JP7138153B2 - 無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載され内燃機関等の駆動源からの駆動力を変速して出力する無段変速機に関する。
従来から、車両において内燃機関からの駆動力を変速して車軸へと伝達するための変速機として無段変速機が用いられており、この無段変速機は、一組のプーリ片からなり対向配置される駆動プーリ及び従動プーリとの間にベルトが介装され、前記駆動プーリに伝達された駆動力を前記ベルトを介して出力軸の連結される従動プーリへと伝達すると共に、作動油の供給作用下に駆動プーリ及び従動プーリにおける一方のプーリ片を軸方向へ移動させることで、一組のプーリ片の間の軸間距離を変化させ、それに伴って、駆動プーリから従動プーリへと伝達される駆動力の変速比を連続的に変化させる。
このような無段変速機では、作動油の油圧を利用して一方のプーリ片を軸方向へ移動させる構成としているため、例えば、内燃機関の駆動作用下に駆動プーリ及び従動プーリが回転して作動油に遠心力が働くことで、該作動油の圧力が上昇して前記プーリ片が押圧されることで所定の位置から軸方向へ移動してしまうことがある。
このような課題を解決するために、例えば、特許文献1に開示される無段変速機では、回転軸に固定される固定プーリ部片と、該固定プーリ部片に対して軸方向に接近・離間可能に設けられる可動プーリ部片と、前記可動プーリ部片の外側壁に設けられる可動筒体と、該可動筒体の内側に設けられ前記回転軸に固定されると共に前記可動筒体に液密に嵌合した固定筒部とを備えている。
また、可動プーリ部片と固定筒体との間には、該可動プーリ部片を固定プーリ部片側へと付勢するための作動油が供給される油圧室が形成され、可動筒体と固定筒体との間には、油圧室と分離され調整油の供給される調整油室が形成されると共に、固定筒体の外周側には前記調整油室に臨むように回転側筒状部材が設けられている。
そして、油通路を通じて油圧室へと作動油が供給されることで可動プーリ部片が油圧によって固定プーリ部片側へと付勢され、無段変速機が高速で回転して遠心力によって油圧室内の圧力が上昇した際、調整油室には、油通路とは別の調整用油流路から固定筒体と回転側筒状部材との間に形成された油導入溝を通じて調整油が導入される。これにより、調整油室の圧力が供給された調整油によって上昇し、可動筒体を固定プーリ部片から離間する方向へと付勢することで、作動油の圧力上昇による可動プーリ部片の固定プーリ部片側への付勢力と相殺されて移動が防止され、可動プーリ部片が所定の位置に維持される。
一方、特許文献2に開示された無段変速機では、駆動側プーリ、従動側プーリ及び前記駆動側プーリと前記従動側プーリとの間に巻掛けられる無端Vベルトとを備え、前記駆動側プーリは、駆動軸に固定される固定シーブと、該駆動軸に対して移動可能な可動シーブとを備えている。そして、可動シーブの背面側には作動油の供給される油圧シリンダ室が設けられると共に、前記油圧シリンダ室の内周側及び背面側には、無段変速機が回転した際に発生する遠心力によって油圧シリンダ室に発生した油圧を打ち消すための油圧バランス室がそれぞれ設けられており、前記油圧バランス室は、潤滑用油路を介してオイルポンプから作動油が供給可能に形成されている。
そして、無段変速機が高速で回転して遠心力によって油圧シリンダ室内の油圧が上昇した際、内周側に設けられた油圧バランス室と油圧シリンダ室の油圧が可動シーブに対して固定シーブ側へと働き、一方、背面側に設けられた油圧バランス室の油圧が前記可動シーブに対して前記固定シーブとは反対側に働く。そのため、内周側に設けられた油圧バランス室と油圧シリンダ室の油圧の和が、背面側に設けられた油圧バランス室の油圧と釣り合うことで、遠心力による油圧上昇によって可動シーブが固定シーブ側へと移動することが防止される。
実公平6-12271号公報 特開昭61-45166号公報
しかしながら、上述した特許文献1の無段変速機では、調整油を貯留可能な調整油室を油圧室の外周側に別に設ける必要があるため、径方向に大型化してしまうと共に、油圧室へ作動油を供給するための通路(油通路)と、調整油室に調整油を供給するための通路(調整用油通路)とを別の構成としているため、構造が複雑となり装置の大型化及び製造コストの増加を招くという問題がある。
また、特許文献2の無段変速機でも同様に、油圧シリンダ室へ作動油を供給するための通路(油路)と、一組の油圧バランス室へ油を供給するための通路(潤滑用油路)とを従動軸に対して別系統として設けているため、前記従動軸の加工が煩雑となって製造コストが増加してしまうという問題がある。さらに、高回転時における遠心力による可動シーブの固定シーブ側への押圧を防止するために、油圧バランス室への油の供給をオイルポンプで行っているため、消費電力が増加してしまうという問題がある。
