JPH10212447A - 焼付塗料組成物 - Google Patents

焼付塗料組成物

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JPH10212447A
JPH10212447A JP1887497A JP1887497A JPH10212447A JP H10212447 A JPH10212447 A JP H10212447A JP 1887497 A JP1887497 A JP 1887497A JP 1887497 A JP1887497 A JP 1887497A JP H10212447 A JPH10212447 A JP H10212447A
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JP
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coating
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benzoin
clear
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JP1887497A
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English (en)
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Mikio Asai
幹雄 浅井
Susumu Umemura
晋 梅村
Masataka Muramatsu
正隆 村松
Harkarovich Daniel
ハルカロビッチ ダニエル
Lavi Richard
ラビ リチャード
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PPG IND ASIA PACIFIC KK
Toyota Motor Corp
Original Assignee
PPG IND ASIA PACIFIC KK
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アクリルメラミン系ベース塗料と酸エポキシ系
クリア塗料を2C1Bで塗装する場合において、ワキの
発生を確実に防止するとともに、各種塗膜欠陥の発生も
防止する。 【解決手段】アクリルメラミン系ベース塗料及び酸エポ
キシ系クリア塗料の少なくとも一方にはベンゾイン又は
ベンゾイン誘導体及び重量平均分子量が10,000〜15,000
のビニル系重合物が含まれている。ビニル系重合物は、
未硬化塗膜中の気泡の周辺に集積し気泡を塗膜表面へと
上昇させ、ベンゾイン又はベンゾイン誘導体は表層の塗
膜の溶融粘度を低下させるため、塗膜表面に搬送されて
きた気泡が脱泡する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のメタリッ
ク塗装などに用いられる焼付塗料組成物に関し、さらに
詳しくは酸性雨に対する耐性に優れた塗膜を形成でき、
かつ焼付硬化時のワキの発生を防止できる焼付塗料組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車外板のメタリック塗膜は、中塗り
塗膜表面に先ずメタリック顔料を含むベース塗料を塗布
し、次いでクリア塗料をwet−on−wetで塗装
し、その後120〜150℃に加熱保持することによ
り、ベースコート層とクリアコート層を一体的に焼付硬
化させることで形成されている(2コート1ベイク:2
C1B)。ベース塗料及びクリア塗料は耐候性が良好で
あることが必須であり、アクリルメラミン系塗料が広く
用いられている。
【0003】ところがアクリルメラミン系塗料には、通
常有機溶剤が多量に含まれているために、形成される塗
膜の膜厚が薄いという特性があり、必要な膜厚を確保す
るためには複数回の塗り重ねが必要となるために工数が
多大となっていた。また有機溶剤による環境汚染の対策
も講じる必要がある。そこで有機溶剤の含有量を減らし
たハイソリッド塗料が開発され、その利用も広まってい
