JPH10226575A - 切削工具用高圧相窒化硼素焼結体 - Google Patents

切削工具用高圧相窒化硼素焼結体

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JPH10226575A
JPH10226575A JP9030491A JP3049197A JPH10226575A JP H10226575 A JPH10226575 A JP H10226575A JP 9030491 A JP9030491 A JP 9030491A JP 3049197 A JP3049197 A JP 3049197A JP H10226575 A JPH10226575 A JP H10226575A
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JP
Japan
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boron nitride
sintered body
average particle
volume
particle diameter
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JP9030491A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Shintani
一博 新谷
Yutaka Kuroyama
豊 黒山
Mitsuhiro Furuta
光拡 古田
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Showa Kinzoku Kogyo Co Ltd
NOF Corp
Original Assignee
Showa Kinzoku Kogyo Co Ltd
NOF Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性を高め、切削工具として使用する場
合の仕上げ面粗さを向上でき、かつ焼結体の硬度を高め
ることができ、特に高強度鋳鉄、高硬度の焼入鋼及び難
削材の切削加工に好適な切削工具用高圧相窒化硼素焼結
体を提供する。 【解決手段】 切削工具用の高圧相窒化硼素焼結体は、
下記の(1)高圧相窒化硼素の原料15〜40体積%
と、(2)結合相の原料60〜85体積%とを焼結して
形成した焼結体よりなる。 (1)高圧相窒化硼素の原料: 平均粒子径が2μm以
下の立方晶系窒化硼素と、その立方晶系窒化硼素に対し
6〜20体積%の平均粒子径が1μm以下のウルツ鉱型
窒化硼素とからなるもの、(2)結合相の原料: 炭化
チタン、窒化チタンの単独若しくはそれらの混合物又は
それらの固溶体とアルミニウムとからなり、それらの重
量比率が2.5〜6の範囲内であるもの

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高強度鋳鉄、高
硬度の焼入鋼及び難削材の切削加工に好適な切削工具用
高圧相窒化硼素焼結体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド焼結体工具は高硬度であ
り、工具材料としては極めて優れているが、熱的不安定
さや鉄系金属と高温で反応する欠点がある。そのため、
鉄系材料の切削には適さないという問題があった。
【0003】現在、鉄系材料の切削加工には、サーメッ
ト、セラミック、超硬合金、これらをコーティングした
もの、さらに立方晶系窒化硼素(cBN)又はウルツ鉱
型窒化硼素(wBN)焼結体の工具が用いられている。
これらの中で、高硬度の焼入鋼や高強度鋳鉄の高速かつ
高精度加工にはcBN又はwBN焼結体工具が特に優れ
た性能を示す。
【0004】このため、切削工具用高圧相窒化硼素焼結
体としては、例えば以下のようなものが知られている。
すなわち、特開昭64−11939号公報には、粒子径
8〜12μmのcBNを27体積%と粒子径2μm以下
のwBNを3体積%と、結合相として65体積%がTi
(C0.2 0.750.05)で、残部は窒化チタン(Ti
N)を2体積%、炭化チタン(TiC)を1体積%、ア
