JPH10205600A - トロイダル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式無段変速機用潤滑組成物 - Google Patents

トロイダル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式無段変速機用潤滑組成物

Info

Publication number
JPH10205600A
JPH10205600A JP9008396A JP839697A JPH10205600A JP H10205600 A JPH10205600 A JP H10205600A JP 9008396 A JP9008396 A JP 9008396A JP 839697 A JP839697 A JP 839697A JP H10205600 A JPH10205600 A JP H10205600A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
continuously variable
variable transmission
toroidal
type continuously
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9008396A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Aikawa
俊彦 相川
Yutaka Mabuchi
豊 馬渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP9008396A priority Critical patent/JPH10205600A/ja
Publication of JPH10205600A publication Critical patent/JPH10205600A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Friction Gearing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐表面剥離性及び転動面疲労強度に優れ、長
寿命のものとすることが可能であるトロイダル式無段変
速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速機用転動体
構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式無段変速機
用潤滑組成物を提供すること。 【解決手段】 トロイダル式無段変速機において、トル
ク伝達用転動体表面に、0.l〜10wt%のジチオリ
ン酸亜鉛、0.l〜5wt%の金属系酸化防止剤、0.
1w〜5t%の金属系清浄分散剤を含有する潤滑油中で
摺動することにより5〜500nmの被膜を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、白動車等の車両
や回転動力原等において無段変速機として使用可能なト
ロイダル式(転がり式)無段変速機に関し、特に、トロ
イダル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段
変速機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダ
ル式無段変速機用潤滑組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 自動車等の車両において使用される変
速機としては、歯車列における噛み合わせ状態を手動や
自動で切り替える有段変速機が多く用いられているが、
無段変速機も一部に採用されている。この無段変速機
は、連続的に変速するため燃費が向上すること、変速シ
ョックがないこと等の特徴を持っているが、その構造に
よってベルト式とトロイダル式の2つに大別される。そ
の中で、トロイダル式(転がり式)の無段変速機は、図
7に示すように、潤滑油を介して接触する金属製転動体
を用いた構造を有するものであって、このトロイダル式
無段変速機1は、入力軸2に接続したローディングカム
3及び連結軸4を介して一体で回転する入力ディスク
5、5を備えていると共に、歯車6、7を介して出力軸
8を回転させる出力ディスク9、9をそなえ、入力ディ
スク5、5と出力ディスク9、9との間にパワーローラ
10、10、l0、10を設け、各パワーローラ10は
ボールベアリング11を介して各支持体12により支持
された構造を有するものである。
【0003】そして、このトロイダル式無段変速機1で
