JP3679220B2 - 二次電池負極用炭素材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池の負極用炭素材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、また、充放電サイクル特性や負荷特性、安全性などに優れるため、近年脚光を浴びている。この電池は、既にビデオカメラやノート型パソコンあるいは携帯電話などに大量の需要が見込まれ、今後は電気自動車用の電池としての応用も期待される。
【0003】
一般に非水電解液二次電池は、正極と負極をセパレータを介して対向配置すると共に、これらを非水電解液の中に浸漬した構成を有する。この非水電解液としてはリチウム塩を有機溶媒に溶解したものが用いられる。また、正極にはリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極には炭素材料が用いられる。
【0004】
現在、この炭素材料としては黒鉛系材料が広く用いられている。一般に炭素材料には、天然黒鉛や人造黒鉛、易黒鉛化性炭素(気相成長炭素繊維など)、難黒鉛化性炭素(PAN系炭素繊維など)、無定形炭素(コークスなど)などがあるが、このうち天然黒鉛及び人造黒鉛以外のものは、黒鉛化処理された上で用いられる。
【0005】
黒鉛化処理は、炭素材料を高温に保持することによって材料内に黒鉛結晶を成長させるために行われる。この黒鉛化処理により、材料内には黒鉛結晶子(同一配向の一結晶)が一般に複数形成される。また、非水電解液二次電池の負極では、非水電解液中のリチウムイオンが主として黒鉛結晶子の炭素格子面間に吸蔵されあるいはそこから排出されることにより、充放電が行われると考えられている。
【0006】
ところで、黒鉛系材料は、サイクル特性に優れ、また電位も平坦であるため、エネルギー密度のより高い非水電解液二次電池を提供することが可能である。黒鉛系材料の中でも天然黒鉛は、372mAh/gという大きな放電容量を示すことが知られている。ところが天然黒鉛は、実用電池で使われるような高い電流密度ではこのような高い放電容量が得られず、従って実質的には300〜320mAh/g程度であるとされている。
【0007】
一方、気相成長法により製造される気相成長炭素繊維は、黒鉛化が容易であるため黒鉛系材料として提供することが可能である。しかも、黒鉛化された気相成長炭素繊維は、天然黒鉛と比較して、電流密度を上げても放電容量が低下することがない。従って、気相成長炭素繊維は負極材料として好適である。
【0008】
この気相成長炭素繊維については、本出願人により出願された特開平6−73615号公報にも記載されている。そして、この公報には、直径2.2μm、長さ14.6μm、スピン濃度3.7×1018spins/gの黒鉛化された気相成長炭素繊維を用いて3電極セルを組み立て、それを用いて充放電量(mAh/g)とクーロン効率(%)を測定した結果が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の炭素材料は、一般に、放電容量がまだ必ずしも十分満足できるものではなかった。しかも、そのような炭素材料の中で放電容量が最大の部類に属するものは、それより放電容量が小さいものに比べて充放電効率が低いという問題もあった。また、そのような炭素材料は、充放電効率が低いためにサイクル特性が悪くなるという問題もあった。尚、この放電容量、充放電効率、及びサイクル特性についての問題は、黒鉛化された気相成長炭素繊維に限らず、一般の黒鉛系材料についても同様に言えることであった。ここで、サイクル特性とは、充放電を繰り返したときの放電容量の変化の仕方を意味する。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、大きな放電容量を有すると共に、放電容量が大きくても充放電効率が高く、またサイクル特性にも優れた負極用炭素材料及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、黒鉛系材料内部の結晶構造部と非結晶構造部の存在比率に着目した。ここで、黒鉛結晶子の内部は結晶構造部であり、また、黒鉛結晶子間などは非結晶構造部である。黒鉛結晶子の内部(結晶構造部)はリチウムイオンが吸蔵される場所であるから、その存在量が少なければ充放電容量は小さくなる。これに対して、非結晶構造部は構造歪みが存在するから、リチウムイオンが黒鉛結晶子に出入りする通路となる。従って、その存在量が少なければリチウムイオンが黒鉛結晶子内に出入りできず、この場合も充放電容量は小さくなる。結局、結晶構造部と非結晶構造部はその存在量がどちらに偏っても放電容量を低下させることになり、その存在比率に最適な範囲があると考えられる。本発明者が着目したのは以上の理由による。
