JPH0861492A - 自動変速機用油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機用油圧制御装置

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JPH0861492A
JPH0861492A JP6196700A JP19670094A JPH0861492A JP H0861492 A JPH0861492 A JP H0861492A JP 6196700 A JP6196700 A JP 6196700A JP 19670094 A JP19670094 A JP 19670094A JP H0861492 A JPH0861492 A JP H0861492A
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JP
Japan
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hydraulic
pressure
control
pressure port
ports
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Application number
JP6196700A
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English (en)
Inventor
Akira Takagi
章 高木
Masaru Suzuki
勝 鈴木
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置強度を向上させるとともに油圧切換え時
のショックを低減する自動変速機用油圧制御装置を提供
する。 【構成】 ライン圧ポート35a〜35g、制御圧ポー
ト36a〜36dまたは38e〜38fはそれぞれスプ
ール弁2〜8を挟みドレン圧ポート48a〜48fと1
80°反対側に形成されているため、各油圧ポートの断
面積の拡大や油圧ポートの配置の自由度が増大する。ま
た油圧の高いライン圧ポートをカムシャフト1から遠ざ
け、制御圧ポートを真ん中、ドレン圧ポートを最もカム
シャフト1に近付けて配置している。これは、ピン14
〜21の破損を防ぐため、油圧の大きい油圧ポートほど
カムシャフト1から遠ざける必要があるからである。ま
た、油圧切換え時、中間圧である制御圧ポートに一旦接
続されるので、油圧切換え時の衝撃を低減することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動変速機の変速機構
を油圧で変速制御する自動変速機用油圧制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、回転駆動力を負荷に応じスムーズ
に伝達するため、車両用等に多く利用されている自動変
速機は、制御弁により油圧を調節し各摩擦係合装置を制
御して変速制御を行っている。変速制御は、乗員により
ある程度任意のギア位置を選択するセレクトレバーによ
る手動制御と、エンジンのスロットル開度や車速などか
らエンジン制御コンピュータにより適正なギア比になる
ように摩擦係合装置を決定する自動制御とにより行われ
る。回転駆動力を負荷に応じスムーズに伝達するため、
複数の制御弁、アキュムレータ、電磁弁等を用いた油圧
回路で自動変速機の個々の摩擦係合装置の油圧を制御す
ることにより変速制御を実現している。このような構成
では、自動変速機内の摩擦係合装置の数だけ制御弁が必
要になるため、装置が大型化して多くの部品を必要とす
るとともに、装置が複雑で製造コストが高いという問題
がある。
【0003】このような問題を解決するため、複数の制
御弁を1か所にまとめた集積弁により、装置の小型、軽
量、簡素化を図ることが考えられる。このものでは、エ
ンジン制御コンピュータのフェイルシステム等により、
電子制御の自動制御機能が故障しても乗員がセレクトレ
バーを操作することにより、前進や後退の選択や、ある
程度、前進時の変速段の選択を行えるようになってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の集積弁により自動変速を制御する油圧制御装
置の場合、油圧の異なる油圧ポートを各制御弁にそれ
ぞれ接続するとき、同一方向から接続すると各油圧ポー
トが接近するので、油圧ポートの径を大きくできないと
いう問題がある。また、油圧ポートが同一方向から接続
するレイアウトであるため、油圧ポートに圧油を供給す
る供給管の接続位置が限定されるので油圧制御装置の設
置位置の自由度が低くなるという問題がある。また、
同一油圧の油圧ポートを連通する油圧通路を油圧ポート
と一体に同一ハウジング内に形成すると、異なる油圧通
路間の隔壁が長くかつ薄くなるので、隔壁の強度が確保
しにくいという問題がある。また、例えば制御弁がス
プール弁である場合、異なる油圧の油圧ポートをスプー
ル弁の軸方向に適切に接続しないと、油圧切換え時の圧
力差によるショックが大きくなるという問題がある。
【0005】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、装置強度を向上させるとともに油圧切
換え時のショックを低減する自動変速機用油圧制御装置
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明の請求項1記載の自動変速機用油圧制御装置
は、自動変速機に設けられる複数の摩擦締結要素に供給
される油路を切換え、前記摩擦締結要素の係合または解
除を行うことにより複数の変速段を切換え制御する自動
変速機用油圧制御装置であって、自動制御による変速と
手動による変速とを行う複数のスプール弁を有する集積
弁を備え、前記複数のスプール弁の軸方向に異なる位置
で前記複数の各スプール弁に接続する複数の油圧ポート
は、少なくとも異なる2方向から前記スプール弁に接続
することを特徴とする。
【0007】また本発明の請求項2記載の自動変速機用
油圧制御装置は、自動変速機に設けられる複数の摩擦締
結要素に供給される油路を切換え、前記摩擦締結要素の
係合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え
制御する自動変速機用油圧制御装置であって、自動制御
による変速と手動による変速とを行う複数のスプール弁
とこの複数のスプール弁を収容するハウジングとを有す
る集積弁を備え、前記複数のスプール弁の軸方向に異な
る位置で前記複数の各スプール弁に接続する複数の油圧
ポートは、前記ハウジング外でそれぞれ連通しているこ
