JPH10205073A - 断熱曲面屋根 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工性がよく、支持部材のピッチが大きくと
れ、水密性や気密性を確保しやすい曲面断熱屋根を提供
する。 【解決手段】 上下の金属板３，４の間に断熱材５をサ
ンドイッチ状に挟み込み、断熱曲面屋根パネル２を形成
する。上部金属板３は屋根曲面に合わせて湾曲させた平
板の両側端部を上方に屈曲させて隣接する屋根パネルと
の接合部を形成したものである。下部金属板４は屋根曲
面に合わせて湾曲させたデッキプレート状の部材からな
る。下部金属板４上にハット形状の吊り子取付用金具７
を設置し、この取付用金具７の上面に吊り子６を固定
し、吊り子６に上部金属板３の両側端部の接合部を当接
させてシーム溶接等により隣接する屋根パネル２どうし
の接合を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本願発明は、上部の金属板間
に断熱材をサンドイッチ状に挟み込んだ断熱屋根パネル
を用いた断熱曲面屋根の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の断熱曲面屋根の一般的な形成方法
としては、例えば図１０に示すように、曲面に合わせて
梁あるいは母屋等の支持部材２１を設置し、木毛セメン
ト板等の断熱性を有する下地材２２を支持部材に合わせ
て曲げたものを設置し、その上に屋根材２３を固定する
ことで曲面屋根を形成している。

【０００３】また、特開平４−１０６２５８号公報に
は、鋼材からなる高強度の下地材について、鋼板からな
る面板部分と補強鋼材とを別体に成形し、それぞれ湾曲
させたものを組み合わせることで、曲面加工が比較的容
易で精度のよい下地材を形成し、その上にコンクリート
を打設してなる曲面屋根が記載されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の断熱曲
面屋根の場合、断熱性を有する下地材そのものの強度が
弱いため、支持部材のピッチが小さくなり、従って曲面
に合わせた精度が出にくい。また、下地材を曲げること
も困難であるため、屋根全体の精度が悪くなったり、施
工精度が粗くなることにつながり、建物の振動（地震、
風、クレーン等）に伴い、屋根材の接合部に隙間が生
じ、雨漏れの原因となりやすい。

【０００５】一方、特開平４−１０６２５８号公報記載
のものは、下地材および屋根材自体に強度の高い鋼材や
鉄筋コンクリートを用いたものであるが、下地材の成形
に特別の成形機あるいはベンダーを必要とし、また施工
も手間がかかる。

【０００６】本願発明は、このような課題を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、施
工性がよく、支持部材のピッチが大きくとれ、しかも水
密性や気密性を確保しやすい曲面断熱屋根を提供するこ
とにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願発明の断熱曲面屋根
は、屋根曲面の曲率に対応する曲面を持った上部および
下部金属板と、これら上部および下部金属板間に設置し
た断熱材とからなる屋根パネルを、屋根の骨組を構成す
る支持部材上に多数連設してなる。

【０００８】金属板としては例えば鋼板やステンレス板
等が用いられるが、屋根材として必要な強度、耐久性等
を備えるものであれば特に限定されない。また、平板に
限らず、特に下部金属板についてはデッキプレート状の
凹凸を設けたもの等が適する。断熱材としては例えば発
泡性樹脂材料からなるものや繊維材料からなるもの等を
用いることができる。

【０００９】屋根パネルの取付けは、屋根パネルを構成
する下部金属板を、屋根の骨組を構成する梁等の支持部
材に固定し、さらに屋根パネルの上部金属板の端部を吊
り子に固定することにより隣接する屋根パネルどうしを
密着させて行う。吊り子は下部金属板に直接取り付けた
もの、あるいは取付用金具を介して下部金属板に取り付
けたものであり、上部金属板の端部を重ね合わせ、シー
ム溶接等によって接合することができる。

【００１０】請求項２は、下部金属板上に設置され上部
および下部金属板間のスペーサーを兼ねた取付用金具
に、吊り子が固定されている場合を限定したものであ
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１および図２は本願発明をいわ
ゆる蒲鉾型の断熱曲面屋根に適用した場合の一実施形態
を示したものであり、図２が断熱曲面屋根全体の形状を
表し、図１の(a) と(b) は互いに直交する断面を表して
いる。

【００１２】本願発明では、図に示すように曲面を有す
る上下の金属板３，４の間に断熱材５をサンドイッチ状
に挟み込み、断熱曲面屋根パネル２を形成する。

【００１３】この例で上部金属板３は屋根曲面に合わせ
て湾曲させた平板の両側端部を上方に屈曲させて隣接す
る屋根パネルとの接合部を形成したものであり、下部金
属板４は屋根曲面に合わせて湾曲させたデッキプレート
状の部材からなる。

【００１４】下部金属板４上にはハット形状の吊り子取
付用金具７が設置され、この取付用金具７の上面に吊り
子６を固定し、吊り子６に上部金属板３の両側端部の接
合部を当接させてシーム溶接等により隣接する屋根パネ
ル２どうしの接合を行う。また、この例では吊り子取付
用金具７が下部金属板４と上部金属板３の間隔を保持す
るためのスペーサの機能も有している。図中、９は接合
部のキャップを表す。