【0012】
他方、この結晶構造部と非結晶構造部の存在比率は、電子スピン共鳴分析法(ESR)により観測されるESRスペクトルのシグナルの非対称性パラメータであるA/B比、及び、レーザーラマン分光法により観測されるラマンスペクトルのラマンシフトが1360cm-1のピーク強度I1360とラマンシフトが1580cm-1のピーク強度I1580との比I1360/I1580であるR値から知ることができる。そこで本発明者は、この方法を用いて結晶構造部と非結晶構造部の存在比率と充放電容量の関係などを詳しく調べることにより、本発明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明のうち請求項1記載の発明は、非水電解液二次電池の負極に用いられる炭素材料において、非水電解液二次電池の負極に用いられる炭素材料において、気相から生成された状態の気相成長炭素材料に黒鉛化処理を施した後で切断処理を施すことにより得られ、その比表面積が0.2〜5m 2 /g、炭素格子面間隔d 002 が0.3354〜0.3374nm、c軸方向の結晶の大きさLcが50〜2000nmであるとともに、直径が1〜4μm、長さが3〜30μmの気相成長炭素繊維であり、且つ、電子スピン共鳴分析法(ESR)により観測される25℃におけるESRスペクトルのシグナルの非対称性パラメータであるA/B比が1.0〜1.3であり、かつレーザーラマン分光法により観測されるラマンスペクトルのラマンシフトが1360cm−1のピーク強度I1360とラマンシフトが1580cm−1のピーク強度I1580との比I1360/I1580であるR値が0.02〜0.28であることを特徴とする。
【0015】
この気相成長炭素繊維は、請求項2記載のように、非水電解液二次電池の負極に用いられる炭素材料を製造する製造方法において、気相から生成された状態の気相成長炭素材料に黒鉛化処理を施した後で切断処理を施し、その比表面積が0.2〜5m 2 /g、炭素格子面間隔d 002 が0.3354〜0.3374nm、c軸方向の結晶の大きさLcが50〜2000nmであるとともに、直径が1〜4μm、長さが3〜30μmの気相成長炭素繊維であり、且つ電子スピン共鳴分析法(ESR)により観測される25℃におけるESRスペクトルのシグナルの非対称性パラメータであるA/B比が1.0〜1.3であり、かつレーザーラマン分光法により観測されるラマンスペクトルのラマンシフトが1360cm −1 のピーク強度I 1360 とラマンシフトが1580cm −1 のピーク強度I 1580 との比I 1360 /I 1580 であるR値が0.02〜0.28とされた炭素材料を得ることを特徴とする。この場合、上記切断処理は、請求項3記載のように、50〜100m/secの線速度で回転する羽根で炭素繊維同士をぶつけ合うことにより炭素繊維を高衝撃力をもって切断させるものであるか、あるいは請求項4記載のように、500〜1500kgf/cm2の圧力で静水圧加圧することにより炭素繊維を圧縮切断させるものであるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。まず、本発明の負極用炭素材料は、電子スピン共鳴分析法(ESR)により観測される25℃におけるESRスペクトルのシグナルの非対称性パラメータすなわちA/B比が1.0〜1.3の範囲内にあり、かつレーザーラマン分光法により観測されるラマンスペクトルのラマンシフトが1360cm-1のピーク強度I1360とラマンシフトが1580cm-1のピーク強度I1580との比I1360/I1580すなわちR値が0.01〜0.3の範囲内にある。
【0017】
ここで、非対称性パラメータA/B比について説明する。ESRによれば、黒鉛系材料の試料に対して、例えば図6に示すように、横軸を磁場の強さとし縦軸をシグナルの強度とするESRスペクトルが観測される。このスペクトルには、磁場の強さが3230〜3250G(ガウス)の付近でシグナルの強度に2つのピークが現れる。そこで、磁場の強さが弱い方の側に現れたものをピークA、磁場の強さが強い方の側に現れたものをピークBとし、このピークAとピークBの比(A/B)を非対称性パラメータと呼ぶ。
【0018】
非対称性パラメータA/B比が0に近い場合は、試料における非結晶構造部の存在比率が高い(従って結晶構造部の存在比率は低い)ことを意味する。そして、A/B比が大きくなるほど、即ちシグナルの非対称性が高くなるほど、試料における結晶構造部の存在比率が高くなる(従って非結晶構造部の存在比率は低くなる)ことを意味する。
【0019】
