JP2604313B2 - プラスチックの熱分解装置 - Google Patents

プラスチックの熱分解装置

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JP2604313B2 JP5189571A JP18957193A JP2604313B2 JP 2604313 B2 JP2604313 B2 JP 2604313B2 JP 5189571 A JP5189571 A JP 5189571A JP 18957193 A JP18957193 A JP 18957193A JP 2604313 B2 JP2604313 B2 JP 2604313B2
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健一 長井
善利 関口
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Liquid Carbonaceous Fuels (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば廃プラスチ
ックを融解して熱分解させ、発生した熱分解ガスを冷
却、凝縮させ、熱分解油として回収する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】このようなプラスチックの熱分解方法の
1つとして、原料のプラスチックを熱分解反応器内にお
いて融解させると同時に熱分解させ、熱分解により発生
したガスを触媒層に送って低炭素鎖の炭化水素に分解し
た後、冷却、凝縮させることにより軽質の油を回収する
方法が実施されている。
【0003】ところで、このような方法において、原料
となるプラスチックは、通常産業廃棄物としてプラスチ
ック生産業者から排出されたものや、分別ごみとして排
出されたものが多い。したがって、原料プラスチックに
は、金属やガラス等の異物が混入している。このような
異物は、上記方法において融解時に融解液中に放出さ
れ、連続的にプラスチックの熱分解処理を行っていると
融解液中に蓄積し、プラスチックを融解させるとともに
熱分解させる熱分解反応器内に充満するという問題が生
じる。
【0004】そこで、従来、上記問題を解決するため
に、間欠的に装置の運転を停止し、装置を常温近くまで
冷却した後蓄積した異物を除去している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法では、異物除去のために装置を常温付近まで冷
却するさいのエネルギーロスと、異物除去後再運転を行
なうまでの昇温に要するエネルギーロスが大きくなり、
熱分解に要する燃費が悪くなるという問題がある。
【0006】この発明の目的は、上記問題を解決し、装
置を停止させることなく異物を系外に除去することがで
き、異物除去のさいのエネルギーロスを低減しうるとと
もに、異物排出用配管の閉塞を防止しうるプラスチック
の熱分解装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明によるプラスチ
ックの熱分解装置は、内部でプラスチックを融解させる
とともに熱分解させる熱分解反応器と、一端が熱分解反
応器に接続され、かつ熱分解反応器内の融解液およびそ
の中に混入している異物を排出する異物排出用配管と、
異物排出用配管の他端が接続されている異物捕集容器
と、異物捕集容器内の圧力を大気圧以下に調整する圧力
調整手段と、熱分解反応器で発生した熱分解ガスを冷却
し凝縮させて熱分解油を得る冷却凝縮槽と、冷却凝縮槽
で得られた熱分解油を貯留する油タンクと、油タンクと
異物排出用配管とを接続する導管とを備えているもので
ある。
【0008】
【作用】上記のように構成されているプラスチックの熱
分解装置によれば、圧力調整手段により異物捕集容器内
の圧力が大気圧よりも低くなるように調整すると、熱分
解反応器内のプラスチックの融解液およびその中に混入
している異物は、異物排出用配管を通って異物捕集容器
内に吸引される。また、融解液および異物の吸引を停止
した後、異物排出用配管に付着残留した融解液が冷却、
