JPH10219426A - 半導体製造プロセス用部材 - Google Patents

半導体製造プロセス用部材

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JPH10219426A
JPH10219426A JP3551397A JP3551397A JPH10219426A JP H10219426 A JPH10219426 A JP H10219426A JP 3551397 A JP3551397 A JP 3551397A JP 3551397 A JP3551397 A JP 3551397A JP H10219426 A JPH10219426 A JP H10219426A
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Matsusuke Miyasaka
松甫 宮坂
Shuhei Nakahama
修平 中浜
Hirokazu Takayama
博和 高山
Yoshihiro Niimura
恵弘 新村
Yoshio Harada
良夫 原田
Junichi Takeuchi
純一 竹内
Katsuhisa Sugimoto
克久 杉本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体製造プロセス、特にドライプロセスに
おいて使用されている各種装置および付属装置としての
給排気ファン、真空ポンプ、配管、弁類などで発生して
いるハロゲン化合物(含む原子状のハロゲン)およびS
iO2,Si34,Si,Wなどの微細な粉末状の固形
物などに起因する腐食とエロージョン損傷に対する耐久
性の高い素材を提供する。 【解決手段】 金属母材の表面近傍にアルミニウム拡散
層2を形成して、耐スパッタリング性、耐ハロゲン化合
物性および耐ブラストエロージョン性を向上させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体製造プロセス
用各種装置に適用される構成部材に関し、特に、ドライ
プロセスに適用される酸化炉、CVD装置、エピタキシ
ャル成長装置、イオン注入装置、拡散炉、反応性イオン
エッチング装置、プラズマエッチング装置、およびこれ
らの装置に付属している配管、給排気ファン、真空ポン
プ、バルブ類などに適用できる半導体製造プロセス用部
材に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造プロセスにおいては、各工程
で弗化物、塩化物をはじめとする有害ガスおよび水溶液
を扱うため、プロセスを構成する材料が甚しく腐食損耗
される問題がある。
【0003】特に半導体デバイスは、その素材が金属S
i,Ga,As,Pなどからなる化合物半導体を主体と
したもので、その製造の基本工程は、成膜、不純物の注
入、エッチング、アッシング、洗浄のプロセス等から構
成されている。また、これらの主要プロセスは、真空も
しくは減圧中で処理されるいわゆるドライプロセスによ
るものが多い。
【0004】このドライプロセスに属する装置として、
酸化炉、常圧減圧下における Chemical Vapor Depositi
on(CVD)装置、エピタキシャル成長装置、イオン注
入装置、拡散炉、反応性イオンエッチング装置、プラズ
マエッチング装置およびこれらの装置に付属している配
管、給排気ファン、真空ポンプ、バルブ類などがある。
【0005】また、これらの装置類が取扱う腐食性ガス
種としては、次のようなものがある。 弗化物:BF3,PF3,PF6,NF3,WF3,HF 塩化物:BCl3,PCl3,PCl5,POCl3,As
Cl3,SnCl4TiCl4,SiH2Cl2,SiC
4,HCl,Cl2 臭化物:HBr その他:H2S,NH3
【0006】これらのハロゲン化物を用いるドライプロ
セスでは、さらに反応の活性化を図るため、しばしばプ
ラズマ(正確には低温プラズマ)が用いられるが、プラ
ズマ環境中では、ハロゲン化合物は電離して非常に腐食
性の強い原子状のF,Cl,Br,Iなどとなるほか、
SiO2,Si34 ,Si,Wなどの微粉末状固形物が
新たに気相中に生成する。このため、給排気ファン、真
空ポンプなどの回転機能を有する装置およびその部材で