る。しかしハイソリッド塗料には、固形分濃度が高く塗
面の平滑性が不十分であること、塗装時に巻き込まれる
気泡により焼付時にワキが発生したり、気泡が抜けた痕
がピンホールとなって塗膜に残ること、などの問題があ
った。この問題を解決するには、例えば高沸点溶剤を添
加する方法があるが、垂れが生じやすくなるため塗装膜
厚を薄くせざるを得ず、ハイソリッド塗料の利点が得ら
れない。
【0004】そこで例えば特開昭59−191768号
公報には、焼付塗料中にベンゾイン又はベンゾイン誘導
体を添加することが記載されている。ベンゾイン又はベ
ンゾイン誘導体は、焼付時の熱により溶融して粘性が低
くなり未硬化塗膜中の樹脂の流動性を改善すると考えら
れ、ワキの発生を防止することが可能となる。ところで
近年、環境変化により酸性雨の降雨が観測され、それに
伴う被害が社会的な問題として取り上げられている。自
動車の外板塗膜も例外ではなく、アクリルメラミン系焼
付塗料から形成された塗膜は酸に対して比較的弱いエー
テル結合が主架橋形態であるため、酸性雨に長期間暴露
された場合には架橋の切断による異常が発生するおそれ
がある。
【0005】そこで、例えば米国特許第 5,196,485号や
第 5,256,452号には、酸に対して強いエステル結合を主
架橋形態とする酸エポキシ系塗料が開示され、その利用
が検討されている。この酸エポキシ系塗料は、塗装時の
不揮発分が高くハイソリッドであるため、有機溶剤の排
出量を低減できるとともに、少ない工数で厚膜塗装が可
能となるという利点もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが酸エポキシ系
塗料は、その分子構造に起因して構造粘性が高いという
性質があることが明らかとなった。したがって垂れが抑
制できるため一層厚膜に塗装できるという利点があるも
のの、塗膜中に巻き込まれた気泡の移動が困難となるた
め、未硬化塗膜中に残存する気泡によるワキが発生しや
すいという問題がある。また塗膜中に残存する気泡によ
る種々の塗膜欠陥が発生しやすい。さらに、形成された
塗膜表面の平滑性が低いという不具合もあった。
【0007】そこで、従来のワキ防止剤であるベンゾイ
ン又はベンゾイン誘導体の添加が考えられるが、本発明
者らの実験によれば、ベンゾイン又はベンゾイン誘導体
の添加によりある程度の効果はみられるものの、ワキの
発生を確実に防止すること、及び塗膜の表面平滑性を十
分なものとすることは困難であった。本発明はこのよう
な事情に鑑みてなされたものであり、アクリルメラミン
系ベース塗料と酸エポキシ系クリア塗料を2C1Bで塗
装する場合において、ワキの発生を確実に防止するとと
もに、各種塗膜欠陥の発生も防止することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1に記載の焼付塗料組成物の特徴は、ベース塗料とク
リア塗料とからなりベース塗料を塗布してベースコート
層を形成した後クリア塗料をベースコート層表面に塗布
してクリアコート層を形成しその後ベースコート層とク
リアコート層を一体的に焼付硬化する2C1B塗装に用
いられる焼付塗料組成物であって、ベース塗料はアクリ
ルメラミン系ベース塗料からなるとともにクリア塗料は
酸エポキシ系クリア塗料からなり、ベース塗料及びクリ
ア塗料の少なくとも一方にはベンゾイン又はベンゾイン
誘導体及び重量平均分子量が10,000〜15,000のビニル系
重合物が含まれていることにある。
【0009】また請求項2に記載の焼付塗料組成物の特
徴は、請求項1に記載の焼付塗料組成物において、ベー
ス塗料及びクリア塗料の少なくとも一方には、ベンゾイ
ン又はベンゾイン誘導体が0.2〜3.0重量%、ビニ
ル系重合物が0.05〜2.0重量%含まれていること
にある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の焼付塗料組成物では、ベ
ース塗料及びクリア塗料の少なくとも一方にはベンゾイ
ン又はベンゾイン誘導体及び重量平均分子量が10,000〜
15,000のビニル系重合物が含まれている。このビニル系
重合物は、酸エポキシ樹脂との相溶性の乏しさ、特有の