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、構成を簡素化することで製造コスト及び消費電力の削減を図ると共に小型化が可能な無段変速機を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の態様は、固定側プーリ半体及び固定側プーリ半体に対して軸方向に相対移動可能な可動側プーリ半体を有したドライブプーリ及びドリブンプーリと、ドライブプーリとドリブンプーリとの間に巻き掛けられた無端部材とを備え、ドライブプーリの溝幅とドリブンプーリの溝幅とをそれぞれ作動油の油圧で変化させることで変速比を変化させる無段変速機において、
可動側プーリ半体は、隔壁によって軸方向に分離され作動油の供給される油圧室及び遠心補償圧室と、
隔壁に形成され油圧室と遠心補償圧室とを連通する第1連通路と、
遠心補償圧室と可動側プーリ半体の外部とを連通する第2連通路と、
ドライブプーリ又はドリブンプーリの回転によって生じる遠心力によって第1連通路を開放する第1切替バルブと、
ドライブプーリ又はドリブンプーリの回転によって生じる遠心力によって第2連通路を閉じる第2切替バルブと、
を備える。
本発明によれば、無段変速機を構成するドライブプーリ及びドリブンプーリの可動側プーリ半体には、隔壁によって軸方向に分離され作動油の供給される油圧室及び遠心補償圧室を備え、この隔壁には、油圧室と遠心補償圧室とを連通する第1連通路が形成され、ドライブプーリ又はドリブンプーリの回転によって生じる遠心力によって第1連通路が第1切替バルブによって開放されると共に、遠心補償圧室と可動側プーリの外部とを連通する第2連通路を有し、遠心力によって第2連通路が第2切替バルブによって閉じられる。
従って、ドライブプーリ及びドリブンプーリの高回転時において、遠心力によって油圧室内の作動油の圧力が上昇し、可動側プーリ半体を固定側プーリ半体側へと付勢する押圧力が生じた場合であっても、開放された第1連通路を通じて油圧室における作動油の一部を遠心補償圧室側へと供給し、遠心補償圧室における作動油の圧力を高め、遠心力による遠心補償圧室での作動油の圧力上昇に伴って生じる押圧力で、可動側プーリ半体を固定側プーリ半体とは反対方向へと押圧することで、遠心力によって可動側プーリ半体に対して固定側プーリ半体側へと働く押圧力と好適に相殺させることができる。
その結果、2つの通路を通じて2つの油圧室へそれぞれ作動油を供給して遠心力に起因したプーリ片の移動を防止していた従来の無段変速機と比較し、簡素な構成で高回転時において遠心力に起因して可動側プーリ半体に働く固定側プーリ半体側への押圧力を防止することができるため、無段変速機の小型化及び製造コストの削減を図ることが可能となる。また、高回転時において、遠心補償圧室への作動油の供給を油圧室から行っているため、オイルポンプから作動油の供給を行っていた従来の無段変速機と比較し、消費電力を削減することができる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、無段変速機の高回転時において、遠心力によって油圧室内の作動油の圧力が上昇し、可動側プーリ半体を固定側プーリ半体側へと付勢する押圧力が生じた場合であっても、油圧室の作動油を開放された第1連通路を通じて遠心補償圧室へと供給することで、遠心補償圧室における作動油の圧力を高め、遠心力によって遠心補償圧室の作動油に働く可動側プーリ半体を固定側プーリ半体とは反対方向への押圧力で、可動側プーリ半体に働く固定側プーリ半体側への押圧力と好適に相殺させることが可能となる。
その結果、2つの通路を通じて2つの油圧室へそれぞれ作動油を供給して遠心力に起因したプーリ片の移動を防止していた従来の無段変速機と比較し、簡素な構成で遠心力に起因した可動側プーリ半体の固定側プーリ半体側への移動を防止することができ、無段変速機の小型化及び製造コストの削減を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る無段変速機の全体断面図である。 図1の無段変速機におけるドライブプーリの拡大断面図である。 図2の無段変速機が高回転で回転した状態を示す拡大断面図である。
本発明に係る無段変速機について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
