JPH10197902A - 双安定な強誘電性の液晶セル - Google Patents

双安定な強誘電性の液晶セル

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JPH10197902A
JPH10197902A JP9317406A JP31740697A JPH10197902A JP H10197902 A JPH10197902 A JP H10197902A JP 9317406 A JP9317406 A JP 9317406A JP 31740697 A JP31740697 A JP 31740697A JP H10197902 A JPH10197902 A JP H10197902A
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cell
crystal cell
crystal layer
bistable
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JP9317406A
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Juerg Fuenfschilling
イエルク・フユンフシリング
Martin Dr Schadt
マルテイン・シヤツト
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Rolic AG
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    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
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    • G02F1/139Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells characterised by the electro-optical or magneto-optical effect, e.g. field-induced phase transition, orientation effect, guest-host interaction or dynamic scattering based on orientation effects in which the liquid crystal remains transparent
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視角依存性が少なく、スイッチング時間が短
く、エネルギ源なしにデータの記憶ができる可能性を有
し、加えて双安定なSSFCLおよびSBFCLの表示
セルの難点を持っていない双安定な液晶セルおよびこの
液晶セルを作製する方法を提供する。 【解決手段】 強誘電シラルスメクティック複屈折性の
液晶層を有する液晶セル21と偏光手段を備え、セル2
0が液晶層21を閉じ込めた一対の平行な板22,23
を有し、両方の板の各々に液晶層21の分子を整列させ
る表権構造体と電場を発生する電極26,27を備え、
液晶層21が膜厚d,自発分極PS > 50nC/cm2および
飽和スイッチング角α> 45 °を有する双安定な液晶セ
ルにあって、液晶層21が重合した分子を含み、膜厚d
がセルのない状態の未重合液晶層のラセンピッチpより
大きい。また、液晶セルを作製する方法にあって、未重
合状態の強誘電液晶混合物を予め用意したセルに充填
し、このセルを重合させるため両側から同じ強度の光で
照明し、重合処理の間に対称な交番電圧をこのセルに印
加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、強誘電性のキラ
ルスメクティック液晶層を有する液晶セル、以後表示セ
ルとも称する、即ち特許請求の範囲の前段に規定するセ
ルに関する。
【0002】
【従来の技術】周知の液晶セルはネマティック液晶構造
を有し、この構造に合わせてTNあるいはSTNセルと
呼ばれている。この場合、TNが捩じれたネマティック
に対して、またSTNが超捩じれネマティックに対応す
