JPH10220522A - 鉛直方向振動の制振装置 - Google Patents

鉛直方向振動の制振装置

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JPH10220522A
JPH10220522A JP3710997A JP3710997A JPH10220522A JP H10220522 A JPH10220522 A JP H10220522A JP 3710997 A JP3710997 A JP 3710997A JP 3710997 A JP3710997 A JP 3710997A JP H10220522 A JPH10220522 A JP H10220522A
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vibration
shaped tank
liquid
vertical
damping device
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Mitsuhiro Yoshimura
光弘 吉村
Koji Yamazaki
幸治 山崎
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 橋梁等の構造物に取り付けられた鉛直振動抑
制用制振装置において、摺動部をなくすことにより、装
置の耐久性の向上をはかる。 【解決手段】 下部に液体2が張られたU字型タンク1
の両上部空気室3L,3Rに、吸気弁4aL,4aRお
よび排気弁4bL,4bRを操作して空気源5から空気
を導入し液位差を形成し、空気室3L,3Rに設けた圧
力センサー7と構造物9上の加速度センサー8からの信
号を制御装置6で処理し、吸気弁4aL,4aR,排気
弁4bL,4bRを交互に開閉して構造物9の振動と9
0°遅れでU字型タンク1を振動させ、液位差の液体の
慣性力とU字型タンク1の振動とで構造物9の垂直方向
振動を強制的に抑制できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁などの大型構
造物の鉛直振動を抑制するための制振装置に関し、特に
構造物に取り付けられたU字型タンク内の液体(水)の
振動を利用して構造物の鉛直振動を抑制するようにし
た、鉛直方向振動の制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液体の振動を利用した鉛直方向振動の制
振装置として、実開平2−39071号公報に記載のよ
うなものがある。これを図9により説明すると、図9に
おいて符号01は密閉容器を示しており、この密閉容器01
の蓋部に上下面を開放された筒状体02が貫通して設けら
れ、筒状体02の内部に上下方向に摺動可能な蓋体03がば
ね体04を介して吊持されている。そして密閉容器01の内
部上方に空気層05ができるように且つ筒状体02内の蓋体
03との間に空気層が存在しないように液体(水)06が密
閉容器01内に満たされており、さらに蓋体03に重量調整
用のウェイト07が付設されて制振装置が構成されてい
る。
【0003】そして、密閉容器01に振動力が作用した場
合、蓋体03,ばね体04およびウェイト07とで構成される
機械式吸振系および液体と空気層とで構成される流体式
吸振系により、その振動を効果的に減衰する作用が行な
われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図8に示し
た従来の制振装置では、筒状体02と蓋体03との間は密閉
され且つ蓋体03は滑らかに動くことが要求されるが、密
閉度を上げれば滑動性が落ち、滑動性を上げれば密閉性
が低下するため、装置が十分な機能を発揮するための調
整が困難である。また、使用中に蓋体03が摩耗して密閉
度が落ち、装置が機能しなくなるおそれがある。
【0005】本発明は、このような課題を解決しようと
するもので、橋梁等の構造物のような比較的低振動でも
制振力が十分大きく、また上記従来の装置に見られるよ
うな摺動部をそなえておらず、したがって摩耗などによ
るトラブルのない鉛直方向用流体式制振装置を提供しよ
うとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、対象とする構
造物に固定可能なU字型タンクの左右の上部空気室に、
それぞれ吸気弁および排気弁を介して圧縮空気を交互に
給排気できるようにした流体式制振装置をそなえた鉛直
方向振動の制振装置において、上記各上部空気室にそれ
ぞれ圧力センサーを取り付けるとともに、上記構造物に
鉛直方向の加速度を検出する加速度センサーを設置し、