は、腐食とエロージョンによる損傷が一層強くなってい
る。
【0007】以上のようなドライプロセスにおける各種
装置およびその付属部材の腐食対策として、弗素系ある
いはエポキシ系樹脂塗料による被覆、ニッケルメッキ、
窒化などの表面処理が適用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ドライ
プロセスの各種装置で発生する腐食対策として利用され
ている弗素樹脂系およびエポキシ系樹脂塗料による被覆
は、いずれも原子状のハロゲン元素によって容易に劣化
してその機能を消失する。また、ニッケルメッキ皮膜は
炭素鋼や鋳鉄に比較すると耐食性を有するものの、メッ
キ皮膜特有のピンホールの存在は、しばしばメッキ皮膜
下の基材を腐食して、メッキ皮膜を剥離させることが多
い。
【0009】また、プラズマCVD環境中で生成しやす
いSiO2,Si34 ,Si,Wなどの微細な粉末状固
形物は、給排気ファン、真空ポンプ、バルブ類に機械的
損傷を与えるが、この有効な対策技術も確立されていな
い。
【0010】本発明は、半導体製造プロセス、特にドラ
イプロセスにおいて使用されている各種装置および付属
装置としての給排気ファン、真空ポンプ、配管、弁類な
どで発生しているハロゲン化合物(含む原子状のハロゲ
ン)およびSiO2,Si34,Si,Wなどの微細な
粉末状の固形物などに起因する腐食とエロージョン損傷
に対する耐久性の高い素材を提供することを目的とする
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明では、前記の技術
的課題を解決するため、次に示すような手段を採用し
た。すなわち、請求項1に記載の発明は、金属母材の表
面近傍にアルミニウム拡散層を形成して、耐スパッタリ
ング性、耐ハロゲン化合物性および耐ブラストエロージ
ョン性を向上させたことを特徴とする半導体製造プロセ
ス用部材である。
【0012】このような構成においては、アルミニウム
拡散層を有する被覆が、基材質と冶金的に結合するとと
もに硬質化するため、機械的衝撃を受けても剥離するこ
とがない。また、アルミニウム拡散層は基材質の種類に
よって、FeAlX,NiAlX,CoAlXなどの金属
間化合物を形成するが、これらの化合物は硬く耐エロー
ジョン性に優れるとともに、原子状のハロゲン元素を含
むハロゲン化合物に対しても強い化学的抵抗力を発揮す
る。さらにこれらの金属間化合物はプラズマ環境中にお
いて、耐スパッタリング性にも優れており、基材の長寿
命化をはかることができる。
【0013】請求項2に記載の発明は、前記アルミニウ
ム拡散層の表面層のアルミニウム濃度が15wt%以上
であり、拡散したアルミニウムが、Fe3Al, FeA
l,FeAl2,FeAl3,NiAl3,Ni2Al3
NiAl,Ni3Al,Co2Al9,Co4Al12,Co
2Al5,CoAl,CrAl7,Cr2Al11,Cr4
9,Cr5Al8,Cr2Alからなるグループから選ば
れる1種以上の金属間化合物を構成していることを特徴
とする請求項1に記載の半導体製造プロセス用部材であ
る。Alが15wt%より少ないと耐食性に乏しい。な
お、45wt%以上の拡散層の形成は技術的に困難であ
る。
【0014】請求項3に記載の発明は、前記アルミニウ
ム拡散層が不可避な不純物を含む工業用アルミニウムも
しくは珪素を2〜12wt%含むアルミニウム合金によ
って処理されたものであることを特徴とする請求項1に
記載の半導体製造プロセス用部材である。
【0015】請求項4に記載の発明は、前記母材は高炭
素金属材料であり、その表面を脱炭させた後、前記アル
ミニウム拡散層を形成したことを特徴とする請求項1な
いし3のいずれかに記載の半導体製造プロセス用部材で
ある。これにより、被処理部材が鋳鉄のように黒鉛を有
している場合には、必要に応じ、その表面を脱炭後アル
ミニウム拡散層を有する被覆処理を行うことによって、
本発明の目的を達成することができる。
【0016】請求項5に記載の発明は、前記アルミニウ
ム拡散層の表層にさらに金属アルミニウム層及び酸化ア
ルミニウム層を形成したことを特徴とする請求項1ない