凝固すると、配管が閉塞するおそれがある。そこで、熱
分解油を貯留している油タンクから導管を通して異物排
出用配管内に熱分解油を送り込むと、この熱分解油の働
きによって凝固していた融解液が溶解される。
【0009】
【実施例】以下、この発明の実施例を、図面を参照して
説明する。
【0010】図1はこの発明によるプラスチックの熱分
解装置を示す。
【0011】図1において、プラスチックの熱分解装置
は、原料プラスチックを融解させるとともに熱分解させ
る熱分解反応器(1) と異物捕集容器(2) とを備えてい
る。
【0012】熱分解反応器(1) は、加熱用バーナ(3) を
有する炉(4) 内に配置されている。熱分解反応器(1) の
底面は下方に凹んだ凹球面状となっている。熱分解反応
器(1) の蓋(1a)に、原料プラスチックの供給管(5) と、
熱分解ガスの排出管(6) とが接続されている。供給管
(5) はバルブ(7) を介して原料ホッパ(8) に接続されて
いる。排出管(6) は、炭化水素のさらなる分解を行なう
触媒層を有する槽(9) に接続されている。触媒層を有す
る槽(9) は導管(10)を介して熱交換器(11)を備えた冷却
凝縮槽(12)に接続されている。冷却凝縮槽(12)に排ガス
管(13)が接続され、排気ブロワ(14)により凝縮しなかっ
た低炭素数炭化水素を主成分とするガスが、図示しない
排ガス処理設備に送られるようになっている。また、冷
却凝縮槽(12)の下方に連なって回収された熱分解油を貯
留する油タンク(15)が設けられている。
【0013】熱分解反応器(1) の蓋(1a)を貫通して、中
空状の垂直回転軸(16)が配置されている。垂直回転軸(1
6)と蓋(1a)における回転軸(16)が貫通した穴の周囲との
間はシール装置(17)によりシールされている。垂直回転
軸(16)の下端部は熱分解反応器(1) の底部近傍に位置し
ている。垂直回転軸(16)の上端部は蓋(1a)よりも上方に
位置しており、歯車(18)(19)を介して駆動モータ(20)に
連結されている。また、垂直回転軸(16)の下端部に複数
の攪拌羽根(21)が固定状に設けられている。各攪拌羽根
(21)は、熱分解反応器(1) の底面の形状に合わせて略円
弧状に湾曲している。
【0014】垂直回転軸(16)内に異物吸引管(22)が配置
されている。異物吸引管(22)の上端部は垂直回転軸(16)
の上端よりも上方に伸びており、導管(23)を介して異物
捕集容器(2) に接続されている。そして、異物吸引管(2
2)と導管(23)とにより異物排出用配管が構成されてい
る。異物吸引管(22)と導管(23)との間にバルブ(24)が設
けられるとともに導管(23)の途中にバルブ(25)が設けら
れており、両バルブ(23)(25)間に油タンク(15)からのび
た油送管(26)(導管)が接続されている。油送管(26)に
は、バルブ(27)と、油タンク(15)から熱分解油を導管(2
3)に圧送するポンプ(28)が設けられている。また、垂直
回転軸(16)の上端と異物吸引管(22)との間はシール装置
(29)によりシールされている。
【0015】異物捕集容器(2) には、バルブ(30)を介し
て真空ポンプ(31)(圧力調整手段)が接続されている。
通常、バルブ(25)(30)が開状態となされるとともにバル
ブ(24)(27)が閉状態となされ、さらに真空ポンプ(31)が
運転させられることにより導管(23)を含んで異物捕集容
器(2) 内が真空状態となされている。
【0016】このような構成において、産業廃棄物等の
異物を混入した原料プラスチックは、原料ホッパ(8) か
ら供給管(5) を通して熱分解反応器(1) に供給される。
この原料プラスチックは、加熱用バーナ(3) の燃焼熱に
より加熱、融解され、融解液(32)となる。融解液(32)
は、プラスチックの種類にもよるが140℃以上に維持
されると熱分解反応を起こし、熱分解ガスが発生する。
ここで、反応を促進するために、垂直回転軸(16)を駆動
モータ(20)により回転させ、熱分解反応器(1) 内の融解
液(32)を攪拌羽根(21)により攪拌する。発生したガスは
炭素数1〜40の炭化水素ガスを主成分とするものであ
