JPH10223965A - 可飽和吸収体により受動的にスイッチングされる固体マイクロレーザーおよびその製造方法 - Google Patents
可飽和吸収体により受動的にスイッチングされる固体マイクロレーザーおよびその製造方法Info
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Abstract
ングされるマイクロレーザーにおいては、ドーパントを
なす2+ イオンの導入に際して電荷補償する必要があっ
た。 【解決手段】 マイクロレーザーキャビティ10が、−
少なくとも1.5〜1.6μmの波長範囲で発光する固
体活性媒質2と、−CaF2:Co2+、 あるいは、Mg
F2:Co2+、あるいは、SrF2:Co2+ 、あるい
は、BaF2:Co2+、あるいは、LMA:Co2+、等
の組成を有する可飽和吸収体4と、を具備して構成され
ている。
Description
ザー、および、固体マイクロレーザーのためのキャビテ
ィに関するものである。さらには、そのようなキャビテ
ィの製造方法に関するものである。
の積層構造にある。活性レーザー媒質は、150〜10
00μmといった限られた厚さ、および、小さなサイズ
(数mm2) の材料により構成されている。この媒質上
には、直接的に、誘電性キャビティミラーが成膜され
る。この活性媒質は、マイクロレーザー上に直接組み付
けられたあるいは光ファイバによりマイクロレーザーに
接続されたIII−Vレーザーダイオードにより、ポンピン
グすることができる。マイクロエレクトロニクス的手段
を使用した集中生産ができれば、そのようなマイクロレ
ーザーを、非常に安価に大量生産することができる。
計測、および、遠隔制御と同じくらい幅広い分野におい
て、多数の応用を有している。
Wのパワーで、連続的に発光する。しかしながら、上記
応用の大部分は、10-8〜10-9秒にわたって供給され
る数kWのピークパワー(瞬時パワー)を要求する。こ
の場合、平均パワーは、数十mWである。固体レーザー
においては、そのような高ピークパワーは、固体レーザ
ーを10〜104 Hzの周波数のパルスモードで動作さ
せることにより得ることができる。この目的のために、
例えばQスイッチのような、周知のスイッチング方法が
使用される。
イッチングに際しては、時間的に変化するロスが導入さ
れる。この時間的に変化するロスは、一定時間の間にわ
たってレーザー効果を阻止する。この間、ポンピングエ
ネルギーは、ゲイン材料において励起レベルに貯蔵され
る。このようなロスは、意図した瞬間において、突然減
少する。これにより、貯蔵されたエネルギーが、非常に
短い時間に供給される(巨大パルス)。このようにし
て、高ピークパワーが得られる。
スの値は、使用者により(例えば、光学的手段、音響光
学的手段、または、回転キャビティミラーを使用して、
ビームの経路またはビームの偏向状態のいずれかを変更
することにより)外部から制御される。貯蔵時間、キャ
ビティの開放時間、および、繰返し率(repetitionrat
e)は、個別に選択することができる。しかしながら、
この方法は、エレクトロニクスの適用を必要とし、レー
ザーシステムを複雑なものとしてしまう。能動的にスイ
ッチングされるマイクロレーザーは、欧州特許724
316に記載されている。
ャビティ内には、可飽和吸収体(S.A.)として公知
の材料の形態で、様々なロスが導入される。可飽和吸収
体は、レーザー波長において大いに吸収性であり、低パ
ワー密度である。可飽和吸収体は、パワー密度がS.