し4のいずれかに記載の半導体製造プロセス用部材であ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明を実施するための具体的技
術手段とこの方法で得られたアルミニウム拡散層の作用
を説明する。
【0018】(1) アルミニウム拡散層を形成するための
表面処理法 電気アーク、可燃性ガスの燃焼炎、ガスプラズマな
どの熱源を用いた溶射法によって金属製基材上に金属A
lの皮膜を形成した後、これをAlの融点660℃以上
の温度で0.5〜3時間加熱する(溶射拡散法)。 真空容器中に金属製基材を設置した後、電子ビーム
によって金属Alを蒸発させるとともに基材表面に成膜
させ、これを真空容器中もしくは大気中で項と同様な
熱処理を行う(PVD法)。 金属Al粉末またはAl−Ni,Al−Fe,Al
−Cr,Al−CoなどのAl合金粉末とAl23の混
合粉末中に0.5〜3%の塩化アンモニウム(NH4
l)を添加し、この中に金属製基材を埋没させた後、ア
ルゴンガスまたは水素ガスを流しつつ660〜1000
℃の温度で0.5〜10時間加熱する(粉末拡散法)。 AlあるいはAl−Si合金を加熱溶融した後、こ
の中に金属基材を浸漬することによって、Al拡散層を
有する皮膜を形成する。ステンレス鋼やNi基合金など
を溶融Alめっき処理を行うと、Al濃度の高い合金層
が形成される。この合金層は脆いが、熱処理、例えば7
00〜950℃で0.5〜3時間電気炉中で加熱すると
Al濃度が低下して脆さがなくなるので好都合である。
Al−Si合金を用いるとAl拡散層中にも多少Si量
が増加するが、Si量が2〜12wt%未満であれは、
本発明の目的の妨げとはならない(溶融Alめっき法、
溶融法)。
【0019】(2) アルミニウム拡散層の作用 以上のような方法によって得られる処理層においては、
すべて基材成分とAlの冶金反応によって基材と強固に
密着したAl拡散層が形成される。粉末拡散法では、処
理層のすべてがAl拡散層から構成され、溶射拡散法、
PVD法、溶融Alめっき法では、熱処理条件によって
Al拡散層の上に金属Alが残存することがあるが、こ
の金属Al層の表面にもAl23皮膜が生成し、この皮
膜も耐食性を発揮するので、金属Al層を除去する必要
はない。
【0020】図1は、本発明の方法によって得られるA
l拡散層を有する処理層の断面を示したものである。図
中の(a)は、溶射拡散法、PVD法および溶融Alめ
っき法で得られる処理層、(b)は粉末拡散法によって
得られるそれぞれ代表的な処理層である。図中の1は金
属製基材、2はAl拡散層、3は金属Al層、4はAl
23 層である。
【0021】本発明の目的に用いる金属製基材として
は、炭素鋼、Cr鋼、Ni−Cr鋼、Ni基合金、鋳
鉄、鋳鋼などAlと冶金的反応を示す材料であればすべ
て使用することができる。なお、鋳鉄のように黒鉛を有
する材料は、予め大気中で800〜900℃、0.5〜
5時間の熱処理を行って黒鉛を除いておくと一層耐食性
に優れたAl拡散層が得られる。
【0022】なお、Al拡散層中で生成する金属間化合
物は、金属製基材成分が種類によって相違するが、概
ね、 Fe系成分:Fe3Al,FeAl,FeAl2,FeA
3 Ni系成分:NiAl3,Ni2Al3,NiAl,Ni3
Al Co系成分:Co2Al9,Co4Al13,Co2Al5
CoAl Cr系成分:CrAl7,Cr2Al11,Cr4Al9,C
5Al8,Cr2Al などが主なものである。これらの金属間化合物は、それ
ぞれの基材に比較して硬度が上昇するため、耐エロージ
ョン性が向上する特徴がある。
【0023】本発明では、Alの金属間化合物を有する
拡散層の存在を必須とするが、品質管理上は、前記金属
間化合物の種類のいかんを問わず、拡散層中のAl濃度
を規定すれば足りる。すなわち、拡散法で得られる拡散
層中のAl濃度は15〜45wt%の範囲にあるもの
が、ハロゲン化合物に対する腐食作用とエロージョンに
も強い抵抗を発揮する。Alが15wt%より少ないと
耐食性に乏しく、また45wt%以上の拡散層の形成は
技術的に困難である。他の処理法で形成されるAl層
(図1の4)の濃度はその下層部に前記濃度のAl拡散
層が存在する場合は規定しない。
【0024】(実施例1)本実施例では、金属材料に本
発明のAl拡散層を有する表面処理を施したものの弗化