ルミニウム(Al)を2体積%含有しているものなどが
開示されている。
【0005】また、特公平7−13279号公報には、
平均粒子径3μmのcBNを58.8体積%と、粒子径
1μm以下のwBNを1.2体積%含有し、残部の結合
相として窒化ジルコニウム(ZrN)を17.2体積
%、TiNを6体積%、炭化タングステン(WC)を
1.2体積%、TiCを7.2体積%、硼化モリブデン
(MoB)を5体積%、Alを6体積%としたものなど
が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これら特開
昭64−11939号公報及び特公平7−13279号
公報に開示されている焼結体においては、cBNの粒子
径が大きいため、cBN粒子の摩耗や破壊が生じた場合
には、工具の損傷につながり、切削工具として使用した
とき対象物の仕上げ面粗さが低下するという問題があっ
た。また、アルミニウムに対する窒化チタンや炭化チタ
ンの比率が大きいものであったり、小さいものであっ
た。
【0007】このため、その比率が大き過ぎる場合に
は、窒化チタンや炭化チタンに対するアルミニウムの濡
れが起こりにくく、焼結体が脆くなるという問題があっ
た。一方、その比率が小さ過ぎる場合には、焼結体の硬
度が低下し、切削による高温で軟化するという問題があ
った。このように、焼結体は切削工具としての性能を充
分に発揮することができないという問題があった。
【0008】この発明は、以上のような従来技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、耐摩耗性を高め、切削工具として使用す
る場合の仕上げ面粗さを向上でき、さらに焼結体の硬度
を高めることができ、特に高強度鋳鉄、高硬度の焼入鋼
及び難削材の切削加工に好適な切削工具用高圧相窒化硼
素焼結体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1の発明の切削工具用高圧相窒化硼素焼結体
は、下記に示す(1)高圧相窒化硼素の原料15〜40
体積%と、下記に示す(2)結合相の原料60〜85体
積%とを焼結して形成した焼結体よりなるものである。
【0010】(1)高圧相窒化硼素の原料: 平均粒子
径が2μm以下の立方晶系窒化硼素と、その立方晶系窒
化硼素に対し6〜20体積%の平均粒子径が1μm以下
のウルツ鉱型窒化硼素とからなるもの (2)結合相の原料: 炭化チタン(TiC)、窒化チ
タン(TiN)のそれぞれ単独若しくはそれらの混合物
又はそれらの固溶体とアルミニウム(Al)とからな
り、アルミニウムに対する炭化チタン(TiC)、窒化
チタン(TiN)のそれぞれ単独若しくはそれらの混合
物又はそれらの固溶体の重量比率が2.5〜6の範囲内
であるもの また、第2の発明の切削工具用高圧相窒化硼素焼結体
は、前記焼結体中に形成されるチタンの硼化物(TiB
2 )の生成量が、X線回折分析による下記の数式で規定
される範囲内にあるものである。
【0011】
【数2】
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。切削工具用高圧相窒化硼素焼結体
は、下記に示す(1)高圧相窒化硼素の原料15〜40
体積%と、下記に示す(2)結合相の原料60〜85体
積%とを焼結して形成した焼結体よりなるものである。
【0013】(1)高圧相窒化硼素の原料: 平均粒子
径が2μm以下の立方晶系窒化硼素と、その立方晶系窒
化硼素に対し6〜20体積%の平均粒子径が1μm以下
のウルツ鉱型窒化硼素とからなるもの (2)結合相の原料: 炭化チタン(TiC)、窒化チ
タン(TiN)のそれぞれ単独若しくはそれらの混合物
又はそれらの固溶体とアルミニウム(Al)とからな
り、アルミニウムに対する炭化チタン(TiC)、窒化
チタン(TiN)のそれぞれ単独若しくはそれらの混合
物又はそれらの固溶体の重量比率が2.5〜6の範囲内
であるもの まず、高圧相窒化硼素について説明する。
【0014】高圧相窒化硼素の原料としては、立方晶系
窒化硼素(cBN)とウルツ鉱型窒化硼素(wBN)が
使用され、その総量は15〜40体積%である。この総
