JP3674930B2 - 自動変速機用油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動変速機の変速機構を油圧で変速制御する自動変速機用油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用等に多く利用されている自動変速機は、回転駆動力を負荷に応じスムーズに伝達するため、油圧弁により油圧を調節し各摩擦係合装置を制御して変速制御を行っている。変速制御は、乗員によりある程度任意のギア位置を選択するセレクトレバーによる手動操作と、エンジンのスロットル開度や車速などからエンジン制御コンピュータにより適正なギア比になるように摩擦係合装置を決定する自動制御とにより行われる。回動駆動力を負荷に応じスムーズに伝達するため、複数の油圧弁、アキュムレータ、電磁弁等を用いた油圧回路で自動変速機の個々の摩擦係合装置の油圧を制御することにより変速制御を実現している。このような構成では、自動変速機内の摩擦係合装置の数だけ油圧弁が必要になるため、装置が大型化して多くの部品を必要とするとともに、装置が複雑で製造コストが高いという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するため、複数の油圧弁を一箇所にまとめた集積弁により、装置の小型、軽量、簡素化を図ることが考えられる。このものでは、エンジン制御コンピュータのフェイルシステム等により、電子制御の自動制御機能が故障しても乗員がセレクトレバーを操作することによって、前進や後退の選択や、ある程度、前進時の変速段の選択を行えるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の集積弁により自動変速を制御する油圧制御装置として油圧弁にスプール弁を用いるものでは、次に列挙する問題点がある。
▲1▼カムシャフトの軸方向または回転方向への移動に伴いスプール弁を押上げるピンがカムシャフトに形成されるカム山を登る際、ピンがカム山に引っ掛かり易くピンの摺動を妨げるおそれがある。
【0005】
▲2▼スプール弁を駆動する力を軽減させるためスプール弁端部に設けられる一つの連通孔では、スプール弁端部のスペースの都合上、大径孔にしても必要な開口面積が得られないことから、スプール弁を駆動する力を十分に低減できない。
▲3▼スプール弁とスプール弁が摺動する円筒孔との間に漏れる油によって生じる圧力アンバランスを解消するためスプール弁の外周に設けられる環状溝によって、スプール弁により閉じられる油圧連通路間のシール長が短くなることから油圧連通路間の油の漏洩量が増加する。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、スプール弁の駆動力を低減させ、部品点数の少ない小型化可能な自動変速機用油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
また、本発明の請求項1記載の自動変速機用油圧制御装置は、自動変速機に設けられる複数の摩擦締結要素に加わる油圧を複数の油圧弁で切換え制御し、前記複数の摩擦締結要素の係合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制御する自動変速機用油圧制御装置であって、
前記複数の摩擦締結要素の各摩擦締結要素に加わる油圧を切換える複数の油圧弁を有する集積弁と、
前記複数の油圧弁に駆動力を伝達する動力伝達部材と、
自動制御により前記動力伝達部材を駆動制御する自動切換え手段と、
手動操作により前記動力伝達部材を駆動制御する手動切換え手段とを備え、
前記油圧弁は、ライン圧ポート、制御圧ポート、及び一つに合流する少なくとも2つの連通ポートを有し、両端がドレン圧に連通しており、前記連通ポートの一方を他のポートに連通させない状態で前記連通ポートの他方を前記ライン圧ポート又は前記制御圧ポートに選択的に連通することで前記連通ポートをライン圧又は制御圧とし、前記他方を他のポートに連通させない状態で前記一方を当該油圧弁の片端と連通することで前記連通ポートをドレン圧とすることを特徴とする。
【0009】
さらに、衣発明の請求項2記載の自動変速機用油圧制御装置は、自動変速機に設けられる複数の摩擦締結要素に加わる油圧を複数の油圧弁で切換え制御し、前記複数の摩擦締結要素の係合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制御する自動変速機用油圧制御装置であって、
前記複数の摩擦締結要素の各摩擦締結要素に加わる油圧を切換える複数のスプール弁を有する集積弁と、
前記複数のスプール弁に駆動力を伝達する動力伝達部材と、
自動制御により前記動力伝達部材を駆動制御する自動切換え手段と、
手動操作により前記動力伝達部材を駆動制御する手動切換え手段と、
前記スプール弁の外周面に周方向に形成される溝と、
前記集積弁の弁ハウジングに形成される油圧用の複数のポートであって、前記スプール弁の入力ポートに選択的に連通可能な複数のポートとを備え、
前記複数のポートのいずれか一個のポートと前記スプール弁の前記入力ポートとの連通時、前記溝は前記複数のポートの他のポート内にのみ配置されていることを特徴とする。
【0010】
さらにまた、本発明の諸求項3記載の自動変速機用油圧制御装置は、自動変速機に設けられる複数の摩擦締結要素に加わる油圧を複数の油圧弁で切換え制御し、前記複数の摩擦締結要素の係合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制御する自動変速機用油圧制御装置であって、
前記複数の摩擦締結要素の各摩擦締結要素に加わる油圧を切換える複数の油圧弁を有する集積弁と、
前記複数の油圧弁に駆動力を伝達するカムと、
自動制御により前記カムを駆動制御する自動切換え手段と、