【００１５】上記のような構成において、上部金属板３
は止水性、耐候性等、屋根材としての機能を分担し、下
部金属板４は支持部材１間に強度を与える機能を分担す
る。

【００１６】屋根パネル２と支持部材１の接合は、屋根
パネル２の下部金属板４を支持部材１にセルフドリリン
グスクリュー等の固定具８で固定してから、吊り子取付
用金具７に取り付けられた吊り子６を介して、上部金属
板３を密着させて接合することによって行われる。

【００１７】図３は本願発明の他の実施形態を示したも
ので、図１の例では下部金属板４上にハット形状の吊り
子取付用金具７を取り付け、取付用金具７の上面に吊り
子６を固定していたのに対し、図３の例では断面が段状
になったＺ形状の吊り子取付用金具７を用いている。そ
の他の基本的な構成は図１の場合と同様である。

【００１８】図４は本願発明に適用可能な上部金属板３
および吊り子６の接合例として、図１におけるハット形
状の吊り子取付用金具７の代わりに、平鋼１０を吊り子
取付用金具として使用し、吊り子６を断熱材５を貫通す
るセルフドリリングスクリュー１１で平鋼１０に固定し
た例を示したものである。

【００１９】図５は上部金属板３および吊り子６の他の
接合例として、(b) または(c) に示されるような平板部
１２ａと針状の脚部１２ｂを有する吊り子取付用金具１
２を用いセルフドリリングスクリュー１３で固定した例
を示したものである。この例では客部１２ｂの長さが上
部および下部金属板３，４間の間隔を保持することでス
ペーサーの機能を兼ねている。

【００２０】図６の接合例は基本的には図５のものと同
様のものであり、下部金属板４の凹凸形状に合わせて、
吊り子取付用金具１２の脚部１２ｂの長さを変えてあ
る。

【００２１】図７〜図９は、図１および図３〜図６で用
いたような吊り子取付用金具を用いずに、吊り子３を、
タッピングねじとナットを構成要素とする固定具１４を
用いて下部金属板４に取り付けた場合を示したものであ
る。この場合も、ナット等の調整により吊り子３の高さ
が固定され、予めねじに固定されている下ナット１４ａ
により上部および下部金属板２，４間の間隔を保持し、
スペーサーとして機能する。

【００２２】

【発明の効果】 本願発明では、強度を持った曲面状に成形された下部
金属板を使用することにより、支持部材のピッチを増大
させるだけでなく、屋根材と直交する支持部材を曲線加
工することなく、断熱曲面屋根パネルどうしを接合して
一体化させることができる。

【００２３】従来の一般的な断熱曲面屋根では、断熱
性を有する下地材が曲面形状を保つために強度を持つ必
要があったが、本願発明では下部金属板が強度を負担
し、断熱材が強度を持った材料である必要がない。

【００２４】従来は支持部材の上での作業であった
が、本願発明では下部金属板が作業床となるため、安全
性が確保されるとともに、工期も短縮される。

【００２５】吊り子を利用して従来の金属屋根におけ
る防水工法と同様の方法で、容易に水密性、気密性を確
保できる。

【００２６】断熱材に不燃材を使用することにより、
断熱曲面屋根パネル自体が耐火性を確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の一実施形態を示したもので、(a) は
断熱曲面屋根の断面図、(b) はそのＡ−Ａ断面図であ
る。

【図２】本願発明の一実施形態における断熱曲面屋根全
体の縦断面図である。

【図３】本願発明の他の実施形態における断断熱曲面屋
根の断面図である。

【図４】本願発明の断熱曲面屋根における上部金属板お
よび吊り子の接合例を示す断面図である。

【図５】(a) は本願発明の断熱曲面屋根における上部金
属板および吊り子の他の接合例を示す断面図、(b) およ
び(c) はそれぞれスペーサーを兼ねた吊り子取付用金具
の一例を示す斜視図である。

【図６】本願発明の断熱曲面屋根における上部金属板お
よび吊り子のさらに他の接合例を示す断面図である。

【図７】本願発明の断熱曲面屋根における上部金属板お
よび吊り子のさらに他の接合例を示す断面図である。

【図８】本願発明の断熱曲面屋根における上部金属板お
よび吊り子のさらに他の接合例を示す断面図である。

【図９】本願発明の断熱曲面屋根における上部金属板お
よび吊り子のさらに他の接合例を示す断面図である。

【図１０】従来の断熱曲面屋根の一例を示す縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１…支持部材、２…屋根パネル、３…上部金属板、４…
下部金属板、５…断熱材、６…吊り子、７…吊り子取付
用金具、８…固定具、９…キャップ、１０…平鋼、１１
…セルフドリリングスクリュー、１２…吊り子取付用金
具、１３…セルフドリリングスクリュー、１４…固定具

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 屋根曲面の曲率に対応する曲面を持った
   上部および下部金属板と、前記上部および下部金属板間
   に設置した断熱材とからなる屋根パネルを、屋根の骨組
   を構成する支持部材上に多数連設してなり、前記下部金
   属板を前記支持部材に固定し、隣接する屋根パネルの上
   部金属板の端部を前記下部金属板に直接または取付用金
   具を介して取り付けた吊り子に固定することにより隣接
   する屋根パネルどうしを密着させて接合してあることを
   特徴とする断熱曲面屋根。
2. 【請求項２】 前記吊り子は、前記下部金属板上に設置
   され上部および下部金属板間のスペーサーを兼ねた取付
   用金具に固定されている請求項１記載の断熱曲面屋根。