JPH10225776A - アルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接用電極 - Google Patents

アルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接用電極

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JPH10225776A
JPH10225776A JP9032358A JP3235897A JPH10225776A JP H10225776 A JPH10225776 A JP H10225776A JP 9032358 A JP9032358 A JP 9032358A JP 3235897 A JP3235897 A JP 3235897A JP H10225776 A JPH10225776 A JP H10225776A
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JP
Japan
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electrode
spot welding
resistance spot
tmm
tip
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JP9032358A
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English (en)
Inventor
Nariyuki Nakagawa
川 成 幸 中
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶
接に際しての溶接品質の安定性と連続打点性(電極寿
命)の向上に最適な抵抗スポット溶接用電極形状を得
る。 【解決手段】 電極の電気伝導度が97 IACS%以
上で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さがHv8
0以上、400℃以上ではビッカース硬さがHv30以
下となる高温硬度特性を有した電極材料を用いてなるR
型の抵抗スポット溶接用電極1において、電極先端に、
被溶接材料の薄板側の板厚をtmmとしたときに、直径
(D)が4.5√tmm〜6√tmmの円環状部の外
側に深さ(h)が0.1tmm〜0.3tmmとなる
切り欠き2を形成した電極形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極に係わり、特に、ア
ルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接に際しての
溶接品質の安定性と連続打点性(電極寿命)の向上に最
適な電極形状に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム系被溶接
材料の抵抗スポット溶接用電極としては、実用上は、も
っぱら、鋼板用と同様のクロム銅等のRWMAクラス2
電極が用いられている。しかし、この電極は電気伝導度
が75〜85 IACS%と低いため、通電中に電極先
端が発熱し、電極先端にアルミニウムと銅の合金層を生
成しやすく、これが電極の連続打点性を低下させてい
る。
【0003】このため、アルミニウム系被溶接材料の抵
抗スポット溶接用として、電気伝導度を高めた電極材料
を用いて連続打点性を向上させる研究がなされており、
例えば、特開平6−210461号公報や特願平7−2
25572号明細書および図面(出願時未公開)等に記
載されたものがある。
【0004】このような改良されたアルミニウム系被溶
接材料の抵抗スポット溶接用電極として、例えば、図1
1に示すように、電極先端がR型形状をなし、電極の電
気伝導度が97 IACS%以上で、かつ、200℃以
下ではビッカース硬さがHv80以上、400℃以上で
はビッカース硬さがHv30以下となる高温硬度特性を
有した電極材料からなるR型の抵抗スポット溶接用電極
21を用いて、連続的なスポット溶接を繰り返し行って
いくと、電極先端には、図12に示すような、理想的に
は直径(D21)が4√tmm〜6√tmmで、高さ
(h21)が0.1tmm〜0.3tmmとなる突起2
2が自己形成されるとともに、突起22の外周部には平
坦部23が形成された形の電極21に形状が変化し、ま
た、打点数が進んでもこの形状が維持され、これによっ
て、電極先端の接触径の拡大が抑制されて、連続打点性
を向上させるようにしたものである。
【0005】しかしながら、このような高電気伝導度を
有したR型の抵抗スポット溶接用電極21では、一般の
クロム銅電極と比べると、ピックアップ劣化が生じない
ため連続打点性は遥かに優れているが、例えば、図11
に示すR型電極21の場合、電極先端に打点数の増加と
ともに図12に示すような突起22が自己形成されてく
るが、理想的な突起22が形成される前の段階、つま
り、突起22の形成過程にある打点初期において、溶接
ナゲットの直径や溶接強度にばらつきが多く発生するた
め、電極交換直後の溶接品質の管理に手間がかかるとい
う問題点があった。
【0006】一例として、図13に示す実験結果におい
て、従来の問題点を説明すると、この図13に示す実験
の条件は、後述する表1における、電極先端の形状が曲
率半径R20mmの電極に対して、切り欠き深さ
(h)を0mmとした場合、つまり、従来のR型電極
21を用いた際の実験の条件で行ったものであるが、図
13に示すように、従来のR型電極21を用いた場合、
連続打点中の打点初期、具体的には0〜50ないしは1
00打点以内において溶接強度(引張剪断強度)のばら
つきが大きいことがわかる。
【0007】これは、図13の突起高さの推移グラフか
ら明らかなように、打点初期のこの間は、電極先端の突
起がまだ十分な高さに達していない突起形成過程にある
ためで、これ以降の理想的な突起高さが安定して維持さ
れている過程では溶接強度も安定していることが実験に
より明らかになった。
【0008】図14は従来の改良されたアルミニウム系
被溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の他の例を示すも
のであって、電極の電気伝導度が97 IACS%以上
で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さがHv80
以上、400℃以上ではビッカース硬さがHv30以下
となる高温硬度特性を有した電極材料を用いてなるとと
もに、電極先端に、電極先端の形状が被溶接材料の板厚
をtmmとしたときに、直径(d31)が4√tmm〜
6√tmmで、高さ(h31)が0.1√tmm〜0.
