JPH10212116A - 粘土鉱物粉末の製造方法 - Google Patents

粘土鉱物粉末の製造方法

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JPH10212116A
JPH10212116A JP1384697A JP1384697A JPH10212116A JP H10212116 A JPH10212116 A JP H10212116A JP 1384697 A JP1384697 A JP 1384697A JP 1384697 A JP1384697 A JP 1384697A JP H10212116 A JPH10212116 A JP H10212116A
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宏昭 樋高
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清 稲原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶構造の不整化や崩壊が抑えられた粘土鉱
物粉末の製造方法を提供する。 【解決手段】 粘土鉱物と水性溶媒からなり、粘土鉱物
が粒子状態で分散し、かつ、流動性を有する分散液を液
滴にした後に乾燥させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘土鉱物イオン交
換体や粘土鉱物の有機複合体、有機ポリマー複合体もし
くは無機複合体の製造に用いられる粘土鉱物粉末の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粘土鉱物粉末の製造方法としては、粘土
鉱物と水性溶媒からなる分散液を乾燥させて固形物と
し、しかる後に、この固形物を粉砕する方法が一般的で
ある。この場合、粘土鉱物は、粉砕により結晶が変質す
るので、粉砕により製造された粘土鉱物粉末には、結晶
構造の不整化や崩壊が発生している。
【0003】結晶が変質し、結晶構造の不整化や崩壊を
生じている粘土鉱物粉末をイオン交換体として用いた場
合や、この粉末を用いて有機複合体や有機ポリマー複合
体もしくは無機複合体を製造した場合に、十分な特性を
有するものが得られないという問題があった。
【0004】また、粘土鉱物の分散液を噴霧乾燥するこ
とにより粘土鉱物粉末を作成する方法が、例えば、特公
平7−5292号公報に開示されている。
【0005】特公平7−5292号公報による製法は、
水膨潤性粘土鉱物を水性溶媒に分散させてゲル化し、し
かる後に、この分散液を噴霧乾燥する方法である。しか
しながら、粘土鉱物の分散液はゲル化すると固化し、送
液が困難となるため、僅かな量しか製造できないという
問題がある。さらに、通常の方法で製造された分散液に
は、結晶の不整や崩壊を生じている粘土鉱物塊が残留す
るので、製造された粘土鉱物粉末には結晶構造の不整化
や崩壊が残っているという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の製造法で生じる
前記問題点を解決するために、粘土鉱物粉末の結晶が変
質することのない、すなわち、結晶構造の不整化や崩壊
を発生させない粘土鉱物粉末の製造方法を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討を
重ねた結果、粘土鉱物と水性溶媒からなり、粘土鉱物が
粒子状態で分散し、かつ、流動性を有する分散液を液滴
にした後に乾燥させて、粉末にすることにより、粘土鉱
物粉末の結晶の変質を抑えることができることを見出し
た。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】粘土鉱物と水性溶媒からなり、粘土鉱物が
粒子状態で分散し、かつ、流動性を有する分散液を液滴
にした後に乾燥させることにより、固形分が粉末として
得られる。分散液を液滴にする方法としては、霧吹きに
よる方法が簡便であるが、回転羽根や二流体ノズルなど
を用いても良く、その他の種々の方法を用いても良い。
液滴を乾燥させる方法は、熱風による方法が好ましい
が、赤外線による加熱や乾燥空気による方法など、その
他種々の方法でも良い。
【0010】本発明の粘土鉱物は、水膨潤性を有するも
のであれば種々の粘土鉱物を用いることができる。例え
ば、スメクタイトを挙げることができる。
【0011】粘土鉱物は、微細な粒子であり、粘土鉱物
の種類により種々の形状と大きさを有している。例え
ば、スメクタイトの粒子は、形状は薄片状で、大きさは
0.1μm×0.1μm×〜0.001μmないし1μ
m×1μm×〜0.001μmである。乾燥固化した粘
土鉱物塊では、この粒子が凝集し、塊となっている。数
μm以上の粒径を有する粘土鉱物粉末は、この粒子の凝
集体である。乾燥固化した粘土鉱物塊を水性溶媒に分散
