JPH10197418A - ミクロトーム - Google Patents

ミクロトーム

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JPH10197418A
JPH10197418A JP9014598A JP1459897A JPH10197418A JP H10197418 A JPH10197418 A JP H10197418A JP 9014598 A JP9014598 A JP 9014598A JP 1459897 A JP1459897 A JP 1459897A JP H10197418 A JPH10197418 A JP H10197418A
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Japan
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arm
sample
holding
cutter
moving
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JP9014598A
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Kaoru Aihara
薫 相原
Kentaro Asakura
健太郎 朝倉
Fusanori Asano
總徳 浅野
Toichi Imasaka
統一 今坂
Noriyoshi Kataoka
宣義 片岡
Sadao Furusho
貞男 古荘
Toshio Sato
敏雄 佐藤
Yasuhisa Hirohata
泰久 広畑
Suketsugu Yamamoto
資次 山本
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Central Motor Wheel Co Ltd
Chuo Seiki KK
Original Assignee
Central Motor Wheel Co Ltd
Chuo Seiki KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切削時の振動の軽減及び精度の向上を課題と
する。 【解決手段】 基台1と、試料Sを切削するカッタ21
を保持する保持機構2と、試料Sを保持し,回動自在の
回動アーム3と、この回動アーム3に回動動作を付勢す
る回動付勢手段4と、回動アームを支持しつつ,カッタ
21に近接又は離間させる移動力を当該回動アームに伝
達する伝達アーム5と、基台1上に固定装備され,伝達
アーム5を揺動自在に保持する固定台6と、伝達アーム
5に対する押圧動作の付勢により,回動アーム3の先端
部の近接又は離間動作を微小距離単位で付勢する微小送
り機構7とを備え、この微小送り機構7の押圧動作を,
当該微動送り機構7と伝達アーム5との間の微小面積の
接触により行うこととしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミクロトームに係
り、特に、電子顕微鏡用の超薄切片の試料作製に用いる
場合等に好適なミクロトームに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、透過型電子顕微鏡(以下、TE
Mという)を用いて試料の微細な形態を観察する場合に
おいて、その試料の作製には、超薄切片法,レプリカ
法,ネガティブ染色法,シャドウイング法,電解研磨
法,イオンスパッタリング法等の手法があり、超薄切片
法はTEM観察の標準的技法として多く用いられてい
る。
【0003】また、TEMで微細な形態を透過像として
検察するためには、電子線が試料を透過しなくてはなら
ない。このため、試料の厚さを50〜100nmの超薄
切片に作製することが要求され、ミクロトームはTEM
研究部門において試料作製に用いられる必要不可欠な装
置となっている。
【0004】ここで、従来技術によるミクロトームは、
基台と、この基台の一方に固定され、ガラスまたはダイ
ヤモンド製のカッタが保持された保持機構と、基台の他
方に固定された試料保持台と、この試料保持台側に位置
して試料をカッタに対して移動させることにより試料を
薄切片として切削する切削機構と、試料保持台とカッタ
の保持機構と間で近接又は離間を図るべく微動送りを行
う微小送り機構とから構成されている。
【0005】上述の微小送り機構としては、ネジ、てこ
等を組合せた機械送り方式と、電球等による熱膨張を利
用する熱膨張送り方式とがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、試料か
ら切削される薄切片は、サブミクロンオーダー或いはそ
れ以下の厚さとすることが望ましく、かかる切削動作に
おいては、試料保持台の微動送りの精度が重要な要素に
なると共にその際の各部の機構による振動の影響の排除
が必須要件となっている。
【0007】しかしながら、上記各従来例では、微細な
送り量の精度の向上を主目的とするものが多く、機構各
部の振動、特に微小送り機構による振動の影響排除にま
で言及するものがなかった。
【0008】また、上記各従来例は、微小送り機構に機
械送り方式,或いは熱膨張送り方式を採用したいずれの
場合についても、その送り量の精度について向上の余地
を残しており、充分なものではなかった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記従来例の有する不都合を
改善し、微小送り機構の振動に影響を排除すると共にそ
の送り量の精度を高め、試料のさらなる薄片化を図り得
るミクロトームを提供することを、その目的とする。
【0010】
【課題を解決する手段】請求項1記載の発明では、装置
の各構成を配設する基台と、試料の一部を切削するカッ
タを保持する保持機構と、先端部で試料をカッタに向け
て保持し,後端部を支点として回動する回動アームと、
この回動アームに回動動作を付勢する回動付勢手段と、
回動アームの後端部を支持しつつ,先端部をカッタに近
接又は離間させる移動力を当該回動アームに伝達する伝
達アームと、基台上に固定装備され,伝達アームを揺動
自在に保持する固定台と、伝達アームに対する押圧動作
の付勢により,回動アームの先端部の近接又は離間動作
を微小距離単位で付勢する微小送り機構とを備え、この
微小送り機構の押圧動作を,当該微動送り機構と伝達ア
ームとの間の微小面積の接触により行うという構成を採
っている。
【0011】かかる構成では、まず、回動アームの先端
部側に試料の装着が行われる。
【0012】次に、回動アームの回動動作が開始され
る。即ち、回動付勢手段に付勢されて回動アームは回動
を行い、その際における試料とカッタの接触により試料
の超薄切片が削り出される。切削後は、切削方向上流側
に帰還すべく回動アームは切削動作と反対の方向に回動
を行うが、その際に試料とカッタとの接触を防止するた
め、伝達アームを介して微小送り機構により試料がカッ
タから離間する方向に回動アームに移動動作が付勢され
る(以下、かかる方向への移動を後退移動とする)。
【0013】即ち、回動アームは、その後端部を伝達ア
ームにより支持されているため、微小送り機構により伝
達アームに対して所定方向に押圧動作を付勢することに
より、同時に,回動アームに対しても試料がカッタから
離間する方向に移動するようになっている。このとき、
微小送り機構により回動アームが離間する移動量は、予
め一定の値に設定されている。
【0014】また、微小送り機構から伝達アームに対し
て微小面積で接触して(例えば、点接触状態或いは線接
触状態等により)押圧動作が行われため、その微小面積
の接触部分を中心として微小送り機構と伝達アームとが
互いに揺動を可能とする自由度が生じ、微小送り機構か
ら生じる振動が伝達アームに伝わり難くなり、回動アー
ムには、振動を除く押圧力のみが伝達される。
【0015】回動アームが、再び切削方向上流側に帰還
すると、再び、試料の切削が行われる。このとき、切削
に先立って、微小送り機構により回動アームをカッタ側
に近接移動させて、位置決めを行う。その移動量は、前
述の後退移動の移動量に超薄切片の目標厚さを加えた値
となる。この際、回動アームの移動動作の付勢は、上述
の後退移動の場合と逆方向に微動送り機構が伝達アーム
を押圧することにより行われる。
【0016】そして、回動アームの回動により目標厚さ
の超薄切片が削り出される。その後は、上記と同様の動
作を繰り返すことにより順次超薄切片が削り出される。
なお、初回に削り出される超薄切片については、試料の
基準となる端面の形成の為の切削であるため、2回目以
降から得られる超薄切片を観察の対象とすることが望ま
しい。
【0017】請求項2記載の発明では、装置の各構成を
配設する基台と、試料を保持する保持機構と、先端部で
試料の一部を切削するカッタを試料に向けて保持し,後
端部を支点として回動する回動アームと、この回動アー
ムに回動動作を付勢する回動付勢手段と、回動アームの
後端部を支持しつつ,先端部をカッタに近接又は離間さ
せる移動力を伝達する伝達アームと、基台上に固定装備
