JPH10212571A - 炭素被膜形成用ターゲット材 - Google Patents
炭素被膜形成用ターゲット材Info
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- JPH10212571A JPH10212571A JP9031306A JP3130697A JPH10212571A JP H10212571 A JPH10212571 A JP H10212571A JP 9031306 A JP9031306 A JP 9031306A JP 3130697 A JP3130697 A JP 3130697A JP H10212571 A JPH10212571 A JP H10212571A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 スパッタリングにより、均質で優れた硬度を
有する炭素保護膜を歩留りよく、長期間に亘って安定し
て形成することができる炭素被膜形成用ターゲット材を
提供する。 【解決手段】 表層部と中心部における、黒鉛六角網面
層の平均格子面間隔d00 2 の差が0.01nm以下、結晶
子の大きさLc(002)の差が1.5nm以下の結晶性状を備
えるガラス状カーボン板からなる炭素被膜形成用ターゲ
ット材。好ましくは、中心部における黒鉛六角網面層の
平均格子面間隔d002 の値が0.345〜0.365n
m、結晶子の大きさLc(002)の値が1.3〜4.0nmで
ある。
有する炭素保護膜を歩留りよく、長期間に亘って安定し
て形成することができる炭素被膜形成用ターゲット材を
提供する。 【解決手段】 表層部と中心部における、黒鉛六角網面
層の平均格子面間隔d00 2 の差が0.01nm以下、結晶
子の大きさLc(002)の差が1.5nm以下の結晶性状を備
えるガラス状カーボン板からなる炭素被膜形成用ターゲ
ット材。好ましくは、中心部における黒鉛六角網面層の
平均格子面間隔d002 の値が0.345〜0.365n
m、結晶子の大きさLc(002)の値が1.3〜4.0nmで
ある。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種基材面にスパ
ッタリングにより炭素被膜を形成する際に炭素源として
用いるターゲット材、特に磁気記録装置の磁気ディスク
や磁気ヘッド等に均質な炭素被膜を長期間に亘って安定
に形成することのできる炭素被膜形成用ターゲット材に
関する。
ッタリングにより炭素被膜を形成する際に炭素源として
用いるターゲット材、特に磁気記録装置の磁気ディスク
や磁気ヘッド等に均質な炭素被膜を長期間に亘って安定
に形成することのできる炭素被膜形成用ターゲット材に
関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録装置のハードディスクは常に磁
気ヘッドと摺接しながら使用されるため、摺動面に損傷
を受け易い。したがって、磁気ヘッドや記録媒体の磁性
層を保護する目的でその表面に摩擦抵抗の少ない炭素被
膜が形成されている。この炭素被膜は、通常、高周波ス
パッタリングまたは直流スパッタリングにより炭素源を
基材面に衝突させて形成されるが、炭素源となるターゲ
ット材としては従来から黒鉛材料が用いられている。
気ヘッドと摺接しながら使用されるため、摺動面に損傷
を受け易い。したがって、磁気ヘッドや記録媒体の磁性
層を保護する目的でその表面に摩擦抵抗の少ない炭素被
膜が形成されている。この炭素被膜は、通常、高周波ス
パッタリングまたは直流スパッタリングにより炭素源を
基材面に衝突させて形成されるが、炭素源となるターゲ
ット材としては従来から黒鉛材料が用いられている。
【0003】しかしながら、黒鉛材料には微細な気孔が
多く存在し、また組織の緻密性が低く灰分などの不純物
も多いので、スパッタリング時に組織内から脱離した炭
素粒子や不純物が炭素被膜中に混入し、長期に亘って安
定に均質な炭素被膜を形成することができない問題があ
る。
多く存在し、また組織の緻密性が低く灰分などの不純物
も多いので、スパッタリング時に組織内から脱離した炭
素粒子や不純物が炭素被膜中に混入し、長期に亘って安
定に均質な炭素被膜を形成することができない問題があ