例えば、天然黒鉛は結晶性が非常に高く、非結晶構造部が極めて少ない。そのため、天然黒鉛の25℃におけるA/B比は約3.0で、シグナルの非対称性が高い。これに対し、本発明の炭素材料は、結晶性は天然黒鉛同様に高いが非結晶構造部もかなり存在する。そのためA/B比は1.0〜1.3で、シグナルの非対称性は天然黒鉛より低くなっている。
【0020】
次に、R値について説明する。レーザーラマン分光法によれば、黒鉛系材料の試料に対して、例えば図7に示すように、横軸をラマンシフトとし縦軸をシグナルの強度とするラマンスペクトルが観測される。このスペクトルには、ラマンシフトが1580cm-1の付近に黒鉛の結晶構造に起因するピークが現れ、また、ラマンシフトが1360cm-1の付近に非結晶構造に起因するピークが現れる。前者のピーク強度をI1580、後者のピーク強度をI1360とするとき、ピーク強度比I1360/I1580がR値と呼ばれる。そして、このR値が大きい場合は試料における非結晶構造部の存在比率が大きい場合を意味する。
【0021】
充放電容量を大きくするには、黒鉛の結晶構造を発達させて結晶子を大きくすればよい。結晶子が大きくなれば、炭素格子面の数が増え、その面間に吸蔵できるリチウムイオンの数も増えるからである。ところが、結晶子が大きくなり過ぎると、繊維状炭素(あるいは粒子状炭素)全体の非結晶構造部の存在量が減少する。非結晶構造部は構造歪みが存在するから、リチウムイオンがそこを通って結晶構造部に出入りできるのであるが、それが少ないと、非水電解液中のリチウムイオンは容易に結晶構造部の内部に進入できなくなり、その結果、充放電容量は大きくならない。
【0022】
反対に非結晶構造部が多くなると、今度は炭素格子面の数が減少するため、面間に吸蔵できるリチウムイオンの数が減少する。その結果、充放電容量は大きくならない。これらの相反する事情により、炭素材料における結晶構造部と非結晶構造部の存在比率に最適な範囲が存在すると考えられる。この最適な範囲が本発明のA/B比の範囲及びR値の範囲である。
【0023】
本発明においては、この最適な範囲のA/B比とR値とを有する炭素材料の中でも、比表面積が0.2〜5m2 /g、炭素格子面間隔d002 が0.3354〜0.3374nm、c軸方向(炭素格子面に垂直な方向)の結晶の大きさLcが50〜2000nmであるものが好ましい。
【0024】
比表面積が0.2m2 /g未満の場合には、炭素材料を構成する個々の繊維あるいは粒子が大きくなり過ぎ、そのため、負極を作製する際に、繊維同士が絡まった場合あるいは粒子の大きさそのものによって負極の表面が凸凹になったり、ロールプレス機で圧縮しても密実にできなかったりする可能性がある。反対に、比表面積が5m2 /gを越える場合には、炭素材料と非水電解液との接触面積が増加するため、その間の反応性が高くなり、その副反応により不可逆容量(充電容量と放電容量の差)が増大して充放電効率が低下する。
【0025】
上記d002 及びLcはX線回折法で測定される値である。d002 が0.3354nmというのは黒鉛の単結晶の場合であり、d002 の最小値である。d002 が0.3374nmを越える場合は黒鉛化が不十分な場合であり、そのため充放電容量が小さくなる。
【0026】
また、Lcが50nm未満の場合も、黒鉛化が不十分な場合であり、そのため充放電容量が小さくなる。反対に、Lcが2000nmを越えると、炭素材料を構成する個々の繊維あるいは粒子が大きくなり過ぎ、前記の比表面積が0.2m2 /g未満の場合と同様に、負極を作製する際に問題が生じる可能性がある。
【0027】
この炭素材料としては、更に、直径が1〜4μm、長さが3〜30μmの気相成長炭素繊維であることが好ましい。気相成長炭素繊維が好ましいのは、黒鉛化されやすく、また、炭素格子面が同心円状に積み重なった極めて安定な構造を有するため高サイクル寿命が期待できるなどの理由による。
【0028】
この気相成長炭素繊維の直径が1μm未満の場合及び4μmを越える場合は、いずれも十分に黒鉛化することができない。このため充放電容量が小さくなる。また、長さが3μm未満の場合は、比表面積が大きくなり過ぎるため前記のように充放電効率が低下する。反対に、30μmを越える場合には、炭素材料を構成する個々の繊維が長くなり過ぎ、前記の比表面積が0.2m2 /g未満の場合と同様に、負極を作製する際に問題を生じる可能性がある。
【0029】
この気相成長炭素繊維を製造する場合には、気相から生成された状態の長さ50〜100μmの気相成長炭素繊維にまず黒鉛化処理を施し、次にその黒鉛化された炭素繊維に切断処理を施して、3〜30μmの長さにするのが好ましい。このような製造方法により、本発明のA/B比及びR値を有する炭素材料が製造される。
【0030】