とを特徴とする。
【0008】さらに本発明の請求項3記載の自動変速機
用油圧制御装置は、自動変速機に設けられる複数の摩擦
締結要素に供給される油路を切換え、前記摩擦締結要素
の係合または解除を行うことにより複数の変速段を切換
え制御する自動変速機用油圧制御装置であって、自動制
御による変速と手動による変速とを行う複数のスプール
弁を有する集積弁と、ライン圧を調整し、前記集積弁を
介し前記摩擦締結要素へ制御圧を付与する圧力制御手段
とを備え、前記複数の各スプール弁の軸方向に異なる位
置で前記各スプール弁に接続する油圧ポートは、ライン
圧ポートおよび制御圧ポートおよびドレン圧ポートであ
り、前記制御圧ポートは前記ライン圧ポートと前記ドレ
ン圧ポートとの間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
【作用および発明の効果】本発明の請求項1記載の自動
変速機用油圧制御装置によると、スプール弁の軸方向に
異なる位置でスプール弁に接続する複数の油圧ポート
は、少なくとも異なる2方向から前記スプール弁に接続
するため油圧ポートを適切に配置することにより各油圧
ポート間の距離が長くなので、油圧ポート間を隔てる隔
壁の強度が増す。また、油圧ポート径を拡大することが
できるので、圧油の供給量を増加することができる。
【0010】本発明の請求項2記載の自動変速機用油圧
制御装置によると、スプール弁の軸方向に異なる位置で
各スプール弁に接続する複数の油圧ポートは、スプール
弁の収容されているハウジング外でそれぞれ連通してい
るため、ハウジング内で同一油圧の油圧ポートを連通す
る長い油通路を形成する必要がない。このため、隣接す
る油通路を隔てる隔壁が強度不足により損傷する問題が
ハウジング内で発生することを防止できる。
【0011】本発明の請求項3記載の自動変速機用油圧
制御装置によると、各スプール弁に異なる軸方向位置で
接続するライン圧ポート、制御圧ポート、ドレン圧ポー
トの配置は、ライン圧ポートとドレン圧ポートとの間に
制御圧ポートを設けている。このため、摩擦締結要素に
供給する圧油の油圧をドレン圧からライン圧またはライ
ン圧からドレン圧へ移行させ各摩擦締結要素を係合また
は解除するとき、中間圧を有する制御圧ポートに一旦接
続するので圧力切換え時の衝撃を低下することができ
る。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本発明の自動変速機用油圧制御装置を車両用の自
動変速機(以下、「自動変速機」をATという)に適用
したシステム構成を図2に示す。図2において、EVは
電磁弁を表し、MVは集積弁を表す。
【0013】車両用ATの動作は、周知のように自動ま
たは手動でトランスミッション300内のギヤ接続が切
換えられ、トルクコンバータ200に接続された図示し
ないエンジンからの回転力が車両の後輪または前輪に伝
達される。集積弁60とその周辺装置全体は、トランス
ミッション300下部のAT内部の図示しないオイルパ
ン内部にあり、オイルパン内部の油圧制御装置400の
周囲は油圧回路のドレンになっている。
【0014】トランスミッション300内には、エンジ
ンの回転軸に直結して回転駆動される公知の油圧ポンプ
56が設けられており、各油圧装置からオイルパン等に
排出された駆動油を封入ポート57より吸入し、ライン
圧制御弁64を介し各装置へ圧油を供給している。この
油圧ポンプ56からの圧油は、変動のある高ポンプ油圧
であり、電磁制御式圧力制御弁であるライン圧制御弁6
4により一定の高圧なライン圧に制御し各油圧機器へ供
給される。油圧制御装置400には2つの係合油圧制御
弁61、62が設けられており、トランスミッション3
00内にある後述する各摩擦係合装置の係合時に必要な
所定の制御圧にライン圧制御弁64から供給される圧油
のライン圧を任意に制御して集積弁60に圧油を供給し
ている。
【0015】集積弁60に供給されたライン圧または制
御圧の圧油は、図1に示す各スプール弁2、3、4、
5、6、7、8(SPと総称する)を介し、図2に示す
連通ポート39、40、41、42、43、44、45
よりトランスミッション300内の摩擦係合装置である
多板クラッチ類C0、C1、C2や多板ブレーキ類B
0、B1、B2、B3に供給されている。各摩擦係合装
置は、トランスミッション300内にある図示しないプ
ラネタリギア等の各変速比を構成するギアに連結されて
おり、これら摩擦係合装置を係合または解除することに
より、変速比を切換えて車両の変速制御を行っている。
【0016】トランスミッション300に連結している
連通ポート39、40、41、42、43、44、45
の内、トランスミッション300に設置されている多板
クラッチC0、多板ブレーキB0に連通するポート3
9、43は、これらポートが同時に作動操作されると内
部的な構造からトランスミッション300が駆動不能と
なり、損傷を与えてしまう恐れがあるので、同時に結合
されるのを防ぐため二重結合防止弁63が介在してい
る。その他の連通ポートは周知のトランスミッションに
見られるように、他の多板クラッチ、ブレーキ類は連通
ポートからの油圧で係合または解除されトランスミッシ
ョン300内の変速のために複数のギアの連結状態を切
換え、ATとしての変速制御がなされる。なおブレーキ
類は実質的にクラッチと同類の摩擦要素であり、クラッ
チの片側をトランスミッションのボディに固定した構造
となっているものがブレーキである。
【0017】連結部11は、操作者が手動で前進、後
退、ニュートラル、パーキング等、車両の駆動状態を操
作するセレクトレバー500と機械的に接続されてい
る。ライン圧制御弁64から供給された圧油は、さらに
トルクコンバータ200のロックアップ(L/U)スリ
ップ制御を行うため、ロックアップ油圧制御弁65を介
しトルクコンバータ200に供給される。
【0018】図1に示すように、油路を切換えるスプー
ル弁SPは、カムシャフト1の軸に垂直な方向にカムシ
ャフト1の両側に並んで配置されている。スプール弁S
Pは、それぞれ集積弁60のハウジング28に設けられ
た円筒孔28a、28b、28c、28d、28e、2
8f、28gに軸方向に摺動可能に挿入されている。次
に、スプール弁5を例にしスプール弁SPの詳細な構造
を説明する。他のスプール弁はスプール弁5と同一の構
成である。
【0019】図5(A)に示すようにスプール弁5は内
部に空洞を有する円筒形をしており、その円筒の外側面
中央部周囲に環状の油路溝5aが形成され、スプール弁
5の内部に設けられた内円筒部5cと油路溝5aとに連
通する油路孔5bが外側壁を貫通して形成されている。
そして、図2に示すように、各スプール弁SPの油路孔