る。
【0004】そこで、黒鉛材料に比べて材質組織が緻密
で不純物の少ないガラス状カーボンが注目され、例え
ば、他の部材と摺設する摺設部品の表面に炭素被膜を形
成する炭素被膜の製造方法において、ガラス状カーボン
を炭素源としてスパッタリングにより炭素被膜を形成す
ることを特徴とする炭素被膜の製造方法(特公平6−29
36号公報)が提案されている。また、特定の樹脂原料を
用いるものとして、特開平7−286269号公報には
ポリカルボジイミド樹脂を原料として製造したガラス状
炭素からなることを特徴とする薄膜形成用炭素ターゲッ
ト材が開示されている。
で不純物の少ないガラス状カーボンが注目され、例え
ば、他の部材と摺設する摺設部品の表面に炭素被膜を形
成する炭素被膜の製造方法において、ガラス状カーボン
を炭素源としてスパッタリングにより炭素被膜を形成す
ることを特徴とする炭素被膜の製造方法(特公平6−29
36号公報)が提案されている。また、特定の樹脂原料を
用いるものとして、特開平7−286269号公報には
ポリカルボジイミド樹脂を原料として製造したガラス状
炭素からなることを特徴とする薄膜形成用炭素ターゲッ
ト材が開示されている。
【0005】更に、本出願人は特定性状のガラス状カー
ボンが炭素被膜形成用のターゲット材として好適である
ことを見出し、嵩密度が1.47g/cc以上、組織気孔の
ポア径が10μm 以下でポア含有率が5%以下の均質緻
密性状を有し、かつ総灰分が10ppm 以下の高純度特性
を備えるガラス状カーボンからなることを特徴とする炭
素被膜形成用ターゲット材を開発し、特開平7−707
46号公報として提案した。
ボンが炭素被膜形成用のターゲット材として好適である
ことを見出し、嵩密度が1.47g/cc以上、組織気孔の
ポア径が10μm 以下でポア含有率が5%以下の均質緻
密性状を有し、かつ総灰分が10ppm 以下の高純度特性
を備えるガラス状カーボンからなることを特徴とする炭
素被膜形成用ターゲット材を開発し、特開平7−707
46号公報として提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、更に被膜
形成用ターゲット材として好ましいガラス状カーボンの
材質性状について研究を進めた結果、組織構造が均質
で、特定の結晶性状を備えたガラス状カーボンを用いる
と長期間に亘って安定した炭素被膜が形成できることを
確認した。
形成用ターゲット材として好ましいガラス状カーボンの
材質性状について研究を進めた結果、組織構造が均質
で、特定の結晶性状を備えたガラス状カーボンを用いる
と長期間に亘って安定した炭素被膜が形成できることを
確認した。
【0007】本発明はこの知見に基づいて開発されたも
のであり、その目的は、スパッタリングにより形成され
る炭素被膜の均質性が高く、かつターゲット材の消耗量
に関わらず長期間に亘って安定して炭素被膜を形成する
ことのできるターゲット材を提供することにある。
のであり、その目的は、スパッタリングにより形成され
る炭素被膜の均質性が高く、かつターゲット材の消耗量
に関わらず長期間に亘って安定して炭素被膜を形成する
ことのできるターゲット材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による炭素被膜形成用ターゲット材は、表層
部と中心部における、黒鉛六角網面層の平均格子面間隔
d002 の差が0.01nm以下、結晶子の大きさLc(002)
の差が1.5nm以下の結晶性状を備えるガラス状カーボ
ン板からなることを構成上の特徴とする。
めの本発明による炭素被膜形成用ターゲット材は、表層
部と中心部における、黒鉛六角網面層の平均格子面間隔
d002 の差が0.01nm以下、結晶子の大きさLc(002)
の差が1.5nm以下の結晶性状を備えるガラス状カーボ
ン板からなることを構成上の特徴とする。
【0009】これらの結晶性状に加えて、中心部におけ
る黒鉛六角網面層の平均格子面間隔d002 の値が0.3
45〜0.365nm、結晶子の大きさLc(002)の値が
1.3〜4.0nmの材質性状を備えるガラス状カーボン
板であると、一層優れた効果を発揮することができる。
る黒鉛六角網面層の平均格子面間隔d002 の値が0.3
