JPH08217433A - 粉状人造黒鉛の製造法 - Google Patents

粉状人造黒鉛の製造法

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JPH08217433A
JPH08217433A JP7046411A JP4641195A JPH08217433A JP H08217433 A JPH08217433 A JP H08217433A JP 7046411 A JP7046411 A JP 7046411A JP 4641195 A JP4641195 A JP 4641195A JP H08217433 A JPH08217433 A JP H08217433A
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JP
Japan
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artificial graphite
graphitization
raw material
temperature
binder
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JP7046411A
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English (en)
Inventor
Takahiko Ema
高彦 江間
Nobuo Kamimura
信夫 上村
Akira Kitahara
彰 北原
Tatsuya Watanabe
達也 渡辺
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Kansai Coke and Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Kansai Coke and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定の極めて安価な原料を用い、工業的に有
利なシンプルな工程で製造でき、しかもすぐれた黒鉛化
度を有する粉状人造黒鉛を製造する方法を提供すること
を目的とする。 【構成】 原油精製工程で発生した減圧残渣油を加熱水
蒸気により部分的に熱分解したときの缶残である粘結材
を原料として用いる。そしてこの原料をコークス化可能
な温度(500〜1200℃)でコークス化し、得られ
たコークス化物をさらに黒鉛化可能な温度(2300〜
3000℃)で黒鉛化する。黒鉛化後のd(002) は 3.3
60±0.006 オングストロームである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極めて安価な原料を用
い、工業的に有利なシンプルな工程で製造でき、しかも
すぐれた品質を有する粉状の人造黒鉛を製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】人造黒鉛の代表的な製品として人造黒鉛
電極がある。典型的な人造黒鉛の製造法は次の通りであ
る(たとえば、「新・炭素工業」、株式会社近代編集社
発行、第2版発行日:昭和57年10月1日の27〜4
0頁を参照)。
【0003】(1) 混ねつ(ニーディング) まず、石油コークスなどのフィラー(骨材)にピッチな
どのバインダー(結合材)を加えて加熱下に混ねつす
る。フィラー100部に対するバインダーの添加量は、
通常25〜50部である。混ねつ温度は、たとえば14
0〜170℃である。
【0004】(2) 成形(フォーミング) ついで上記の混ねつ物を所定の形状に成形する。成形に
は、押出し成形と型込め成形とがある。
【0005】(c) 焼成(ベイキング) 上記の成形品を、熱処理中の変形と酸化を防止するため
にコークス粉、ケイ砂などのパッキング材中に埋め、7
00〜1300℃に加熱してバインダーを炭素化させ
る。
【0006】(d) 含浸(インプリグネーション)、再焼
成(リベーキング) 上記の焼成工程でバインダーの30〜40%が揮散して
素材中に気孔を生ずるので、その気孔(および本来フィ
ラー中に存在している開気孔)に溶融ピッチなどの含浸
剤を充填して再焼成し、気孔率を減少させる。なお、こ
の含浸・再焼成工程を省略して次の黒鉛化工程に直接移
ることもある。
【0007】(e) 黒鉛化(グラファイタイゼーション) 焼成を終えたものを3000℃前後に加熱して熱処理す
る。これにより、不規則に配列していた微小な黒鉛結晶
が充分成長すると共に、秩序正しく配向する。この黒鉛
化工程では、通電加熱に2〜4日、冷却に1〜2週間要
する。これを加工することにより、黒鉛質の製品とな