A.飽和強度と称されるあるしきい値を超えたときに
は、実質的に透明となる。
ザーは、欧州特許653 824に記載されている。
ピングされた、または、エルビウム−イッテルビウム
(Er−Yb)がコドーピングされた、Y3Al5O12、
LaMgAl11O19、YVO4、 Y2SiO5、YLiF
4、 あるいは、GdVO4 の中から選択されたベース材
料により構成することができる固体活性媒質と、−液相
エピタキシーにより固体活性媒質上に直接的に成膜され
るとともに、固体活性媒質のベース材料と同じベース材
料から構成されてEr3+イオンがドーピングされた可飽
和吸収体と、を備えたマイクロレーザーについて、詳細
に開示している。
波長において発光を得ることができる。このような発光
波長は、とりわけ光学的通信の分野においては、重要で
ある。この分野における特定の応用に関しての多様性
は、この波長で発光し得るあるいはこの波長に近似した
波長で発光し得る他のマイクロレーザー源を要求するこ
とがある。
o氏他による Optics Letters, vol.20, No.3, pp339-3
41, 1995における”Co2+:YSGG saturable absorber Q-s
witch for infrarederbium lasers”と題する文献中に
は、Co2+:Y3Sc2Ga3O12からなる可飽和吸収体
およびCo2+:Y3Al5O12からなる可飽和吸収体を利
用して受動的にスイッチングされるレーザーが開示され
ている。すなわち、Co2+でドーピングされたYAGま
たはYSGGをベースとする可飽和吸収体である。しか
しながら、化合物の中性を維持するために、2+ イオン
の導入に際しては、基板を4+ イオン(4回正に帯電さ
れている)で電荷補償する必要がある。この電荷補償の
問題は、M.B.Carmago氏他による文献に記載
された結晶がまず固体で製造され、その後、部分にカッ
トされるという点において、解決が困難である。さら
に、上記文献に記載されている結晶製造方法(チョクラ
ルスキー法)においては、安定性の問題から、マトリク
ス中に導入し得るドーパント濃度に制限がある。最後
に、上記文献は、大きな繰返し率で動作するための具体
的な構成を、何ら与えてはいない。
に、本発明は、1.5μmを超える赤外範囲における少
なくとも1つの波長で発光するとともに受動スイッチン
グプロセスによってパルスビームを供給する、一体型固
体マイクロレーザーに関するものである。このようなデ
バイスは、好ましくは、大きな繰返し周波数で動作す
る。マイクロレーザーは、少なくとも2つの材料から、
とりわけ、固体活性媒質と可飽和吸収体媒質とから、形
成される。ここで、可飽和吸収体媒質は、可飽和吸収体
として機能する、すなわち、自己変調型のロス変調器と
して機能する。
mの波長範囲で発光する固体活性媒質と、−CaF2:
Co2+、あるいは、MgF2:Co2+、あるいは、Sr
F2:Co2+ 、あるいは、BaF2:Co2+、あるい
は、 La0.9Mg0.5-xCoxAl11.433O19、あるい
は、YAlO3:Co2+、あるいは、 YAl5-2xCox
SixO3、あるいは、Y3Al5-x-yGaxScyO12:C
o2+、あるいは、Y3Al5-x- y-2zGaxScyCozSi
zO12、あるいは、Y3-xLuxAl5O12:Co2+、 あ
るいは、 Y3-xLuxAl5-2yCoySiyO3、あるい
は、 Sr1-xMgxLayAl12-yO12:Co2+(また
は、Sr1-xMgx-yCoyLazAl12-zO12、ただし、
0<y<x)の組成を有する可飽和吸収体と、を具備す
るマイクロレーザーキャビティに関するものである。こ
れらすべての可飽和吸収体組成であると、例えば分子ビ
ームエピタキシーやゾル−ゲル法によって、薄膜の形態
で可飽和吸収体部材を得ることができる。フィルムは、
固体状の場合よりも、容易に押圧することができる。
2+、SrF2:Co2+ 、BaF2:Co2+、あるいは、
La0.9Mg0.5-xCoxAl11.433O19 の組成の場合に
は、ドーパントとしてコバルトを導入した場合であって
も、電荷補償を行う必要がない。したがって、可飽和吸
収体は、例えば1〜200μmの厚さ(例えば5〜15
0μm)のフィルムとして得ることができる。
ズを設けることができる。マイクロレンズは、キャビテ
ィを安定化させることができ、マイクロの動作しきい値
を低下させることができる。
性媒質に対して、次のような様々な方法で結合すること
ができる。 −光学的接着剤または樹脂ビーズを使用した組立。 −フィルムの形態(例えば、Co2+がドーピングされた
ゾル−ゲルフィルム、または、Co2+がドーピングされ
たエピタキシーフィルム)での成膜。 −まず、レーザー材料ではない基板に対して成膜を行