45〜0.365nm、結晶子の大きさLc(002)の値が
1.3〜4.0nmの材質性状を備えるガラス状カーボン
板であると、一層優れた効果を発揮することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】ガラス状カーボンは、フェノール
系樹脂、フラン系樹脂などの炭化残留率の高い熱硬化性
樹脂、芳香族ポリイミド、ポリカルボジイミドなどのポ
リイミド系樹脂などを固相炭化して得られるもので、通
常の黒鉛材や炭素材のように炭素粒子が集合した組織構
造とは異なり、無定形ガラス状の連続緻密組織を呈する
特異な炭素構造体であり、巨視的には無孔組織の硬質組
織を有し、高強度、低化学反応性、ガス不透過性、自己
潤滑性などに優れ、不純物が少ないなどの特性を有して
おり、スパッタリングによってターゲット材が消耗する
過程で粒子の脱落によって、炭素被膜にパーティクルが
発生することは少ない。
系樹脂、フラン系樹脂などの炭化残留率の高い熱硬化性
樹脂、芳香族ポリイミド、ポリカルボジイミドなどのポ
リイミド系樹脂などを固相炭化して得られるもので、通
常の黒鉛材や炭素材のように炭素粒子が集合した組織構
造とは異なり、無定形ガラス状の連続緻密組織を呈する
特異な炭素構造体であり、巨視的には無孔組織の硬質組
織を有し、高強度、低化学反応性、ガス不透過性、自己
潤滑性などに優れ、不純物が少ないなどの特性を有して
おり、スパッタリングによってターゲット材が消耗する
過程で粒子の脱落によって、炭素被膜にパーティクルが
発生することは少ない。
【0011】しかしながら、原料樹脂の硬化成形体を焼
成炭化する際に、一般的に表層部近傍に対して内部にお
ける炭化反応に遅れが生じ、表層部近傍が先に炭化反応
が進み、内部は緊張を受けた状態で炭化反応が進行す
る。したがって、表層部と内部とでは組織構造、特に結
晶性状に差異が発生する。このような、結晶性状に差異
があるガラス状カーボン材をターゲット材として炭素被
膜を形成すると、ターゲット材が不均等に消耗するため
に炭素被膜の均質性が劣ることとなり、長期に亘って安
定に均質な炭素被膜を形成することが困難となる。
成炭化する際に、一般的に表層部近傍に対して内部にお
ける炭化反応に遅れが生じ、表層部近傍が先に炭化反応
が進み、内部は緊張を受けた状態で炭化反応が進行す
る。したがって、表層部と内部とでは組織構造、特に結
晶性状に差異が発生する。このような、結晶性状に差異
があるガラス状カーボン材をターゲット材として炭素被
膜を形成すると、ターゲット材が不均等に消耗するため
に炭素被膜の均質性が劣ることとなり、長期に亘って安
定に均質な炭素被膜を形成することが困難となる。
【0012】本発明は、ガラス状カーボンの表層部と内
部の組織構造、特に結晶性状の均一なガラス状カーボン
材をターゲット材とすることにより、スパッタリングに
よる消耗が進行しても均一な炭素被膜の形成を可能とす
るものである。黒鉛六角網面層の平均格子面間隔d002
および結晶子の大きさLc(002)はX線回折法により得ら
れるC(002)回折ピークから算出される黒鉛化の結晶度
合を示す指標であり、本発明で特定する表層部と中心部
における、黒鉛六角網面層の平均格子面間隔d002 の差
が0.01nm以下、結晶子の大きさLc(002)の差が1.
5nm以下の結晶性状は、表層部と内部における結晶組織
構造の均一性が高いことに特徴を有するものである。こ
の平均格子面間隔d002 の差が0.01nmを越えたり、
結晶子の大きさLc(002)の差が1.5nmを越えると、ス
パッタリング時の消耗によって形成される炭素被膜の質
的差が増大して、長期に亘って安定に、均質な炭素被膜
を形成することができなくなる。
部の組織構造、特に結晶性状の均一なガラス状カーボン
材をターゲット材とすることにより、スパッタリングに
よる消耗が進行しても均一な炭素被膜の形成を可能とす
るものである。黒鉛六角網面層の平均格子面間隔d002
および結晶子の大きさLc(002)はX線回折法により得ら
れるC(002)回折ピークから算出される黒鉛化の結晶度
合を示す指標であり、本発明で特定する表層部と中心部
における、黒鉛六角網面層の平均格子面間隔d002 の差
が0.01nm以下、結晶子の大きさLc(002)の差が1.