る。
【0008】一方、粉状人造黒鉛については、それを目
的として上述の方法に準じて製造すると余りにコスト高
になるので、上記人造黒鉛電極の製造に際しての規格外
品を粉砕して用いるのが通常である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、人造黒
鉛電極の製造に際しての規格外品を粉砕して粉状人造黒
鉛にしようとすると、あくまで主たる製品は人造黒鉛電
極であってそれをできるだけ無駄なく利用することか
ら、一定量の粉状人造黒鉛を安定して確保することが困
難であり、また価格の変動も大きかった。
【0010】しかるに、粉状人造黒鉛の用途は、最近で
は電池、塗料、インク、TVブラウン管塗布剤、粉末冶
金、触媒担体、導電性ペースト、鉛筆の芯、抵抗体用塗
布剤、セラミックス添加剤、導電性フィラーをはじめと
して拡大しており、上記のような入手方法では限界に来
ている。
【0011】かと言って、石油コークスなどから粉状人
造黒鉛を製造しようとすると、かなりのコスト高になる
上、そのような方法により得た粉状人造黒鉛の黒鉛化度
は満足しうるものではなく、良質の天然黒鉛に比し著し
く見劣りするという問題点がある。
【0012】なお天然黒鉛から高純度の粉状黒鉛を製造
する方法は、原料源の確保や原料の品質のばらつきの問
題点がある上、灰分を除去するためフッ酸のような危険
な薬剤で洗浄する工程が必要になるという不利がある。
【0013】本発明者らは、かねてより原油精製工程で
発生した減圧残渣油を加熱水蒸気による部分的熱分解し
たときの缶残である粘結材の有効利用につき鋭意検討を
行っていたが、この粘結材が、一度溶けた工程を経てい
ることから、芳香族縮合環(層面)の選択的配向がある
程度発達しており、易黒鉛化性炭素材になる可能性があ
るであろうとの着想を抱いた。
【0014】本発明は、このような背景下において、特
定の極めて安価な原料を用い、工業的に有利なシンプル
な工程で製造でき、しかもすぐれた黒鉛化度を有する粉
状人造黒鉛を製造する方法を提供することを目的とする
ものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の粉状人造黒鉛の
製造法は、原油精製工程で発生した減圧残渣油を加熱水
蒸気により部分的に熱分解したときの缶残である粘結材
を原料とし、該原料をコークス化可能な温度でコークス
化し、得られたコークス化物をさらに黒鉛化可能な温度
で黒鉛化することを特徴とするものである。
【0016】以下本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明においては、原料として、原油精製
工程で発生した減圧残渣油を加熱水蒸気により部分的に
熱分解したときの缶残である粘結材を用いる。この粘結
材は、原油精製工程で必ず副生するものでありながら、
事実上製鉄用コークスの粘結材以外の用途がないことか
ら、従来は処置に窮していたものであり、極めて安価に
入手できる。
【0018】なお減圧残渣油の加熱水蒸気による部分的
熱分解の生産物は、分解ガスが約5%、分解油(軽質
油、重質油)が約65%、缶残である粘結材が約30%
である。
【0019】そして本発明においては、上記の原料を用
い、この原料をコークス化可能な温度でコークス化し、
得られたコークス化物をさらに黒鉛化可能な温度で黒鉛
化する。コークス化は、原料中の揮発分が大きいので、
完全なコークス化を図るための工程である。得られたコ
ークス化物は、良質の人造黒鉛を得るため、黒鉛化に供
する前に3mm篩下、殊に100メッシュ前後まで粉砕す
るのが通常である。粉砕は、たとえば、ジョークラッシ
ャー、ロールクラッシャー、ヘンシェルミキサーなどを
適宜組み合わせて用いることにより行われる。そして黒
鉛化工程により、コークス化物に含まれる灰分や硫黄分
が飛び去ると共に、目的とする高純度の人造黒鉛が得ら
れる。
【0020】コークス化および黒鉛化にあたっては、従
来のようなバインダーの配合や添加剤の配合は必須でな
く(つまり単味でよく)、従ってそれらの添加に伴なう
煩雑な配合および混ねつを省略することができるのみな
らず、それらの工程のための制御およびエネルギーも不
要となり、工業的に著しく有利となる。
【0021】コークス化は、不活性ガス雰囲気下に温度
500〜1200℃(好ましくは600〜1100℃)
で行う。500℃未満ではコークス化の程度が不足し、
1200℃を越えるときは、コークス炉の使用が不可能
で特殊な炉が必要となるのでコスト高になる。黒鉛化
は、不活性ガス雰囲気下に温度2300〜3000℃
(好ましくは2500〜3000℃、特に好ましくは2
600〜2900℃)で行う。2300℃未満では黒鉛
