JPH10196682A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JPH10196682A
JPH10196682A JP9000567A JP56797A JPH10196682A JP H10196682 A JPH10196682 A JP H10196682A JP 9000567 A JP9000567 A JP 9000567A JP 56797 A JP56797 A JP 56797A JP H10196682 A JPH10196682 A JP H10196682A
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lubricating oil
clutch
piston
oil
centrifugal
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Kiyohito Murata
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストを嵩ませることがないと共にエン
ジン性能を低下させることなく、クラッチの応答制御性
を向上させる。 【解決手段】 上記クラッチ33を作動させる作動油に
発生する遠心油圧及びクラッチ33の潤滑油室34に供
給される油に発生する遠心油圧により上記ピストン32
を作動させて、クラッチ係合直前の状態位置にピストン
32を配置させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ装置に係
り、特に、自動車に搭載される自動変速機におけるクラ
ッチ装置の改良に関する。
【0002】
【従来技術】一般に、自動車に搭載される自動変速機
は、複数のクラッチ装置26を有しており、このような
クラッチ装置26は、従来、図6に示すように、エンジ
ンの回転駆動力を出力軸へ伝達する入力軸10と、上記
入力軸10からの回転駆動力を更に伝達する出力軸18
とを有し、上記入力軸10上を摺動するピストン12に
より、クラッチ27を作動させて、入力軸10の回転駆
動力を出力軸18へ伝達し、又は回転駆動力の伝達を停
止するように構成されている。
【0003】即ち、上記クラッチ27は、入力軸10に
固定された外殻部材11に、軸方向に移動可能に嵌合さ
れた複数枚のセパレータプレート14と、出力軸18に
対し、軸方向に移動可能に嵌合された複数枚のクラッチ
ディスク15とにより構成されており、上記ピストン1
2により押圧してセパレータプレート14とクラッチデ
ィスク15とを接合させることにより、入力軸10の回
転駆動力を出力軸18へ伝達すると共に、上記ピストン
12の押圧を解除することにより、セパレータプレート
14とクラッチディスク15とを離間させ、回転駆動力
の伝達を停止するように構成されている。
【0004】上記外殻部材11にはスナップリング22
を介して固定され、外殻部材11と共にクラッチ27の
ハウジング28を形成する蓋部材17が設けられ、上記
外殻部材11内のクラッチ27の入力軸10側には、上
記ピストン12が配設されている。上記ピストン12と
外殻部材11との間には、ピストン12を作動させるた
めの作動油圧を供給させる作動油が充填された油圧室2
1が形成されている。
【0005】このピストン12の出力軸18側には、入
力軸10上にリターンスプリング13が配置され、上記
ピストン12を常時、油圧室21方向へ押圧している。
上記蓋部材17の回転半径方向の内方端部には、出力軸
18との間にベアリング58が設けられ、ベアリング5
8はベアリングアウターレース24及びベアリングイン
ナーレース25とベアリングアウターレース24及びベ
アリングインナーレース25の間に配置されたボール1
6とにより形成されている。
【0006】上記ベアリングアウターレース24は上記
蓋部材17に固定されると共にベアリングインナーレー
ス25は出力軸18に固定されており、クラッチ27の
係合が解除されている状態の場合には、入力軸10、外
殻部材11及び蓋部材17が、上記出力軸18のベアリ
ングインナーレース25上をベアリング16を介して回
転するように構成されている。
【0007】上記入力軸10は固定部材44に回転可能
に設けられており、固定部材44内には、上記油圧室2
1へオイルポンプ(図示せず)により作成された作動油
圧を油圧制御バルブを介してピストン12へ供給する油
圧供給路20が設けられている。この油圧供給路20は
上記入力軸10に開設された油圧供給孔23を介して油
圧室21へ開口している。なお、油圧供給孔23の周囲
にはシール部材45が設けられている。
【0008】一方、上記出力軸18内には、上記クラッ
チ27への潤滑油を供給する潤滑油供給路19が設けら
れている。ところで、このように構成された従来のクラ
ッチ装置26においては、クラッチディスク15は、常
時、摩擦係合を繰り返されるため、使用期間の経過と共
に磨耗する。このように、クラッチディスク15が磨耗
した場合には、ピストン12がセパレータプレート14
へ当接し、上記蓋部材17との間でクラッチディスク1
5を押圧するまでの距離が変化し、その結果、クラッチ
27の係合開始点が異なってくることとなる。
【0009】このように、ピストンのストローク量が増
大することによって、いわゆるクラッチの応答性が低下
した場合には、自動車に搭載された自動変速機にあって
は、変速の際に、クラッチに係合していない状態が発生
し、エンジンの急激な回転上昇の状態が発生する場合も
あった。このような、いわゆるエンジンの吹き上がりの
状態が発生した場合には、その後、クラッチが係合する
際には高回転で係合するため、クラッチディスク15の
磨耗が激しく、クラッチ33の耐久性を著しく低下させ
ると共に乗員の走行フィーリングを損ねる可能性があ
る。
【0010】また、一方で、クラッチのピストンのスト
ローク量は、クラッチのパッククリアランスや、油圧、
油圧回路中にある絞りの大きさ、油圧を制御する調圧バ
ルブ、又は可変油圧ソレノイドバルブの個体間の誤差に
より左右され、自動変速機毎に異なっている。従って、
これらの自動変速機の構成部品個体の製造誤差から発生
するピストンストローク時間の違いから、クラッチの応
答性を一律に制御することが難しく、その結果、円滑な
シフトが行われない場合もある。
【0011】そこで、このようなクラッチの応答性の制
御を向上させるため、従来、ピストンの作動油を排出す
る排出油路に連通する制御油路を設けると共に、この制
御油路に、常態においては制御油路を閉状態とすると共
にピストンが作動油圧によりクラッチディスクに当接す
る直前の状態位置にまで予め移動した場合には上記制御
油路を開状態とする開閉弁を設け、上記排出油路には電
気信号により排出油路を開閉制御する制御弁を設けた技
術が開示されている。
【0012】このような技術にあっては、上記ピストン
が作動油圧によりクラッチディスクに当接する直前の状
態位置にまで移動した場合には、ピストンとクラッチデ
ィスクとの相対位置を検出して、上記制御弁及び開閉弁
を作動させて制御油路及び排出油路を開き、一時的に作
動油圧を排圧して、ピストンの移動を停止して待機さ
せ、ピストンの作動油圧が供給された場合には、即時
に、ピストンがクラッチプレートを押圧し、クラッチが
係合するように構成されている(例えば、特開昭62−
237120号公報参照)。
【0013】しかしながら、以上のように構成された従
来の技術にあっては、上記電気的に制御される制御弁及
び排出油路を開閉する開閉弁を設けなければならず、ク
ラッチ装置全体の構造が複雑になると共に構成部品点数
が増大し、クラッチ装置の製造コストが嵩む、という不
具合が存していた。また、従来より、自動車の自動変速
機のクラッチの応答に関する制御性を向上させる観点か
ら、ピストンの作動を電子的に制御してファーストフィ
ルを行い、ピストンを係合直前の位置にまで予め速やか
に移動させた後に係合させるように構成された、いわゆ
る、ファーストフィル制御や、エンジン出力を、スロッ
トルアクチュエータによりスロットル開速度を遅く制御
する技術も開示されている。
【0014】しかしながら、上記ファーストフィル制御
にあっては、上記のようなクラッチディスクの磨耗によ
るファーストフィル時間の変更が必要となり、いわゆる
学習制御を行う必要があることから、制御が複雑とな
り、上記同様に製造コストが嵩む、という不具合が存し
ていた。また、上記スロットルアクチュエータにより制
御する場合には、エンジンの出力性能が結果的に低下し
てしまう、という不具合が存していた。
【0015】そこで、請求項1及び2記載の発明の技術
的課題は、製造コストを嵩ませることがないと共にエン
ジンの出力性能を低下させることなく、クラッチの応答
制御性を向上させる点にある。請求項3記載の発明の技
術的課題は、請求項1及び2記載の発明の技術的課題に
加えて、自動車に搭載される自動変速機のクラッチ装置
において、クラッチの応答制御性を向上させる点にあ
る。
【0016】請求項4記載の発明の技術的課題は、請求
項3記載の発明の技術的課題に加えて、クラッチの潤滑
油に高低二種類の遠心油圧を発生させ、作動油に発生し
た遠心油圧との間の差圧によりピストンを作動させ、ピ
ストンのクラッチへの近接状態を維持させる点にある。
請求項5記載の発明の技術的課題は、請求項4記載の発
明の技術的課題に加えて、潤滑油において低い遠心油圧
をより確実に発生させる点にある。
【0017】請求項6記載の発明の技術的課題は、請求
項4記載の発明の技術的課題に加えて、クラッチ係合時
に潤滑油の流出を防止する点にある。請求項7記載の発