3√tmmとなる突起32を設け、かつ、突起32の外
周部に受圧平坦部33を形成した、いわゆるピンペル型
の抵抗スポット溶接用電極31である。
【0009】しかしながら、このようなピンペル型の抵
抗スポット溶接用電極31は、一般にクロム銅電極と比
べると、ピックアップ劣化が生じないため連続打点性は
遥かに優れているが、例えば、図14に示すピンペル型
電極31の場合、被溶接材料の材質や板厚によっては、
受圧平坦部33の外径(D31)の大きさにより、図1
5に示すように、連続打点数とともに、電極先端の突起
32近傍の受圧平坦部33が塑性変形を起こし、突起3
2が沈み込むかたちで変形してくるため、突起32の外
周部32aが被溶接材料35,35と接触し、この分だ
け、通電面積が増えることにより電流密度が低下し、ま
た、被溶接材料35,35には正規の位置の溶接ナゲッ
ト36以外に、分流による分割ナゲット37が生じたり
して、意図した溶接強度や連続打点性能が得られなくな
ることがあるという問題点があった。
【0010】
【発明の目的】本発明は、このような従来の問題点に着
目してなされたもので、電極の電気伝導度が97 IA
CS%以上で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さ
がHv80以上、400℃以上ではビッカース硬さがH
v30以下となる高温硬度特性を有した電極材料を用い
たR型の抵抗スポット溶接用電極やピンペル型の抵抗ス
ポット溶接用電極において、溶接ナゲットや溶接強度に
ばらつきを発生しがたく、溶接品質の安定性と連続打点
性(電極寿命)の向上に最適な電極形状を得ることがで
きるようにすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるアルミニウ
ム系被溶接材料の抵抗スポット溶接用電極は、請求項1
に記載しているように、電極の電気伝導度が97 IA
CS%以上で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さ
がHv80以上、400℃以上ではビッカース硬さがH
v30以下となる高温硬度特性を有した電極材料を用い
てなるR型の抵抗スポット溶接用電極において、電極先
端に、被溶接材料の薄板側の板厚をtmmとしたとき
に、直径(D)が4.5√tmm〜6√tmmの円環
状部の外側に深さ(h)が0.1tmm〜0.3tm
mとなる切り欠きを形成した構成としたことを特徴とし
ている。
【0012】そして、この発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の実施態様において
は、請求項2に記載しているように、R型の抵抗スポッ
ト溶接用電極の先端の曲率半径(R)がR8mm〜R
40mmである電極に、直径(D)が4.5√tmm
〜6√tmmの円環状部の外側に深さ(h)が0.1
tmm〜0.3tmmとなる切り欠きを形成した構成の
ものとすることができる。
【0013】同じく、この発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の実施態様において
は、請求項3に記載しているように、R型の抵抗スポッ
ト溶接用電極の先端の形状が、被溶接材料の薄板側の板
厚をtmmとしたときに、電極先端に直径(d)が4
√tmm〜6√tmmの平面状部を有し、かつ、その外
周部は曲率半径(R)がR8mm〜R40mmのR形
状である電極先端に、直径(D)が4.5√tmm〜
6√tmmの円環状部の外側に深さ(h)が0.1t
mm〜0.3tmmとなる切り欠きを形成した構成のも
のとすることができる。
【0014】同じく、この発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の実施態様において
は、請求項4に記載しているように、R型の抵抗スポッ
ト溶接用電極の先端の形状が、被溶接材料の薄板側の板
厚をtmmとしたときに、電極先端部分の直径(d
が4√tmm〜6√tmmの範囲内で曲率半径(r
がR20mm以上の球面状部を有し、かつ、その外周部
が曲率半径(R)がR8mm〜R40mmのR形状で
ある、少なくとも二つ以上の複合球面で構成される電極
先端に、直径(D)が4.5√tmm〜6√tmmの
円環状部の外側に深さ(h)が0.1tmm〜0.3
tmmとなる切り欠きを形成した構成のものとすること
ができる。
【0015】同じく、この発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の実施態様において
は、請求項5に記載しているように、R型の抵抗スポッ
ト溶接用電極の材質がタフピッチ銅であるものとした
り、請求項6に記載しているように、R型の抵抗スポッ
ト溶接用電極の材質が無酸素銅であるものとしたりする
ことができる。
【0016】同じ目的を達成する本発明によるアルミニ
ウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接用電極は、請求項
7に記載しているように、電極の電気伝導度が97 I
ACS%以上で、かつ、200℃以下ではビッカース硬
さがHv80以上、400℃以上ではビッカース硬さが
Hv30以下となる高温硬度特性を有した電極材料を用
いてなるとともに電極先端に突起を設けたピンペル型の
抵抗スポット溶接用電極において、電極先端の形状が、
被溶接材料の板厚をtmmとしたときに、直径
(d11)が4.5√tmm〜6√tmmで高さ(h
11)が0.1√tmm〜0.3√tmmとなる突起を
設け、かつ、突起の直径(d11)をd11mmとした
ときに、突起の外周部に、外径(D11)が(d11
1)mm≦D11mm≦(d11+5)mmとなる受圧
平坦部を形成した構成としたことを特徴としている。
【0017】そして、この発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の実施態様において
は、請求項8に記載しているように、突起の先端形状が
平面である構成のものとすることができる。
【0018】同じく、この発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の実施態様において
は、請求項9に記載しているように、突起の先端形状が
球面である構成のものとすることができ、この場合に、
請求項10に記載しているように、突起の先端の曲率半