分子量及び表面張力から未硬化塗膜中の気泡の周辺に集
積し気泡を塗膜表面へと上昇させると考えられる。そし
てベンゾイン又はベンゾイン誘導体は、その特性から焼
付硬化時に表層の塗膜の溶融粘度を低下させるため、ビ
ニル系重合物により塗膜表面に搬送されてきた気泡が脱
泡する。
【0011】すなわち本発明の焼付塗料組成物では、ベ
ンゾイン又はベンゾイン誘導体とビニル系重合物の相乗
作用が発現するため、ワキの発生を確実に防止すること
ができる。また同時に表面の平滑性が改善され、各種塗
膜欠陥の発生も防止される。以下に本発明の構成とその
作用を詳述する。 <アクリルメラミン系ベース塗料>アクリルメラミン系
ベース塗料は、従来のベース塗料に用いられているもの
を用いることができる。一般的な樹脂成分としては、ア
クリル樹脂とメラミンホルムアルデヒド樹脂を主成分と
し、他にポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など
を併用することもできる。アクリル樹脂とメラミンホル
ムアルデヒド樹脂の混合比率は、一般にアクリル樹脂:
メラミンホルムアルデヒド樹脂=50〜80:50〜2
0の重量比であるが、これに制限されず所望の性能に合
わせて種々選択して用いることができる。また各樹脂の
分子量も、所望の塗料性状、塗膜性能、塗装作業性など
に合わせて種々選択できる。
【0012】顔料成分は、アルミニウム顔料、マイカ顔
料などのメタリック顔料、各種有機着色顔料を所望の色
調に合わせて用いることができる。また場合によっては
無機顔料を併用してもよい。添加剤成分は、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、酸触媒、垂れ止め剤、フロー剤など、
一般に用いられている塗料用添加剤を必要に応じて必要
量用いることができる。
【0013】溶剤は、各種有機溶剤を、塗装粘度、塗装
作業性などに合わせて種々選択して用いることができ
る。また場合によっては水を含んでいてもよい。 <酸エポキシ系クリア塗料>酸エポキシ系クリア塗料
は、エポキシ官能基を有するアクリル樹脂と、酸官能基
を有する架橋剤とから主として構成される。また硬化促
進剤として、メラミンホルムアルデヒド樹脂を併用する
こともできる。エポキシ官能基を有するアクリル樹脂
は、一般に重量平均分子量が 2,500〜 5,000のものが最
適である。分子量がこれより小さいと粘度が低くなって
耐タレ性が低下し、分子量がこれより大きくなると粘度
が高すぎて気泡が残るためワキの発生を防止することが
困難となる。また酸官能基を有する架橋剤としては、例
えばヘキサヒドロ無水フタル酸の半エステル、あるいは
ヘキサヒドロフタル酸エステルなどが例示される。
【0014】エポキシ官能基を有するアクリル樹脂と酸
官能基を有する架橋剤との混合比率は、一般にエポキシ
官能基を有するアクリル樹脂:酸官能基を有する架橋剤
=47〜58:53〜42の重量比とされ、各樹脂分子
の官能基の数によって決定される。この比がこの範囲か
らずれると、硬化が不十分となったり十分な塗膜性能が
得られなくなる。
【0015】顔料成分は用いられないのが通常である
が、場合によっては各種顔料を微量用いることもでき
る。添加剤成分は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、垂れ止
め剤、フロー剤など、一般に用いられている塗料用添加
剤を必要に応じて必要量用いることができる。溶剤は、
各種有機溶剤を、塗装粘度、塗装作業性などに合わせて
種々選択して用いることができる。また場合によっては
水を含んでいてもよい。
【0016】<ベンゾイン又はベンゾイン誘導体>[化
1]の構造式で示されるベンゾイン、このベンゾインの
メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、ブチルエーテル、イソブチルエーテルなどが好まし
く用いられる。またベンゾインのフェニル基にメチル
基、エチル基、ハロゲン基、メトキシル基などの置換基
を有していてもよい。
【0017】
【化1】
【0018】<ビニル系重合物>本発明に使用されるビ
ニル系重合物は、一分子中に少なくとも1個の不飽和二