る。そのようなセルは多くの応用に対して十分である。
しかし、その画質は利用者の視角に非常に大きく依存す
る。その外、情報を表示ないしは記憶したいなら、TN
およびSTNセルは何時も印加している信号電圧を必要
とする。即ち、これ等のセルはデータを記憶したり表示
するのにエネルギ源なしには使用できない。このような
応用の一例は銀行カードあるいはクレジットカードであ
る。このカードは組み込み電池なしに書込・読取装置に
よりこのカード上に転写された預金残高を記憶できる。
【0003】強誘電キラルスメクティック液晶層を有す
る液晶セルは他のセルタイプに属する。つまり、この種
のセルは複屈折、以下ではSC * 層とも称する液晶層、
場合によってはラセン構造を形成する液晶層を有する。
この液晶層は電場の作用により光学非等方性が変わるよ
うに影響を受けるないしは変形する。周知の強誘電液晶
セルには一対の透明板があり、これ等の透明板にはSC
* 層と共に、SC * 層の分子を揃える各一つの表面構造
体と、電場を発生する電極と、それぞれ一つの偏光子を
備えている。SC * 層に対向する表面構造体は、以後に
もっと詳しく説明するように、隣接する液晶分子に整列
作用を与える。スメクティック層あるいは面は、強誘電
液晶セルの場合、透明板に垂直に向いている。このよう
な構造は文献で時として所謂本の棚板とも記載される。
【0004】強誘電性の表示セルに使用できる液晶は、
異なった化学化合物を混ぜたものである。これには所謂
添加材も付属し、この添加材は混合物にキラル特性を与
え、強誘電性の元に成っている。キラルスメクティック
液晶混合物は、特にスメクティック層に付属し、互いに
ほぼ平行に配置している分子がスメクティック面に垂直
でなく、平面法線に対して或るスメクティック傾斜角θ
にして配置されている点に特徴がある。SC * 層のキラ
ル性は液晶分子の軸が層毎に互いに捩じれるので、ピッ
チpのネジ状のラセンを形成する。このようなランセ構
造が望ましくないなら、境界の作用によりあるいは本の
棚板構造を変えて抑制できる。
【0005】休止状態、つまり電場が印加していない状
態では、強誘電性の表示セルは一定の光透過性を示す。
電極に電圧を印加すれば、個々のスメクティック層に回
転モーメントが加わる。この回転モーメントは分子の向
きを変えるので、個々のスメクティック層の向きを変え
る。これは光軸を回転させることになる。印加する電圧
に依存する光軸の回転は、実際上スイッチング角度αの
測定で求めることができる。
【0006】しかし、キラルスメクティック液晶混合物
には他の特性もある。つまり、これ等の混合物は自発分
極PS を示す。即ち、分子双極モーメントの固有な自発
整列を示す。これは、表示セルに印加する電場がこの自
発分極と強く相互作用する。これはTNおよびSTNセ
ルで知られているスイッチング時間を著しく短縮する。
傾いたスメクティック相の他の特異性は本の棚板構造の
場合に使用され、この構造ではスメクティック面が、既
に説明したように、表示面に垂直になる。スメクティッ
ク層の分子が境界に平行に向くように、ガラス表面の処
理を行うと、分子が面法線に対してどのように傾くかに
関する二つの可能性が生じる。つまり前方かあるいは後
方に傾く。この場合、両方の状態はSC 面で方線に対し
て同じ角度を持ち、SC 構造と折り合いがよい。これ等
の両方の構造あるいは状態はSC液晶の双安定性の基で
ある。つまり、双安定な強誘電液晶セルを形成する基礎
である。
【0007】強誘電性の双安定な液晶セルはネマティッ
ク表示の前記難点を持っていない。つまり、これ等の液
晶セルは視角依存性が少なく、情報を書き込むと直ぐエ
ネルギ源か切り離せる。SC * 層の強誘電性により、双
安定な液晶セルの場合、両方の構造あるいは状態の間で
交互に切り換えることができる。同時に、キラル添加材
の自発整列双極モーメントは印加電場に強く反応する自
発分極PS を与える。添加材は双安定セルの短いスイッ
チング時間に寄与している。双安定な液晶構造には、D
HFセル(DHFは変形ヘリックス強誘電体:Deformed
Helix Ferroelectric)で生じるような形状のラセンの
形成が望ましくないことが知られている。つまり、自発
分極PS の大きさには或る限界が設定される。つまり、
混合物に含まれるキラル分子は自発分極だけを与えるの
でなく、SC 構造の捩じれ傾向も強める。これは双安定