量が15体積%未満では、焼結はできるものの、強度の
バラツキが生じ、性能の安定性に欠ける。逆に、40体
積%を超えると焼結体の硬度は向上するが、各硬質粒子
それぞれへの結合相の濡れが起こりにくく、またcBN
粒子同士の接着が起こり易く、その結果cBN粒子が脱
落したり、またその脱落痕が起点となって破壊が起こる
ため、工具性能を示す耐逃げ面摩耗性及び仕上げ面粗さ
が悪化するため、工具としては適さない。
【0015】ここで、cBNはその殆どが静的超高圧下
で合成される単結晶である。このため、cBNはへき開
性があり、焼結体とした場合に靭性を低下させる原因に
なる。このcBNの平均粒子径は、2μm以下、好まし
くは0.1〜1μmの範囲内である。このcBNの平均
粒子径が2μmを越える場合には、cBNが粒子摩耗を
起こし、それが起点となって摩耗が進行するようになる
ため好ましくない。さらに、cBNの最大粒子径は4μ
mであることが、cBN粒子に対する応力集中を回避し
て耐摩耗性を向上させるために望ましい。また、cBN
の平均粒子径が0.1μm未満の場合には、焼結体中に
おけるcBNの分散が悪くなるため好ましくない。
【0016】一方、wBNは無触媒で100kb以上の
静的超高圧下又は爆薬の爆発などによる衝撃超高圧によ
って合成される。爆薬を用いたものが主で、多結晶体と
なっている。このwBNは平均粒子径が数十nmの単結
晶体又は多結晶体である一次粒子が凝集して形成される
凝集体よりなる。このwBNの平均粒子径は、好ましく
は1μm以下、さらに好ましくは0.1〜0.8μmで
ある。このwBNの平均粒子径が1μmを越える場合に
は、焼結体としたときの靭性が低下する。
【0017】前記cBNとwBNとの添加割合は、wB
NがcBNに対して6〜20体積%、好ましくは10〜
15体積%である。wBNが6体積%未満であると、焼
結体の強度が低下し、焼結体の耐摩耗性と仕上げ面粗さ
を向上させることができない。逆に、20体積%を超え
ると焼結体の靭性が低下する。さらに、wBNは前述の
ように、凝集体であり、多くなり過ぎると凝集が解けに
くく、分散が悪くなるため、焼結体としたときの耐摩耗
性が劣る。
【0018】次に、結合相の原料は、主に、チタン(T
i)の炭化物(TiC)、チタンの窒化物(TiN)若
しくはそれらの混合物又はチタンの炭窒化物(TiC、
TiNなどの複合体)のような固溶体及びアルミニウム
(Al)より形成される。この結合相の原料を、Ti
(CY ,NZ X と表現する。ここで、x、y、zはモ
ル分率、通常y+z=1を意味している。
【0019】前記固溶体を使用する場合には、炭化チタ
ンと窒化チタンを所定の焼結条件下に予め焼結してお
く。この場合の焼結条件としては、反応成分の反応が可
能で、所望とする固溶体を得るために、焼結温度が好ま
しくは700〜1500℃、さらに好ましくは900〜
1300℃である。焼結時間は、反応を完結できるに足
る時間、すなわち好ましくは10〜60分、さらに好ま
しくは15〜40分である。また、焼結時の雰囲気は、
真空下又はアルゴンなどの不活性ガス雰囲気であること
が望ましい。
【0020】原料中の結合相の原料の総量は60〜85
体積%である。結合相の原料中における他のセラミック
成分としては、ジルコニウム(Zr)及びハフニウム
(Hf)の炭化物、窒化物及び硼化物、チタンの硼化物
等が、この発明の目的を逸脱しない範囲で添加可能であ
る。
【0021】また、結合相の原料中の金属成分として
は、アルミニウムが必須成分である。その他必要に応
じ、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル
(Ni)、シリカ(Si)、鉄(Fe)等の1種又は2
種以上を添加することも可能である。それらの金属を使
用するときは、セラミック物質と予め反応させておくこ
とが望ましい。また、金属の種類は、焼結体が工具とし
て使用されるときに受けると予想される温度によって選
択するのが望ましい。
【0022】前記セラミック物質であるTi(CY ,N
Z X と金属成分であるアルミニウムとの比率(Ti
(CY ,NZ X /Al)は、通常2.5〜6、好まし