手動操作により前記カムを前記自動制御によるカムの変位方向とは異なる方向に駆動制御する手動切換え手段と、
前記カムのカム面に前記油圧弁を押圧する方向に付勢する付勢手段と、
前記カムに当接するボールであって、前記カムの変位量を前記油圧弁に伝達するボールとを備えたことを特徴とする自動変速機用油圧制御装置。
【0011】
【作用および発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1記載の自動変速機用油圧制御装置によると、油圧弁は両端がドレン圧に連通しており、油圧弁により一方の連通ポートを閉じて他方の連通ポートをライン圧ポート又は制御圧ポートに選択的に連通することで連通ポートをライン圧または制御圧とし、他方の連通ポートを閉じて一方の連通ポートを油圧弁の片端と連通することで連通ポートをドレン圧とするように構成した。これにより、油圧弁の応答性を向上させ、また油圧弁の駆動力を低減する効果がある。
【0013】
本発明の請求項2記載の自動変速機用油圧制御装置によると、スプール弁の入力ポートと弁ハウジングに形成される複数のポートのいずれか一個のポートとの連通時、スプール弁の外周面に周方向に形成される溝が複数のポートの他のポート内に位置するように配置されていることから、複数のポート間の油の漏洩量を増やすことなく、圧力アンバランスを解消可能にする効果がある。
【0014】
本発明の請求項3記載の自動変速機用油圧制御装置によると、複数の油圧弁を切換えるカムと油圧弁との間にボールが位置することから、ボールがカム面を回転しながら油圧弁を押上げ、ボールとカム面との摩擦力の低減させる効果がある。また、ボールとカム面との摩擦力が低減されることから、カムを駆動させる駆動力を低減させる効果がある。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の自動変速機用油圧制御装置を車両用の自動変速機(以下「AT」という)に適用したシステム構成を図3に示す。図3において、EVは電磁弁を表し、MVは集積弁を表す。
【0016】
車両用ATの動作は、周知のように自動または手動でトランスミッション300内のギヤ接続が切換えられ、トルクコンバータ200に接続された図示しないエンジンからの回転力が車両の後輪または前輪に伝達される。集積弁60とその周辺装置全体は、トランスミッション300下部のAT内部の図示しないオイルパン内部にあり、オイルパン内部の油圧制御装置400の周囲は油圧回路のドレンになっている。
【0017】
トランスミッション300内には、エンジンの回転軸に直結して回転駆動される公知の油圧ポンプ56が設けられており、各油圧装置からオイルパン等に排出された駆動油を吸入ポート57より吸入し、ライン圧制御弁64を介し各装置へ圧油を供給している。この油圧ポンプ56からの圧油は、変動のある高ポンプ油圧であり、電磁制御式圧力制御弁であるライン圧制御弁64により一定の高圧なライン圧に制御し各油圧機器へ供給される。油圧制御装置400には2つの係合油圧制御弁61、62が設けられており、トランスミッション300内にある後述する各摩擦係合装置の係合時に必要な所定の制御圧にライン圧制御弁64から供給される圧油のライン圧を任意に制御して集積弁60に圧油を供給している。
【0018】
集積弁60に供給されたライン圧または制御圧の圧油は、図1に示す各スプール弁2、3、4、5、6、7、8を介し、連通ポート39、40、41、42、43、44、45よりトランスミッション300内の摩擦係合装置である多板クラッチ類C0、C1、C2や多板ブレーキ類B0、B1、B2、B3に供給されている。各摩擦係合装置は、トランスミッション300内にある図示しないプラネタリギア等の各変速比を構成するギアに連結されており、これら摩擦係合装置を係合または解除することにより、変速比を切換えて車両の変速制御を行っている。
【0019】
連結部11は、操作者が手動で前進、後退、ニュートラル、パーキング等、車両の駆動状態を操作するセレクトレバー500と機械的に接続されている。ライン圧制御弁64から供給された圧油は、さらにトルクコンバータ200のロックアップ(L/U)スリップ制御を行うため、ロックアップ油圧制御弁65を介しトルクコンバータ200に供給される。
【0020】
次に集積弁60の構成について説明する。図1および図2に示すように、ハウジング28のほぼ中央に設けられた窪み58内に円柱状の例えばアルミニウムを材料とするカムシャフト1が設けられており、このカムシャフト1は軸受9、29に対し回転可能かつ軸方向に往復動可能に支持されている。軸受9、29は、例えば滑り軸受、玉軸受、コロ軸受や転がり軸受等を用いるのが良好である。軸受9はハウジング28の一端に圧入固定され、また軸受29はハウジング28の他端に取付けられたサイドハジング30に圧入固定されている。円柱状のカムシャフト1の主要部分の外周面には各スプール弁2、3、4、5、6、7、8を駆動するカムとして凹凸が形成されている。このカムシャフト1の凹凸は、後述するように、例えばスプール弁2とカムシャフト1との間に位置しスプール弁2を押上げるピン14がカムシャフト1の外周面と接する位置において多少の位置ずれを許容する形状に形成され、またカムシャフト1の外周面をピン14がスムーズに摺動可能な形状に形成されている。また、各スプール弁2、3、4、5、6、7、8それぞれに対応するカムシャフト1の凹凸の高さをそれぞれ等しくすることにより、7つのスプール弁を構成する各部材を共通にすることが可能になりコトトの低減が図れる。
【0021】