ここで大事なことは、黒鉛化処理と切断処理の順番である。黒鉛化処理の後に切断処理を施す方が好ましいのは、次の理由によると考えられる。即ち、黒鉛化処理により結晶構造は発達して、c軸方向(炭素格子面に垂直な方向)の結晶子の大きさLcもその分大きくなる。ところが、その黒鉛化の前に切断処理を行うと、結晶構造が未発達の状態で切断処理が行われることになる。しかも、その切断処理の際に、結晶子間にもともと存在した構造歪みや結晶子間のずれが、後工程の黒鉛化処理においても修復が不可能なほどひどくなる。そのため、a軸方向(炭素格子面に平行な方向)の結晶子の成長が阻害されたり、甚だしい結晶子間の構造歪みやずれがリチウムイオンの通過を阻害して、電気化学的に不活性な箇所を炭素繊維中に設けてしまう。
【0031】
ところで、上記切断処理においては切断処理の度合い、即ち切断に際して炭素繊維に加える衝撃力あるいは静水圧的な加圧力の程度が重要である。この度合いが適切であれば、結晶子内の歪みが緩和され、c軸方向(炭素格子面に垂直な方向)の結晶子の大きさLcが増大する。そのため、黒鉛の結晶構造が発達し、放電容量が大きくなる。また、結晶子間の歪みは逆に増大し、その結果、結晶子間にリチウムイオンを一層容易に通過させ得る非結晶構造が形成される。これによっても放電容量は大きくなる。
【0032】
そこで、この切断処理は、50〜100m/secの線速度で回転する羽根で炭素繊維同士をぶつけ合うことにより炭素繊維を高衝撃力をもって切断させる高衝撃処理とするか、500〜1500kgf/cm2 の圧力で静水圧加圧することにより炭素繊維を圧縮切断させる静水圧処理とするのが好ましい。尚、前者の高衝撃処理を行うには、例えばハイブリダイザーを使用することができる。
【0033】
高衝撃処理において線速度が100m/secを越えるか、静水圧処理において圧力が1500kgf/cm2 を越える場合は、切断処理の度合いが強すぎる。この場合は、結晶子内の歪みはかえって増大し、Lcを向上させることができない。それだけでなく、高衝撃処理の場合には、切断処理の際に細かい粒子が生成して炭素繊維の表面に付着するので、炭素繊維の比表面積を増大させてしまう。炭素繊維の比表面積の増大は、前記のように充放電効率を低下させ、サイクル特性悪化の大きな原因にもなる。また、この場合には、結晶子間の歪みも、リチウムイオンの出入りが不可能なほどにひどくなってしまう。従って、この場合は本発明の効果は奏されない。
【0034】
反対に、高衝撃処理において線速度が50m/sec未満であるか、静水圧処理において圧力が500kgf/cm2 未満である場合は、切断処理の度合いが弱すぎる。この場合は、結晶子内の歪みは緩和されず、その結果、Lcは増大しない。従って、黒鉛の結晶構造は発達せず、放電容量は大きくならない。また、結晶子間の歪みは増大せず、その結果、結晶子間にリチウムイオンを容易に通過させ得るような非結晶構造が形成されない。即ち、この場合も本発明の効果は奏されないことになる。
【0035】
以上説明した本発明の炭素材料は、次のような非水電解液二次電池の負極として用いることが可能である。非水電解液二次電池は、例えば、正極と負極をセパレータを介して対向配置すると共に、これらを非水電解液の中に浸漬した構成を有するものである。ここで、非水電解液は、有機溶媒にリチウム塩を溶解してなる。リチウム塩としては、例えばLiClO4 ,LiPF6 ,LiBF4 ,LiAsF6 などが用いられ、これらの2種以上を併用することもできる。また、上記有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC),エチレンカーボネート(EC),ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),エチルメチルカーボネート(EMC)などが用いられ、これらの2種以上からなる混合溶媒を使用することもできる。
【0036】
正極は、金属箔からなる集電体に正極材料(正極活物質)を付着させてなる。集電体としては、通常、帯状のアルミニウム箔が使用される。この集電体の両面に正極材料としてリチウム含有複合酸化物と導電材料などの混合物が付着せしめられる。リチウム含有複合酸化物としては、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2 ),マンガン酸リチウム(LiMn2 O4 ),ニッケル酸リチウム(LiNiO2 )などが用いられる。導電材料は正極活物質の導電性を高めるために加えられるもので、これにはアセチレンブラックを代表とするカーボンブラックや黒鉛粉末、炭素繊維などを用いることができる。
【0037】