な液晶構造にとって不利である。
【0008】それ故、Lagerwall and Clark (Appl. Phy
s. Lett., 38, 899, 1980)の所謂表面を安定化した強誘
電液晶(Surface Stabilized Ferroelectric Liquid Cr
ystal ; SSFLC)効果に基礎を置く双安定な表示セ
ルの場合には、分子と表面の相互作用が添加材の回転能
力の影響より強くなるように配量を低く選ぶ必要があ
る。その結果、ランセの形成が抑制されるか困難にな
る。実際にはこれはランセのピッチが液晶層の膜厚dよ
り十分大きいことを意味する。
【0009】表面力による構造を比較的弱く安定化する
こと、および添加物の回転能力によるこの力の部分的な
補償は、小さなエネルギで双安定にスイッチングでき、
そのため達成された状態が非常に不安定であることを意
味する。比較的小さい電気的なあるいは機械的な乱れが
状態「傾斜」、つまり両方の双安定な構造の間の往復ス
イッチングを作動させる。それ故、SSFLC表示セル
は長期間確実に記憶するのに不適当である。
【0010】この問題の解決は所謂短ピッチを持つ双安
定な強誘電性の表示セル(Short-pitch Bistable Ferro
electric Cell;SBFLC)を提示した。このセルで
は、ランセの形成を抑制するスメクティック面のジグザ
グ変調を発生するように、液晶層を電気パルスで整列さ
せる。従って、このセルは周知のSSFCLセルより振
動に著しく少なく反応する。この種の表示セルは、例え
ば欧州公開特許第 0 405346号明細書により周知であ
る。
【0011】SSFLC表示セルやSBFLC表示セル
には他の顕著な難点がある。これ等の難点では情報が焼
き付く。つまりセルが長時間同じ状態になっていると、
自発分極の電場により、接点の近くに電荷の雲の形をし
たイオン汚染が生じる。この空間電荷と場合によって更
に影響する表面電荷が対応するセルの動作点を他のスイ
ッチング点に変える。その結果、ゴースト像あるいは双
安定性の喪失が生じる。導電性の方位層を使用し、TN
やSTN表示セルで通常の導電性の悪いあるいは絶縁性
の層を省く場合、この空間電荷の効果が緩和されるか、
あるいは和らげられる。液晶はこの時両方の接点に低抵
抗で接続し、これが塵の粒子等による短絡の恐れを劇的
に高める。
【0012】SC * 層のラセンあるいはディレクタ構造
に影響を与える他の可能性は、重合性の分子の混合にあ
る。この考えは重合処理で液晶セルを形成あるいは作製
する場合にディレクタ構造を最適な配置に安定化する
か、あるいは凍結させることにある。これは、少なくと
も一つの反応中心を有し、紫外線を照射すると重合反応
が始まる少量の重合性分子を液晶混合物に混ぜることに
より達成される。この重合により長い分子の繊維が生
じ、これ等の繊維がもつれて太い毛玉になり、場合によ
って、更に交差結合し(これが架橋を与える),これに
より重合反応の開始時点に存在するディレクタ構造を凍
結する。この事象は既に米国特許第 5 434 685号明細書
に開示されている。もっとも、この明細書に開示されて
いる技術はSSFCL表示セル、つまりピッチpの長い
液晶混合物に限定されている。更に、米国特許第 5 434
685号明細書に開示されている液晶セルでは、二つの安
定状態の一方、つまり液晶混合物が重合している状態
は、他方の状態より安定である。これは、そのように形
成されたセルを使用する場合、必要な駆動電圧に望まし
くない非対称性を与え、場合によっては、双安定性を損
なうことになる。米国特許第 5 434 685号明細書により
周知の液晶セルでは、重合が相分離も含めて始まる。つ
まり、液晶は、この場合、小さな液滴の形状になる。学
会報告書、Conf. Report IDRC, SID, p. 175 (1991) で
J. W. Doane, D. K. Yang and L. C. Chienによる表示
セルはこの一例である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明の課題は、欧
州公開特許第 0 405 346号明細書を前提として、双安定
な表示セルの重要な利点、つまり視角依存性が少なく、
スイッチング時間が短く、エネルギ源なしにデータの記