径(R11)がR20mm以上の球面であるものとする
ことができる。
【0019】同じく、この発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の実施態様において
は、請求項11に記載しているように、突起の角部また
は外壁部と、受圧平坦部とを適宜な曲率半径をもつ曲面
でつないだ形状のものとすることができる。
【0020】同じく、この発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極の実施態様において
は、請求項12に記載しているように、ピンペル型の抵
抗スポット溶接用電極の材質がタフピッチ銅であるもの
としたり、請求項13に記載しているように、ピンペル
型の抵抗スポット溶接用電極の材質が無酸素銅であるも
のとしたりすることができる。
【0021】
【発明の効果】本発明のアルミニウム系被溶接材料の抵
抗スポット溶接用電極では、請求項1に記載しているよ
うに、電極の電気伝導度が97 IACS%以上で、か
つ、200℃以下ではビッカース硬さがHv80以上、
400℃以上ではビッカース硬さがHv30以下となる
高温硬度特性を有した電極材料を用いてなるR型の抵抗
スポット溶接用電極において、電極先端に、被溶接材料
の薄板側の板厚をtmmとしたときに、直径(D)が
4.5√tmm〜6√tmmの円環状部の外側に深さ
(h)が0.1tmm〜0.3tmmとなる切り欠き
を形成した構成としたから、打点初期においても必要な
突起高さが確保されているため、また、突起の自己形成
能力が促進されることによって、従来の問題点であった
打点初期の溶接強度のばらつきをさらに低減することが
できるとともに、従来の高導電率電極のもつ優れた連続
打点性を維持することができ、溶接ナゲットや溶接強度
にばらつきを発生しがたいものとして溶接品質の安定性
と連続打点性(電極寿命)の向上に適した電極形状を得
ることができるという著大なる効果がもたらされる。
【0022】そして、請求項2に記載しているように、
R型の抵抗スポット溶接用電極の先端の曲率半径
(R)がR8mm〜R40mmである電極に、直径
(D)が4.5√tmm〜6√tmmの円環状部の外
側に深さ(h)が0.1tmm〜0.3tmmとなる
切り欠きを形成したものとすることによって、連続打点
性を良好なものとすることができ、高い連続打点性を保
ったままで、打点初期の溶接強度のばらつきを低減でき
るようになるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0023】そしてまた、請求項3に記載しているよう
に、R型の抵抗スポット溶接用電極の先端の形状が、被
溶接材料の薄板側の板厚をtmmとしたときに、電極先
端に直径(d)が4√tmm〜6√tmmの平面状部
を有し、かつ、その外周部は曲率半径(R)がR8m
m〜R40mmのR形状である電極先端に、直径
(D)が4.5√tmm〜6√tmmの円環状部の外
側に深さ(h)が0.1tmm〜0.3tmmとなる
切り欠きを形成したものとすることによって、打点初期
の溶接強度のばらつきを低減できると共に、かなりの打
点数までにおいて三日月形の打痕を発生しないものとす
ることができ、十分な連続打点性の向上が実現できると
いう著しく優れた効果がもたらされる。
【0024】さらにまた、請求項4に記載しているよう
に、R型の抵抗スポット溶接用電極の先端の形状が、被
溶接材料の薄板側の板厚をtmmとしたときに、電極先
端部分の直径(d)が4√tmm〜6√tmmの範囲
内で曲率半径(r)がR20mm以上の球面状部を有
し、かつ、その外周部が曲率半径(R)がR8mm〜
R40mmのR形状である、少なくとも二つ以上の複合
球面で構成される電極先端に、直径(D)が4.5√
tmm〜6√tmmの円環状部の外側に深さ(h)が
0.1tmm〜0.3tmmとなる切り欠きを形成した
ものとすることによって、打点初期の溶接強度のばらつ
きを低減できると共に、かなりの打点数までにおいて三
日月形の打痕を発生しないものとすることができ、十分
な連続打点性の向上が実現できるという著しく優れた効
果がもたらされる。
【0025】さらにまた、請求項5に記載しているよう
に、R型の抵抗スポット溶接用電極の材質がタフピッチ
銅であるものとしたり、請求項6に記載しているよう
に、R型の抵抗スポット溶接用電極の材質が無酸素銅で
あるものとすることによって、上述した優れた効果を通
常の銅系材料を用いて実現することが可能となる。
【0026】本発明の他の発明によるアルミニウム系被
溶接材料の抵抗スポット溶接用電極では、請求項7に記
載しているように、電極の電気伝導度が97 IACS
%以上で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さがH
v80以上、400℃以上ではビッカース硬さがHv3
0以下となる高温硬度特性を有した電極材料を用いてな
るとともに電極先端に突起を設けたピンペル型の抵抗ス
ポット溶接用電極において、電極先端の形状が、被溶接
材料の板厚をtmmとしたときに、直径(d )が
4.5√tmm〜6√tmmで高さ(h11)が0.1
√tmm〜0.3√tmmとなる突起を設け、かつ、突
起の直径(d11)をd11mmとしたときに、突起の
外周部に、外径(D11)が(d11+1)mm≦D
11mm≦(d11+5)mmとなる受圧平坦部を形成
した構成としたから、連続打点溶接時に打点数が進んで
も、電極先端の突起が所定の直径と高さを維持すること
となるため、被溶接材料の材質や板厚にかかわりなく、
電極と被溶接材料との接触面積を一定に保つことができ
るため、電流密度が変化せず、良好なそして安定した溶
接が持続されて、連続打点性を向上することができ、溶
接ナゲットや溶接強度にばらつきを発生しがたいものと
して溶接品質の安定性と連続打点性(電極寿命)の向上
に適した電極形状を得ることができるという著大なる効
果がもたらされる。
【0027】そして、請求項8に記載しているように、
突起の先端形状が平面であるものとすることによって、
三日月形打痕の発生を防止することができ、高い連続打
点性を長期にわたって維持することが可能であるという
著しく優れた効果がもたらされる。
【0028】そしてまた、請求項9に記載しているよう
に、突起の先端形状が球面であるものとし、請求項10
に記載しているように、突起の先端の曲率半径