上記のリチウム含有複合酸化物と導電材料とは、通常、粉体状のものが使用される。これらの粉体は、バインダー溶液に混合・分散され、その混合物が集電体の表面に塗布される。これはその後、乾燥され、次いでロールプレス機などで圧縮されて正極となる。上記バインダー溶液とは、バインダー(結着材)を有機溶剤中に溶解してなるものである。このバインダーにより、粉体状のリチウム含有複合酸化物及び導電材料の相互間やそれらと集電体との間が結着される。バインダーとしては例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)が用いられ、有機溶剤としては例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が用いられる。
【0038】
負極は、金属箔からなる集電体に負極材料(負極活物質)を付着させてなる。集電体としては、通常、帯状の銅箔が使用される。この集電体の両面に負極材料として本発明の炭素材料が付着せしめられる。この炭素材料としては、通常、粉体状のものが使用される。粉体の個々の形状としては、繊維状のものや粒子状のものがある。
【0039】
粉体状の炭素材料は、正極の場合と同様にバインダー溶液に混合・分散され、その混合物が集電体の表面に塗布される。そして、それが乾燥され、次いでロールプレス機などで圧縮されて負極となる。この場合も、バインダーとしては例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)が用いられ、有機溶剤としては例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が用いられる。
【0040】
セパレーターとしては、多孔性の帯状フィルムが用いられる。このフィルムは例えばポリプロピレン製である。上記正極には正極リードが溶接され、負極には負極リードが溶接される。この正極と負極をセパレーターを介して渦巻き状に巻き取り、この渦巻き状の正負電極を例えば円筒形の電池缶内に収納する。そして、負極リードを電池缶に溶接し、正極リードを正極キャップに溶接する。次に、この電池缶の中に前記非水電解液を注入し、その後、正極キャップを電池缶にかしめて電池缶を密封する。これにより非水電解液二次電池が完成する。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の炭素材料を実施例により更に具体的に説明する。実施例は本発明を例示的に示したものであって、本発明を制限するものではない。
【0042】
実施例1
(1) 炭素繊維の作製
気相から生成された状態の直径2μm、長さ70μmの気相成長炭素繊維を、アルゴンガス雰囲気下において2800℃で30分かけて黒鉛化処理し、黒鉛化炭素繊維を得た。この黒鉛化炭素繊維の50gをハイブリダイザー((株)奈良機械社製のNHS−1)に充填して、線速度88m/secで1分間羽根を回転させることにより高衝撃力でもって炭素繊維を切断した。切断後の炭素繊維は、平均直径が2μm、平均長さが12μm、比表面積が2.4m2 /g、d002 が0.3359nm、Lcが100nmであった。これを表1に示す。
【0043】
(2) ESR測定
(1) で作製した炭素繊維4mgと塩化カリウム100mgとを乳鉢中で混合し、この混合物を直径5mm、長さ270mmの石英の試料管に充填した。この試料管を真空脱気した後、アルゴンガスを封入してESR測定を行った。ESR装置は日機装(株)製のES−10を使用した。磁場掃引範囲335.5±15mT、磁場変調100kHz(0.2mT)、マイクロ波出力8mW、掃引時間2minで行い、測定温度は25℃とした。得られたESRスペクトルのピークAとピークBの比A/Bを求めた。結果を表2に示す。
【0044】
(3) ラマン測定
Jovan Yvon社製のU−1000を使用し、(1) で作製した炭素繊維の極微量を曇ガラスに付着させ、1μmに集光させたアルゴンレーザ(波長514.5nm、出力250mW)を照射し、後方散乱によりラマン散乱を集光し、集光時間1sec、送りステップ1cm-1で1200〜1800cm-1の範囲を3回積算させてラマンスペクトルを得た。そして、このラマンスペクトルのR値、即ちラマンシフトが1360cm-1付近のピーク強度I1360とラマンシフトが1580cm-1付近のピーク強度I1580の比I1360/I1580を算出した。結果を表2に示す。
【0045】
(4) 充放電試験による評価
バインダーであるPVDF0.1gを有機溶剤であるNMP0.8mlに溶解した。これに(1) で作製した炭素繊維0.9gを加え、乳鉢中で十分混合した。この混合物を1×5cmのニッケルメッシュに塗布面積が1×1cmとなるように塗布した後、110℃で24時間乾燥させ、作用極を得た。この作用極と、金属リチウムよりなる対極と、金属リチウムよりなる参照極とを用いて、3電極式ビーカーセルを作製した。