5nm以下の結晶性状は、表層部と内部における結晶組織
構造の均一性が高いことに特徴を有するものである。こ
の平均格子面間隔d002 の差が0.01nmを越えたり、
結晶子の大きさLc(002)の差が1.5nmを越えると、ス
パッタリング時の消耗によって形成される炭素被膜の質
的差が増大して、長期に亘って安定に、均質な炭素被膜
を形成することができなくなる。
【0013】この場合、ガラス上カーボン材の材質組織
として、中心部における黒鉛六角網面層の平均格子面間
隔d002 の値が0.345〜0.365nm、結晶子の大
きさLc(002)の値が1.3〜4.0nmの材質性状を備え
ると、より一層優れた効果を発揮することができる。黒
鉛六角網面層の値が0.345nmを下回り、結晶子の大
きさLc(002)の値が4.0nmを越えると黒鉛化が進んで
黒鉛粒子が存在するようになり、スパッタリング時の黒
鉛粒子の脱落が多くなり、一方黒鉛六角網面層の値が
0.365nmを越え、結晶子の大きさLc(002)の値が
1.3nm未満では非晶質の組織構造となるために均質な
炭素被膜を形成することが困難となる。
として、中心部における黒鉛六角網面層の平均格子面間
隔d002 の値が0.345〜0.365nm、結晶子の大
きさLc(002)の値が1.3〜4.0nmの材質性状を備え
ると、より一層優れた効果を発揮することができる。黒
鉛六角網面層の値が0.345nmを下回り、結晶子の大
きさLc(002)の値が4.0nmを越えると黒鉛化が進んで
黒鉛粒子が存在するようになり、スパッタリング時の黒
鉛粒子の脱落が多くなり、一方黒鉛六角網面層の値が
0.365nmを越え、結晶子の大きさLc(002)の値が
1.3nm未満では非晶質の組織構造となるために均質な
炭素被膜を形成することが困難となる。
【0014】このようにして、本発明で特定した結晶性
状を有するガラス状カーボン材で炭素被膜形成用ターゲ
ット材を構成することにより、ブリスター(花咲き現象
と呼ばれる膨れ)の発生がなく、均一な硬度を有し、組
織構造の均質な炭素被膜を歩留りよく形成することが可
能となる。
状を有するガラス状カーボン材で炭素被膜形成用ターゲ
ット材を構成することにより、ブリスター(花咲き現象
と呼ばれる膨れ)の発生がなく、均一な硬度を有し、組
織構造の均質な炭素被膜を歩留りよく形成することが可
能となる。
【0015】本発明で特定された結晶性状のガラス状カ
ーボン材は、原料樹脂の硬化条件および焼成炭化条件を
適宜に調整することにより得ることができる。例えば、
樹脂成形体の硬化反応は発熱反応であり、また熱伝導率
が低いので、表面に比べて内部に熱がこもり易く、内部
における硬化反応が早く進行する。これは樹脂成形体が
肉厚になる程、また昇温速度が大きい程著しくなる。し
たがって、硬化反応時の昇温速度を小さくすることが効
果的であり、硬化反応時の昇温速度を10℃/hr以下、
好ましくは5℃/hr以下、更に好ましくは2℃/hr以下
に設定する。更に、硬化反応の終了後にその温度に一定
時間保持して完全硬化することも有効である。
ーボン材は、原料樹脂の硬化条件および焼成炭化条件を
適宜に調整することにより得ることができる。例えば、
樹脂成形体の硬化反応は発熱反応であり、また熱伝導率
が低いので、表面に比べて内部に熱がこもり易く、内部
における硬化反応が早く進行する。これは樹脂成形体が
肉厚になる程、また昇温速度が大きい程著しくなる。し
たがって、硬化反応時の昇温速度を小さくすることが効
果的であり、硬化反応時の昇温速度を10℃/hr以下、
好ましくは5℃/hr以下、更に好ましくは2℃/hr以下
に設定する。更に、硬化反応の終了後にその温度に一定
時間保持して完全硬化することも有効である。
【0016】また、焼成炭化時に表層部に比べて内部の
炭化反応は遅れが生じるので、焼成条件を厳密に制御す
ることにより、組織構造の均質化を図ることが重要であ
る。そのために、焼成炭化時の昇温速度を小さくして、
表層部と内部における温度差を少なくすることが必要で
あり、昇温速度を4℃/hr以下に設定することが有効で
ある。また、炭化反応において炭化分解の著しい温度、
ガス発生の著しい温度、炭化反応がほぼ終了し構造変化
の起きる温度、などで一定時間保持することも組織の不
均質化を防止する上で効果的である。例えば、300〜
400℃、400〜500℃、500〜600℃などの
温度域で各5時間程度保持することにより、組織構造の
均質化を図ることができる。
炭化反応は遅れが生じるので、焼成条件を厳密に制御す
ることにより、組織構造の均質化を図ることが重要であ
る。そのために、焼成炭化時の昇温速度を小さくして、
表層部と内部における温度差を少なくすることが必要で
あり、昇温速度を4℃/hr以下に設定することが有効で
ある。また、炭化反応において炭化分解の著しい温度、
