JPH10226505A - リチウム二次電池用グラファイト粉末とその製造方法 - Google Patents
リチウム二次電池用グラファイト粉末とその製造方法Info
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Abstract
ウム二次電池を作製することができる、リチウム二次電
池の負極材料に適したグラファイト粉末を製造する。 【解決手段】 表面にc面層の末端がループ状の閉じた
閉塞構造を有し、グラファイトc軸方向における該閉塞
構造間の間隙面の密度が 100〜1500個/μmであり、X
線回折による格子定数精密測定法で求めたc軸(002) 面
格子間隔d002が0.33700 nm以下であるグラファイト粉
末を、炭素化の前または後に高速粉砕した炭素材を黒鉛
化するか、炭素化の前または後に粉砕した炭素材を、黒
鉛化後に600〜800 ℃の温度で酸化熱処理し、次に不活
性ガス中にて800 ℃以上の温度で熱処理することにより
製造する。
Description
チウム二次電池を形成することができ、リチウム二次電
池の負極材料として好適な、新規構造を持ったグラファ
イト粉末に関する。本発明はまた、このグラファイト粉
末からなるリチウム二次電池の負極材料にも関する。
ウム、正極活物質に遷移金属の酸化物またはカルコゲン
化物 (例、硫化物、セレン化物) を使用し、電解液とし
て非プロトン性有機溶媒 (例、アルキレンまたはジアル
キルカーボネート、エーテル系溶媒、スルホラン類、ニ
トリル系溶媒、ニトロメタン、アミド系溶媒、エステル
系溶媒、グリコール類など) に無機または有機リチウム
塩 (例、LiClO4、LiBF4、LiCl、LiCF3SO3など) を溶解
させた溶液を用いた、非水系の二次電池の1種である。
チウム二次電池は大電圧を容易に取り出すことができ
る。そのため、リチウム二次電池は起電力とエネルギー
密度が高い二次電池として近年注目が高まっており、分
散型または可搬型電池として、電子機器、電気機器、電
気自動車、電力貯蔵など幅広い分野での用途が期待され
ており、既に一部では実用化が始まっている。
して箔状の金属リチウム単体を用いていた。この場合、
Liの溶解 (イオン化) と析出により充放電反応が進行す
る。しかし、充電時のLi+→Liの反応において、金属Li
が針状に析出する傾向があるため、充放電を繰り返すと
電極表面に樹枝状のLiデンドライトが析出する。この樹
枝状のLiデンドライトが成長すると、セパレータ (隔
壁) を貫通することがあり、それにより正極との間の短
絡が起こるため、充放電サイクルの寿命が短くなるとい
う、実用化にあたって致命的な問題があった。
(例、Li/Al合金化) するといった対策が検討されてき
たが、現状で最も有望な解決策は、リチウムを黒鉛など
の炭素材の中に格納した材料を負極活物質として用いる
方法である。この場合、負極材料は実質的に炭素材だけ
でよく、充電時には電解液中のLiイオンがこの炭素材の
層間にドーピング、吸蔵、挿入 (インターカレーショ
ン) 等によって取り込まれ、放電時にはLiイオンが炭素
材から電解液中に放出される。即ち、Liイオンの取り込
みと放出によって充放電 (電極反応) が起こる。そのた
め、この種の電池はリチウムイオン二次電池とも呼ばれ
る。
したもの、あるいはピッチの加熱過程で生ずる光学異方
性のメソフェーズ小球体を利用することが知られてい
る。このような粉末状の炭素材を少量のバインダー (結
着剤) および溶媒と混合して成形することにより作製し
た電極がリチウム二次電池の負極に用いられる。
次電池の理論容量は、約3800 mAh/gと非常に高い。これ
に対し、炭素材にリチウムを格納した負極活物質から構
成したリチウム二次電池の理論容量は、黒鉛の層間にリ
チウムが規則的に密に格納された層間化合物であるC6Li
を負極活物質とする場合で372 mAh/g 程度である。
にLiイオンの侵入を疎外する表面活性サイトや、Liイオ
ン格納に対する死領域などが存在することから、C6Liの
理論容量である372 Ah/kg を達成することは極めて困難
であり、この理論容量に少しでも近づけるため負極炭素
材の製造方法について各種の提案がなされている。