明の技術的課題は、請求項4記載の発明の技術的課題に
加えて、自動車の自動変速機の変速時に、クラッチに係
合しない状態により発生する、エンジンの急激な回転の
上昇を有効に防止する点にある。
【0018】
【課題を解決するための手段】このような技術的課題解
決のため、請求項1記載の発明にあっては、図1に示す
ように、入力軸10と出力軸18とを有し、油圧の供給
又は供給の停止によりピストン32を作動させてクラッ
チ33を係合させ又はクラッチ33の係合を解除し、入
力軸10の回転駆動力の出力軸18への伝達し又は伝達
の停止を行うクラッチ装置において、上記入力軸10の
回転の際にピストン32を作動させる作動油に発生する
遠心油圧及びクラッチ33の潤滑油室34に供給される
油に発生する遠心油圧により上記ピストン32を作動さ
せて、クラッチ係合直前の状態位置にピストン32を配
置させることを特徴とする。
【0019】なお、上記クラッチ33の潤滑油室34に
供給される油とは、請求項2に記載されているように、
好ましくは例えば、クラッチ33の潤滑油である。従っ
て、請求項1記載の発明にあっては、クラッチ33が係
合している場合には、油圧室21内に充填された作動油
に作用する遠心力により遠心油圧が発生し、この遠心油
圧により生じた推力がピストン32に対して出力軸18
方向に作用するが、同時に、上記潤滑油に作用する遠心
力により遠心油圧が発生し、この遠心油圧により生じた
推力がピストン32に対して入力軸10方向に作用す
る。
【0020】従って、クラッチ33の非係合状態の場合
には、上記作動油に発生した遠心油圧により生じ、出力
軸18方向へ作用する推力と、上記潤滑油に作用する遠
心力により遠心油圧が発生し、この遠心油圧により生じ
た入力軸10方向へ作用する推力とのバランスにより、
ピストン32をクラッチ33の係合直前の状態位置に配
置させるものである。
【0021】その結果、請求項1記載の発明にあって
は、ピストンの作動油及び潤滑油に発生する遠心油圧を
利用して、ピストンをクラッチ33の係合直前の状態位
置に配置させるものであるため、製造コストを嵩ませる
ことがないと共にエンジンの出力性能を低下させること
なく、クラッチの応答制御性を向上させることができ
る。
【0022】また、請求項2記載の発明にあっては、ク
ラッチ33の潤滑油室34に供給される上記油は潤滑油
であって、この潤滑油を排出しうる二つの孔部37,5
1が、異なる回転半径位置において設けられ、一方の孔
部を開閉操作することにより異なる潤滑油流路が形成さ
れ、上記作動油に発生した遠心油圧よりも高い遠心油圧
及び上記作動油に発生した遠心油圧よりも低い遠心油圧
を交互に発生させ、潤滑油に発生した遠心油圧と作動油
に発生する遠心油圧との間の差圧によりピストン32を
入力軸10方向又は出力軸18方向へ作動させ、上記高
い遠心油圧と低い遠心油圧との間において形成される所
定の遠心油圧により、作動油に発生する遠心油圧との間
の均衡状態を形成し、クラッチ係合直前の状態位置にピ
ストンを配置させることを特徴とする。
【0023】従って、請求項2記載の発明にあっては、
一方の孔部を開閉操作することにより、異なる潤滑油流
路が形成され、異なる潤滑油流路により大きさの異なる
遠心油圧が交互に発生し、発生した夫々の遠心油圧と作
動油に発生する遠心油圧との間の差圧により自動的にピ
ストン32を作動させ、クラッチ33の近接位置にピス
トン32を配置させる。
【0024】その結果、ピストン32の作動油及び潤滑
油に発生する遠心油圧を利用して、ピストン32をクラ
ッチ33の係合直前の状態位置に配置させるものである
ため、製造コストを嵩ませることがないと共にエンジン
の出力性能を低下させることなく、クラッチ33の応答
制御性を向上させることができる。また、請求項3記載
の発明にあっては、上記クラッチ装置30は自動車の自
動変速機内に設けられ、自動車のエンジンの回転駆動力
を伝える入力軸10と、入力軸10の回転駆動力がクラ
ッチ33を介して伝達される出力軸18とを有し、上記
入力軸10には、クラッチ33を内部に収容するハウジ
ング28を形成する外殻部材11が固定されると共に、
軸方向に沿って入力軸上10を摺動して上記クラッチ3
3を係合させ又はクラッチ33の係合を解除させうるピ
ストン32が設けられ、上記外殻部材11の出力軸18
側には、上記外殻部材11と共にハウジング28を形成
し、上記ピストン32がクラッチ33を係合させる際に
は、ピストン32との間にクラッチ33を保持する保持
部50を有する蓋部材17が固定され、上記ピストン3
2の入力軸10側には、上記外殻部材11との間に、上
記ピストン32の作動油圧を伝達する作動油が充填され
た油圧室21が設けられると共に、上記入力軸10側に
は、入力軸10周面部に開設された油圧供給孔23を介
して上記油圧室21へ連通し、上記油圧室へ21ピスト
ン32の作動油圧を供給する油圧供給路20が設けら
れ、上記ピストン32の出力軸18側には、上記クラッ
チ33の潤滑油が供給される潤滑油室34が形成されて
いると共に、上記出力軸18内には、潤滑油室34に潤
滑油を供給する潤滑油供給路19が設けられ、上記クラ
ッチ33は、上記外殻部材11に軸方向に沿って移動可
能に取り付けられた複数のセパレータプレート14と、
出力軸18に対して軸方向に移動可能に嵌合されると共
に上記セパレータプレート14の間に配設された複数の
クラッチディスク15とにより構成されていることを特
徴とする。
【0025】従って、請求項3記載の発明にあっては、
自動車に搭載される自動変速機に内装されたクラッチ装
置30において、ピストン32の入力軸10側において
作動油に発生し、ピストン32に対して出力軸18方向
に作用する遠心油圧、及び、ピストン32の出力軸18
側において潤滑油に発生し、ピストン32に対して入力
軸10方向へ作用する遠心油圧との間の差圧により生ず
る推力を利用して、ピストンをクラッチ33の係合直前
の状態位置に配置させる。
【0026】従って、クラッチ33を係合させようとす
る場合には、上記作動油に作動油圧を供給した場合に
は、ピストン32はクラッチ33に対して係合直前の状
態位置に配置されているため、迅速にクラッチ33を押
圧し、クラッチ33を係合させることが可能となる。そ
の結果、請求項3記載の発明にあっては、自動車に搭載
される自動変速機に内装されたクラッチ装置30におい
て、製造コストを嵩ませることがないと共にエンジンの
出力性能を低下させることなく、クラッチの応答制御性
を向上させることができる。
【0027】請求項4記載の発明にあっては、第1図及
び第2図に示すように、上記蓋部材17のクラッチ保持
部50には、第一の潤滑油排出孔51が設けられると共
に上記蓋部材17の回転半径方向における内方端部と出
力軸18との間には第二の潤滑油排出孔37が設けら
れ、上記入力軸10は上記出力軸18よりも径大に形成
され、上記油圧供給孔23は上記第二の潤滑油排出孔3
7よりも、回転半径方向において、軸心から外方の部位
に設けられていると共に上記第一の潤滑油排出孔51は
上記油圧供給孔23よりも、回転半径方向において、軸
心29から外方の部位に設けられており、上記第一の潤
滑油排出孔51は、クラッチ33の係合時には閉状態と
なり、潤滑油が第二の潤滑油排出孔37から排出される
潤滑油流路が形成されると共に、クラッチ33の非係合
時には開状態となり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔51
から排出される潤滑油流路が形成されることを特徴とす
る。
【0028】従って、請求項4記載の発明にあっては、
上記第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部
40との間の間隔寸法L1は、上記油圧供給孔23とピ
ストン32の外方端部40との間の間隔寸法Lよりも小
さく形成されており、上記第二の上記潤滑油排出孔37
とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法L2
は、上記油圧供給孔23とピストン32の外方端部40
との間の間隔寸法Lよりも大きく形成されている。
【0029】請求項4記載の発明にあっては、上述のよ
うに、クラッチ33の係合時に上記第一の潤滑油排出孔
51が閉状態となり、潤滑油が上記第二の潤滑油排出孔
37から排出される場合、油圧供給孔23とピストン3
2の外方端部40との間Lに亘って作動油が油圧室21
内に充填されている一方、潤滑室34内には第二の上記
潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間
L2に潤滑油が溜まっており、L<L2であるため、作
動油に発生する遠心油圧Pは潤滑油に発生する遠心油圧
P2よりも小さくなる。
【0030】一方、クラッチ33の非係合時に、上記第
一の潤滑油排出孔51が開状態となり、潤滑油が上記第
一の潤滑油排出孔51から排出される場合には、潤滑油
の貯留状態は、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン
32の外方端部40との間L2から第一の潤滑油排出孔
51とピストン32の外方端部40との間L1へと移行
する。
【0031】従って、この場合、L>L1であるため、
潤滑油に発生する遠心油圧P1は作動油に発生する遠心
油圧Pよりも小さくなる。以下、請求項4記載の発明に
おける作用をより具体的に説明する。請求項4記載の発
明において、クラッチ33を係合させる場合には、油圧
制御バルブを開状態とし、上記油圧供給路20を介して
作動油圧を油圧室に供給し、ピストン32を作動させ