され,伝達アームを揺動自在に保持する固定台と、伝達
アームに対する押圧動作の付勢により,回動アームの先
端部の近接又は離間動作を微小距離単位で付勢する微小
送り機構とを備え、この微小送り機構の押圧動作を,当
該微動送り機構と伝達アームとの間の微小面積の接触に
より行うという構成を採っている。
【0018】かかる構成は、上述した請求項1記載の発
明と試料及びカッタの取付位置が逆であるため、これら
の移動動作が全て逆となる点を除いて、請求項1記載の
発明と同様の動作が行われる。
【0019】請求項3記載の発明では、装置の各構成を
配設する基台と、試料の一部を切削するカッタを保持す
る保持機構と、先端部で試料をカッタに向けて保持し,
後端部を支点として回動する回動アームと、この回動ア
ームに回動動作を付勢する回動付勢手段と、回動アーム
の先端部をカッタに近接又は離間させる移動力を伝達す
る伝達アームと、基台上に固定装備され,伝達アームを
揺動自在に保持すると共に,回動アームの先端部のカッ
タに対する近接又は離間を自在にしつつその後端部を保
持する固定台と、伝達アームに対する押圧動作の付勢に
より,回動アームの先端部の近接又は離間動作を微小距
離単位で付勢する微小送り機構とを備え、この微小送り
機構の押圧動作を,当該微動送り機構と伝達アームとの
間の微小面積の接触により行うという構成を採ってい
る。
【0020】かかる構成では、回動アームに保持された
試料を、カッタに対して離間又は近接させる場合に、固
定台に保持された回動アームに対して伝達アームが移動
動作を付勢するという点を除いて前述した請求項1記載
の発明と同様の動作が行われる。
【0021】請求項4記載の発明は、請求項1,2又は
3記載の発明と同様の構成を備えると共に、微小送り機
構が、伝達アームを点接触により押圧する押圧部材と、
この押圧部材の押圧方向に沿った一平面内上で,当該押
圧方向に直交する方向に対して微小角度だけ傾斜した方
向に沿って駆動する第1の送り手段と、一平面内で押圧
方向に直交する方向に対して第1の送り手段と反対方向
に微小角度だけ傾斜した方向に沿って駆動する第2の送
り手段とを含む構成とし、押圧部材が、第1の送り手段
及び第2の送り手段の協動により伝達アームの押圧動作
を行うという構成を採っている。
【0022】かかる構成では、請求項1,2又は3記載
の発明と同様の動作が行われる。そして、試料−カッタ
間の距離を調整すべく回動アームを移動させる際には、
微小送り機構の第1の送り手段及び第2の送り手段が協
動して押圧部材を駆動させることにより行われる。
【0023】押圧部材は、試料とカッタが近接又は離間
する方向に回動アームを移動させるべく伝達アームに所
定方向の押圧動作の付勢を行う。第1の送り手段は、押
圧部材が押圧動作を行う所定方向(押圧方向)に直交す
る方向から微小角度(θとする)だけ傾斜した方向に沿
って往復自在に駆動する。かかる方向に沿って第1の送
り手段が駆動する場合、押圧方向に対して生じる変位
は、実際の駆動量にsinθを乗じた値となる。このた
め、θの角度を小さく設定することにより、第1の送り
手段で行われる駆動量よりも押圧方向について微細な変
位が押圧部材に与えられる。
【0024】第2の送り手段についても同様に、押圧部
材が押圧動作を行う所定方向(押圧方向)に直交する方
向から微小角度(−θとする)だけ傾斜した方向に沿っ
て往復自在に駆動する。即ち、第2の送り手段は、押圧
方向に直交する方向を軸として第1の送り手段の駆動方
向と対称となる方向に沿って駆動する。
【0025】これら第1の送り手段及び第2の送り手段
の協動により押圧部材の移動を行う場合、双方の送り手
段は、いずれも、押圧方向について同じ側に変位が生じ
る方向に駆動し、これにより押圧部材が所定の押圧方向
に移動する。かかる微小送り機構の動作により、伝達ア
ームを介して回動アームの移動が行われ、試料−カッタ
間の近接,離間が図られる。
【0026】なお、第1の送り手段及び第2の送り手段
の傾斜角度θ,−θは、大きさを等しくした場合に限定
されるものではないが、大きさが異なる場合には、各送
り手段の駆動量は、押圧方向と直交する方向について変
位が生じないように調整する必要がある。
【0027】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明と同様の構成を備えると共に、第1の送り手段及び第
2の送り手段を、それぞれ、各駆動方向に沿って往復移
動を自在とする移動ステージと,この移動ステージを載
置する載置本体と,この載置本体に対して移動ステージ
の往復移動を案内するガイドと,載置本体に対する移動
ステージの往復移動動作を付勢する移動付勢手段とを有
するリニアモータステージ機構とするという構成を採っ
ている。
【0028】かかる構成では、請求項4記載の発明と同
様の動作が行われ、微小送り機構の各送り手段の駆動の
際には、移動付勢手段により移動ステージの移動が付勢
される。この移動ステージの移動力を各送り機構の双方
から受けて、押圧部材は伝達アームに対する押圧動作を
行う。
【0029】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明と同様の構成を備えると共に、第1の送り手段と第2
の送り手段のいずれか一方の移動ステージ上に他方の載
置本体を固定装備すると共に、上方に位置する送り手段
の移動ステージ上に押圧部材を固定装備するという構成
を採っている。
【0030】かかる構成では、請求項5記載の発明と同
様の動作が行われ、例えば、第1の送り手段の上方に第
2の送り手段が載置されている場合、第2の送り手段と
共に第1の送り手段の移動ステージが駆動し、これに伴
い第2の送り手段ではその移動ステージが押圧部材と共
に駆動する。これにより、押圧部材は、第1の送り手段
と第2の送り手段の双方からその移動力が付勢され、伝
達アームに対する押圧動作を行う。
【0031】請求項7記載の発明では、請求項1,2,
3,4,5又は6記載の発明と同様の構成を備えると共
に、伝達アームについて、固定台に保持される保持部か
ら回動アームに移動力を伝達する伝達部までの間隔を,
保持部から微小送り機構に押圧される接触部までの間隔
より小さくするという構成を採っている。
【0032】かかる構成では、請求項1,2,3,4,
5又は6記載の発明と同様の動作が行われ、試料とカッ
タの近接,離間を行う場合、保持部から伝達部までの距
離(L1とする)と,保持部から接触部までの距離(L2
とする)との比に基づいて、押圧部材の移動量にL1
2を乗じた移動量の移動動作が回動アームに伝達され
て試料−カッタ間の位置決めが行われる。即ち、L1
2であるため、実際の押圧部材の移動量よりも微細な
変位が回動アームに与えられる。
【0033】請求項8記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5,6又は7記載の発明と同様の構成を有する
と共に、固定台は、微小送り機構を挟んで基台上から立
ち上げられた二つの側壁と、これら各側壁の間で,微小
送り機構の上方に架設された架設台とを含む構成とし、
伝達アームを、この架設台上に装備するという構成を採
っている。
【0034】請求項1,2,3,4,5,6又は7記載
の発明と同様の動作が行われると共に、回動アームの移
動動作時に際して、伝達アームは微小送り機構の両側に
立ち上げられた側壁により架設台上において安定した状
態で保持されると共に、その下方から揺動動作の付勢が
行われる。
【0035】本発明は、上述した各構成を採り、これに
より前述した目的を達成しようとするものである。
【0036】
【発明の実施形態】以下、本発明による第1の実施形態
を図1乃至図9基づいて説明する。
【0037】本実施形態は、後述するミクロトーム10
の各構成を配設する基台1と、試料Sの一部を切削する
カッタ21を保持する保持機構2と、先端部で試料Sを
カッタ21に向けて保持し,後端部を支点として回動す
る回動アーム3と、この回動アーム3に回動動作を付勢
する回動付勢手段4と、回動アーム3の後端部を支持し
つつ,先端部をカッタ21に近接又は離間させる移動力
を当該回動アーム3に伝達する伝達アーム5と、基台1
上に固定装備され,伝達アーム5を揺動自在に保持する
固定台6と、伝達アーム5に対する押圧動作の付勢によ
り,回動アーム3の先端部の近接又は離間動作を微小距
離単位で付勢する微小送り機構7と、各部の動作制御を
行うコントローラ8とを備えるミクロトーム10を示
す。以下、各部を詳説する。
【0038】基台1は、上部に水平面を有すると共に、
この水平面上に上記各構成のほぼ全てを載置する鋳物等
の金属からなる筺体であり、その内部には、後述する回
動付勢手段4の駆動機構43が内蔵されている。
【0039】また、この基台1は、当該基台1上に載置
装備される各構成の重量及びその配設位置に応じて、そ
の内部の上面から垂設され下面にまで達する無数のリブ
11が設けられている。即ち、この基台1は、これらの
リブ11により、当該基台1上の各構成の作動により生
じる振動を抑制する制振効果が得られる構造となってい
る。