は、入力ディスク5と出力ディスク9との間で挟まれた
パワーローラ10の傾きを変化させ、入出力ディスク
5、9の相対回転速度を変えて変速しつつ、入力軸2か
ら出力軸8へと動力を伝達する仕組みになっている(特
開平1−229l58号公報等)。そのため、このよう
な金属製転動体よりなる入力ディスク5、出力ディスク
9及びパワーローラ10は、エンジントルクの入力によ
って、転動面においては面圧入力を受けることとなるの
で、面疲労強度(転動疲労強度)に優れていることが必
要となる(例えば、特開平7−71555号公報等)。
【0004】また、比較的伝達動力の小さいときに用い
られているベルト式無段変速機の場合と異なり、トロイ
ダル式無段変速機では、大きな動力トルクを伝達するこ
とがあり、転動面のすべりと転がりによる表面疲労や摩
耗も考慮する必要がある。しかも、始動時には適正な油
膜が形成されない場合もあり、始動回数により表面凝着
が生じることもあるために、無潤滑状態での耐凝着性も
確保しなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、この
ような従来のトロイダル式無段変速機1の金属製転動体
(5、9、10)においては、トルクを伝達するために
入力ディスク5にローディングカム3にて荷重をかけ、
転動面に高い面圧を負荷する必要があり、さらに、大き
な動力トルクを伝達する必要があるので、運転条件によ
っては、転動面表面近傍で高い圧縮力と剪断力が発生
し、転動面のすべりと転がりによる表面疲労を起因する
と思われる剥離が生じることがあった。一方、転動面の
表面粗さが大きい場合あるいは回転起動時等の低回転速
度の場合は、トラクション油による油膜形成が十分なさ
れないため、転動面同士の直接接触が生じることがあ
り、表面疲労に起因する表面剥離がさらに加速されるこ
ととなりうる。また、トロイダル式無段変速機1の潤滑
油中には、種々の摺動部品から生じる夾雑物があり、こ
のような夾雑物を転動面に噛み込んだときも始動時と同
様適正な油膜厚さを確保できず、同様なことがおこりう
る。従って、このような転動面の表面疲労に起因する表
面剥離や結果として起きる摩耗を発生しがたいものとす
ることが課題であった。本発明は、上記課題に鑑みてな
されたものであって、耐表面剥離性及び転動面疲労強度
に優れ、長寿命のものとすることが可能であるトロイダ
ル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速
機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式
無段変速機用潤滑組成物を提供することを目的としてい
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明は、金属製転動
面表面にジチオリン酸亜鉛に起因する被膜を形成するこ
とにより上記課題を解決するものである。すなわち、請
求項1記載のトロイダル式無段変速機用転動体構造で
は、ジチオリン酸亜鉛に起因する5〜500nmの被膜
を転動面に有する構成とした。請求項2記載のトロイダ
ル式無段変速機用転動体構造では、トロイダル式無段変
速機において、トルク伝達用転動体表面に、ジチオリン
酸亜鉛に起因する5〜500nmの被膜を有する構成と
した。請求項3記載のトロイダル式無段変速機用転動体
構造では、トロイダル式無段変速機において、トルク伝
達用転動体表面に、0.l〜10wt%のジチオリン酸
亜鉛、0.l〜5wt%の金属系酸化防止剤、0.1〜
5wt%の金属系清浄分散剤を含有する潤滑油中で摺動
することにより形成される5〜500nmの被膜を有す
る構成とした。請求項4記載のトロイダル式無段変速機
用転動体構造表面被膜の形成方法では、0.l〜10w
t%のジチオリン酸亜鉛、0.l〜5wt%の金属系酸
化防止剤、0.l〜5wt%の金属系清浄分散剤を含有
する潤滑油中で摺動することによりジチオリン酸亜鉛に
起因する5〜500nmの被膜を転動体表面に形成する
方法とした。請求項5記載のトロイダル式無段変速機用
転動体構造表面被膜の形成方法では、請求項4記載のト
ロイダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法
において、前記転動体の相手摺動部材が凸R又は凹Rの
形状を有する方法とした。請求項6記載のトロイダル式
無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法では、請求
項4記載のトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被
膜の形成方法において、前記転動体の相手摺動部材表面