させると、大部分は粒子状態で分散するが、通常の攪拌
では、一部は粘土鉱物塊の状態で残留する。この時、粘
土鉱物塊に結晶の不整や崩壊が発生していると、この分
散液を乾燥固化したものに結晶の不整や崩壊が残ってし
まう。そこで、乾燥固化した粘土鉱物塊を水性溶媒に分
散させる場合に、粘土鉱物を粒子単位で分散させ、しか
る後に乾燥固化すると、結晶の不整や崩壊が修復される
ことを見出した。
【0012】粘土鉱物と水性溶媒からなる分散液は、粘
土鉱物の含有量が多いと流動性が失われ、液滴にならな
い。流動性が失われる含有量は、粘土鉱物の種類や分散
液の放置時間に依存する。また、放置によって流動性の
失われた分散液は、攪拌することにより流動性を回復す
ることがある。従って、本発明に用いる分散液は、流動
性の失われることのない粘土鉱物含有量、あるいは流動
性が失われても攪拌によって流動性が回復する粘土鉱物
含有量を有する。
【0013】固体の粘土鉱物を水性溶媒に分散させるに
際しては、この分散液に剪断による攪拌を加えることが
好ましい。剪断による攪拌は、例えば、回転羽根を高速
で回転させることにより行う。特に、ミキサーなどを用
いる場合には、十分な剪断力を得るために200〜30
0W/lの所要動力の範囲で行うことが好ましい。この
剪断による攪拌で、水性溶媒中、粘土鉱物を短時間に粒
子単位で分散させることができる。この方法には、回転
羽根式のミキサー以外にも、剪断による攪拌であれば種
々の方法を用いても良い。
【0014】粘土鉱物と水性溶媒からなる分散液は、少
なくとも24時間以上、分散液の状態で保持することが
好ましい。分散液の状態で保持することで、残留してい
る粘土鉱物塊を膨潤作用により粒子単位にまで細かくす
ることができる。
【0015】粘土鉱物と水性溶媒からなる分散液は、1
00℃以下の温度で加熱することが好ましい。分散液を
加熱することで膨潤作用が強くなり、残留している粘土
鉱物塊を効率良く粒子単位にまで細かくすることができ
る。
【0016】粘土鉱物と水性溶媒からなる分散液は、水
熱合成で製造された分散液を用いることができる。粘土
鉱物が粒子状態で分散しているので、結晶の不整や崩壊
を生じていない粘土鉱物粉末を得ることができる。
【0017】粘土鉱物粒子の分散状態は、島津自記分光
光度計 UV−2100(島津製作所製)、測定用のセ
ルは光路長10mmの角型セルを用いて、分散液の光透
過率を測定することにより評価した。分散状態における
光透過率は、粒子が大きくなるとともに低下することが
知られている(例えば、分散・凝集の解明と応用技術
p.14 (株)テクノシステム)。500nmの光透
過率が85%以上、好ましくは90%以上であれば、分
散状態は良好であると判定した。
【0018】本発明の方法では、液滴の大きさを制御す
ることにより、製造される粘土鉱物粉末の粒径を制御す
ることができる。液滴の直径をL(μm)、粘土鉱物の
含有量をC(重量%)、粘土鉱物の密度をM(g/cm
3)、液滴の密度を1.0g/cm3とすると、粘土鉱物
粉末の粒径は、おおよそ (C/100・M)1/3・L
となる。例えば、密度が2.8g/cm3の粘土鉱物
の含有量が1重量%の直径100μmの液滴からは、乾
燥により99%の水分が蒸発して、直径が約15μmの
粘土鉱物粉末が得られる。
【0019】上記のようにして得られた分散液を液滴に
する方法としては、分散液を噴霧する方法、シャワーや
滴下する方法等が挙げられるが、本発明の粘土鉱物粉末
が得られるならば限定されるものではない。
【0020】粘土鉱物の結晶の変質、すなわち、結晶構
造の不整化や崩壊の程度は、粉末X線回折の001ピー
クの半値幅を用い評価できる。不整化の増大や崩壊によ
る結晶粒子径の減少により、半値幅は増大することが知
られている。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例をもってさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0022】実施例1 ヘクトライト(商品名 ラポナイトRD、日本シリカ
製)60gを1940gの純水にミキサーを用いて10
分攪拌し、分散させ、この分散液を4日間静置した。こ
の時、粘土鉱物粒子の分散状態は良好であった。次い
で、この分散液を噴霧による液滴化および熱風乾燥によ
り粉末を得た。得られた粉末の形状は球であり、平均粒
径は16μmであった。この粉末の粉末X線回折をCu
Kαで測定し、001ピークの半値幅を求めたところ、
2θで1.8度であった。
【0023】実施例2 ヘクトライト(商品名 ラポナイトRD、日本シリカ
製)60gを1940gの純水にスターラーを用いて6
0分攪拌し、分散させ、この分散液を4日間静置した。
この時、粘土鉱物粒子の分散状態は良好であった。次い
で、この分散液を噴霧による液滴化および熱風乾燥によ
り粉末を得た。得られた粉末の形状は球であり、平均粒