【0040】保持機構2は、その上端部でカッタ21を
保持するカッタ保持台22と、このカッタ保持台22を
後述するY軸方向を軸としてカッタ21の刃先角度を変
更する傾斜ステージ23と、この傾斜ステージ23等を
介して,カッタ21を基台1の水平面上でX−Y軸方向
について移動させて位置決めを行うX−Y軸ステージ2
4とから構成される。ここで、X軸方向とは、微小送り
機構7により試料Sがカッタ21側に近接,離間する方
向,即ち後述する微小送り機構7の押圧部材71が伝達
アーム5を押圧する方向(図1,図2における左右方
向)をいい、Y軸方向とは、X軸方向と同一の水平面上
において当該X軸方向に直交する方向(図3における左
右方向)をいう。また、後述するZ軸方向は、X軸方向
及びY軸方向の双方を含む水平面に対して垂直な方向
(図1,図3における上下方向)をいう。
【0041】カッタ21はガラス,ダイヤモンドまたは
サファイア等によって三角柱状に形成され、刃先が割断
角度(40゜〜60゜)であり、刃先を上方に向けた状
態でカッタ保持台22に設置されている。
【0042】カッタ保持台22は、カッタ21と一体的
に形成され,カッタ21を挟んで試料Sの反対側に蒸留
水Wの貯留部を有する試料回収槽22Aと、この試料回
収槽22Aを傾斜ステージ23上に止めネジ22aによ
り固定する台座22Bとから構成される。この試料回収
槽22Aは、図4の如く切削された後の試料Sを蒸留水
W上に浮かせることにより回収する。
【0043】傾斜ステージ23は、後述するX−Y軸ス
テージ24の第2の移動台24C上に固着された台座2
3Aと、この台座23A上でカッタ保持台22の台座2
2Bを保持し,台座23Aに対してY軸方向を中心軸と
する円筒の周面に沿って摺動自在の傾斜機構23Bと、
この傾斜機構23Bの摺動による傾斜角度を微動調節す
る調整用つまみ23Cとから構成されている。即ち、こ
の傾斜ステージ23は、試料Sに対するカッタ21の角
度設定を行うものである。
【0044】X−Y軸ステージ24は、基台1の図1に
おける右側に位置して固着されたリニアステージであ
り、基台1上に固定装備された載置本体24Aと、この
載置本体24A上に対してX軸方向に沿って自在に摺動
する第1の移動台24Bと、この第1の移動台24B上
に固定連結され,Y軸方向に沿って自在に摺動する第2
の移動台24Cとを有する構成となっている。なお、各
摺動部には、ローラーガイドが使用されている。
【0045】そして、第1の移動台24Bは調整つまみ
24DによってX軸方向位置が微動調整されると共に止
めネジ24aにより任意の位置で固定され、第2の移動
台24Cは調整つまみ24EによってY軸方向位置が微
動調整されると共に止めネジ24bにより任意の位置で
固定されるようになっている。即ち、X−Y軸ステージ
24は、試料Sに対するカッタ21の位置決めを行うも
のである。
【0046】次に、回動アーム3について説明する。こ
の回動アーム3は、X軸方向に沿って配設された四角柱
状のアーム本体31と、保持機構2側(図1における右
側)に向けられた回動アーム3の先端部に装備され,試
料Sが保持される試料ホルダ32と、この試料ホルダ3
2とアーム本体31端部との間に配設された傾斜ステー
ジ33と、回動アーム3の後端部(図1における左側)
に装備され,後述する伝達アーム5の伝達部52に圧接
して支持される回動エッジ部34とから主に構成され
る。
【0047】アーム本体31は、後端部に設けられた回
動エッジ部34の先端部34Aを支点として自在に回動
を行うため、当該先端部34Aは、楔状かつ鋭利なナイ
フエッジ状に形成されている。そして、この先端部34
Aは、伝達アーム5の伝達部52にY軸方向に沿って形
成されたV溝に当接することにより、アーム部材3全体
がY軸方向を中心軸とする回動動作を行うことが可能と
なっている。また、回動エッジ部34には、先端部34
Aと伝達アーム5の伝達部52との当接状態を維持すべ
く、一端を先端部34Aに連結された四本の引っ張りバ
ネ34aにより、回動アーム3全体が伝達アーム5側に
引き寄せられている。かかる各引っ張りバネ34aによ
り、回動アーム3の回動エッジ部34の先端部34Aと
保持部材5の伝達部52との当接状態が有効に維持さ
れ、回動動作における回動アーム3のX軸方向に生じる
誤差の発生を有効に排除している。なお、各引っ張りバ
ネ34aの他端部は、後述する伝達アーム用ステージ6
4に連結されている。
【0048】また、回動アーム3は、回動の際に生じる
試料ホルダ32のY軸方向についての振動の発生を防止
する必要があり、このため、回動エッジ部34の先端部
34Aは、Y軸方向について所定の幅(具体例として回
動アーム3のX軸方向の長さの1/3〜1/2程度)を
もって形成されている。これにより、先端部34Aがそ
の幅方向に渡って全体的に伝達アーム5に当接するた
め、試料ホルダ32のY軸方向についての振動の発生を
排除することができる(参照:図2)。
【0049】回動アーム3のアーム本体31は、その中
間の下部に当接部材31Aを有しており、この当接部材
31Aは、後述する回動付勢手段4の偏心カム42に当
接して回動エッジ部34の先端を回動支点とする回動動
作が付勢される。なお、この当接部材31Aは、円滑で
摩擦抵抗の小さい素材が使用され、回転する偏心カム4
2との間の摩擦力による回動アーム3全体のX軸方向へ
の移動の発生を極力防止している。
【0050】また、この当接部材31Aの近傍には、回
動アーム3の先端部を偏心カム42側に引き寄せる二本
の引っ張りバネ31aが装備されており、これにより当
接部材31Aと偏心カム42とが常時当接状態を維持す
ることを可能とすると共に偏心カム42の回転時に回動
アーム3との間に隙が生じることを防止している。
【0051】アーム本体31の回動端側には、傾斜ステ
ージ33を介して試料ホルダ32が装備されている。こ
の試料ホルダ32には、試料Sの先端部をカッタ21側
に向けて装着している。また、切削時における試料Sに
対する切削角度を自在に調節するべく傾斜ステージ33
が試料ホルダ32に併設され、これにより試料ホルダ3
2のY軸方向を軸とする傾斜角度の調整を行うことが可
能となっている。符号33Aは、傾斜ステージ33の微
動調整用の調整つまみを示している。
【0052】次に、回動付勢手段4について説明する。
この回動付勢手段4は、回動アーム3の下方において,
後述する固定台6の側壁61,62に回転自在にY軸方
向に沿って架設された回転軸41と、回動アーム3の当
接部材31Aの下方で,回転軸41の中心軸から偏心し
て当該回転軸41に固定装備された偏心カム42と、回
転軸41に回転動作を付勢する駆動機構43とから構成
される。
【0053】この駆動機構43は、図3に示す如く、そ
の機構のほとんどが基台1の内部に配設されている。即
ち、基台1内部に配設された駆動モータ43Aと、この
駆動モータ43Aに回転駆動される主動プーリ43B
と、回転軸41に同軸で固定装備された従動プーリ43
Cと、主動プーリ43Bから従動プーリ43Cに回転力
を伝達する駆動ベルト43Dとを有している。
【0054】かかる構成により、駆動モータ43Aの駆
動により回転軸41を介して偏心カム42が回転するよ
うになっており、偏心カム42の回転駆動により回動ア
ーム3の回動動作が付勢される。なお、回転軸41は、
図1における矢印方向Wに回転が付勢される。かかる方
向Wに回転させることにより、偏心カム42と当接部材
31Aとの摺動摩擦により回動アーム3にX軸方向に沿
った摩擦力が作用しても、回動アーム3は伝達アームに
当接しているため、X軸方向の変位が生じ難いからであ
る。
【0055】また、駆動機構43は、手動ハンドル43
Eを有しており、この手動ハンドル43Eを手動により
回転駆動することにより偏心カム42を回転させること
が可能となっている。この手動ハンドル43Eは、駆動
モータ43Aの駆動軸と直結された切り換えクラッチ4
3Fに対して、主動プーリ43G,従動プーリ43H及
び駆動ベルト43Iを介して回転力を付勢する。
【0056】一方、切り換えクラッチ43Fは、外部か
らの操作により、駆動モータ43Aの駆動軸と手動ハン
ドル43Eとの間の連結と分離の切り換えを自在に行う
ことが可能であり、通常の駆動モータ43Aの駆動時に
は、分離状態にされて手動ハンドル43E側への回転力
の伝達が防止されている。また、手動により回動アーム
3を回動させる場合には、外部操作(例えば、コントロ
ーラ8からの切り換え指令信号等)により切り換えクラ
ッチ43Fでは、駆動モータ43Aの駆動軸と手動ハン
ドル43Eとの間を連結状態にし、手動ハンドル43E
に印可された回転力が偏心カム42にまで伝達される。
なお、このとき駆動モータ43Aは、非駆動状態とされ
る。
【0057】次に、伝達アーム5について説明する。こ
の伝達アーム5は、図5(A)に示す如く、保持部5
1,伝達部52及び接触部53を有している。このう
ち、保持部51は、後述する固定台6の伝達アーム用ス
テージ64に回転自在に保持された支軸64aが挿通さ
れる貫通穴である。支軸64aはY軸方向に沿って装備
されており、伝達アーム5は、保持部51によりY軸方