上記の各圧力センサーおよび加速度センサーの各出力に
基づいて、上記U字型タンクに張られた液体を所望の振
動数で振動させるべく、上記の各吸気弁および各排気弁
をそれぞれ開閉制御する制御装置および上記圧縮空気の
供給源としての空気源を設け、上記制御装置による上記
の吸気弁および排気弁の開閉制御で上記各上部空気室に
互いに異なる圧力を与えて上記U字型タンク内の液体に
液位差を与え、この液位差分の液体振動の慣性力と、同
液体振動と上記構造物に生じる振動との位相差により、
上記構造物の鉛直方向の振動を抑制するようにして課題
解決の手段としている。
【0007】また、上記U字型タンクを、断面縦長の矩
形に形成されたI字型タンクの内部を、下部の連通部を
除いて1枚の垂直隔壁で仕切って構成して課題解決の手
段としている。
【0008】さらに、上記U字型タンクを、断面縦長の
矩形に形成されたI字型タンクの内部を、互いに平行に
立設した2枚の垂直隔壁で下部の連通部を除いて仕切っ
て構成して課題解決の手段としている。
【0009】さらにまた、上記U字型タンクを、円形ま
たは角形タンクの中心部を下部の連通部を除いて円筒状
または角筒状の仕切筒で仕切って構成して課題解決の手
段としている。
【0010】本発明では、構造物上に鉛直方向の加速度
を検出するように設置された加速度センサーの情報と左
右の上部空気室に付設された各圧力センサーの情報とを
処理し、本制振装置の発生する振動が構造物の振動と同
期し、且つ位相が90°遅れるように、吸気弁および排
気弁を動かす制御装置により、各上部空気室に圧縮空気
をそれぞれ吸気弁および排気弁を介して周期的に且つ交
互に給排させることで、予め各空気室に異なる圧力を与
え、U字型タンク内の液体に与えておいた液位差分の液
体振動の慣性力と、同液体振動と構造物に生じる振動と
の位相差により、構造物の鉛直方向の振動を抑制もしく
は減衰させる作用が行なわれる。
【0011】つまり、本発明では、U字型タンクに液体
(水)を入れ、左右の上部空気室に互いに異なる圧力を
加えることで水位差を形成し、さらに吸気弁および排気
弁を制御装置のコントロールの下で開閉させて液体を振
動させ、この振動で液位差分の液体によって鉛直方向に
作用する慣性力を発生させることができ、この慣性力
と、上記振動と構造物に生じる振動との位相差とによ
り、構造物の鉛直方向振動を強制的に抑制して制振作用
を行なう。
【0012】すなわち、振動が発生すると、U字型タン
ク1では、図8に示すように、液位はから方向へ下
がろうとする。本発明は、この液位の移動を、圧縮空気
を空気室3Rへ送り込み空気室3Lから空気を排出する
ことで、強制的に加勢して、効果的な制振作用を行な
う。
【0013】液位差分の液体の重量に基づく慣性力が制
振に寄与する力(制振力)となるため、左右の上部空気
室に与える圧力の差を変えることにより液位差を変える
ことができ、ひいては制振力を変えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の実施形
態について説明すると、図1はその第1実施形態として
の鉛直方向振動の制振装置の模式縦断面図、図2は同第
2実施形態としての鉛直方向振動の制振装置の模式縦断
面図、図3は同第3実施形態としての鉛直方向振動の制
振装置の模式縦断面図、図4は同第4実施形態としての
鉛直方向振動の制振装置の模式斜視図、図5はその制御
装置の模式構造図、図6は同制御装置の作動説明図、図
7は同制御装置の回路図、図8はその鉛直方向振動の制
振装置の作用説明用模式図である。
【0015】まず、図1および図5〜7により第1実施
形態について説明する。図1において、符号1は構造物
9に取り付けられたU字型タンクを示している。そし
て、このU字型タンク1内に適量の液体(水)2が注入
されるとともに、U字型タンク1内上部に空気室3L,
3Rが形成されている。空気室3L,3Rに、圧力セン
サー7がそれぞれ設けられていて、空気室3L,3R内
の空気圧力を計測することができるようになっている。
【0016】符号5は空気源を示していて、この空気源
5と空気室3L,3Rとを連絡する空気供給路5L,5
Rにそれぞれ給気弁4aL,4aRが介設されている。
また、空気室3L,3Rには、それぞれ大気に連通する
排気弁4bL,4bRが取り付けられている。給気弁4
aL,4aRおよび排気弁4bL,4bRを総称して、
以下「開閉弁4」ということもある。
【0017】したがって、給気弁4aLを開いて空気源
5から給気弁4aLを通じて一方の空気室3Lに給気
し,排気弁4bRを開いて他方の空気室3Rから排気す
ることにより、U字型タンク1内の液体(水)2に水位
