JPH10219063A - フッ化ビニリデン系樹脂組成物およびそれを用いた積層体 - Google Patents

フッ化ビニリデン系樹脂組成物およびそれを用いた積層体

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JPH10219063A
JPH10219063A JP2061797A JP2061797A JPH10219063A JP H10219063 A JPH10219063 A JP H10219063A JP 2061797 A JP2061797 A JP 2061797A JP 2061797 A JP2061797 A JP 2061797A JP H10219063 A JPH10219063 A JP H10219063A
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JP
Japan
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vinylidene fluoride
fluoride resin
resin composition
adhesive
butyltin
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JP2061797A
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English (en)
Inventor
Toshio Koishi
俊夫 小石
Katsunori Kawamura
勝則 川村
Seiichi Minegishi
清一 峯岸
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フッ化ビニリデン系樹脂を表面に有する積層
体を製造した際に、接着成形直後から大きな接着剥離強
度を示すとともに、長期にわたる高度の接着剥離強度を
発揮することのできる組成物およびそれからなる積層体
を提供する。 【解決手段】 フッ化ビニリデン系樹脂に一般式
(1)、 Rm−Sn−Y4ーm (1) (式中、Rは炭素数1〜10の分岐を有することもある
アルキル基または−CH 2CH2OC(=O)R1で表さ
れる基であり、Yは−SCH2C(=O)OR1、−SC
2CH2C(=O)OR1、−SR1、−OC(=O)C
H=CHC(=O)OR1、−(OC(=O)CH=C
HC(=O)O)n−(nは整数を表す。)または−O
C(=O)R1で表される基である。R1は何れも炭素数
1〜20の分岐を有することもあるアルキル基を表す。
mは1または2を表す。)で表される有機スズ化合物を
配合したフッ化ビニリデン系樹脂組成物およびそれから
なる表面を有する積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業用の利用分野】本発明は初期接着剥離強度が大き
く、かつ接着剥離強度の経時変化が少ない積層体の製造
に適するフッ化ビニリデン系樹脂組成物および該フッ化
ビニリデン系樹脂層を有する積層体に関し、該積層体は
テント・膜屋根材、内・外装材、各種のカバーフィルム
等に利用される。
【0002】
【従来技術】ポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」
という。)またはフッ化ビニリデン共重合体(以下これ
らを総称して「フッ化ビニリデン系樹脂」または「VD
F系樹脂」という。)は、腐食性の大きい化学薬品や紫
外線に対して安定で、機械的性質にも優れ、その上フッ
素樹脂の中でも特に押出成形、粉体成形等の溶融加工性
に富んでいることから、金属への耐食コーティング、電
線被覆等に多く使用されている。さらにPVDFはフッ
素樹脂の中でもガスバリヤー性に優れており、この性質
を活かした用途も提案されている。
【0003】従来、VDF系樹脂の膜を他の素材に貼り
合わせて、表面に耐薬品性、耐汚染性等を付与する試み
は広く行われており、例えばPVDFの5μm厚程度の
膜をアクリル系の接着剤を介して軟質塩化ビニル製のテ
ント膜材に貼り合わせた製品がトラックの幌用等に利用
されている。
【0004】また、特開昭64−22547号には、軟
質フッ素樹脂の被膜をポリウレタン接着剤を介して各種
基材に貼り合わせる方法が記載され、被覆物はテーブル
クロス、壁装材、カーテン等に利用されている。
【0005】ところが、VDF系樹脂と他の素材とを接
着した場合、一般には接着剤自体の耐候性、耐水性、耐
熱性等がVDF系樹脂よりも劣ることから、長期にわた
る屋外での使用あるいは苛酷な温度、湿度の条件下での
使用では接着剤が劣化し、積層シートがはがれることが
あった。
【0006】そこで本発明者らは、VDF系樹脂基材と
他の素材からなる基材の接着において接着剤自体の耐候
性が高いフッ素系の接着剤として軟質フッ素樹脂とポリ
イソシアネートの有機溶剤溶液からなる接着剤を提案し
た(特開平8−12957号)。さらに軟質フッ素樹脂
と相溶可能なアクリル樹脂およびVDF系樹脂をこの接
着剤に添加することにより、接着剥離強度が大幅に向上
することも見いだした(特願平7−315424)。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、上述の
軟質フッ素樹脂を基剤とする接着剤を用いた場合、初期
接着剥離強度の発現に時間がかかること、また接着剥離
強度が接着後の積層体の保管温度および経過時間等の履
歴に大きく依存することが判明した。
【0008】そこで、本発明は軟質フッ素樹脂を基剤と
する接着剤を用いてVDF系樹脂基材と同一かまたは異
なる基材とを接着する際に、高い接着剥離強度を有し、
耐候性、耐水性、耐熱性等の耐久性に優れた積層体を製