い、次に、この基板ごと増幅媒質に対して組み付け、そ
の後、基板を除去する、といったような、上記2つの方
法の組合せ。この場合、基板は、マイクロレーザーキャ
ビティの一方のミラーを予め有していても良い。
なるタイプの材料とすることができる。 −可飽和吸収体イオンがドーピングされた結晶(例え
ば、Co2+がドーピングされたLMA)。 −例えば、応力性が適合したマトリクスをなすレーザー
結晶上に液相エピタキシーによって成膜された、可飽和
吸収体イオンがドーピングされた単結晶フィルム(例え
ば、LMA:Co2+、あるいは、CaF2:Co2+、あ
るいは、MgF2:Co2+、あるいは、SrF2:Co2+
、あるいは、BaF2:Co2+)。 −レーザー材料上に成膜されるとともに、Co2+可飽和
吸収性イオンがドーピングされた、ゾル−ゲルフィル
ム。
クロレーザーキャビティは、大きな繰返し周波数(≧1
00または200Hz)で動作することができる。
製造方法に関するものである。
して、非制限的な実施形態を例にとって、詳細に説明す
る。
概略的に示す図である。図2は、本発明による他のマイ
クロレーザー構造を概略的に示す図である。図3および
図4は、本発明によるマイクロレーザーの製造ステージ
における構造を示す図である。
クロレーザーキャビティは、図1に示されており、固体
活性媒質2および可飽和吸収体4を備えている。これら
2つの部材は、レーザーキャビティをシールしている2
つのミラー6、8の間に配置されている。参照符号10
は、キャビティ全体を示しており、符号12および14
は、それぞれ、マイクロレーザーキャビティのポンピン
グビーム、および、発光ビームを示している。
れていないキャビティポンピング手段と組み合わされて
いる。
5μmのレーザー発光に対しては、エルビウム(Er)
でドーピングされている。この材料は、例えば、YAG
(Y3Al5O12)、LMA(LaMgAl11O19)、Y
SO(Y2SiO5)、YSGG(Y3Sc2Ga
3O12)、 GdVO4、 SYS(SrY4(SiO4)3
O)、CAS(Ca2Al2SiO7)、 等の中から選択
することができる。この選択は、いくつかの選定基準に
基づいて行われるが、想定される応用にも依存する。こ
のような選定基準には、次のようなものを挙げることが
できる。 −制限された材料厚さ(<1mm)を維持したままポン
ピング効率を高めるために、ポンピング波長(例えば、
約980nmで発光するIII−Vレーザーダイオード)に
おける吸収係数が大きいこと。 −レーザーダイオードの波長安定性の問題を解決して、
レーザーポンピングダイオードの選択および電気的制御
を単純化するために、ポンピングビームの波長における
吸収バンドが広いこと。 −高効率および高出力パワーを得るために、実効誘導発
光断面積が大きいこと。 −単一周波数レーザーを容易に得るために発光バンド幅
が狭いこと、あるいは逆に、周波数選択可能レーザー発
光を得るために発光バンド幅が広いこと。 −材料の機械加工を単純化するために、また、ポンピン
グの吸収によって発生する熱を良好に排出することによ
る不利な熱効果を制限するために、熱的機械的特性が良
好であること。 −高エネルギー貯蔵のために励起状態での寿命が長いこ
と、あるいは、高速スイッチングのために寿命が短いこ
と。 −1つのレーザー結晶でもって最大数のマイクロレーザ
ーを同時にかつ集中的に製造し得るよう、大きなサイズ
の材料とし得ること。
たす公知材料は存在しない。しかしながら、公知材料の
中で、特にNd3+ドーピングの場合に、マイクロレーザ
ーの動作に特に適用される材料としては、次のようなも
のがある(数百マイクロ秒の程度の寿命をもつもの)。 −YVO4。 この材料は、良好な吸収係数、広い吸収バ
ンド、良好な実効誘導発光断面積を有している。しか
し、熱伝導度が小さく、小さなサイズでしか得られず、
また、脆性を有している。 −YAG。この材料は、吸収係数および実効誘導発光断
面積が平均的であり、発光および吸収バンド幅が狭い。
しかし、大きなサイズで利用でき、良好な熱伝導度を有
している。 −LMA。この材料は、吸収係数および実効誘導発光断
面積が小さい。しかし、発光および吸収バンド幅が広
く、大きなサイズで利用できる。しかし、熱伝導度が小
さい。
0.9%の酸化物のドーピング)およびイッテルビウム
(15〜20%の酸化物のドーピング)でドーピングさ
れたリンガラス(phosphate glass)である。
は、例えば、エルビウム(Er)またはクロム(Cr)
またはエルビウム−イッテルビウムコドーピング(Er
+Yb)またはエルビウム−イッテルビウム−セリウム
コドーピング(Er+Yb+Ce)といった活性イオン
が選択される。エルビウムだけを使用したドーピングと
比較して、Er+Ybのコドーピングは、ポンピングエ
ネルギーを、より多く吸収することができる。この場