くは3〜5の範囲内である。その理由は、この範囲内で
得られる焼結体は硼化物や窒化物の生成に優れ、組織の
緻密化が起こっており、その結果焼結体の強度を向上さ
せることができるからである。この比率が2.5未満で
は焼結体の硬度が低下し、切削による高温で軟化すると
いう欠点を生ずる。逆に、この比率が6を越えると、炭
窒化物、炭化物又は窒化物等に対するアルミニウムの濡
れが起こりにくく、結果として焼結体が脆くなり、焼結
体の性能にバラツキが生じ、切削工具としたときに欠損
しやすくなる。
【0023】上記のような高圧相窒化硼素の原料と結合
相の原料を所定条件下に焼結することにより、高圧相窒
化硼素と結合相とからなる切削工具用高圧相窒化硼素焼
結体が得られる。この場合の焼結条件は、焼結温度と焼
結圧力の組み合わせによって決定されるもので、焼結温
度が好ましくは900〜2000℃、焼結圧力は好まし
くは2〜6GPaの範囲であり、かつcBNとwBNの
安定領域内であることが望ましい。cBNとwBNの安
定領域とは、所定の焼結温度、焼結圧力において、cB
NとwBNが各々そのままの状態で安定に存在し得る領
域をいう。
【0024】焼結温度は、さらに好ましくは1000〜
1700℃である。焼結温度が900℃未満では、焼結
が不十分で、所望とする硬度を得ることができず、20
00℃を越えるとcBN粒子が相変化したりして、焼結
体の硬度を十分に保持できなくなる。また、焼結圧力は
3〜5GPaがさらに好ましい。焼結圧力が2GPa未
満では、焼結体が切削工具用として必要な緻密なものに
ならず、6GPaを越えてもその効果は向上せず、かえ
って製造コストが上昇する。
【0025】次に、切削工具用高圧相窒化硼素焼結体の
X線回折分析は、高圧相窒化硼素焼結体のX線回折によ
るある特定の面方位及び回折角から求められるものであ
る。そして、焼結体中のチタンの硼化物(TiB2 )の
生成量に起因するものが重要であるが、原料として別途
TiB2 を添加したものであってもよい。このTiB 2
の生成量が下記の数式で規定される範囲内であることが
望ましい。
【0026】
【数3】
【0027】TiB2 の生成量がこの範囲内であること
により、TiB2 が焼結体中に生成され、焼結体の緻密
化が起こる。上記TiB2 /Ti(CY ,NZ X の比
率が0.08未満の場合、焼結が不十分で、焼結体自体
の強度が不足し、工具性能である逃げ面摩耗量が大きく
なり、さらに仕上げ面粗さが悪化する傾向にある。ま
た、この比が0.5を超えると、脆性物質の生成によ
り、焼結体の靭性が不足するため工具として好ましくな
い傾向にある。
【0028】以上のような実施形態によれば、次のよう
な効果が発揮される。 ・ 切削工具用高圧相窒化硼素焼結体は、高圧相窒化硼
素粒子のうちcBNを微粒にすることにより、焼結体を
切削工具として使用したとき、切削中に特定のcBN粒
子に応力が集中するのが回避され、耐摩耗性が向上す
る。 ・ 金属成分であるアルミニウムに対する前記セラミッ
ク成分であるTi(CY,NZ X の比率(Ti
(CY ,NZ X /Al)を2.5〜6に設定すること
により、得られる焼結体は硼化物や窒化物の生成に優
れ、組織の緻密化が起こって、焼結体の強度と耐熱性を
向上させることができる。すなわち、焼結体を切削工具
として用いたとき、切削による高温で軟化するのを防止
できるとともに、炭窒化物、炭化物又は窒化物等に対す
るアルミニウムの濡れを充分に起こさせ、焼結体の性能
の均一化を図ることができ、切削工具としたときの欠損
を防止することができる。 ・ wBNは適量焼結体全体に分散され、硼化物や窒化
物の生成を促し、結合相同士が強化されることから、焼
結体組織が緻密化する。 ・ 高圧相窒化硼素粒子は15〜40体積%という低含
有量での最適値とすることにより、高圧相窒化硼素粒子
特にcBNの粒子摩耗が抑制される。 ・ さらに、これらの要件と合わせて高圧相窒化硼素粒
子のうちのcBNに対するwBNの比率を6〜20体積
%という適切な比率に設定することにより、工具用焼結
体として強度が向上し、かつ耐摩耗性が向上する。 ・ 凝集し易い微粒のwBNの平均粒子径を1μm以下
