JPH10219024A - 廃棄発泡スチロール再生処理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 再生ポリスチレンが効率的に得られ、回収率
が高く、安全面でも優れた廃棄発泡スチロール再生処理
方法を提供すること。 【構成】 第１工程において破砕機１で破砕した発泡ス
チロールＨを、溶解室２内に収容した状態で溶媒噴射装
置４により芳香族有機溶媒を噴射して発泡スチロールＨ
を液状に溶解し、異物は溶解室２内に残し、スチロール
溶解液は溶解室２を通過させて分離回収する第２工程
と、スチロール溶解液を低温加熱装置５で低温加熱した
状態で真空タンク６内に放出することにより、溶媒をガ
ス状に分離する一方で、ポリスチレンを真空タンク６内
に収容すると共に溶媒ガスを真空タンク６内より吸引冷
却して溶媒液を溶媒タンク３内に回収する第３工程と、
真空タンク６内に収容されたポリスチレンを外部へ取り
出す第４工程とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種容器や梱包材とし
て広く用いられている発泡スチロールの廃棄物を再生処
理するための廃棄発泡スチロール処理方法に関する発明
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、発泡スチロール廃棄物を処理する
ための方法としては、高温に加熱もしくは高圧に加圧し
て発泡スチロールを熱重合する熱処理方法が採用されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
熱処理方法では、以下に述べるような問題点があった。 熱処理で最も重要な要素は加熱技術であって、高温
に比例して、高重合物の発生率も高くなると共に、発泡
スチロールが固形化するという性質を持っているため、
高温処理によると、加熱室内面に重合物が付着堆積し、
重合物の除去作業を頻繁に行う必要があるため、連続処
理できず非能率的である。

【０００４】 液化処理でないために、廃棄発泡スチ
ロールに付着したラベルや粘着テープ等の異物を予め除
去する作業や洗浄する作業が必要になることから、多大
な時間と労力を必要とする。

【０００５】 高熱処理であることから、火災の危険
性を伴うと共に、生成された処理物は常温においては重
合の進んだ固形物となるため、以後の余分な処理が必要
となる。

【０００６】そこで本発明では、かかる問題を解決し、
かつ、安全面でもすぐれた廃棄発泡スチロール処理方法
を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明請求項１記載の廃棄発泡スチロール処理方
法は、発泡スチロールを破砕機で破砕する第１工程と、
破砕した発泡スチロールを網容器内に収容した状態で沸
点２５０℃以下の芳香族有機溶媒を噴射して発泡スチロ
ールを液状に溶解することにより、発泡スチロール以外
の異物は網容器内に残し、発泡スチロールが溶解された
溶媒液は網容器を通過させて分離回収する第２工程と、
スチロール溶媒液を低温加熱（５０℃〜２００℃）した
状態で真空タンク内に放出することにより、ポリスチレ
ンを真空タンク内に収容すると共に、分離された溶媒ガ
スを真空タンク内より吸引冷却し、液に戻す第３工程
と、真空タンク内に収容されたポリスチレンを外部へ取
り出す第４工程と、からなっている。

【０００８】

【作 用】本発明請求項１記載の廃棄発泡スチロール
処理方法では上述のような工程で行われるもので、ま
ず、第１工程で破砕した発泡スチロールを、続く第２工
程において網容器内に収容した状態で沸点２５０℃以下
の芳香族有機溶媒を噴射することにより、発泡スチロー
ルが液状に溶解されるもので、これにより、発泡スチロ
ール以外の異物は網容器内に残し、発泡スチロールが溶
解されたスチロール溶解液は網容器を通過させて分離回
収することができる。即ち、廃棄発泡スチロールに付着
したラベルや粘着テープ等の異物を予め除去したり洗浄
したりする面倒な作業を省略することができ、これによ
り、作業能率を高めることができる。

【０００９】次に、第３工程において、スチロール溶解
液を低温加熱（５０℃〜２００℃）した状態で真空タン
ク内に放出することにより、溶媒を効率的にガス状に分
離し、一方でポリスチレンを真空タンク内に収容する。
溶媒ガスを冷却して常温常圧のタンク内に放出すること
で溶媒液に戻す。即ち、低温処理であるため、パイプ内
で重合物の発生を防止し、溶媒を効率的に回収すること
ができる。

【００１０】尚、真空タンク内に収容されたポリスチレ
ンは、第４工程において外部へ取り出す。従って、本発
明の廃棄発泡スチロール処理方法は、溶媒とポリスチレ
ンを効率的に得られると共に溶媒の回収率が高く、か
つ、安全面でも優れたものである。