合、Ybイオンは、ポンピングビームを吸収して、その
吸収したエネルギーをErイオンへと転送する。
1.5μm付近の波長に発光バンドを有している。この
バンドは、幅が広く、ガラスの場合には、25nmの幅
となる。このバンドは、エルビウムイオンでドーピング
されたマトリクスの関数として、多少、広くしたり、変
位させたりすることができる。よって、YAGの場合に
は、バンドは、1.64μm付近を中心としている。
は、正確な発光波長を有している。ただし、その発光波
長は、上記バンド内において変化する。よって、Er−
Ybでドーピングされたガラスの場合には、1.53〜
1.58μmの波長が観測されている。これは、レーザ
ーの正味のゲインがポンピングパワーにより変化するこ
とおよびゲインの最大値が変位することによって説明さ
れる。
吸収によるロスを差し引くことにより、得られる。エル
ビウムイオンは、3準位レーザーシステムをもたらす。
このことは、レーザー媒質が波長においてゲインを有し
ていることのみならず、レーザー媒質がその同じ波長に
おいて吸収によるロスを有していることも意味してい
る。レーザーが動作する際には、レーザー媒質の部分に
おいて、ロスもゲインも同時に存在している。しかしな
がら、これら2つの現象は、動作波長の関数として、強
度を変化させるものである。これらは、レーザーのパラ
メータにも依存する。よって、ある状況下(ポンピング
パワー、レーザー材料の長さおよび密度、ミラーの透過
性、および、キャビティのロスにより決められる)にお
いては、正味のゲインが、与えられた波長に対する他の
状況よりも小さくなることが起こり得る。他の状況にお
いては、最大の正味ゲインを示す波長が変化する。特
に、ポンピングパワーを変化させることにより、最大ゲ
イン波長を変化させることができる。
は、欧州特許653 824を参照することができる。
この文献中には、単一モード動作に関してのレーザー媒
質の典型的な厚さが、また、厚さとモード数との関係
が、与えられている。
ら選択することができる。
2(CaF2:Co2+)、あるいは、同族化合物:MgF
2:Co2+、SrF2:Co2+、BaF2:Co2+。
3または0.15%)かつ1%よりも少ない(例えば
0.4%)濃度で、コバルトがドーピングされたLMA
(LaMgAl11O19)系化合物。La0.9Mg0.5Al
11.433O19の組成のLMAに対して0.3%のCo2+を
ドーピングすると、ドーピング後における組成は、La
0. 9Mg0.4985Co0.0015Al11.433O19 となる。ドー
ピング後の材料の一般式は、La0.9Mg0.5-xCoxA
l11.433O19 である。理論通りの組成のLMA(La
MgAl11O19という組成)の材料から始めることもで
き、この場合のドーピング後の組成は、LaMg1-xC
oxAl11O19となる。この付近で組成をある程度変化
させることが可能である。
gxLayAl12-yO19 (すなわちASL)。ドーピン
グにより、SrAl12O19とLaMgAl11O19との固
溶体であるこの化合物において、コバルトイオンがマグ
ネシウム(Mg)イオンと置換する(ドーピング後の材
料の組成は、0<z<xとして、 Sr1-xMgx-zCoz
LayAl12-yO19)。
合物(すなわち、YAlO3:Co2+)。
する、Co2+がドーピングされたYAG。Si4+イオン
は、電荷補償を行うことができる。
グされた固溶体。このマトリクスは、YAGから派生し
たガーネットである(Y3Al5O12)。アルミニウム
(Al)イオンは、ガリウム(Ga)イオンまたはスカ
ンジウム(Sc)イオンにより、順次置換される(Y3
Al5-x-yGaxScyO12)。他の可能な固溶体は、イ
ットリウムを、ルテチウムで置換することにより得ら
れ、その組成は、Y3-xLuxAl5O3である。これもC
o2+でドーピングすることができる。ドーピング後の材
料の組成は、それぞれ、Y3Al5-x-y-2zGaxScyC
ozSizO12 、および、Y3-xLuxAl5-2yCoySi
yO3である。
は、1.5μm付近に広い吸収バンドを有している。こ
のバンドの幅およびその波長位置は、マトリクスに依存
する。しかし、バンドは、常に1.5μm付近のままで
あり、少なくとも1.5〜1.6μmである。
は、選択されたマトリクスにおいて、いくぶん容易に、
交換される。LMAに関しては、Mg2+イオンを含有す
るこの材料は、電荷補償なしに、コバルトイオンで置換
することができる。同じ状況は、CaF2、MgF2、S
rF2、および、BaF2においても、またASLにおい
ても起こる。他の化合物については、電荷補償を行う。
または分子ビームエピタキシーにより、あるいは、ゾル
−ゲル法により、薄膜の形態で成膜することができる。