鉛化した炭素繊維について、黒鉛層の積層配列の規則性
を高めることにより、リチウム二次電池の高容量化を図
っている。この公報には、炭素繊維を粉砕すると、元の
炭素繊維の黒鉛層の積層配列規則性とは異なる望ましく
ない構造欠陥が導入され、リチウム二次電池の容量を高
めるには、黒鉛層の積層配列の規則性を高めることが有
利であると説明されている。しかし、このように黒鉛層
の積層配列の規則性を高めても、リチウム二次電池の放
電容量は最高でも316 mAh/g であり、330 mAh/g を越え
るような高容量の黒鉛ベース負極炭素材を得ることはで
きない。
イトの析出によるサイクル寿命の低下や短絡の危険がな
く、Liイオンの格納量が多いため、放電容量の高いリチ
ウム二次電池を構成することができる、リチウム二次電
池の負極材料として好適なグラファイト粉末とその製造
方法を提供することを課題とする。本発明の具体的目標
としては、少なくとも310 mAh/g 、好ましくは330 mAh/
g 以上、条件によっては360 mAh/g を超えるような、炭
素材を負極材料とするリチウム二次電池の理論容量 (37
2 mAh/g)に近づいた放電容量を実現することである。
二次電池の負極材料として用いるグラファイト粉末の微
視的な構造と充放電特性との関係を系統的に調査し、理
論的な計算による種々の解析を行った結果、適当な処理
によってグラファイト粉末はc面層の端部がループ状に
閉じた「閉塞構造」に変化することを見出した。この閉
塞構造は、図1に模式的に示すように、c面層の数層
(正確には偶数層) の単位で形成され、隣接した2つの
単位閉塞構造の界面にはc面が開放された「間隙面」が
生じる。
ファイト粉末をc軸と平行な方向に切断した粉末断面の
表面付近を、高分解能の透過型電子顕微鏡により観察す
ることで実際に確認することができる。そのような電子
顕微鏡写真の1例を、図2に示す。
ラファイト粉末における上記の間隙面の密度 (即ち、単
位閉塞構造の密度) とc軸(002) 面格子間隔 (d002) が
リチウム二次電池の充放電特性に大きく影響すること、
これらの条件は黒鉛化熱処理前の粉砕や黒鉛化熱処理条
件およびその後の特定条件下での熱処理により制御でき
ることを見出し、本発明に到達した。
ラファイトc面層の端部がループ状に閉じた閉塞構造を
有するグラファイト粉末であって、グラファイトc軸方
向における該閉塞構造間の間隙面の密度が 100〜1500個
/μmであり、X線回折による格子定数精密測定法で求
めたc軸(002) 面格子間隔 (d002) が0.33700 nm以下で
あることを特徴とする、グラファイト粉末」である。本
発明によれば、このグラファイト粉末からなるリチウム
二次電池用負極材料も提供される。
前および/または後に高速粉砕処理された炭素材を、25
00℃以上の温度で熱処理して黒鉛化することを特徴とす
る方法」、または「炭素化の前および/または後に粉砕
処理された炭素材を2500℃以上の温度で熱処理して黒鉛
化した後、得られたグラファイトの表面を削ることがで
きる条件下で熱処理を行い、さらに不活性ガス中にて80
0 ℃以上の温度で熱処理することを特徴とする方法」に
より製造できる。
の表面にグラファイトc面層の端部がループ状に閉じた
閉塞構造 (以下、単に閉塞構造ともいう) を有してい
る。この閉塞構造は、理想的には炭素6員環が平面内で
連結した網目構造からなるグラファイトc面層(炭素ネ
ットワーク層) の端部が、指紋に似た、複数のループが
重なりあって閉じたものである。グラファイト粉末の表
面にこのような閉塞構造が形成されるのは、c面層の末
端が切れたままでいるより、2つのc面層の末端同士が
結合してループ状に閉じた方がエネルギー的に安定であ
るためと考えられる。
に、一般に単層ループではなく、数層のループが重なっ
た積層ループ構造をとる。この複数のループが互いに重
なりあってできた個々の積層ループ構造を、図1に示す
ように、本発明では「単位閉塞構造」という。図1に
は、単純化のために3層のループ (6層のc面層) が積
層した単位閉塞構造だけを示したが、ループ積層数は単
位閉塞構造ごとに変化し、例えば10またはそれ以上とい
った積層数になることもある。なお、図2においては、