とし、さらにcBNの平均粒子径を2μm以下とし、こ
れらの含有量を15〜40体積%と低含有量に設定する
ことにより、焼結体を切削工具として使用したとき、切
削中に高圧相窒化硼素粒子自身が破砕或いはその脱落に
よる破壊起点の発生が防止される。このため、従来にな
い優れた耐摩耗性、耐チッピング性及び仕上げ面粗さ特
性を発揮することができる。 ・ 加えて、X線回折分析によるTi(CY ,NZ X
の焼結体の40〜45°における最大ピーク高さに対す
るTiB2 の(101)面のピーク高さの比を0.08
〜0.5に設定することにより、wBNをチタン化合物
の結合材と反応させて得られるTiB2 が焼結体中に生
成され、焼結体の緻密化を促進させることができ、より
高強度な焼結体を得ることができる。 ・ しかも、工具性能の1つである逃げ面摩耗量が小さ
くなり、仕上げ面粗さがさらに向上し、また焼結体の靭
性がより優れる。 ・ 従って、前記焼結体は、特に高強度鋳鉄、高硬度の
焼入鋼及び難削材の切削加工に好適である。
【0029】
【実施例】以下、この発明を実施例及び比較例によりさ
らに具体的に説明する。 (実施例1〜6)窒化チタン(平均粒子径0.8μm
TiN0.82)とアルミニウム(平均粒子径10μm)の
比率(TiN0.82/AlをR1 値として表記)を表1に
示す割合で、超硬合金ポットとボールを用いてエチルエ
ーテル中でボールミル粉砕混合をした後、脱エチルエー
テルしてペレット状にした。それを1200℃、20分
間反応させたものを、平均粒子径0.9μmに粉砕して
結合相用の粉末とした。
【0030】これらの結合相用粉末と表1に示す高圧相
窒化硼素粉末(表1中に高圧相窒化硼素量をBN量とし
て表記した。そして、cBN量に対するwBN量の比を
Q値として表記した。また、ここで用いた高圧相窒化硼
素原料は、平均粒子径1μmのcBN粒子と、1μm以
下のwBN粒子であった。)とから焼結用混合粉末を作
った。
【0031】これを直径40mm、厚さ2mmに型押し
成形した円板及び同じく同寸に型押して成形した超硬合
金板(コバルト含有量6重量%)をジルコニウム(Z
r)製の容器に入れ、黒鉛製の加熱ヒーター及び塩化ナ
トリウム(NaCl)製の圧力媒体に組み込んだ。この
アセンブリーをベルト型超高圧装置にセットし、圧力
4. 5GPa、温度1350℃で15分間焼結した。
【0032】得られた焼結体についてX線回折により測
定したところ、全ての焼結体にcBNのピークとチタン
の窒化物、チタンの硼化物、例えばTiB2 、Al
2 、AlN、Al2 3 等のピークが確認された。
【0033】試料によってはCo、Zr或いはWを含む
炭化物、窒化物及び硼化物なども微量ではあるが検出さ
れた。そして、Ti(CY ,NZ X の40〜45°の
最大ピーク高さに対するTiB2 の(101)面のピー
ク高さの比をS値として表1に示した。
【0034】得られた焼結体を放電加工により、所定の
スローアウェイチップ用の大きさに切断し、超硬合金基
盤に鑞付けしてISO規格(SNMA150408)の
形状の切削工具を仕上げた。
【0035】これらの切削工具を用い、焼入鋼の丸棒
(SNCM447 54〜62HRC )を長手方向に旋盤
を用いて切削した。その条件は、切削速度120m/min
、送り速度0.1mm/rev、切り込み幅0.1mmにて行
い、30分切削後の逃げ面摩耗幅(VB値として表記し
た。)で工具の耐摩耗性を性能評価した結果も併せて表
1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】表1に示したように、実施例1〜6におい
ては、逃げ面摩耗幅(VB値)は0.2mm以下と優れ
ていた。 (実施例7〜11、比較例1〜2)cBN量に対するw
BN量の比(Q値)を10とし、BN量を30体積%と
し、TiC0.86/Alの比(R2 値)を4とし、cBN
の平均粒子径を0.2〜2.5μmに変化させた以外は
実施例1と同じ方法により工具を作成した(実施例7は
平均粒子径0.2μm、実施例8は0.5μm、実施例
9は、1μm、実施例10は1.5μm、実施例11は
2μm、及び比較例1は2.4μm、比較例2では2.