カムシャフト1の軸受9近傍の円周面にカム面の反対側のスプール弁6、7、8側に、所定の円弧幅で所定の軸方向長さのギア歯53が形成されている。ギア歯53に対抗する位置にカムシャフト1の軸方向と平行な回転軸を有するステップモータ12が固定されている。ステップモータ12のシャフトには図示しない渦巻き状のリターンスプリングの一端が固定され、他端はステップモータ12のハウジングに固定されている。このリターンスプリングは、ステップモータ12の駆動制御に異常が発生した場合、図3に示すAT用ECU70がステップモータ12をフリーの状態にするため、リターンスプリングの復元力によりカムシャフト1をフェイルセーフ位置、例えば4速モード位置にシフトする役割を果たしている。
【0022】
軸受9、29はカムシャフト1を回転自在かつ軸方向に平行移動自在に支持する。カムシャフト1の軸受9側の端部には、外部に設けられた図3に示すセレクトレバー500と図示しないリンクを介し機械的に連結されている連結部11が設けられており、操作者がセレクトレバー500を操作することにより、連結部11はセレクトレバー500に連動しカムシャフト1を軸方向に駆動する。
【0023】
カムシャフト1の円周面の一部には、モータのギア13中間のギア52を介してかみ合うギア53を有し、ステップモータ12の回転駆動により、カム1が回転する。この時にステップモータ12の回転を減速するようなギア比で設定し、トルク増幅する減速機構を設けることで、ステップモータ12の負荷を軽減し、ステップモータ12を小型化することが可能である。
【0024】
図1および図2に示すように、油路を切換えるスプール弁2、3、4、5、6、7、8(以下「スプール弁SP」と総称する)は、カムシャフト1の軸に垂直な方向でカムシャフト1の両側に並んで配置されている。スプール弁SPは、それぞれハウジング28に設けられた円筒孔28a、28b、28c、28d、28e、28f、28gを軸方向に摺動可能に挿入されている。
【0025】
ハウジング28に設けられたライン圧ポート35、37には、それぞれライン圧連通路46、51が接続されることから、図1に示すライン圧制御弁64を介してライン圧ポート35、37に高圧油であるライン圧が供給される。ライン圧連通路46はスプール弁2、3、4、5が挿入されるハウジング28の円筒孔28d、28c、28b、28aにそれぞれライン圧を供給するように設けられており、ライン圧連通路51はスプール弁6、7、8が挿入されるハウジング28の円筒孔28g、28f、28eにそれぞれライン圧を供給するように設けられている。
【0026】
また、ハウジング28内には、圧力調整された係合油圧(または制御圧)が供給される圧力制御ポート36、38が設けられ、この圧力制御ポート36、38には、ライン圧連通路46、51と平行に設けられた制御圧連通路47、50が接続されている。制御圧連通路47、50は、ライン圧連通路46、51と同様、各スプール弁SPに連通可能である。圧力制御ポート36、38はサイドハウジング30内で互いに連通していないため、係合油圧制御弁61を介して圧力制御ポート36に供給される係合油圧は、制御圧連通路47に連通可能なスプール弁2、3、4、5に供給され、係合油圧制御弁62を介して圧力制御ポート38に供給される係合油圧は、制御圧連通路50に連通可能なスプール弁6、7、8に供給される。
【0027】
さらに、ハウジング28内には、ハウジング28の外部に設けられた図示しないドレンに連通するドレンポート54、55と接続されたドレン圧連通路48、49が制御圧連通路47、50と平行に設けられている。
次に、スプール弁5を例にしスプール弁SPの構造を説明する。他のスプール弁はスプール弁5と同一の構成である。
【0028】
図4に示すように、スプール弁5は有底の円筒形からなり、スプール弁5の外側面の周囲中央部付近に形成される環状の溝5aと、スプール弁5の内部に形成される円柱形状の内円筒部5cと、この内円筒部5cと溝5aとを連通するように形成される穴部5bとを有している。そして、スプール弁5が円筒孔28a内をスライドしたとき、スライド位置によってこの穴部5bが円筒孔28aに連通するそれぞれのライン圧連通路46、制御圧連通路47、ドレン圧連通路48と連通するようなっている。同様に、他のスプール弁2、3、4、6、7、8に形成される図示しない穴部は各円筒孔28b、28c、28d、28e、28f、28gに連通するライン圧連通路46および51、制御圧連通路47および50、ドレン圧連通路48および49と連通している。スプール弁5内に形成された内円筒部5cはその一端が開口しており、ポートケース32に設けられた連通ポート42に連通している。同様に、他のスプール弁2、3、4、6、7、8内に形成された内円筒部2c、3c、4c、6c、7c、8cはポートケース31、32に設けられた連通ポート39、40、41、43、44、45にそれぞれ連通している。
【0029】
そしてカムシャフト1と各スプール弁SPの未開口側底部の端面(図4に示すスプール弁5では5dで表されている)との間に、カムシャフト1の軸の垂直方向に摺動可能にピン14、15、16、17、18、19、20がハウジング28に嵌挿され、カムシャフト1のカムの動きを各スプール弁SPに伝えている。カムシャフト1の動きに従って、スプール弁SPが各円筒孔28a、28b、28c、28d、29e、28f、28g内をスムーズにスライドするように、ピン14、15、16、17、18、19、20が当たるスプール弁SPの各未開口側に圧力抜きの小穴(図5および図6に示すスプール弁5では5eで表されている)が3箇所に設けられている。
【0030】
図5および図6に示すように、スプール弁5に設けられる小穴5eは、底面5fの外周に接する内周を有し、かつ底面5eから径方向外側に向って底壁5gを貫通している。同様に、他のスプール弁2、3、4、6、7、8には小穴2e、3e、4e、6e、7e、8eが形成されている。この小穴2e、3e、4e、5e、6e、7e、8eによりスプール弁SP内に満たされる油を低圧の窪み58に逃がすことから、スプール弁SP内の油圧による圧力と、スプール弁未開口側底部の面に働く油圧とをバランスさせることが可能になり、スプール弁SPを駆動するための力が軽減される。小穴2e、3e、4e、5e、6e、7e、8eが形成される箇所は、3箇所に限られることはなく、スプール弁SP内の油圧による圧力とスプール弁未開口側底部の面に働く油圧とのバランスの具合により複数箇所に設けても良い。