引上(これに関しては、例えば1990年11月12日
のParis VI University, pp 43-48 におけるC.Bor
el氏の説を参照することができる)により、固体の形
態で得ることができる。
4年4月28日のINSA Toulouse,pp 57-60,64-76におけ
るE.Daran氏の説に記載されている。
rated Optical Circuits, p 303,1992という文献に記載
されている。
シーによる可飽和吸収体フィルムの製造方法に関しての
詳細な情報を記載している。例えば、コバルトがドーピ
ングされたフィルムを得るに際しては、次の化合物を備
えたバスを使用することができる。すなわち、 −Pb/B:12 −Al/Y=4(Y3Al5O12相の形成) −コバルトが容易にアルミニウムと置換することによ
り、出発時点においてAl/Co=10
めに、酸化状態のシリコンSiO2が、バス中に導入さ
れる。シリコンは、Si4+によってCo2+の電荷を補償
し、2個のアルミニウムイオンAl3+と置換する。シリ
コンのモル濃度は、コバルトのモル濃度と同じである。
は、エピタキシーフィルム)においては、可飽和吸収体
フィルムの厚さは、固体状可飽和吸収体の場合よりも、
ずっと薄くすることができる。よって、レーザー動作の
ための適正な吸収係数を得るためには、数ミクロンから
約百ミクロンで十分である。したがって、このような制
限された厚さのために、マイクロレーザーの全体寸法
は、小さいままである。とりわけ、レーザー媒質がフィ
ルムの成膜のための基板として機能している場合には、
マイクロレーザーの全体寸法は、小さいままである。
EO'92, paper CWG33, p282(Conf.on Laser and Electro
nics, Anaheim, USA, May 1992) という文献において説
明されているように、レーザー媒質の表面の透明材料
(シリカ、等)において、マイクロレンズのアレイを製
造することができる。このようなマイクロレンズの典型
的な寸法は、直径が百〜数百ミクロンであり、曲率半径
が数百ミクロン〜数ミリメートルである。このようなマ
イクロレンズは、平面−凹面タイプからなる”安定”キ
ャビティの製造のために使用される(”平面−平面”キ
ャビティは、安定ではない)。光学的ポンピングの場合
には、マイクロレンズは、また、ポンピングビームの焦
点合わせを行うことができる。
に、1つまたは複数の可飽和吸収体層を備えた活性媒質
が、2つのミラー6、8間に配置される。公知プロセス
によって成膜された入力ミラーは、好ましくは、二色性
ミラー(レーザー波長において最大反射(100%にで
きるだけ近い)を有するとともに、ポンピング波長(通
常、Erがドーピングされた材料に対しては、約980
nm)において最大透過(>80%)を有する)であ
る。出力ミラーは、また、二色性タイプである。しか
し、出力ミラーは、レーザービームを数%透過させるこ
とができる。
まり、異なる部材どうしの光学的軸合わせが不要である
ということである。また、活性媒質が活性レーザーイオ
ンと可飽和吸収体イオンとでコドーピングされるといっ
た構造に関連する問題点を避けることができる。すなわ
ち、活性媒質と可飽和吸収体媒質とが分離されているこ
とにより、これら2つの媒質の厚さやイオン濃度を、互
いに独立に選択して規定することができる。よって、同
じものに対して、設計の自由度が増大する。
ましくは、光学的ポンピングである。そこで、980n
mのレーザーダイオードが、想定される波長範囲に対し
ては、好適である。
グ用レーザーダイオードを収容ことを意図した機械的ボ
ックス内に配置することができる。また、一方はマイク
ロレーザーキャビティのためのボックス、他方はポンピ
ング用レーザーダイオードのためのボックス、といった
2つの個別のボックスを準備することもできる。この場
合、両方のボックスは、各ボックスに設けられたコネク
タを利用して、光ファイバによって接続される。このよ
うな構成は、欧州特許653 824に図示されてい
る。
ーザーキャビティの製造方法に関するものである。この
製造は、すべてのステージが大量生産に適合した、以下
のステージにより行うことができる。本方法は、可飽和
吸収体のタイプに応じて、異なる。可飽和吸収体は、レ
ーザー材料上に成膜されたフィルムの形態(ケース
A)、薄いストリップの形態とされかつレーザー材料に
連結された固体材料の形態(ケースB)、または、これ
ら2つの技術の組合せすなわち中性基板(例えば、シリ
カ)上へのフィルム成膜およびレーザー材料への組付
(ケースC)、とすることができる。この場合、基板
は、公知のマイクロエレクトロニクス的方法(例えば、
中間リフトオフ層のエッチング)を使用して除去するこ
とができる。
することができる。
ー材料を選択する。異なる可能な材料(YVO4、 YS