る。ピストン32は作動油圧により出力軸18方向へ押
圧されて出力軸18方向へ前進し、クラッチ33を押圧
する。従って、クラッチ33はクラッチ保持部50に押
しつけられるため、セパレータプレート14の内、最も
蓋部材17に近接して配置されたセパレータプレート1
4aは、クラッチ保持部50の内表面部に密接し、上記
第一の潤滑油排出孔51はセパレータプレート14aに
より閉塞された状態となる。
【0032】この状態で、入力軸10の回転駆動力はク
ラッチ33を介して出力軸18に伝達され、潤滑油は潤
滑油供給孔38から潤滑油室34内に流入し上記第二の
潤滑油排出孔37からクラッチ装置33外方へ排出さ
れ、潤滑油供給孔38から第二の潤滑油排出孔37へ至
る潤滑油の流路が形成され、上述のように、第二の上記
潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間
L2に潤滑油が貯留されており、L<L2であるため、
潤滑油に発生する遠心油圧P2は作動油に発生する遠心
油圧Pよりも大きい状態となっている。
【0033】一方、クラッチ33の係合を解除しようと
する際には、上記油圧制御バルブの作動により上記作動
油圧が減じられ、上記作動油に発生しピストン32に対
して出力軸18方向に作用している遠心油圧Pよりも、
潤滑油室34側において発生して入力軸10方向に作用
する遠心油圧P2の方が大きいことから、その差圧によ
り発生する推力によりピストン32は押されて入力軸1
0方向へ後退し、クラッチ33の接合は解除される。上
記蓋部材17の内側面側に押圧されていたセパレータプ
レート14aは、ピストン32が後退した場合には、蓋
部材17のクラッチ保持部50から離間する。
【0034】従って、セパレータプレート14aにより
閉塞されていた第一の潤滑油排出孔51が開口するた
め、クラッチ係合時には第二の潤滑油排出孔37からク
ラッチ装置30外部へ流出していた潤滑油は、上記第一
の潤滑油排出孔51からクラッチ装置30外方へ流出す
るようになり、潤滑油供給孔38から第一の潤滑油排出
孔51へ至る新たな潤滑油の流路が形成される。
【0035】この場合、上述のように、潤滑油室34内
の潤滑油の貯留状態は、第一の潤滑油排出孔51とピス
トン32の外方端部40との間L1へと移行し、L>L
1であるため、潤滑油に発生する遠心油圧P1は作動油
に発生する遠心油圧Pよりも小さくなり、ピストン32
は再度、出力軸18方向へ前進する。このピストン32
の前進により再度クラッチ33が係合開始位置に配置さ
れる。セパレータプレート14aが蓋部材17のクラッ
チ保持部50に当接した場合には、上記第一の潤滑油排
出孔51を再度閉塞し、潤滑油は潤滑油排出孔37から
排出されることとなり、潤滑油排出孔37とピストン3
2の外方端部40との間L2に潤滑油が溜まることとな
る。
【0036】その結果、潤滑油側の遠心油圧P2の方が
再度、作動油側の遠心油圧Pよりも大きくなり、この差
圧により生ずる推力によりピストン32は入力軸10方
向へ押され、セパレータプレート14aはクラッチ保持
部50から離間し、第一の潤滑油排出孔51は開放さ
れ、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から排出され、潤
滑油側の遠心油圧は低下する。
【0037】ピストン32は、作動油に発生する遠心油
圧Pによりピストン32に対して出力軸18方向へ作用
する推力F(1)、第一の潤滑油排出孔51から流出す
る際の遠心油圧P1によりピストン32に対して入力軸
10方向へ作用する推力F(2)、及び第二の潤滑油排
出孔37から流出する際の遠心油圧P2によりピストン
32に対して入力軸10方向へ作用する推力F(3)と
の間で、均衡状態がとれる位置で停止することとなる。
【0038】この場合、上記過程を繰り返す中で、セパ
レータプレート14aが第一の潤滑油排出孔51に非常
に近接し、第一の潤滑油排出孔51を半ば覆った状態と
なった場合には、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から
流出しにくい状態となり、潤滑油室34内の潤滑油は遠
心油圧P1,P2の略中間の遠心油圧を発生することと
なり、作動油側に発生した遠心油圧Pとの間で均衡状態
が保持されて停止するものである。このようにしてピス
トン32が停止する位置は、クラッチ33に圧接しては
いないが、非常に近接した状態位置にある。
【0039】その結果、請求項4記載の発明にあって
は、請求項3記載の発明の効果に加えて、クラッチ33
の潤滑油に高低二種類の遠心油圧P2,P1を発生さ
せ、作動油に発生した遠心油圧Pとの間の差圧によりピ
ストンを作動させ、上記高低二種類の遠心油圧P2,P
1の中間の遠心油圧により、作動油側に発生した遠心油
圧Pとの間で均衡状態を形成し、ピストンのクラッチへ
の近接停止状態を維持することが可能となる。
【0040】また、潤滑油に発生する遠心油圧を利用し
てピストン32を復帰させるため、リターンスプリング
を配設する必要がなく、クラッチ装置30の軸方向にお
ける長さ寸法を低減することができ、クラッチ装置30
の配置の自由度を確保することが可能となる。その結
果、クラッチ装置30全体の大きさを低減することがで
き、クラッチ装置30の構成部品点数を減少させること
ができ、製作コストを低減させることができる。
【0041】請求項5記載の発明にあっては、図3に示
すように、上記第一の潤滑油排出孔51には、クラッチ
33をピストン32方向へ付勢する弾性体52が内装さ
れ、ピストン32が作動してクラッチ33を蓋部材17
の保持部50に対して押圧した際には、クラッチ33を
ピストン32方向へ付勢するように構成されていること
を特徴とする。
【0042】なお、上記弾性体52はコイルスプリング
が好ましいが、リーフスプリング等も採用しうる。弾性
体52はセパレータプレート14aをピストン32方向
へ付勢しうる部材であればよい。クラッチ33の係合時
に、ピストン32がクラッチ33を押圧し、セパレータ
プレート14aがクラッチ保持部50に圧接した場合に
は、第一の潤滑油排出孔51はオリフィスを形成するた
め、第一の潤滑油排出孔51内の圧力は潤滑油圧よりも
低くなる。その結果、ピストン32が潤滑油に発生する
遠心油圧により後退した場合であっても、セパレータプ
レート14aが蓋部材17のクラッチ保持部50に密着
したままとなり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔51から
流出しにくい場合がある。
【0043】この場合、請求項5記載の発明にあって
は、第一の潤滑油排出孔51に内装された弾性体52に
よりセパレータプレート14aが入力軸10方向へ押圧
されるため、ピストン32の推力が解除された場合に
は、速やかに、セパレータプレート14aは蓋部材17
から離間するため、潤滑油は確実に第一の潤滑油排出孔
51から流出し始め、潤滑油に発生する遠心油圧は小さ
くなる。
【0044】その結果、請求項5記載の発明にあって
は、ピストン32の後退時には潤滑油は第一の潤滑油排
出孔51から速やかに流出し始め、低い遠心油圧に変化
するため、ピストン32を確実に係合直前の状態位置へ
移動させることが可能となる。また、上記弾性体52が
配設されているため、クラッチ33の係合時には、弾性
体52の付勢力によりピストン32方向へ押圧されるこ
ととなりクラッチ33の係合力も安定する。
【0045】請求項6記載の発明にあっては、図4に示
すように、上記第一の潤滑油排出孔51には、クラッチ
33の係合時における潤滑油の流出を防止しうるオイル
シール部材53が配設されていることを特徴とする。従
って、請求項6記載の発明にあっては、クラッチ33の
係合時にクラッチ33がピストン32により蓋部材17
の保持部50に押圧された場合に、上記オイルシール部
材53がセパレータプレート14aに圧接して第一の潤
滑油排出孔51からの潤滑油の流出を防止するものであ
る。
【0046】その結果、クラッチ33の係合解除の際に
は、セパレータプレート14aにより第一の潤滑油排出
孔51は閉塞され第二の潤滑油排出孔37から潤滑油は
排出されるため、潤滑油に発生する遠心油圧は第二の潤
滑油排出孔37からピストン32の外方端部40との間
で発生し、ピストン32は確実に後退動作を行う。その
結果、請求項6記載の発明にあっては、クラッチ33の
係合時におけるオイルのシール性を向上させることがで
き、ピストン32を安定してクラッチ33の近接位置に
配置することができる。
【0047】請求項7記載の発明にあっては、図5に示
すように、上記入力軸10は上記出力軸18と略同径に
形成され、上記油圧供給孔23は上記第二の潤滑油排出
孔37よりも、回転半径方向において、軸心29に近接
した部位に設けられていると共に、上記油圧供給孔23
とピストン32の外方端部40との間L3は上記第二の
潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間
L5よりも大きく形成されており、上記入力軸10には
上記ピストン32を油圧室21方向へ付勢して、所定回
転数以下で入力軸が回転した際に作動油に発生する遠心
油圧による出力軸18方向への推力を、潤滑油側に発生
する入力軸10方向への推力と共に解消しうるリターン
スプリング56が配設されていることを特徴とする。
【0048】従って、請求項7記載の発明にあっては、
上記リターンスプリング56のバネ定数及びストローク
は、所定回転数以下で入力軸10が回転する際に作動油
側に発生する遠心油圧を、潤滑油側に発生する入力軸1
0方向への推力と共にキャンセルできる大きさに設定さ