【0031】
スプール弁SPは全て、スプリング21、22、23、24、25、26、27によってピン14、15、16、17、18、19、20とともにカムシャフト1側に押し付けられ、ポートケース31、32によって外部に飛び出さないように円筒孔28a、28b、28c、28d、28e、28f、28gに封止されている。
【0032】
図6および図7に示すように、スプール弁5の外周壁には環状溝5h、5iが形成されている。この環状溝5h、5iは、スプール弁5の外周壁と円筒孔28aの内周壁との隙間を通って流れる油のアンバランスによって起こるハイドロリックロックを解消するためのものである。この環状溝を形成する位置は次のようにして決定される。
【0033】
例えば図7(a) に示すように、円筒孔28aに開口するライン圧連通路46とスプール弁5の溝5aとが連通する位置にスプール弁5が停止するとき、環状溝5hが制御圧連通路47内に位置するように環状溝5hの位置が決められ、また環状溝5iがドレン圧連通路48内に位置するよう環状溝5iの位置が決められている。
【0034】
このようにして位置決めされた環状溝5h、5iは、ライン圧連通路46と制御圧連通路47との間隔および制御圧連通路47とドレン圧連通路48との間隔がほぼ等しいことから、スプール弁5が制御圧連通路47と溝5aとが連通する位置に移動した場合、環状溝5hがドレン圧連通路48内に位置する。したがって、図7(b) に示すようなスプール弁5が円筒孔28a内を移動する途中を除いては、環状溝5h、5iがライン圧連通路46、制御圧連通路47、ドレン圧連通路48のいずれかに開口部に位置することになる。つまり、スプール弁5が停止しているとき、ライン圧連通路46、制御圧連通路47、ドレン圧連通路48のいずれか2つを閉じるスプール弁5の外周壁には環状溝5h、5iが形成されていないことから、スプール弁5の外周壁に環状溝5h、5iを形成したにもかかわらず、隣合う連通路間、例えば制御圧連通路47とドレン圧連通路48とをシールするシール長には影響せず、制御圧連通路47とドレン圧連通路48との間の油の漏洩量が増加しない。
【0035】
同様に、他のスプール弁2、3、4、6、7、8の外周壁には、図示しない環状溝が形成され、ライン圧連通路46、制御圧連通路47、ドレン圧連通路48間の油の漏洩量を増やすことなく、スプール弁SP移動時のハイドロリックロックを解消可能にしている。
次に各スプール弁SPの移動位置に対する各圧油の流れについて説明する。各スプール弁SPがカムシャフト1の駆動により円筒孔28a、28b、28c、28d、28e、28f、28gを移動する際、各円筒孔28a、28b、28c、28d、29e、28f、28gに開口するライン圧連通路46またはライン圧連通路51の位置と対向する位置に各スプール弁SPの溝および穴が位置決めされると、ライン圧連通路46またはライン圧連通路51に供給されるライン圧の圧油が各スプール弁SPの溝および穴を経由してスプール弁SPの内円筒部に供給され、さらに連通ポート39、40、41、42、43、44、45を経由して各摩擦係合装置にライン圧の圧油が供給される。
【0036】
また、ライン圧の圧油と同様に、圧力制御ポート36、38から圧力調整された係合油圧(または制御圧)の圧油が各スプール弁SPに供給され、さらにスプール弁SPを介し各摩擦係合装置へこの圧油が供給される構成になっている。係合油圧制御弁61から圧力制御ポート36に供給された係合油圧は、前述のようにスプール弁2、3、4、5に供給される。同様に、係合油圧制御弁62から圧力制御ポート38に供給された係合油圧は、スプール弁6、7、8に供給される。その結果、係合油圧制御弁62から供給された係合油圧は多板ブレーキB1、B0、B2に供給され、係合油圧制御弁61から供給された係合油圧は多板ブレーキB3および多板クラッチC0、C2、C1に供給されることになる。
【0037】
スプール弁SPの溝がドレン圧連通路48、49と連通する位置に位置決めされると、このスプール弁SPに連通する摩擦係合装置内の圧油がドレンポート54、55よりハウジング28の外部に排出される。
図3に示すように、トランスミッション300に連結している連通ポート39、40、41、42、43、44、45の内、トランスミッション300に設置されている多板クラッチC0、多板ブレーキB0にそれぞれ連通するポート40、44は、これらポートが同時に作動操作されると内部的な構造からトランスミッション300が駆動不能となり、損傷を与えてしまう恐れがあるので、同時に結合されるのを防ぐため二重結合防止弁63が介在している。その他の連通ポートは周知のトランスミッションに見られるような、他の多板クラッチ、ブレーキ類は連通ポートからの油圧で係合または解除されトランスミッション300内の変速のために複数のギアの連結状態を切換え、ATとしての変速制御がなされる。なおブレーキ類は実質的にクラッチと同類の摩擦要素であり、クラッチの片側をトランスミッションのボディに固定した構造となっているものがブレーキである。
【0038】
次にカムシャフト1の制御およびカムシャフト1の外周面に形成されるカム凹凸について説明する。図1に示すカムシャフト1の周方向の位置は、図8に示すAT用ECU70からの指示によって制御され、ステップモータ12がカムシャフト1を回転させて、カムシャフト1の円周面に設けられたカムによりピン14、15、16、17、18、19、20を介してスプール弁SPの位置を制御し、それによりスプール弁SPに設けられた溝がライン圧連通路46、51、制御圧連通路47、50、ドレン圧連通路48、49と通じ所定の油圧が各連通ポート39、40、41、42、43、44、45に伝えられる。