白いすじがグラファイトc面層を表し、矢印が間隙面を
示す。
する可能性があるかを、分子軌道法により調査したとこ
ろ、図1に示す、隣接する2つの単位閉塞構造間の隙間
(本発明では、これを「間隙面」という) が主な通過部
位であることがわかった。間隙面の入口は、Liイオンと
炭素原子の相互作用が弱く、侵入の障壁エネルギーが低
いため、多量のLiイオンを通過させ易いものと考えられ
る。
ず、切れたままであると、Liイオンだけでなく、電解液
がグラファイト内に侵入して充電時にリチウムが樹枝状
のデンドライトに成長し易くなるので、充電・放電サイ
クル特性が低下する。また、切れた末端は化学的に不安
定であるので、この部分から粉化しやすく、それによる
サイクル特性の低下も加わる。従って、化学的に安定
で、電解液が侵入しにくいループ状閉塞構造を持つグラ
ファイトの方が電極材として有利である。
ンの侵入サイトが多いほど容易になると考えられる。従
って、上述したグラファイトのc面層の単位閉塞構造間
の間隙面の密度が高いほど、Liイオンは負極材に侵入し
やすく、Liイオンの炭素材への格納量が増大すると考え
られる。
グラファイト粉末の表面に見られる閉塞構造の間隙面の
密度を一定値以上に規定すると共に、グラファイト粉末
の結晶性についても規定した。これは放電容量が結晶性
にも依存するためである。
表面にグラファイトc面層の端部がループ状に閉じた閉
塞構造を有し、グラファイトc軸方向における該閉塞構
造間の間隙面の密度が 100〜1500個/μmであり、X線
回折による格子定数精密測定法で求めたc軸(002) 面格
子間隔 (d002) が0.33700 nm以下である。
に示すように、c面層 (炭素ネットワーク層) と垂直な
方向である。また、c軸(002) 面格子間隔 (d002) と
は、図1においてd002 と表示した、隣接するc面層間
の間隔である。
異なるいくつかの領域 (多結晶粉末の結晶粒に相当) か
ら構成され、各領域 (即ち、c軸方向が同一のひとかた
まりの領域) を結晶子といい、この結晶子のc軸方向の
長さを結晶子径という。
表面に露出したc面層の端部が前述した閉塞構造を有す
るが、表面全体が上記の閉塞構造を有している必要はな
く、表面の少なくとも一部にこの閉塞構造が見られれば
よい。但し、粉末の実質的に全表面にこの閉塞構造が形
成されている方が好ましい。
閉塞構造とc軸方向における単位閉塞構造間の間隙面
は、グラファイト粉末をc軸に平行な方向に切断した粉
末断片の表面付近を高分解能の透過型電子顕微鏡で観察
することにより見ることができ、この電子顕微鏡写真か
らc軸方向の長さL (μm) と、この長さ中に現れた間
隙面の総数Nを測定することにより、N/Lとして間隙
面の密度 (個/μm) を算出することができる(図1参
照)。
プ状閉塞構造の間隙面の密度を100個/μm以上とした
のは、これを下回ると、間隙面間の距離 (即ち、単位閉
塞構造のc軸方向の長さにほぼ相当) が結晶子径とさほ
ど代わらないレベルになり、Liイオン侵入サイトの増大
への寄与が小さくなるからである。実際に、間隙面の密
度がこのように低いと、330 mAh/g を超えるような高い
放電容量の実現は不可能となる。
は、全てのc面層が隣接する2層間で単層ループを形成
した閉塞構造 (即ち、各単位閉塞構造が何れも2層のc
面層からなる場合) の間隙面の密度に相当し、グラファ
イト結晶構造から理論上予測される最大限の間隙面密度
である。
指標であり、この間隔が小さいほど、グラファイト粉末
の結晶性が高い。グラファイト粉末の結晶性は、黒鉛化
熱処理条件に依存し、熱処理温度が高いほど、また時間
が長いほど結晶性の高いグラファイト粉末が得られる傾
向がある。
ピークから決定することができる。X線回折法によるカ
ーボン材料の格子間隔の決定に従来より最も普通に利用
されてきたのは学振法である。しかし、学振法では、大
きな回折ピークだけを測定し、しかも回折ピーク強度の
2/3 の幅の中点をピーク位置とするため、非対称成分の
効果と光学系の誤差により精密な値は得られない。本発
明においては、d002の値は、ディフラクトメータの誤
差を含めた最小二乗法を利用する格子定数精密測定法に
より求めた、より精密な値を採用する。精密測定法で
