JPH10221654A

JPH10221654A - コンタクトレンズ用溶液

Info

Publication number: JPH10221654A
Application number: JP9025679A
Authority: JP
Inventors: Mitsuhiro Toda; 光洋戸田
Original assignee: Seiko Epson Corp
Current assignee: Seiko Epson Corp
Priority date: 1997-02-07
Filing date: 1997-02-07
Publication date: 1998-08-21

Abstract

(57)【要約】【課題】ハードコンタクトレンズの表面に親水性を付与
し、装用感の向上したコンタクトレンズ用溶液であっ
て、なおかつハードコンタクトレンズの形状安定性にす
ぐれたコンタクトレンズ用溶液を提供する。【解決手段】水溶性カチオン化ポリマーと両性界面活性
剤を組み合わせて用いることにより、水溶性カチオン化
ポリマ−が微量でもハードコンタクトレンズの表面に親
水性化効果を与えることができ、また水溶性カチオン化
ポリマーが非常に少量であるためハードコンタクトレン
ズの形状安定性にもすぐれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ハードコンタクト
レンズ表面の親水性の付与及び付着した汚れの除去に有
用である保存剤、洗浄剤及び洗浄保存剤に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】コンタクトレンズには、主成分がメチル
メタクリレートから成るハードコンタクトレンズと、２
−ヒドロキシエチルメタクリレートから成るソフトコン
タクトレンズが広く利用されている。しかしメチルメタ
クリレートから成るハードコンタクトレンズでは角膜へ
の酸素供給不足による合併症の指摘もあり、有機シラン
化合物やフッ素含有化合物を一成分とするより高酸素透
過性のコンタクトレンズが主流に成りつつある。しかし
ながら、これらのレンズには汚れ易いという欠点があ
り、脂質、タンパク質、化粧品、塵等による汚染の為に
眼の障害を引き起こすことがある。またレンズ表面の水
濡れ性がわるく、視界の曇りや装用感の低下を引き起こ
すこともある。その上従来のハードコンタクトレンズに
比べ割れ易くコンタクトレンズの洗浄が難しいという欠
点も持つ。

【０００３】従来、レンズの洗浄には界面活性剤を主成
分とする洗浄剤でレンズに付着したタンパク質汚れや脂
質汚れを擦り洗う方法、または浸漬洗浄によって乳化・
分散する方法がある。また、固着した汚れには研磨剤入
り洗浄剤で擦り洗浄する方法や蛋白質分解酵素や脂質分
解酵素などの酵素を用いた洗浄方法も多く用いられその
有用性が確認されている。

【０００４】これらの洗浄剤・洗浄保存剤はいずれも、
コンタクトレンズの汚れ除去には有用であり、これらを
用いることで適正なレンズ管理を行うことが期待でき
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら特に高酸
素透過性ハードコンタクトレンズは素材自身が高い疎水
性を示すために、装用時に曇りが発生したり、汚れ易か
ったりして装用感が非常に悪い。これを改善するために
保存剤、洗浄剤、洗浄保存剤に親水性を付与する働きを
有する親水性化成分を配合する必要性が生じた。親水性
化の付与は親水性化成分である高分子物質の疎水性基
が、疎水性であるハードコンタクトレンズ表面に疎水結
合等によって薄膜状に吸着し、側鎖のヒドロキシ基やカ
ルボキシル基等の親水性基が外側に配向することによっ
て生じる。親水性化成分としては多糖類であるヒドロキ
シエチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロースやコ
ンディショニング作用のある界面活性剤が用いられるこ
とが多い。しかし、多糖類の場合は少量では効果が非常
に低く、また量を多くすると親水性化効果は認められる
が粘性が増加して扱いにくくなり、さらにはハードコン
タクトレンズの形状を変化させるなどの問題が起きる。
また特開平１−１５８４１２号公報には水溶性カチオン
化ポリマーを用いたコンタクトレンズの洗浄保存剤が示
されているが、この場合も少量では効果が非常に低く、
また量を多くすると親水性化効果は認められるが、その
反面吸着などによりハードコンタクトレンズの形状を変
化させ、眼刺激、アレルギー、細胞障害等の眼障害が生
じることがあり安全性の面で危険である。さらに水溶性
カチオン化ポリマー単独では洗浄効果は低く、これを補
うため他の界面活性剤を加えると溶液に曇りが生じたり
することがあり問題であった。