向を軸として揺動自在に伝達アーム用ステージ64に保
持される。伝達部52は、前述した回動アーム3の回動
エッジ部34の先端部34Aが当接するV字状の溝であ
り、この溝は保持部51である貫通穴の貫通方向と平行
に形成されている。また、接触部53は、微小送り機構
7の押圧部材71が当接する位置である。これら各部に
より、伝達アーム5は、微小送り機構7から付勢された
微小距離単位の押圧動作を回動アーム3に伝達し、当該
回動アーム3にX軸方向についての移動動作を付勢す
る。ここで、上記の接触部53については、押圧部材7
1の当接状態をズレをなくして保持するために、例えば
V溝或いは幾分窪んだ凹部を設けても良い。
【0058】かかる伝達アーム5では、伝達部52から
保持部51までの間隔を距離L1とし 、伝達部52から
接触部53までの間隔を距離L2とすると、L2はL1
およそ 4〜5倍に設定されている。このため、微小送
り機構7から押圧動作が付勢された場合、伝達アームに
与えられた変位距離の1/5〜1/4の微小変位距離が
回動アーム3に伝達され、より高い精度で、回動アーム
3のX軸方向の位置決めを行うことが可能である。ま
た、L2/L1の値は、上記の範囲に限定しなくとも良
く、より大きく設定することにより、より微小距離単位
での送り動作が可能となる。
【0059】なお、本実施形態では伝達アーム5の伝達
部52及び接触部53が、保持部51を挟んで互いに伝
達アーム5の反対側の端部にそれぞれ設けられている
が、図5(B)に示す伝達アーム5Aのように、保持部
51Aに対して同じ側に伝達部52A及び接触部53A
を設ける構成としても良い。かかる場合、伝達部52A
から保持部51Aまでの間隔を距離L1とし、伝達部5
2Aから接触部53Aまでの間隔を距離L2として、
1:L2を伝達アーム5と等しく設定することにより、
当該伝達アーム5と同様に機能する。但し、この伝達ア
ーム5Aでは、接触部53Aに対する押圧動作を付勢す
る方向が伝達アーム5の場合と逆方向となる。
【0060】次に、固定台6について説明する。この固
定台6は、基台1上において微小送り機構7を挟んで対
向状態で立設された一対の側壁61,62(図1では側
壁61は省略)と、これら側壁61,62に架設され,
微小送り機構7のほぼ真上に位置する架設台63と、こ
の架設台63上でX軸方向に自在に往復移動する伝達ア
ーム用ステージ64とから主として構成される。
【0061】側壁61,62は、基台1上に固定装備さ
れており、架設台63及び回動付勢手段4の回転軸41
が相互間に架設されている。
【0062】架設台63は、上面にX軸方向に沿ってガ
イドレール63A,63Bが設けられており、これらガ
イドレール63A,63Bに沿って摺動自在に伝達アー
ム用ステージ64が係合している。また、架設台63に
は、伝達アーム用ステージ64に保持された伝達アーム
5に対応する位置に貫通穴63Cが設けられ、この貫通
穴63Cに遊挿された状態で伝達アーム5は、微小送り
機構7から押圧動作が付勢される構造となっている。
【0063】伝達アーム用ステージ64は、図2におけ
るほぼ中央部に貫通穴64Aが形成され、Y軸方向に沿
って回動自在に装備された支軸64aを介してこの貫通
穴64Aに遊挿した状態で伝達アーム5を保持する。伝
達アーム5は、伝達アーム用ステージ64の摺動に伴っ
て移動する構造となっている。
【0064】また、伝達アーム用ステージ64と架設台
63との間には、伝達アーム用ステージ64を摺動させ
X軸方向について位置決めを行う調整つまみ65と、伝
達アーム用ステージ64を固定する止めネジ66とが設
けられている。かかる調整つまみ65は、ネジ機構によ
り伝達アーム用ステージ64の移動を付勢する構造のた
め、バックラッシの影響を防止するために、伝達アーム
用ステージ64と架設台63との間にX軸方向に沿った
一方の方向に常時当該伝達アーム用ステージ64に張力
を付勢する引っ張りバネ67が装備されている。なお、
本実施形態では、引っ張りバネ67により図1における
右方向に伝達アーム用ステージ64に張力を付勢してい
るが、これを左方向としても良い。
【0065】次に、微小送り機構7について説明する。
この微小送り機構7は、基台1の図1における左側に位
置しており、伝達アーム5の接触部53を点接触により
X軸方向に押圧する押圧部材71と、Y軸方向に対して
微小角度(θとする)だけ傾斜した方向に沿って駆動す
る第1の送り手段72と、Y軸方向に対して第1の送り
手段72と反対方向に微小角度(−θとする)だけ傾斜
した方向に沿って駆動する第2の送り手段73とを含む
構成とし、押圧部材71が、第1及び第2の送り手段7
2,73の協動により付勢されて伝達アーム5の押圧動
作を行う。
【0066】上記の押圧部材71は、伝達アーム5の接
触部53に向かって突出した凸状の先端部71Aを有し
ており、この先端部71Aは、球面状或いは先細形状等
に形成されている。このため、押圧部材71はその先端
部71Aで前述した伝達アーム5の接触部53に点接触
状態で押圧する。即ち、当該先端部71Aと接触部53
との間で微小面積で押圧接触が行われる。なお、かかる
接触位置は、伝達アーム5のY軸方向幅のほぼ中間に形
成される。
【0067】また、第1の送り手段72(第2の送り手
段73)は、図6に示すように、それぞれ、駆動方向に
沿って往復移動を自在とする移動ステージ72A(73
A)と、この移動ステージ72A(73A)を載置する
載置本体72B(73B)と、この載置本体72B(7
3B)に対して移動ステージ72A(73A)の往復移
動を案内するガイド72C(73C)と、載置本体72
B(73B)に設けられたマグネット72D(73D)
と、移動ステージ72A(73A)に設けられ,通電に
より該マグネット72D(73D)との間に形成される
磁界によって当該移動ステージ72A(73A)に往復
移動動作を付勢するコイル72E(73E)とを有する
リニアモータステージ機構によって構成されている。
【0068】上記のマグネット72D及びコイル72E
により第1の送り手段72の移動付勢手段を構成すると
共に、マグネット73D及びコイル73Eにより第2の
送り手段73の移動付勢手段を構成する。
【0069】即ち、第1の送り手段72は、載置本体7
2Bに対する移動ステージ72Aの移動力の付勢に、通
電によりコイル72Eから発生する磁界とマグネット7
2Dの磁界とにより相互間に生じる引力,斥力を利用し
ており、これにより、載置本体72Bに対して移動ステ
ージ72Aはガイド72Cに沿って直線的に移動する。
第2の送り手段73についても同様の動作が行われる。
【0070】従って、微小送り機構7に送り手段72,
73を使用することにより、下記のような長所がある。
第1に、駆動源をコイル,マグネット等で構成し、ボー
ルネジ等を排除することによりバックラッシュの影響を
排除し、高精度の送り動作を行うことが可能である。第
2に、ステッピングモータに比べて電流、推力の直進性
がよく、定格に対する瞬間トルクが大きくとれる。第3
に、コイル、インダクタンスが小さく、電気的応答性に
優れている。第4に、コギング等の磁気的な脈動がな
く、高精度でスムーズな制御が可能である。
【0071】ここで、第1の送り手段72は、載置本体
72Bが,基台1上で保持機構2の図1における左側に
位置して固定装備され、この載置本体72B上で移動ス
テージ72Aが,ガイド72CによりY軸方向に対して
微小角度+θを成す方向に沿って移動可能に配設されて
いる。また、第2の送り手段73は、載置本体73B
が,移動ステージ72Aにスペーサ74を介して連結装
備され、この載置本体73B上で移動ステージ73A
が,ガイド73CによりY軸方向に対して微小角度−θ
を成す方向に沿って移動可能に配設されている。そし
て、押圧部材71は、移動ステージ73Aの上面に固定
装備されており、これにより第1送り手段72及び第2
の送り手段73の協動によりX軸方向に沿って往復移動
する。
【0072】図7は、微小送り機構7の送り動作を示す
説明図である。微小送り機構7は、第1の送り手段72
と第2の送り手段73の移動量を同一の距離aとする。
第1の送り手段72の移動ステージ72Aは、左下側の
OA方向に移動距離aだけ前進して移動ステージ72
A’上に移動し、このとき移動ステージ72AはX軸方
向にa×sinθだけ移動する。一方、第2の送り手段
73の移動ステージ73Aは左上側のAB方向に移動量
aだけ前進して移動ステージ73A’に移動し、このと
き移動ステージ73AはX軸方向にa×sinθだけ移
動する。これにより、第2の送り手段73の移動ステー
ジ73AはX軸方向に2a×sinθだけ直線運動した
ことになり、当該微小送り機構7では、この移動量2a
×sinθが押圧部材71の微動送り量dとなる。
【0073】ここで、第1の送り手段72と第2の送り
手段73の各移動方向の交差角度2θは、小さな値に設
定することが望ましい。例えば、交差角度2θを5゜と
した場合には、微動送り量dは、d=0.087×aと
なる。従って、第1の送り手段72と第2の送り手段7
3の移動量aに対し、X軸方向の押圧部材71に対する