化の程度が不足し、3000℃を越えるときは設備面お
よび所要電力の点でコスト高となる。
【0022】本発明の工程はこのようにシンプルである
にかかわらず、得られた粉状人造黒鉛は極めて高品質で
あり、天然黒鉛の理論的な層間距離d(002)= 3.354オン
グストロームにごく近い 3.360±0.006 オングストロー
ムのものを得ることができる。また、黒鉛の特徴である
結晶子サイズLc(002)も1000オングストローム前後
と結晶子サイズも大きく、黒鉛化度の高いものとなる。
【0023】本発明の方法により得られる粉状人造黒鉛
は、電極、電池、塗料、接着剤、インク、TVブラウン
管塗布剤、粉末冶金、触媒担体、導電性ペースト、鉛筆
の芯、抵抗体用塗布剤、セラミックス添加剤、電子材
料、潤滑材、樹脂またはゴムへの添加用の導電性フィラ
ー、摺動部材をはじめとする種々の用途に好適に用いる
ことができる。
【0024】
【作用】本発明の方法においては、上記のように極めて
安価な特定の粘結材を原料としている上、バインダーお
よび添加剤のいずれをも配合することなく単味で粉状人
造黒鉛が得られため工程がシンプル化され、原料コスト
および製造コストにおいて大幅なコスト減が図られる。
【0025】加えて、原料として用いた粘結材は、一度
溶けた工程を経ているため、芳香族縮合環(層面)の選
択的配向がかなり発達した易黒鉛化の炭素材であり、得
られた粉状人造黒鉛は上記のように安価な原料を用いか
つシンプルな工程で製造できるにもかかわらず理想的な
黒鉛結晶に近い黒鉛化度を有する高品質のものとなる。
【0026】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。
【0027】実施例1 〈原料の準備〉原油精製工程で発生した減圧残渣油を加
熱水蒸気により部分的に熱分解し、さらに減圧蒸留した
ときの缶残である粘結材を原料として用いた。この粘結
材は、たとえば現在は富士石油株式会社から「AS
P」、「ユリカ」または「ユリカASP」の商品名で製
造販売されているものである。
【0028】〈コークス化および黒鉛化〉上述の粘結材
を窒素ガス雰囲気下に温度800℃で2時間加熱処理す
ることにより炭化処理(コークス化処理)した後、得ら
れたコークス化物を、ジョークラッシャー、ロールクラ
ッシャー、ヘンシェルミキサーを用いて順次粉砕し、約
100メッシュ程度の粒度とした。
【0029】ついでこの粉砕物を黒鉛ルツボに入れ、ア
チソン炉にて窒素ガス雰囲気下におよそ30℃/hrの速
度で2800℃まで昇温してから約2時間置き、以後長
時間かけてゆっくりと放冷することにより黒鉛化した。
【0030】〈灰分、揮発分、全硫黄分〉原料粘結材、
コークス化物および黒鉛化製品の工業分析値は次の通り
であった。灰分の分析はJIS K 8812 4、揮発分の分析は
JIS K 8812 5による。 原料粘結材 灰分:0.20%、揮発分:38.4% コークス化物 灰分:0.48%、揮発分:2.48% 黒鉛化製品 灰分:0.01%、揮発分:0.01%以下
【0031】また、原料粘結材、コークス化物および黒
鉛化製品の元素分析値のうち、全硫黄分(JIS K 8813
5.3)は、 原料粘結材: 5.50% コークス化物:5.04% 黒鉛化製品: 0.001%以下 であった。なお原料粘結材の元素分析値のうち炭素、水
素、窒素、酸素は、それぞれ、85.5%、 5.7%、 1.7
%、 1.4%であった。
【0032】この結果から、黒鉛化製品は灰分および硫
黄分が充分に除去されており、該製品が高純度、高機能
であることがわかる。
【0033】〈粉状人造黒鉛のd値および結晶子サイ
ズ〉図1および図2は、実施例1で得た粉状人造黒鉛の
黒鉛化度を、管電圧:40kV、管電流:40mA、ス
キャンスピード: 0.250゜/minの条件で測定したときの
結果を示したチャートであり、横軸はX線回折角度、縦
軸はX線回折強度である。図1および図2によれば、黒
鉛の特徴である(002) 面および(110) 面のピークが強く
出ており、この粉状人造黒鉛の黒鉛化度が良く発達して
いることがわかる。
【0034】得られた粉状人造黒鉛のd値および結晶子
サイズは、 d(002) 3.358オングストローム Lc (002) 1020 オングストローム La (110) 7098 オングストローム であり、黒鉛化が高度に発達していることがわかる。な
お、天然黒鉛の理論的な層間距離d(002) は 3.354オン
グストロームである。
【0035】比較例1 石油コークスAを100メッシュ程度に粉砕したもの
を、実施例1と同様にアチソン炉にて加熱処理して、X
線回折で黒鉛化度を測定した。測定結果は、d(0 02) 3.