造することができる上に、接着後、短時間で充分な強度
を発現できるVDF系樹脂組成物を提供し、また、少な
くとも1層をそのVDF系樹脂組成物とする積層体を提
供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、VDF系樹脂に特定の有機金属化合物を少
量添加することにより、接着後の初期から高い接着剥離
強度を示しかつ該強度の温度および時間依存性が少ない
積層体を得られることを見いだし本発明を完成するに至
った。
【0010】すなわち、本発明は、フッ化ビニリデン系
樹脂に一般式(1)、 Rm−Sn−Y4ーm (1) (式中、Rは炭素数1〜10の分岐を有することもある
アルキル基または−CH 2CH2OC(=O)R1で表さ
れる基であり、Yは−SCH2C(=O)OR1、−SC
2CH2C(=O)OR1、−SR1、−OC(=O)C
H=CHC(=O)OR1、−(OC(=O)CH=C
HC(=O)O)n−(nは整数を表す。)または−O
C(=O)R1で表される基である。R1は何れも炭素数
1〜20の分岐を有することもあるアルキル基を表す。
mは1または2を表す。)で表される有機スズ化合物を
配合したフッ化ビニリデン系樹脂組成物、およびそれを
用いた積層体である。
【0011】本発明にかかるVDF系樹脂は、PVDF
またはフッ化ビニリデン(VDF)とクロロトリフルオ
ロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン(T
FE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフ
ルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトンなどの含フッ
素単量体との2元以上の共重合体、例えば、VDF−C
TFE共重合体、VDF−TFE共重合体、VDF−H
FP共重合体、VDF−トリフルオロエチレン共重合
体、VDF−ヘキサフルオロアセトン共重合体、VDF
−HFP−TFE共重合体などであり、VDF構造単位
が全構造単位の50%以上を占めるものである。またこ
れらのVDF系樹脂はブロック共重合体あるいはグラフ
ト共重合体の形態を取った樹脂であってもよく、さらに
はこれらのブレンド樹脂であってもよい。PVDFまた
はこれらの共重合体はその組成比、重合方法、重合度な
どにより各種の物性のものが市販または文献に記載され
ているのでそれらを目的に応じて適宜選択して使用する
ことができるが、特に柔軟性または/および弾性を有す
るものが好ましい。
【0012】特に好ましいVDF系樹脂としては、特公
平62−34324号に開示されたグラフト共重合体で
ある軟質フッ素樹脂が挙げられる。またこの軟質フッ素
樹脂を主とする上記のフッ素樹脂とのブレンド樹脂も好
ましい例である。軟質フッ素樹脂のうちで、特に少なく
とも一種の含フッ素単量体を含む一種以上の単量体と、
分子内に二重結合とペルオキシ結合を同時に有する単量
体とを共重合せしめてその分子内にペルオキシ結合を含
有させ、かつそのガラス転移温度が室温以下である含フ
ッ素共重合体を製造することを第1段階とし、第2段階
において、第1段階で得られた共重合体の水性乳濁液ま
たは分散溶媒中でフッ化ビニリデン単量体をグラフト共
重合させた樹脂が好ましい。
【0013】ここで使用する分子内に二重結合とペルオ
キシ結合を同時に有する単量体としては、t−ブチルペ
ルオキシメタアクリレート、t−ブチルペルオキシクロ
トネート等の不飽和ペルオキシエステル類、およびt−
ブチルペルオキシアリルカーボネート、p−メンタンペ
ルオキシアリルカーボネート等の不飽和ペルオキシカー
ボネート類が例示できる。
【0014】また、そのガラス転移温度が室温以下であ
る含フッ素共重合体の組成としては、分子内に二重結合
とペルオキシ結合を同時に有する単量体の成分を除いて
表示すると、VDFとHFPの二元共重合体、VDFと
HFPとTFEの三元共重合体、およびVDFとCTF
Eの二元共重合体等が例示されるが、特にその組成を限
定するものではない。
【0015】特に好ましい例は、分子内に二重結合とペ
ルオキシ結合を同時に有する単量体とVDFとCTFE
からなるものであり、VDF/CTFEの構造単位の比
が80/20〜40/60であり、VDFとCTFE1
00重量部に対し分子内に二重結合とペルオキシ結合を
同時に有する単量体が0.01〜5重量部のものであ
る。
【0016】第1段階で製造されるそのガラス転移温度
が室温以下である含フッ素共重合体と第2段階でグラフ
ト共重合されるPVDFの重量比は95/5〜30/7
0の範囲であることが望ましい。PVDFの重量比が5
より小さいと接着層との剥離強度が不足するし、PVD
Fの重量比が70より大きいと柔軟性が不足する。
【0017】本発明のフッ化ビニリデン系樹脂組成物
は、さらにゴム状重合体に(メタ)アクリル酸エステル
単独あるいは(メタ)アクリル酸エステルおよびこれと
共重合可能な他の単量体とをグラフト重合して得られた
樹脂(以下、「グラフトアクリルゴム」という。)を加
えることも溶融成形時の伸び特性の改良、組成物の低歪
量に対応する弾性率が低下できる等の加工性の向上に有
効であり好ましい。
【0018】かかるゴム状重合体はそのガラス転移温度
が−20℃以下のものが望ましく、その組成としては、
ポリブタジエンゴム、ブタジエンとスチレンの共重合ゴ
ム、エチレンとプロピレンの共重合ゴム、ポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴ
ムまたはこれらの2種以上からなる組成物等が例示され
るが、特にその組成、重合体の構造、混合形態を限定す
るものではない。また、その製造法も特に限定されない