粗さがRaで0.08〜0.2μmである方法とした。
請求項7記載のトロイダル式無段変速機用潤滑組成物で
は、0.l〜10wt%のジチオリン酸亜鉛、0.1〜
5wt%の金属系酸化防止剤、0.l〜5wt%の金属
系清浄分散剤を含有する構成とした。請求項8記載のト
ロイダル式無段変速機用潤滑組成物では、請求項7記載
のトロイダル式無段変速機用潤滑組成物において、金属
系酸化防止剤がバリウムスルフォネート及び/又はカル
シウムスルフォネート、金属系清浄分散剤がバリウムフ
ェネート及び/又はカルシウムフェネートである構成と
した。
【0007】
【発明の実施の形態】 ここでジチオリン酸亜鉛とは、
エンジン油等に添加剤として用いられているもので、一
般には、潤滑油に加えられる摩耗防止剤あるいは酸化防
止剤と呼ばれているものであり、その構造は以下の通り
である。
【化1】 式中のRl、R2、R3、及びR4は、炭素数3〜30
の第一級アルキル基、炭素数3〜30の第二級アルキル
基、あるいは、炭素数6〜30のアリール基又はアルキ
ル基置換アリール基を示す。但し、Rl、R2、R3、
及びR4は夫々同一であっても異なっていても良い。ジ
チオリン酸亜鉛に起因する被膜とは、通常ジチオリン酸
亜鉛を含む潤滑油中において鉄基金属部材を摺動させた
場合に形成される被膜である。ここで、「起因する」と
したのは、その被膜の形成過程及びメカニズムが十分に
解明されていないからである。しかしながら、ジチオリ
ン酸亜鉛が存在しない潤滑油中で同様に摺動させた場合
であっても、かかる被膜は形成されず、通常青色を呈す
るこの被膜をEPMA等の表面元素分析装置で分析すれ
ば、亜鉛が検出されるために、ジチオリン酸亜鉛が何ら
かの形でこの被膜形成に関与していることは明らかであ
る。従って、この被膜の形状あるいは膜厚を把握するた
めには、亜鉛元素の有無を指標として用いればよい。即
ち、XPSにおいてアルゴンスパッタを併用することに
より、かかる被膜の膜厚を測定することができる。本発
明の被膜の最適厚さは約50nmであるが、10〜10
0nmの範囲であれば本発明の効果は十分に奏せられ、
5〜500nmの範囲でも本発明の効果が認められる。
【0008】ここで、5nm以上としたのは、これより
膜厚が小さいとかかる被膜の作用が十分に発揮されない
からである。また、基材の鉄基部材の摺動表面の表面粗
さを被膜厚さ以下にコントロールすることが事実上極め
て困難であり、結果として、かかる被膜を介さずに直接
相手転動面の表面突起部に接触することとなるからであ
る。たとえ、このような突起部にかかる被膜を形成した
としても、相手転動面との接触により応力集中が生じ、
結果として突起部の被膜が破壊されることとなるからで
ある。また、500nm以下としたのは、摺動による所
謂トライボケミカル反応で形成される被膜であるのでそ
れ以上に厚くすることが難しいだけでなく、仮に前処理
等により厚くできたとしても摺動により容易に被膜が剥
離してしまうからである。さらに、高いトラクション係
数は薄い潤滑油膜を介してのみ得ることができるため、
厚い被膜はトラクション係数を低下させることがあるか
らである。
【0009】金属製転動面としては、例えば、高炭素ク
ロム軸受鋼鋼材(JIS G 4805)を焼人れ焼き
戻しした金属部材、クロムモリブデン鋼鋼材(JIS
G4105)を浸炭し焼入れ焼き戻しした金属部材等の
表面を研磨し、Ra0.5μm以下、より望ましくは、
Ra0.2以下にしたもの等がある。ここで、Ra0.
5μm以下としたのは、これ以上粗いと表面被膜の存在
にもかかわらず、金属部材同士の金属接触が生じ、表面
疲労による剥離が生じる可能性が高いからである。尚、
通常のトロイダル式無段変速機の運転を想定した場合油
膜厚さは、1μm以下になることも多く、金属部材の直
接接触による凝着及び焼きつきを防止すべく、適正な表
面粗さとすべきである。
【0010】次に、かかる被膜を形成する方法について
説明する。必要な材料は、互いに摺動可能な金属部材、
ジチオリン酸亜鉛を含む潤滑油である。金属部材は、上
記金属部材と同様であり、一般的な鉄基材料を用いるこ
とができる。これら金属部材の摺動表面の表面粗さは、
良好な被膜を形成するためには、Raで0.03〜0.
5μmより望ましくは、0.08〜0.2μmである。
表面粗さが細かすぎると摺動面のいわゆるトライボケミ
カル反応が十分行なわれず、粗すぎる場合は、金属部材
同士の凝着が生じるからである。特に、この表面粗さ
は、用いられる潤滑油の性能により適宜選択すべきであ
り、例えば、圧力粘度指数の大きなトロイダル用油を用
いたときは、やや粗いものが望ましい。ジチオリン酸亜
鉛を含む潤滑油としては、上記ジチオリン酸亜鉛を0.