O、YAG、LMA、等)、および、これら材料の選定
基準については、既に説明した通りである。
結晶を調節するというステージである。レーザー結晶が
配向され、例えば直径が25mm、厚さが0.5〜5m
mのストリップにカットされる。異方性結晶材料の場合
には、結晶軸に応じてカットされる。カットには、例え
ば、ダイヤモンドブレードソーを使用することができ
る。
2つの目的をもって、上記ストリップを研磨する。 −1つの目的としては、カッティングに起因する表面硬
化層を除去することである。 −他の目的としては、ストリップの厚さを、マイクロレ
ーザーの仕様をわずかに超える程度とすることである。
活性媒質の厚さは、ある種のマイクロレーザー特性(ス
ペクトルの幅、および、長さ方向モードの数)を規定す
るパラメータである。最終厚さに近い厚さにまで研磨さ
れたストリップは、さらに、光学的品質にまで、両面が
精密研磨される。
体を作製する。
プに対応して、いくつかのタイプの作製方法を行うこと
ができる。
1の構成)〕 4A1)成膜されるべき材料の化学的処理(例えば、
Q.He氏他によるSPIE,vol. 1794, Integrated Optic
al Circuits II, p 303, 1992 における”Rare Earth
Doped Aluminium Phosphate Sol-Gel Films” という文
献に記載されている方法を使用したゾル−ゲルの前駆体
形成用コロイド溶液の調製、あるいは、上記E.Dar
an氏の説(p.68)を参照したエピタキシーおよび分子
ビームエピタキシーのための溶融バスの調製)。
ルムの形態での材料の成膜(例えば、ゾル−ゲル前駆体
コロイド溶液からの成膜、可飽和吸収体材料の液相エピ
タキシーによる成膜、および、分子ジェットエピタキシ
ーによる成膜)。
すべての表面粗さを除去するための、また、成膜された
フィルムの厚さを、マイクロレーザー動作に対する所望
厚さとするための、ストリップの再研磨(1〜200μ
mの厚さ、例えば、10、50、100、150μ
m)。
術による、研磨済表面に対する空間的微小表面のエッチ
ング。このステージは、付加的には、可飽和吸収体の成
膜に先立って行うことができる。
上への二色性入力および出力ミラーの成膜。入力および
出力ミラーは、二色性複数層の成膜により得られた二色
性ミラーであることが好ましい。
表面を破壊しかねない液相エピタキシーの場合を除いて
は、ステージ4A1、4A2、4A3の前または後に行
うことができる。空間的表面の微小エッチング(4A
4)は、フィルム成膜ステージの前または後に行うこと
ができる。
においては、図1と同じ部材については、同じ符号が付
されている。可飽和吸収体は、符号18で示されてい
る。
って準備された、可飽和吸収体材料のカット。
には、平行な両表面)の研磨。
た、レーザー材料上への入力ミラーの成膜、および、可
飽和吸収体上への出力ミラーの成膜。あるいは逆に、レ
ーザー材料上への出力ミラーの成膜、および、可飽和吸
収体上への入力ミラーの成膜。
号20は、接着フィルムを示している)による、あるい
は、1996年7月17日の仏国特許出願96 089
43に記載されている方法(緊密な接触または分子接着
による組立)による、レーザー材料ストリップと可飽和
吸収体材料ストリップとの組立。この場合、ミラーがア
センブリの外側に位置するようにする。
および図4に図示されている。図3の場合には、可飽和
吸収体4は、上記のタイプのフィルム成膜方法により、
ミラーフィルム8上に、また、基板26上にさえ、予め
作製されている。基板26は、レーザービームの発光波
長において透明とすることができ、この場合には、基板
26を除去する必要はない。可飽和吸収体4−ミラー8
−基板26からなるアセンブリは、その後、活性レーザ
ー媒質2に対して、接着性コーティング30により、組
み立てられる。
チングされるべきものであって基板28上に形成されて
いるリフトオフ層24上に、作製されている。このアセ
ンブリは、接着性コーティング22を利用して、増幅媒
質2に対して連結される。その後、層24をエッチング
する。これにより、基板28を除去することができる。
そして、上記と同様にして、ミラーを形成する。
る。
クトロニクスにおいて使用されるのと同じもの)を使用
して、約1mm2 の個別のマイクロチップへとカットす
る。
グ用ダイオードを接続する。
ることも可能である。可飽和吸収体部分をレーザー材料
に対して組み付け、その後、成膜用基板を除去するため
に、従来より周知のリフトオフのような、除去方法が使
用される。
ピングされた。Co2+の量は、La0.9Mg0.5Al
11.433O19の組成のLMAにおいて、Mg2+を置換する
ための量である。コバルトドーピングにより、組成は、