憶ができる可能性を有し、加えて上に述べた双安定なS
SFCLおよびSBFCLの表示セルの難点を持ってい
ない双安定な液晶セルを提供することにある。
【0014】更に、この発明の課題は、この発明による
液晶セルの製造方法、表示手段およびそのような液晶セ
ルを含むカードを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、この発明
により、強誘電性のキラルスメクティック複屈折液晶層
を有する液晶セル21と偏光手段を備え、セル20が液
晶層21を閉じ込めた一対の平行な板22,23を有
し、両方の板の各々に液晶層21の分子を整列させる表
権構造体と電場を発生する電極26,27を備え、液晶
層21が膜厚d,自発分極PS > 50 nC/cm2および飽和
スイッチング角α> 45 °を有する双安定な液晶セルに
あって、液晶層21が重合した分子を含み、膜厚dがセ
ルのない状態の未重合液晶層のラセンピッチpより大き
いことによって解決されている。
【0016】更に、上記の課題は、この発明により、上
記液晶セルを作製する方法にあって、未重合状態の強誘
電性の液晶混合物を予め用意したセルに充填し、このセ
ルを重合させるため両側から同じ強度の光で照明し、重
合処理の間に対称な交番電圧をこのセルに印加すること
によって解決されている。更に、上記の課題は、この発
明により、表示手段およびカードがそれぞれ上に述べた
液晶セルを使用していることによって解決されている。
【0017】この発明による他の有利な構成は特許請求
の範囲の従属請求項に記載されている。
【0018】
【発明の実施の形態】適当なパラメータを選び、液晶組
成が適当であると、SBFCL表示セルに高分子を形成
する分子を使用することにより期待される以上の大きな
利点が得られることは驚く発見であった。更に、高分子
を形成する分子を含む液晶混合物で形成されるSBFC
Lタイプの表示セルは、重合過程の間にセルが両側から
強く照明され、同時に交番電圧により両方の飽和状態の
間で交互に切り換わると、二つの同じ状態を持つ双安定
な液晶セルに形成されることが確認された。この場合、
飽和とは、交番電圧を更に高めても屈折率楕円体の回転
角も複屈折率の値Δnも検知できるほど変化しないこと
を意味する。対称な双安定性は、この場合、両側の照明
条件と対称なスイッチングが重合中に維持されることの
証である。つまり、セルが両側から一様に照明されない
なら、SC * 層は単安定性になるか、あるいは正と負の
電圧に対して著しく異なったスイッチングしきい値を持
ち、これは表示器を使用するのに有害である。対称なス
イッチングを欠いているなら、重合中に占めているスイ
ッチング状態が優先される。これは、冒頭に述べた種類
の液晶セルを非対称にするか、あるいは場合によっては
単安定にする。
【0019】この発明による液晶セルの特に有利な実施
態様では、室温で比電気抵抗ρは最高で 2・109 Ωm ,
好ましくは最高で109 Ωm ,例えば 4・108 Ωm とな
る。つまり、比電気抵抗ρ> 2・109 Ωm を持つ双安定
な液晶セルは、より低い比電気抵抗を持つ双安定な液晶
セルより相当悪いコントラストを示すことが確認され
た。
【0020】強誘電性の液晶セル(あるいはその中に含
まれている液晶混合物)のオーム抵抗の測定は自発分極
の寄与により困難になる。この場合に対して、抵抗値は
各液晶セルを特徴付ける電流電圧特性曲線から計算でき
る。図4のグラフはそのような電流電圧特性曲線を示
す。このグラフに示す、有利なこの発明による液晶セル
に対して典型的な特性曲線は、自発分極を飽和させる 1
0 Hz/20 V の三角状電圧と共に記入されている。偏向点
で測定された電圧値と電流値の差分ΔUとΔIから、オ
ーム抵抗R= 13 M Ω,および、この値からセルの大き
さを計算に入れて比電気抵抗ρ= 4・108 Ωm が求ま
る。
【0021】液晶混合物の比電気抵抗は、実質上成分組
成に依存し、非常に高いなら、例えばテトラブチルアン
モニウム沃化物を適当に添加して低減できる。更に、比
較的低いρ値を持つ液晶混合物を使用すると、対応する
液晶セルの工業生産を容易にすることも指摘しておく。
つまり、例えばTNおよびSTN表示器のような、所謂
「フィールド表示器」には比較的高いρ値を持つ混合物
が必要であり、これはそのようなセルの作製を更に困難