物ガス中における耐食性を無処理の金属材料と比較検討
した。 (1) 本発明の実施例の試験片 次に示す各材料を母材として、幅20×長さ30×厚さ
3mmの形状に仕上げた後、粉末拡散法により850℃×
8時間のAl拡散処理を行った。この処理で得られるA
l拡散層の最表面部のAl濃度は材質により相違する
が、15〜32%の範囲にあった。 炭素鋼(SS400) 片状黒鉛鋳鉄(FC200) 球状黒鉛鋳鉄(FCD400) クロム鋼(SUS410) ステンレス鋼(SUS304) (2) 比較用の試験片 比較用の試験片として無処理の前記〜の材料を供試
した。
【0025】(3) 腐食試験装置および腐食条件 図2に腐食試験装置を示す。試験片21を電気炉22の
中心部に設けられたステンレス鋼管23の内部の設置台
26上に静置した後、腐食性のガス24を左側から流
す。配管途中に設けた石英放電管25に出力600Wの
マイクロ波を負荷させて、腐食性ガスの活性化を促すよ
うにしている。活性化した腐食性のガスは電気炉中に導
かれ、試験片21を腐食した後、右側から系外に放出さ
れる。このような腐食試験装置を用い、試験片温度18
0℃、腐食性ガスCF4を150ml/min、O2を75
ml/minを流しつつ10時間の腐食試験を行った。 (4) 腐食試験結果 腐食試験結果を表1に示した。この結果から明らかなよ
うに比較例の試験片(No.6〜10)では、いずれも腐
食量が多く、3〜23mg/cm2 の減量が認められた。特
に炭素鋼や鋳鉄の腐食減量が大きく、Cr鋼、ステンレ
ス鋼の減量は比較的少ない。これに対し、本発明のAl
拡散層を有する試験片は腐食減量が1.1〜9mg/cm2
の範囲にとどまり、優れた耐食性を示すことが認められ
た。
【表1】
【0026】(実施例2)本実施例では、母材としてF
C200、FCD400などの黒鉛を含む鋳鉄を用い、
これの表面を脱炭処理した後、Al拡散層を形成する表
面処理を行ったものを作成した。 (1) 供試試験片の材質と寸法 炭素鋼(SS400) 片状黒鉛鋳鉄(FC200) 球状黒鉛鋳鉄(FCD400) クロム鋼(SUS410) ステンレス鋼(SUS304) 試験片寸法は、幅20×長さ30×厚さ5mmである。 (2) 脱炭処理 試験片の脱炭は、大気中で950℃×10時間の熱処理
を行うことにより行った。 (3) Al拡散層を有する表面処理 実施例1と同じ (4) 腐食試験装置および試験条件 実施例1と同じ
【0027】(5) 腐食試験結果 腐食量を測定した結果を表2に示した。FC200で5
〜6mg/cm2 、FCD400で5〜6mg/cm2 の範囲に
とどまっており、実施例1(表1)の結果に比較してさ
らに耐食性は向上した。この原因は黒鉛が存在すると腐
食性ガスのCF4 から解離した原子状のFによって炭素
自体が揮発性のCF4 となって消失するため、黒鉛の直
下の母材が無処理状態に置かれ、この部分の腐食損耗量
が大きくなったものと思われる。本発明では、予め脱炭
処理によって表面に露出している黒鉛を除去した後、A
l拡散層を設ける表面処理を施しており、全体が耐食性
のよい皮膜に覆われる結果、腐食量が低下したものと考
えられる。
【表2】
【0028】(実施例3)本実施例では、母材表面に溶
射拡散法およびPVD法によってAlを成膜した後、こ
れを加熱して母材中に拡散させた。 (1) 本発明の表面処理を施した試験片 幅20×長さ30×厚さ5mmの試験片に下記条件にてA
l拡散層を有する表面処理層を形成した。 金属Alをアーク溶射法によって50μm厚に施工
後、これを電気炉中で830℃×8時間の熱処理を行っ
た。この処理ではAl拡散層中のAl濃度に15〜27
wt%、その上層部には酸化アルミニウム膜によって被
覆された93〜96wt%の金属Alが残存していた。
【0029】 PVD法によって25μm厚にAl皮
膜を形成した後、電気炉中で830℃×5時間の熱処理
を行った。この処理では、Al拡散層中のAl濃度は1
5〜25wt%、その上層部は酸化アルミニウム膜で被
覆された98〜99wt%の金属Alが残存していた。
母材の供試材料として次のものを用いた。 (a)炭素鋼(SS400) (b)ステンレス鋼(SUS304) (c)Ni基合金(15wt%Cr-7wt%Fe-2.