【0046】
これの非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(EC:DEC=1:1、体積比)に、LiClO4 を1mol/lの濃度となるように溶解したものを用いた。電流密度を25mA/gとし、作用極と参照極の間の電位が0〜2.5Vの範囲で充放電試験をした。そして、1サイクル目と100サイクル目の充電容量、放電容量及び充放電効率を測定した。結果を表3及び図5(100サイクル目は省略)に示す。
【0047】
尚、図5のグラフではプロットした点間を直線で結んであるが、これはプロットした点が分かりやすいように結んだだけで、必ずしもプロットした点間が直線的であることを意味するものではない。これについては図1〜4でも同様である。
【0048】
実施例2
(1) 炭素繊維の作製
気相から生成された状態の直径1μm、長さ50μmの気相成長炭素繊維を、アルゴンガス雰囲気下において2800℃で30分かけて黒鉛化処理し、黒鉛化炭素繊維を得た。この黒鉛化炭素繊維の50gをハイブリダイザー((株)奈良機械社製のNHS−1)に充填して、線速度60m/secで2分間羽根を回転させることにより高衝撃力でもって炭素繊維を切断した。切断後の炭素繊維は、平均直径が1μm、平均長さが7μm、比表面積が4.8m2 /g、d002 が0.3362nm、Lcが100nmであった。これを表1に示す。
【0049】
この炭素繊維を用いて、実施例1と同様にESR測定、ラマン測定、及び充放電試験を実施した。結果を表2〜3、及び図5(100サイクル目は省略)に示す。
【0050】
実施例3
(1) 炭素繊維の作製
気相から生成された状態の直径4μm、長さ60μmの気相成長炭素繊維を、アルゴンガス雰囲気下において2800℃で30分かけて黒鉛化処理し、黒鉛化炭素繊維を得た。この黒鉛化炭素繊維の50gを、静水圧等方加圧装置を使用して圧力1000kgf/cm2 で静水圧加圧することにより圧縮切断した。切断後の炭素繊維は、平均直径が4μm、平均長さが28μm、比表面積が1.7m2 /g、d002 が0.3363nm、Lcが100nmであった。これを表1に示す。
【0051】
この炭素繊維を用いて、実施例1と同様にESR測定、ラマン測定、及び充放電試験を実施した。結果を表2〜3、及び図5(100サイクル目は省略)に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
また、上記実施例1〜3の炭素材料におけるA/B比と放電容量及び充放電効率の関係、また、R値と放電容量及び充放電効率の関係を、図1〜図4(各図とも100サイクル目は省略)に示す。
【0056】
次に、上記実施例と比較するため、本発明の範囲に含まれないものを作製し、試験した。
比較例1
(1) 炭素繊維の作製
気相から生成された状態の直径3μm、長さ70μmの気相成長炭素繊維を、アルゴンガス雰囲気下において2800℃で30分かけて黒鉛化処理し、黒鉛化炭素繊維を得た。この黒鉛化炭素繊維の50gをハイブリダイザー((株)奈良機械社製のNHS−1)に充填して、線速度120m/secで2分間羽根を回転させることにより高衝撃力でもって炭素繊維を切断した。切断後の炭素繊維は、平均直径が3μm、平均長さが5μm、比表面積が8.1m2 /g、d002 が0.3363nm、Lcが100nmであった。これを表4に示す。
【0057】
この炭素繊維は、実施例1と比較すると、切断処理における線速度と処理時間が88m/sec、1分間から120m/sec、2分間に変わった点が異なる。この炭素繊維を用いて、実施例1と同様にESR測定、ラマン測定、及び充放電試験を実施した。その結果を表5〜6、及び図5(100サイクル目は省略)に示す。
【0058】
比較例2
(1) 炭素繊維の作製
気相から生成された状態の直径1μm、長さ50μmの気相成長炭素繊維を、アルゴンガス雰囲気下において2800℃で30分かけて黒鉛化処理し、黒鉛化炭素繊維を得た。この黒鉛化炭素繊維の50gをハイブリダイザー((株)奈良機械社製のNHS−1)に充填して、線速度40m/secで2分間羽根を回転させることにより高衝撃力でもって炭素繊維を切断した。切断後の炭素繊維は、平均直径が1μm、平均長さが35μm、比表面積が2.6m2 /g、d002 が0.3367nm、Lcが50nmであった。これを表4に示す。
【0059】
この炭素繊維は、実施例1と比較すると、切断処理における線速度と処理時間が88m/sec、1分間から40m/sec、2分間に変わった点が異なる。この炭素繊維を用いて、実施例1と同様にESR測定、ラマン測定、及び充放電試験を実施した。その結果を表5〜6、及び図5(100サイクル目は省略)に示す。