重結合を有するビニル系モノマを単独又は共重合させて
形成されたものである。このモノマの代表的なものとし
ては、炭素数1〜22のアルキル基を側鎖にもつアルキ
ルアクリレート又はメタクリレート類;スチレン;ビニ
ルトルエン;t−ブチルスチレン;α−メチルスチレ
ン;グリシジルアクリレート又はメタクリレート;アク
リロニトリル;シクロヘキシルアクリレート又はメタク
リレート;2−エトキシチルアクリレート又はメタクリ
レート;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸などの不飽和カルボン酸類;ヒドロキシエチルアク
リレート又はメタクリレート、ポリプロピレングリコー
ルモノメタクリレートなどの水酸基含有アクリレート又
はメタクリレート類;マレイン酸又はフマル酸と炭素数
1〜16の1価アルコールとのジエステル類;アクリル
又はメタクリルアミド、N−アルコキシメチル化アクリ
ルアミド又はN−アルコキシメチル化メタクリルアミド
などのアミド類;N,Nジアルキルアミノアルキルアク
リレート又はメタクリレート類;リン酸基含有アクリレ
ート又はメタクリレート類;酢酸ビニルなどのビニル化
合物類;ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエ
チレンなどの含フッ素ビニル系モノマなどが例示され
る。
【0019】このビニル系重合物は、上記モノマを単独
重合又は2種類以上共重合して形成され、その数平均分
子量が10,000〜15,000のものが用いられる。このような
分子量範囲のものを用いることにより、クリア塗料の樹
脂成分との相溶性が最適なものとなり、未硬化塗膜中の
気泡を速やかに表層へ搬送することが可能となるためワ
キの発生を確実に防止することができる。重量平均分子
量が10,000より小さいとクリア塗料の樹脂成分との相溶
性が無くなり、リコート塗膜の付着性が低下する。また
重量平均分子量が15,000より大きくなると、クリア塗料
の樹脂成分との相溶性が良くなりすぎて気泡の表層への
搬送が困難となりワキが生じるようになる。
【0020】またビニル系重合物は、そのsp値(溶解
性パラメータ)が7.8〜8.2の範囲のものを用いる
ことが望ましい。sp値が7.8より小さくなるとクリ
ア塗料の樹脂成分との相溶性が無くなり、リコート塗膜
の付着性が低下する。またsp値が8.2より大きくな
ると、クリア塗料の樹脂成分との相溶性が良くなりすぎ
て気泡の表層への搬送が困難となりワキが生じるように
なる。
【0021】なお、sp値を測定するには、溶剤分を除
去し、25℃における表面張力(γ)と密度(ρ)を測
定する。そして次式のHildebrandの式よりsp値が計算
される。式中、Vmは分子容を示し、ビニル系重合物の
数平均分子量Mnを密度で除した値(Mn/ρ)であ
る。
【0022】
【数1】
【0023】ベンゾイン又はベンゾイン誘導体とビニル
系重合物は、ベース塗料とクリア塗料の少なくとも一方
に添加すればそれなりの効果が得られるが、それぞれを
ベース塗料とクリア塗料の両方に添加することが特に望
ましい。これにより最大の効果が得られ、ワキの発生を
確実に防止することができるとともに表面平滑性も最大
となる。
【0024】なお、少なくともベース塗料にビニル系重
合物を添加することが好ましい。このようにすれば、ク
リア塗料を塗装した後にビニル系重合物がベースコート
層からクリアコート層に拡散し、クリアコート層中の気
泡をさらに表層へ搬送することが可能となる。またベン
ゾイン又はベンゾイン誘導体の溶融粘度低下作用は、気
泡が破泡する最表面で最も効果的に奏されるので、少な
くともクリア塗料にベンゾイン又はベンゾイン誘導体を
添加することが好ましい。
【0025】ベンゾイン又はベンゾイン誘導体は、ベー
ス塗料及びクリア塗料にそれぞれ0.2〜3.0重量%
添加することが望ましい。ベンゾイン又はベンゾイン誘
導体の添加量が0.2重量%に満たないと添加した効果
が発現されず、3.0重量%を超えて添加すると塗膜が
黄変する場合がある。またビニル系重合物は、ベース塗
料及びクリア塗料にそれぞれ0.05〜2.0重量%添
加することが望ましい。ビニル系重合物の添加量が0.