ガス発生の著しい温度、炭化反応がほぼ終了し構造変化
の起きる温度、などで一定時間保持することも組織の不
均質化を防止する上で効果的である。例えば、300〜
400℃、400〜500℃、500〜600℃などの
温度域で各5時間程度保持することにより、組織構造の
均質化を図ることができる。
【0017】焼成炭化処理は、硬化した樹脂成形体を黒
鉛坩堝に詰め、または黒鉛板で挟持した状態で、窒素、
アルゴン等の不活性ガスで置換された電気炉中で加熱す
るか、燃焼ガス加熱方式のリードハンマー炉中に炭素質
パッキングで被包充填して加熱する方法でおこなう。処
理温度は、通常800〜1500℃程度であるが、必要
に応じて2000℃以上の高温で黒鉛化処理する。
鉛坩堝に詰め、または黒鉛板で挟持した状態で、窒素、
アルゴン等の不活性ガスで置換された電気炉中で加熱す
るか、燃焼ガス加熱方式のリードハンマー炉中に炭素質
パッキングで被包充填して加熱する方法でおこなう。処
理温度は、通常800〜1500℃程度であるが、必要
に応じて2000℃以上の高温で黒鉛化処理する。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
体的に説明する。
【0019】実施例1〜5、比較例1〜3 減圧蒸留により精製したフェノールおよびホルマリンを
原料とし、常法に従い付加縮合反応させて分子量13
2、ゲル化時間14分のフェノール樹脂初期縮合物(液
状樹脂)を調製した。このフェノール樹脂初期縮合物1
00重量部にフルフリルアルコール30重量部を加えて
混合し、粘度40ポイズ(25℃)、樹脂分55重量%
の原料樹脂液を調製した。この原料樹脂液をポリエチレ
ンバットに流し込み、真空デシケータに入れて10Torr
に減圧して脱気処理して気泡を除去したのち、電気加熱
器に移し昇温速度および最終硬化温度ならびに保持時間
を変えて加熱硬化し、縦横200mm、厚さ7mmの板状硬
化樹脂成形体を得た。
原料とし、常法に従い付加縮合反応させて分子量13
2、ゲル化時間14分のフェノール樹脂初期縮合物(液
状樹脂)を調製した。このフェノール樹脂初期縮合物1
00重量部にフルフリルアルコール30重量部を加えて
混合し、粘度40ポイズ(25℃)、樹脂分55重量%
の原料樹脂液を調製した。この原料樹脂液をポリエチレ
ンバットに流し込み、真空デシケータに入れて10Torr
に減圧して脱気処理して気泡を除去したのち、電気加熱
器に移し昇温速度および最終硬化温度ならびに保持時間
を変えて加熱硬化し、縦横200mm、厚さ7mmの板状硬
化樹脂成形体を得た。
【0020】次いで、この板状硬化樹脂成形体を厚さ1
0mmの黒鉛板〔東海カーボン(株)製、G347〕で挟み付
け、黒鉛ルツボ内に入れて電気炉に詰め、アルゴンガス
雰囲気に保持しながら昇温速度および焼成温度を変えて
焼成炭化処理した。なお、焼成炭化過程において、温度
350℃、450℃および550℃の各温度で各5時間
保持した。このようにして得られたガラス状カーボン板
(縦横160mm、厚さ6mm)の硬化条件および焼成炭化
条件を表1に示した。
0mmの黒鉛板〔東海カーボン(株)製、G347〕で挟み付
け、黒鉛ルツボ内に入れて電気炉に詰め、アルゴンガス
雰囲気に保持しながら昇温速度および焼成温度を変えて
焼成炭化処理した。なお、焼成炭化過程において、温度
350℃、450℃および550℃の各温度で各5時間
保持した。このようにして得られたガラス状カーボン板
(縦横160mm、厚さ6mm)の硬化条件および焼成炭化
条件を表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】これらのガラス状カーボン板について、表
層部および中心部の平均格子面間隔d002 、結晶子の大
きさLc(002)の値をX線回折法により測定して、その結
果を表2に示した。なお、測定用の試料のサイズは厚さ
1mm、半径10mmとし、また採取位置は表面中央を基準
とする表層部および中心を基準とする中心部とした。
層部および中心部の平均格子面間隔d002 、結晶子の大
きさLc(002)の値をX線回折法により測定して、その結
果を表2に示した。なお、測定用の試料のサイズは厚さ
1mm、半径10mmとし、また採取位置は表面中央を基準
とする表層部および中心を基準とする中心部とした。
【0023】
【表2】
【0024】このようにして製造した結晶性状の異なる
ガラス状カーボン板を、クリーンルーム内で直径150
mm、厚さ6mmの円盤形状に加工した。各ガラス状カーボ
ン円盤をターゲット材として高周波スパッタリング装置
の陰極に配置し、対極にディスク基材を装着して装置内
を所定の真空度に保持したのち、3〜7×10-3Torrの
圧力で高純度アルゴンガス(不純物5ppm 未満)を導入
しながらスパッタリング操作をおこなって基材面に炭素
被膜を形成した。試験数10、100、200枚目に形