にする。
【0022】この発明による液晶セルは一連の利点によ
り優れている。即ち、 ・このセルはディレクタの二つの安定な状態の間で全く
等価なスイッチングを可能にする。 ・この発明によるセルの他の利点は、双安定な二つの液
晶構造の安定性が高い点にある。液晶セルを液晶セルの
混合物の清澄点以上に昇温してその後再び冷却させるて
も、上記構造あるいは方位(書き込まれた情報ではな
い)が維持されている。つまり、冷却時には昇温時と同
じ方位が再び生じる。この特性はこの発明による液晶セ
ルの層温度を著し高める。
【0023】・この発明の他の利点は、大きな自発分極
(つまり急速なスイッチング速度)を絶縁された接点の
使用と組み合わせることのできる可能性にある。つま
り、双安定表示セルを比較的厚い絶縁方位層で作製でき
る。そのような絶縁層は局部的な短絡作用を緩和する。
これは、小さいセル間隔の場合、強誘電表示器にとって
特に重要である。
【0024】機械的な安定性が高く、絶縁された接点で
あるため、この発明による液晶セルは、機械的および電
気的に大きな負荷を受ける応用分野に特に良好に適して
いる。これには、例えば非常に軽く、場合によって、柔
軟な表示手段が付属し、これ等の表示手段は薄いプラス
チック円板で作製される。こうして、この発明による液
晶セルはクレジットカード等に簡単に組み込める。この
ようなカードは、組み込みエネルギ源なしに、書込・読
取装置で一度書き込まれた情報を絶対に安全にしかも長
期間記憶する。
【0025】
【実施例】以下、添付図面に基づきこの発明をより詳し
く説明する。双安定な強誘電液晶セルの外観を図1に単
純化して示す。液晶層のスメクティック層は、この場
合、既に冒頭で述べたように、板2と3に対して直交し
ている。更に、各層の互いに平行に配置された分子は面
法線に対して冒頭に述べた傾斜角θほど傾いている。
【0026】液晶セルの面内には、結局、屈折率楕円体
が二つの安定な状態10と11にして示してある。電極
12と13に電圧を印加すると、液晶に電場が発生す
る。この電場は分子の方位を変える。実際の場合、模式
的に示す電圧源から周期的な信号あるいは制御パルスを
出力し、これ等のパルスは周知のセルやこの発明による
セルでも逆極性を持つ。実際には、これは十分大きい電
場が屈折率を、例えば状態10から状態11に切り換え
る、つまりスイッチングすることを意味する。電場が逆
転するとこの状態あを元に戻す。セルを電場で一度励起
すると、ディレクタは、励起電場なしでも、二つの双安
定構造の一方にある。これ等の構造は未だ遊びがある。
つまり、二つの安定な位置の間の光軸の観測されるスイ
ッチング角度αは一般に遊びのない構造で期待される二
倍の傾斜角θの値より小さい。
【0027】所謂しきい値電圧US より低い電圧は屈折
率を切り換えない。このようなセルが二つの分極の一方
に平行な位置10の光軸で交差した二つの分極14と1
5の間にあるなら、透過度は位置10で最小である、つ
まり暗く、位置11で最大である、つまり明るい。この
液晶セルを用いて、明暗の間を交互に切り換えることが
できる。或る電圧範囲では、部分的なスイッチングも生
じるので、グレー値(灰色値)も可能である。透過度
は、αで示す双安定スイッチング角が 45 °になると、
最大になる。このスイッチング角αは、多くの場合、ス
メクティック傾斜角θの二倍より小さいので、この値は
22.5 °より大きい、例えば 25 °より大きく、好まし
くは 30 °より大きい。液晶層の厚さdは、結局、緑色
での光路差が緑色の光の約半波長に相当するように選択
される。
【0028】この発明による液晶セルの製造を詳しく説
明する前に、このようなセルの一般的な構造を説明す
る。図2に示す全体に符号20を付けた双安定な液晶セ
ルには、SC * 層21がある。この層は互いに平行な
板、あるいは透明材料のフォイル22と23の間に配置
されている。平行板あるいはフォイル22と23の透明
材料としては、例えばガラス、アクリルガラス、あるい
はプラスチックフォイルを使用できる。この場合、液晶
層のランセのピッチpは、セルのない状態で重合されて
いない液晶層21の膜厚dより薄くなうように選択され
ている。
【0029】下側の板22の外側には偏光子24があ
り、この偏光子は好ましくは板22に連結し、例えばそ
の上に接着されている。これに合わせて、上側の板23