【0039】
カムシャフト1は、ある作動モードにおけるピン14、15、16、17、18、19、20との当接位置から周方向および軸方向にそれぞれ所定幅で同一径部分を設けてあるため、カムシャフト1が回転方向または軸方向に駆動され小さな範囲で移動しても、スプール弁SPが位置変化しない。このため、カムシャフト1の位置決めに若干のずれを許容している。これにより、回転方向または軸方向の駆動停止位置を高精度に制御する必要がない。さらに、カムシャフト1が回転方向または軸方向に全ストロークしたとき、ピン14、15、16、17、18、19、20の側面と隣接するスプール弁に対応したカムシャフト1表面のカム凹凸との間には若干の余裕が設けてあり、万一の際、ピン14、15、16、17、18、19、20の先端に大きな力が加わらないように考慮されている。図9(b) に示すように、例えばピン14の先端部14aの曲率半径R1 とカムシャフト1の表面(以下「カム面」という)のカム凹凸の隅部1bの曲率半径R2bとの大小関係をR1 <R2bにすることにより、ピン14がカム面をスムーズに摺動する。
【0040】
図9(a) に示すように、カム凹凸の隅部1aの曲率半径R2aがピン14の曲率半径R1 より小さい場合、ピン14の先端部14aがカム面に接する部分は図9(a) に示す点Aおよび点Bの2点であることから、ピン14の先端部14aがカム面に引っ掛かり易くなっている。これに対し、図9(b) に示すように、カム凹凸の隅部1bの曲率半径R2bをピン14の曲率半径R1 より大きくすることにより、ピン14の先端部14aがカム面に接する部分は図9(b) に示す点Cの1点になる。また、図9(b) に示す点Dのように、ピン14がカム凸部を登る途中においてもピン14とカム面とは1点で接することから、ピン14がカム面に引っ掛かることなくスムーズに摺動可能であり正常な作動を保障している。他のピン15、16、17、18、19、20についても、ピン14と同様、カム面に引っ掛かることなくスムーズに摺動可能である。
【0041】
図8に示すように、AT用ECU70は、加速に際し変速段を下段にシフトするためのキックダウン信号やセレクトレバー500がどのポジションにあるのかを示すセレクトレバー信号等と、エンジンの駆動を制御するエンジン(E/G)用ECU72からの信号によって、E/G用ECU72とデータを交換しながらステップモータ12を駆動するモータ位置信号を出力し、同時に各油圧制御信号を前述の係合油圧制御弁61、62、ライン圧制御弁64、ロックアップ油圧制御弁65に出力する。この時E/G用ECU72とAT用ECU70とが交換するデータは、ラジエータの水温、スロットル開度、クランクシャフトのクランク角、車速、タービン回転数等である。この他、カムシャフト1が連結部11を介しセレクトトレバー500に連結しているので、セレクトレバー信号もAT用ECU70に入力されている。
【0042】
図10は、セレクトレバー500の各レンジおよび各変速レンジにおいて各スプール弁SPが、ライン圧制御弁に連通するライン圧ポートPS 、ドレンポートDr 、係合油圧制御弁61に連通する制御圧ポートPC1、係合油圧制御弁62に連通する制御圧ポートPC2のいずれのポートに接続されるかを示した図である。カムシャフト1は連結部11によってセレクトレバー500と連結しているので、運転者による手動操作でセレクトレバー500の位置選択が行われると、カムシャフト1はシャフト軸方向に移動し、カムシャフト1の軸方向の凹凸でカムシャフト1に接するピン14、15、16、17、18、19、20を動かし各スプール弁SPを制御する。また、AT用ECU70の指令によりステップモータ12を回転させ、カムシャフト1の円周方向のカム凹凸で各スプール弁SPの周方向位置を制御する。
【0043】
図12はスプール弁5および8についてDレンジ位置にあるカムシャフト1の軸方向断面図を示しており、変速段が第4速の位置にある状態である。スプール弁5および8にそれぞれ接しているピン17および18は、他端がいずれもカムシャフト1の最大径の位置に接しているのでスプール弁5および8を最大に押し上げている。従って、スプール弁5および8はライン圧ポート35、37(PS )と連通する位置に位置決めされ、スプール弁5および8に連通する多板クラッチC1および多板ブレーキB2にライン圧の圧油が供給される。
【0044】
この状態から、AT用ECU70の指令によるステップモータ12の回転に応じ、3速(3rd)、2速(2nd)、1速(1st)と、カムシャフト1は45°間隔で回転し、その回転に応じピン17および18はカムシャフト1の外周面に沿って移動する。図12に示した図の場合には、スプール弁5および8は3rdと4thにおいて同一の位置であるが、2ndの変速段ではピン18がカムシャフト1の中間径位置に移動し、スプール弁8は制御圧ポート38fに連通する位置に移動され、連通ポート44を介し多板ブレーキB2へ制御圧の圧油が供給される。1stの変速段においても同様に、図11に示すポート状態になる。
【0045】
カムシャフト1は、連結部11を通じてセレクトレバー500と連結しているので、運転者による手動操作でセレクトレバー500の位置選択が行われると、カムシャフト1はシャフト軸方向に移動し、カムシャフト1の軸方向のカム凹凸でカムシャフト1に接するピン14、15、16、17、18、19、20を動かし各スプール弁を制御する。またセレクトレバー500の選択位置に応じたセレクトレバー信号がAT用ECU70に入力される。したがって、カムシャフト1のカム面には、軸方向と円周方向の両方向にカム凹凸が形成され、このカム凹凸の形状は図10に示される油圧連通モードで決まるスプール弁位置となるよう設計されている。なおこのようにして制御されるATの各クラッチ類、ブレーキ類の動作状態は図11に示すような構成となる。