この無段変速機10は、図1に示されるように、例えば、図示しないエンジンを備える車両に搭載され、互いに平行に配置されたドライブシャフト12とドリブンシャフト14とを備え、該ドライブシャフト12が前記エンジンからの駆動力を伝達可能に接続され、前記ドリブンシャフト14が前記車両の駆動輪へと駆動力を伝達可能に接続されると共に、前記ドライブシャフト12に設けられたドライブプーリ16と前記ドリブンシャフト14に設けられたドリブンプーリ18とに無端状の金属ベルト(無端部材)20が巻き掛けられる。
ドライブシャフト12は、図1~図3に示されるように、軸方向(矢印A、B方向)に沿って延在した軸体からなり、その内部には軸方向に沿って延在する油供給路22aが形成され、図示しない油圧供給装置(例えば、オイルポンプ)から作動油が供給されることで流通する。また、ドライブシャフト12は、後述する第1可動側プーリ半体28の臨む位置で油供給路22aから径方向外側へと延在する接続路24を有し、該接続路24がドライブシャフト12の外周面まで貫通し、後述する第1可動側プーリ半体28のピストン室40aと連通している。
ドライブプーリ16は、ドライブシャフト12に対して固設される円板状の第1固定側プーリ半体(固定側プーリ半体)26と、該第1固定側プーリ半体26に対して前記ドライブシャフト12の軸方向(矢印A、B方向)に摺動自在な円板状の第1可動側プーリ半体(可動側プーリ半体)28とを有し、前記第1固定側プーリ半体26が前記ドライブシャフト12の軸方向一方側(矢印A方向)、前記第1可動側プーリ半体28が前記第1固定側プーリ半体26に対して軸方向他方側(矢印B方向)となるように配置される。そして、第1可動側プーリ半体28は、後述するピストン室40aに供給される作動油の油圧により、第1固定側プーリ半体26との間の溝幅(ドライブプーリ16の溝幅)が可変となるように設けられる。
第1可動側プーリ半体28は、該ドライブシャフト12の外周面に摺接するボス部30と、該ボス部30に対して外周側へと延在する円板状のプーリ片32と、該プーリ片32の外縁部近傍から軸方向(矢印B方向)に延在する筒部34と、前記筒部34の内部に収容される隔壁36と、前記隔壁36と略平行に設けられ前記筒部34の軸方向他端を閉塞するカバー部38とを有する。
また、第1可動側プーリ半体28には、プーリ片32に臨み作動油の供給されるピストン室(油圧室)40aと、隔壁36を挟んで前記ピストン室40aと隣接する遠心補償圧室42aとを備える。ピストン室40aは、ドライブシャフト12の外周側において、プーリ片32、ボス部30、筒部34及び隔壁36に囲まれることで環状に形成され、ドライブシャフト12の外周面に開口した接続路24を介して油供給路22aと連通している。
遠心補償圧室42aは、ドライブシャフト12の外周側に設けられ、筒部34、隔壁36及びカバー部38によって囲まれて環状に形成され、前記ピストン室40aに対してドライブシャフト12の軸方向他方側(矢印B方向)に隣接して隔壁36によって分離されている。そして、遠心補償圧室42aの内部には、ピストン室40aに供給される作動油と同一の作動油が所定量だけ貯留されている。
隔壁36は、例えば、一定厚さを有した板材から円板状に形成され、ドライブシャフト12の軸線と直交するように設けられると共に、その内周面がドライブシャフト12の外周面に当接して係止リング44によって軸方向に位置決めされると共に、外周面が筒部34の内周面に摺接するように配置されている。そして、隔壁36の外周面には環状溝を介してシールリング46が装着され筒部34の内周面に当接している。すなわち、隔壁36は、ドライブシャフト12に固定され、第1可動側プーリ半体28と共に移動することはない。
また、隔壁36と第1可動側プーリ半体28との間には、プーリ片32を前記隔壁36から離間させる方向、すなわち、第1固定側プーリ半体26側(矢印A方向)へと付勢するスプリング47が設けられている。スプリング47は、例えば、コイルスプリングからなり、ボス部30の外周側となるように配置される。そして、スプリング47の弾発力によって第1可動側プーリ半体28が第1固定側プーリ半体26側へと付勢されることで、前記第1可動側プーリ半体28と前記第1固定側プーリ半体26との間に金属ベルト20が保持される。
さらに、隔壁36には、軸方向(矢印A、B方向)に貫通した第1連通路48を有し、この第1連通路48は、例えば、軸方向に沿って一定径で形成されピストン室40aと遠心補償圧室42aとを連通させると共に、前記隔壁36の内周面と外周面との間の中央部位よりも前記内周面寄り、すなわち、ドライブシャフト12側となる位置に形成されている。
そして、第1連通路48の内部には、第1連通路48の内部を流れる作動油の流量を調整可能なオリフィス50が設けられる。オリフィス50は、第1連通路48の通路断面積より小径な孔部を有した円筒状に形成される。なお、第1連通路48にオリフィス50を設けなくてもよいし、該オリフィス50の形状は、前記第1連通路48を通じてピストン室40aから遠心補償圧室42a側へと流通させたい作動油の流量に応じて適宜設定される。