05重量%に満たないと添加した効果が発現されず、
2.0重量%を超えて添加するとリコート時の付着性が
低下する。
【0026】
【実施例】以下、試験例により本発明を一層具体的に説
明する。 <基本ベース塗料の調製>表1のように各原料を配合
し、基本ベース塗料を調製した。
【0027】
【表1】 <基本酸エポキシクリア塗料の調製>表2のように各原
料を配合し、基本酸エポキシクリア塗料を調製した。
【0028】
【表2】 <基本アクリルメラミンクリア塗料の調製>表3のよう
に各原料を配合し、基本アクリルメラミンクリア塗料を
調製した。
【0029】
【表3】 (試験例1)上記基本ベース塗料に対し、ベンゾインを
0.2重量%、0.5重量%、1重量%及び3重量%の
4水準の添加量で混合し、よく攪拌して4種類のベース
塗料をそれぞれ調製した。
【0030】また、上記基本ベース塗料に対し、ビニル
系重合物(品名「OX−881」楠本化成(株)製アル
キルアクリレート、Mw=12,000、sp値=7.9)を
0.05重量%、0.5重量%及び2重量%の3水準の
添加量で混合し、よく攪拌して3種類のベース塗料をそ
れぞれ調製した。さらに、上記基本ベース塗料に対し、
ベンゾインを0.2重量%及び上記と同様のビニル系重
合物1重量%を添加したものと、ベンゾインを3重量%
及び上記と同様のビニル系重合物2重量%を添加したも
のとの、2種類のベース塗料を調製した。
【0031】20×30cmの大きさの鋼板にアルキド
メラミン系中塗塗膜が形成された試験板を用意し、上記
で調製したそれぞれのベース塗料をベル型静電塗装機で
塗装後1分間放置し次いで静電レシプロケータ塗装機で
塗装して乾燥膜厚が20μmとなるように塗装した。次
いで3分間放置した後、静電ベル型塗装機を用いて上記
基本酸エポキシクリア塗料をそれぞれのベースコート層
表面に塗装し、2分間放置した後静電レシプロケータ塗
装機でさらに塗装して、乾燥膜厚が30μmとなるよう
に基本酸エポキシクリア塗料を塗装した。
【0032】それから5分間放置した後、140℃で2
0分間焼付けて、ベースコート層とクリアコート層を一
体的に硬化させた。得られたそれぞれの塗板(No. 1〜
9)の300mm×200mmの範囲を目視で観察し、
ワキの数をカウントしてワキ発生数を調べた。結果を表
4に示す。また塗膜表面の平滑性をオレンジピール測定
計(東海理化(株)製)により測定し、結果をOP値で
表4に示す。なおOP値は、小さいほど平滑性が高いこ
とを示す。
【0033】
【表4】
【0034】(試験例2)上記基本酸エポキシクリア塗
料に対し、ベンゾインを0.2重量%、0.5重量%、
1重量%及び3重量%の4水準の添加量で混合し、よく
攪拌して4種類のクリア塗料をそれぞれ調製した。ま
た、上記基本酸エポキシクリア塗料に対し、試験例1と
同様のビニル系重合物を0.05重量%、0.5重量%
及び2重量%の3水準の添加量で混合し、よく攪拌して
3種類のクリア塗料をそれぞれ調製した。
【0035】さらに、上記基本酸エポキシクリア塗料に
対し、ベンゾインを0.2重量%及び試験例1と同様の
ビニル系重合物1重量%を添加したものと、ベンゾイン
を3重量%及び試験例1と同様のビニル系重合物2重量
%を添加したものとの、2種類のクリア塗料を調製し
た。20×30cmの大きさの鋼板にアルキドメラミン
系中塗塗膜が形成された試験板を用意し、基本ベース塗
料をベル型静電塗装機で塗装後1分間放置し次いで静電