は各円筒孔28a、28b、28c、28d、28e、
28f、28gに連通するライン圧ポート35a、35
b、35c、35d、35e、35f、35g(PS
総称する)、制御圧ポート36a、36b、36c、3
6d(PC1と総称する)、38e、38f、38g(P
C2と総称する)、ドレン圧ポート48a、48b、48
c、48d、48e、48f、48g(Dr と総称す
る)と連通するよう構成されている。各スプール弁SP
内に設けられた内円筒部はその一端がそれぞれキャップ
53a、53b、53c、53d、53e、53f、5
3gにより封止されていて、キャップの内円筒部を通じ
連通ポート39、40、41、42、43、44、45
に連通している。
【0020】そしてカムシャフト1と各スプール弁SP
の未開口側底部の端面(図5(A)に示すスプール弁5
では5dで表されている)との間に、カムシャフト1の
軸の垂直方向に摺動可能にピン14、15、16、1
7、18、19、20がハウジング28に嵌挿され、カ
ムシャフト1のカムの動きを各スプール弁SPに伝えて
いる。カムシャフト1の動きに従って、スプール弁SP
が各円筒孔28a、28b、28c、28d、29e、
28f、28g内をスムーズにスライドするように、ピ
ン14、15、16、17、18、19、20が当たる
スプール弁SPの各未開口側に圧力抜きの小穴が3か所
設けられている。これはスプール弁SPの内部の油をス
プール弁未開口側底部の下方へも供給することにより、
スプール弁SPの内部の油圧による圧力と、スプール弁
未開口側底部の面に働く油圧をバランスさせることによ
り、スプール弁SPを駆動するための力が軽減されるよ
う作用させるためのものである。またスプール弁SPは
全て、スプリング21、22、23、24、25、2
6、27によってピン14、15、16、17、18、
19、20とともにカムシャフト1側に押し付けられて
いる。スプリング21、22、23、24、25、2
6、27はハウジング28に固定されたキャップ53
a、53b、53c、53d、53e、53f、53g
によって外部に飛び出さないように円筒孔28a、28
b、28c、28d、29e、28f、28gに封止さ
れている。
【0021】係合油圧制御弁61は制御圧ポート36、
第1制御圧通路を介しスプール弁2、3、4、5の制御
圧ポートPC1に接続され、係合油圧制御弁62は制御圧
ポート38、第2制御圧通路を介しスプール弁6、7、
8の制御圧ポートPC2に接続されている。さらにライン
圧制御弁64は、集積弁60にライン圧の圧油を直接供
給するようにライン圧ポート35、ライン圧通路を介し
ライン圧ポートPS に接続されている。ドレン圧ポート
r はドレン圧通路、ドレン圧ポート48を介し図示し
ないドレンに接続している。ライン圧ポート35に連通
する図示しないライン圧通路、制御圧ポート36に連通
する図示しない第1制御圧通路、制御圧ポート38に連
通する図示しない第2制御圧通路、ドレン圧ポート48
に連通する図示しないドレン圧通路は例えばハウジング
28を覆う図示しないケーシングに設けられ、それぞれ
ライン圧ポートPS 、制御圧ポートPC1、制御圧ポート
C2、ドレン圧ポートDr にハウジング28外で連通し
ている。
【0022】図4から判るように、各ライン圧ポートP
S 、制御圧ポートPC1またはPC2はそれぞれスプール弁
SPを挟みドレン圧ポートDr と180°反対側に形成
されているため、各ポートの断面積の拡大やポートの配
置位置の自由度が増大する。これら油圧ポートPS 、P
C1、PC2、Dr は、図1に示すように、カムシャフト1
に近付く方向にライン圧ポートPS 、制御圧ポートPC1
またはPC2、ドレン圧ポートDr となるように配置され
ている。ライン圧ポートPS 、制御圧ポートP C1
C2、ドレン圧ポートDr をこの順番でカムシャフト1
に近付く方向に配置する理由は、スプール弁SPの位置
によってピン14、15、16、17、18、19、2
0のカムシャフト1側への突出割合が変わり、スプール
弁内部の圧力の違いによってピン14、15、16、1
7、18、19、20の押し戻される力が変化するため
である。以下そのことを詳細に説明する。なおこの油圧
ポートの配置の効果は、本実施例で示した集積弁の構成
でなくとも、つまり単に自動制御だけ、もしくは手動制
御だけの構成のものであっても同様なスプール弁の構成
であれば同様な効果を有する。
【0023】図5の(A)および(B)は、スプール弁
5を例とし、スプール弁5の油路溝5aが各油圧ポート
に連通する位置A、B、Cにあるとき、カムシャフト1
が移動する際にピン17を押し上げるのに必要とする力
を油圧を変化させて比較したものである。ここで、位置
A、B、Cは、この順番でスプール弁5がカムシャフト
1に近付く位置を表す。即ち、スプール弁5の油路溝5
aが位置Cの場合、最もスプール弁5が下がってカムシ
ャフト1に近付き、位置Aの場合、最もスプール弁5が
上がってカムシャフト1から遠ざかっている。カムシャ
フト1が軸方向に移動しピン17を押し上げようとする
とき、ピン17はd点を支点とする回転モーメントを受
ける。従って、ピン17の突出し長さが長いほどピン1
7に対するこじり力が大きく働くことになる。また、ピ
ン17を押し上げる力が大きいほどピン17に対するこ
じり力は大きくなり、スプール弁5内の内円筒部5cの
油圧が大きいほどこの油圧によりスプール弁5が受ける
力に抗してピン17を押し上げようとする力は大きくな
る。そこで、ピン17の突出し長さが長い位置Cの場
合、ピン17にかかる圧力が小さくなるような油圧連通
モードを選択できれば、全体としてピン17を押し上げ
る力は少なくてすみ、ピン17をこじる力も大きくなら
ずにすむ。つまり、高圧となるライン圧を供給するライ
ン圧ポート35dを位置Aにし、最も低い圧力であるド
レン圧ポート48dを位置Cにし、ドレン圧からライン
圧までの圧力範囲内にある制御圧を供給する制御圧ポー
ト36dを位置Bにすることで、カムシャフト1の駆動
力を低減でき、ピン変形を防ぐことができる。他のスプ
ール弁2、3、4、6、7、8についても同様の油圧ポ
ート配置である。スプール弁5の油路溝5bが各位置
A、B、Cにあるとき、スプール弁5に供給する油圧と
ピン17を押し上げる力との関係を図5(B)に示す黒
点で表すと、取り得る最大値であるライン圧に位置Bに
おいて制御圧がなったとき、ピン17を押し上げる力は
最大のbになる。またカムシャフトの駆動源であるステ
ップモータ12の駆動力も小さくて済み、装置の大型化
を防ぐことになる。さらに、手動の際のセレクトレバー
500の操作力にも影響するので、より少ない力で駆動
できる。