【０００６】そこで、本発明は、これらの問題点を解決
することを課題として鋭意研究を行い到達したものであ
る。即ち、本発明の目的は、適正なハードコンタクトレ
ンズケアが可能で、ユーザーがより安心して使用できる
コンタクトレンズ用溶液を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、水溶性カチオ
ン化ポリマーと両性界面活性剤とを組み合わせて用いる
ことで本目的が達成されることを見いだした。本発明で
用いる水溶性カチオン化ポリマーはカチオン化セルロー
ス、カチオン化ポリビニルピロリドン、カチオン化澱
粉、カチオン化グアガム、カチオン化タマリンド及びカ
チオン化ポリアクリル酸からなる群より選ばれる少なく
とも１種類以上であり、これらの水溶性カチオン化ポリ
マーを水溶液中に０．００００１〜０．０１Ｗ／Ｖ％含
有することが望ましい。さらに両性界面活性剤はアミド
アミン型、イミダゾリン型及びベタイン型両性界面活性
剤からなる群より選ばれる少なくとも１種以上であり、
これらの両性界面活性剤を０．０１〜５Ｗ／Ｖ％の割合
で含有させることにより、より効果的にハードコンタク
トレンズの表面に親水性化効果を与えることができる。
これらの成分単独では効果は低く、量を多くすると親水
性化効果は認められるがハードコンタクトレンズの形状
を変化させるなどの問題が起きる。本発明では水溶性カ
チオン化ポリマーと両性界面活性剤と組み合わせて使用
することにより、水溶性カチオン化ポリマーの必要量を
少なくすることができ、非常に少量でハードコンタクト
レンズの表面に十分な親水性化効果を与えることができ
る。本発明で用いる水溶性カチオン化ポリマーは非常に
少量であるため安全性も高く、吸着などによりハードコ
ンタクトレンズの形状を変化させることもない。また水
溶性カチオン化ポリマーは陰イオン性の物質とイオン結
合し水溶液中で不溶のミセルを形成し、溶液に曇りが発
生する場合があるが、両性界面活性剤を適度な割合で加
えることにより澄明の液体を得ることができる。さらに
両性界面活性剤の洗浄力により、ハードコンタクトレン
ズ表面に付着した汚れも除去することができ、ユーザー
がより安心して使用できる装用感の向上したコンタクト
レンズ用洗浄保存剤を提供することできる。

【０００８】本発明の洗浄保存剤は、これらの成分以外
に従来公知の成分を含むことができる。即ち、ハードコ
ンタクトレンズ上に付着し汚れを固着させているカルシ
ウムイオンや鉄イオン等の金属イオンをキレートして取
り除くことができる。ＥＤＴＡ−２Ｎａやクエン酸等の
金属キレート剤、涙液と同じ液性を保つためのリン酸と
その塩やホウ酸とその塩等のｐＨ緩衝剤、涙液と同じ浸
透圧を保つための塩化ナトリウムや塩化カリウム等の無
機塩、洗浄性を向上させるための陰イオン界面活性剤や
非イオン性界面活性剤、ヒドロキシエチルセルロースや
アルギン酸等の増粘剤、酸素や紫外線による酸化劣化を
防ぐための酢酸トコフェロールやアスコルビン酸ナトリ
ウム等の抗酸化剤、微生物汚染を防ぐための塩化ベンザ
ルコニウムやソルビン酸等の防腐・殺菌剤等を含むこと
ができる。

【０００９】本発明のコンタクトレンズ用溶液は、以上
のようにして得られた親水性化効果のある保存剤、洗浄
剤または洗浄保存剤であるため、使用時はレンズケース
に２〜３ｍｌを入れ、さらには市販の蛋白除去剤を加え
ることもでき、コンタクトレンズを浸して処理する。一
晩保存後、コンタクトレンズをレンズケースから取り出
して指の腹で軽く擦り洗いし、水道水または適当なリン
ス剤ですすいで装用可能である。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお
実施例における特性評価は以下の方法で実施した。

【００１１】１．コンタクトレンズの親水性試験本実施例で得たコンタクトレンズ用溶液２ｍｌにコンタ
クトレンズ（セイコーハードＥＸ１、セイコーコンタク
トレンズ株式会社製）を浸漬し、室温にて１２時間放置
した後、市販の接触角計を用い、コンタクトレンズ表面
の接触角を測定した。測定は液滴法にて行い、コンタク
トレンズは水道水で１５秒間すすいだ後、エアーにてブ
ロー乾燥させたものについて行った。

【００１２】２．コンタクトレンズの形状安定性試験本実施例で得たコンタクトレンズ用溶液２ｍｌにコンタ
クトレンズ（セイコーハードＥＸ１、セイコーコンタク
トレンズ株式会社製）を浸漬し、４０℃にて２週間処理
した。そして市販のラジアスコープ計を用い、コンタク
トレンズのベ−スカ−ブを測定して、浸漬前と比較し
た。