微動送り量dを1/10より小さな値とすることができ
る。
【0074】次に、コントローラ8を図8に基づいて説
明する。このコントローラ8は、後述の図9に示す動作
を行うための動作プログラムが内蔵されたマイクロコン
ピュータにより構成され、その記憶エリア81内にはキ
ーボード82を介して入力設定された試料Sの目標切削
厚さDと試料個数nを設定記憶すると共に、予め初期移
動量a0が記憶されている。また、コントローラ8の入
力側には、キーボード82および図示しない各種セン
サ,スイッチ等が接続され、出力側には、第1の送り手
段72,第2の送り手段73および回動付勢手段4の駆
動機構43における駆動モータ43Aが接続されてい
る。なお、初期移動量a0は微動送り量dに拘らず、最
初に試料Sが切削される位置を設定するものである。
【0075】上述した構成からなるミクロトーム10の
動作を図1乃至図3及び図9に基づいて説明する。
【0076】まず、ミクロトーム10を動作させる前
に、初期設定として、カッタ21と試料Sのセッティン
グを行う。即ち、カッタ21は、保持機構2のX−Y軸
ステージ24によって試料Sに対するX軸方向,Y軸方
向の位置決めが行われ、また、試料Sについても、伝達
アーム用ステージ64をX軸方向について位置決めし、
これらにより、試料Sとカッタ21とが相対的にX軸方
向に離間し,且つY軸方向についてほぼ同位置となるよ
うに調整される。また、カッタ21の逃げ角度は傾斜ス
テージ24の傾き調整によって調整される。一方、試料
Sは、回動アーム3の試料ホルダ32に保持された状態
で、傾斜ステージ33によって該試料Sの傾きが調整さ
れる。
【0077】さらに、回動付勢手段4の切り換えクラッ
チ43Fに,手動ハンドル43Eと駆動モータ43Aの
駆動軸とを接続状態とする動作指令をキーボード82を
介してコントローラ8に入力し、当該手動ハンドル43
Eを操作して、試料Sとカッタ21とがX軸方向に離間
し且つ試料Sがカッタ21の上方となるように回動アー
ム3の回動角度を調整し、その後再び、切り換えクラッ
チ43Fにより手動ハンドル43Eの接続を分離させた
状態とする。
【0078】次に、コントローラ8による処理を開始す
る。予め、試料Sの目標切削厚さDと試料個数nをキー
ボード82によって入力を行う(ステップS1)。伝達
アーム5を介して回動アーム3のX軸方向への移動を付
勢する構造から、入力された目標切削厚さDと、微小送
り機構7による押圧部材71の微動送り量dとの間に
は、次式(1)の関係が成立する。
【0079】 d=(L2/L1)×D …(1)
【0080】算出された微動送り量dから第1の送り手
段72と第2の送り手段73の移動量a1を次式(2)
により演算する(ステップS2)。
【0081】 a1=(d/2)×(sinθ)-1 …(2)
【0082】次に、記憶エリア81から初期移動量a0
を読出し、この初期移動量a0を移動量aとし、カウン
タNを「0」に設定する(ステップS3)。
【0083】次に、第1の送り手段72の移動ステージ
72Aと第2の送り手段73の移動ステージ73Aと
を、それぞれ相対する方向に移動量a(初期移動量
0)だけ移動させる。これにより、押圧部材71はX
軸方向に沿って2a0×sinθだけ伝達アーム5の接
触部を(図1における右側から左側に変位する方向に)
押圧変位させ、当該伝達アーム5の揺動により回動アー
ム3は、各引っ張りバネ34aに抗してX軸方向に沿っ
て2a0×sinθ×(L1/L2)だけカッタ21側に
前進移動する(ステップS4)。
【0084】そして、駆動モータ43Aが駆動し、回動
付勢手段4の回転軸41に180度の回転動作が付勢さ
れる。これにより、回動アーム3は、引っ張りバネ31
aの張力に従ってその試料保持側をゆっくりと下降させ
る。このとき、回動アーム3の当接部材31Aと偏心カ
ム42とは、引っ張りバネ31aの張力により、常時当
接状態が維持され、回動アーム3の試料保持側には不安
定な振動等の発生が防止される。そして、試料Sとカッ
タ21の刃先との当接の際に薄切片が切削され、この際
に切削された薄切片は試料回収槽22Aの水面に浮が
ぶ。しかし、初回の切削で形成された薄切片は、次回の
切削のための試料Sの端面形成のための切削により切り
出された薄切片であるため、採取の対象とはならない。
(ステップS5)。
【0085】初回の試料Sの切削後は、速やかに移動量
a(初期移動量a0)の分だけ第1の送り手段72の移
動ステージ72Aと第2の送り手段73の移動ステージ
73AをそれぞれステップS4のときと逆方向に移動
(後退移動)させ、試料Sとカッタ21とを離間させる
ことにより、回動アーム3の回動端部の上昇回動の際
に、試料Sがカッタ21に接触することを防止する(ス
テップS6)。
【0086】そして、駆動モータ43Aが駆動し、回動
付勢手段4の回転軸41に180度の回転動作が付勢さ
れ、回動アーム3は、引っ張りバネ31aの張力に抗し
てその試料保持側をゆっくりと上昇させる。これによ
り、試料Sがカッタ21の上方となる(ステップS
7)。
【0087】このとき、コントローラ8では、カウンタ
Nを先に設定された試料個数nになったか否かを判定し
(ステップS8)、nに満たない場合には、未だに設定
された試料個数を作製していないから、カウンタNを
「1」ずつ歩進する(ステップS9)。そして、移動量
aをa+a1に更新し(ステップS10)、ステップS
4の工程にリターンする。
【0088】2度目以降の処理では、先に切削された試
料Sの先端から目標切削厚さDの切削を行うため、先に
算出した移動量a1だけ、各送り手段72,73を駆動
させ、試料Sの先端をカッタ21よりも2a1×sin
θ,即ち微動送り量dだけ突出させる(ステップS
4)。そして、駆動モータ43Aの駆動により、回動ア
ーム3をゆっくりと下降させ、試料Sの先端をカッタ2
1に当てて該試料Sの切削を行い、切削された超薄切片
を試料回収槽22Aの水面に浮かばせることにより採取
する(ステップS5)。
【0089】回動アーム3が下方に回動した後には、移
動量aの分だけ第1の送り手段72の移動ステージ72
Aと第2の送り手段73の移動ステージ73Aをそれぞ
れ設定された方向の逆に後退移動させ(ステップS
6)、駆動モータ43Aの駆動により回動アーム3を上
昇回動させ、試料Sをカッタ21の上方位置に戻す(ス
テップS7)。
【0090】上記試料Sの切削動作を順次繰り返すこと
により、厚さがDの超薄切片を形成し試料回収槽22A
に回収する。
【0091】一方、ステップS8でN=nと判定した場
合には、ミクロトーム10全体の動作が終了する。
【0092】上記第1の実施形態は、上述のように、微
小送り機構7による伝達アーム5の揺動動作の付勢を、
押圧部材71の凸状の先端部71Aにより、点接触状態
で行っている。このため、押圧部材と伝達アームとが連
結されている場合やこれらが面接触状態にある場合と比
較すると、押圧部材71と伝達アーム5との間に接触部
分を中心として互いに揺動可能な自由度があり、押圧方
向(X軸方向)に対して垂直な方向(例えば、Y軸方向
又はZ軸方向)に生じる振動等は、押圧部材71から伝
達アーム5に伝達され難くなっている。即ち、微小送り
機構7から伝達アーム5側に直接的に伝達される駆動時
の振動が有効に抑制され、切削時における回動アーム3
の位置決めをより精度良く行うことが可能となってい
る。
【0093】また、この第1の実施形態では、微小送り
機構7をY軸方向に対しいずれも微小角度±θだけ傾斜
して駆動する二つの送り手段72,73の協動により伝
達アーム5を揺動させる構成のため、sin(±θ)に
比例するごく微小単位の送り量で回動アーム3を位置決
めすることができ、試料Sの切削作業についてより高精
度化を図ることが可能である。
【0094】即ち、第1の送り手段72及び第2の送り
手段73のそれぞれの移動量aに比べて、設定した微小
角度±θによって微動送り量d及びこれに準じて試料S
の目標切削厚さDを小さくすることができる。
【0095】例えば微小角度±θを、θ=7.5゜とし
た場合には、移動量aと微動送り量dの関係は、d=
0.26aとなる。また、θ=5.7゜とした場合に
は、移動量aと微動送り量dの関係は、d=0.2aと
なる。さらに、微小角度±θをθ=2.5゜とした場合
には、d=0.087aとなる。さらにまた、微小角度
±θは2゜,1゜の微小角度にも設定することができ
る。
【0096】従って、仮りに微小角度±θをθ=5.7
゜とした場合、リニアモータステージ機構たる第1の送
り手段72及び第2の送り手段73の分解能が100n
mのときには、最小の微動送り量dは約20nmにな
り、さらに伝達アームを介して回動アーム3を位置決め
する構成のため、厚さ4〜5nmの試料Sの超薄切片の
作製が理論上可能になる。
【0097】一方、微小角度±θをθ=5.7゜とした
場合、各送り手段72,73の分解能が10nmであれ
ば、ミクロトーム10は、理論的に厚さ0.4〜0.5
nmの薄切片の試料作製が可能となる。さらに、微小角
度±θをθ=2.5゜とした場合、各送り手段の分解能
が100nmのときには、最小の微動送り量dは約8.