には偏光子25が同じように付属している。この代わり
に、上記偏光子をセルの内部にも配置できるし、あるい
は板22と23が、例えば整列した複色性顔料分子を含
むプラスチックで作製されているなら、板22と23を
通して設けることもできる。
【0030】液晶層21に対向する板22と23の表面
上には、透明な電極26と27と、場合によっては、更
にそれぞれ一つの絶縁層28,29が配設されている。
それぞれ一枚の板あるいはフォイル、一つの偏光子、一
つの電極および一つの絶縁層で形成されたホルダーは、
C * 層に対向する側で更に、隣接する液晶層に、従っ
て液晶の全体の層に指向作用を及ぼし、これにより指向
性の向きを決めるように取り扱われる。この取り扱い
は、例えば高分子層の被膜中で次に続く摩擦処理と共に
行われる。他の指向方法は、例えば液晶層を裏打ちする
ことである。他の可能性は方向性のある層を斜め蒸着す
ることである。このような層を図2に示し、符号30と
31を付ける。
【0031】この発明の有利な実施態様では、二つの偏
光子の一方、例えば偏光子24の偏光方向が、図1に示
す符号10を付けた第一の双安定構造の光軸に平行で、
他方の板23に属する偏光子25が偏光子24に対して
90 °ほど回転しているようにこれ等の偏光子が配置さ
れている。偏光子24と25のこの整列方向は一つの好
適実施例を表す。同じように良好な結果を得ることので
きる偏光子の他の配置も可能である。そのような配置は
簡単な最適化により簡単に決定できる。
【0032】この発明の目的に利用できる重合しない液
晶混合物は、自発分極Ps > 50 nC/cm2,ピッチp<d
およびスメクティック傾斜角θ> 25 °に特徴がある。
更に、この発明による混合物は、約 1〜 20 重量%の重
合可能な分子、即ち、アクリテート、あるいはエキシあ
るいは当業者に周知の他の構造体で形成される少なくと
も一つの反応中心を持つ分子を含む。
【0033】更に、この混合物は一定の波長の光を吸収
して重合反応を始める開始剤を含んでいてもよい。この
混合物は反応中心の望ましくない熱反応を抑制する開始
剤も含んでもよい。この発明による液晶混合物の例は、
図5と6に示す表に示してある。この場合、符号Aを付
けた化合物がキラル添加剤であり、符号Bを付けた分子
が重合可能な化合物であり、符号Cを付けた分子が開始
剤であり、符号Dを付けた化合物が光開始剤である。
【0034】以下では、この発明による液晶セルの製造
方法を詳しく説明する。この発明による液晶セルを作製
するには、未架橋状態の強誘電性の液晶混合物をセルの
厚さが約2μm の予め準備したセルに充填する。これ
は、周知のように、約 90 °の温度で毛細管作用により
行われる。予め準備したセルの方位層が所望の指向作用
をセルの全ての厚さにわたり達させるのに十分でないな
ら、交番電圧あるいは直流電圧を印加して更に改善でき
る。これは、例えばその後に続く約5分の冷却過程の間
にセルに印加される± 10 V/ 1 kHzの矩形波電圧により
達成できる。液晶混合物が望む品質の二つの板の間に向
いているなら、重合が光により始まる。そこでは、セル
の両側が、例えば 15 分間(ほぼ日光のスペクトルと強
度を持つ)水銀ランプで照明される。照明期間中には、
新たに矩形波電圧、この場合には、例えば± 30 V/ 100
Hz の対称な矩形波電圧をセルに印加する。対称な切換
に使用する交番電圧は、好ましくは飽和電圧の振幅より
最高で 10 %ほど小さい振幅と、重合反応の約 0.1%が
経過する時間より短い期間を持つ。
【0035】このように形成された液晶セルは双安定性
で、二極パルスで駆動する場合、例えば 20 : 1 の高い
コントラストでスイッチングされる。この場合、二極の
パルス列は、例えばスイッチング処理に対して+ 15 V
の振幅を持つ 3 ms の長さのパルスに続く、− 15 V の
振幅を持つ 3 ms の長さのパルスから成り、逆スイッチ
ング処理に対して同じパルスの逆向きの並びで構成され
る。
【0036】作製された表示セルの好適実施例は、下記
の点に特徴がある。即ち、 ・二つの双安定なスイッチング状態は、飽和スイッチン
グで観測されるスイッチング角度より少なくとも7°ほ
ど小さいスイッチング角度を持ち、 ・二つの双安定な状態の複屈折率の値Δnは電気的に飽