(R11)がR20mm以上の球面であるものとするこ
とによっても、R20mm以上の球面から無限大(つま
り、請求項8の平面)までは溶接部の外観品質を優れた
ものにしたうえで、三日月形打痕の発生を防止すること
ができ、高い連続打点性を長期にわたって維持すること
が可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0029】さらにまた、請求項11に記載しているよ
うに、突起の角部または外壁部と、受圧平坦部とを適宜
な曲率半径をもつ曲面でつないだ形状としたものとする
ことによって、局部的な応力集中を伴うことなく連続打
点性の向上に寄与するものにできるという著しく優れた
効果がもたらされる。
【0030】さらにまた、請求項12に記載しているよ
うに、ピンペル型の抵抗スポット溶接用電極の材質がタ
フピッチ銅であるものとしたり、請求項13に記載して
いるように、ピンペル型の抵抗スポット溶接用電極の材
質が無酸素銅であるものとしたりすることによって、上
述した優れた効果を通常の銅系材料を用いて実現するこ
とが可能となる。
【0031】
【実施例】以下、本発明によるアルミニウム系被溶接材
料の抵抗スポット溶接用電極の実施例を図面に基づいて
詳細に説明する。
【0032】実施例1 図1は本発明の第1実施例を示し、とくにR型の抵抗ス
ポット溶接用電極の実施例を示すものである。
【0033】図1に示すアルミニウム系被溶接材料の抵
抗スポット溶接に用いるR型の抵抗スポット溶接用電極
1は、電極素材の電気伝導度が97 IACS%以上
で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さがHv80
以上、400℃以上ではビッカース硬さがHv30以下
となる高温硬度特性を有した電極材料を用いたものであ
り、かつ、電極先端に、所定の曲率半径(R)を有し
たR型電極であって、電極先端には、被溶接材料の板厚
をtmmとしたときに、直径(D)が4.5√tmm
〜6√tmmの円環状部の外側に、深さ(h)が0.
1tmm〜0.3tmmとなる切り欠き2(図では斜線
で表す)を設け、切り欠き2を設けることによって円環
状部の外側に平坦部3を形成した構造をなすものであ
る。
【0034】このような構造をもつR型の抵抗スポット
溶接用電極1を開発するにあたり、従来の問題点である
溶接強度のばらつきの発生が、電極先端での突起形成過
程における突起高さの不安定時期にあることから、打点
初期の突起形成を促進させることを目的に、図1に示す
ようにR型電極1の先端部に切り欠き2を設けているも
のとしたのであり、この切り欠き2の深さ(h)を最
適な値のものとすることにより、打点初期の溶接強度の
ばらつきを低減できることを見いだした。
【0035】なお、ここで、切り欠き2を設ける部分の
直径(D)は、図12の従来例において、自己形成さ
れる理想的な電極先端突起の直径に相当する寸法(D
21)とするか、それより若干大きい寸法とするのがよ
く、ここでは、被溶接材料の板厚をtmmとしたとき
に、直径(D)が4.5√tmm〜6√tmmとして
いる。
【0036】この実施例において、スポット溶接用電極
1の素材としてタフピッチ銅を用い、電気伝導度が10
0 IACS%であると共に、常温でのビッカース硬さ
がHv104であり、200℃でのビッカース硬さがH
v82から、400℃ではビッカース硬さがHv21ま
で低下する特性を有する電極材を用いた。
【0037】そして、電極先端の形状はR20mmの曲
率半径(R)を持ったR型電極とし、電極先端に直径
(D)が5.5√tmmの円環状部の外側に、深さ
(h)の切り欠き2を設けた。
【0038】ここで、表1に示すように、切り欠き深さ
(h)を、0mm、つまり、切り欠き(2)のない従
来例1のR20電極21と、切り欠き深さ(h)を、
0.1mm、0.3mm、0.5mm、1.0mmの4
段階に変化させた発明例1,2および比較例1,2の電
極1との合計5種類の電極を用い、被溶接材料としては
Al−4.5重量%MgよりなるJIS 5000系ア
ルミニウム合金で、板厚tが1.0mmの酸洗浄材を用
いて、3000打点までの連続打点試験を実施し、打点
初期の溶接強度特性と電極寿命を比較した。
【0039】なお、この実験に用いたスポト溶接電源
は、単相交流溶接機であって、溶接条件は、 ・加圧力;270kgf ・通電時間;5サイクル ・溶接電流;ナゲット径が5.5mmとなるように25
〜30kAの間で調整 ・打点時間間隔:1点/約4秒 で行った。
【0040】また、電極の損耗状態を把握するため、感
圧紙を電極と被溶接材料との間にはさんで、電極の被溶
接材料表面に接触する部分の形状を所定の打点毎に転写
させて評価した。
【0041】一般に、電極先端に突起が形成され、これ
が打点数が進んでも維持されている間は、図2(A)の
ような円形打痕7が転写されるが、突起が潰され、十分
な突起高さが得られなくなってくると、図2(B)のよ
うな円形打痕跡7の他に三日月形打痕8が生じてくる。
そこで、この三日月形打痕8が初めて生じた打点数を、
ここでは突起消滅打点数とし、連続打点性の評価指標と
した。
【0042】表1は、切り欠き2の深さ(h)を前記
5種類に変化させたときの打点初期の強度特性と連続打
点性との関連を比較実験した結果を示すものである。
【0043】
【表1】
【0044】この結果、表1より明らかであるように、
前述したごとく、切り欠きのない従来例1のR型電極2
1は3000打点以上の連続打点性を示したが、図13
に示したように打点初期に強度のばらつきが発生した。
【0045】一方、比較例1,2に示すように、切り欠
き深さ(h)が0.5mm以上になると、打点初期の
強度のばらつきは抑制されるが、1050打点またはそ
れ以下で三日月形打痕8が発生し、電極先端の突起が潰
され始めており、連続打点性が低下していることが明ら
かになった。
【0046】従って、表1より、切り欠き深さ(h
が0.1mm〜0.3mmの間にあるとき、つまり、被
溶接材料の板厚をtmmとしたときに切り欠き深さ(h
)が0.1tmm〜0.3tmmのときに、打点初期
の強度のばらつきの低減と、連続打点性の向上とが両立
できる最適範囲であるといえることが認められた。
【0047】このように、R型電極先端に、被溶接材料
の板厚をtmmとしたときに切り欠き深さ(h)が
0.1tmm〜0.3tmmの切り欠き2を形成した電