が、重合体がラテックスあるいは粉末状で得られやすい
乳化重合法が好ましい。
【0019】グラフトするモノマーには重量で50%以
上の(メタ)アクリル酸エステルを含んだものであるこ
とが望ましい。本明細書においては、「(メタ)アクリ
ル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」を、また
「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/ま
たはメタアクリレート」を表すものとする。50%未満
では軟質フッ素樹脂との相溶性が十分でなく、特に脆化
温度で表される低温特性が低下する。(メタ)アクリル
酸エステルは好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルであって、アルキル基の炭素数が1〜8個のも
の、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸nーブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルシクロヘキシル等
であるが、なかでもメタクリル酸メチルが好ましい。こ
れらの2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0020】(メタ)アクリル酸エステルと共重合する
他のモノマーは分子中に重合性の二重結合を有するモノ
マーであれば特に限定することはないが、芳香族ビニル
モノマーが好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、
あるいはそれらの核置換誘導体、例えばビニルトルエ
ン、イソプロペニルトルエン、クロロスチレン等が例示
され、これらの2種以上を併せて使用することもでき
る。
【0021】グラフト樹脂中のゴム状重合体の重量割合
は50〜99%が望ましい。50%以下では目的とする
溶融成形時の伸び特性の改良が達成できず、99%以上
ではVDF系樹脂との相溶性が十分でなく、特に脆化温
度で表される低温特性が低下するので好ましくない。
【0022】かかるグラフト樹脂の製造法としては、特
に限定されないが、例えば、乳化重合により作成された
ゴム状重合体のラテックスにモノマーを添加してグラフ
ト重合した後、凝固乾燥しパウダー状の樹脂を得る方法
がある。具体的には、特公昭34−8136号、特公昭
42−22541号、特公昭42−22541号の明細
書に記載されるように、ポリブタジエンあるいはブタジ
エンとスチレンの共重合ゴムの水性ラテックス中でメチ
ルメタクリレートあるいはメチルメタクリレートとスチ
レンをグラフト重合する方法、あるいは、特開平4−1
00812号明細書に記載されるように、ポリオルガノ
シロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートの混合
ゴムラテックス中で(メタ)アクリル酸エステルを含む
ビニルモノマーをグラフト重合する方法などがある。
【0023】また本発明においては、グラフト樹脂とし
て、塩化ビニル樹脂の耐衝撃強度改良剤としてひろく市
販されているゴム状重合体に(メタ)アクリル酸エステ
ル単独あるいは(メタ)アクリル酸エステルおよびこれ
と共重合可能な他の単量体とをグラフト重合して得られ
た樹脂をそのまま使用することもでき、例えば、鐘淵化
学工業(株)製、MBS樹脂(商品名カネエースBシリ
ーズ)、同社製のアクリルゴムにメチルメタクリレート
を含むビニルモノマーをグラフト重合した樹脂(商品名
カネエースFM)あるいは三菱レイヨン(株)製のポリ
オルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレー
トの混合ゴムラテックス中でメタクリル酸エステルを含
むビニルモノマーをグラフト重合した樹脂(商品名メタ
ブレンSシリーズ)などがあげられる。
【0024】VDF系樹脂組成物に混合するグラフト樹
脂の比率はVDF系樹脂100重量部に対して50重量
部以下である。この範囲を越えて混合した場合には混合
樹脂の溶融粘度が上昇し、安定した成形が困難となる。
また本来VDF系樹脂の有する良好な耐薬品性が損われ
る。
【0025】本発明にかかる一般式(1)で表される有
機スズ化合物としては、具体的には、ジ−n−オクチル
スズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、
ジ−n−オクチルスズマレイン酸塩ポリマー(融点82
〜93℃)、ジ−n−オクチルスズラウリン酸塩、ジ−
n−オクチルスズマレイン酸エステル塩(比重1.13
8±0.01(20℃)、屈折率1.485±0.00
5(20℃))などのジ−n−オクチルスズ系、ジ−n
−ブチルスズビスマレイン酸エステル塩(比重1.25
6±0.01(20℃)、屈折率1.500±0.00
5(20℃))、ジ−n−ブチルスズマレイン酸塩ポリ
マー(融点125〜138℃)、ジ−n−ブチルスズビ
スオクチルチオグリコールエステル塩、ジ−n−ブチル
スズβ−メルカプトプロピオン酸塩ポリマー(融点11
5〜125℃)、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ
−n−ブチルスズマレートエステル・カルボキシレー
ト、ジ−n−ブチルスズマレート・メルカプチドなどの
ジ−n−ブチルスズ系、ジ−n−メチルスズビス(イソ
オクチルメルカプトアセテート)などのジメチルスズ
系、その他のポリ(チオビス−n−ブチルスズサルファ
イド)、モノオクチルスズトリス(イソオクチルチオグ
リコール酸エステル)などが挙げられる。
【0026】本発明のVDF系樹脂組成物は、VDF系
樹脂100重量部に対し有機スズ化合物0.01〜5.