【0046】
セレクトレバー500を順に、2(前進第2速)、D(前進自動変速段)、N(ニュートラル)、R(バック)、P(パーキング)にシフトした場合、カムシャフト1は予め定められた距離だけ軸方向に移動する。すると、回転移動の場合と同様にしてスプール弁5および8は、図10に示す圧力分配が行われる。他の変速段および他のレンジおよび他のスプール弁においても同様の作動を示す。
【0047】
次にDレンジ位置における変速動作について説明する。他のレンジにおいても基本的な作動は同様である。
カムシャフト1は手動のDレンジの位置において、カム面のカム凹凸によりピンを介しスプール弁SPを図10のDレンジの欄で示す連通ポートで決まる連通モードにする。そしてカムシャフト1に対するAT用ECU70の指示が、車速の4段階の内の1速モード(図10の1st)であると、図10、図11に示すように、多板クラッチC0は、図1のライン圧ポート(図10のPS )35からライン圧連通路46、スプール弁3の溝、連通ポート40を介してライン圧を受けて作動状態となる。多板クラッチC1は同様に、圧力制御ポート(図10のPC1)36から制御圧連通路47、スプール弁5の溝、連通ポート42を介し制御圧を受け、車速等の状態によって制御圧が係合油圧制御弁61、62で調節され係合状態が制御される。また、多板クラッチC2および多板ブレーキB0はドレンポート54、55を通じてドレンポート48(図10のDr )に接続され、多板ブレーキB1、B2、B3もすべてドレンポート48に接続される。
【0048】
そして1速モード状態からAT用ECU70が2速モード(図10の2nd)の指示状態になったとすると、AT用ECU70からの指示によってステップモータ12がカムシャフト1を2速モード位置に回転させ、各スプール弁SPの位置を変化させる。その結果、図10のDレンジの2ndの欄に示すように、多板クラッチC1はライン圧ポート35(図10のPS )に接続され、多板ブレーキB2は制御圧ポート38(図10のPc2)に接続され、他のクラッチ、ブレーキは1速モードと同じ状態が保持される。これらのモードによって決まる油圧でトランスミッション300内のクラッチ類、ブレーキ類が作動し1速モードと異なる変速比である2速モードのトルク状態となる。このように制御状態が決められてATとしての機能を果たす。他のレンジ位置でも、またシフトダウン操作でも同様な動作で制御される。
【0049】
手動でセレクトレバー500を切換えシフト比を変更すると、セレクトレバー500に連動した連結部11によってカムシャフト1がスライドさせられて各スプール弁SPの位置を切換え、図10の各レンジで指定するような油圧連通モードにする。その状態で同時にAT用ECU70による制御でステップモータ12によりカムシャフト1が回転駆動されて車速に対応した油圧連通モードになり、自動制御が続行される。
【0050】
第1実施例によると、各スプール弁SPの底壁には3箇所の小穴が2e、3e、4e、6e、7e、8eが形成されていることから、スプール弁SP内に満たされる油をスプール弁未開口側底部の下方に逃がし、スプール弁内部の油圧による圧力とスプール弁未開口側底部の面に働く油圧とをバランスさせることが可能になる。これにより、スプール弁SPの応答性を向上させ、またスプール弁SPの駆動力を軽減する効果がある。さらにスプール弁SPの駆動力軽減からカムシャフト1の駆動源であるステップモータ12の駆動力を低減させることが可能になる。したがって、ステップモータ12の小型化が可能になり、油圧制御装置400の小型軽量化を図れる効果がある。
【0051】
また、第1実施例によると、各スプール弁SPの外周には環状溝が形成されることから、各スプール弁SPの外周壁と各スプール弁SPに対応する円筒孔の内周壁との隙間を通って流れる油のアンバランスによって起こるハイドロリックロックを解消する効果がある。この環状溝は、例えばスプール弁5の場合、ライン圧連通路46と連通する位置に停止したとき、制御圧連通路47内に位置するように形成されることから、隣合う制御圧連通路47とドレン圧連通路48とをシールするシール長に影響することがない。したがって、ライン圧連通路46、制御圧連通路47、ドレン圧連通路48間の油の漏洩量を増やすことなく、スプール弁SP移動時のハイドロリックロックを解消可能にする効果がある。
【0052】
さらに、第1実施例によると、カムシャフト1に形成されるカム凹凸の隅部の曲率半径R2bがカム面を摺動するピンの先端の曲率半径R1 より大きいことから、カム面に沿ってカム凹凸を昇降する際、ピンの先端がカム面に引っ掛かることなくスムーズに摺動する効果がある。また、ピンの先端がカム面をスムーズに摺動することから、カムシャフト1の回転方向および軸方向の動きに対するスプール弁SPの作動の信頼性を向上させる効果がある。
【0053】
(第2実施例)
本発明の第2実施例を図13に示す。第1実施例と実質的に同一の構成部分には同一符号を付す。図13に示す第2実施例は、スプール弁5を押上げるピンの代わりにボール84を用いることにより、ボール84がカムシャフト1のカム面を回転しながらスプール弁5を押上げることから、ボール84とカム面との摩擦力の低減させるものである。
【0054】
図13に示すように、スプール弁5が全ストローク可能な径を有する球形状のボール84がカムシャフト1とスプール弁5の未開口側底部の端面5dとの間に位置するようにハウジング28に挿入され、カムシャフト1のカムの動きをスプール弁5に伝えている。スプール弁5が円筒孔28a内をスライドしたとき、スライド位置によってこの穴部5bが円筒孔28aに連通するそれぞれのライン圧連通路46、制御圧連通路47、ドレン圧連通路48と連通するようなっている。同様に、他のスプール弁2、3、4、6、7、8とカムシャフト1との間には図示しないボールが挿入されている。