レシプロケータ塗装機で塗装して乾燥膜厚が20μmと
なるように塗装した。
【0036】次いで3分間放置した後、静電ベル型塗装
機を用いて上記9種類のクリア塗料をそれぞれ形成され
たベースコート層表面に塗装し、2分間放置した後静電
レシプロケータ塗装機でさらに塗装して、乾燥膜厚が3
0μmとなるように塗装した。それから5分間放置した
後、140℃で20分間焼付けて、ベースコート層とク
リアコート層を一体的に硬化させた。
【0037】得られたそれぞれの塗板(No. 10〜1
8)の300mm×200mmの範囲を目視で観察し、
ワキの数をカウントしてワキ発生数を調べた。結果を表
5に示す。また塗膜表面の平滑性をオレンジピール測定
計(東海理化(株)製)により測定し、結果をOP値で
表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】(試験例3)基本ベース塗料に対し、ベン
ゾインを0.2重量%、0.5重量%、1重量%及び3
重量%の4水準の添加量で混合し、よく攪拌して4種類
のベース塗料をそれぞれ調製した。また、基本ベース塗
料に対し、試験例1と同様のビニル系重合物を0.05
重量%、0.5重量%及び2重量%の3水準の添加量で
混合し、よく攪拌して3種類のベース塗料をそれぞれ調
製した。
【0040】さらに、基本ベース塗料に対し、ベンゾイ
ンを0.2重量%及び試験例1と同様のビニル系重合物
1重量%を添加したものと、ベンゾインを3重量%及び
試験例1と同様のビニル系重合物2重量%を添加したも
のとの、2種類のベース塗料を調製した。そして上記基
本酸エポキシクリア塗料に対し、ベンゾインを0.2重
量%、0.5重量%、1重量%及び3重量%の4水準の
添加量で混合し、よく攪拌して4種類のクリア塗料をそ
れぞれ調製した。
【0041】また、基本酸エポキシクリア塗料に対し、
試験例1と同様のビニル系重合物を0.05重量%、
0.5重量%及び2重量%の3水準の添加量で混合し、
よく攪拌して3種類のクリア塗料をそれぞれ調製した。
さらに、上記基本酸エポキシクリア塗料に対し、ベンゾ
インを0.2重量%及び試験例1と同様のビニル系重合
物1重量%を添加したものと、ベンゾインを3重量%及
び試験例1と同様のビニル系重合物2重量%を添加した
ものとの、2種類のクリア塗料を調製した。
【0042】それぞれのベース塗料とクリア塗料を表6
に示すように組み合わせ、試験例1と同様にして塗装
し、同様に焼付けて塗板(No. 19〜27)を作製し
た。そして試験例1と同様にワキ発生数とOP値を測定
し、結果を表6に示す。
【0043】
【表6】
【0044】(標準品)基本ベース塗料と基本酸エポキ
シクリア塗料を用い、試験例1と同様にして塗装し、同
様に焼付けて塗板を作製した。そして試験例1と同様に
ワキ発生数とOP値を測定し、結果を表4〜6に示す。 (試験例4)基本ベース塗料に対し、ベンゾインを3重
量%添加したものと、試験例1と同様のビニル系重合物
を2重量%添加したものの、2種類のベース塗料を調製
した。さらに、基本ベース塗料に対し、ベンゾインを3
重量%及び試験例1と同様のビニル系重合物2重量%を
添加したベース塗料を調製した。
【0045】一方、基本アクリルメラミンクリア塗料に
対し、ベンゾインを3重量%添加したものと、試験例1
と同様のビニル系重合物を2重量%添加したものの、2
種類のクリア塗料を調製した。さらに、基本アクリルメ