7nmになり、試料Sの超薄切片を理論的に厚さ1.7
〜2.2nmで切削することが可能となる。このように
上記具体例に示されるが如く、微小角度±θを適切な角
度に設定することにより、従来作製することのできなか
った超薄切片の試料を容易に作製することができる。
【0098】さらに、第1の送り手段72と第2の送り
手段73とが、Y軸方向と僅かの傾斜角度で交差する方
向に沿って駆動する構成のため、X軸方向に沿う押圧力
に対して高い保持力を発揮することができる。即ち、か
かる構成により、試料Sがカッタ21に当たる際に、回
動アーム3及び伝達アーム5を介して受けるX軸方向に
沿う反力に抗して押圧部材71を有効に現在位置に保持
し、試料Sの逃げを防止し、微動送り量dのずれをなく
すことができ、目標切削厚さDにより忠実に試料Sを切
削定できる。
【0099】また、前述したように、第1及び第2の送
り手段72,73をリニアモータステージ機構とする構
成のため、ボールネジ等の機械的な要素の組み合わせを
駆動源とする構成と比べて、バックラッシュ等の影響を
有効に排除し、より高精度の送り動作を行うことが可能
であると共に、ステッピングモータに比べて電流、推力
の直進性がよく、定格に対する瞬間トルクが大きくと
れ、さらに、コイル、インダクタンスが小さく、電気的
応答性に優れてると共に、コギング等の磁気的な脈動が
なく、これにより高精度でスムーズな制御が行うことが
可能である。
【0100】さらに、微小送り機構7では一方の送り手
段72の移動ステージ72A上に他方の送り手段73の
載置本体73Bを載置し、さらに上方の送り手段73の
移動ステージ73A上に押圧部材71を固定することに
より、同時に二つの送り手段72,73からの協動によ
る押圧方向への付勢動作を、複雑な動作伝達機構を要す
ることなく簡易な構成で実現することができ、部品点数
の軽減等による生産性の向上を図ることが可能である。
また、同時に複雑な伝達機構を介する必要がないことか
ら、各送り手段72,73と押圧部材71との間におけ
る移動量の誤差が生じる可能性を低減し、結果として回
動アームに対する位置決め精度の向上を図ることが可能
である。
【0101】また、微小送り機構7と回動アーム3との
間に伝達アーム5が介在する構成のため、微小送り機構
7の駆動時の振動は、伝達アーム5から当該伝達アーム
5を保持する伝達アーム用ステージ64側に吸収され、
回動アーム3に到達する振動の影響を低減させることが
可能となり、当該回動アーム3の位置決めをより精度良
く行うことが可能である。
【0102】さらに、この伝達アーム5における保持部
51−伝達部52間距離L1を,保持部52−接触部5
3間距離L2よりも小さく設定する構成のため、押圧部
材71から伝達アーム5に加えられる変位に比べ、伝達
アーム5から回動アーム3に伝えられる変位が小さくな
り、このため、微小送り機構7により与えられる送り量
よりもより微小単位の送り量で回動アーム3を位置決め
することができる。従って、L2/L1を大きい値(装置
のサイズ及び内部における占有スペース等を考慮した常
識的な範囲で)に設定することにより、より高精度の切
削作業を行うことが可能である。
【0103】また、固定台6は、側壁61,62と架設
台63とを有する構造であるため、伝達アーム5は、伝
達アーム用ステージ64を介してY軸方向について両側
から支持されることになり、回動アーム3の回動,微小
送り機構7による押圧力付勢等の外的付加に対して伝達
アーム5を安定した状態で、強固に保持することが可能
となり、切削誤差の発生を有効に防止する。
【0104】さらにまた、微小送り機構7の上方に架設
台63が位置する構成のため、基台1上において、微小
送り機構7、固定台6及び伝達アーム5が垂直線上に並
んで配設され、占有面積を節約することができ、装置全
体の小型化を図ることが可能となる。
【0105】なお、上記第1の実施形態では、第1の送
り手段72及び第2の送り手段73としてリニアモータ
ステージ機構を採用しているが、他の手法により押圧部
材71による押圧動作の付勢を行っても良い。例えば、
前述したボールネジ機構であっても、ボールネジの保持
側と、ボールネジにより駆動する側との間に、これら相
互間に当該押圧方向に沿う押圧力或いは張力を生じせし
める弾性バネを介在させ、バックラッシ等の影響を軽減
させる処置が施されている場合であれば、第1及び第2
の送り手段として採用しても良い。かかる、構成であっ
ても、リニアモータステージ機構に劣る可能性を有しつ
つも、従来のものと比較して高い精度のミクロトームを
提供することができる。
【0106】また、上記の具体例の場合には、従来ある
ボールネジ機構式のミクロトームを利用して生産するこ
とができ、従来品を無駄にすることなく切削の精度向上
及び振動の排除を図ることができる。
【0107】また、この第1の実施形態で示した回動ア
ーム3の回動エッジ部34と伝達アーム5の伝達部52
との係合部分の構造については、特に上述の形状に限定
するものではなく、回動アーム3の回動動作における各
構成の加工精度の影響を受け難い構造であれば他のもの
でも良い。例えば、伝達アーム5側にY軸方向に沿った
円柱状の受け部材を設けると共に、回動アーム3の回動
エッジ部34先端側に、伝達アーム5側に向けられて開
かれた二又構造を形成し、この二又形状に伝達アーム5
の受け部材が挟み込まれるようにして係合する構造とし
ても良い。この場合において、各引っ張りバネ34aに
より二又構造と受け部材との当接状態が有効に保持され
るため、回動アーム3は伝達アーム5の受け部材を中心
として自在に回動し、且つ回動動作時における誤差の発
生が有効に防止される。
【0108】なお、この第1の実施形態では、押圧部材
71と伝達アーム5の接触部53との間で点接触状態に
より押圧動作を行っているが、押圧部材71の先端形状
を変えて、線接触状態により押圧部材71と伝達アーム
5の接触部53とが当接する構成としても良い。
【0109】なお、前述した保持機構2及び回動アーム
3については、保持機構2に試料Sを装備し、回動アー
ム3にカッタ21を装備する構成としても良い。
【0110】即ち、保持機構2の上部に、試料ホルダ3
2が装備され、この試料ホルダ32には、回動アーム3
に保持されたカッタ21とその先端部が対向するように
X軸方向に沿って円柱状の試料Sが装着される。一方、
回動アーム3は、アーム本体31の回動端部にカッタ2
1が保持されるカッタ保持台22が装備される。
【0111】前述した図1に示す実施形態では、試料S
の切削動作の際には、予め回動アーム3の回動先端側に
保持された試料Sが、カッタ21よりも上方に位置決め
されて、回動アーム3が降り下ろされる際に切削が行わ
れる構成であったが、ここでは、回動アーム3側にカッ
タ21が保持される構成のため、回動アーム3の先端側
は、切削に際して予め、試料Sより下方に位置決めさ
れ、回動アーム3が振り上げられる際に試料Sの切削が
行われる。
【0112】これに加えて、試料Sの切削の際には、回
動アーム3の回動先端側が試料Sの下方にある場合に、
当該回動アーム3が微小送り機構7により保持機構2側
に目標切削厚さDの分だけ前進移動し、回動アーム3が
上方に回動した後に、後退移動する動作制御が行われ
る。
【0113】このように、上記の構成についても、前述
した図1に示すミクロトーム10と同様の効果を得るこ
とが可能である。
【0114】次に、本願発明の第2の実施形態を図10
乃至図12に示す。かかる第2の実施形態を示すミクロ
トーム10Pは、前述したミクロトーム10と回動アー
ム3,伝達アーム5及び固定台6の構造が異なってお
り、他の構成については同一である。ここでは、ミクロ
トーム10と同一の部分については、同符号を付して重
複する説明は省略するものとする。
【0115】このミクロトーム10Pの固定台6Pは、
前述の固定台6と同じ側壁61,62,架設台63及び
ガイドレール63A,63Bを備えているが、伝達アー
ム用ステージ64は備えておらず、伝達アーム5Pは、
各ガイドレール63A,63Bの間に架設され,当該各
ガイドレール63A,63B上に固定ボルト64Paに
より固定装備された伝達アーム用保持台64Pに支軸6
4aを介して揺動自在に保持されている。このため、ミ
クロトーム10のように、切削作業前における伝達アー
ム5PのX方向のおおまかな位置決めを行うことはでき
ないが、カッタ21側でX−Y軸ステージ24によりX
軸方向の位置決めを行うことが可能であるので、切削作
業に対する直接的な影響はない。
【0116】さらに、架設台63上には、ガイドレール
63A,63Bの間で当該ガイドレール63A,63B
に沿ってX軸方向に往復移動が自在の回動アーム用ステ
ージ65Pが装備されている。この回動アーム用ステー
ジ65Pは、回動アーム3Pを回動自在に保持し、伝達
アーム5Pからの押圧力を当該回動アーム用ステージ6
5Pを介して回動アーム3に伝達する機能を有する。そ
して、この回動アーム用ステージ65Pは、ガイドレー
ル63A,63Bの間に配設された長方形平板状の本体
65PAと、この本体65PA上に立設された回動アー
ム保持部65PBと、伝達アーム5PからX軸方向に沿
った押圧力が伝達される突起部65PCとから構成され
る。
【0117】長方形状の本体65PAは、一方の互いに
平行な対となる辺をX軸方向に沿わせ,他方の対となる
辺をY軸方向に沿わせて配設されている。そして、各ガ
イドレール63A,63Bにローラーガイド65Paを
介して係合装備されているため、ガタつきやズレ等が生
ずることなく円滑且つ精度良くX軸方向に沿って往復移
動することが可能である。
【0118】また、この本体65PAには、回動アーム
保持部65PBの近傍に貫通穴65Pbが設けられてお
り、伝達アーム5Pがこの貫通穴65Pbに遊挿された
状態で前述した伝達アーム用保持台64Pに保持されて
いる。なお、この貫通穴65Pbは、伝達アーム5Pに
対してX軸方向の前後に余裕が生じる大きさに設定され
ており、これにより伝達アーム5Pが障害とならず、回
動アーム用ステージ65PはX軸方向に沿ってこの余裕