【0055】
第2実施例によると、各スプール弁2、3、4、5、6、7、8とカムシャフト1との間にカムシャフト1のカムの動きを各スプール弁に伝えるボール(例えばスプール弁5ではボール84)が挿入されていることから、このボールがカムシャフト1のカム面を回転しながら各スプール弁を押上げ、ボールとカム面との摩擦力の低減させる効果がある。また、ボールとカム面との摩擦力が低減されることから、カムシャフト1を回転方向および軸方向に駆動させる駆動源であるステップモータの駆動力を低減させることが可能になる。したがって、ステップモータの小型化が可能になり、油圧制御装置の小型軽量化を図れる効果がある。
【0056】
(第3実施例)
本発明の第3実施例を図14に示す。第3実施例は、スプール弁91の両端に加わる圧力を低圧にすることにより、円筒孔90a内のスプール弁91の移動をスムーズにしたものである。
図14(a) に示すように、スプール弁91は円筒状に形成され、外側面中央部周囲に環状の油路溝91aが設けられている。図示しないカムシャフトと反対側の端部内部には円柱状の穴91bが形成されている。この穴91bにスプリング92の一部が収容されており、スプリング92はカムシャフト側にスプール弁91を付勢している。穴91bを含みスプール弁91とハウジング90で形成されるドレン圧ポート90d側の空間部91cは、常にドレン圧ポート90dと連通しているので、空間部91c内の圧力は低圧のドレン圧となっている。スプール弁91とハウジング90と間に形成される空間部91dは、ハウジング90に形成される圧力抜き溝94を介してカムシャフトが挿入されるハウジング90に形成される窪みと連通し常に低圧のドレン圧となっている。
【0057】
図14(a) は、ピン93によりスプール弁91が一番押し上げられた状態を示し、図14(c) はスプール弁91がカムシャフトに一番近付いた状態を示す。図14(b) では、スプール弁91は図14(a) と図14(c) のほぼ中間の位置にある。連通ポート95に供給される圧油の油圧はそれぞれ図14(a) がライン圧、図14(b) が制御圧、図14(c) がドレン圧にそれぞれ対応している。
【0058】
スプール弁91の両端に設けられる圧力室である空間部91cおよび空間部91dの圧力は常にドレン圧に等しいため、カムシャフト側にスプール弁91を付勢するスプリング92の付勢力を小さくすることができる。すると、スプリング92の付勢力に抗してピン93がスプール弁91を押上げる力が低減可能になり、軸方向にカムシャフトを駆動する図示しないセレクトレバーの操作力を低減できる。また、回転方向にカムシャフトを駆動するステップモータの駆動力を低減することからステップモータの小型化が可能になる。
【0059】
第3実施例によると、スプール弁91の両端の圧力が常にドレン圧に等しいことから、ピン93がスプール弁91を押上げる力が低減でき、カムシャフトの表面に加わる力を低減する効果がある。したがって、カムシャフトの材料を樹脂等にすることができ、カムシャフトの軽量化、低コスト化を図れる効果がある。
以上説明した本発明の実施例では、図1に示すように、カムシャフト1の両側にスプール弁SPを配置したので、集積弁60はコンパクトな略平板状に構成されている。配置に上下の制約はないのでオイルパン内での配置も容易となる。本発明では、平板状に限らず、例えば、カムシャフト軸を中心として屈曲させるようにしてもよい。また本発明では、スプール弁列をカムシャフトの片側に一列に配置させ細長くした棒形状でももちろん構わない。これらの場合では、他の装置、特にAT本体のトランスミッションの形状に合わせて設置余裕の少ないオイルパン内部などの周辺にコンパクトに搭載することができる。
【0060】
また本発明の実施例では、カムシャフト1に対するECU変速とマニュアル変速の割当は回転方向にECU変速、軸方向にマニュアル変速を割り当てている。これは、回転方向にカム面のカム凹凸変化の頻度が少なくなるためカムシャフト1を鋳造、成形等の加工が容易になり製作上極めて有利になるからである。本発明では、被駆動体であるカムシャフトの軸方向の直線運動によって自動制御を行い、回転運動によって手動制御を行なうことは可能である。この場合、駆動手段であるステップモータはカムシャフトに連動する配置となり、ステップモータの位置には歯車でセレクトレバーに機械的に接続されることになる。また本発明では、カムシャフトは図示した寸法に限らず、径を大きくして略円筒ドラムカムシャフトとしても構わない。またスプール弁の形状も、上述の機能を持つ油圧弁であれば円柱に限らず、どのような形状の弁であってもよい。なお一般的にスプール弁の個数や油圧連通モードは、トランスミッションの構造に依存して変わり、また多板ブレーキや多板クラッチの数や質によって設定条件も変化する。
【0061】
また本発明の実施例では、カムシャフト1により各スプール弁SPを駆動したが、本発明では、自動、手動の機構を備えた油圧制御方式ならばどのように制御弁であるスプール弁を駆動してもよく、同様な効果を得ることができる。
また本発明の実施例では軸方向の駆動はセレクトレバー500による手動操作によってなされているが、もちろん自動側即ちステップモータ12によって駆動される回転方向への駆動に適用する構成でも効果が同じである。
【0062】