り、排出管(6) を通って触媒充填層を有する槽(9) に送
られ、ここでさらに低炭素数の炭化水素に分解される。
低炭素数の炭化水素に分解されたガスは、導管(10)を通
って冷却凝縮槽(12)に送られ、熱交換器(11)内を流れる
冷却水により冷却されて凝縮し、軽質の熱分解油として
回収される。この熱分解油は油タンク(15)に貯留され
る。冷却凝縮槽(12)中で凝縮しなかった低炭素数炭化水
素を主成分とするガスは、排気ブロワ(14)により排ガス
管(13)を経て図示しない排ガス処理設備に送られ、ここ
で処理される。また、油タンク(15)内の熱分解油は、そ
の出口に設けられたバルブ(15a) を開状態とすることに
より、油タンク(15)から送り出されて適宜の用途に使用
される。
【0017】このような操作を続けると、融解液(32)の
中に混入していた金属、ガラス等の異物(33)は熱分解反
応器(1) 内で蓄積してくる。すると、金属、ガラス等の
比重の大きい異物(33)は、攪拌羽根(21)の形状による凝
集効果と熱分解反応器(1) の底面の形状とによって熱分
解反応器(1) の底面の中央部に集積してくる。集積した
異物(33)の量が多くなると、攪拌羽根(21)の損傷や熱分
解反応器(1) の底部での融解液(32)の焦げ付きといった
問題が生じる。これを防止するため、バルブ(24)とバル
ブ(27)を閉状態とするとともにバルブ(25)とバルブ(30)
とを開状態として真空ポンプ(31)を運転し、ついでバル
ブ(24)を開状態にすると、異物捕集容器(2) 内が真空状
態にされ、熱分解反応器(1) 内の融解液(32)は異物(33)
とともに異物吸引管(22)および導管(23)を経て異物捕集
容器(2) 内に吸引される。こうして、熱分解装置の運転
を停止することなく、異物(33)が除去される。そして、
一定量の融解液(32)吸引後、バルブ(24)を閉状態として
バルブ(24)とバルブ(25)との間の部分に残留している融
解液(32)を吸引し、バルブ(25)とバルブ(30)とを閉状態
として真空ポンプ(31)の運転を停止すれば、異物除去操
作が終了する。運転時の真空ポンプ(31)の排気は、図1
に破線で示す配管(34)を通して排ガス管(13)に送られ
る。
【0018】なお、プラスチックを熱分解するさいには
無機炭素が必然的に発生し、融解液(32)中に蓄積する。
金属、ガラス等の異物(33)を除去するのとは別に、融解
液(32)の吸引を定期的に、あるいは随時行なうことによ
って、無機炭素の熱分解反応器(1) 内への蓄積を防止す
ることができる。
【0019】上述したような異物除去操作の終了後、異
物吸引管(22)の上部と導管(23)の中には融解液(32)の一
部が残留し、このままでは運転を継続しているうちに残
留融解液(32)が冷却固化する。異物除去操作を行なう間
隔が短時間である場合にはこのような残留融解液(32)の
冷却固化は起きないが、上記間隔が長時間になる場合に
は、残留融解液(32)の冷却固化は回避できない。そし
て、冷却固化する融解液(32)は、長い炭素鎖を持つ炭化
水素が主成分となっているので、異物吸引管(22)および
導管(23)の内周面に付着すると、異物吸引管(22)および
導管(23)の内部横断面積を減少させる。異物除去操作の
回数が少ない場合には、異物吸引管(22)および導管(23)
の内部横断面積を減少させる程度であり、次の異物除去
操作のさいに高温の融解液(32)が流れるので再溶解し問
題とならないが、異物除去操作を数多く繰り返して行う
と、異物吸引管(22)および導管(23)の曲り部やバルブ(2
4)(25)付近等において凝固物が成長し、ついには異物吸
引管(22)および導管(23)が閉塞して吸引ができなくなる
ことがある。
【0020】そこで、異物除去操作終了後、バルブ(27)
を開状態とし、ポンプ(28)で圧力をかけながら油タンク
(15)内の熱分解油を油送管(26)を通して導管(23)内に送
り込む。導管(23)は融解液(32)の余熱により温度が下が
りきっていないため、送り込まれた熱分解油の一部が蒸
発して導管(23)内が加圧状態となると同時に、長炭素鎖