成された炭素被膜のビッカース硬度とディスク基材の歩
留を表3に示した。
ガラス状カーボン板を、クリーンルーム内で直径150
mm、厚さ6mmの円盤形状に加工した。各ガラス状カーボ
ン円盤をターゲット材として高周波スパッタリング装置
の陰極に配置し、対極にディスク基材を装着して装置内
を所定の真空度に保持したのち、3〜7×10-3Torrの
圧力で高純度アルゴンガス(不純物5ppm 未満)を導入
しながらスパッタリング操作をおこなって基材面に炭素
被膜を形成した。試験数10、100、200枚目に形
成された炭素被膜のビッカース硬度とディスク基材の歩
留を表3に示した。
【0025】
【表3】
【0026】表1〜3の結果から、本発明の結晶性状を
備えたガラス状カーボン板をターゲット材とした実施例
は、本発明の特性要件を外れたガラス状カーボン板をタ
ーゲット材とした比較例に比べて、スパッタリングによ
り消耗しても形成された炭素被膜の質的な差が小さい上
に歩留りも高く、ターゲット材の消耗量に関わらず長期
間に亘って安定して均質な炭素被膜が形成できることが
判る。
備えたガラス状カーボン板をターゲット材とした実施例
は、本発明の特性要件を外れたガラス状カーボン板をタ
ーゲット材とした比較例に比べて、スパッタリングによ
り消耗しても形成された炭素被膜の質的な差が小さい上
に歩留りも高く、ターゲット材の消耗量に関わらず長期
間に亘って安定して均質な炭素被膜が形成できることが
判る。
【0027】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば表層部と
中心部における結晶性状が均質なガラス状カーボン板を
用いてターゲット材を構成するので、スパッタリングに
より形成される炭素被膜の均質性が高く、またターゲッ
ト材の消耗量に関わらず長期間に亘って安定して、歩留
りよく炭素被膜を形成することが可能となる。したがっ
て、特に過酷な条件下で使用される高性能磁気記録装置
の磁気ディスクなどを対象とする保護膜形成用のターゲ
ット材として極めて有用である。
中心部における結晶性状が均質なガラス状カーボン板を
用いてターゲット材を構成するので、スパッタリングに
より形成される炭素被膜の均質性が高く、またターゲッ
ト材の消耗量に関わらず長期間に亘って安定して、歩留
りよく炭素被膜を形成することが可能となる。したがっ
て、特に過酷な条件下で使用される高性能磁気記録装置
の磁気ディスクなどを対象とする保護膜形成用のターゲ
ット材として極めて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 表層部と中心部における、黒鉛六角網面
層の平均格子面間隔d002 の差が0.01nm以下、結晶
子の大きさLc(002)の差が1.5nm以下の結晶性状を備
えるガラス状カーボン板からなることを特徴とする炭素
被膜形成用ターゲット材。 - 【請求項2】 中心部における黒鉛六角網面層の平均格
子面間隔d002 の値が0.345〜0.365nm、結晶
子の大きさLc(002)の値が1.3〜4.0nmである請求
項1記載の炭素被膜形成用ターゲット材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9031306A JPH10212571A (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 炭素被膜形成用ターゲット材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9031306A JPH10212571A (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 炭素被膜形成用ターゲット材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10212571A true JPH10212571A (ja) | 1998-08-11 |
Family
ID=12327616
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9031306A Pending JPH10212571A (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 炭素被膜形成用ターゲット材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10212571A (ja) |
-
1997
- 1997-01-30 JP JP9031306A patent/JPH10212571A/ja active Pending
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