【００１３】 ○・・・変化が０．０２ｍｍ以内 △・・・変化が０．０５ｍｍ以内 ×・・・変化が０．０５ｍｍを越える３．溶液の澄明性試験本実施例で得たコンタクトレンズ洗浄親水性化剤をガラ
スバイアルビンにいれ目視で溶液の澄明性を確認した。

【００１４】 ○・・・完全に溶解し無色澄明である △・・・溶液に微かに白い曇りがある ×・・・明らかに白い曇りがある（実施例１〜６）表１に示される成分に蒸留水を加えて
７０℃で３０分加温溶解後、全量を１００ｍｌとしコン
タクトレンズ用溶液を得た。得られた溶液についてその
澄明性を確認し、さらに上記コンタクトレンズにたいす
る親水性と形状安定性について評価した。結果は表２に
示す。

【００１５】

【表１】

【００１６】

【表２】

【００１７】実施例１及び２から水溶性カチオン化ポリ
マ−を両性界面活性剤と組み合わせて使用することによ
り水溶性カチオン化ポリマ−が微量でもレンズ表面の接
触角は約８５°で親水性化効果は認められる。実施例３
〜６では十分な親水性化効果が認められる。実施例６で
はレンズの形状安定性が若干わるくなっているが、許容
できる限界と考えられる。

【００１８】（実施例７〜１２）表３に示される成分に
蒸留水を加えて７０℃で３０分加温溶解後、全量を１０
０ｍｌとしコンタクトレンズ用溶液を得た。得られた溶
液についてその澄明性を確認し、さらに上記コンタクト
レンズにたいする親水性と形状安定性について評価し
た。結果は表４に示す。

【００１９】

【表３】

【００２０】

【表４】

【００２１】実施例１〜６と同様に実施例７及び８から
水溶性カチオン化ポリマ−を両性界面活性剤と組み合わ
せて使用することにより水溶性カチオン化ポリマ−が微
量でも親水性化効果は認められる。実施例９〜１２では
十分な親水性化効果が認められる。実施例５及び６では
レンズの形状安定性が若干わるくなっているが、許容で
きる限界と考えられる。

【００２２】（比較例１〜６）表５に示される成分に蒸
留水を加えて７０℃で３０分加温溶解後、全量を１００
ｍｌとしコンタクトレンズ用溶液を得た。得られた溶液
についてその透明性を確認し、さらに上記コンタクトレ
ンズにたいする親水性と形状安定性について評価した。
結果は表６に示す。

【００２３】

【表５】

【００２４】

【表６】

【００２５】表６に示す通り、比較例１及び２からは水
溶性カチオン化ポリマー単独では親水性化効果が認めら
れず、レンズ表面の接触角は約９５°と高い値を示して
いる。また、比較例３及び４からは両性界面活性剤単独
では親水性化効果は認められない。また比較例５及び６
からは水溶性カチオン化ポリマ−単独でも量をふやすこ
とにより親水性化効果は示すがコンタクトレンズの形状
安定性があまり良くなく好ましくない。また比較例６で
は陰イオン性界面活性剤と不溶性のミセルを形成し溶液
に微かに白く曇りが見られコンタクトレンズ用の溶液と
しては好ましくない。

【００２６】

【発明の効果】本発明によるコンタクトレンズ用溶液は
ハードコンタクトレンズ表面の親水性を向上させ、装用
感の向上及び装用時の曇り発生等を防ぐ効果があり、適
切なコンタクトレンズケアが可能である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】水溶性カチオン化ポリマーと両性界面活性
剤とを含有することを特徴とするコンタクトレンズ用溶
液。
【請求項２】前記水溶性カチオン化ポリマーがカチオン
化セルロース、カチオン化ポリビニルピロリドン、カチ
オン化澱粉、カチオン化グアガム、カチオン化タマリン
ド及びカチオン化ポリアクリル酸からなる群より選ばれ
る少なくとも１種類以上であることを特徴とする請求項
１項記載のコンタクトレンズ用溶液。
【請求項３】前記両性界面活性剤がアミドアミン型、イ
ミダゾリン型及びベタイン型両性界面活性剤からなる群
より選ばれる少なくとも１種以上であることを特徴とす
る請求項１項記載のコンタクトレンズ用溶液。
【請求項４】前記水溶性カチオン化ポリマーを０．００
００１〜０．０１Ｗ／Ｖ％含有することを特徴とする請
求項１項記載のコンタクトレンズ用溶液。
【請求項５】前記両性界面活性剤を０．０１〜５Ｗ／Ｖ
％含有することを特徴とする請求項１項記載のコンタク
トレンズ用溶液。