は、全てのピークを計算に利用し、測定系の系統誤差が
小さい場合には、学振法とは異なり、内部標準試料を必
要としない。
値が0.33700 nmより大きいと、グラファイト粉末の結晶
性が不十分であって、330 mAh/g という高い放電容量を
実現することができない。d002 の値は好ましくは0.33
650 nm以下である。
002 値を持つグラファイト粉末は、炭素化および粉砕し
て得た炭素材を、適当な温度で熱処理して黒鉛化するこ
とにより製造できる。こうして黒鉛化するだけでも、粉
砕を高速条件で実施すれば、c面層末端の閉塞構造の間
隙面の密度が100 個/μm以上という本発明の条件を満
たすグラファイト粉末を製造することができる。以下、
この製造方法を第1の方法という。但し、第1の方法で
は、得られたグラファイト粉末の間隙面密度は100 個/
μmをやや上回る程度 (例、 100〜120 個/μm) であ
り、例えば200個/μm以上といった非常に高い間隙面
密度を得ることは困難である。
記のように黒鉛化して得たグラファイト粉末に、その表
面を削ることができる条件下で熱処理 (例、 600〜800
℃の温度での酸化熱処理) を施し、さらに不活性ガス中
にて800 ℃以上の温度で熱処理する。この方法では 200
個以上、例えば、 500〜1500個/μmという非常に高い
間隙面密度を得ることができる。
製造方法は、上記の第1および第2の方法に限定される
ものではない。最終的にc面層末端に閉塞構造を持ち、
その間隙面の密度が100 個/μm以上であるグラファイ
ト粉末が形成できれば、いかなる方法で本発明にかかる
グラファイト粉末を製造してもよい。
ず、従来よりグラファイト粉末の製造に用いられてきた
ものと同様でよい。炭素質原料の具体例としては、コー
ルタールピッチまたは石油ピッチ、さらにはこれらのピ
ッチの熱処理により生ずるメソフェーズ小球体と、この
小球体のマトリックスであるバルクメソフェーズ、並び
に各種の有機樹脂または有機物 (例、ポリアクリロニト
リル、レーヨン) 等が挙げられる。特に好ましい炭素質
原料はメソフェーズ小球体とバルクメソフェーズであ
る。
材を得る。粉砕により生ずる粉末表面の原子レベルの凹
凸 (層欠陥) により、黒鉛化熱処理時に上記の閉塞構造
が形成されるので、粉砕は閉塞構造を高密度に有するグ
ラファイト粉末を得るのに必須である。特に第1の方法
では、この粉砕条件が、黒鉛化熱処理後に生成するグラ
ファイト粉末の閉塞構造の形態や密度に大きく影響す
る。
で生成したグラファイトのc面層に層欠陥が発生する
上、導入された閉塞構造が粉砕で破壊される可能性もあ
るため、黒鉛化熱処理後に粉砕を行うことは望ましくな
い。従って、この熱処理前に行う粉砕は、グラファイト
粉末の用途に要求される最終粒度になるように行うこと
が好ましい。
いる場合、平均粒径が大きすぎると充填密度が低下し、
1μmより小さい粒径のものは初期充放電特性を劣化さ
せることが知られているので、平均粒径が5〜50μmの
範囲内で、かつ1μmより小さい微粒子が存在しないよ
うにすることが好ましい。但し、解砕を目的とする軽度
の粉砕や、微粒子の除去や平均粒径の調整のための分級
は、黒鉛化熱処理後、或いは第2の方法では最後の熱処
理後に実施してもよい。
行ってもよく、また炭素化の前と後の両方で行ってもよ
いが、炭素化前に粉砕する方が炭素化と黒鉛化の熱処理
を続けて実施でき、熱エネルギーの無駄がない。
ミル、アトリションミル、ボールミルなどの慣用の粉砕
機を用いて実施すればよい。好ましい粉砕機は、衝撃粉
砕を行うもの、代表的にはハンマーミルである。前述し
たように、特に第1の方法では、グラファイト粉末の結
晶構造に及ぼす粉砕条件の影響が大きく、間隙面の密度
が100 個/μm以上の閉塞構造を持つグラファイト粉末
を得るには、高速粉砕を採用する必要がある。具体的な
粉砕条件 (例、回転数、粉砕時間) は、使用する粉砕機
の種類や炭素質原料の種類によっても異なるので、黒鉛
化熱処理後に間隙面密度が100 個/μm以上のグラファ
イト粉末が生成し、かつ所望の粒度の粉末が得られるよ
うに、実験により決定すればよい。
ルで粉砕する場合には、粉砕機の回転数を5000〜8000 r