和した液晶双の場合より少なくとも5%小さく、 ・正負のしきい値電圧US は 20 パーセント以内ほど互
いに異なっている。 である。
【0037】双安定な状態は単に固定されたスイッチン
グ状態ではないことが分かる。つまり、表示セルに高圧
を印加すれば、最大のスイッチング角度と最大の複屈折
率となる。スイッチングしきい値以下の電圧を印加すれ
ば、表示セルは双安定な状態の中で緩和し、この状態は
スイッチング角度が小さく、複屈折率も小さい。この特
性は、この発明による表示セルの特徴である。
【0038】この代わりに、上に説明した液晶セルがこ
の発明の可能な多くの実施態様の選択をただ示すに過ぎ
なく、この発明による表示セルが透過状態でも反射状態
でも使用される、それに合わせて形成できることも指摘
しておく。もちろん、この発明による表示セルはカラー
表示器に形成でき、それに加えて、周知のように必要な
手段やカラーフィルターを装備するとよい。
【0039】既に述べたように、この発明による液晶セ
ルは、例えば銀行カードやクレジットカードに組み込む
のに適している。情報を記憶するために使用され、それ
故にこのような表示セルも装備できる他の「プラスチッ
クカード」は識別カード、会員証等のような証明書であ
ったもよい。結局、この発明による液晶セルの他の応用
はデータや情報を表示するためにある表示手段に設ける
ことができ、この表示手段は、例えば百貨店、駅、空港
で表示板に使用できる。
【0040】図3はこの発明による表示セルを製造する
装置を示す。連続運転用に使用されるこの装置には実質
上供給装置101がある。この装置は液晶混合物103
を保管する保管部102を有する。この混合物には更に
材料104(例えば高分子の粒子)が溶融されている。
この材料は表示セルを作製する場合に一定の膜厚dを維
持するために使用される。
【0041】この供給装置101には加熱ローラ105
と106も付属している。これ等のローラは供給装置を
介して導入される二つのフォイル通路107と108を
互いにラッパ状の位置にする。前記層を備えているロー
ラ106を経由して垂直に下に導入されるフォイル通路
107と108の間に液晶混合物103が連続的に注入
される。ローラー106のロール処理の剪断作用は液晶
層の方位を更に定め、ランプ109は上に説明した重合
を助ける。このように作製されたフォイルの帯を予め部
分毎に刻印し、縁部分で溶着ないしは積層化すれば、こ
のフォイルの帯から、上に述べた種類の多数の表示セル
を切り出せる。
【0042】
【発明の効果】以上、説明したように、この発明の双安
定な液晶セルにより、視角依存性が少なく、スイッチン
グ時間が短く、エネルギ源なしにデータの記憶ができる
可能性を有し、加えて双安定なSSFCLおよびSBF
CLの表示セルの難点を持っていないと言う利点が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 双安定な液晶セルの一部の斜視図である。
【図2】 この発明によるタイプの液晶セルの模式断面
図である。
【図3】 液晶セルを含む合成樹脂の表示手段を作製す
る装置の模式断面図である。
【図4】 この発明による液晶セルの典型的な電流電圧
特性を示すグラフである。
【図5】 この発明による液晶混合物の濃度と構造を示
す表である。
【図6】 この発明による液晶混合物の濃度と構造を示
す他の表である。
【符号の説明】
2,3 板 10,11 二つの双安定な状態(位置) 12,13 電極 14,15 偏光子 20 双安定な液晶セル 21 重合されていない液晶層(SC * 層) 22,23 板またはフォイル 24,25 偏光子 26,27 電極 28,29 絶縁層 30,31 方向性の膜 101 供給装置 102 保管部 103 液晶混合物 104 材料(高分子粒子) 105,106 ローラ 107,108 フォイル通路 109 ランプ α スイッチング角度 d 液晶層の膜厚 p ラセンのピッチ Ps 自発分極 θ 傾斜角 Us しきい値電圧 Δn 複屈折率の値

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電性のキラルスメクティック複屈折
    液晶層を有する液晶セル(21)と偏光手段を備え、セ
    ル(20)が液晶層(21)を閉じ込めた一対の平行な
    板(22,23)を有し、両方の板の各々に液晶層(2