れている。この場合、潤滑油側に発生する入力軸10方
向への推力とは、潤滑油に発生する遠心油圧及び潤滑油
が供給される際の潤滑圧により、ピストン32に対して
入力軸10方向へ作用する推力をいう。
【0049】その結果、クラッチ33の係合を解除する
際に、作動油圧の供給が減じられた場合には、油圧供給
孔23とピストン32の端部40との間L3に充填され
た作動油においては、入力軸10が所定回転数で回転す
ることにより発生した遠心油圧により出力軸18方向へ
作用する推力のみがピストン32に対して働いている。
【0050】この場合、クラッチ33の係合時には、上
記第一の潤滑油排出孔51はセパレータプレート14a
により閉塞された状態となっていることから、潤滑油供
給孔38から第二の潤滑油排出孔37へ至る潤滑油の流
路が形成されており、上述のように、第二の上記潤滑油
排出孔37とピストン32の外方端部40との間L5に
潤滑油が流れており、L3>L5であるため、作動油に
発生する遠心油圧P4は潤滑油に発生する遠心油圧P3
よりも大きい。
【0051】しかしながら、上述のように、上記潤滑油
の遠心油圧P3、潤滑圧及びリターンスプリング56の
付勢力の合計により生じ、ピストン32に対して入力軸
10方向へ作用する推力は、上記作動油に発生した遠心
油圧P4により生ずる出力軸18方向へ作用する推力よ
りも上回るため、作動油に発生した遠心油圧P4により
生ずる推力はキャンセルされ、さらに、ピストン32は
押されて入力軸10方向へ後退する。
【0052】そして、ピストン32が後退し、上記セパ
レータプレート14aが蓋部材17のクラッチ保持部5
0から離間した場合には、上記第一の潤滑油排出孔51
が開口することから、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51
から流出し始め、潤滑油は、上記第一の潤滑油排出孔5
1とピストン32の外方端部40との間L4のみに溜ま
り、この潤滑油には、第二の潤滑油排出孔37から潤滑
油が流出していた際に発生した遠心油圧P3よりも小さ
い遠心油圧P5が発生する。
【0053】この場合、上記L3>L4であるため、作
動油に発生した遠心油圧P4から生ずる推力によりピス
トン32は出力軸18方向へ前進する。このピストン3
2の前進により、再度クラッチ33が係合開始位置に配
置され、クラッチプレート14aはクラッチ保持部50
へ接触し、第一の潤滑油排出孔51を閉塞するため、潤
滑油は第二の潤滑油排出孔37から流出するようになる
と共に、ピストン32はリターンスプリング56のスト
ローク内に至る。
【0054】この結果、第二の上記潤滑油排出孔37と
ピストン32の外方端部40との間L5に溜まった潤滑
油に発生する遠心油圧P3、リターンスプリング56の
付勢力及び潤滑油の潤滑圧が、再度ピストン32に作用
し、その合計の推力により、ピストン32は再度、入力
軸10方向へ後退するが、上記同様、クラッチプレート
14aが第一の潤滑油排出孔51を開放することから潤
滑油側の遠心油圧は低下する。
【0055】ピストン32は、作動油に発生する遠心油
圧P4によりピストン32に対して出力軸18方向へ作
用する推力、第一の潤滑油排出孔51から流出する際の
遠心油圧P5によりピストン32に対して入力軸10方
向へ作用する推力、第二の潤滑油排出孔37から流出す
る際の遠心油圧P3によりピストン32に対して入力軸
10方向へ作用する推力、上記リターンスプリング56
の付勢力、及び潤滑油の潤滑圧から生ずる推力との間
で、均衡状態が生ずる位置で停止することとなる。
【0056】即ち、上記過程を繰り返す中で、セパレー
タプレート14aが第一の潤滑油排出孔51に非常に近
接し、第一の潤滑油排出孔51を半ば覆った状態となっ
た場合には、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から流出
しにくい状態となり、潤滑油室34内の潤滑油は上記遠
心油圧P3及びP5の中間圧となり、この中間圧、上記
リターンスプリング56の付勢力及び潤滑油圧の合計の
推力と、作動油側に発生した遠心油圧Pから生ずる推力
との間で均衡状態が保持されることとなる。
【0057】このピストン32が停止する位置は、クラ
ッチ33に圧接してはいないが、非常に近接した状態位
置にある。その結果、請求項7記載の発明にあっては、
エンジン回転数が所定回転数以下の場合には、上記のよ
うに、ピストン32はクラッチ33に圧接してはいない
が、非常に近接した状態位置にあるが、エンジン回転数
が高まり、入力軸10の回転数が所定回転以上に上昇
し、作動油側の遠心油圧が一定以上に増大した場合に
は、ピストン32はリターンスプリング56の付勢力、
潤滑油に発生している遠心油圧及び潤滑圧の合計から生
ずる入力軸10方向への推力に打ち勝ち、出力軸18方
向へ移動するため、ピストン32はクラッチ33を押圧
し、クラッチ33は自動的に係合する。
【0058】従って、請求項7記載の発明にあっては、
遠心クラッチに類似する作用を行わせることが可能とな
り、例えば、自動車の高速段用のクラッチとして使用し
た場合には、クラッチーツークラッチ変速の場合に、低
速段側のクラッチから高速段用側のクラッチへ変速する
際に、エンジン回転数が上昇した場合には、自動的に高
速段側のクラッチが係合することとなり、高速段側のク
ラッチ及び低速段側のクラッチの何れにも係合しない状
態において発生する、エンジンの急激な回転上昇の事態
を有効に防止することが可能となる。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態
に基づき、本発明に係るクラッチ装置を自動車の自動変
速機に適用した場合を例に詳細に説明する。なお、従来
と同一部材には同一番号を付してその説明を省略する。
図1は、本発明に係るクラッチ装置を示し、第一の実施
の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図、図2
は、本発明に係るクラッチ装置を示し、第一の実施の形
態に係るクラッチ装置の係合時及び非係合時における、
作動油及び潤滑油に発生する遠心油圧を示す断面図、図
3は、第二の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示
す断面図、図4は、本発明に係るクラッチ装置を示し、
第三の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面
図、図5は、本発明に係るクラッチ装置を示し、第四の
実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図、図
6は、従来のクラッチ装置を示す断面図である。
【0060】図1及び図2に示すように、本実施の形態
に係るクラッチ装置30は、自動車のエンジンの回転駆
動力を伝える入力軸10と出力軸18とを有し、油圧の
供給又は供給の停止によりピストン32を作動させてク
ラッチ33を係合させ又はクラッチ33の係合を解除
し、入力軸10の回転駆動力の出力軸18への伝達又は
伝達の停止を行うものであり、入力軸10の回転の際
に、上記ピストン32を作動させる作動油に発生する遠
心油圧及びクラッチ33に供給される潤滑油に発生する
遠心油圧により上記ピストン32を作動させて、クラッ
チ係合直前の状態位置にピストン32を配置させるよう
に構成されている。即ち、本実施の形態に係るクラッチ
装置30にあっては、上記潤滑油を排出しうる二つの潤
滑油排出口37,51が、異なる回転半径において設け
られ、一方の潤滑油排出孔51を開閉操作することによ
り異なる潤滑油流路が形成され、上記作動油に発生した
遠心油圧よりも高い遠心油圧及び上記作動油に発生した
遠心油圧よりも低い遠心油圧を交互に発生させ、発生し
た遠心油圧と作動油に発生する遠心油圧との間の差圧に
よりピストン32を入力軸10方向又は出力軸18方向
へ作動させ、上記高い遠心油圧と低い遠心油圧との間に
おいて形成される所定の遠心油圧により、作動油に発生
する遠心油圧との間の均衡状態を形成し、クラッチ係合
直前の状態位置にピストン32を配置させるように構成
されている。
【0061】上記クラッチ装置30にあっては、上記入
力軸10には、クラッチ33を内部に収容するハウジン
グ28を形成する外殻部材11が固定されると共に、軸
方向に沿って入力軸上10を摺動して上記クラッチ33
を係合させ又はクラッチ33の係合を解除させうるピス
トン32が設けられている。上記外殻部材11の出力軸
18側には、上記外殻部材11と共にハウジング28を
形成し、上記ピストン32がクラッチ33を係合させる
際には、ピストン32との間にクラッチ33を保持する
保持部50を有する蓋部材17が固定されている。
【0062】上記ピストン32の入力軸10側には、上
記外殻部材11との間に、上記ピストン32の作動油圧
を伝達する作動油が充填された油圧室21が設けられる
と共に、上記入力軸10が外周に回転可能に設けられた
固定部材44内には、入力軸10周面部に開設された油
圧供給孔23を介して上記油圧室21へ連通し、上記油
圧室へ21ピストン32の作動油圧を供給する油圧供給
路20が設けられている。
【0063】上記油圧室21の、ピストン32を挟んだ
出力軸18側には、上記クラッチ33の潤滑油が供給さ
れる潤滑油室34が形成されていると共に上記出力軸1
8内には、潤滑油室34内に潤滑油を供給する潤滑油供
給路19が設けられている。上記蓋部材17の肉厚に形
成されたクラッチ保持部50には、第一の潤滑油排出孔
51が設けられると共に上記蓋部材17の回転半径方向