【0024】また、ライン圧ポートPS とドレン圧ポー
トDr との間に制御圧ポートPC1またはPC2を配置する
と、ライン圧からドレン圧またはドレン圧からライン圧
への圧力切換えの際、中間圧としての制御圧を必ず通過
するので圧力切換え時のショックを減少することができ
る。ライン圧ポートPS 、制御圧ポートPC1、PC2、ド
レン圧ポートDr は本実施例においてはハウジング28
外の図示しないケーシングでそれぞれ連通しているが、
この様に構成すると、ハウジング28内において各油圧
ポートの間隔が十分にない場合でも、各ポート間の隔壁
の強度が十分にとれるという効果がある。
【0025】各スプール弁SPがカムシャフト1の駆動
により円筒孔28a、28b、28c、28d、28
e、28f、28gを移動する際、各円筒孔28a、2
8b、28c、28d、29e、28f、28gに開口
するライン圧ポートPS の位置と対向する位置に各スプ
ール弁SPの油路溝および油路孔が位置決めされると、
各ライン圧ポートPS に供給されるライン圧の圧油が各
スプール弁SPの油路溝および油路孔を経由してスプー
ル弁SPの内円筒部に供給され、さらに連通ポート3
9、40、41、42、43、44、45を経由して各
摩擦係合装置にライン圧の圧油が供給される。
【0026】また、ライン圧の圧油と同様に、制御圧ポ
ートPC1、PC2から圧力調整された制御圧の圧油が各ス
プール弁SPに供給され、さらにスプール弁SPを介し
各摩擦係合装置へ制御圧の圧油が供給される構成になっ
ている。係合油圧制御弁61から制御圧ポート36に供
給された制御圧の圧油は、制御圧ポートPC1に接続する
スプール弁2、3、4、5にのみ供給される。同様に、
係合油圧制御弁62から制御圧ポート38に供給された
制御圧の圧油は、制御圧ポートPC2に接続するスプール
弁6、7、8にのみ供給される。その結果、係合油圧制
御弁62から供給された制御圧の圧油は多板ブレーキB
1、B0、B2にのみ供給され、係合油圧制御弁61か
ら供給された制御圧の圧油は多板ブレーキB3および多
板クラッチC0、C1、C2にのみ供給されることとな
る。
【0027】スプール弁SPの油路溝がドレン圧ポート
r と連通する位置に位置決めされると、この位置決め
されたスプール弁SPに連通する摩擦係合装置内の圧油
がドレン圧ポートDr からハウジング28の外部に排出
される。図1に示すように、ハウジング28のほぼ中央
に設けられた窪み58内に円柱状のアルミ製のカムシャ
フト1が設けられている。カムシャフト1の材質をアル
ミにするのは、カムシャフト1を鉄で製造すると鍛造に
よる製造となり製造コストが高くなるとともに重くなり
過ぎるからである。カムシャフト1は、軸受9、29に
対し回転可能かつ軸方向に往復動可能に支持されてい
る。軸受9、29は、本発明では、滑り軸受、玉軸受、
コロ軸受や転がり軸受等を用いてもよい。軸受9はハウ
ジング28の一端に圧入固定され、カムシャフト1の一
端の軸受部34を案内する。軸受29は、カムシャフト
1の他端部を案内しており、サイドハウジング30に圧
入固定されている。サイドハウジング30はボルト37
によりハウジング28に固定されている。円柱状のカム
シャフト1の主要部分の外周面には各スプール弁SPを
駆動するカムとして凹凸が形成されている。カムシャフ
ト1の軸受9近傍の円周面にカム面と反対側のスプール
弁6、7、8側に、所定の円弧幅で所定の軸方向長さの
ギア歯53が形成されている。このため、カムシャフト
1の回転駆動に用いるギアスペースを節約できカムシャ
フト1の全長を縮小できる。また、カムシャフト1の一
端の軸受部34を他端部と異なる形状にするとともにカ
ムシャフト1の最大外径とすることにより、短い軸長で
カムシャフト1を支持可能であるためカムシャフト1の
全長を縮小できる。またギア歯53は、カムシャフト1
が軸方向に移動した場合においても、後述する中間ギア
52との噛合が外れないよう軸方向にギア溝が延設され
ている。
【0028】ギア歯53に対向する位置に、カムシャフ
ト1の軸方向と平行な回転軸を有するステップモータ1
2が固定されている。ステップモータ12はハウジング
12a内に駆動部を収容し固定子を形成している。図示
しない電源から固定子である駆動部に駆動電流が供給さ
れ可動子である回転軸を回動させる。図3に示すよう
に、ステップモータ12のハウジング12aには渦巻状
のリターンスプリング54の一端が固定され、他端はス
テップモータ12の回転軸に固定されている。また、ス
テップモータ12のハウジングにはストッパピン55が
設けられ、ステップモータ12の回転軸にはストッパレ
バー31が固定されている。ストッパピン55にストッ
パレバー31が当接することによりステップモータ12
の回転角が制限されている。ステップモータ12の回転
軸にギア13が同心円状に固定され、このギア13とギ
ア歯53との間に、ギア歯53の形成されたカムシャフ
ト1の外径よりも大きな外径の中間ギア52が固定部材
32によりハウジング28に回転可能に取り付けられて
いる。ギア歯53が形成されている位置におけるカムシ
ャフト1の外径は、ギア13の外径よりも大きい。ステ
ップモータ12の駆動力は、ギア13、中間ギア52か
らギア歯53に伝達し、カムシャフト1を回動駆動す
る。
【0029】本実施例においては、ステップモータ12
の回転軸をカムシャフト1と平行に設置することによ
り、ギア13とギア歯53との間に中間ギア52をただ
一つ介在させるだけでステップモータ12の駆動力をカ
ムシャフト1に伝達可能であるとともに、コンパクトな
構成で大きな減速比が得られるので集積弁60を小型化
できる。さらにステップモータ12から中間ギア52に
伝達するトルクよりも中間ギア52からギア歯53に伝
達するトルクの方が大きくなるため、ステップモータ1
2のトルクを増幅してカムシャフト1に伝達できる。こ
のため、ステップモータ12の駆動力を小さくできるの
で、ステップモータ12を小型化可能である。また、ス
プール弁SPの内、カムシャフト1の軸方向の最外位置
に配置されているスプール弁2と5間にカムシャフト1
のカム面側に向けてステップモータ12を設置したこと
により集積弁60の全長を短くできるのでさらに集積弁
60を小型化できる。
【0030】カムシャフト1の軸受29側の端部には、
外部のセレクトレバー500と図示しないリンクを介し
機械的に連結されている連結部11が設けられており、
操作者がセレクトレバー500を操作することにより、
連結部11はセレクトレバー500に連動しカムシャフ
ト1を軸方向に駆動する。図1に示すカムシャフト1の
回転角は、図6に示すAT用ECU70からの指示によ
って制御され、ステップモータ12がカムシャフト1を