分の往復移動を行うことが可能である。
【0119】さらに、本体65PAと各ガイドレール6
3A,63Bの間には、それぞれ引っ張りバネ67Pが
張設されており、これにより本体65PAは、後述する
突起部65PCが伝達アーム5Pに押圧接触する方向に
張力を受けている。
【0120】回動アーム保持部65PBは、本体65P
Aの二つの対角線の交点(即ち中央部分)となる位置で
垂直方向に立設された角柱状部材であり、試料Sの保持
を行う回動アーム3Pを回動自在に保持する。この回動
アーム保持部65PBは、後述する回動アーム3Pの二
又脚部31PA,31PBと係合する支軸31Paを挿
通させる挿通穴(図示略)がY軸方向に沿って設けられ
ており、この挿通穴の内部に装備された図示しない軸受
け等により当該支軸31Paを回転自在に保持する。
【0121】一方、回動アーム3の各二又脚部31P
A,31PBは、この支軸31Paの各端部に固定連結
されており、これにより回動アーム3が,支軸31Pa
を中心として,この回動アーム保持部65PBに対する
回動動作を自在に行うことが可能となっている。
【0122】また、この支軸35Paは、前述した本体
65PAのX軸方向における両端部から等距離にあり
(図11:L3=L4)、さらに、支軸35Paの軸方向
における中間部部分が前述した本体65PAの中央部分
の鉛直上方に位置している。即ち、支軸35Paは本体
65PAの丁度中心に位置しており、かかる支軸35P
aを介して回動アーム3Pを保持しているため、回動ア
ーム用ステージ65Pは、X軸方向及びY軸方向の双方
についてバランスがとれており、これにより円滑に架設
台63上を移動することが可能となっている。
【0123】さらに、回動アーム保持部65PBの伝達
アーム5Pとの対向面上には、後述する伝達アーム5P
の伝達部52Pに向かって突出した凸状の突起部65P
Cが設けられている。この突起部65PCの先端部は、
球面状或いは先細形状等に形成されており、これにより
突起部65PCはその先端部で伝達アーム5Pの伝達部
52に点接触状態で接触し当該伝達アーム5Pから押圧
動作が付勢される。即ち、突起部65PCと伝達部52
Pとの間が点接触状態となり、例えば押圧時に、伝達ア
ーム5PにY方向及びZ方向に振動に振動が生じた場合
でも、点接触部分を中心として当該伝達アーム5Pのみ
が振動し、突起部65PC側にはその振動がほとんど伝
達されることなくX方向への押圧力が伝達されるように
なっている。
【0124】次に、伝達アーム5Pについて説明する。
この伝達アーム5Pは、前述した伝達アーム5と同様
に、保持部51P,伝達部52P及び接触部53Pを有
している。このうち、保持部51Pは、固定台6Pの伝
達アーム用保持台64PにY軸方向に沿って回転自在に
保持された支軸64aが挿通される貫通穴であり、伝達
アーム5Pは、この保持部51Pを中心として伝達アー
ム用保持第64Pに揺動自在に保持される。伝達部52
Pは、前述した回動アーム用ステージ65Pの突起部6
5PCの先端が当接する。また、接触部53Pは、微小
送り機構7の押圧部材71が当接する。これら各部によ
り、伝達アーム5Pは、微小送り機構7から付勢された
微小距離単位の押圧動作を、回動アーム用ステージ65
Pを介して回動アーム3Pに対するX軸方向についての
移動動作として付勢する機能を有している。
【0125】上記各保持部51P,伝達部52P及び接
触部53Pは、同一直線上に配置され、接触部53Pか
ら保持部51Pの間隔は、保持部51Pから伝達部52
Pの間隔の複数倍(4〜5倍)の長さに設定されてい
る。従って、前述の伝達アーム5と同様に機能する。
【0126】なお、上記伝達部52P及び接触53P
は、いずれも伝達アーム5PのY軸方向幅のほぼ中間に
位置しており、これにより突起部65PC及び押圧部材
71とバランス良く接触状態を維持することができる。
また、これら伝達部52P及び接触部53Pには、突起
部65PC及び押圧部材71の位置ズレ等を排除し有効
に保持状態を維持するために、例えばV溝或いは幾分窪
んだ凹部を設けても良い。
【0127】次に、回動アーム3Pについて説明する。
この回動アーム3Pは、前述した回動アーム3と同様に
先端部に試料ホルダ32及び傾斜ステージ33を有して
おり、他端部(図11における左側)は二又に分離して
いる。即ち、回動アーム3Pは、全体的には略Y字状に
形成されており、二又に分離した各二又脚部31PA,
31PBが回動アーム用ステージ65Pの回動アーム保
持部65PBを挟むようにして当該回動アーム保持部6
5PのY軸方向における両側面に配設され且つ前述した
支軸31Paの両端部にそれぞれ連結されている。これ
により、回動アーム3Pは、支軸31Paを中心として
回動自在に回動アーム用ステージ65Pに保持されてい
る。
【0128】この回動アーム3Pは、略Y字状に形成し
て支点側の幅を広くし且つその支軸31PaをY軸方向
に沿わせているため、回動アーム3PにおけるY軸方向
のついて安定性が良く、振動の発生を有効に抑制する効
果を有している。
【0129】上述した各構成からなるミクロトーム10
Pは、回動アーム3PをX軸方向に沿って移動させる場
合は、回動アーム用ステージ65Pと共に移動する。即
ち、回動アーム3Pに保持された試料Sをカッタ21側
に近接させる場合には、微動送り機構7の押圧部材71
を介して伝達アーム5Pの接触部53Pが押圧され、伝
達アーム5P全体に揺動動作が付勢される。そして、伝
達アーム5Pの揺動により伝達部52Pから突起部65
PCが押圧されて回動アーム用ステージ65P全体がX
軸方向に沿って図10における右方向に移動する。これ
に伴い、この回動アーム用ステージ65Pに保持された
回動アーム3Pが同方向に移動する。
【0130】また、回動アーム3Pに保持された試料S
をカッタ21から離間させる場合には、微動送り機構7
の押圧部材71が押圧動作と反対方向に後退する。一
方、回動アーム用ステージ65Pの本体65PAは、常
時,引っ張りバネ67Pの張力を受けているため、突起
部65PCが伝達アーム5の伝達部52Bからの押圧状
態から開放されると、回動アーム用ステージ65P全体
は図10における左側に移動する。これに伴い、この回
動アーム用ステージ65Pに保持された回動アーム3P
が同方向に移動する。
【0131】その他各部の動作については、ミクロトー
ム10と同様に行われる。
【0132】以上のように、この第2の実施形態では、
回動アーム3Pが、基台1に固定装備された固定台6P
に保持されているため、当該回動アーム3Pは安定した
状態で保持され、回動アーム3PのX軸方向に沿った移
動動作又は回動動作の際にも、装置各部又は外的要因か
ら生じる振動の影響を受け難く、このため位置ズレ,位
置決め誤差の発生を有効に排除し、精度の高い超薄切片
の切削を行うことが可能である。
【0133】また、回動アーム用ステージ65Pが、回
動アーム3Pを当該回動アーム用ステージ65Pの中央
部分で保持しているため、X軸方向及びY軸方向につい
てバランスが採れた状態を維持し易く、回動アーム用ス
テージ65PがX軸方向に沿った方向に移動する場合,
或いは回動アーム3Pが回動する場合に、当該回動アー
ム用ステージ65PにX軸方向又はY軸方向についての
振動が生じ難く、これにより、かかる振動の影響を低減
し、より精度の高い超薄切片の切削を行うことが可能で
ある。
【0134】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、微小送り機構と
伝達アームとの間の接触面積を微小として押圧動作を行
っているため、微小送り機構と伝達アームとが連結され
ている場合や広い面を接して押圧動作の付勢を行う場合
と比較して、互いに接触する微動送り機構と伝達アーム
との間にそれぞれ接触部を中心とした揺動を生じる自由
度があり、例えば、押圧方向に対して垂直な方向の振動
等は、一方から他方に伝達され難くなっている。このた
め、微小送り機構から伝達アーム側に直接的に伝達され
る駆動時の振動が有効に抑制され、切削時における回動
アームの位置決めをより精度良く行うことが可能となっ
ている。
【0135】また、微小送り機構と回動アームとの間に
伝達アームが介在する構成のため、微小送り機構の駆動
時の振動は、伝達アームから当該伝達アームを保持する
固定台側に吸収され、さらなる振動の抑制効果を上げる
ことが可能となっている。
【0136】請求項2記載の発明は、カッタ及び試料の
取付位置を除いて請求項1記載の発明と同一であるた
め、当該請求項1記載の発明と同様の効果を得ることが
可能である。
【0137】請求項3記載の発明では、請求項1記載の
発明と同様の効果を有すると共に、回動アームが、基台
に固定装備された固定台に保持されているため、回動ア
ームは安定した状態で保持され、当該回動アームのX軸
方向に沿った移動動作又は回動動作の際にも、装置各部
又は外的要因から生じる振動の影響を受け難く、このた
め位置ズレ,位置決め誤差の発生を有効に排除し、より
精度の高い超薄切片の切削を行うことが可能である。
【0138】請求項4記載の発明は、請求項1,2又は
3記載の発明と同様の効果を備えると共に、微小送り機
構を押圧部材の押圧方向と直交する方向に対しいずれも
微小角度だけ傾斜して駆動する二つの送り手段の協動に
より伝達アームを揺動させる構成のため、これら各微小
角度の正弦に示される値に比例するごく微小単位の送り
量で回動アームを位置決めすることができ、試料の切削
作業についてより高精度化を図ることが可能である。
【0139】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明と同様の効果を備えると共に、第1及び第2の送り手
段をマグネット及びコイルに生じる磁界の作用により駆
動するリニアモータステージ機構とする構成のため、ボ
ールネジ等の機械的な要素の組み合わせを駆動源とする
構成と比べて、各要素の組立精度,駆動に要する遊び等
の影響(例えばバックラッシュ等の影響)を有効に排除
し、より高精度の送り動作を行うことが可能である。