ラミンクリア塗料に対し、ベンゾインを3重量%及び試
験例1と同様のビニル系重合物2重量%を添加したクリ
ア塗料を調製した。
【0046】それぞれのベース塗料とクリア塗料を表7
に示すように組み合わせ、試験例1と同様にして塗装
し、同様に焼付けて塗板(No. 28〜31)を作製し
た。そして試験例1と同様にワキ発生数とOP値を測定
し、結果を表7に示す。
【0047】
【表7】
【0048】(評価)表4より、基本ベース塗料へのベ
ンゾインとビニル系重合物の一方のみの添加でもワキ発
生防止にはある程度の効果があるが、塗膜表面の平滑性
にはほとんど効果がない。しかしベンゾインとビニル系
重合物の両方を基本ベース塗料に添加することで、ワキ
の発生を格段に防止することができ、かつ塗膜表面の平
滑性が向上していることがわかる。
【0049】また表5より、基本酸エポキシクリア塗料
にベンゾインとビニル系重合物の一方を添加した場合に
は、ワキ発生防止性と塗膜表面平滑性の両方がある程度
向上し、ベンゾインとビニル系重合物の両方を添加する
ことによりワキ発生防止性と塗膜表面平滑性の両方がさ
らに向上していることがわかる。しかし表4との比較よ
り、基本ベース塗料に添加した場合に比べて効果が劣っ
ていることがわかり、ベンゾインとビニル系重合物は少
なくともベース塗料に添加することが好ましいことがわ
かる。
【0050】そして表6より、基本ベース塗料と基本酸
エポキシクリア塗料の両方にベンゾインとビニル系重合
物のいずれか一方を添加することで、基本ベース塗料と
基本酸エポキシクリア塗料の一方に添加するよりも効果
が大きくなることがわかる。つまり、基本ベース塗料と
基本酸エポキシクリア塗料の両方にベンゾインとビニル
系重合物の両方を添加することで、相乗効果によりワキ
の発生が皆無となり、表面平滑性も最大となっているこ
とがわかる。
【0051】さらに表7より、従来のアクリルメラミン
樹脂を主体とするクリア塗料を用いた場合には、ベンゾ
インとビニル系重合物の添加はワキ発生の防止には有効
であるものの、表面平滑性の改善には全く効果がなく、
両者の相乗作用は認められない。つまり、ベンゾインと
ビニル系重合物の添加は、酸エポキシクリア塗料の場合
に限って有効であることが明らかである。
【0052】(試験例5)上記した試験例の結果より、
ベンゾインとビニル系重合物は基本ベース塗料と基本酸
エポキシクリア塗料の両方に添加するのが最も有効であ
ることが明らかとなった。そこで本試験例では、ベンゾ
インとビニル系重合物の添加量の影響を調査した。
【0053】先ず、基本ベース塗料及び基本酸エポキシ
クリア塗料に、それぞれベンゾインを0.1重量%、
0.2重量%、0.5重量%、1重量%、3重量%及び
5重量%添加したベース塗料及びクリア塗料を調製し、
表8に示すように組み合わせて塗板を作製した。先ずベ
ース塗料を膜厚20μmとなるように塗布し、次いでク
リア塗料を30μmの膜厚となるように塗布したこと以
外は試験例1と同様にして塗板(No. 32〜37)を作
製した。そして試験例1と同様にしてワキ発生数を測定
し、結果を表8に示す。
【0054】また、予め白色エナメルが塗装された試験
板を用い、試験例と同様にしてベース塗料を20μmの
膜厚に塗布し、次いでクリア塗料を50μmの膜厚(合
計膜厚75μm)に塗布して、4分間放置後160℃で
90分加熱して硬化させた。そして得られた塗板(No.