の炭化水素を主成分とする残留融解液(32)が熱分解油中
に溶解される。この状態でバルブ(24)を開状態にする
と、気液混合状態となって吸引管(22)中に噴出し、吸引
管(22)上部に滞留していた残留融解液(32)を熱分解反応
器(1) 内に戻すとともに、吸引管(22)内周面の付着融解
液(32)を溶解、洗浄して熱分解反応器(1)内に戻す。一
定時間経過後、バルブ(27)およびバルブ(24)の順に閉状
態とし、ポンプ(28)の運転を停止すれば吸引管(22)およ
び吸引管(22)からバルブ(25)までの導管(23)内部はきれ
いに洗浄され、次の異物除去操作に全く支障のない状態
となる。熱分解反応器(1) に戻された熱分解油は、反応
器(1) 内で再び蒸発し、冷却凝縮槽(12)で油として回収
されるので消費されることはない。なお、バルブ(25)と
異物捕集容器(2) との間の導管(23)内部を洗浄する必要
がある場合には、バルブ(24)が閉状態にあるときにバル
ブ(27)とバルブ(25)とを開状態にすれば、この配管系は
真空状態にあるので、上述した場合と同様に気液混合状
態で洗浄が行なわれる。
【0021】上記において、洗浄に用いられる油タンク
(15)内の熱分解油は、もともと融解液(32)の炭素鎖が切
断されて生成したものであるので、付着凝固した融解液
(32)を極めて容易に溶解することができ、しかも付着凝
固した融解液(32)に対する比率がいかなるものであって
もこれの溶解が可能になる。
【0022】具体的にこの発明の装置の効果を確認する
ために、原料プラスチックとして、ポリエチレン、ポリ
プロピレンおよびポリスチレンを用いて、上述したよう
な操作を行なったところ、いずれの場合も吸引管(22)お
よび導管(23)の閉塞は認められなかった。
【0023】
【発明の効果】この発明のプラスチックの熱分解装置に
よれば、上述のようにして、プラスチックの融解液中に
混入している異物を除去することができる。したがっ
て、装置を停止して常温付近まで冷却する必要はないの
で、異物除去のさいのエネルギーロスを低減し、熱分解
に要する燃費が向上する。
【0024】また、定期的に油タンクから異物排出用配
管内に熱分解油を送り込むことにより、この熱分解油の
働きによって凝固していた融解液が溶解されるので、異
物排出用配管の閉塞を防止できる。しかも、これに利用
した熱分解油は、再度回収されるので、無駄がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の熱分解装置を示す垂直断面
図である。
【符号の説明】
1 熱分解反応器 2 異物捕集容器 12 冷却凝縮槽 15 油タンク 22 異物吸引管 23 導管 26 油送管(導管) 31 真空ポンプ(圧力調整手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橘 登志夫 大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日 立造船株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−313173(JP,A) 特開 平6−316695(JP,A) 実公 平4−44608(JP,Y2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部でプラスチックを融解させるととも
    に熱分解させる熱分解反応器と、一端が熱分解反応器に
    接続され、かつ熱分解反応器内の融解液およびその中に
    混入している異物を排出する異物排出用配管と、異物排
    出用配管の他端が接続されている異物捕集容器と、異物
    捕集容器内の圧力を大気圧以下に調整する圧力調整手段
    と、熱分解反応器で発生した熱分解ガスを冷却し凝縮さ
    せて熱分解油を得る冷却凝縮槽と、冷却凝縮槽で得られ
    た熱分解油を貯留する油タンクと、油タンクと異物排出
    用配管とを接続する導管とを備えているプラスチックの
    熱分解装置。
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