【0060】
比較例3
(1) 炭素繊維の作製
気相から生成された状態の直径2μm、長さ70μmの気相成長炭素繊維50gをハイブリダイザー((株)奈良機械社製のNHS−1)に充填して、線速度88m/secで1分間羽根を回転させることにより高衝撃力でもって炭素繊維を切断した。この炭素繊維をアルゴンガス雰囲気下において2800℃で30分かけて黒鉛化処理し、黒鉛化炭素繊維を得た。処理後の炭素繊維は、平均直径が2μm、平均長さが10μm、比表面積が1.2m2 /g、d002 が0.3366nm、Lcが70nmであった。これを表4に示す。
【0061】
この炭素材料は、実施例1と比較すると、切断処理を施した後で黒鉛化処理を施した点が異なる。この炭素材料を用いて、実施例1と同様にESR測定、ラマン測定、及び充放電試験を実施した。その結果を表5〜6、及び図5(100サイクル目は省略)に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
また、上記比較例1〜3の炭素材料におけるA/B比と放電容量及び充放電効率の関係、また、R値と放電容量及び充放電効率の関係を、図1〜図4(各図とも100サイクル目は省略)に示す。
【0066】
図1及び図2から明らかなように、A/B比が本発明の範囲よりも小さい方に外れた比較例の炭素材料は、放電容量(1サイクル目)が340mAh/gと大きいけれども、充放電効率(1サイクル目)は75%と極端に低く、また、A/B比が本発明の範囲よりも大きい方に外れた比較例の炭素材料は、充放電効率(1サイクル目)が92〜93%と高いけれども、放電容量(1サイクル目)は290〜310mAh/gと極端に小さい。
【0067】
これに対し、本実施例の炭素材料は、放電容量(1サイクル目)が340〜360mAh/gと比較例以上に大きく、かつ充放電効率(1サイクル目)も92〜93%と十分に高い。
【0068】
また、図3及び図4から明らかなように、R値が本発明の範囲よりも大きい方に外れた比較例1の炭素材料は、放電容量(1サイクル目)が340mAh/gと大きいけれども、充放電効率(1サイクル目)は75%と極端に低い。尚、比較例2及び3については、I1360のピークが観測されず、R値が得られなかったため図3及び図4には記載してない。
【0069】
これに対し、本実施例の炭素材料は、放電容量(1サイクル目)が340〜360mAh/gと比較例以上に大きく、かつ充放電効率(1サイクル目)も92〜93%と十分に高い。
【0070】
また、表6から明らかなように、比較例1の炭素材料は、1サイクル目における充電容量はかなり大きい(453mAh/g)けれども充放電効率が非常に低い(75%)。しかし、100サイクル目になると充放電効率が十分に高くなる(98%)。また、比較例2、3の炭素材料は、1サイクル目における充電容量はやや小さい(308〜337mAh/g)けれども充放電効率が十分に高く(92〜93%)、100サイクル目には両者とも充放電効率が100%になっている。以上の結果、比較例1〜3の炭素材料は、100サイクル目の放電容量がすべて小さくなってしまっている(280〜310mAh/g)。即ち、比較例は、320mAh/g程度以上の放電容量を得ようとしても、大容量のものは充放電効率が低くなるため、結局、280〜310mAh/g程度の放電容量しか得られないことを示している。
【0071】
これに対し、表3から明らかなように、本実施例の炭素材料はすべて、1サイクル目において放電容量が大きくかつ充放電効率が高い。更に、100サイクル目には充放電効率がすべて100%になっている。この結果、本実施例の炭素材料の100サイクル目の放電容量はすべて大きくなっており、比較例のものよりサイクル特性に優れることが分かる。
【0072】
また、図5から明らかなように、比較例の炭素材料は放電容量が290〜340mAh/gであるのに対し、本実施例の炭素材料は放電容量は340〜360mAh/gであり、比較例と同じかそれよりも大きい。しかも、比較例の炭素材料は、放電容量が290〜310mAh/gと小さい場合には充放電効率が92〜93%と高いが、放電容量が340mAh/gと大きい場合には充放電効率が75%と極端に低い。これに対し、本実施例の炭素材料は、放電容量が340〜360mAh/gと大きく、かつ充放電効率は92〜93%と高い。(上記表3、表6についての説明参照)
【0073】