32〜37)と前述した標準品の塗板に対する色差(Δ
b)を色差計(「CR−200」ミノルタ(株)製)を
用いて測定した。結果を表8に示す。なお、Δbが大き
いほど基本品に比べて黄色味が強いことを意味し、Δb
が5未満の範囲が目視でその差を検知できないレベルで
ある。
【0055】次に、基本ベース塗料及び基本酸エポキシ
クリア塗料に、それぞれ試験例1と同様のビニル系重合
物を0.01重量%、0.05重量%、0.5重量%、
2重量%、3重量%及び5重量%添加したベース塗料及
びクリア塗料を調製し、表8に示すように組み合わせ
て、焼付条件を160℃×20分としたこと以外は試験
例1と同様にして塗板(No. 38〜43)を作製した。
そして試験例1と同様にしてワキ発生数を測定し、結果
を表8に示す。
【0056】またそれぞれの塗板(No. 38〜43)の
表面に、各Noと同一の塗料を同様に再度塗装し、焼付
条件を130℃で20分で硬化させた。そして30分後
にナイフで塗膜表面に1mm間隔の碁盤目を刻み、セロ
ファンテープを貼り付けてから引き剥がす剥離試験を行
って、剥離した升目の数を数え付着性を評価した。結果
を表8に示す。
【0057】
【表8】
【0058】表8より、ベンゾインの添加量が0.1重
量%ではワキ発生を防止する効果が小さいことがわか
る。そしてベンゾインの添加量が増えるにつれてΔbが
大きくなり、3重量%の添加量が許容最大限である。し
たがってベース塗料及びクリア塗料の両方に添加する場
合には、ベンゾインの添加量は、0.2〜3重量%の範
囲が最適であることがわかる。
【0059】さらに、ビニル系重合物の添加量が0.0
1重量%ではワキ発生を防止する効果が小さいことがわ
かる。そしてビニル系重合物の添加量が3重量%にまで
達すると、再塗装した塗膜に剥離が生じリコート性が低
下していることがわかる。したがってベース塗料及びク
リア塗料の両方に添加する場合には、ビニル系重合物の
添加量は、0.05〜2重量%の範囲が最適とした。
【0060】
【発明の効果】すなわち本発明の焼付塗料組成物によれ
ば、酸エポキシ系クリア塗料を用いて焼付時のワキの発
生を確実に防止でき、かつ表面平滑な塗膜を形成するこ
とができる。また形成された塗膜は、黄変やリコート時
の付着障害の発生もなく諸物性に優れている。
【0061】したがってワキ発生のために従来使用でき
なかった酸エポキシ系クリア塗料を用いることができる
ようになるため、耐酸性雨性に優れた塗膜を形成するこ
とができ、自動車外板用として特に好ましい塗膜を形成
することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C09D 133/06 161:32) (72)発明者 梅村 晋 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 村松 正隆 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 ダニエル ハルカロビッチ 愛知県宝飯郡音羽町大字萩字中山1−11 ピーピージー・インダストリィーズ・アジ ア・パシフィック株式会社内 (72)発明者 リチャード ラビ 愛知県宝飯郡音羽町大字萩字中山1−11 ピーピージー・インダストリィーズ・アジ ア・パシフィック株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベース塗料とクリア塗料とからなり該ベ
    ース塗料を塗布してベースコート層を形成した後該クリ
    ア塗料を該ベースコート層表面に塗布してクリアコート
    層を形成しその後該ベースコート層と該クリアコート層
    を一体的に焼付硬化する2C1B塗装に用いられる焼付
    塗料組成物であって、 前記ベース塗料はアクリルメラミン系ベース塗料からな
    るとともに前記クリア塗料は酸エポキシ系クリア塗料か
    らなり、該ベース塗料及び該クリア塗料の少なくとも一
    方にはベンゾイン又はベンゾイン誘導体及び重量平均分
    子量が10,000〜15,000のビニル系重合物が含まれている
    ことを特徴とする焼付塗料組成物。
  2. 【請求項2】 前記ベース塗料及び前記クリア塗料の少
    なくとも一方には、ベンゾイン又はベンゾイン誘導体が
    0.2〜3.0重量%、前記ビニル系重合物が0.05
    〜2.0重量%含まれていることを特徴とする請求項1
    記載の焼付塗料組成物。
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