における内方端部と出力軸18との間には第二の潤滑油
排出孔37が設けられている。
【0064】本実施の形態にあっては、上記第一の潤滑
油排出孔51は所定の同一径の円筒状孔部として形成さ
れ、上記第二の潤滑油排出孔37は出力軸18の外方側
部に設けられた溝部により形成されており、ベアリング
58と出力軸18との間に設けられている。このベアリ
ング58は、ボール16と、このボール16を抱持する
ベアリングインナーレース25及びベアリングアウター
レース24とにより形成されている。これらのベアリン
グインナーレース25及びベアリングアウターレース2
4の間には、ベアリングの内方側及び外方側にシール部
材36,36が配設され、ベアリングアウターレース2
4及びベアリングインナ−レース25の間から潤滑油が
流出しないように構成されている。
【0065】上記入力軸10は上記出力軸18よりも径
大に形成され、上記油圧供給孔23は上記第二の潤滑油
排出孔37よりも、回転半径方向において、軸心29か
ら外方の部位に設けられていると共に、第二の上記潤滑
油排出孔37とピストン32の外方端部40との間の間
隔寸法L2は、上記油圧供給孔23とピストン32の外
方端部40との間の間隔寸法Lよりも大きく形成されて
いる。
【0066】上記第一の潤滑油排出孔51は上記油圧供
給孔23よりも、回転半径方向において、軸心29から
外方の部位に設けられていると共に、上記第一の潤滑油
排出孔51とピストン32の外方端部40との間の間隔
寸法L1は、上記油圧供給孔23とピストン外方端部4
0との間の間隔寸法Lよりも小さく形成されている。ま
た、上記第一の潤滑油排出孔51は、クラッチ33の係
合時には閉状態となり、潤滑油が第二の潤滑油排出孔3
7から排出される潤滑油流路が形成されると共に、クラ
ッチ33の非係合時には開状態となり、潤滑油が第一の
潤滑油排出孔51から排出される潤滑油流路が形成され
るように構成されている。その他の構成は従来のクラッ
チ装置26と同一である。
【0067】以下、第一の実施の形態に係るクラッチ装
置30の作用について説明する。図2に示すように、本
実施の形態に係るクラッチ装置30にあっては、上述の
ように、クラッチ33の係合時に上記第一の潤滑油排出
孔51が閉状態となり、潤滑油が上記第二の潤滑油排出
孔37から排出される場合、油圧供給孔23とピストン
32の外方端部40との間Lに亘って作動油が油圧室2
1内に充填されている一方、潤滑室34内には第二の上
記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との
間L2に潤滑油が溜まっており、L<L2であるため、
作動油に発生する遠心油圧Pは潤滑油に発生する遠心油
圧P2よりも小さい。
【0068】一方、クラッチ33の非係合時に、上記第
一の潤滑油排出孔51が開状態となり、潤滑油が上記第
一の潤滑油排出孔51から排出される場合には、潤滑油
の貯留状態は、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン
32の外方端部40との間L2から第一の潤滑油排出孔
51とピストン32の外方端部40との間L1へと移行
する。
【0069】従って、この場合、L>L1であるため、
潤滑油に発生する遠心油圧P1は作動油に発生する遠心
油圧Pよりも小さい。この関係を以下、数式を用いて説
明する。図2に示すように、ピストン32に作用する作
動油圧の内、作動油に発生する遠心油圧をF(1)、潤
滑油が潤滑油室34内においてL2に亘って貯留された
際に発生する遠心油圧をF(3)、潤滑油が潤滑油室3
4内においてL1に亘って貯留された際に発生する遠心
油圧をF(2)とした場合、ピストン32に作用する遠
心油圧は、それぞれ、以下の式により表される。なお、
rd1は第一の潤滑油排出孔の回転半径、rd2は第二
の潤滑油排出孔の回転半径、rp1はピストンの回転半
径、rp2は、油圧供給孔の回転半径、rp3は入力軸
の回転半径、ρは、オイル密度、ωは回転数を表す。 遠心油圧F(1) F(1)=π/4ρω2(rp1 2−rp3 2)(rp1 2
rp3 2−2rp2 2) 遠心油圧F(2) F(2)=π/4ρω2(rp1 2−rp3 2)(rp1 2
rp3 2−2rd1 2) 遠心油圧F(3) F(3)=π/4ρω2(rp1 2−rp3 2)(rp1 2
rp3 2−2rd2 2) この場合、rd1>rp2>rd2 であることから、遠
心油圧F(1),遠心油圧F(2),及び遠心油圧F
(3)の間には、F(3)>F(1)>F(2)の関係
が成立する。
【0070】また、ピストン32に作用する作動油圧F
pは、以下のとおりである。なお、PL は油圧供給路2
0内の圧力を指す。 Fp=π(rp1 2−rp3 2)×PL 従って、ピストン32へ作用する出力軸18方向への推
力FR はF(1)+Fp であり、一方、ピストン32
へ作用する入力軸10方向への推力FLは、F(2)>
L>F(3)である。
【0071】従って、ピストン32は、上記 FR=FL
の関係が成立した時点で、ピストン32は停止するこ
ととなる。また、作動油圧の供給により、PL の値が大
きくなり、FR>FL となった場合には、ピストン32
はクラッチ33へ圧接し、クラッチ33は係合状態とな
る。
【0072】本実施の形態において、クラッチ33を係
合させる場合には、油圧制御バルブを開状態とし、上記
油圧供給路20を介して作動油圧を油圧室に供給し、ピ
ストン32を作動させる。ピストン32は作動油圧によ
り出力軸18方向へ押圧されて出力軸18方向へ前進
し、クラッチ33を押圧する。従って、クラッチ33は
クラッチ保持部50に押しつけられるため、セパレータ
プレート14の内、最も蓋部材17に近接して配置され
たセパレータプレート14aは、クラッチ保持部50の
内表面部に密接し、上記第一の潤滑油排出孔51はセパ
レータプレート14aにより閉塞された状態となる。
【0073】この状態で、入力軸10の回転駆動力はク
ラッチ33を介して出力軸18に伝達され、潤滑油は潤
滑油供給孔38から潤滑油室34内に流入し上記第二の
潤滑油排出孔37からクラッチ装置33外方へ排出さ
れ、潤滑油供給孔38から第二の潤滑油排出孔37へ至
る潤滑油の流路が形成され、上述のように、第二の上記
潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間
L2に潤滑油が貯留されており、L<L2であるため、
潤滑油に発生する遠心油圧P2は作動油に発生する遠心
油圧Pよりも大きい状態となっている。
【0074】一方、クラッチ33の係合を解除しようと
する際には、上記作動油圧の供給が減じられた場合、上
記作動油に発生しピストン32に対して出力軸18方向
に作用している遠心油圧Pよりも、潤滑油室34側にお
いて発生して入力軸10方向に作用する遠心油圧P2の
方が大きいことから、その差圧により発生する推力によ
りピストン32は押されて入力軸10方向へ後退し、ク
ラッチ33の接合は解除される。
【0075】そして、上記蓋部材17の内側面側に押圧
されていたセパレータプレート14aは、ピストン32
が後退した場合には、蓋部材17のクラッチ保持部50
から離間する。これにより、セパレータプレート14a
により閉塞されていた第一の潤滑油排出孔51が開口す
るため、クラッチ係合時には第二の潤滑油排出孔37か
らクラッチ装置30外部へ流出していた潤滑油は、上記
第一の潤滑油排出孔51からクラッチ装置30外方へ流
出するようになり、潤滑油供給孔38から第一の潤滑油
排出孔51へ至る新たな潤滑油の流路が形成される。
【0076】この場合、上述のように、潤滑室34内の
潤滑油の貯留状態は、第一の潤滑油排出孔51とピスト
ン32の外方端部40との間L1へと移行し、L>L1
であるため、潤滑油に発生する遠心油圧P1は作動油に
発生する遠心油圧Pよりも小さくなる。従って、上記の
ように、ピストン32が反出力軸18方向へ後退した場
合には、セパレータプレート14aが蓋部材17のクラ
ッチ保持部50の内側面から離間した場合のピストン3
2に対して入力軸10方向へ作用する遠心油圧P1は、
作動油側に発生した遠心油圧Pよりも小さくなるため、
ピストン32は再度、出力軸18方向へ前進する。
【0077】このピストン32の前進により再度クラッ
チ33が係合開始位置に配置される。セパレータプレー
ト14aが蓋部材17のクラッチ保持部50に当接した
場合には、上記第一の潤滑油排出孔51を再度閉塞し、
潤滑油は潤滑油排出孔37から排出されることとなり、
潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間
L2に潤滑油が溜まることとなる。
【0078】その結果、潤滑油側の遠心油圧P2の方が
再度、作動油側の遠心油圧Pよりも大きくなり、この差
圧により生ずる推力によりピストン32は入力軸10方
向へ押され、セパレータプレート14aはクラッチ保持
部50から離間し、第一の潤滑油排出孔51は開放さ
れ、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から排出され、潤
滑油側の遠心油圧は低下するため、ピストン32は出力
軸18方向へ移動する。
【0079】従って、ピストン32は、作動油に発生す
る遠心油圧Pによりピストン32に対して出力軸18方
向へ作用する推力F(1)、第一の潤滑油排出孔51か
ら流出する際の遠心油圧P1によりピストン32に対し
て入力軸10方向へ作用する推力F(2)、及び第二の
潤滑油排出孔37から流出する際の遠心油圧P2により
ピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力F