また本発明の実施例では、カムとカムシャフト1とを一体に形成したが、本発明では、外周面をカム形状としたカムリングをシャフトに嵌め込んで図1に示すカムシャフト構造としてもよく、その場合、ポート数変更やポート組み合わせ変更などに対応しやすくなる。例えば図示はしないが、各スプール弁のあるハウジングの円筒孔の周囲を1ブロックとして、カムシャフト軸方向に積み重ねるような構成にすることで変更は容易となる。従って、そのような構成は、集積弁が、油圧弁とそのハウジングを1ブロック単位として、該1ブロック単位を必要ポート数だけ積層したことを特徴とすることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例による自動変速機用油圧制御装置の集積弁を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】自動変速機装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】スプール弁とその周囲の構成を示す断面図である。
【図5】図6のV−V線断面図である。
【図6】スプール弁の平面図である。
【図7】スプール弁の環状溝と各油圧連通路との位置関係を示す説明図である。
【図8】信号線の入出力状態を示すブロック図である。
【図9】カムシャフトのカム凹凸の隅部の曲率半径と、ピンの先端部の曲率半径との関係を示した説明図である。
【図10】集積弁の油圧連通モードを示す説明図である。
【図11】トランスミッションの多板クラッチ、多板ブレーキの動作状態図である。
【図12】図1のXII −XII 線断面図である。
【図13】本発明の第2実施例によるスプール弁とその周囲の構成を示す断面図である。
【図14】本発明の第3実施例によるスプール弁とその周囲の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 カムシャフト(動力伝達部材、カム)
1b 隅部
2、3、4、5、6、7、8
スプール弁 (油圧弁)
2b、3b、4b、5b、6b、7b、8b
穴部 (入力ポート)
2c、3c、4c、5c、6c、7c、8c
内円筒部
2e、3e、4e、5e、6e、7e、8e
小穴 (通路)
5h、i 環状溝 (溝)
12 ステップモ−タ(自動切換え手段)
14、15、16、17、18、19、20
ピン
14a、15a、16a、17a、18a、19a、20a
先端部 (接触端部)
28 ハウジング (弁ハウジング)
28a、28b、28c、28d、28e、28f、28g
円筒孔 (筒孔)
39、40、41、42、43、44、45
連通ポート
46、51 ライン圧連通路(油圧通路、ポート)
47、50 制御圧連通路(油圧通路、ポート)
48、49 ドレン圧連通路(油圧通路、ポート)
61、62 係合油圧制御弁
64 ライン圧制御弁
84 ボール
500 セレクトレバー(手動切換え手段)
Claims (3)
- 自動変速機に設けられる複数の摩擦締結要素に加わる油圧を複数の油圧弁で切換え制御し、前記複数の摩擦締結要素の係合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制御する自動変速機用油圧制御装置であって、
前記複数の摩擦締結要素の各摩擦締結要素に加わる油圧を切換える複数の油圧弁を有する集積弁と、
前記複数の油圧弁を内包するハウジングと、
前記複数の油圧弁に駆動力を伝達する動力伝達部材と、
自動制御により前記動力伝達部材を駆動制御する自動切換え手段と、
手動操作により前記動力伝達部材を駆動制御する手動切換え手段とを備え、
前記ハウジングは、ライン圧ポート、制御圧ポート、及び一つに合流する2つの連通ポートを有し、
前記油圧弁は、両端がドレン圧に連通しており、前記連通ポートの一方を閉じて前記連通ポートの他方を前記ライン圧ポート又は前記制御圧ポートに選択的に連通することで前記連通ポートをライン圧又は制御圧とし、前記他方を閉じて前記一方を当該油圧弁の片端と連通することで前記連通ポートをドレン圧とすることを特徴とする自動変速機用油圧制御装置。 - 自動変速機に設けられる複数の摩擦締結要素に加わる油圧を複数の油圧弁で切換え制御し、前記複数の摩擦締結要素の係合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制御する自動変速機用油圧制御装置であって、
前記複数の摩擦締結要素の各摩擦締結要素に加わる油圧を切換える複数のスプール弁を有する集積弁と、
前記複数のスプール弁に駆動力を伝達する動力伝達部材と、
自動制御により前記動力伝達部材を駆動制御する自動切換え手段と、
手動操作により前記動力伝達部材を駆動制御する手動切換え手段と、
前記スプール弁の外周面に周方向に形成される溝と、
前記集積弁の弁ハウジングに形成される油圧用の複数のポートであって、前記スプール弁の入力ポートに選択的に連通可能な複数のポートとを備え、
前記複数のポートのいずれか一個のポートと前記スプール弁の前記入力ポートとの連通時、前記溝は前記複数のポートの他のポート内にのみ配置されていることを特徴とする自動変速機用油圧制御装置。 - 自動変速機に設けられる複数の摩擦締結要素に加わる油圧を複数の油圧弁で切換え制御し、前記複数の摩擦締結要素の係合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制御する自動変速機用油圧制御装置であって、
前記複数の摩擦締結要素の各摩擦締結要素に加わる油圧を切換える複数の油圧弁を有する集積弁と、
前記複数の油圧弁に駆動力を伝達するカムと、
自動制御により前記カムを駆動制御する自動切換え手段と、
手動操作により前記カムを前記自動制御によるカムの変位方向とは異なる方向に駆動制御する手動切換え手段と、
前記カムのカム面に前記油圧弁を押圧する方向に付勢する付勢手段と、
前記カムに当接するボールであって、前記カムの変位量を前記油圧弁に伝達するボールとを備えたことを特徴とする自動変速機用油圧制御装置。
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