極1とすることによって、打点初期においても必要な突
起高さが確保されているため、またこの切り欠き2によ
り突起の自己形成能力が促進されることによって、打点
初期の強度のばらつきを低減することができるととも
に、従来の高導電率電極の連続打点性の高さをそのまま
維持することができる。
【0048】実施例2 前記実施例1では、R型電極1の曲率半径(R)を一
定にし、切り欠き深さ(h)を変化させた場合を示し
たが、この実施例では、切り欠き深さ(h)を0.2
mmと一定にし、電極先端の曲率半径(R)をR20
mmとしたR型電極を用いた以外にも、表2に示すよう
に、電極先端の曲率半径(R)を、表1に示すよう
に、R8mm、R40mm、R75mm、R150m
m、と5段階に変化させた発明例3,4,5および比較
例3,4のR型電極を用いて、同様の実験を試みした。
この結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】この表2に示す結果から、R型電極の場合
は、電極先端の曲率半径(R)がR8mm〜R40m
mの範囲の電極を素材として、前述した所定深さ
(h)の切り欠き2を設けることにより、高い連続打
点性能を保ったままで、打点初期の溶接強度のばらつき
を低減できることが分かった。
【0051】図3には、表2の発明例4の電極、すなわ
ち、電極先端の曲率半径(R)がR20mmのタフピ
ッチ銅電極に、図1に示す切り欠き深さ(h)が0.
2mmの切り欠き2を設けた電極1において、前記した
実験条件によって、3000打点までの連続打点試験を
実施した結果を示している。
【0052】この図3と前出の図13との比較からも明
らかなように、電極先端に切り欠き2を設けることによ
り、連続打点の初期から所定の突起高さが確保されてい
るため、従来の問題点である打点初期の溶接強度のばら
つき発生が低減できていることが分かる。
【0053】実施例3 図4は本発明のさらに他の実施例を示すものであって、
この図4に示すR型の抵抗スポット溶接用電極1は、被
溶接材料の板厚をtmmとしたときに、電極先端に、直
径(d)が4√tmm〜6√tmmの平面状部4を設
けるとともに、その外周部は所定の曲率半径(R)を
有した球面としたRF型電極を素材として、前記実施例
と同様に、直径(D)が4.5√tmm〜6√tmm
の円環状部の外側に、深さ(h)が0.1tmm〜
0.3tmmの切り欠き2を形成し、この切り欠き2の
形成によって平坦部3が形成された構造としたものであ
る。
【0054】この電極1においても、切り欠き2の形成
により、打点初期の強度のばらつきは低減できるが、電
極先端の平面状部4の外周部の曲率半径(R)は、小
さすぎると電極そのものの直径が小さくなり、このた
め、電極先端部の変形や蓄熱によって連続打点性が低下
する。また、曲率半径(R)が大きすぎると、生成し
た突起が陥没しやすくなり、三日月形打痕8が早期に発
生する。
【0055】従って、素材となる電極は、被溶接材料の
板厚をtmmとしたときに、電極先端に、直径(d
が4√tmm〜6√tmmの平面状部4を設けるととも
に、その外周部は曲率半径(R)が、R8mm〜R4
0mmの範囲の球面としたRF型電極を素材として、前
記実施例と同様に、直径(D)が4.5√tmm〜6
√tmmの円環状部の外側に、深さ(h)が0.1t
mm〜0.3tmmの切り欠き2を形成し、平坦部3を
設けたアルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接用
電極1とすることにより、打点初期の溶接強度のばらつ
きを低減できるとともに、3000打点までは三日月形
打痕8が発生せず、十分な連続打点性向上の効果がもた
らされる。
【0056】実施例4 図5は本発明のさらに他の実施例を示すものであって、
この図5に示すR型の抵抗スポット溶接用電極1は、電
極先端の曲率半径(R)がR8mm〜R40mmのR
形状で、かつ、電極の最先端部のみ、別の曲率半径(r
)を持った、少なくとも二つ以上の複合球面で構成さ
れるR電極に対して、前記切り欠き2を形成し、この切
り欠き2の形成によって平坦部3を設けた電極1の構造
としてもよい。
【0057】この場合は、被溶接材料の薄板側の板厚を
tmmとしたときに、電極最先端部分の直径(d)が
4√tmm〜6√tmmの範囲内でR20mm以上の曲
率半径(r)をもつ球面状部5とし、かつ直径
(D)が4.5√tmm〜6√tmmの円環状部の外
側に、深さ(h)が0.1tmm〜0.3tmmの切
り欠き2を形成した電極1の構造とすることによって
も、前記実施例と同様の効果がもたらされる。
【0058】そして、この実施例4では、実施例1〜3
と同様に、一例として電極材料にタフピッチ銅を用いた
場合を示したが、そのほか、実施例1〜4のいずれにお
いても、このタフピッチ銅とほぼ同程度の電気的、物理
的特性をもつ無酸素銅を用いても、同様の効果を得るこ
とができる。
【0059】また、これらの材料に限定されることな
く、電極の電気伝導度が97 IACS%以上で、か
つ、200℃以下ではビッカース硬さがHv80以上、
400℃以上ではビッカース硬さがHv30以下となる
特性を有する材料であればよく、例えば、純銅をベース
に微量のAu,Ag,Ni,Zn,Co,Fe,V,
S、等をそれぞれ単独または複合して添加して調整した
合金であってもよい。
【0060】さらにまた、R型電極1への切り欠き2の
形成方法は、一般の切削加工の他、転造や冷間鍛造な
ど、種々の方法を用いてもよい。
【0061】実施例5 図6は本発明の第5実施例を示し、とくにピンペル型の
抵抗スポット溶接用電極の実施例を示すものである。
【0062】図6に示すアルミニウム系被溶接材料のス
ポット溶接に用いるピンペル型の抵抗スポット溶接用電
極11は、電極素材の電気伝導度が97 IACS%以
上で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さがHv8
0以上、400℃以上ではビッカース硬さがHv30以
下となる高温硬度特性を有した電極材料を用いたもので
あり、かつ、電極先端に先端が平面である突起12を設
けたピンペル型の抵抗スポット溶接用電極であって、電
極先端の形状は、被溶接材料の板厚をtmmとしたとき
に、突起12の直径(d11)が4.5√tmm〜6√
tmmであり、また、突起12の高さ(h11)が0.