【0140】また、本発明の構成は、ステッピングモー
タに比べて電流、推力の直進性がよく、定格に対する瞬
間トルクが大きくとれ、さらに、コイル、インダクタン
スが小さく、電気的応答性に優れてると共に、コギング
等の磁気的な脈動がなく、これにより高精度でスムーズ
な制御が行うことが可能である。
【0141】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明と同様の効果を備えると共に、一方の送り手段の移動
ステージ上に他方の載置本体を載置し、さらに上方の送
り手段の移動ステージ上に押圧部材を固定することによ
り、同時に二つの送り手段からの協動による押圧方向へ
の付勢動作を、各送り手段と押圧部材の間において複雑
な動作伝達機構を介在させることなく簡易な構成で実現
することができ、部品点数の軽減等による生産性の向上
を図ることが可能である。また、同時に複雑な伝達機構
を介する必要がないことから、各送り手段と押圧部材と
の間における移動量の誤差が生じる可能性を低減し、結
果として回動アームに対する位置決め精度の向上を図る
ことが可能である。
【0142】請求項7記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5又は6記載の発明と同様の効果を備えると共
に、伝達アームにおける保持部−伝達部間距離を,保持
部−接触部間距離よりも小さく設定する構成のため、押
圧部材から伝達アームに加えられる変位に比べ、伝達ア
ームから回動アームに伝えられる変位が小さくなり、こ
のため、微小送り機構により与えられる送り量よりもよ
り微小単位の送り量で回動アームを位置決めすることが
できる。従って、上記各距離を適宜に設定することによ
り、より高精度の切削作業を行うことが可能である。
【0143】請求項8記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5,6又は7記載の発明と同様の効果を備える
と共に、固定台が、二つの側壁と架設台とを有する構造
であるため、伝達アームは、両側から支持されることに
なり、回動アームの回動,微小送り機構による押圧力付
勢等の外的付加等に対して伝達アームを安定した状態
で、強固に保持することが可能となり、振動等による切
削誤差の発生を有効に防止する。
【0144】さらにまた、微小送り機構の上方に架設台
が位置する構成のため、基台上において、微小送り機
構、固定台及び伝達アームが垂直線上に並んで配設さ
れ、占有面積を節約することができ、装置全体の小型化
を図ることが可能となる。
【0145】上記各構成により、従来にない優れたミク
ロトームを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施形態を示す一部切り欠い
た正面図である。
【図2】図1に開示したミクロトームの一部省略した平
面図である。
【図3】図1に開示したミクロトームの一部切り欠いた
側面図ある。
【図4】図1に開示した試料回収槽の超薄切片の回収動
作を示す斜視図である。
【図5】図5(A)は図1に開示した伝達アームを示す
正面図であり、図5(B)はその変形例を示す正面図で
ある。
【図6】図1に開示した第1の送り手段(第2の送り手
段)を示す一部切り欠いた斜視図である。
【図7】微小送り機構による移動原理を示す説明図であ
る。
【図8】図1に開示したミクロトームの制御系を示すブ
ロック図である。
【図9】図1に開示したミクロトームの切削時における
動作制御を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態を示す一部切り欠い
た正面図である。
【図11】図10に開示したミクロトームの一部省略し
た平面図である。
【図12】図10に開示したミクロトームの一部切り欠
いた側面図ある。
【符号の説明】
1 基台 2 保持機構 3,3P 回動アーム 4 回動付勢手段 5,5P 伝達アーム 6,6P 固定台 7 微小送り機構 10,10P ミクロトーム 21 カッタ 51,51P 保持部 52,52P 伝達部 53,53P 接触部 61,62 側壁 63 架設台 71 押圧部材 72 第1の送り手段 72A,73A 移動ステージ 72B,73B 載置本体 72C,73C ガイド 72D,73D マグネット 72E,73E コイル 73 第2の送り手段 S 試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 宣義 埼玉県坂戸市溝端町11−1 (72)発明者 古荘 貞男 埼玉県上尾市大字1丁目513−5 (72)発明者 佐藤 敏雄 千葉県八千代市高野1289−18 (72)発明者 広畑 泰久 東京都中野区大和町3−27−15 (72)発明者 山本 資次 東京都板橋区徳丸3−29−1

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 装置の各構成を配設する基台と、 試料の一部を切削するカッタを保持する保持機構と、 先端部で前記試料を前記カッタに向けて保持し,後端部
    を支点として回動する回動アームと、 この回動アームに回動動作を付勢する回動付勢手段と、 前記回動アームの後端部を支持しつつ,先端部を前記カ
    ッタに近接又は離間させる移動力を当該回動アームに伝
    達する伝達アームと、 前記基台上に固定装備され,前記伝達アームを揺動自在
    に保持する固定台と、 前記伝達アームに対する押圧動作の付勢により,前記回
    動アームの先端部の近接又は離間動作を微小距離単位で
    付勢する微小送り機構とを備え、 この微小送り機構の押圧動作を,当該微動送り機構と伝
    達アームとの間の微小面積の接触により行うことを特徴
    とするミクロトーム。
  2. 【請求項2】 装置の各構成を配設する基台と、 試料を保持する保持機構と、 先端部で前記試料の一部を切削するカッタを前記試料に
    向けて保持し,後端部を支点として回動する回動アーム
    と、 この回動アームに回動動作を付勢する回動付勢手段と、 前記回動アームの後端部を支持しつつ,先端部を前記カ
    ッタに近接又は離間させる移動力を伝達する伝達アーム
    と、 前記基台上に固定装備され,前記伝達アームを揺動自在
    に保持する固定台と、 前記伝達アームに対する押圧動作の付勢により,前記回
    動アームの先端部の近接又は離間動作を微小距離単位で
    付勢する微小送り機構とを備え、 この微小送り機構の押圧動作を,当該微動送り機構と伝
    達アームとの間の微小面積の接触により行うことを特徴
    とするミクロトーム。
  3. 【請求項3】 装置の各構成を配設する基台と、 試料の一部を切削するカッタを保持する保持機構と、 先端部で前記試料を前記カッタに向けて保持し,後端部
    を支点として回動する回動アームと、 この回動アームに回動動作を付勢する回動付勢手段と、 前記回動アームの先端部を前記カッタに近接又は離間さ
    せる移動力を伝達する伝達アームと、 前記基台上に固定装備され,前記伝達アームを揺動自在
    に保持すると共に,前記回動アームの先端部の前記カッ
    タに対する近接又は離間を自在にしつつその後端部を保
    持する固定台と、 前記伝達アームに対する押圧動作の付勢により,前記回
    動アームの先端部の近接又は離間動作を微小距離単位で
    付勢する微小送り機構とを備え、 この微小送り機構の押圧動作を,当該微動送り機構と伝
    達アームとの間の微小面積の接触により行うことを特徴
    とするミクロトーム。
  4. 【請求項4】 前記微小送り機構が、前記伝達アームを
    点接触により押圧する押圧部材と、この押圧部材の押圧
    方向に沿った一平面内上で,当該押圧方向に直交する方
    向に対して微小角度だけ傾斜した方向に沿って駆動する
    第1の送り手段と、前記一平面内で前記押圧方向に直交
    する方向に対して前記第1の送り手段と反対方向に微小
    角度だけ傾斜した方向に沿って駆動する第2の送り手段
    とを含む構成とし、 前記押圧部材が、前記第1の送り手段及び第2の送り手
    段の協動により前記伝達アームの押圧動作を行うことを
    特徴とする請求項1,2又は3記載のミクロトーム。
  5. 【請求項5】 前記第1の送り手段及び第2の送り手段
    を、それぞれ、前記各駆動方向に沿って往復移動を自在
    とする移動ステージと,この移動ステージを載置する載
    置本体と,この載置本体に対して前記移動ステージの往
    復移動を案内するガイドと,前記載置本体に対する前記
    移動ステージの往復移動動作を付勢する移動付勢手段と
    を有するリニアモータステージ機構としたことを特徴と
    する請求項4記載のミクロトーム。
  6. 【請求項6】 前記第1の送り手段と第2の送り手段の
    いずれか一方の移動ステージ上に他方の載置本体を固定
    装備すると共に、上方に位置する送り手段の移動ステー
    ジ上に押圧部材を固定装備したことを特徴とする請求項
    5記載のミクロトーム。
  7. 【請求項7】 前記伝達アームについて、前記固定台に
    保持される保持部から前記回動アームに移動力を伝達す
    る伝達部までの間隔を,前記保持部から前記微小送り機
    構に押圧される接触部までの間隔より小さくすることを
    特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載のミク
    ロトーム。
  8. 【請求項8】 前記固定台は、前記微小送り機構を挟ん
    で前記基台上から立ち上げられた二つの側壁と、これら
    各側壁の間で,前記微小送り機構の上方に架設された架
    設台とを含む構成とし、 前記伝達アームを、この架設台上に装備したことを特徴
    とする請求項1,2,3,4,5,6又は7記載のミク
    ロトーム。
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