0重量部を配合したものが好ましく、0.05〜3重量
部がより好ましく、0.1〜1.0重量部がさらに好ま
しい。配合量が0.01重量部より少ない場合には、初
期接着剥離強度を高める効果への寄与が少なく、一方
5.0重量部以上ではVDF樹脂表面の耐水性、耐汚染
性が失われるばかりでなく、成型性に劣ることがあり好
ましくない。
【0027】また、本発明のVDF系樹脂組成物には、
樹脂に対して一般的に配合される各種添加剤、例えば顔
料、粘着防止剤、滑剤などを必要に応じて配合してもよ
い。本発明のVDF系樹脂組成物の調製方法は特に限定
されず、熱可塑性樹脂へ添加剤を配合する方法として公
知の方法、例えば、Vブレンダー、二本ロール、押出成
形機などを使用した溶融混練法を適用できる。
【0028】本発明のVDF系樹脂組成物は、ポリイソ
シアネートを含む接着剤を用いてVDF系樹脂または他
の材質からなる基材と接着する際に効果的である。ま
た、特開平8−12957号に開示された軟質フッ素樹
脂、ポリイソシアネートおよび溶剤からなる接着剤また
はさらにアクリル樹脂および/またはポリフッ化ビニリ
デンを配合した接着剤を用いた場合は特に顕著な効果を
奏する。軟質フッ素樹脂に混合されたポリイソシアネー
トはVDF系樹脂基材以外の基材との密着性を向上させ
るとともに、軟質フッ素樹脂の主に末端部位と反応し
て、接着層の耐クリープ性、耐熱性等を向上させる効果
を現すものと考えられる。
【0029】本発明の積層体は、一般式(1)で表され
る有機スズ化合物を配合されたフッ化ビニリデン系樹脂
組成物からなる層と該層と隣接する層が軟質フッ素樹脂
を含む接着層を介して接合している積層体である。接着
層は軟質フッ素樹脂とポリイソシアネートを含む溶液か
らなる接着剤を乾燥させ、次いで加熱して得られた物質
からなる。
【0030】本発明にかかる接着剤に使用する軟質フッ
素樹脂は、特公平62−34324号に開示された軟質
フッ素樹脂であるが、特にPVDFを枝樹脂とする軟質
フッ素樹脂が好適である。この樹脂はガラス転移温度が
室温以下である共重合体部分が接着層に必要な柔軟性と
有機溶媒への溶解性さらには他の基材へのなじみやすさ
などの性質を主として分担するものと考えられ、一方グ
ラフト共重合により生成するPVDFの部分がVDF系
樹脂との熱融着性を発現するものと推定される。
【0031】第1段階で製造されるそのガラス転移温度
が室温以下である含フッ素共重合体と第2段階でグラフ
ト共重合されるPVDFの重量比は95/5〜30/7
0の範囲であることが望ましい。PVDFの重量比が5
より小さいと基材のVDF系樹脂との接着性が不足する
し、PVDFの重量比が70より大きいと、接着剤とし
て必要な柔軟性、有機溶剤への溶解性が不足する。
【0032】本発明にかかる接着剤に使用するポリイソ
シアネートは特に限定されないが、エチレンジイソシア
ネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイ
ソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシア
ネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネ
ート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート
(LDI)、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレ
ート、ビス(2−イソシアネートエチル)カーボネー
ト、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネ
ートヘキサノエート、イソホロンジイソシアネート(I
PDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネト
(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、
メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TD
I)、ビス(2−イソシアネートエチル)−4−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、キシリレンジ
イソシアネート(XDI)、ジエチルベベンゼンジイソ
シアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ま
たこれから調整される、ウレタンアダクト、ビュレット
体、イソシアヌレート、ブロックイソシアネート、ウレ
タンプレポリマーなど、たとえば、HDIの水変成物、
TDI2量体、TDIトリメチロールプロパンアダクト
(L)、HMDI−ビュレット体、L−フェノールブロ
ック体、IPDIの3量化物などおよびこれらの粗製物
または2種以上の混合物が挙げられる。
【0033】本発明にかかる接着剤においては、上記ポ
リイソシアネートを選択して使用すればよいが、通常の
場合変色は好まれないので、無黄変型または難黄変型と
いわれるイソシアネート基がベンゼン核に隣接していな
いもの、例えば、HDI、XDI、LDIなどの脂肪族
ジイソシアネートまたはIPDI、水添MDI、水添X
DIなどの脂環式イソシアネートが好ましく、また、こ
れらのポリイソシアネートから調整される、アダクト、