1√tmm〜0.3√tmmであるものとしている。
【0063】また、突起12の外周部には、主に加圧力
を分担して突起12の潰れや食い込みを抑制するための
受圧平坦部13を形成し、かつこの受圧平坦部13の外
径(D11)を最適値とした構造をなすものである。
【0064】従来の図14に示したピンペル型の抵抗ス
ポット溶接用電極31の場合、被溶接材料の材質や板厚
によっては、図15に示したように、連続打点数ととも
に、電極先端の突起近傍の受圧平坦部33が塑性変形を
起こし、突起32が沈み込むかたちで変形してくるた
め、十分な連続打点性能が得られなくなる場合がある。
【0065】このため、本発明実施例では、図6に示す
ように、ピンペル型電極11の突起12の外周部にある
受圧平坦部13の外径(D11)の大きさを種々検討し
た結果、電極先端の突起12の直径(d11)をd11
mmとしたときに、受圧平坦部13の外径(D11
が、(d11+1)mm≦D11mm≦(d11+5)
mmとなる範囲とすることにより、連続打点性の低下を
防止できることが明らかになった。
【0066】図7にはその実験結果を示すが、この場合
の実験条件は、スポット溶接用電極11の素材としてタ
フピッチ銅を用い、電気伝導度が100 IACS%で
あると共に、常温でのビッカース硬さがHv104であ
り、200℃でのビッカース硬さがHv82から、40
0℃ではビッカース硬さがHv21まで低下する特性を
有するものを用い、図6に示すピンペル型形状の電極1
1とした。
【0067】ここで、ピンペル型電極11の突起12の
直径(d11)は5.5√tmm、突起12の高さ(h
11)は0.2√mmとし、受圧平坦部13の外径(D
11)をd11mm、d11+1mm、d11+2.5
mm、d11+4.5mm、d11+6.5mm、d
11+11mm、と6段階に変化させた6種類の電極を
用い、被溶接材料としてはAl−4.5重量%Mgより
なるJIS 5000系アルミニウム合金で、板厚tが
1.0mmの酸洗浄材を用いて3000打点までの連続
打点の比較試験を実施した。
【0068】なお、この実験に用いたスポト溶接電源
は、単相交流溶接機であって、溶接条件は、 ・加圧力;280kgf ・通電時間;5サイクル ・溶接電流;ナゲット径が5.5mmとなるように25
〜30kAの間で調整 ・打点時間間隔:1点/約4秒 で行った。
【0069】電極の損耗状態を調べるに際しては、電極
と被溶接材料との間に感圧紙をはさんで、電極の被溶接
材料表面に接触する部分の形状を所定の打点毎に転写さ
せ、図8の受圧平坦部の外径(D11)がd11+6.
5mmの場合の400打点時以降に示すような三日月形
打痕8が生じる打点数を観察し、この打点数を突起消滅
打点数として、連続打点性を評価した。
【0070】この結果、図7より、受圧平坦部13の外
径(D11)が(d11+1)mm≦D11mm≦(d
11+5)mmとなる範囲とすることにより、従来例の
ような突起近傍の受圧平坦部の塑性変形による接触面積
の増大、つまり、三日月形打痕の発生が防止でき、高い
連続打点性が得られることが分かった。
【0071】図8には一例として、受圧平坦部13の直
径(D11)がd11+2.5mmとd11+6.5m
mの場合の感圧紙による電極先端接触形状の1000打
点までの比較データを示す。
【0072】この図8より、受圧平坦部13の直径(D
11)がd11+2.5mmの場合は円形打痕のみが転
写されており、十分な突起高さが維持されているが、d
11+6.5mmの場合は400打点ですでに若干の三
日月打痕が発生しており、従来例の図15に示したよう
に、突起周辺が潰され始めていることが明らかである。
【0073】なお、電極先端の先端形状が平面である突
起12の直径(d11)はここでは5.5√tmmと
し、突起12の高さ(h11)は0.2√tmmとした
が、突起12の直径はほぼナゲット径相当径とすればよ
く、従って、被溶接材料の板厚の関数で表し、具体的に
は、必要接合強度により、被溶接材料の板厚をtmmと
したときに、突起12の直径(d11)が4√tmm〜
6√tmm、望ましくは4.5√tmm〜6√tmmと
するのがよい。
【0074】また、突起12の高さ(h11)は、許容
される溶接部表面の圧痕深さにほぼ相当する寸法とすれ
ばよく、具体的には、突起12の高さ(h11)が0.