5μmであった。)。
【0038】これを用い、鋳鉄材(FCAD1000−
5)の丸棒の外周を切削した。その切削条件は、切削速
度120m/min 、送り速度0.05mm/rev、切り込み幅
0.2mmとし、30分切削後の逃げ面摩耗幅を求めた。
そして、その逃げ面摩耗幅とcBN平均粒子径との関係
を図1に示した。この図1の結果より、cBN平均粒子
径が2μm以上になると逃げ面摩耗幅が0.2mmを超
えるため、工具としての性能が急激に悪くなることが明
らかとなった。 (実施例12〜15)窒化チタン(平均粒子径0.9μ
m TiN0.93)75体積%とアルミニウム(平均粒子
径10μm)25体積%とを、超硬合金ポットとボール
を用いてヘキサン中で遊星式ボールミルで粉砕、混合を
行った。その後、脱ヘキサン処理し、ペレット状に成形
したものを、1100℃、30分間反応させた後粉砕
し、平均粒子径1.3μmの結合相粉末を作製した。こ
の結合相粉末と高圧相窒化硼素粉末(cBNの平均粒子
径は0.5μm、wBNは1μm以下を使用した。)を
以下の表2に示すように調合して、焼結用混合粉末を作
成した。
【0039】この焼結用混合粉末を実施例1と同じ装置
を用いて直径40mm、厚さ2mmの円板状に型押し成
形し、圧力4. 7GPa、温度1400℃で15分間焼
結した。得られた焼結体について実施例1と同じく切削
工具を作成し、同じ条件で切削試験を行った。その切削
試験を行った結果を表2に示した。また、被削材の表面
粗さ(Ryとして表記した。)の結果についても表2に
併記した。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示したように、実施例12〜15で
は、VB値について0.2mm以下と優れ、Ry値は2
μm程度と優れていた。 (比較例3〜8)R値、BN量、Q値を表3に示した以
外は実施例1に準じて行った。
【0042】
【表3】
【0043】表3に示したように、各比較例の切削結果
は良いものでもVB値が0.2mmを超えており、前記
各実施例と比較して悪い結果であった。 (実施例16,17、比較例9〜11)窒化チタン(平
均粒子径0.8μm TiN0.82)40体積%と炭化チ
タン(平均粒子径0.7μm TiC0.86)35体積%
とアルミニウム(平均粒子径10μm)25体積%とを
粉砕混合させて、ボールミル粉砕をし、平均粒子径0.