pmにすると、黒鉛化熱処理後に間隙面の密度が100 個/
μm以上の閉塞構造を持つグラファイト粉末を得ること
ができる。回転数が5000 rpmより低速であると、間隙面
の密度を100 個/μm以上にすることができず、8000rp
mより高速回転では、微粉化して黒鉛化熱処理後のグラ
ファイト粉末の比表面積が大きくなりすぎ、Liイオン二
次電池における初回充電時に不動態膜の形成が起こりや
すくなって、高効率の負極を得ることができない。但
し、これはあくまで1例であって、粉砕機や原料の種類
が変われば適正な回転数も変動する。
砕を行ってもよく、それにより間隙面の密度が1000個/
μmを超えるような非常高密度の閉塞構造を持つグラフ
ァイト粉末を得ることができる。但し、黒鉛化熱処理後
の2回の熱処理で間隙面密度は大きく増大するので、第
2の方法での粉砕は高速粉砕とする必要はない。
が分解して原料に含まれていた炭素以外の元素がほぼ完
全に除去されるように選択すればよい。炭素の酸化 (燃
焼)を防止するため、熱処理は不活性雰囲気または真空
中で実施する。炭素化の熱処理温度は、通常は 800〜15
00℃の範囲内であり、特に1000℃前後が好ましい。炭素
化に要する熱処理時間は、原料の種類、処理量、温度に
もよるが、温度が1000℃の場合で30分〜3時間程度であ
る。
炭素材を熱処理して黒鉛化する。この熱処理温度は、黒
鉛化 (結晶化) が起こり、かつ最終的にc軸(002) 面格
子間隔d002 が0.33700 nm以下のグラファイト粉末が得
られる条件で実施する。黒鉛化温度は通常は2500℃以上
であり、上限は3200℃程度が現状の加熱技術では実用的
である。しかし、d002 は黒鉛化条件に大きく依存する
ので、第1の方法では、黒鉛化後にd002 が0.33700 nm
以下になるように熱処理条件を設定する。そのための熱
処理温度は通常は2500℃以上、好ましくは2800℃以上、
さらに好ましくは2900℃以上である。第2の方法では、
黒鉛化後の酸化熱処理+不活性ガス熱処理によりd002
がいくらか小さくなるので、黒鉛化後のd002 は0.3370
0 nmを少し超えていてもよい。この場合の黒鉛化熱処理
温度としては、2700℃以上とすることが好ましいが、熱
処理温度が高いほどd002 が小さくなり、放電容量が向
上する。熱処理時間は温度や処理量にもよるが、一般に
は20分以上である。熱処理雰囲気は非酸化性雰囲気であ
り、好ましくは不活性ガス雰囲気 (例、窒素、ヘリウ
ム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素など) または真空で
ある。
ファイト粉末は一般に、粉末表面でc面層末端がループ
状に閉じた閉塞構造を持つが、この熱処理前の粉砕を十
分に高速条件下で行うと、間隙面密度が100 個/μmを
少し超える程度のグラファイト粉末が得られる。即ち、
第1の方法により製造されたグラファイト粉末である。
このように間隙面密度が100 個/μmを少し超える程度
であっても、この密度が100 個/μmを下回る時に比べ
て、放電容量が著しく向上する。
グラファイト粉末にさらに酸化熱処理 (または他の表面
を削り取る熱処理) と不活性ガス雰囲気中での熱処理と
いう2回の熱処理を施して、閉塞構造の間隙面密度を著
しく高める。この第2の方法における黒鉛化後の熱処理
について、次に説明する。
は、酸化により粉末表面を削りとるために行う。それに
より、黒鉛化熱処理で生成した粉末表面 (c面層末端)
の閉塞構造が切れて開放され、c面層の末端がほぼ同じ
長さに揃って平坦となった、開放構造のc面層末端を持
つグラファイト粉末が得られる。
造の開放が実質的に起これば特に制限されないが、熱処
理温度は 600〜800 ℃の範囲内が好ましい。閉塞構造を
持つグラファイト粉末は耐酸化性が高いため、酸化熱処
理の温度が600 ℃より低いと酸化されにくく、800 ℃以
上では酸化が急速に進み、グラファイト粉末全体の劣化
が進むからである。酸化熱処理の時間は温度や処理量に
よって異なるが、一般には1〜10時間である。熱処理雰
囲気は酸素含有雰囲気であり、純酸素雰囲気でも、酸素
と不活性ガスとの混合ガス雰囲気 (例、空気) でもよ
い。