【００１１】

【実 施 例】図１は、本発明−実施例の廃棄発泡スチ
ロール処理方法を実施するための廃棄発泡スチロール処
理装置を示す構成説明図であり、図において、１は破砕
機、２は溶解室、３は芳香族有機溶媒タンク、４は溶媒
噴射装置、５は加熱装置、６は真空タンク、７は冷却装
置、８はポリスチレン押出・切断機、９は熱媒ボイラ
ー、１０はクーリングタワー・チラーを示す。

【００１２】前記破砕機１は、廃棄発泡スチロールＨを
順次投入すると回転刃（イ）によって破砕されて溶解室
２の上部に設けられている投入口から溶解室２内に落下
させるようになっている。

【００１３】前記溶解室２は、その内部中間に破砕され
た発泡スチロールＨを受け止める網（ロ）が設けられ、
また、この網（ロ）の側壁には扉により開閉自在なゴミ
回収口（ハ）が設けられ、さらに網（ロ）の下方にはス
チロール溶解液を収容する収容部（ニ）が設けられてい
る。

【００１４】前記芳香族有機溶媒タンク３は、溶媒液を
収容した容器であり、この溶媒タンク３と前記収容部
（ニ）との間には、溶媒タンク３内から収容部（ニ）に
溶媒液を循環させるための循環パイプ３ａと、循環ポン
プ（１Ｐ）と、循環量調整バルブ（１Ｖ）とを備えてい
る。

【００１５】前記溶媒噴射装置４は、収容部（ニ）内に
収容された溶媒液を溶解室２内の上部から網（ロ）方向
へシャワー状に噴射する溶媒噴射口（ヘ）と、溶媒噴射
ポンプ（２Ｐ）と、溶媒噴射量調整バルブ（２Ｖ）とで
構成されている。

【００１６】前記加熱装置５は、石油及びガスを熱源と
する熱媒ボイラー９とタンク５内に渦巻状態で挿通され
た流通パイプ５ａの一部とで構成されていて、収容部
（ニ）から定量性ポンプ（５Ｐ）によって流通パイプ５
ａを流通するスチロール溶解液を５０℃〜２００℃に加
熱するようになっている。

【００１７】前記真空タンク６は溶解室２の収容部
（ニ）からスチロール溶解液を定量性ポンプ５Ｐにて加
熱パイプ５ａを介して噴射する密閉タンクであって、そ
の一側壁には冷却装置７と真空ポンプ３Ｐが接続されて
いる。冷却塔７内に吸引された溶媒ガスを冷却し液化さ
せ、溶媒タンク３に循環させる。

【００１８】尚、図において、６Ｖはポリスチレン取出
バルブ、８はポリスチレン押出、切断機が設けられてい
る。

【００１９】次に、実施例の廃棄発泡スチロール処理装
置による廃棄発泡スチロール処理方法について説明す
る。まず、第１工程では、破砕機１へ廃棄発泡スチロー
ルＨを順次投入すると、回転刃（イ）によって廃棄発泡
スチロールＨが小さく破砕されて溶解室２の網（ロ）上
に落下する。

【００２０】続く第２工程では、溶媒噴射装置４によ
り、網容器２の網（ロ）上に受け止められた発泡スチロ
ールＨに向けて溶媒液をシャワー状に噴射することによ
り、発泡スチロールＨを液状に溶解するもので、これに
より、発泡スチロール以外の異物は網（ロ）上に残し、
発泡スチロールが溶解されたスチロール溶解液は網
（ロ）を通過させて収容部（ニ）内に滴下させて分離回
収する。尚、網（ロ）上に残った異物は、ゴミ回収口
（ハ）から定期的に外部に回収する。即ち、廃棄発泡ス
チロールに付着したラベルや粘着テープ等の異物を予め
除去したり洗浄したりする面倒な作業を省略することが
でき、これにより、作業能率を高めることができる。

【００２１】続く第３工程では、スチロール溶解液を低
温加熱装置５で低温加熱（５０℃〜２００℃）した状態
で真空タンク６内に放出することにより、溶媒を効率的
にガス状に分離する一方で、ポリスチレンを真空タンク
６内低部に収容すると共に溶媒ガスを真空タンク６内よ
り冷却装置７に吸引して冷却し常温常圧の溶媒タンク３
内に放出することで溶媒を回収する。即ち、低温による
処理のため、パイプ内での重合物の発生を防止し、パイ
プ等の閉塞が防止できる。