La0.9Mg0.4985Co0.0015Al11.433O19となる。
結晶が、直径5mmの薄板へとカットされた。異なる厚
さのもの、すなわち、500、750、および、100
0μmのものが、作製された。できるだけプレーナであ
りかつ平行な2つの面を得るために、薄板の両面が研磨
される。これら薄板は、レーザー材料をなすYb−Er
がドーピングされたガラス薄板に対して機械的に組み付
けられる。そして、2つのミラーが設けられて、レーザ
ーキャビティが形成される。両ミラーは、ここでの使用
波長である1.5μmで動作するよう設計されている。
使用されるガラス:Er、Ybは、Kigre,USA
より入手した材料である。これは次のようなErおよび
Ybの組成を有している。すなわち、0.6〜0.8w
t%の酸化エルビウム、および、20wt%の酸化イッ
テルビウムである。0.5、0.75、1mm厚さのガ
ラス薄板が使用され、2つのプレーナかつ平行な面を得
るために、研磨された。
レーザーダイオード(Spectra Diode L
abs,USAより入手した)によりポンピングされ
る。
グ量とした他のLMA:Co材料においては、より大き
な周波数(100kHzおよびそれ以上)を得ることさ
え、できた。
マイクロレーザーを製造することができる。したがっ
て、低コストで製造することができる。これは、車等の
分野における応用に際しては、重要である。加えて、そ
のようにして得られたマイクロレーザーは、既述した利
点を有している。とりわけ、一体型であって、使い勝手
がよいことである。というのは、一体型のものの製造に
際しては、レーザーの自己軸合わせが可能であり、光学
的なセッティングや軸合わせが不要であるからである。
さらに、本発明によるマイクロレーザーであると、大き
な繰返し周波数(200Hzおよびそれ以上)を得るこ
とができる。
で、レーザー遠隔制御、レーザー微細加工およびマーキ
ング、レーザー注入(パワーレーザーの場合)、汚染物
質の検出、科学および医療計測、等、を参照することが
できる。
基づく低コスト生産という利点に加えて、マイクロレー
ザー技術と微小光学技術とを組み合わせることにより、 −マイクロレーザーの性能特性を向上させることがで
き、 −例えば、2Dネットワーク(付加的にはアドレス可能
な)の構築、マイクロライダー(風速、汚染物質等の遠
隔検出)、車のための障害物検出、レーザー遠隔計測、
コンパクトで低コストなレーザーマーキング装置といっ
た、特別の応用を意図した光学的マイクロシステムを製
造することができる。
イクロライダー、障害物検出、遠隔計測、等には、大き
なピークパワーが要求され、そのため、スイッチング動
作が必要とされる。本発明によるマイクロレーザーは、
このような応用に好適に適用できる。
マイクロレーザーは、例えば、欧州特許706 10
0、あるいは、1996年3月1日の仏国特許出願96
02616に記載されているように、時間間隔の持続
時間を計測するためのデバイスと組み合わせることがで
きる。デバイスは、また、対象物により反射された光パ
ルスを受光するための手段、このパルスの受光時点を検
出するための手段、および、マイクロレーザーからのパ
ルスの発光時点を検出するための手段を備えている。そ
のような遠隔計測は、衝突を避けるために、あるいは、
見通しの悪いときに車の運転性を補助するために、車に
搭載することができる。
す図である。
略的に示す図である。
ジにおける構造を示す図である。
ジにおける構造を示す図である。
Claims (22)
- 【請求項1】 −少なくとも1.5〜1.6μmの波長
範囲で発光する固体活性媒質と、 −CaF2:Co2+、あるいは、MgF2:Co2+、ある
いは、SrF2:Co2+、あるいは、BaF2:Co2+、
あるいは、La0.9Mg0.5-xCoxAl11.433O19、
あるいは、YAlO3:Co2+、 あるいは、YAl5-2x
CoxSixO3、あるいは、Y3Al5-x-yGaxScyO
12:Co2+、あるいは、Y3Al5-x-y-2zGaxScyC
ozSizO12、あるいは、Y3-xLuxAl5O12:Co
2+、 あるいは、Y3-xLuxAl5-2yCoySiyO12、
あるいは、Sr1-xMgxLayAl12- yO1 2:Co2+、
あるいは、Sr1-xMgx-yCoyLazAl12-zO12(た
だし、後者に限っては0<y<x)の組成を有する可飽
和吸収体と、を具備することを特徴とするマイクロレー
ザーキャビティ。 - 【請求項2】 前記可飽和吸収体が、フィルムの形態で
あることを特徴とする請求項1記載のマイクロレーザー
キャビティ。 - 【請求項3】 前記フィルムが、1〜150μmの厚さ
とされていることを特徴とする請求項2記載のマイクロ
レーザーキャビティ。 - 【請求項4】 前記フィルムが、ゾル−ゲル法により、