径は30μmであった。この粉末の粉末X線回折をCu
Kαで測定し、001ピークの半値幅を求めたところ、
2θで1.9度であった。
【0024】実施例3 ヘクトライト(商品名 ラポナイトRD、日本シリカ
製)60gを1940gの純水にスターラーを用いて6
0分攪拌し、分散させ、この分散液を90℃で1時間、
スターラーで攪拌しながら加熱した。この時、粘土鉱物
粒子の分散状態は良好であった。次いで、この分散液を
噴霧による液滴化および熱風乾燥により粉末を得た。得
られた粉末の形状は球であり、平均粒径は21μmであ
った。この粉末の粉末X線回折をCuKαで測定し、0
01ピークの半値幅を求めたところ、2θで1.9度で
あった。
【0025】実施例4 ヘクトライトをオートクレーブを用いて、水熱合成(温
度:200℃,圧力:自然圧)し、得られた分散液を噴
霧による液滴化および熱風乾燥により粉末を得た。得ら
れた粉末の形状は球であった。この粉末の粉末X線回折
をCuKαで測定し、001ピークの半値幅を求めたと
ころ、2θで1.7度であった。
【0026】実施例5 ヘクトライト(商品名 ラポナイトRD、日本シリカ
製)60gを1940gの純水にスターラーを用いて6
0分攪拌し、分散させた。この時、粘土鉱物粒子の分散
状態はほぼ良好であった。次いで、この分散液を噴霧に
よる液滴化および熱風乾燥により粉末を得た。得られた
粉末の形状は球であり、平均粒径は16μmであった。
この粉末の粉末X線回折をCuKαで測定し、001ピ
ークの半値幅を求めたところ、2θで2.0度であっ
た。
【0027】比較例1 ヘクトライト(商品名 ラポナイトRD、日本シリカ
製)9gを291gの純水にスターラーで攪拌して分散
させ、これを75℃で乾燥して固形物を得た。これをア
ルミナの乳鉢と乳棒で粉砕し、粉末を得た。この粉末の
粉末X線回折をCuKαで測定し、001ピークの半値
幅を求めたところ、2θで2.1度であった。
【0028】比較例2 ヘクトライトをオートクレーブを用いて、水熱合成(温
度:200℃,圧力:自然圧)し、得られた分散液を7
5℃で乾燥して固形物を得た。これをアルミナの乳鉢と
乳棒を用いて粉砕し、粉末を得た。この粉末の粉末X線
回折をCuKαで測定し、001ピークの半値幅を求め
たところ、2θで2.1度であった。
【0029】
【発明の効果】本発明の製造方法を用いることにより、
結晶の変質、すなわち、結晶構造の不整化や崩壊の抑え
られた粘土鉱物粉末を製造することができる。
【0030】本発明の製造方法で得られた粘土鉱物粉末
を用いてイオン交換体や粘土鉱物の有機複合体、有機ポ
リマー複合体もしくは無機複合体を製造すれば、十分な
特性を有するものを製造でき、その工業的価値は高い。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粘土鉱物と水性溶媒からなり、粘土鉱物が
    粒子状態で分散し、かつ、流動性を有する分散液を液滴
    にした後に乾燥させて、粉末にすることを特徴とする粘
    土鉱物粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】粘土鉱物を水性溶媒に分散させるに際し、
    剪断による攪拌を加えて分散液を製造することを特徴と
    する請求項1に記載の粘土鉱物粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】粘土鉱物の水性分散液を少なくとも24時
    間以上分散液の状態で保持することを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の粘土鉱物粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】粘土鉱物の水性分散液を100℃以下の温
    度で加熱することを特徴とする請求項1ないし3に記載
    の粘土鉱物粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】水熱合成で生成された分散液を用いること
    を特徴とする請求項1ないし4に記載の粘土鉱物粉末の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101034402B1 (ko) 2010-10-29 2011-05-16 한국지질자원연구원 해쇄 및 재분산 기능이 우수한 도자기 제조용 점토의 제조방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101009760B1 (ko) 2009-11-20 2011-01-19 한국지질자원연구원 해쇄 및 재분산 기능이 우수한 점토 케익 제조방법
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