られるものではない。グラファイト粉末の表面構造を削
り取ることにより閉塞構造を開放して平坦なc面層末端
を得ることができれば、他の方法を採用することもでき
る。他の方法の例には、フッ化熱処理、水素化熱処理な
どがある。この場合の熱処理条件は、閉塞構造の開放が
起こるように実験により適宜設定すればよい。
囲気中でさらに熱処理する。この不活性ガス雰囲気中で
の熱処理により、開放構造のc面層の末端が他のc面層
の末端と連結して、グラファイト粉末の表面のc面層末
端に再びループ状の閉塞構造が形成される。
ラファイト粉末の表面のc面層の末端が酸化熱処理によ
り平坦になっているため、離れた2層が連結することは
極めて稀であり、図2に示すような多数の連結ループが
積層した大きな閉塞構造は形成し得ない。ループの積層
数は、せいぜい5層、多くは1〜3層程度である。その
ため、c軸方向長さ当たりの閉塞構造の数が多くなり、
その間隙面の密度が高くなるのである。その結果、第1
の方法では100 個/μmをいくらか超える程度の間隙面
密度であったのが、第2の方法では、例えば500 個/μ
mを超えるような大きな間隙面密度になるように間隙面
を低ピッチ化することができる。
の1種もしくは2種以上でよい。熱処理温度は、c面層
の末端どうしが連結できるような比較的大きな格子振動
を起こさせる温度であればよい。連結して閉塞構造を形
成した方が、エネルギーが低く、安定化するため、不活
性ガス雰囲気中で熱処理して十分な格子振動を生じさせ
ると、c面層の開いた末端同士が連結しあうのである。
この目的には、一般に800 ℃以上の熱処理温度が必要で
ある。上限は特に制限されないが、前述したように、現
在の加熱技術では3200℃程度が実用的である。熱処理時
間は、閉塞構造が形成されればよく、温度や処理量によ
り大幅に異なるが、一般には1〜10時間である。例え
ば、1000℃では約5時間程度が目安となる。
は、従来のグラファイト粉末と同様の用途に使用するこ
とができる。グラファイト粉末のc面層が閉塞構造を形
成し、しかもc軸方向におけるその閉塞構造、従って間
隙面の密度が 100〜1500個/μmと高密度であり、同時
にd002 が0.33700 nm以下と結晶性が高いため、グラフ
ァイト粉末の持つドーピング、吸蔵、挿入等の機能、即
ち、c面層間への物質の格納機能が著しく向上する。
ム二次電池の負極用材料として好適である。Liイオンの
侵入サイトである閉塞構造の間隙面や空孔型欠陥を多く
持っているため、Liイオンの侵入が容易であり、グラフ
ァイト粉末の物質格納領域に従来より多くのLiイオンが
到達し、Liイオンの格納量が増大する。そのため、放電
容量が向上したリチウム二次電池を作成することができ
る。また、グラファイト粉末のc面層が閉塞構造を有す
るため、グラファイト粉末内に電解液が侵入しにくく、
充電時のLiの樹枝状デンドライトの析出を避けることが
できるので、充電・放電繰り返し時のサイクル寿命が長
くなる。
用する場合、これを用いたリチウム二次電池の電極の作
成は従来と同様の方法で行うことができる。例えば、必
要に応じて分級してグラファイト粉末を粒度調整した
後、この粉末を少量のバインダーおよび溶媒と混合して
ペーストまたはスラリー状にする。バインダーの例は、
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンな
どのフッ素系樹脂粉末、カルボキシメチルセルロースな
どの水溶性粘結剤である。溶媒としては極性有機溶媒、
水などが使用できる。得られたペーストまたはスラリー
を適当な金属製集電体に塗布し、乾燥して成形すると、
電極が得られる。リチウム二次電池の正極、電解液、セ
パレータその他の構成は従来品と同様でよい。
第1および第2の方法を例示するものである。
ズピッチを粗粉砕し、これをアルゴン雰囲気下1000℃に
1時間加熱することにより炭素化して炭素材を得た。こ
の炭素材を、ハンマーミル (不二パウダル製u−マイザ
ー) を用いて4500 rpmまたは7500 rpmで5分間粉砕した
後、粉砕した炭素材をアルゴン雰囲気下、2700℃から30
00℃まで100 ℃刻みに選んだ所定温度で30分間熱処理し
て黒鉛化することにより、グラファイト粉末を得た。