l〜10wt%より望ましくは、1〜5wt%含む潤滑
油である。少な過ぎた場合は、被膜形成が十分でなく、
多過ぎると良好な潤滑状態が待られず、却って被膜形成
を阻害するからである。基油としては、トラクション油
及び/又は一般的な鉱油等を用いることができる。従っ
て、基油としてトラクション油を用いた場合、この潤滑
油はトロイダル式無段変速機用潤滑組成物としても用い
ることができる。かかる場合は、上記被膜形成をトロイ
ダル式無段変速機使用時にも行うことができ、一旦上記
被膜を失ったときにも再度被膜形成することができ、長
期間上記被膜を維持することができうる。
【0011】上記澗滑油の必須添加剤としては、ジチオ
リン酸亜鉛であるが、一般に潤滑油に添加される極圧添
加剤、酸化防止剤、防錆剤、清浄分散剤、消泡剤等、さ
らに、摩耗調整剤や粘度指数向上剤等をも加えることが
できる。特に、カルシウムスルフォネートやバリウムス
ルフォネート等の防錆剤、それにカルシウムフェネート
やバリウムフェネート等の清浄分散剤等、金属系の添加
剤を加えるとジチオリン酸亜鉛に起因する上記被膜の形
成が容易にできるという効果がある。
【0012】極圧添加剤としては、硫化オレフィン、硫
化エステル、ポリサルファイド等の硫黄系添加剤やリン
酸エステル、亜リン酸エステル等のリン系添加剤があ
る。酸化防止剤としては、硫化オレフィン等の有機硫黄
化合物や芳香族アミン系添加剤等があり、ジチオリン酸
亜鉛もまた酸化防止剤として働きうる。消泡剤として
は、ジメチルポリシロキサン等のようなシリコーン系化
合物等を用いることができる。摩擦調整剤としては、こ
れまで述べてきた添加剤の他、種々のエステル等を用い
ることができる。粘度指数向上剤としてはPMA等の各
種ポリマーを用いることができるが、トロイダル式無段
変速機用潤滑組成物として用いる場合は、トラクション
係数の低下が懸念されるため、添加については十分な検
討が必要である。
【0013】基油であるトラクション油としては、ポリ
ブテン等の様な炭化水素化合物やシクロヘキシル基等を
有する飽和炭化水素化合物等を用いることができる。
尚、一般にトラクション油といった場合には、基油以外
に種々の添加剤を加えたものをいうが、ここでは、基油
のみを含むトラクション油のことをいうものとする。
【0014】本発明の転動体の表面構造を得るために
は、上記摺動部材及びジチオリン酸亜鉛を含む潤滑油を
所定の温度を維持できるオイルバスに入れ、金属部材の
所定の転動面を万遍なく摺動させる。ここで、所定の温
度とは、50℃以上、より望ましくは、80℃以上であ
る必要がある。ある程度の温度以上でなければ、添加剤
の活性が確保されず、従って、表面被膜が形成されない
からである。また、180℃以下、より望ましくは15
0℃以下である必要がある。高温では、潤滑油の酸化劣
化が生じ、ジチオリン酸亜鉛等の添加剤を変質させ、表
面被膜が形成できなくなるからである。摺動条件として
は、面圧が1〜10000MPa、より望ましくは、1
0〜1000MPaの範囲である必要がある。面圧が低
すぎると所謂トライボケミカル反応が生じず、表面被膜
が形成できなくなるからであり、面圧が高すぎると所謂
トライボケミカル反応が生ずる前に金属部材同士の凝着
による焼付きが生じるからである。また、摺動速度は、
0.001〜100m/s以下、より望ましくは、0.
1〜10m/sである必要がある。摺動速度が遅すぎ
る、あるいは、速すぎると、所謂トライボケミカル反応
が生じず、表面被膜が形成できなくなるからである。
【0015】
【実施例】 以上が本発明の構成であるが、以下、実施
例に基づいて説明する。上述の潤滑油について、図1に
各実施例の構成成分を重量%で示す。また、各比較例の
構成成分も重量%で同図に示す。これらの潤滑油を用い
て以下の評価実験を行った。
【0016】トラクション係数の評価 ガス浸炭を行い、表面硬さHv650以上としたSCM