1√tmm〜0.3√tmmとするのがよい。
【0075】実施例6 図9はピンペル型の抵抗スポット溶接用電極の他の実施
例を示すものであって、前記実施例では、突起12の先
端が平面となったピンペル型電極である場合を示したの
に対して、本実施例は図9に示すように、突起12の先
端を所要の曲率半径(R11)を有した球面としたもの
であり、突起12の直径(d11)と受圧平坦部13の
外径(D11)は前記実施例と同様である。また、突起
12の高さ(h11)は、突起12の角部12cの高さ
を示しており、この突起12の高さ(h11)も前記実
施例と同様に0.1√tmm〜0.3√tmmとしてい
る。
【0076】この実施例に示す電極11において、突起
12の先端の曲率半径(R11)は、小さすぎると被溶
接材料への食い込みが激しくなり、圧痕深さが大きくな
るため、溶接外観品質が低下する。従って、突起12の
先端の曲率半径(R11)は、望ましくは、R20mm
以上から無限大(つまり、前記実施例に示す平面)まで
は溶接部の外観品質に問題がなく、また、3000打点
までは三日月打痕の発生挙動も前記実施例とほぼ同様で
あり、同様の連続打点性の向上効果がもたらされる。
【0077】実施例7 図10はピンペル型の抵抗スポット溶接用電極のさらに
他の実施例を示すものであって、図10に示すように、
電極11の先端の突起12の外壁部12fと、その外周
の受圧平坦部13の角部とを適宜な曲率半径(r11
でつなぐ形状としてもよく、また、この場合、突起12
の先端面の曲率半径(R11)は図10に示すようにR
20mm以上の球面としてもよいが、これまでの実施例
より、平面としてもよいことは勿論である。
【0078】そして、この実施例7を含めてこれらの実
施例5〜7では。電極材料としてタフピッチ銅を用いた
場合を示したが、そのほか、実施例5〜7のいずれにお
いても、このタフピッチ銅とほぼ同程度の電気的、物理
的特性をもつ無酸素銅を用いても、同様の効果を得るこ
とができる。
【0079】また、これらの材料に限定されることな
く、電極の電気伝導度が97 IACS%以上で、か
つ、200℃以下ではビッカース硬さがHv80以上、
400℃以上ではビッカース硬さがHv30以下となる
特性を有する材料であればよく、例えば、純銅をベース
に微量のAu,Ag,Ni,Zn,Co,Fe,V,
S、等をそれぞれ単独または複合して添加して調整した
合金であってもよい。
【0080】さらにまた、突起12の形成方法は、一般
の切削加工の他、転造や冷間鍛造など、種々の方法を用
いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例によるR型の抵抗スポッ
ト溶接用電極の先端部の形状を示す側面説明図(図1の
(A))および拡大説明図(図1の(B))である。
【図2】 電極先端の被溶接材料表面との接触形状を
(A)(B)に分けて示す説明図である。
【図3】 本発明の第2実施例の発明例4によるR型の
抵抗スポット溶接用電極の打点初期の溶接強度特性を示
す説明図である。
【図4】 本発明の第3実施例によるRF型の抵抗スポ
ット溶接用電極の先端部の形状を示す側面説明図(図4
の(A))および拡大説明図(図4の(B))である。
【図5】 本発明の第4実施例によるR型の抵抗スポッ
ト溶接用電極の先端部の形状を示す側面説明図(図5の
(A))および拡大説明図(図5の(B))である。
【図6】 本発明の第5実施例によるピンペル型の抵抗
スポット溶接用電極の先端部の形状を示す側面説明図で
ある。
【図7】 本発明の第5実施例による電極形状とした場
合の連続打点性能を示すグラフである。
【図8】 本発明の第5実施例による電極形状とした場
合の連続打点時の電極先端の被溶接材料表面との接触形
状を示す説明図である。
【図9】 本発明の第6実施例によるピンペル型の抵抗
スポット溶接用電極の先端部の形状を示す側面説明図で
ある。
【図10】 本発明の第7実施例によるピンペル型の抵
抗スポット溶接用電極の先端部の形状を示す部分破断側
面説明図である。
【図11】 従来のR型の抵抗スポット溶接用電極の先
端部の形状を示す側面説明図である。
【図12】 従来のR型の抵抗スポット溶接用電極の連
続打点後の電極先端での突起形成状態を示す側面説明図
である。
【図13】 従来のR型の抵抗スポット溶接用電極の打
点初期の溶接強度特性を示す説明図である。
【図14】 従来のピンペル型の抵抗スポット溶接用電
極の先端部の形状を示す側面説明図である。
【図15】 従来のピンペル型の抵抗スポット溶接用電
極の連続打点後の電極の変形状態を示す側面説明図であ
る。
【符号の説明】
1 R型の抵抗スポット溶接用電極 2 切り欠き 3 平坦部 4 平面状部 5 球面状部 D R型の抵抗スポット溶接用電極先端の円環状部の
直径(4.5√tmm〜6√tmm) d R型の抵抗スポット溶接用電極先端の平面状部の
直径(4√tmm〜6√tmm) d R型の抵抗スポット溶接用電極先端の球面状部の
直径(4√tmm〜6√tmm) h R型の抵抗スポット溶接用電極先端の切り欠きの
深さ(0.1tmm〜0.3tmm) R R型の抵抗スポット溶接用電極先端の曲率半径
(R8mm〜R40mm) r 球面状部の曲率半径(R20mm以上) 11 ピンペル型の抵抗スポット溶接用電極 12 突起 13 受圧平坦部 d11 突起の直径(4.5√tmm〜6√tmm) D11 受圧平坦部の外径((d11+1)mm〜(d
11+5)mm) h11 突起の高さ(0.1√tmm〜0.3√tm
m) R11 突起の先端の球面曲率半径(R20mm以上)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極の電気伝導度が97 IACS%以
    上で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さがHv8
    0以上、400℃以上ではビッカース硬さがHv30以
    下となる高温硬度特性を有した電極材料を用いてなるR
    型の抵抗スポット溶接用電極において、電極先端に、被
    溶接材料の薄板側の板厚をtmmとしたときに、直径