差を与えることができる。開閉弁4による空気室3L,
3Rへの給排気は、制御装置6からの指令に基づいて行
なわれる。
【0018】構造物9の制振に最適な開閉弁4の開閉パ
ターンA(後述)を求めるために、制御装置6に空気室
3L,3R内の圧力センサー7と構造物9の振動を検知
する加速度センサー8とから信号が送られるようになっ
ている。
【0019】次に、作用について説明する。なお説明を
簡単化するために、振動は正弦波であるとする。構造物
9に生じた振動は、加速度センサー8によって検知され
てその信号が制御装置6に送られる。図6の符号「a」
は構造物に生じた振動(変位表示)を、また符号「b」
は構造物に生じた振動(加速度表示)をそれぞれ示して
いる。
【0020】制御装置6では、この信号に基づいて構造
物9の振動を抑制するために、最も効果的な液体(水)
2の動き、すなわち構造物9の振動と同じ周期で且つ9
0°遅れの位相の振動(制振振動,図6の符号「d」が
制振振動の加速度を示し、符号「e」が制振振動の変位
を示す)を計算し、このような制振振動が得られるよう
に、開閉弁4に指令(開閉パターンA)を送る。
【0021】給気弁4aL,4aRおよび排気弁4b
L,4bRはそれぞれこの開閉パターンAに基づいて開
閉を繰り返し、これによりU字型タンク1内の液体
(水)2が振動し、水位差に相当する液体2の振動(こ
の振動が制振振動である)の慣性力と、この制振振動と
構造物に生じる振動との位相差とにより、構造物9の鉛
直方向の振動を抑える作用が奏させる。
【0022】次に、上記の開閉パターンAについて説明
する。図7は制御装置6の制御回路のブロック図であっ
て、この制御回路において次の演算が行なわれる。
【0023】なお、この制御装置6の制御回路により行
なう演算に使用するデータは、下記のとおりである。 (1)既定値 ms :構造物の質量 cs :構造物の構造減衰 ks :構造物のバネ剛性 mv :制振装置内の水位差分の質量 cv :制振装置内の水の減衰 kw :制振装置内の空気バネ剛性と重力バネ剛性の合
成値 Aw :水槽の断面積 (2)入力値 PH(t) :高水位側圧力センサーの出力値 PL(t) :低水位側圧力センサーの出力値 a :加速度センサーの出力値(構造物の加速度) (3)出力値 fs :構造物の固有振動数 As :構造物の変位 F :制振に必要な制御力 ΔP(t) :制御力Fを発生させるために必要な偏差圧力 A :制御力Fを発生させうる水の振動の振幅 f :制御力Fを発生させうる水の振動の振動数
【0024】次に、各ブロックでの計算内容について説
明する。 (1)振動計算ブロックでは、各センサーからの出力に
基づいて、制振に必要な制御力を算出する。すなわち、 加速度センサー8から得られる構造物9の加速度a
の時系列データをフーリエ変換することにより、構造物
9の固有振動数fsを求める。 加速度センサー8から得られる構造物9の加速度a
を2回積分して構造物の変位Asを求める。 上記の既定値および上記,の計算結果を用い
て、最適制御理論(もしくはH,PID制御など)に
より振動の予測計算を行ない、Δt秒後の制振に必要な
制御力Fを決定するとともに、その結果より水の振動数
f,振幅Aを求める。
【0025】(2)所要圧力計算ブロックでは、上記
(1)で求めた制御力Fを生じうる振動、すなわち振動
数f,振幅Aの振動をタンク1内の水に発生させるため
に必要な偏差圧力ΔP(t)を、[数1]式で求める。
【数1】 ΔP(t)=(F/2Aw)+Δp Δp=PH(t)−{P−p+ΔP(t−Δt)} (高水位側) Δp=PL(t)−{P−p+ΔP(t−Δt)} (低水位側) ここで、P,pは初期値(詳しくは後述)である。
【0026】(3)開閉パターン計算ブロックでは、上
記(1)で求めた振動数f,振幅Aを持った振動を発生
させるために、[数2]式となるように、給排気弁4の
開閉の度合いをコントロールする。
【数2】 PH(t+Δt)=P−p+ΔP(t) PL(t+Δt)=P+p−ΔP(t)
【0027】すなわち、 給排気弁の初期調整 (i) ΔP(t)>0の場合 (a) 高水位側給気弁開放、排気弁閉鎖 (b) 低水位側給気弁閉鎖、排気弁開放 (ii) ΔP(t)<0の場合 (a) 高水位側給気弁閉鎖、排気弁開放 (b) 低水位側給気弁開放、排気弁閉鎖 給排気弁の微調整 (i) PH(t+Δt)>P−p+ΔP(t)の場合 (a) ΔP(t)>0: 高水位側給気弁閉鎖、排気弁開度
小 (b) ΔP(t)<0: 高水位側給気弁開度小、排気弁閉
鎖 (ii) PH(t+Δt)<P−p+ΔP(t)の場合 (a) ΔP(t)>0: 高水位側給気弁開度小、排気弁閉
鎖 (b) ΔP(t)<0: 高水位側給気弁閉鎖、排気弁開度