420材からなる図2に示す形状の試験片を用いた。
尚、図2(a)はフラット試験片φ40、幅20、図2
(b)は凸試験片φ40、幅20である。この時の摺動
面の表面粗さは、Ra0.1以下であった。図2の試験
片を組み合わせ図3に示す転がり・滑り試験装置で、図
1の潤滑油のトラクション係数評価を行った。この時の
面圧は約1GPaで平均試験片回転数は2500RP
M、すべり率約5%、潤滑油の温度は約100℃であっ
た。測定結果は、図1に掲載する。
【0017】被膜形成 ガス浸炭を行い、表面硬さHv650以上としたSCM
420材からなる図4に示す形状の実験片を用いた。
尚、図4(c)はフラット試験片φ25、幅20、図4
(d)は凸試験片φ100、幅20である。この時の摺
動面の表面粗さは、約Ra0.1であった。図4の実験
片を組み合わせ図5に示す被膜形成試験装置により、図
1の被膜形成用潤滑油で、試験片表面に本発明の被膜構
造を形成した。尚、図5(e)はフラット試験片の場合
(相手摺動部材凸R形状)、図5(f)は凸試験片(ダ
ミー)の場合(相手摺動部材凹R形状)である。この時
の形成条件は、潤滑油温度が約100℃であり、ヘルツ
圧で約100MPa、摺動速度約2m/sで、約5時間
摺動を行った。得られた、ジチオリン酸亜鉛に起因する
被膜は、青色を呈しており、肉眼で確認できる。尚、形
成試験後の表面粗さは、Ra0.1以下であった。
【0018】疲労試験 ガス浸炭を行い、表面硬さHv650以上としたSCM
420材からなる図4に示す形状の試験片を用いた。表
面粗さは、Ra0.1以下とした。これらの試験片を用
いて、図6に示す試験機により剥離に至るまでの寿命を
評価した。評価結果は、図lに記載する。
【0019】始動試験 図6に示す試験機を用い、上記と同様な条件で始動試験
を行った。即ち、荷重をかけた状態で摺動速度を0から
0.1m/s以上に上げ、再び速度を0にする始動試験
を繰り返し行い、表面剥離に至るまでの寿命を求めた。
結果は、図1に記載する。
【0020】
【発明の効果】 図1から明らかなように、トラクショ
ン油を基油とする各潤滑油は、夫々に高いトラクション
係数を維持しており、ジチオリン酸亜鉛等の添加剤の添
加はトラクション係数に影響しなかった。一方、本発明
の転動面の表面構造としたため、剥離寿命は、著しく向
上した。以上のように、本発明の転動面(摺動面)構造
とすることにより、基材の剥離寿命を延ばすことができ
るが、それ以外にも、摺動面間に軟骨のようなソフトな
被膜を作ることとなり、転動体が受ける振動を緩和する
働きもある。したがって、振動や異音を防止する効果は
もちろんのこと、衝撃荷重による焼きつきを防止する効
果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の測定結果を示す説明図である。
【図2】 本実施例の試験片を示す斜視図である。
【図3】 本実施例の転がり・滑り試験装置を示す模式
図である。
【図4】 本実施例の試験片を示す斜視図である。
【図5】 本実施例の被膜形成試験装置を示す模式図で
ある。
【図6】 本実施例の疲労試験装置を示す模式図であ
る。
【図7】 従来例にかかるトロイダル式無段変速機の断
面図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジチオリン酸亜鉛に起因する5〜500
    nmの被膜を転動面に有するトロイダル式無段変速機用
    転動体構造。
  2. 【請求項2】 トロイダル式無段変速機において、トル
    ク伝達用転動体表面に、ジチオリン酸亜鉛に起因する5
    〜500nmの被膜を有するトロイダル式無段変速機用
    転動体構造。
  3. 【請求項3】 トロイダル式無段変速機において、トル
    ク伝達用転動体表面に、0.l〜10wt%のジチオリ
    ン酸亜鉛、0.l〜5wt%の金属系酸化防止剤、0.