【００２２】続く第４工程では真空タンク６内に収容さ
れたポリスチレンはポリスチレン取出バルブ６Ｖを開放
して、ポリスチレン押出機により外部に取り出し、切断
機によって切断してペレットとして回収する。

【００２３】尚、この実施例の廃棄発泡スチロール処理
装置では、必要により、流通パイプ５ａ内のクリーニン
グを行うことができるようになっている。即ち、破砕機
１及び溶媒噴射装置４の作業を停止させ、かつ、開閉バ
ルプ１Ｖ、３Ｖ、５Ｖを閉じて接続パイプ１ａ側の開閉
バルブ４Ｖを開いた状態で、１Ｐのポンプを作動させる
ことにより、溶媒タンク３内の溶媒液を、循環パイプ５
ａ及び接続パイプ１ａを経由して送り込むことにより、
加熱パイプ５ａ内のクリーニングを行うものである。

【００２４】以上説明したように、本発明の廃棄発泡ス
チロール処理方法は、スチロール残渣と溶媒が効率的に
分離されると共に、溶媒の回収率が高く、かつ、安全面
でも優れたものである。

【００２５】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の廃棄
発泡スチロール処理方法では、第１工程で破砕した発泡
スチロールを、第２工程で網容器内に収容した状態で芳
香族有機溶媒液を噴射して発泡スチロールを液状に溶解
することにより、発泡スチロール以外の異物は網容器内
に残し、発泡スチロールが溶解されたスチロール溶解液
は網容器を通過させて分離回収することにより、廃棄発
泡スチロールに付着したラベルや粘着テープ等の異物を
予め除去したり洗浄したりする面倒な作業を省略するこ
とができ、これにより、作業能率を高めることができる
ようになる。

【００２６】また、続く第３工程において、スチロール
溶解液を低温加熱（５０℃〜２００℃）した状態で真空
タンク内に放出することにより、溶媒を効率的にガス状
に分離し、これを冷却し常温常圧のタンク内に放出する
ことで溶媒液に戻すことができると共に、低温であるた
め、パイプ内での重合の発生を防止し、スチロール溶解
液からポリスチレンを効率的に回収することができるよ
うになる。

【００２７】また、低温加熱（５０℃〜２００℃）であ
るため、安全面においても優れた方法である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明一実施例の廃棄発泡スチロール処理方法
の実施に用いられる廃棄発泡スチロール処理装置を示す
構造図である。

【符号の説明】

Ｈ 発泡スチロール １Ｐ 溶媒循環ポ
ンプ １ 破砕機 ２Ｐ 溶媒噴射ポ
ンプ ２ 溶解室 ３Ｐ 真空ポンプ ３ 芳香族有機溶媒タンク ５Ｐ 定量性ポン
プ ４ 溶媒噴射装置 ５ 加熱装置 １Ｖ 溶媒循環量
調整バルブ ６ 真空タンク ２Ｖ 溶媒噴射量
調整バルブ １０ クーリングタワー・チラー ６Ｖ ポリスチレ
ン取出バルブ イ 歯車 １ａ クリーニン
グ接続パイプ ロ 網 ３ａ 溶媒タンク
〜収容部接続パイプ ハ ゴミ回収口 ５ａ 加熱流通パ
イプ ニ 溶液収容部 ホ 濾過装置 ヘ 溶媒噴射口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発泡スチロールを破砕機で破砕する第１
   工程と、破砕した発泡スチロールを網容器内に収容した
   状態で沸点２５０℃以下の芳香族有機溶媒を噴射して発
   泡スチロールを液状に溶解することにより、発泡スチロ
   ール以外の異物は網容器内に残し、発泡スチロールが溶
   解されたスチロール溶解液は網容器を通過させて分離回
   収する第２工程と、スチロール溶解液を低温加熱（５０
   ℃〜２００℃）した状態で真空タンク内に放出すること
   により、芳香族有機溶媒液をガス状に分離する一方で、
   ポリスチレンを真空タンク内に収容すると共に、分離さ
   れた溶媒ガスを真空タンク内より吸収冷却して常温常圧
   のタンク内に放出することで溶媒液に戻す第３工程と、
   真空タンク内に収容されたポリスチレンを外部へ取り出
   す第４工程とからになることを特徴とする廃棄発泡スチ
   ロール処理方法。