ビュレット体、イソシアヌレ−ト、ブロックイソシアネ
ート、ウレタンプレポリマーなども好ましく使用でき
る。
【0034】ポリイソシアネートの混合割合は軟質フッ
素樹脂100重量部に対して0.3〜50重量部の範囲
が望ましく、さらに好ましくは、0.5〜30重量部の
範囲である。0.3重量部未満の場合にはポリイソシア
ネートの添加効果が充分に発揮されない。50重量部を
越えて混合した場合は接着剤層の柔軟性が失われるとと
もに耐薬品性、耐候性などが低下するので好ましくな
い。
【0035】本発明にかかる接着剤に使用するアクリル
樹脂は、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル単独重
合体、(メタ)アクリル酸アルキルを主体とする共重合
体、あるいはこれらの混合樹脂などを挙げることができ
る。
【0036】(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと
してはアルキル基が炭素数1〜18のものであり、具体
的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メ
タ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルまたはアクリ
ル酸ステアリルなどが挙げられる。
【0037】これらのうち共重合体としては例えば、メ
タクリル酸メチルを主体(60重量%以上、好ましくは
70重量%以上)とし、これに上記のうち炭素数2〜4
のアルキル基のメタクリル酸エステル、これに上記の炭
素数1〜8のアルキル基のアクリル酸エステル、スチレ
ン、アクリルニトリルなどを共重合したものがある。特
に好適なのは、メタクリル酸メチルを主体とし、(メ
タ)アクリル酸ブチルまたは(メタ)アクリル酸イソブ
チルを5〜20重量%の範囲で共重合させた樹脂であ
る。
【0038】本発明にかかる接着剤に使用するアクリル
樹脂は、軟質フッ素樹脂100重量部に対して30重量
部以下であり、10〜20重量部が好ましい。本発明に
かかる接着剤に使用するPVDFは、VDFのホモポリ
マーのみではなく、VDFと少量の他の含フッ素単量体
に基づく構造単位のモル比が100/0から90/10
の範囲にあるものでPVDFと大きく物性の変わらない
共重合体であってもよい。VDFと共重合する他の含フ
ッ素単量体としては、特に限定するものではないが、T
FE、HFP、CTFE、HFA等が例示できる。PV
DFの添加量は軟質フッ素樹脂100重量部に対し、2
〜50重量部の範囲が好ましく、5〜20重量部がより
好ましい。添加量が2重量部より少ない場合には、接着
剥離強度の向上への寄与が少なく、一方50重量部より
多い場合には、積層体の柔軟性が失われて好ましくな
い。
【0039】本発明にかかる接着剤を構成する有機溶剤
としては各種のものが利用できるが、軟質フッ素樹脂の
溶解性を高めるために、高極性溶剤、例えば、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチルピロリドンなどが好適であり、さらにケ
トン類、エステル類またはエーテル類、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢
酸エチル、テトラヒドロフラン等が使用できる。これら
の有機溶剤は混合して使用することもできるが、その場
合前記高極性溶剤を併用することが好ましい。
【0040】有機溶剤の混合比率については目的とする
接着作業に必要な粘度を勘案して決定されるが、通常は
接着剤溶液100重量部中の溶剤を除いた部分が1〜6
0重量部になるように調整される。
【0041】接着剤の調製方法は特に限定されない。例
えば、溶剤に各成分を順次にまたは一度に加えディスパ
サー、ホモジナイザーなどの剪断攪拌機で均一な溶液ま
たは分散液とする。
【0042】本発明の積層体に使用される他素材として
は、合成樹脂、ガラス、金属等が挙げられる。合成樹脂
をベースとした他素材の場合、その表面にイソシアネー
ト基と反応しうる活性水素(HX)を有しているもので
は特段の前処理を必要としないので望ましい。かかる活
性水素を含む官能基としては−OH、−COOH、−N
2、− CONH−、エステル基等が例示され、これら
を構造中に含む合成樹脂としては、例えば、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂等の素材をベースとしたものを挙げることができ
る。また構造中の主鎖に活性水素を含まない樹脂であっ
ても、その構造末端に活性水素を含む官能基がついてい
る場合、あるいは活性水素を含む物質をブレンドした場
合、さらには表面に活性水素を含む物質をコーティング
したものであってもよい。
【0043】他素材がガラス、金属等の場合には各種プ
ライマー、例えば、シランカップリング剤の塗布等の手
段がとられる。本発明で使用するシランカップリング剤
は、R2−Si(OR33 で表されるシランであり、R
2は有機官能基、例えばビニル基やアミノ基、R3は加水
分解できる基、例えばハライド、アシロキシ基、アルコ
キシ基である。これらのシランは、例えば、γ−クロロ
プロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキ
シシラン、γ−クロロプロピルクロロプロピルジエトキ
シシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン等の
クロロアルキル基含有シラン、ビニルトリクロロシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキ
シエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン等の不飽和基含有シラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
トキシシラ、γ−グリシドキシプロピルシラントリオー
ルなどのγ−グリシドキシ基を有するエポキシ基含有シ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、等
のメルカプト基含有シラン、γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、Ν−(2−
アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン等のアミノ基含有シランが挙げられ、上記したアミノ
基含有シランが市販品を入手しやすいことから最も好ま
しい。
【0044】また、接着が困難とされているポリエチレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂に関しては、
火炎処理、コロナ放電処理、ナトリウムエッチング等の
手段で表面に活性水素をもった官能基が生成することが
知られており、この様な処理を施されたものも積層体に
適する。
【0045】したがって、他素材からなる基材の材質は
特に制限されず、機械的強度、耐熱性、耐候性、透光性
等の要求特性に応じて各種のものを選択することができ
る。また、これらの基材は、無孔または有孔のフィルム
または板、ステープルまたはフィラメントからなる織
布、不織布、さらに模様付のものであってもよい。例え
ば、織布の場合、ポリエステルフィラメントまたはポリ
エステルステープルファイバーからなる各種の織物の布
帛やガラス繊維クロスなど、またはケブラー繊維などの
耐熱性繊維からなる各種の織物などを挙げることができ
る。これらの織物の織り方、フィラメントまたはステー
プルファイバーの太さ、結束数、織り目(開口の比率)
などの選択は工業用クロスまたは複層シートなどの分野
の当業者にとって容易である。
【0046】本発明の積層体に使用するVDF系樹脂組
成物からなる基材の形状は特に限定されないが、フィル
ム、シートまたは板状のものが好ましく、特に積層体を
形成した際にも柔軟性、少なくとも可撓性を有するもの
が好ましい。この基材の厚さは材質により異なるが、例
えば、0.1μm〜5mm程度、好ましくは1μm〜1
mm程度である。また、本発明の積層体の厚さは特に限
定されず、機械的強度、耐熱性、耐候性、透光性等の要
求特性に応じて決めればよいが、特に柔軟性、少なくと
も可撓性を有するものが好ましい。
【0047】本発明に使用する接着剤は通常活性水素を
有する基材側に塗布し、溶剤を揮散させた後、本発明の
VDF系樹脂組成物からなる基材と熱接着することによ
りなされる。塗布方法は、通常の方法でよく、例えば、
ディッピング、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコー
ト、カーテンコート、フローコート等があり、溶剤の揮
散は加熱または非加熱で行う。熱接着は加圧または非加
圧状態で加熱することで行われ、温度は基材の材質によ
り制限を受けるが、ガラスまたはガラス繊維等の耐熱材
料の場合には、接着剤が機能を失わない280℃以下で
行うのが好ましい。また180℃以下ではVDF系接着
剤が熱溶融しないので貼着せず好ましくない。負荷圧力
は必須ではないが、5〜100kgf/cm2程度の圧
力を懸けると平滑性が得られるので好ましい。
【0048】加熱接着の方法は、枚葉式、ロールによる
連続式のいずれも採用しうるが、生産性の面で連続式の
方がより好ましい。以下に、実施例をもって本発明を説
明するが、これらの実施態様には限定されない。
【0049】
【実施例】
〔実施例1〕 (A)接着剤の製造 主としてCTFEとVDFからなる幹ポリマーにVDF
をグラフトさせた軟質フッ素樹脂(セントラル硝子
(株)製)100重量部、主としてメタクリル酸メチル
からなる共重合体であるアクリル樹脂(ロームアンドハ
ース(株)製パラロイドB−44)10重量部、PVD
F樹脂(アウジモント社製ハイラー710)10重量
部、N,N−ジメチルホルムアミド680重量部をガラ
ス製ビーカーに入れ、特殊機化工業(株)製高速攪拌機
(T.Kホモディスパー)を用いて、2,000回転で
1時間攪拌し、樹脂を溶解した。
【0050】ついでこの溶液にポリイソシアネートとし
て日本ポリウレタン(株)製コロネートHX(HDIを
原料とする無黄変型のポリイソシアネートでありイソシ
アヌレート環をもつ)16.0重量部を攪拌しながら加
えて接着剤を調製した。 (B)ポリエステルクロスへの接着剤の含浸 手動式の接着剤含浸装置に幅20cmのポリエチレンテ
レフタレート製クロス(東レ(株)製TF61)を取り
付け、前記(A)で製造した接着剤溶液中に浸漬後取り
出し、ゴム製ロールでしごいて余分に付着した接着剤を
除去し、ついで130℃のオーブンで2分間乾燥した。