(3)との間で、均衡状態がとれる位置で停止すること
となる。
【0080】即ち、上記過程を繰り返す中で、セパレー
タプレート14aが第一の潤滑油排出孔51に非常に近
接し、第一の潤滑油排出孔51を半ば覆った状態となっ
た場合には、潤滑油は、第一の潤滑油排出孔51が完全
に開放されている場合よりも流出しにくい状態となり、
潤滑油室34内の潤滑油は上記遠心油圧P1及びP2の
略中間の遠心油圧を発生することとなり、作動油側に発
生した遠心油圧Pとの間で均衡状態が保持されることと
なる。
【0081】このようにしてピストン32が停止する位
置は、クラッチ33に圧接してはいないが、非常に近接
した状態位置にある。その結果、本実施の形態に係るク
ラッチ装置30にあっては、クラッチ33の潤滑油に高
低二種類の遠心油圧P2,P1を発生させ、作動油に発
生した遠心油圧Pとの間の差圧によりピストンを作動さ
せ、その結果、これら高低二種類の遠心油圧P2,P1
を発生させると共に、その中間の遠心油圧により作動油
側の遠心油圧Pとバランスさせてピストン32のクラッ
チ33への非接触近接状態を維持させることが可能とな
る。
【0082】その結果、本実施の形態に係るクラッチ装
置30にあっては、ピストン32の作動油に発生する遠
心油圧P及び潤滑油に発生する遠心油圧P1,P2を利
用して、ピストン32をクラッチ33の係合直前の状態
位置に配置させるものであるため、ファーストフィル制
御等の手段を施すことによる製造コストの上昇を来すこ
とがなく、また、スロットルアクチュエータを設けるこ
とによるエンジンの動力性能の低下を来すこともなく、
クラッチの応答制御性を向上させることができる。
【0083】また、潤滑油に発生する遠心油圧を利用し
てピストン32を入力軸10方向へ復帰させる様に構成
されているため、従来のようなリターンスプリングを配
設する必要がなく、クラッチ装置30の軸方向における
長さ寸法を低減することができ、クラッチ装置30の配
置の自由度を確保することが可能となる。その結果、ク
ラッチ装置30全体の大きさを低減することができ、ク
ラッチ装置30の構成部品点数を減少させることがで
き、製作コストを低減させることができる。
【0084】図3は本発明に係る第二の実施の形態に係
るクラッチ装置を示す。第二の実施の形態に係るクラッ
チ装置46にあっては、上記第一の潤滑油排出孔51に
は、クラッチ33をピストン32方向へ付勢するコイル
スプリング52が内装され、ピストン32が作動されク
ラッチ33を蓋部材17の保持部50に対して押圧した
際には、クラッチ33をピストン32方向へ付勢するよ
うに構成されている。
【0085】即ち、上記第一の潤滑油排出孔51は上記
実施の形態とは異なり、クラッチ保持部50の内側面部
側に設けられた大径部49と、この大径部49に連続す
る小径部54とにより構成され、上記大径部49には、
ピストン32のクラッチ33の押圧時にセパレータプレ
ート14aに圧接するコイルスプリング52が収納され
ている。他の構成は上記実施の形態に係るクラッチ装置
33と同様である。
【0086】従って、本実施の形態に係るクラッチ装置
46にあっては、クラッチ33の係合時に、ピストン3
2がクラッチ33を押圧し、セパレータプレート14a
がクラッチ保持部50に圧接した場合には、第一の潤滑
油排出孔51はオリフィスを形成するため、第一の潤滑
油排出孔51内の圧力は潤滑油圧よりも低くなるため、
クラッチ33の非係合時に、ピストン32が潤滑油に発
生する遠心油圧P2による推力F(3)により後退した
場合であっても、セパレータプレート14aが負圧によ
り蓋部材17のクラッチ保持部50に密着したままとな
り、潤滑油が第一の潤滑油排出孔51から流出しにく
い、という事態を有効に防止しうる。
【0087】即ち、本実施の形態に係るクラッチ装置4
6にあっては、第一の潤滑油排出孔51に内装されたコ
イルスプリング52によりセパレータプレート14aが
入力軸10方向へ押圧されるため、作動油圧によるピス
トン32の推力が解除された場合には、速やかに、セパ
レータプレート14aは蓋部材17から離間し、潤滑油
は確実に第一の潤滑油排出孔51から流出し始め、潤滑
油に発生する遠心油圧は低くなる。
【0088】その結果、本実施の形態に係るクラッチ装
置46にあっては、ピストン32の後退時には潤滑油は
第一の潤滑油排出孔51から速やかに流出し始め、高い
遠心油圧P2から低い遠心油圧P1に変化するため、ピ
ストン32を円滑に作動させることができ、ピストン3
2を確実に係合直前の状態位置へ移動させることが可能
となる。
【0089】また、上記コイルスプリング52が配設さ
れているため、クラッチ33の係合時には、コイルスプ
リング52の付勢力によりクラッチ33はピストン32
方向へ押圧されることとなりクラッチ33の係合力も安
定する。なお、上記弾性体52はコイルスプリングが好
ましいが、リーフスプリング等も採用しうる。クラッチ
33をピストン32方向へ付勢しうる部材であればよ
い。弾性体52を形成する素材は、金属には限定されな
い。
【0090】また、図4は本発明に係る第三の実施の形
態に係るクラッチ装置を示す。本実施の形態に係るクラ
ッチ装置47にあっては、上記コイルスプリング52が
配設された第一の潤滑油排出孔51の周囲には、クラッ
チ33の係合時における潤滑油の流出を防止しうるオイ
ルシール部材53が配設されている。即ち、上記第一の
潤滑油排出孔51の周囲には、凹部55が設けられ、こ
の凹部55内にはオイルシール部材53が配設されてお
り、クラッチ33の係合時にクラッチ33がピストン3
2により蓋部材17の保持部50に押圧された場合に、
上記オイルシール部材53がセパレータプレート14a
に圧接して第一の潤滑油排出孔51からの潤滑油の流出
を防止するように構成されている。他の構成は上記各実
施の形態の場合と同様である。
【0091】従って、本実施の形態に係るクラッチ装置
47にあっては、ピストン32より押圧してクラッチ3
3を係合する際には、セパレータプレート14aに上記
オイルシール部材53が密接するため第一の潤滑油排出
孔51は確実に閉塞され、第二の潤滑油排出孔37から
潤滑油は排出されるため、潤滑油には、第二の潤滑油排
出孔37及びピストン32の外方端部40との間で遠心
油圧P2が発生し、クラッチ33の係合解除の際には、
当初、遠心油圧P2により生ずる推力F(3)がピスト
ン32に作用するため、ピストン32は確実に後退動作
を開始する。
【0092】その結果、本実施の形態に係るクラッチ部
材47にあっては、クラッチ33の係合時におけるオイ
ルのシール性を向上させることができ、高圧の遠心油圧
P2を発生させることができるため、クラッチ33の係
合解除時には、ピストン32を移動させてクラッチ33
の近接位置に確実に配置することができる。図5は本発
明に係る第四の実施の形態に係るクラッチ装置を示す。
【0093】第四の実施の形態に係るクラッチ装置48
にあっては、上記入力軸10は上記出力軸18と略同径
に形成され、上記油圧供給孔23は上記第二の潤滑油排
出孔37よりも、回転半径方向において、軸心29に近
接した部位に設けられていると共に、上記油圧供給孔2
3とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法L3
は上記第二の潤滑油排出孔37とピストン32の外方端
部40との間の間隔寸法L5よりも大きく形成されてい
ると共に、上記入力軸10には上記ピストン32を油圧
室21方向へ付勢して、所定回転数以下で入力軸10が
回転した際に、作動油に発生する遠心油圧による出力軸
18方向への推力を、潤滑油側に発生する入力軸10方
向への推力と共に解消しうるリターンスプリング56が
配設されている。
【0094】このリターンスプリング56はコイルスプ
リングにより構成されており、入力軸10の出力軸18
側端部に支持部57を介して一端部が固定され、他端部
は上記ピストン32の出力軸18側側面部に当接するよ
うに構成されている。本実施の形態にあっては、上述の
ように、上記リターンスプリング56のバネ定数及びス
トロークは、入力軸10が所定回転数以下で回転した場
合に、作動油側に発生する遠心油圧を、潤滑油側に発生
する入力軸10方向への推力と共にキャンセルできる大
きさ及び長さに設定されている。
【0095】その結果、クラッチ33の係合を解除する
際には、作動油圧の供給が減じられることから、ピスト
ン32に対しては、油圧供給孔23とピストン32の端
部40との間L3に充填された作動油に、入力軸10が
所定回転数で回転することにより発生した遠心油圧によ
り出力軸18方向へ作用する推力のみが作用する。この
場合、クラッチ33の解除前においては、上記第一の潤
滑油排出孔51はセパレータプレート14aにより閉塞
された状態となっていることから、潤滑油供給孔38か
ら第二の潤滑油排出孔37へ至る潤滑油の流路が形成さ
れ、上述のように、第二の上記潤滑油排出孔37とピス
トン32の外方端部40との間L5に潤滑油が流れてお
り、L3>L5であるため、作動油に発生する遠心油圧
P4は潤滑油に発生する遠心油圧P3よりも大きい。
【0096】しかしながら、上述のように、上記潤滑油
の遠心油圧P3、潤滑圧及びリターンスプリング56の
付勢力の合計により生じ、ピストン32に対して入力軸
10方向へ作用する推力は、上記作動油に発生した遠心
油圧により生ずる出力軸18方向へ作用する推力よりも
上回るため、作動油に発生した遠心油圧により生ずる推
力P4はキャンセルされ、更に、ピストン32は押され
て入力軸10方向へ後退し、リターンスプリング56の
ストローク外へ至る。