    1〜5wt%の金属系清浄分散剤を含有する潤滑油中で
    摺動することにより形成される5〜500nmの被膜を
    有するトロイダル式無段変速機用転動体構造。
  4. 【請求項4】 0.l〜10wt%のジチオリン酸亜
    鉛、0.l〜5wt%の金属系酸化防止剤、0.l〜5
    wt%の金属系清浄分散剤を含有する潤滑油中で摺動す
    ることによりジチオリン酸亜鉛に起因する5〜500n
    mの被膜を転動体表面に形成するトロイダル式無段変速
    機用転動体構造表面被膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記転動体の相手摺動部材が凸R又は凹
    Rの形状を有することを特徴とする請求項4記載のトロ
    イダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 前記転動体の相手摺動部材表面粗さがR
    aで0.08〜0.2μmであることを特徴とする請求
    項4記載のトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被
    膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 0.l〜10wt%のジチオリン酸亜
    鉛、0.1〜5wt%の金属系酸化防止剤、0.l〜5
    wt%の金属系清浄分散剤を含有するトロイダル式無段
    変速機用潤滑組成物。
  8. 【請求項8】 金属系酸化防止剤がバリウムスルフォネ
    ート及び/又はカルシウムスルフォネート、金属系清浄
    分散剤がバリウムフェネート及び/又はカルシウムフェ
    ネートであることを特徴とする請求項7記載のトロイダ
    ル式無段変速機用潤滑組成物。
JP9008396A 1997-01-21 1997-01-21 トロイダル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式無段変速機用潤滑組成物 Pending JPH10205600A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9008396A JPH10205600A (ja) 1997-01-21 1997-01-21 トロイダル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式無段変速機用潤滑組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9008396A JPH10205600A (ja) 1997-01-21 1997-01-21 トロイダル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式無段変速機用潤滑組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10205600A true JPH10205600A (ja) 1998-08-04

Family

ID=11692035

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9008396A Pending JPH10205600A (ja) 1997-01-21 1997-01-21 トロイダル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式無段変速機用潤滑組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10205600A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004137535A (ja) * 2002-10-16 2004-05-13 Nissan Motor Co Ltd 硬質炭素被膜摺動部材
JP2006501424A (ja) * 2002-09-30 2006-01-12 ロース,ウルリヒ 変速装置
JP2006501426A (ja) * 2002-09-30 2006-01-12 ロース,ウルリヒ 回転変速機
JP2006502362A (ja) * 2002-10-07 2006-01-19 ロース,ウルリヒ トランスミッション

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08296709A (ja) * 1995-04-26 1996-11-12 Nissan Motor Co Ltd 高面圧転動体
JPH0913063A (ja) * 1995-06-27 1997-01-14 Kao Corp 潤滑油組成物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08296709A (ja) * 1995-04-26 1996-11-12 Nissan Motor Co Ltd 高面圧転動体
JPH0913063A (ja) * 1995-06-27 1997-01-14 Kao Corp 潤滑油組成物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006501424A (ja) * 2002-09-30 2006-01-12 ロース,ウルリヒ 変速装置
JP2006501426A (ja) * 2002-09-30 2006-01-12 ロース,ウルリヒ 回転変速機
US7682278B2 (en) 2002-09-30 2010-03-23 Ulrich Rohs Revolving transmission
JP2006502362A (ja) * 2002-10-07 2006-01-19 ロース,ウルリヒ トランスミッション
JP2004137535A (ja) * 2002-10-16 2004-05-13 Nissan Motor Co Ltd 硬質炭素被膜摺動部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Neville et al. Compatibility between tribological surfaces and lubricant additives—how friction and wear reduction can be controlled by surface/lube synergies
JP4007440B2 (ja) 硬質炭素皮膜摺動部材
US7322749B2 (en) Low-friction sliding mechanism
EP1338641B1 (en) Low-friction sliding device
JP4784248B2 (ja) 摺動構造及び摺動方法
JP3742438B2 (ja) 自動変速機用潤滑油組成物
US20130252860A1 (en) Sliding structural members
US9790447B2 (en) Sliding system
JPH10205600A (ja) トロイダル式無段変速機用転動体構造及びトロイダル式無段変速機用転動体構造表面被膜の形成方法並びにトロイダル式無段変速機用潤滑組成物
US20190100714A1 (en) Sliding system
JP2006144100A (ja) 自動車エンジン用摺動部材
US5282689A (en) Rolling bearing
JPH1060561A (ja) 耐焼付性にすぐれたすべり軸受
US11927225B2 (en) Sliding spline shaft device
JP6667493B2 (ja) 摺動システム
JP5854554B2 (ja) 摺動機構
Fatima Impact of water contamination and system design on wet clutch tribological performance
GB2259711A (en) Rolling bearing lubricant
Hurley et al. Lubricant technology for dual clutch transmissions
Murakami et al. Development and testing of CVT fluid for Nissan toroidal CVT
Bell Engine lubricants
Omura et al. Tribology Online
KR19990021228A (ko) 자동차용 수동변속기유 조성물
Papay New Developments in Automatic Transmission Fluids
Tersigni et al. New Durability Testing of Dual Clutch Transmission Fluids

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040106