クロスへの接着剤樹脂の付き量は約20g/m2であっ
た。 (C)VDF系樹脂フィルムの製造および該フィルムと
接着剤を含浸したポリエステルクロスの接着 前記(A)で使用した軟質フッ素樹脂の100重量部に
PVDF(アウジモント社製ハイラー710)10重量
部、白顔料(酸化チタン)2重量部、有機スズ化合物
(東京ファインケミカル(株)製‘エンビライザーE1
01’)0.3重量部および少量の粘着防止剤、滑剤を
添加してVブレンダーで混合した。この組成物を180
℃でカレンダー成型し、ロールから送り出された厚み約
200μmのフィルムを得た。直ちに、このフィルムの
片側に接着剤を含浸した前記クロスを合わせて180℃
に設定された次のロールに送り込み、フィルムとクロス
の片面接着を行った。ついで同様の方法で反対側の接着
を行い、ポリエステルクロスをVDF系樹脂フィルムで
サンドイッチにした積層シートを製造した。 (D)接着剥離強度の測定 前記(C)で製造した積層シートの接着剥離強度をJI
S K6328(ゴム引布)に規定された引張剥離試験
方法に準じて、製造直後に測定した。ついで30℃に温
度調節した恒温槽に入れ、28日後に測定した。またさ
らにこの積層シートをサンシャインウエザーメーター
(SWM:ブラックパネル温度=63℃、スプレー時間
=12分/60分)に入れ、2,000時間経過後取り
出し、外観観察および接着剥離強度の測定を行った。結
果を表1に示す。なお、表1において「部」は重量部を
示す。
【0051】
【表1】
【0052】〔実施例2〜4〕実施例1と同一のクロ
ス、接着剤を用い、有機スズ化合物の種類のみを変更し
て、同一の方法で作成したサンドイッチ構造のシートの
密着剥離強度を測定し表1に示した。またSWM2,0
00時間後の値も同様に測定した。
【0053】〔実施例5〕前記(A)で使用した軟質フ
ッ素樹脂の100重量部にPVDF(アウジモント社製
ハイラー710)15重量部、白顔料(酸化チタン)2
重量部、グラフトアクリルゴム(アクリルゴムにメチル
メタクリレートを含むビニルモノマーをグラフト重合し
た樹脂(鐘淵化学工業(株)製、商品名カネエースF
M))20重量部、有機スズ化合物(東京ファインケミ
カル(株)製‘エンビライザーE101’)0.3重量
部および少量の粘着防止剤、滑剤を添加してVブレンダ
ーで混合した。この組成物を180℃でカレンダー成型
し、ロールから送り出された厚み約200μmのフィル
ムを得た。直ちに、このフィルムの片側に接着剤を含浸
した前記クロスを合わせて180℃に設定された次のロ
ールに送り込み、フィルムとクロスの片面接着を行っ
た。ついで同様の方法で反対側の接着を行い、ポリエス
テルクロスをVDF系樹脂フィルムでサンドイッチにし
た積層シートを製造した。この積層シートについて実施
例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
【0054】〔実施例6〕PVDF75重量部とグラフ
トアクリルゴムを75重量部として実施例5と同様の積
層シートを作成し、実施例1と同様の評価を行い、結果
を表1に示した。
【0055】〔比較例〕VDF系樹脂に有機スズ化合物
を添加しない外は実施例1〜4と同様の方法で積層シー
トを作成し、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1
に示した。
【0056】
【発明の効果】本発明のフッ化ビニリデン系樹脂を表面
に有する積層体は、フッ素樹脂としての優れた耐候性、
耐薬品性、機械的強度を有し、しかも各実施例が示すよ
うに長期にわたる高度の接着剥離強度を発揮する上に、
接着成形直後から大きな接着剥離強度を示すため生産効
率の向上をはかることに寄与するとともに、製品の履歴
による接着剥離強度のばらつきを減らすことができると
いう効果を奏する。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ化ビニリデン系樹脂に一般式(1)、 Rm−Sn−Y4ーm (1) (式中、Rは炭素数1〜10の分岐を有することもある
    アルキル基または−CH 2CH2OC(=O)R1で表さ
    れる基であり、Yは−SCH2C(=O)OR1、−SC
    2CH2C(=O)OR1、−SR1、−OC(=O)C
    H=CHC(=O)OR1、−(OC(=O)CH=C
    HC(=O)O)n−(nは整数を表す。)または−O
    C(=O)R1で表される基である。R1は何れも炭素数
    1〜20の分岐を有することもあるアルキル基を表す。
    mは1または2を表す。)で表される有機スズ化合物を
    配合したフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】フッ化ビニリデン系樹脂が、フッ化ビニリ
    デン単独重合体またはフッ化ビニリデンと任意の含フッ
    素単量体の共重合体、ブロック共重合体またはグラフト
    共重合体であってフッ化ビニリデンに基づく構造単位を
    50モル%以上含む請求項1記載のフッ化ビニリデン系
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】フッ化ビニリデン系樹脂が、少なくとも一
    種の含フッ素単量体を含む一種以上の単量体と、分子内
    に二重結合とペルオキシ結合を同時に有する単量体とを