回転させて、カムシャフト1の円周面に設けられたカム
によりピン14、15、16、17、18、19、20
を介してスプール弁SPの位置を制御し、それによりス
プール弁SPに設けられた油路溝が各油圧ポートPS
C1、PC2、Dr と通じ所定の油圧が各連通ポート3
9、40、41、42、43、44、45に伝えられ
る。
【0031】AT用ECU70は、図6に示すように加
速に際し変速段を下段にシフトするためのキックダウン
信号やセレクトレバー500がどのポジションにあるの
かを示すセレクトレバー信号等と、エンジンの駆動を制
御するエンジン(E/G)用ECU72からの信号によ
って、E/G用ECU72とデータを交換しながらステ
ップモータ12を駆動するモータ位置信号を出力し、同
時に各油圧制御信号を前述の係合油圧制御弁61、6
2、ライン圧制御弁64、ロックアップ油圧制御弁65
に出力する。この時E/G用ECU72とAT用ECU
70とが交換するデータとしては、図6に示すようにラ
ジエータの水温、スロットル開度、クランクシャフトの
クランク角、車速、タービン回転数等がある。
【0032】カムシャフト1は、ある作動モードにおけ
るピン14、15、16、17、18、19、20との
当接位置から周方向および軸方向にそれぞれ所定幅で同
一径部分を設けてあるため、カムシャフト1が回転方向
またはスライド方向に駆動され小さな範囲で移動して
も、スプール弁SPが位置変化しない。このため、カム
シャフト1の位置決めに若干のずれを許容している。さ
らに、カムシャフト1が回転方向またはスライド方向に
全ストロークしたときにも、ピン14、15、16、1
7、18、19、20の側面と隣接スプールに対応した
カムシャフト表面のカム凹凸との間には若干の余裕が設
けてあり、万一の際にも、ピン14、15、16、1
7、18、19、20に大きな力が加わらないように考
慮されている。また、カム凹凸の隅部は、ピン14、1
5、16、17、18、19、20先端の曲率半径より
も大きな曲率半径になるように加工が施されており、カ
ム凹凸に対するピンの追従がスムーズに行えるように配
慮してある。
【0033】セレクトレバー500のシフト位置は、通
常P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラ
ル)、D(ドライブ)、2(セカンド)、L(ロー)の
6位置であるが、パーキングおよびニュートラルの位置
については変速操作は実施されないので、自動変速処理
が実施されたとしても、トランスミッション300はト
ルクを伝達しないように設定されている。図7は、セレ
クトレバー500の各レンジおよび各変速レンジにおい
て各スプール弁SPがライン圧ポートPS 、ドレン圧ポ
ートDr 、制御圧ポートPc1、制御圧ポートPc2の何れ
のポートに接続されるかを示した図である。また制御圧
ポートPc1と制御圧ポートPc2はそれぞれ二つの係合油
圧制御弁61、62に接続しているので違う記号とした
が、とりうる圧力値の範囲(即ちライン圧を最高圧とし
てそれ以下の範囲)としては同じである。カムシャフト
1のカム形状は、図7に示される油圧連通モードで決ま
るスプール弁位置となるよう設計される。なおこのよう
にして制御されるATの各クラッチ類、ブレーキ類の動
作状態は図8に示すような構成となる。
【0034】カムシャフト1は連結部11によってセレ
クトレバー500と連結しているので、運転者による手
動操作でセレクトレバー500の位置選択が行われる
と、カムシャフト1はシャフト軸方向に移動し、カムシ
ャフト1の軸方向の凹凸でカムシャフト1に接するピン
14、15、16、17、18、19、20を動かし各
スプール弁SPを制御する。また、AT用ECU70の
指令によりステップモータ12を回転させ、カムシャフ
ト1の円周方向の凹凸で各スプール弁SPの位置を制御
する。
【0035】図9はスプール弁4および7についてDレ
ンジ位置にあるカムシャフト1の軸方向断面図を示して
おり、変速段が第4速の位置にある状態である。スプー
ル弁4および7にそれぞれ接しているピン16および1
9は、他端がいずれもカムシャフト1の最大径の位置に
接しているのでスプール弁4および7を最大に押し上げ
ている。従って、スプール弁4および7はライン圧ポー
ト35c、35f(P S )と連通する位置に位置決めさ
れ、スプール弁4および7に連通する多板クラッチC1
および多板ブレーキB2にライン圧の圧油が供給され
る。
【0036】この状態から、AT用ECU70の指令に
よるステップモータ12の回転に応じ、3速(3rd)、
2速(2nd)、1速(1st)と、カムシャフト1は45
°間隔で回転し、その回転に応じピン16および19は
カムシャフト1の外周面に沿って移動する。図9に示し
た図の場合には、スプール弁4および7は3rdと4th
おいて同一の位置であるが、2ndの変速段ではピン19
がカムシャフト1の中間径位置に移動し、スプール弁7
は制御圧ポート38fに連通する位置に移動され、連通
ポート44を介し多板ブレーキB2へ制御圧の圧油が供
給される。1stの変速段においても同様に、図7に示す
圧力分配が行われる。
【0037】セレクトレバー500を順に、2(前進第
2速)、D(前進自動変速段)、N(ニュートラル)、
R(リバース)、P(パーキング)にシフトした場合、
カムシャフト1は予め定められた距離だけ軸方向に移動
する。すると、回転移動の場合と同様にしてスプール弁
4および7は、図7に示す圧力分配が行われる。他の変
速段および他のレンジおよび他のスプール弁においても
同様の作動を示す。
【0038】次にDレンジ位置における変速動作を説明
する。他のレンジにおいても基本的な作動は同様であ
る。カムシャフト1は手動のDレンジの位置において、
カムの凹凸によりピンを介しスプール弁SPを図7のD
レンジの欄で示す油圧ポートで決まる油圧連通モードに
する。そしてカムシャフト1に対するAT用ECU70
の指示が、車速の4段階の内の1速モード(図7の
st)であると、図7、図8に示すように、多板クラッ
チC0は、図1のライン圧ポート35からライン圧ポー
ト35a(図7のPS )、スプール弁2の油路溝、連通
ポート39を介しライン圧を受けて作動状態となる。多
板クラッチC1は同様に、制御圧ポート36から制御圧
ポート36c(図7のPC1)、スプール弁4の油路溝、
連通ポート41を介し制御圧を受け、車速等の状態によ
って制御圧が係合油圧制御弁61、62で調節され係合
状態が制御される。また、多板クラッチC2および多板
ブレーキB0はドレン圧ポート48d、48e(図7の
r )を通じてドレン圧ポート48に接続され、多板ブ