5wt%Ti-1wt%Nb-残りNi)
【0030】(2) 比較例の試験片 比較例として無処理状態の炭素鋼、ステンレス鋼および
Ni基合金を用いた。 (3) 腐食試験装置および腐食条件 腐食試験装置として図2に示す装置を用い、腐食条件と
して実施例2と同じ条件を採用した。 (4) 試験結果 腐食試験結果を表3に示した。この結果から明らかなよ
うに、比較例の試験片は激しい腐食損傷や粒界侵食を受
けるが、本発明のAl拡散層を有する皮膜は腐食量が少
なく、溶射法やPVD法によってAl被膜を形成した
後、加熱拡散処理を施しても十分な耐食性を発揮するこ
とが確認された。
【表3】
【0031】(実施例4)本実施例では、腐食性ガスを
含むアルゴンガス中で、スパッタリングを行う環境下で
用いる場合に好適な本発明のAl拡散層を有する耐食性
部材を作成した。 (1) 本発明の表面処理を施した試験片 幅20×長さ50×厚さ3mmのSUS304製の母材を
製作後、これを粉末拡散法および溶融Alめっき法によ
ってAl拡散層を形成した。溶融Alメッキ法で得られ
たAl拡散層中のAl濃度は25〜35wt%、その上
層部に5wt%Si−Alが生成していた。これら試験
片は、後述するスパッタリング用のターゲット保持部材
及び真空ポンプの排出口に取付けて腐食試験した。
【0032】(2) 比較用の部材 表面処理を施さないSUS304を用いた。 (3) 腐食試験装置および腐食条件 腐食試験装置として、図3に示すスパッタリング装置を
用いた。この装置は真空容器31中にターゲット32と
被処理体33が配設され、両者は真空容器外に設けられ
た直流電源34に連結され、ターゲット32は−極、被
処理体33は+極となるようになり、両極間に電圧が負
荷されるようになっている。真空容器31には、腐食性
のガスやアルゴンガスを供給する導入管35が取付けら
れる一方、真空ポンプ36によって系外へ排出できるよ
うになっている。試験は真空ポンプを連結させて、真空
容器中の空気を排出した後、アルゴンガスによって圧力
を10-2torrにする一方、直流電圧2kVを負荷してス
パッタリングを行った。ターゲット32としてアルミニ
ウムを、被処理体33としてSUS304を用いた。ま
た、腐食性のガスとして、アルゴンガスとともにC
4,Cl2 をそれぞれ1分間に10ppm連続注入しつつ
スパッタリングを行った。37はアルミニウム粒子、3
8はアルゴンガスがプラズマ化した環境を示したもので
ある。試験用部材はターゲット保持具39および真空ポ
ンプ出口40にそれぞれ取付けた。なお腐食性の評価
は、試験前後の表面粗さを測定することによって行っ
た。
【0033】(4) 腐食試験結果 腐食試験結果を表4に示した。この結果から明らかなよ
うに、比較例の無処理の試験片は、アルゴンガスのみの
スパッタリングでは比較的良好な耐食性を示すが、CF
4 ,Cl2 ガスが混入すると表面粗さは5〜10倍にな
った。これに対し本発明の皮膜は、いずれも腐食性ガス
が存在していても無処理試験片の20〜40%にとどま
っており、優れた耐スパッタリング性が認められる。ま
た、真空ポンプ出口に取付けた試験片の表面粗さもほぼ
スパッタリング環境と同じような傾向を示し、スパッタ
リングに直接曝されないが、スパッタリング雰囲気にお
いて活性化された腐食性ガスに対しても優れた耐食性を
発揮することが明らかとなった。
【表4】
【0034】(実施例5)本実施例ではAl拡散層を含
む本発明皮膜の耐エロージョン性を調査した。 (1) 本発明の表面処理を施した試験片 幅50×長さ100×厚さ5mmのSUS304およびF
C200製の母材試験片に溶融Alめっき法および粉末
拡散法を施して試験片表面にAl拡散層を有する皮膜を
形成した。 溶融Alめっき法:Al−2wt%Si合金の溶融
中(660℃)に1分間浸漬 粉末拡散法 :Al−Fe合金粉末40wt%、
Al23 粉末59wt %NH4Cl 1wt
%の混合粉末中で850℃×10 時間の処理を行った。 (2) 比較用の試験片 比較用として無処理のSUS304とFC200を用い
た。
【0035】(3) 試験方法 日本工業規格JIS R6111(人造研削材)WA #
60 Al23研削材を用い、ブラスト角度30°ブラ
スト圧力5kgf/cm2 の条件で、試験片に直接5分間連
続して吹付け、試験前後の重量度から耐エロージョン性
を評価した。 (4) 試験結果 試験結果を表5に示す。この結果から明らかなように、
無処理の試験片(No.5,6)は重量変化が大きい。す
なわちFC200では800〜1200mg/cm2 、SU
S304では300〜400mg/cm2 の重量減少に対
し、本発明のAl拡散層を有する皮膜(No.1〜4)
は、FC200で510〜710mg/cm2 、SUS30
4で180〜270mg/cm2 にとどまっており、耐エロ
ージョン性に優れていることが認められた。また溶融A
lめっき法、粉末拡散法で得られる皮膜はともに良好な
耐エロージョン性を発揮しており、両者間に優劣は見ら
れなかった。
【表5】
【0036】
【発明の効果】以上の実施例で述べたように、本発明の