小 (iii) PL(t+Δt)>P+p−ΔP(t)の場合 (a) ΔP(t)>0: 低水位側給気弁閉鎖、排気弁開度
小 (b) ΔP(t)<0: 低水位側給気弁開度小、排気弁閉
鎖 (iv) PL(t+Δt)<P+p−ΔP(t)の場合 (a) ΔP(t)>0: 低水位側給気弁開度小、排気弁閉
鎖 (b) ΔP(t)<0: 低水位側給気弁閉鎖、排気弁開度
小 なる制御が行なわれる。
【0028】ところで、この実施形態では、U字型タン
ク1内の水2の振動数はU字型タンク1中に入っている
水の量と空気室3L,3Rの圧力とに左右される。この
実施形態では、U字型タンク1を制振装置として利用す
るに際し、制振をより効果的に行なうために、U字型タ
ンク1内の水の振動数を最も起こりやすい振動数に調整
しておくことが必要となる。そのために、初期値Pが必
要となる。
【0029】また、本実施形態では、鉛直方向の制振を
行なうため、鉛直方向に水を動かす必要があり、U字型
タンク1の左右の水位が同じ場合、鉛直方向に発生する
慣性力は互いに打ち消しあってしまう。しかし、U字型
タンク1の左右に水位差を与えて振動させることによっ
て、水位差分の水による慣性力が鉛直方向に発生する。
そしてこの水位差を与えるために初期値pが必要とな
る。
【0030】このように、U字型タンク1の上部に形成
された左右の空気室3L,3Rと、空気源5あるいは大
気とを連通する給気弁4aL,4aRおよび排気弁4b
L,4bRとを制御装置6で算出された開閉パターンA
の下で開閉させて左右の空気室3L,3Rにそれぞれ圧
縮空気を給排させることで、構造物9の振動(図6の
「a」,「b」で示す振動)と同じ周期で90°遅れが
振動(図6の「d」,「e」で示す振動)モードでU字
型タンク1内の水の振動を予め与えておいた水位差分の
振動を発生させることができ、水のこの振動(制振振
動)の慣性力と、その振動と構造物の振動との位相差に
より、構造物9の鉛直方向の振動を抑制ないし減衰させ
ることができる。
【0031】この方式は、振動体である液体(水)2に
外部からの力を与えるため、従来技術に比べて少ない水
量で同等もしくはそれ以上の効果をあげることが可能で
あり、また複数基を連動させて効果を上げることも容易
である。図2に示した第2実施形態では、U字型タンク
が断面縦長(紙面垂直方向寸法が紙面平行寸法よりも十
分に長い)I字型タンク10の内部を、下部の連通部を除
いて1枚の垂直隔壁11で仕切って構成されている。そし
て、垂直隔壁11の左右に形成される空気室3L,3Rに
は、それぞれ第1実施形態のものと同様に、吸気弁4a
L,4aRおよび排気弁4bL,4bRならびに圧力セ
ンサー7,7が取り付けられている。
【0032】図3に示した第3実施形態では、U字型タ
ンクが、第2実施形態のものと同様のI字型タンク10の
内部を、下部の連通部を除いて2枚の互いに平行に立設
された垂直隔壁11, 11で仕切って形成されている。そし
てこの実施形態の場合、液体注入室として、31A,31
B,31Cの三室が形成され、各液体注入室31A,31B,
31Cの各上部に、それぞれ空気室3A,3B,3Cが形
成され、各空気室3A,3B,3Cにそれぞれ給気弁4
a,排気弁4bが接続されている。
【0033】この第3実施形態では、第1,第2実施形
態のものと同様の理由で鉛直方向の振動を抑制できるほ
か、第1,第2実施形態のものにおける水平方向の慣性
力を、中央の液体注入室31B内の水柱の振動が左右の液
体注入室31A,31C内の水柱で打ち消されることにより
(これと反対のケースもある)、なくすこと、すなわち
水平振動に対する制振も可能となる。
【0034】図4に示した第4実施形態では、円形(ま
たは多角柱)タンク13の中心部を、下部の連通部を除い
て円筒状(または多角筒状)の仕切筒21で仕切ってU字
型タタンクを形成している。
【0035】この第4実施形態のものでは、第3実施形
態のものと同様に、水平方向の慣性力をなくすこと(水
平方向振動に対する制振)もできる利点のほか、第3実
施形態のものに比べて、外側タンク用の吸気弁4aと排
気弁4bとを1つにまとめることができ、経済的であ
る。
【0036】なお、第2,第3,第4の各実施形態のも
のも、第1実施形態のものと同様の制御系をそなえてお
り、また隔壁板11,仕切隔壁21の各下端部とタンク内底
面との間に液体(水)2のスムーズな流通を阻害しない
程度の間隔が形成されていることはいうまでもない。ま
た図1〜4中の破線は電気信号の流れを示している。図
10は、制振装置のない場合の構造物の振動(a)が、
本実施形態の制振装置の使用により(b)に示すとおり