    共重合せしめてその分子内にペルオキシ結合を含有さ
    せ、かつそのガラス転移温度が室温以下である含フッ素
    共重合体を製造することを第1段階とし、第2段階にお
    いて、第1段階で得られた共重合体の水性乳濁液または
    分散溶媒中でフッ化ビニリデン単量体をグラフト共重合
    させた軟質フッ素樹脂である請求項1〜2記載のフッ化
    ビニリデン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3記載のフッ化ビニリデン系樹
    脂組成物に、さらにゴム状重合体に(メタ)アクリル酸
    エステル単独または(メタ)アクリル酸エステルおよび
    これと共重合可能な他の単量体とをグラフト重合して得
    られた樹脂を配合したフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】有機スズ化合物が、ジ−n−オクチルスズ
    系、ジ−n−ブチルスズ系、ジメチルスズ系化合物であ
    る請求項1〜4記載のフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】有機スズ化合物が、ジ−n−オクチルスズ
    ビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、ジ−
    n−オクチルスズマレイン酸塩ポリマー(融点82〜9
    3℃)、ジ−n−オクチルスズラウリン酸塩、ジ−n−
    オクチルスズマレイン酸エステル塩(比重1.138±
    0.01(20℃)、屈折率1.485±0.005
    (20℃))、ジ−n−ブチルスズビスマレイン酸エス
    テル塩(比重1.256±0.01(20℃)、屈折率
    1.500±0.005(20℃))、ジ−n−ブチル
    スズマレイン酸塩ポリマー(融点125〜138℃)、
    ジ−n−ブチルスズビスオクチルチオグリコールエステ
    ル塩、ジ−n−ブチルスズβ−メルカプトプロピオン酸
    塩ポリマー(融点115〜125℃)、ジ−n−ブチル
    スズジラウレート、ジ−n−ブチルスズマレートエステ
    ル・カルボキシレート、ジ−n−ブチルスズマレート・
    メルカプチド、ジ−n−メチルスズビス(イソオクチル
    メルカプトアセテート)、ポリ(チオビス−n−ブチル
    スズサルファイド)およびモノオクチルスズトリス(イ
    ソオクチルチオグリコール酸エステル)から選ばれた一
    種以上の有機スズ化合物である請求項1〜4記載のフッ
    化ビニリデン系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】フッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対
    し有機スズ化合物0.01〜5.0重量部を配合した請
    求項1〜6記載のフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】2以上の層からなる積層体であって、少な
    くとも1層が請求項1〜7記載のフッ化ビニリデン系樹
    脂組成物からなり、該層と隣接する層が軟質フッ素樹脂
    を含む接着層を介して接合している積層体。
  9. 【請求項9】接着層が軟質フッ素樹脂とポリイソシアネ
    ートを含む溶液からなる接着剤を乾燥させ、次いで加熱
    して得られた物質からなる請求項8記載の積層体。
  10. 【請求項10】接着剤がさらにポリフッ化ビニリデンを
    含む接着剤である請求項9記載の積層体。
  11. 【請求項11】接着剤がさらにアクリル樹脂を含む接着
    剤である請求項10記載の積層体。
  12. 【請求項12】フッ化ビニリデン系樹脂組成物からなる
    層または/および該層と隣接する層がシート状である請
    求項8〜11記載の積層体。
  13. 【請求項13】フッ化ビニリデン系樹脂組成物からなる
    層と隣接する層が織布または不織布からなる請求項8〜
    12記載の積層体。
  14. 【請求項14】フッ化ビニリデン系樹脂組成物からなる
    層と隣接する層がポリエステルシート、ポリエステル織
    布またはポリエステル不織布である請求項8〜13記載
    の積層体。
  15. 【請求項15】フッ化ビニリデン系樹脂組成物からなる
    層と隣接する層がガラスからなる板、織布または不織布
    である請求項8〜13記載の積層体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003119335A (ja) * 2001-10-15 2003-04-23 Kureha Chem Ind Co Ltd 電線被覆用高分子組成物
JP2009078559A (ja) * 2006-01-25 2009-04-16 Arkema France フッ素重合体をベースにした可撓性フィルム
KR101352229B1 (ko) * 2011-04-05 2014-01-15 가부시끼가이샤 구레하 불화비닐리덴계 공중합체, 및 그 공중합체의 용도

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