Al拡散層を有する処理層は、高い耐スパッタリング
性、プラズマによって励起されたハロゲン化合物に対す
る優れた耐食性を示すのみならず、ブラストエロージョ
ン性に卓越した性能を発揮した。この主要原因は、Al
と基材成分との冶金反応による金属間化合物の生成およ
びその最表層部に形成されるAl23膜の耐食性と良好
な密着性によるものとして考えられる。本発明の皮膜
は、比較的容易かつ安価に製造できるうえ、処理方法を
選択することによって、小さいネジ部材などにも精度高
く処理することができるので、適用範囲は頗る広いとい
う特徴がある。したがって、本発明の耐食性部材によっ
て構成された半導体製造プロセス用等の装置は長時間に
わたって安定した操業が可能となり、生産性の向上、装
置寿命の延長によるコストダウンが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理皮膜の断面構造を模式的に示した
ものである。
【図2】ハロゲン化合物を含むガスを用いた腐食試験装
置の概要を示したものである。
【図3】スパッタリング装置の概要を示したものであ
る。
【符号の説明】
1 基材 2 基材中に侵入したアルミニウムによって生成した
拡散層 3 アルミニウム層 4 Al23 (酸化アルミニウム膜) 21 試験片 22 電気炉 23 ステンレス鋼管 24 腐食性ガス 25 石英放電管 26 試験片設置台 31 真空容器 32 ターゲット 33 被処理体 34 直流電源 35 アルゴンガス導入管 36 真空ポンプ 37 被処理体表面に付着したターゲットのAl粒子 38 アルゴンガスの励起で発生したプラズマ 39 ターゲット支持金具に取付けた試験片 40 真空ポンプ出口に取付けた試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中浜 修平 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 高山 博和 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 新村 恵弘 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 原田 良夫 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番4 号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 竹内 純一 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番4 号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 杉本 克久 宮城県県仙台市太白区人来田2丁目11番18 号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属母材の表面近傍にアルミニウム拡散
    層を形成して、耐スパッタリング性、耐ハロゲン化合物
    性および耐ブラストエロージョン性を向上させたことを
    特徴とする半導体製造プロセス用部材。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム拡散層の表面層のアル
    ミニウム濃度が15wt%以上であり、拡散したアルミ
    ニウムが、Fe3Al, FeAl,FeAl2,FeA
    3,NiAl3,Ni2Al3,NiAl,Ni3Al,
    Co2Al9,Co4Al12,Co2Al5,CoAl,C
    rAl7,Cr2Al11,Cr4Al9,Cr5Al8,Cr
    2Alからなるグループから選ばれる1種以上の金属間
    化合物を構成していることを特徴とする請求項1に記載
    の半導体製造プロセス用部材。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム拡散層が不可避な不純
    物を含む工業用アルミニウムもしくは珪素を2〜12w
    t%含むアルミニウム合金によって処理されたものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造プロセ
    ス用部材。
  4. 【請求項4】 前記母材は高炭素金属材料であり、その
    表面を脱炭させた後、前記アルミニウム拡散層を形成し
    たことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    の半導体製造プロセス用部材。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム拡散層の表層にさらに
    金属アルミニウム層及び酸化アルミニウム層を形成した
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の
    半導体製造プロセス用部材。
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