【0097】そして、ピストン32の後退によりクラッ
チ33の係合が解除され、上記セパレータプレート14
aが蓋部材17のクラッチ保持部50から離間した場合
には、上記第一の潤滑油排出孔51が開口することか
ら、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から流出し始め、
潤滑油は、上記第一の潤滑油排出孔51とピストン32
の外方端部40との間L4のみに溜まり、この潤滑油に
は、第二の潤滑油排出孔37から潤滑油が流出していた
際に発生した遠心油圧よりも小さい遠心油圧P5が発生
する。
【0098】この場合、上記L3>L4であるため、作
動油に発生した遠心油圧P4から生ずる推力によりピス
トン32は出力軸18方向へ前進する。このピストン3
2の前進により、再度クラッチ33の係合開始位置に配
置され、クラッチプレート14aはクラッチ保持部50
へ接触し、第一の潤滑油排出孔51を閉塞し始めるた
め、潤滑油は第二の潤滑油排出孔37から流出するよう
になると共に、ピストン32はリターンスプリング56
のストローク内に至る。
【0099】この結果、第二の上記潤滑油排出孔37と
ピストン32の外方端部40との間L5に溜まった潤滑
油に発生する遠心油圧P3、リターンスプリング56の
付勢力及び潤滑油の潤滑圧が、再度ピストン32に作用
し、その合計の推力により、ピストン32は再度、入力
軸10方向へ後退するが、上記同様、クラッチプレート
14aが第一の潤滑油排出孔51を開放することから潤
滑油側の遠心油圧は低下するため、ピストン32は出力
軸18方向へ前進する。
【0100】このように、ピストン32は、作動油に発
生する遠心油圧P4によりピストン32に対して出力軸
18方向へ作用する推力、第一の潤滑油排出孔51から
流出する際の遠心油圧P5によりピストン32に対して
入力軸10方向へ作用する推力、第二の潤滑油排出孔3
7から流出する際の遠心油圧P3によりピストン32に
対して入力軸10方向へ作用する推力、上記リターンス
プリング56の付勢力及び潤滑油の潤滑圧から生ずる推
力との間で、均衡状態が生ずる位置で停止することとな
る。
【0101】即ち、上記過程を繰り返す中で、セパレー
タプレート14aが第一の潤滑油排出孔51に非常に近
接し、第一の潤滑油排出孔51を半ば覆った状態となっ
た場合には、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51からは、
完全に開放された状態の場合よりも流出しにくい状態と
なり、潤滑油室34内の潤滑油には上記遠心油圧P3及
びP5の略中間の遠心油圧が発生する。
【0102】従って、上記中間の遠心油圧と上記リター
ンスプリング56の付勢力と、更に、潤滑圧の合計から
生ずる推力と、作動油側に発生した遠心油圧P4から生
ずる推力との間で均衡状態が保持されることとなる。こ
のピストン32が停止する位置は、クラッチ33に圧接
してはいないが、非常に近接した状態位置にある。
【0103】その結果、本実施の形態に係るクラッチ4
8にあっては、エンジン回転数が所定回転数以下の場合
には、上記のように、ピストン32はクラッチ33に圧
接してはいないが、非常に近接した状態位置にあり、エ
ンジン回転数が高まり、入力軸10の回転数が所定回転
以上に上昇し、作動油側の遠心油圧が一定以上に増大し
た場合には、ピストン32はリターンスプリング56の
付勢力、潤滑油に発生している遠心油圧及び潤滑圧の合
計から生ずる入力軸10方向への推力に打ち勝ち、出力
軸18方向へ移動するため、ピストン32はクラッチ3
3を押圧し、クラッチ33は自動的に係合する。
【0104】以下に、以上の状態を数式で表す。なお、
r1は油圧供給孔の回転半径、r2は第二の潤滑油排出
孔の回転半径、r3は入力軸の回転半径、r4はピスト
ンの回転半径、r6は第一の潤滑油排出孔の回転半径を
表す。クラッチ33が係合している場合には、ピストン
32に対して出力軸18方向へ作用する推力Fp0は以
下のとおりである。
【0105】FP0=Pa×Sp−π/2ρω2(r1 2
2 2)(r4 2−r3 2)−ks・x この場合、Ksはリターンスプリング56のバネ定数、
Xは同様にストローク代を表す。そして、r2>r1
あるため、π/2ρω2(r1 2−r2 2)(r4 2−r3 2
<0 となる。即ち、上記ピストン32にはリターンス
プリング56が設けられ、常時、反出力軸18方向へ付
勢されているため、 として形成することがで
き、リターンスプリング56は作動油に発生する遠心油
圧をキャンセルしうるキャンセラーとして機能するもの
である。
【0106】一方、クラッチ33が非係合状態にある場
合には、ピストン32に対して出力軸18方向へ作用す
る推力 Fp0 は以下のとおりである。この場合、作動
油圧の供給は無くなるため、 となり、L
5の間に貯留されていた潤滑油に発生した遠心油圧、上
記リターンスプリング56の付勢力等の合計により生じ
た推力によりピストン32は入力軸10方向へ後退し、
セパレータプレート14aは潤滑油排出口51を開放す
るため、以下の式が成立する。なお、この場合、ω=N
e(エンジン回転数)である。
【0107】 FP0=−π/2ρω2(r1 2−r6 2)(r4 2−r3 2)−ks・x =π/2ρω2(r6 2−r1 2)(r4 2−r3 2)−ks・x そして、 r6 を適宜決定することにより、ω2 の変
化により、例えば、ω2 の値が小さい場合には、FP0
<0 となり、ω2 =ks・x/[π/2ρ(r6 2
1 2)(r4 2−r3 2)]の場合には、FP0=0 とな
る。
【0108】また、ω2 の値が大きい場合には、FP0
0 となる。従って、ω2 の値が大きくなる場合には、
P0>0 となり、ピストン32は出力軸18方向へ推
され、クラッチ33は係合する。その結果、エンジン回
転数が大きくなった場合には、クラッチ33は自動的に
係合する。
【0109】従って、本実施の形態に係るクラッチ装置
48にあっては、遠心クラッチに類似する作用を行わせ
ることが可能となり、例えば、自動車の高速段用のクラ
ッチとして使用した場合には、クラッチーツークラッチ
変速の場合に、低速段側のクラッチから高速段用側のク
ラッチへ変速する際に、エンジン回転数が上昇した場合
には、自動的に高速段側のクラッチが係合することとな
り、高速段側のクラッチ及び低速段側のクラッチの何れ
にも係合しない状態において発生する、エンジンの急激
な回転上昇の事態を有効に防止することが可能となる。
【0110】上記各実施の形態において、上記第一の潤
滑油排出孔51は発生する遠心油圧P3,P5,P4の
大きさとの関係で、適宜部位に開設し、ピストン32の
クラッチ33に対する、適宜の非係合近接位置を形成す
ることができる。その結果、第一の潤滑油排出孔51を
適宜の部位に開設することにより、自動変速機を搭載し
た自動車に発進時において発生する、いわゆる、クリー
プ現象を、個体差無く、可及的に一定に制御することが
可能となる。
【0111】なお、上記各実施の形態にあっては、第一
の潤滑油排出孔51をクラッチ33を構成するセパレー
タプレート14aにより開閉操作することにより、潤滑
油の流路を変更することにより、遠心油圧の大きさを制
御する場合を例に説明したが、上記実施の形態に限定さ
れず、他の手段を別個設けても良い。また、上記クラッ
チ装置30及び41を、自動車に搭載する自動変速機に
適用した場合を例に説明した。
【0112】しかしながら、上記各実施の形態に限定さ
れず、自動車に搭載される自動変速機以外にも本発明を
適用することは可能である。
【0113】
【発明の効果】請求項1及び2記載の発明にあっては、
製造コストを嵩ませることがないと共にエンジンの出力
性能を低下させることなく、クラッチの応答制御性を向
上させることが可能となる。請求項3記載の発明にあっ
ては、請求項1及び2記載の発明の効果に加えて、自動
車に搭載される自動変速機のクラッチ装置において、ク
ラッチの応答制御性を向上させる点にある。
【0114】請求項4記載の発明にあっては、請求項3
記載の発明の効果に加えて、クラッチの潤滑油に高低二
種類の遠心油圧を発生させ、作動油に発生した遠心油圧
との間の差圧による推力を作用させてピストンを作動さ
せ、ピストンのクラッチへの近接状態を維持させること
ができる。請求項5記載の発明にあっては、請求項4記
載の発明の効果に加えて、潤滑油において低い遠心油圧
をより確実に発生させることができる。
【0115】請求項6記載の発明にあっては、請求項4
記載の発明の効果に加えて、クラッチ係合時に潤滑油の
流出を防止することができる。請求項7記載の発明の技
術的課題は、請求項4記載の発明の効果に加えて、自動
車の自動変速機の変速時に、クラッチが係合しない状態
により発生する、エンジンの急激な回転の上昇を有効に
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るクラッチ装置を示し、第一の実
施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図であ
る。
【図2】本発明に係るクラッチ装置を示し、第一の実施
の形態に係るクラッチ装置の係合時及び非係合時におけ
る、作動油及び潤滑油に発生する遠心油圧の状態を示す
断面図である。
【図3】 本発明に係るクラッチ装置を示し、第二の実
施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図であ
る。
【図4】 本発明に係るクラッチ装置を示し、第三の実
施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図であ