382 オングストロームと 3.360±0.006 オングストロー
ムよりも大きく、結晶子サイズについても、Lc(002)
25オングストローム、La(110)385オングストロー
ムと、目標とされる1000オングストロームよりもは
るかに小さく、実施例1で用いた原料粘結材を用いた場
合に比較して、黒鉛化度が低いものであった。
【0036】図3および図4は、比較例1で得た粉状人
造黒鉛の黒鉛化度を、管電圧:40kV、管電流:40
mA、スキャンスピード: 0.250゜/minの条件で測定し
たときの結果を示したチャートであり、横軸はX線回折
角度、縦軸はX線回折強度である。
【0037】比較例2 カーボンブラックを実施例1と同様にアチソン炉にて加
熱処理して、X線回折で黒鉛化度を測定した。測定結果
は、d(002) は 3.420オングストローム、Lc( 002)は6
1.7オングストローム、La(110)は 0.0オングストロー
ムであり、黒鉛化度が著しく低いものであった。
【0038】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来は製鉄用コ
ークスの粘結材以外の用途がないことから処置に窮して
いた上記特定の粘結材を原料とすることができ、従って
そのような粘結材の有効利用が図られる。またそのよう
な極めて安価な粘結材を原料としている上、バインダー
および添加剤のいずれをも配合することなく単味で粉状
人造黒鉛が得られため工程がシンプル化されるので、従
来の粉状人造黒鉛の製造法に比し大幅なコスト減が図ら
れる。
【0039】加えて、原料として用いた粘結材は、一度
溶けた工程を経ているため、芳香族縮合環(層面)の選
択的配向がかなり発達した易黒鉛化の炭素材であり、得
られた粉状人造黒鉛は上記のように安価な原料を用いか
つシンプルな工程で製造できるにもかかわらず理想的な
黒鉛結晶に近い黒鉛化度を有する高品質のものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た粉状人造黒鉛の黒鉛化度測定結
果を示したチャートである。
【図2】実施例1で得た粉状人造黒鉛の黒鉛化度測定結
果を示したチャートである。
【図3】比較例1で得た粉状人造黒鉛の黒鉛化度測定結
果を示したチャートである。
【図4】比較例1で得た粉状人造黒鉛の黒鉛化度測定結
果を示したチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 達也 兵庫県尼崎市御園町5番地 関西熱化学株 式会社本社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原油精製工程で発生した減圧残渣油を加熱
    水蒸気により部分的に熱分解したときの缶残である粘結
    材を原料とし、該原料をコークス化可能な温度でコーク
    ス化し、得られたコークス化物をさらに黒鉛化可能な温
    度で黒鉛化することを特徴とする粉状人造黒鉛の製造
    法。
  2. 【請求項2】コークス化を不活性ガス雰囲気下に温度5
    00〜1200℃で行い、黒鉛化を不活性ガス雰囲気下
    に温度2300〜3000℃で行うことを特徴とする請
    求項1記載の粉状人造黒鉛の製造法。
  3. 【請求項3】黒鉛化後のd(002) が 3.360±0.006 オン
    グストロームである請求項1または2記載の粉状人造黒
    鉛の製造法。
  4. 【請求項4】コークス化および黒鉛化を、バインダーお
    よび添加剤のいずれをも配合することなく単味で行うこ
    とを請求項1〜3のいずれかに記載の粉状人造黒鉛の製
    造法。
JP7046411A 1995-02-09 1995-02-09 粉状人造黒鉛の製造法 Pending JPH08217433A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10226505A (ja) * 1997-02-13 1998-08-25 Sumitomo Metal Ind Ltd リチウム二次電池用グラファイト粉末とその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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Effective date: 20040312