レーキB1、B2、B3もすべてドレン圧ポート48に
接続される。
【0039】そして1速モード状態からAT用ECU7
0が2速モード(図7の2nd)の指示状態になったとす
ると、AT用ECU70からの指示によってステップモ
ータ12がカムシャフト1を2速モード位置に回転さ
せ、各スプール弁SPの位置を変化させる。その結果、
図7のDレンジの2ndの欄に示すように、多板クラッチ
C1はライン圧ポート35c(図7のPS )を通じてラ
イン圧ポート35に接続され、多板ブレーキB2は制御
圧ポート38f(図7のPc2)を通じて制御圧ポート3
8に接続され、他のクラッチ、ブレーキは1速モードと
同じ状態が保持される。これらのモードによって決まる
油圧でトランスミッション300内のクラッチ類、ブレ
ーキ類が作動し1速モードと異なる変速比である2速モ
ードの状態となる。このように制御状態が決められてA
Tとしての機能を果たす。他のレンジ位置でも、またシ
フトダウン操作でも同様な動作で制御される。
【0040】手動でセレクトレバー500を切換えレン
ジを変更すると、セレクトレバー500に連動した連結
部11によってカムシャフト1がスライドさせられて各
スプール弁SPの位置を切換え、図7の各レンジで指定
するような油圧連通モードにする。その状態で同時にE
CU70による制御でステップモータ12によりカムシ
ャフト1が回転駆動されて車速に対応した油圧連通モー
ドになり、自動制御が続行される。
【0041】次に、フェイルセーフ機能に付いて説明す
る。フェイルは突然発生することもあり、車両において
は走行中に発生することが考えられるため、フェイル発
生と同時に対応する必要がある。ここで対応するフェイ
ルセーフは、装置自体が機械的な破損を生じる程度まで
のフェイルではなく、自動制御機能が不能となった場合
である。なんらかの理由で自動制御機能が不能状態にな
った場合、手動で変速操作を実施できるようにフェイル
セーフ設定する。通常、従来の車両で実施されているよ
うに、ATにおけるファイルセーフは、変速状態を現状
維持もしくは4速モード位置(高速モード側)にするよ
うにしている。これは、フェイル時にシフトダウンが生
じると、車両に突然エンジンブレーキがかかる状態とな
る場合があり、変速ショックを生じ危険であるため、必
ず高速側にシフトアップするようにしてショックの生じ
る危険性を避けるように処置がとられている。
【0042】図7の各油圧連通モードは、例として多板
クラッチC0(スプール弁2)の欄で示すと、通常使用
する範囲として本来太線の枠で囲った範囲内の連通位置
が必要なだけである。即ち、Lレンジにおいては、スピ
ードは1stおよび2nd状態だけであり、正常に動作して
いる間は3rdや4thに変速されることはない。同様に、
2レンジにおいては1st、2nd、3rdのみで、4thへは
変速されない。N、R、Pレンジにおいては、その作動
から変速されることはなく、1stのみである。そこで本
実施例においては、フェイル(故障)時のフェイルセー
フのため、未使用変速モード位置において、図7に示す
ように、油圧連通モードを限定しておく。即ち、高速側
である油圧連通モード位置に太枠範囲の右端の油圧連通
モードと同一の連通状態を維持するようになっている。
例えばLレンジにおいては、Lレンジにおける最高速モ
ードであるライン圧ポートPS と連通する2ndの油圧連
通モードを未使用の3rd、4thに設定する。以下、2レ
ンジ、Dレンジ、Nレンジ、Rレンジ、Pレンジにおい
ても同様である。
【0043】さらに本実施例の場合、変速モード側、す
なわちカムシャフト1の回転方向側にフェイルセーフモ
ード位置を別途設けている(図7のフェイル欄)。この
フェイルセーフモード位置の作用については後述する。
まず4th位置をフェイルセーフ位置としている場合のフ
ェイル時の動作について説明する。何らかのフェイルが
発生したものとAT用ECU70が判断すると、変速状
態を決定しているカムシャフト1をステップモータ12
の駆動でフェイルセーフ位置(4速モード位置)にシフ
トする。強制的にこのフェイルセーフ位置に固定するこ
とで、自動制御は不能となっても、上述のように各レン
ジにおける高速段と同じ連通モードを4thに設定するた
め、手動操作によるレンジ切換え動作は作動する。
【0044】自動制御を行うAT用ECU70の処理プ
ログラムのうち、フェイルに関する処理の流れの概略を
示したものが図10(A)である。AT用ECU70
は、各種のセンサなどの異常信号や演算結果の食い違い
などからフェイルかどうかの判定を行い、フェイルなら
ば図10(A)のフローチャートのステップ610の判
断でフェイル処理のステップ650へ移り、カムシャフ
ト1をフェイルセーフ位置(4速モード位置)に移動さ
せる。フェイルセーフ位置では完全には自動変速と同等
の変速機能を実現しなくなるが(例えばLレンジで2nd
発進となるなど)、手動制御により少なくとも変速させ
る機能は維持されることになる。
【0045】ステップモータ12の駆動制御にフェイル
が生じた場合、ステップモータ12の駆動を打ち切りリ
ターンスプリング54によってフェイルセーフ位置(4
速モード位置)まで強制的に移動させる。その場合が図
10(B)に示すフローチャートである。AT用ECU
70は各種センサからステップモータ12の駆動制御が
フェイルしたと判断した場合、ステップモータ12をフ
リーの状態にし、カムシャフト1をリターンスプリング
54の復元力でフェイルセーフ位置(4速モード位置)
にシフトする。その状態でセレクトレバー500の操作
による手動のP、R、N、D、2、Lレンジの選択がな
され、カムシャフト1は連結部11で移動させられて各
スプール弁SPの位置を制御する。
【0046】本構成の場合いずれの変速モード位置にお
いてフェイルした場合においても変速ショックが軽減さ
れる構造となっている。例えば、セレクトレバー500
が2レンジにあり、変速モードが2ndにある時フェイル
したとすると、カムシャフト1は、低速側である1st
へ移動することなく、フェイル時の2nd位置より順に、
rd位置を経由して4thへシフトすることとなり、順に
高速段側へ切換わり、シフトダウン時に生じるようなエ
ンジンブレーキによるショック等が発生しない。
【0047】なお、このリターンスプリング54は、ハ
ウジング内部に設けられる構成でも、別の機構による力
を用いてもよい。また自動と手動とが入れ代わった構成
の場合、このリターンスプリング54の力は、どの部位
に設けようともカムシャフト1を軸方向にストッパ位置
までスライドさせる力を蓄えさせる構成とし、さらには
特に設けず、モータの力でリターンさせる構成であって
も構わない。
【0048】フェイル時のスプール弁の位置において、