あるいは、分子ビームエピタキシーまたは液相エピタキ
シーにより、形成可能であることを特徴とする請求項2
または3記載のマイクロレーザーキャビティ。 - 【請求項5】 前記固体活性物質が、Y3Al5O12(Y
AG)、LaMgAl11O19(LMA)、Y2SiO
5(YSO)、GdVO4、 Y3Sc2Ga3O12(YSG
G)、SrY4(SiO4)3O(SYS)、 Ca2Al2
SiO7 (CAS)、の中から選択されたベース材料か
ら構成されているとともに、エルビウムでドーピングさ
れているまたはクロムでドーピングされているまたはエ
ルビウム−イッテルビウムでコドーピングされているま
たはエルビウム−イッテルビウム−セリウムでコドーピ
ングされていることを特徴とする請求項1記載のマイク
ロレーザーキャビティ。 - 【請求項6】 前記固体活性物質が、エルビウムおよび
イッテルビウムでコドーピングされたリンガラスであ
り、 エルビウムおよびイッテルビウムのドーピング量は、酸
化物のwt%で、それぞれ、0.5〜0.9wt%、お
よび、15〜20wt%であることを特徴とする請求項
1記載のマイクロレーザーキャビティ。 - 【請求項7】 前記キャビティが、安定型であることを
特徴とする請求項1記載のマイクロレーザーキャビテ
ィ。 - 【請求項8】 入力ミラーおよび出力ミラーを具備し、 これら2つのミラーの少なくとも一方が凹面であること
を特徴とする請求項7記載のマイクロレーザーキャビテ
ィ。 - 【請求項9】 前記レーザー材料上に直接的に形成され
たマイクロレンズを具備していることを特徴とする請求
項1記載のマイクロレーザーキャビティ。 - 【請求項10】 マイクロレーザーキャビティの製造方
法であって、 CaF2:Co2+、あるいは、MgF2:Co2+、あるい
は、SrF2:Co2+、あるいは、BaF2:Co2+、あ
るいは、La0.9Mg0.5-xCoxAl11.433O19、ある
いは、YAlO3:Co2+、 あるいは、YAl5-2xCo
xSixO3、 あるいは、Y3Al5-x-yGaxScyO12:
Co2+、あるいは、 Y3Al5-x-y-2zGaxScyCoz
SizO12、あるいは、Y3-xLuxAl5O12:Co2+、
あるいは、Y3 -xLuxAl5-2yCoySiyO12、ある
いは、 Sr1-xMgxLayAl12-yO12:Co2+、ある
いは、Sr1-xMgx-yCoyLazAl12-zO12(ただ
し、後者に限っては0<y<x)の組成を有する可飽和
吸収体を具備するマイクロレーザーキャビティを製造す
ることを特徴とする方法。 - 【請求項11】 固体活性媒質の構成材料を、所定の厚
さとすることを特徴とする請求項10記載の方法。 - 【請求項12】 前記可飽和吸収体を、フィルムの形態
とすることを特徴とする請求項10または11記載の方
法。 - 【請求項13】 前記フィルムを、1〜150μmの厚
さとすることを特徴とする請求項12記載の方法。 - 【請求項14】 前記可飽和吸収体を、エピタキシーま
たはゾル−ゲル法により製造することを特徴とする請求
項12記載の方法。 - 【請求項15】 前記可飽和吸収体を、薄いストリップ
の形態とされた固体材料から製造することを特徴とする
請求項12記載の方法。 - 【請求項16】 前記薄いストリップを、前記活性レー
ザー媒質に接着することを特徴とする請求項15記載の
方法。 - 【請求項17】 前記薄い可飽和吸収体ストリップ、お
よび、前記活性レーザー媒質を、接着または緊密接触ま
たは分子接着により組み立てることを特徴とする請求項
15記載の方法。 - 【請求項18】 前記フィルムを、前記活性レーザー媒
質上に直接的に形成することを特徴とする請求項12記
載の方法。 - 【請求項19】 前記フィルムを、予め基板上に成膜し
ておき、その後、前記レーザー媒質に対して組み付ける
ことを特徴とする請求項12記載の方法。 - 【請求項20】 その後、前記基板を除去することを特
徴とする請求項19記載の方法。 - 【請求項21】 光パルスの移動時間を計測するという
原理で動作するレーザー遠隔計測デバイスであって、 −請求項1記載のマイクロレーザーキャビティを備える
受動スイッチング型マイクロレーザーと、 −対象物により反射された光パルスを受光するための手
段、および、このパルスの受光時点を検出するための手
段と、 −前記マイクロレーザーからのパルスの放出時点を検出
するための手段と、 −マイクロレーザーパルスの前記放出時点と反射ビーム
の前記受光時点との間の時間間隔を計測するためのデバ
イスと、 を具備することを特徴とするレーザー遠隔計測デバイ
ス。 - 【請求項22】 請求項21記載の遠隔計測デバイスを
備えていることを特徴とする車。
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