9μmの結合相粉末を得た。この結合相粉末を変化させ
た焼結体を作成した。原料としてcBNは、実施例1
6,17については平均粒子径1μmのものを用い、比
較例9〜11については平均粒子径3μmのものを用い
た。wBNはいずれも1μm以下を用いた。
【0044】これらの焼結体について、実施例1と同じ
切削試験を行い、その結果を以下の表4に示した。
【0045】
【表4】
【0046】表4に示したように、BN量が15〜40
体積%の間にある実施例16,17の場合には、炭化チ
タンや窒化チタンの混合物を使用した場合でも良好な結
果であった。これに対し、比較例9〜11ではVB値が
0.2mm以上であるか又は欠損するものであり、前記
各実施例の切削工具と比較して悪い結果であった。
【0047】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 ・ 前記高圧相窒化硼素を形成する立方晶系窒化硼素の
平均粒子径は、0.1〜1μmの範囲である請求項1又
は請求項2に記載の切削工具用高圧相窒化硼素焼結体。
【0048】このように構成した場合、立方晶系窒化硼
素が粒子摩耗を起こしてその摩耗が進行するのを抑制す
ることができる。 ・ 前記ウルツ鉱型窒化硼素の平均粒子径は、0.1〜
0.8μmの範囲である請求項1又は請求項2に記載の
切削工具用高圧相窒化硼素焼結体。
【0049】このように構成した場合、焼結体としたと
きの靭性を高めることができ、またウルツ鉱型窒化硼素
が結合相と反応してチタンの硼化物(TiB2 )を容易
に生成させることができる。 ・ 前記結合相の原料を形成する固溶体は、真空下又は
不活性ガス雰囲気下で700〜1500℃の焼結温度で
焼結して形成されるものである請求項1又は請求項2に
記載の切削工具用高圧相窒化硼素焼結体。
【0050】このように構成した場合、炭化チタンと窒
化チタンを効率良く反応させ、その固溶体を容易に得る
ことができる。 ・ 前記高圧相窒化硼素の原料と結合相の原料の焼結
は、焼結温度が900〜2000℃、焼結圧力が3〜5
万気圧の条件下に行われるものである請求項1又は請求
項2に記載の切削工具用高圧相窒化硼素焼結体。
【0051】このように構成した場合、焼結を充分に行
うことができ、得られる焼結体の硬度を十分に高めるこ
とができるとともに、焼結体を緻密なものにすることが
できる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
次のような優れた効果を奏する。第1の発明の切削工具
用高圧相窒化硼素焼結体によれば、立方晶系窒化硼素を
微粒にしたことにより、立方晶系窒化硼素への応力集中
を緩和して工具損傷につながる立方晶系窒化硼素の摩
耗、破損を抑制し、耐摩耗性を高めることができるとと
もに、切削工具として使用する場合の仕上げ面粗さを向
上させることができる。また、アルミニウムに対する炭
化チタンや窒化チタンなどのセラミック成分の比率を
2.5〜6に設定したことにより、焼結体の緻密化が起
こって、強度と耐熱性が向上するとともに、焼結体の性
能の均一化を図ることができ、切削工具としたときの欠
損を防止することができる。さらに、ウルツ鉱型窒化硼
素は適量焼結体全体に分散され、焼結体の硬度を高める
ことができる。
【0053】従って、この高圧相窒化硼素焼結体は、特
に高強度鋳鉄、高硬度の焼入鋼及び難削材の切削加工に
好適である。また、第2の発明の切削工具用高圧相窒化
硼素焼結体によれば、チタンの硼化物(TiB2 )が焼
結体中に均一に生成され、焼結体の緻密化がさらに向上
し、焼結体自体の強度がより向上し、切削工具としての
性能を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 立方晶系窒化硼素の粒子径と逃げ面摩耗幅と
の関係のグラフ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示す(1)高圧相窒化硼素の原料
    15〜40体積%と、下記に示す(2)結合相の原料6
    0〜85体積%とを焼結して形成した焼結体よりなる切
    削工具用高圧相窒化硼素焼結体。 (1)高圧相窒化硼素の原料: 平均粒子径が2μm以
    下の立方晶系窒化硼素と、その立方晶系窒化硼素に対し
    6〜20体積%の平均粒子径が1μm以下のウルツ鉱型
    窒化硼素とからなるもの (2)結合相の原料: 炭化チタン(TiC)、窒化チ
    タン(TiN)のそれぞれ単独若しくはそれらの混合物
    又はそれらの固溶体とアルミニウム(Al)とからな
    り、アルミニウムに対する炭化チタン(TiC)、窒化
    チタン(TiN)のそれぞれ単独若しくはそれらの混合
    物又はそれらの固溶体の重量比率が2.5〜6の範囲内
    であるもの
  2. 【請求項2】 前記焼結体中に形成されるチタンの硼化
    物(TiB2 )の生成量が、X線回折分析による下記の
    数式で規定される範囲内にある請求項1に記載の切削工
    具用高圧相窒化硼素焼結体。 【数1】
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JP5771883B2 (ja) * 2010-10-19 2015-09-02 住友電工ハードメタル株式会社 立方晶窒化硼素焼結体工具
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