カムシャフト1はリターンスプリング54の復元力によ
ってストッパレバー31がストッパピン55に当接する
位置まで移動することから、カムシャフト1のフェイル
セーフ位置として、通常利用されている4速モード位置
ではなく、フェイルセーフモード位置を別途設けてもよ
い。図7では4thの隣のフェイル欄で示される。即ち、
フェイルが発生する場合は突然の場合が殆どであり、ど
のような原因で発生するかが予想できない。場合によっ
ては油圧調整が機能を消失してしまうこともありえる。
そうすると油圧は急激に変化するので、油圧で作動させ
るクラッチ類も急激に変化する。するとATとしては変
速ショックが生じることから、このような変速ショック
を生じないようにする必要がある。そこで変速ショック
を防ぐためにフェイルセーフモード位置として、各スプ
ール弁の連通状態を通常使用しない半開の位置に固定し
半連通状態にして、フェイルによる急激な油圧変化を避
ける設定とする。これは特にクラッチ圧を直接制御する
本発明のようなシステムのATに対して有効な設定であ
る。油圧供給が正常のままの場合、半連通状態であって
も制御は正常に保たれるので、半連通状態にすることは
差し支えない。
【0049】図11(A)は上記のフェイルセーフモー
ド位置としてのスプール弁位置を決めるための、カムシ
ャフト1の回転方向の凹凸断面(一部)である。横軸は
カムシャフト1の回転方向を表しており、1速、2速、
3速、4速モード位置およびフェイルセーフ位置を表し
ている。縦軸はスプール弁の油路溝の位置で、各油圧ポ
ートと連通する位置として、下からドレン圧ポート
r 、制御圧ポートPC1、PC2、ライン圧ポートPS
置が示してある。図に示したハッチ付のグラフは、カム
シャフト1を回転駆動させた際のスプール弁の油路溝位
置を、スプール弁5に接続するクラッチC2におけるD
レンジ、およびスプール弁8に接続するブレーキB1
おける2レンジについて示してある。4速モード
(4th)の位置にあるスプール弁5は、図11(B)に
示すように、スプール弁5に設けられた環状の油路溝5
aがちょうどライン圧ポート35dに整合した位置とな
っている。それがフェイルセーフ位置になった場合、図
11(C)に示すように、スプール弁5の位置が下にず
れて、油路溝5aがライン圧ポート35dに対して半連
通(半開)の位置になり、弁の開口度を狭くして油圧の
変化を遮る状態になる。従ってフェイル時の油圧状態と
著しく変化する場合においても、圧油は絞られた開口部
から徐々に流入、流出することとなるので、フェイルセ
ーフ位置へ変速されたときでも変速ショックを起こすこ
とがない。
【0050】図11(C)の位置は、図11(A)にお
けるスプール弁5に接続するクラッチC2のDレンジに
限らず、他のスプール弁でも4速がライン圧ポートPS
と連通される場合は同様である。図12(A)は同様
に、DレンジにおけるクラッチC0に接続するスプール
弁2と2レンジにおけるクラッチC2に接続するスプー
ル弁5の油路溝の位置を示した図で、フェイル時にはス
プール弁2の油路溝2aは図12(B)に示す位置に設
定される。正常な状態は図12(C)である。スプール
弁2が制御圧ポート36aに連通する位置の場合、スプ
ール弁2は上下どちらに移動しても半開状態とすること
ができ、カムシャフトの設計で望ましい方を選択すれば
よい。しかしながら、フェイルセーフ時のスプール弁位
置は、もし4速モード位置を半連通状態にする位置に設
定すると、スプール弁の移動量が少なくて済む。図13
(A)では、2レンジにおけるスプール弁5がフェイル
セーフ位置に位置決めされた際、下に移動して半開状態
になった状態を示している。また、図11(A)に示す
ように、2レンジにおけるスプール弁8は、4速モード
においてドレン圧の油圧ポート48gに通ずる位置にあ
り、これ以上下がらないので、図13(B)のように少
し上げた位置にし、油路溝8aとドレン圧ポート48g
とを半連通にする。
【0051】なお勿論、このフェイルセーフモード位置
を設けたカムシャフトにおいて、フェイルセーフ機能と
して、必ずしもスプール弁をこのフェイルセーフモード
位置にする必要はなく、モータによる移動で4速モード
位置近傍を利用しても構わない。また、他のフェイルセ
ーフ手段として、スプール弁の油路孔もしくは油路溝の
位置が油圧ポートの何れにも連通しない位置でロックす
る場合に備え、油路孔幅もしくは油路溝幅が、各油圧ポ
ートのいずれかに必ず少なくとも僅かに連通している幅
を有することを特徴とするようにスプール弁を構成して
おいてもよい。
【0052】以上説明した本発明の実施例では、集積弁
60は二方向の動きで制御され、即ち自動制御と手動制
御とを同時に兼ね備えてフェイルセーフ手段を有した油
圧制御を行う構造となっている。このため、自動制御が
異常のために制御が不能となっても手動制御によりAT
の制御を維持でき、特に下り坂や上り坂、山岳路、雪道
発進等の場合に不都合が生じることを防げる。またカム
シャフトに限らず自動、手動の機構を備えた油圧制御方
式ならば同様な効果を有する。このように本実施例で
は、自動、手動両制御機構を備えた集積弁によって軽
量、コンパクトでなおかつ信頼性の高いAT装置を提供
できる。
【0053】また本実施例では、ライン圧ポートPS
制御圧ポートPC1またはPC2に対しドレン圧ポートDr
をスプール弁SPを挟み180°反対側に形成している
が、本発明では、例えば制御圧ポートに対しライン圧ポ
ートおよびドレン圧ポートをスプール弁SPを挟み18
0°反対側に形成してもよい。また、ライン圧ポートP
s 、制御圧ポートPC1またはPC2、ドレン圧ポートDr
をスプール弁SPを中心として120°間隔で配置し、
3方向から接続することも可能である。この場合、各油
圧ポートが異なる方向から接続しているため、油圧ポー
ト間の隔壁の強度が小さくならないのでハウジング内で
各油圧ポートをそれぞれ連通することも可能である。そ
の他の組み合わせは、設計上の制約等に応じ最適な組み
合わせを選択すればよい。
【0054】また本実施例では、図1に示すように、カ
ムシャフト1の両側にスプール弁SPを配置したので、
集積弁60はコンパクトな略平板状に構成されている。
このため、配置上、上下方向に制約のある場所に適して
おり、例えば、オイルパン内での配置も容易となる。本
発明では、平板状に限らず、例えば、カムシャフト軸を
中心として屈曲させるようにしてもよい。また本発明で
は、スプール弁列をカムシャフトの片側に一列に配置さ
せ細長くした棒形状でももちろん構わない。これらの場
合では、他の装置、特にAT本体のトランスミッション
の形状に合わせて設置余裕の少ないオイルパン内部など