る。
【図5】 本発明に係るクラッチ装置を示し、第四の実
施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図であ
る。
【図6】 従来のクラッチ装置の構造を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10 入力軸 11 外殻部
材 12 ピストン 13 リター
ンスプリング 14 セパレータプレート 15 クラッ
チディスク 16 ボール 17 蓋部材 18 出力軸 19 潤滑油
供給路 20 油圧供給路 21 油圧室 22 スナップリング 23 油圧供
給孔 24 ベアリングアウターレース 25 ベアリ
ングインナーレース 26 クラッチ装置 27 クラッ
チ 28 ハウジング 29 軸心 30 クラッチ装置 32 ピスト
ン 33 クラッチ 34 潤滑油
室 36 シール部材 37 第二の
潤滑油排出孔 38 潤滑油供給孔 39 フラン
ジ部 40 外方端部 41 クラッ
チ装置 42 作動油排出孔 43 ピスト
ン 44 固定部材 45 シール
部材 46 クラッチ装置 47 クラッ
チ装置 48 クラッチ装置 49 大径部 50 クラッチ保持部 51 第一の
潤滑油排出孔 52 弾性体(コイルスプリング) 53 オイル
シール材 54 小径部 55 凹部 56 リターンスプリング 57 支持部 58 ベアリング L 油圧供給孔とピストンの外方端部との間(間隔寸
法) L1 第一の潤滑油排出孔とピストンの外方端部との間
(間隔寸法) L2 第二の潤滑油排出孔とピストンの回転半径方向に
おける外方端部との間(間隔寸法) L3 油圧供給孔とピストンの外方端部との間(間隔寸
法) L4 第一の潤滑油排出孔とピストンの外方端部との間
(間隔寸法) L5 第二の潤滑油排出孔とピストンの回転半径方向に
おける外方端部との間(間隔寸法) P 油圧室内の作動油に発生する遠心油圧 P1 第一の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間に
おいて潤滑油室内に溜まった潤滑油に生ずる遠心油圧 P2 第二の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間に
おいて潤滑油室内に溜まった潤滑油に生ずる遠心油圧 P3 第二の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間に
おいて潤滑油室内に溜まった潤滑油に生ずる遠心油圧 P4 油圧室内の作動油に発生する遠心油圧 P5 第一の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間に
おいて潤滑油室内に溜まった潤滑油に生ずる遠心油圧 F(1) 油圧室内の作動油に発生する遠心油圧によ
り、ピストンに対して出力軸方向へ作用する推力 F(2) 第一の潤滑油排出孔とピストン外方端部との
間に溜まる潤滑油に生ずる遠心油圧により、ピストンに
対して入力軸方向へ作用する推力 F(3) 第二の潤滑油排出孔とピストン外方端部との
間に溜まる潤滑油に生ずる遠心油圧により、ピストンに
対して入力軸方向へ作用する推力 rd1 第一の潤滑油排出孔の回転半径 rd2 第二の潤滑油排出孔の回転半径 rp1 ピストンの回転半径 rp2 油圧供給孔の回転半径 rp3 入力軸の回転半径 r1 油圧供給孔の回転半径 r2 第二の潤滑油排出孔の回転半径 r3 入力軸の回転半径 r4 ピストンの回転半径 r6 第一の潤滑油排出孔の回転半径

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸と出力軸とを有し、油圧の供給又
    は供給の停止によりピストンを作動させてクラッチを係
    合させ又はクラッチの係合を解除し、入力軸の回転駆動
    力の出力軸への伝達又は伝達の停止を行うクラッチ装置
    において、 入力軸の回転の際に上記ピストンを作動させる作動油に
    発生する遠心油圧及び上記クラッチを潤滑するために供
    給される油に発生する遠心油圧により上記ピストンを作
    動させて、クラッチ係合直前の状態位置にピストンを配
    置させることを特徴とするクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 クラッチを潤滑するために供給される上
    記油は潤滑油であって、この潤滑油を排出しうる二つの
    孔部が、異なる回転半径位置において設けられ、一方の
    孔部を開閉操作することにより異なる潤滑油流路が形成
    され、上記作動油に発生した遠心油圧よりも高い遠心油
    圧及び上記作動油に発生した遠心油圧よりも低い遠心油
    圧を潤滑油に交互に発生させて、潤滑油に発生した遠心
    油圧と作動油に発生する遠心油圧との間の差圧によりピ
    ストンを入力軸方向又は出力軸方向へ作動させ、 上記高い遠心油圧と低い遠心油圧との間において形成さ
    れる所定の遠心油圧により、作動油に発生する遠心油圧
    との間の均衡状態を形成し、クラッチ係合直前の状態位
    置にピストンを配置させることを特徴とする請求項1記
    載のクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 上記クラッチ装置は自動車の自動変速機
    内に設けられ、自動車のエンジンの回転駆動力を伝える
    入力軸と、入力軸の回転駆動力がクラッチを介して伝達
    される出力軸とを有し、 上記入力軸には、クラッチを内部に収容するハウジング
    を形成する外殻部材が固定されると共に、軸方向に沿っ
    て入力軸上を摺動して上記クラッチを係合させ又はクラ
    ッチの係合を解除させうるピストンが設けられ、 上記外殻部材の出力軸側には、上記外殻部材と共にハウ
    ジングを形成し、上記ピストンがクラッチを係合させる
    際には、ピストンとの間にクラッチを保持する保持部を
    有する蓋部材が固定され、 上記ピストンの入力軸側には、上記外殻部材との間に、
    上記ピストンの作動油圧を伝達する作動油が充填された
    油圧室が設けられると共に、入力軸周面部に開設された
    油圧供給孔を介して上記油圧室へ連通し、上記油圧室へ
    ピストンの作動油圧を供給する油圧供給路が設けられ、 上記ピストンの出力軸側には、上記クラッチの潤滑油が
    供給される潤滑油室が形成されていると共に、上記出力
    軸内には潤滑油室に潤滑油を供給する潤滑油供給路が設
    けられ、 上記クラッチは、上記外殻部材に軸方向に沿って移動可
    能に固定された複数のセパレータプレートと、出力軸に
    対して軸方向に移動可能に嵌合されると共に上記セパレ
    ータプレートの間に配設された複数のクラッチディスク
    とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は
    2記載のクラッチ装置。
  4. 【請求項4】 上記蓋部材のクラッチの保持部には、第
    一の潤滑油排出孔が設けられると共に上記蓋部材の回転
    半径方向における内方端部と出力軸との間には第二の潤
    滑油排出孔が設けられ、 上記入力軸は上記出力軸よりも径大に形成され、上記油
    圧供給孔は上記第二の潤滑油排出孔よりも、回転半径方
    向において、軸心から外方の部位に設けられていると共
    に上記第一の潤滑油排出孔は上記油圧供給孔よりも、回
    転半径方向において、軸心から外方の部位に設けられて
    おり、 上記第一の潤滑油排出孔は、クラッチの係合時には閉状
    態となり、潤滑油が第二の潤滑油排出孔から排出される
    潤滑油流路が形成されると共に、クラッチの非係合時に
    は開状態となり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔から排出
    される潤滑油流路が形成されることを特徴とする請求項
    3記載のクラッチ装置。
  5. 【請求項5】 上記第一の潤滑油排出孔には、クラッチ
    をピストン方向へ付勢する弾性体が内装され、ピストン
    が作動されてクラッチを蓋部材の保持部に対して押圧し
    た際には、クラッチをピストン方向へ付勢するように構
    成されていることを特徴とする請求項4記載のクラッチ
    装置。
  6. 【請求項6】 上記第一の潤滑油排出孔には、クラッチ
    係合時における潤滑油の流出を防止しうるオイルシール
    部材が配設されていることを特徴とする請求項4記載の
    クラッチ装置。
  7. 【請求項7】 上記入力軸は上記出力軸と略同径に形成
    され、上記油圧供給孔は上記第二の潤滑油排出孔より
    も、回転半径方向において、軸心に近接した部位に設け
    られていると共に、上記油圧供給孔とピストン外方端部
    との間の間隔寸法は上記第二の潤滑油排出孔とピストン
    外方端部との間の間隔寸法よりも大きく形成されてお
    り、上記入力軸には上記ピストンを油圧室方向へ付勢
    し、入力軸が所定回転数以下で回転した際に、作動油に
    発生する遠心油圧による出力軸方向への推力を、潤滑油
    側に発生する入力軸方向への推力と共に解消しうるリタ
    ーンスプリングが配設されていることを特徴とする請求
    項4記載のクラッチ装置。
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