抑制された例を示している。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の鉛直方向
振動の制振装置によれば、次のような効果ないし利点が
得られる。 (1) U字型タンクに液体を入れ、左右の上部空気室に互
いに異なる圧力を加えることで液位差を形成し、さらに
吸気弁および排気弁を制御装置のコントロールの下で開
閉させて液体を振動させ、この振動で液位差分の液体に
よって鉛直方向に作用する慣性力を発生させることがで
き、この慣性力と、上記振動と構造物に生じる振動との
位相差とにより、構造物の鉛直方向振動を強制的に抑制
することができる。 (2) 液位差分の液体の重量に基づく慣性力が制振に寄与
する力(制振力)となるため、左右の上部空気室に与え
る圧力の差を変えることにより液位差を変えることがで
き、ひいては制振力を変えることができる。 (3) 構造物の制振に必要な制振力は構造物の重量に左右
されるが、本発明では上記(2)項により同一の装置にお
いて制振力を簡単に調節することが可能であるため、異
なる構造物に対しても同一の装置による制振が可能とな
る。 (4) 第3実施形態,第4実施形態の場合、鉛直方向振動
の制振と水平方向振動の制振とを行なうこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての鉛直方向振動の
制振装置の模式縦断面図。
【図2】同第2実施形態としての鉛直方向振動の制振装
置の模式縦断面図。
【図3】同第3実施形態としての鉛直方向振動の制振装
置の模式縦断面図。
【図4】同第4実施形態としての鉛直方向振動の制振装
置の模式斜視図。
【図5】同制御装置の模式構成図。
【図6】同制御装置の作動説明図。
【図7】同制御装置の回路図。
【図8】同鉛直方向振動の制振装置の作用説明用模式
図。
【図9】従来の鉛直方向振動の制振装置の模式縦断面
図。
【図10】(a)制振装置のない場合の構造物の振動を
示すグラフ。 (b)本発明の制振装置を設けられた構造物の振動を示
すグラフ。
【符号の説明】 1 U字型タンク 2 液体(水) 3,3L,3R,3I 空気室 4 開閉弁 4aL,4aR,4aI 吸気弁 4bL,4bR,4bI 排気弁 5 空気源 6 制御装置 7 圧力センサー 8 加速度センサー 9 構造物 10 I字型タンク 11 隔壁 13 円形タンク 21 仕切筒

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象とする構造物に固定可能なU字型タ
    ンクの左右の上部空気室に、それぞれ吸気弁および排気
    弁を介して圧縮空気を交互に給排気できるようにした流
    体式制振装置をそなえ、上記各上部空気室にそれぞれ圧
    力センサーが取り付けられるとともに、上記構造物に鉛
    直方向の加速度を検出する加速度センサーが設置され、
    上記の各圧力センサーおよび加速度センサーの各出力に
    基づいて、上記U字型タンクに張られた液体を所望の振
    動数で振動させるべく、上記の各吸気弁および各排気弁
    をそれぞれ開閉制御する制御装置および上記圧縮空気の
    供給源としての空気源が設けられ、上記制御装置による
    上記の吸気弁および排気弁の開閉制御で上記各上部空気
    室に互いに異なる圧力を与えて上記U字型タンク内の液
    体に液位差を与え、この液位差分の液体振動の慣性力
    と、同液体振動と上記構造物に生じる振動との位相差と
    により、上記構造物の鉛直方向の振動を抑制することを
    特徴とする、鉛直方向振動の制振装置。
  2. 【請求項2】 上記U字型タンクが、断面縦長の矩形に
    形成されたI字型タンクの内部を下部の連通部を除いて
    1枚の垂直隔壁で仕切って構成されていることを特徴と
    する、請求項1に記載の鉛直方向振動の制振装置。
  3. 【請求項3】 上記U字型タンクが、断面縦長の矩形に
    形成されたI字型タンクの内部を、互いに平行に立設し
    た2枚の垂直隔壁で下部の連通部を除いて仕切って構成
    されていることを特徴とする、請求項1に記載の鉛直方
    向振動の制振装置。
  4. 【請求項4】 上記U字型タンクが、円形または角形タ
    ンクの中心部を、下部の連通部を除いて円筒状または角
    筒状の仕切筒で仕切って構成されていることを特徴とす
    る、請求項1に記載の鉛直方向振動の制振装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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