断した断片を高分解能の透過型電子顕微鏡で観察した結
果、いずれも表面c面層末端に閉塞構造を有していた。
電子顕微鏡写真から閉塞構造の間隙面密度を求めた(10
視野の平均値)。間隙面密度は、炭素材の粉砕時の回転
数が4500 rpmであったグラファイト粉末はいずれも80個
/μm、7500 rpmであったグラファイト粉末はいずれも
103 個/μmであり、黒鉛化温度による影響はほとんど
なかった。即ち、間隙面密度は粉砕条件による影響が大
きく、粉砕が高速粉砕であると、黒鉛化熱処理中に間隙
面密度が100 個/μmを超える高ピッチで閉塞構造が生
成することがわかった。粉砕だけで間隙面密度を100 個
/μm以上にする第1の方法では高速粉砕が必要であ
る。
については、上記の第2の方法に従って、酸素雰囲気
中、650 ℃×2時間または700 ℃×3時間の酸化の酸化
熱処理、次いでアルゴン雰囲気中、1000℃×5時間の熱
処理を行った。こうして酸化熱処理と不活性ガス中での
熱処理を行ったグラファイト粉末について上記と同様に
間隙面密度を求めたところ、酸化熱処理が650 ℃×2時
間の場合には500 個/μm、700 ℃×3時間の場合には
770 個/μmであり、処理前の103 個/μmに比べて大
幅に増大した。即ち、第2の方法による黒鉛化後の処理
により、間隙面密度を大幅に増大させることができた。
なお、酸化熱処理後のグラファイト粉末の断片を上記と
同様に電子顕微鏡で観察した結果、黒鉛化熱処理で生じ
ていたc面層末端の閉塞構造が酸化熱処理後には切れて
開放され、c面層の末端が比較的均一に揃っていること
が認められた。
面格子間隔 (d002) とリチウム二次電池の放電容量を次
のように測定した。
折図を、マックサイエンス社製X線回折装置を用いて、
加速電圧40 kV 、電流150 mA、測定範囲20〜90°の条件
で作製し、このX線回折図からディフラクトメータの誤
差を含めた最小二乗法による格子定数精密測定法(内部
標準は使用せず)によって算出した。作製されたX線回
折図の1例を図3(a) に示す。図3(b) は図3(a) の一
部の拡大図である。格子定数決定には、図3(b) に矢印
で示した面指数(002), (100), (101), (004),(110), (1
12), (006) の全てのピーク位置を利用した。3回のX
線回折測定を行い、得られた値の加重平均をとり、d00
2 の値とした。
粉末を、5μm以上45μm以下に篩い分けしてから、電
極の作製に供した。グラファイト粉末の平均粒径はいず
れも約15μmであった。グラファイト粉末90重量部とポ
リフッ化ビニリデン粉末10重量部を溶剤のN−メチルピ
ロリドン中で混合し、乾燥させペースト状にした。得ら
れたペーストを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にド
クターブレードを用いて均一厚さに塗布した後、80℃で
乾燥させた。ここから切り出した面積1cm2 の試験片を
負極とした。
チウムを用いた3極式定電流充放電試験で行った。電解
液はエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの体
積比1:1の混合溶媒に1mol/l の濃度でLiClO4を溶解
させたものを使用した。放電容量は、0.3 mA/cm2の電流
密度で0.0 V まで充電した後、同じ電流密度で1.5 Vま
で放電を行うことで求めた。以上の試験結果を表1にま
とめて示す。
密度が同じグラファイト粉末を比較すると、黒鉛化温度
が高いほどd002 が小さく、従って結晶性が向上するこ
とがわかる。また、黒鉛化温度が同じ場合には、間隙面
密度が大きいほどd002 が小さくなる傾向があった。即
ち、結晶性(d002)は、黒鉛化温度と間隙面密度の両方に
依存する。そして、本発明の条件、即ち、間隙面の密度
が 100〜1500個/μmで、d002 が0.33700 nm以下であ
る条件を満たすグラファイト粉末は、放電容量が310 mA
h/g 以上で、多くは330 mAh/g 以上になり、最高で364
mAh/g という理論容量にかなり近づいた放電容量を得る
ことができた。
行った、上記第2の方法を例示する。石油ピッチから得