の周辺にコンパクトに搭載することができる。
【0055】また本実施例では、カムシャフト1に対す
るECU変速とマニュアル変速の割当は回転方向にEC
U変速、スライド方向にマニュアル変速を割り当ててい
る。これは、回転方向にカム面の凹凸変化の頻度が少な
くなるため、カムシャフト1の鋳造、成形等の加工が容
易になり製作上極めて有利になるからである。本発明で
は、カムシャフトの軸方向の直線運動によって自動制御
を行い、回転運動によって手動制御を行なうことも可能
である。この場合、ステップモータはカムシャフトを軸
方向に駆動し、セレクトレバーはカムシャフトを回転方
向に駆動する。
【0056】また本発明では、カムシャフトは図示した
寸法に限らず、径を大きくして略円筒ドラムカムシャフ
トとしても構わない。またスプール弁の形状も、上述の
機能を持つ油圧弁であれば円筒に限らず、どのような形
状の弁であってもよい。なお一般的にスプール弁の個数
や油圧連通モードは、トランスミッションの構造に依存
して変わり、また多板ブレーキや多板クラッチの数や質
によって設定条件も変化する。
【0057】また本実施例では、カムシャフト1により
各スプール弁SPを駆動したが、本発明では、自動、手
動の機構を備えた油圧制御方式ならばどのように油圧弁
であるスプール弁を駆動してもよく、同様な効果を得る
ことができる。また本実施例では、カムとカムシャフト
1とを一体に形成したが、本発明では、外周面をカム形
状としたカムリングをシャフトに嵌め込んで図1に示す
カムシャフト構造としてもよく、その場合、ポート数変
更やポート組み合わせ変更などに対応しやすくなる。例
えば図示はしないが、各スプール弁のあるハウジングの
円筒孔の周囲を1ブロックとして、カムシャフト軸方向
に積み重ねるような構成にすることで変更は容易とな
る。従って、そのような構成は、集積弁が、油圧弁とそ
のハウジングを1ブロック単位として、該1ブロック単
位を必要ポート数だけ積層したことを特徴とすることに
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による自動変速機用油圧制御
装置の集積弁を示す断面図である。
【図2】本実施例の自動変速機装置のシステム構成を示
すブロック図である。
【図3】図1のIII 方向矢視図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】(A)は、スプール弁5の詳細形状を示す断面
図である。(B)は、圧力を変化させたときのスプール
弁位置とスプール弁のピンを押し上げる力との関係を示
す特性図である。
【図6】本実施例の信号線の入出力状態を示すブロック
図である。
【図7】集積弁の油圧連通モードを示す説明図である。
【図8】トランスミッションの多板クラッチ、多板ブレ
ーキの動作状態図である。
【図9】図4の断面位置におけるカムシャフトの断面形
状を示す断面図である。
【図10】フェイル時判定を示すモータ制御のフローチ
ャートである。
【図11】フェイルセーフ位置を有するカムシャフトの
概略説明図およびスプール弁5の動作説明図である。
【図12】フェイルセーフ位置を有するカムシャフトの
概略説明図およびスプール弁2の動作説明図である。
【図13】半連通状態によりフェイルセーフ制御を行う
スプール弁5および8の動作説明図である。
【符号の説明】
1 カムシャフト 2、3、4、5、6、7、8 スプール弁 9 軸受 11 連結部 12 ステップモ−タ 12a ハウジング 13 ギア 14、15、16、17、18、19、20ピン 28 ハウジング 29 軸受 34 軸受部 39、40、41、42、43、44、45連通ポート 35a、35b、35c、35d、35e、35f、3
5gライン圧ポート 36a、36b、36c、36d、38e、38f、3
8g制御圧ポート 48a、48b、48c、48d、48e、48f、4
8gドレン圧ポート 52 中間ギア 53 ギア歯 54 リターンスプリング 60 集積弁 61、62 係合油圧制御弁 64 ライン圧制御弁 70 AT用ECU 72 E/G用ECU 200 トルクコンバータ 300 トランスミッション

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動変速機に設けられる複数の摩擦締結
    要素に供給される油路を切換え、前記摩擦締結要素の係
    合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制
    御する自動変速機用油圧制御装置であって、 自動制御による変速と手動による変速とを行う複数のス
    プール弁を有する集積弁を備え、 前記複数のスプール弁の軸方向に異なる位置で前記複数
    の各スプール弁に接続する複数の油圧ポートは、少なく
    とも異なる2方向から前記スプール弁に接続することを
    特徴とする自動変速機用油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 自動変速機に設けられる複数の摩擦締結
    要素に供給される油路を切換え、前記摩擦締結要素の係
    合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制
    御する自動変速機用油圧制御装置であって、 自動制御による変速と手動による変速とを行う複数のス
    プール弁とこの複数のスプール弁を収容するハウジング
    とを有する集積弁を備え、 前記複数のスプール弁の軸方向に異なる位置で前記複数
    の各スプール弁に接続する複数の油圧ポートは、前記ハ
    ウジング外でそれぞれ連通していることを特徴とする自
    動変速機用油圧制御装置。
  3. 【請求項3】 自動変速機に設けられる複数の摩擦締結
    要素に供給される油路を切換え、前記摩擦締結要素の係
    合または解除を行うことにより複数の変速段を切換え制
    御する自動変速機用油圧制御装置であって、 自動制御による変速と手動による変速とを行う複数のス
    プール弁を有する集積弁と、 ライン圧を調整し、前記集積弁を介し前記摩擦締結要素
    へ制御圧を付与する圧力制御手段とを備え、 前記複数の各スプール弁の軸方向に異なる位置で前記各
    スプール弁に接続する油圧ポートは、ライン圧ポートお
    よび制御圧ポートおよびドレン圧ポートであり、前記制
    御圧ポートは前記ライン圧ポートと前記ドレン圧ポート
    との間に設けられていることを特徴とする自動変速機用
    油圧制御装置。
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