以上詳述したように、請求項1記載及び請求項4記載の発明によれば、気相から生成された状態の気相成長炭素材料に黒鉛化処理を施した後で切断処理を施すことにより得られ、その比表面積が0.2〜5m 2 /g、炭素格子面間隔d 002 が0.3354〜0.3374nm、c軸方向の結晶の大きさLcが50〜2000nmであるとともに、直径が1〜4μm、長さが3〜30μmの気相成長炭素繊維であり、且つ、電子スピン共鳴分析法(ESR)により観測される25℃におけるESRスペクトルのシグナルの非対称性パラメータであるA/B比が1.0〜1.3であり、かつレーザーラマン分光法により観測されるラマンスペクトルのラマンシフトが1360cm−1のピーク強度I1360とラマンシフトが1580cm−1のピーク強度I1580との比I1360/I1580であるR値が0.02〜0.28であるため、大きな放電容量を有すると共に、放電容量が大きくても充放電効率が高く、またサイクル特性にも優れた負極用炭素材料が提供される。
また、比表面積が0.2〜5m2/g、炭素格子面積間隔d002が0.3354〜0.3374nm、c軸方向の結晶の大きさLcが50〜2000nmであり、直径が1〜4μm、長さが3〜30μmの気相成長炭素繊維であるため、より上記効果を奏する負極用炭素材料として好適である。
【0077】
また、請求項3記載の発明によれば、上記切断処理が、50〜100m/secの線速度で回転する羽根で炭素繊維同士をぶつけ合うことにより炭素繊維を高衝撃力をもって切断させるものであるため、請求項2記載の製造方法として好適である。
【0078】
また、請求項4記載の発明によれば、上記切断処理が、500〜1500kgf/cm2の圧力で静水圧加圧することにより炭素繊維を圧縮切断させるものであるため、請求項2記載の製造方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素材料におけるA/B比と放電容量(1サイクル目)の関係を示すグラフである。
【図2】炭素材料におけるA/B比と充放電効率(1サイクル目)の関係を示すグラフである。
【図3】炭素材料におけるR値と放電容量(1サイクル目)の関係を示すグラフである。
【図4】炭素材料におけるR値と充放電効率(1サイクル目)の関係を示すグラフである。
【図5】炭素材料における1サイクル目の放電容量と充放電効率の関係を示すグラフである。
【図6】ESRスペクトルの一例を示すグラフである。
【図7】ラマンスペクトルの一例を示すグラフである。
Claims (4)
- 非水電解液二次電池の負極に用いられる炭素材料において、気相から生成された状態の気相成長炭素材料に黒鉛化処理を施した後で切断処理を施すことにより得られ、その比表面積が0.2〜5m 2 /g、炭素格子面間隔d 002 が0.3354〜0.3374nm、c軸方向の結晶の大きさLcが50〜2000nmであるとともに、直径が1〜4μm、長さが3〜30μmの気相成長炭素繊維であり、且つ、電子スピン共鳴分析法(ESR)により観測される25℃におけるESRスペクトルのシグナルの非対称性パラメータであるA/B比が1.0〜1.3であり、かつレーザーラマン分光法により観測されるラマンスペクトルのラマンシフトが1360cm−1のピーク強度I1360とラマンシフトが1580cm−1のピーク強度I1580との比I1360/I1580であるR値が0.02〜0.28であることを特徴とする炭素材料。
- 非水電解液二次電池の負極に用いられる炭素材料を製造する製造方法において、気相から生成された状態の気相成長炭素材料に黒鉛化処理を施した後で切断処理を施し、その比表面積が0.2〜5m 2 /g、炭素格子面間隔d 002 が0.3354〜0.3374nm、c軸方向の結晶の大きさLcが50〜2000nmであるとともに、直径が1〜4μm、長さが3〜30μmの気相成長炭素繊維であり、且つ電子スピン共鳴分析法(ESR)により観測される25℃におけるESRスペクトルのシグナルの非対称性パラメータであるA/B比が1.0〜1.3であり、かつレーザーラマン分光法により観測されるラマンスペクトルのラマンシフトが1360cm −1 のピーク強度I 1360 とラマンシフトが1580cm −1 のピーク強度I 1580 との比I 1360 /I 1580 であるR値が0.02〜0.28とされた炭素材料を得ることを特徴とする炭素材料の製造方法。
- 上記切断処理が、50〜100m/secの線速度で回転する羽根で炭素繊維同士をぶつけ合うことにより炭素繊維を高衝撃力をもって切断させるものであることを特徴とする、請求項2記載の炭素材料の製造方法。
- 上記切断処理が、500〜1500kgf/cm2の圧力で静水圧加圧することにより炭素繊維を圧縮切断させるものであることを特徴とする、請求項2記載の炭素材料の製造方法。
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