    1)の分子を整列させる表権構造体と電場を発生する電
    極(26,27)を備え、液晶層(21)が膜厚d,自
    発分極PS > 50 nC/cm2および飽和スイッチング角α>
    45 °を有する双安定な液晶セルにおいて、液晶層(2
    1)が重合した分子を含み、膜厚dがセルのない状態の
    未重合液晶層のラセンピッチpより大きいことを特徴と
    する液晶セル。
  2. 【請求項2】 ディレクタの二つの安定な位置の間を切
    り換えるため、しきい値電圧Us を越えず、二つの双安
    定な位置に達するためにある二つのしきい値電圧Us
    値は互いに 20 %以上異なることはないことを特徴とす
    る請求項1に記載の液晶セル。
  3. 【請求項3】 室温における比抵抗ρが最高で 2・109
    Ωm ,好ましくは最高で 109Ωm であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の液晶セル。
  4. 【請求項4】 液晶セルを形成するため、液晶層(2
    1)を光と交番電場で形成し、セル(20)を形成する
    時、屈折率楕円体の回転角や複屈折率の値Δnが交番電
    場を大きくしても顕著に変わらないなら、そのように形
    成された液晶層(21)を電気的な飽和状態になり、形
    成された状態の二つの双安定な切換位置はスイッチング
    角αを占め、このスイッチング角αは飽和スイッチング
    時に観測されるスイッチング角αより少なくとも7°ほ
    ど小さく、両方の双安定な状態の複屈折率の値Δnは液
    晶層が電気的に飽和している場合より少なくとも5%小
    さいことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載
    の液晶セル。
  5. 【請求項5】 偏光子(24,25)は互いに直交する
    ように配置されていることを特徴とする請求項1〜4の
    何れか1項に記載の液晶セル。
  6. 【請求項6】 液晶層(21)は1〜 20 重量%の重合
    化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1
    項に記載の液晶セル。
  7. 【請求項7】 飽和スイッチング角αは 50 °より大き
    く、好ましくは 60°より大きいことを特徴とする請求
    項1〜6の何れか1項に記載の液晶セル。
  8. 【請求項8】 両方の板(22,23)はガラスか柔軟
    な合成樹脂で作製されていることを特徴とする請求項1
    〜7の何れか1項に記載の液晶セル。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れか1項の液晶セルを
    作製する方法において、未重合状態の強誘電性の液晶混
    合物を予め用意したセルに充填し、このセルを重合させ
    るため両側から同じ強度の光で照明し、重合処理の間に
    対称な交番電圧をこのセルに印加することを特徴とする
    方法。
  10. 【請求項10】 飽和電圧の振幅より高くて 10 %小さ
    い振幅と、重合反応が約 0.1%経過した時間より短い期
    間とを有する交番電圧を用いることを特徴とする請求項
    9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜8の何れか1項の液晶セル
    を含むことを特徴とする表示手段。
  12. 【請求項12】 データや情報の表示板であることを特
    徴とする請求項11に記載の表示手段。
  13. 【請求項13】 請求項1〜8の何れか1項の液晶セル
    を含むカードにあってセルの板が柔軟な合成樹脂で形成
    されていることを特徴とするカード。
  14. 【請求項14】 銀行カードあるいはクレジットカード
    あるいは証明カードであることを特徴とする請求項13
    のカード。
JP9317406A 1996-11-21 1997-11-18 双安定な強誘電性の液晶セル Pending JPH10197902A (ja)

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