    (D)が4.5√tmm〜6√tmmの円環状部の外
    側に深さ(h)が0.1tmm〜0.3tmmとなる
    切り欠きを形成したことを特徴とするアルミニウム系被
    溶接材料の抵抗スポット溶接用電極。
  2. 【請求項2】 R型の抵抗スポット溶接用電極の先端の
    曲率半径(R)がR8mm〜R40mmである電極
    に、直径(D)が4.5√tmm〜6√tmmの円環
    状部の外側に深さ(h)が0.1tmm〜0.3tm
    mとなる切り欠きを形成したことを特徴とする請求項1
    に記載のアルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接
    用電極。
  3. 【請求項3】 R型の抵抗スポット溶接用電極の先端の
    形状が、被溶接材料の薄板側の板厚をtmmとしたとき
    に、電極先端に直径(d)が4√tmm〜6√tmm
    の平面状部を有し、かつ、その外周部は曲率半径
    (R)がR8mm〜R40mmのR形状である電極先
    端に、直径(D)が4.5√tmm〜6√tmmの円
    環状部の外側に深さ(h)が0.1tmm〜0.3t
    mmとなる切り欠きを形成したことを特徴とする請求項
    1に記載のアルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶
    接用電極。
  4. 【請求項4】 R型の抵抗スポット溶接用電極の先端の
    形状が、被溶接材料の薄板側の板厚をtmmとしたとき
    に、電極先端部分の直径(d)が4√tmm〜6√t
    mmの範囲内で曲率半径(r)がR20mm以上の球
    面状部を有し、かつ、その外周部が曲率半径(R)が
    R8mm〜R40mmのR形状である、少なくとも二つ
    以上の複合球面で構成される電極先端に、直径(D
    が4.5√tmm〜6√tmmの円環状部の外側に深さ
    (h)が0.1tmm〜0.3tmmとなる切り欠き
    を形成したことを特徴とする請求項1に記載のアルミニ
    ウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接用電極。
  5. 【請求項5】 R型の抵抗スポット溶接用電極の材質が
    タフピッチ銅であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載のアルミニウム系被溶接材料の抵抗スポッ
    ト溶接用電極。
  6. 【請求項6】 R型の抵抗スポット溶接用電極の材質が
    無酸素銅であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載のアルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶
    接用電極。
  7. 【請求項7】 電極の電気伝導度が97 IACS%以
    上で、かつ、200℃以下ではビッカース硬さがHv8
    0以上、400℃以上ではビッカース硬さがHv30以
    下となる高温硬度特性を有した電極材料を用いてなると
    ともに電極先端に突起を設けたピンペル型の抵抗スポッ
    ト溶接用電極において、電極先端の形状が、被溶接材料
    の板厚をtmmとしたときに、直径(d11)が4.5
    √tmm〜6√tmmで高さ(h11)が0.1√tm
    m〜0.3√tmmとなる突起を設け、かつ、突起の直
    径(d11)をd11mmとしたときに、突起の外周部
    に、外径(D11)が(d11+1)mm≦D11mm
    ≦(d11+5)mmとなる受圧平坦部を形成したこと
    を特徴とするアルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット
    溶接用電極。
  8. 【請求項8】 突起の先端形状が平面であることを特徴
    とする請求項7に記載のアルミニウム系被溶接材料の抵
    抗スポット溶接用電極。
  9. 【請求項9】 突起の先端形状が球面であることを特徴
    とする請求項1に記載のアルミニウム系被溶接材料の抵
    抗スポット溶接用電極。
  10. 【請求項10】 突起の先端の曲率半径(R11)がR
    20mm以上の球面であることを特徴とする請求項9に
    記載のアルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接用
    電極。
  11. 【請求項11】 突起の角部または外壁部と、受圧平坦
    部とを適宜な曲率半径をもつ曲面でつないだ形状とした
    ことを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載
    のアルミニウム系被溶接材料の抵抗スポット溶接用電
    極。
  12. 【請求項12】 ピンペル型の抵抗スポット溶接用電極
    の材質がタフピッチ銅であることを特徴とする請求項7
    ないし11のいずれかに記載のアルミニウム系被溶接材
    料の抵抗スポット溶接用電極。
  13. 【請求項13】 ピンペル型の抵抗スポット溶接用電極
    の材質が無酸素銅であることを特徴とする請求項7ない
    し11のいずれかに記載のアルミニウム系被溶接材料の
    抵抗スポット溶接用電極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101432091B1 (ko) * 2014-03-14 2014-08-22 한양대학교 산학협력단 스폿 용접용 다중 가압 전극
JP2018523581A (ja) * 2015-08-17 2018-08-23 グレンツェバッハ・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー 金属シートを高サイクルレートで低抵抗溶接するための装置及び方法

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