグリセロールストックより
以下のCSL−Fru培地100mlを仕込んだ750ml
容ルーフラスコに1%植菌し28℃で3日間静置培養し
た。培養後ルーフラスコをよく振って菌体をセルロース
膜よりはがした後、菌液12.5mlを112.5mlの培
地を含む500mlフラスコに植菌し、28℃、180rp
m 、3日間培養した。培養物をブレンダーにより無菌的
に離解し、その60mlを540mlのCSL−Fru培地
を仕込んだ11ジャーに植菌し、pHをNH3 ガスおよ
び1規定H2 SO4 で4.9〜5.1に制御しながら、
溶存酸素量(DO)が3.0%以上になるように回転数
を自動制御しながらメイン培養を行った。終了後、得ら
れた培養液を酢酸緩衝液で約5倍に希釈した後、遠心分
離し沈殿物を回収した。沈殿を蒸留水で最初の培養液量
の約8倍に希釈後、80℃、20分間加熱し、加熱後遠
心分離により沈殿物を回収した。沈殿物を同じく8倍量
の0.1N NaOHに懸濁し80℃、20分間加熱す
ることにより溶菌し、溶菌後遠心分離により沈殿物を回
収した。この後、さらに8倍量の蒸留水に沈殿を懸濁し
80℃、20分間加熱し、加熱後遠心分離し沈殿物を回
収することによりセルロースの洗浄を行った。同様の洗
浄を3回行うことにより精製BCを得た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】ビタミン混合液 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0029】
【表3】塩類混合液 FeSO4 ・7H2 O 360mg/L CaCl2 ・2H2 O 1470mg/L Na2 MoO2 ・2H2 O 242mg/L ZnSO4 ・7H2 O 173mg/L MnSO4 ・5H2 O 139mg/L CuSO4 ・5H2 O 5mg/L
【0030】(2) バクテリアセルロースの離解処理 (1)の攪拌培養法により得られた洗浄バクテリアセル
ロースに水を加え、約0.1重量%の離解処理濃度(バ
クテリアセルロース乾燥重量/容量)の懸濁液を調製し
た。次いで、この懸濁液を電気振動式超音波破砕機(SO
NIFIER450 BRANSON社製)により25℃で5分間離解し
た。この離解処理を3回繰り返した。なお、上記におけ
るBCの濃度は、培養液から遠心分離で湿潤状態の固形
分を取り出した後に、この固形分の20倍量の0.2規
定の水酸化ナトリウム溶液中で100℃で1時間浸漬す
ることで、バクテリアセルロース以外の菌体や培地成分
を取り除いた後に、十分水洗後、105℃で恒量になる
まで乾燥して測定した乾燥重量から計算した。
【0031】実施例2 実施例1で調製し、離解処理したバクテリアセルロース
懸濁液(濃度0.1重量%)20mlを直径5cmのポリス
チレン製シャーレに入れた。40℃で24時間乾燥し、
バクテリアセルロースからなるシートをシャーレに密着
した状態で形成させた。基体からシートを単離するに際
して2通りの方法を用いた。一つはシートとシャーレの
複合体を500mlのトルエンの入ったガラスビーカー中
に入れ、基体となるシャーレを溶解してシートを単離し
た(A)。もう一つはシートとシャーレの複合体から精
密なピンセットを用い、基体となるシャーレからシート
を剥離して単離した(B)。バクテリアセルロースから
なるシート(A)、(B)についてシートの面積と厚み
を測定した。面積は目盛り1mmの方眼紙にシートを固定
し、シートの周囲を鉛筆でなぞって輪郭を描き、その輪
郭線内に含まれる1mm2 の方眼の数から測定した。厚み
はマイクロメーターでシート内のランダムな5ヶ所の厚
みを測定し、平均値を算出した。 結果 (A)の方法からは平均の厚さ0.017mm、面積19
cm2 のバクテリアセルロースシートが得られた。(B)
の方法ではシートと基体との結着が強いため、シートを
完全に剥離することができなかった。そのため1cm2
上の面積のシートは得られず、厚さの測定はできなかっ
た。
【0032】
【表4】
【0033】実施例3 実施例2のバクテリアセルロース懸濁液のかわりにMF
C(ダイセル製、FD100F)の1%懸濁液を用いて
実験を行った。基体から単離の方法としては、実施例2
記載の(A)の方法を用いた。その他の部分について
は、実施例2と同様の方法で実験を行った結果、シート
を調製することができた。
【0034】実施例4 実施例2のバクテリアセルロースの懸濁液に低粘度カル
ボキシメチルセルロースナトリウム塩(シグマ社製)を
バクテリアセルロースの10%の割合で溶解させた。溶
解後に実施例2と同様の実験を行った結果、被膜の剥離
を行うことができ、バクテリアセルロースとカルボキシ
メチルセルロースからなる複合シートを調製することが
できた。
【0035】実施例5 市販のキサンタンガムの0.1重量%の水溶液を調製し
た。この溶液をポリスチレンの板の上にハケを用いて塗
布した。さらに、同じ溶液をハンドスプレーを用いて、
ポリスチレン板上に噴霧した。両者を80℃雰囲気下で
30分間放置した。被膜が板上に形成されてから、実施
例2の方法で、ポリスチレンの板を溶解させて被膜を剥
離させ、シートを形成することができた。
【0036】実施例6 砂糖大根の搾りかすから柔組織細胞セルロースPCCを
調製した。調製法は、特開昭59−80402号公報や
「CELLULOSE(1996)3, 183-188 」に記載の方法にしたが
った。得られたPCCの懸濁液をオステライザーを用い
て、18000回転で15分間ホモジナイズした。この
時の懸濁液の固形分濃度は1%であった。ホモジナイズ
前は、懸濁液の温度は25℃であったが、ホモジナイズ
後には80℃に達した。この懸濁液を35℃まで冷却
後、実施例2のバクテリアセルロース懸濁液のかわりに
PCC懸濁液を用いて同様の実験を行った。基体から単
離の方法としては、実施例2記載の(A)の方法を用い
た。その他の部分については、実施例2と同様の方法で
実験を行った結果、シートを調製することができた。
【0037】
【発明の効果】以上の記載から、本発明の方法により、
広い面積の薄膜を容易に得ることが可能であることが判
明した。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体を溶剤処理によって溶解させ、該基
    体と該基体上に形成させた被膜とを分離させることを特
    徴とする成形品の作成方法。
  2. 【請求項2】 被膜が、基体に対する付着性と被膜形成
    性を有する高分子からなる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 被膜がバクテリアセルロースから成る請
    求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 被膜が植物由来の微細繊維状セルロース
    から成る請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 被膜成分を含有する懸濁液を基体上にス
    プレーして被膜を形成することを含む、請求項1記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 基体を溶剤処理によって溶解させ、該基
    体上に形成された被膜を該基体から分離する方法。
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