られたバルクメソフェーズピッチを、実施例1と同じハ
ンマーミルを使用いて、4500 rpmで5分間粉砕した。粉
砕したバルクメソフェーズピッチを、次いでアルゴン雰
囲気下1000℃に1時間加熱して炭素化し、そのままアル
ゴン雰囲気下、2800℃で30分間熱処理して黒鉛化するこ
とにより、グラファイト粉末を得た。得られたグラファ
イト粉末の断面を実施例1と同様に電子顕微鏡で観察し
た結果、c面層の末端に閉塞構造を有していたが、間隙
面密度は80個/μmであった。炭素化および黒鉛化熱処
理の条件は実施例1と同じであったので、粉砕を炭素化
の前と後のいずれに実施しても、黒鉛化後に得られるグ
ラファイト粉末の間隙面密度はほとんど同じであること
がわかる。
気中、700 ℃で、30分間隔で最長3時間までの酸化熱処
理を行い、次いでアルゴン雰囲気中1000℃で5時間の熱
処理を行った。この場合にも、酸化熱処理により閉塞構
造が一旦開放され、さらに不活性ガス中ので熱処理でc
面層末端に短ピッチの閉塞構造が形成されたことが電子
顕微鏡観察でわかった。
2 と放電容量を実施例1と同様に調べた結果を、表2
に、酸化熱処理時間と一緒に示す。
本発明の第2の方法に従って、黒鉛化熱処理後に酸化熱
処理と不活性ガス中での熱処理を行うと、間隙面密度が
大きく増大し、それに伴っていくらかd002 も低下 (結
晶性が増大) することがわかる。その結果、粉砕が4500
rpmでも、例えば350 mAh/g といった高い放電容量を示
すグラファイト粉末を得ることができた。
面に現れるc面層末端の閉塞構造の間隙面密度を100 個
/μm以上とし、d002 が0.33700 nm以下と結晶性を高
めることによって、非常に高い放電容量を示すリチウム
二次電池の負極材料に適したグラファイト粉末が得られ
る。さらに、実施例に示したように、本発明の第1およ
び第2の方法では、粉砕機の回転数、黒鉛化熱処理条
件、およびその後の表面処理 (酸化熱処理+不活性ガス
熱処理) の条件によって、間隙面密度とd002 の値を制
御することができるので、要求される放電容量の水準に
応じたグラファイト粉末を製造することができ、製造さ
れたグラファイト粉末の性能もこれらの条件からある程
度予測が可能となる。
c面層末端の閉塞構造を示す説明図である。
写真である。
のX線回折図の1例を示し、図3(b) はその一部の拡大
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 粉末表面においてグラファイトc面層の
端部がループ状に閉じた閉塞構造を有するグラファイト
粉末であって、グラファイトc軸方向における該閉塞構
造間の間隙面の密度が 100〜1500個/μmであり、X線
回折による格子定数精密測定法で求めたc軸(002) 面格
子間隔 (d002) が0.33700 nm以下であることを特徴とす
る、グラファイト粉末。 - 【請求項2】 炭素化の前および/または後に高速粉砕
処理された炭素材を、2500℃以上の温度で熱処理して黒
鉛化することを特徴とする、請求項1記載のグラファイ
トの製造方法。 - 【請求項3】 炭素化の前および/または後に粉砕処理
された炭素材を2500℃以上の温度で熱処理して黒鉛化し
た後、得られたグラファイトの表面を削ることができる
条件下で熱処理を行い、さらに不活性ガス中にて800 ℃
以上の温度で熱処理することを特徴とする、請求項1記
載のグラファイトの製造方法。 - 【請求項4】 請求項1記載のグラファイト粉末からな
るリチウム二次電池用負極材料。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP02913897A JP3978801B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | リチウム二次電池用グラファイト粉末とその製造方法 |
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| JP3978801B2 JP3978801B2 (ja) | 2007-09-19 |
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