さらに、隔壁36には、遠心補償圧室42aに臨む端面に形成されピストン室40a側(矢印A方向)へと窪んだバルブ収容部52と、前記バルブ収容部52に臨むように設けられ第1連通路48の連通状態を切替可能な第1切替バルブ54とを備える。
バルブ収容部52は、例えば、隔壁36の内周側から外周側へ向けて徐々にピストン室40a側(矢印A方向)へと深く形成された断面略三角形状に形成され、その内周側近傍に第1連通路48の軸方向他端が開口している。なお、バルブ収容部52の最大深さは、例えば、隔壁36の軸方向厚さの1/2以上となるように形成される。
第1切替バルブ54は、例えば、弾性を有する板材から形成された板ばねが用いられ、その一端(内周端)が隔壁36の内周側、他端(外周端)が外周側となるように隔壁36と略平行に配置され、前記一端が前記隔壁36の端面に当接した状態で、例えば、該隔壁36の厚さ方向に貫通するリベット56によって固定される。換言すれば、第1切替バルブ54は、その延在方向に沿った一端のみが固定された片持ち構造である。
また、第1切替バルブ54は、隔壁36に支持された一端から他端に向けてピストン室40a側(矢印A方向)へと所定角度だけ折曲するように形成され、固定された一端から他端側となる部位がバルブ収容部52へと収容されると共に、前記他端には所定重量を有したウェイト(重り)58が装着されている。すなわち、第1切替バルブ54は、その他端側がウェイト58と共にバルブ収容部52へと収容されるように、隔壁36に対して所定角度傾斜した形状で予め形成されている。
そして、第1切替バルブ54は、リベット56で支持された一端を支点として他端側が傾動自在に設けられ、バルブ収容部52に収容されることで第1連通路48の軸方向他端を塞ぎ、前記第1連通路48を通じたピストン室40aと遠心補償圧室42aとの連通を遮断している。
カバー部38は、筒部34の軸方向他端を覆うと共に、隔壁36から軸方向(矢印B方向)に所定距離だけ離間して略平行に設けられ、該筒部34に対して略直交するように接続されると共に、その内周面がドライブシャフト12の外周面に対して摺接するように設けられる。
また、カバー部38には、筒部34に近接する外周部近傍に厚さ方向(軸方向)に貫通した第2連通路62を備え、該第2連通路62を通じてカバー部38の内部に形成された遠心補償圧室42aと外部とが連通している。この第2連通路62は、隔壁36に設けられる第1連通路48と比較して径方向外側、すなわち、筒部34側となるように配置されている。
さらに、カバー部38の外側には、第2連通路62に臨むように該第2連通路62の連通状態を切替可能な第2切替バルブ64を備える。
第2切替バルブ64は、第1切替バルブ54と同様に、例えば、弾性を有する板材から形成された板ばねが用いられ、その一端(内周端)が第2連通路62に対して内周側となり、他端(外周端)が外周側となるようにカバー部38と略平行に配置される。そして、第2切替バルブ64は、その一端がカバー部38の端面に当接した状態で、例えば、該カバー部38の厚さ方向に貫通するリベット66によって固定される。換言すれば、第2切替バルブ64は、その延在方向に沿った一端のみが固定された片持ち構造である。
また、第2切替バルブ64は、カバー部38に支持された一端から他端に向けて該カバー部38から離間する方向(矢印B方向)へと所定角度だけ折曲するように形成され、その他端には所定重量を有したウェイト(重り)68が装着されている。すなわち、第2切替バルブ64は、その他端側がウェイト68と共にカバー部38に対して所定角度傾斜した形状で予め形成される。
そして、第2切替バルブ64は、リベット66で支持された一端を支点として他端側が傾動自在に設けられ、その他端側がカバー部38から離間することで第2連通路62の軸方向他端を開放し、前記第2連通路62を通じて遠心補償圧室42aと外部とが連通している。この第2切替バルブ64は、第1切替バルブ54に対して径方向外側となるように配置されている。
上述したドライブプーリ16は、ピストン室40aに供給された作動油によって第1可動側プーリ半体28が第1固定側プーリ半体26側(矢印A方向)へと付勢され前記ドライブシャフト12に沿って前記第1固定側プーリ半体26側へ接近するように移動する。一方、ピストン室40aへの作動油の供給量を減少させることで、前記第1可動側プーリ半体28が前記第1固定側プーリ半体26から離間する方向(矢印B方向)へと移動する。
これにより、第1可動側プーリ半体28と第1固定側プーリ半体26との間の軸方向距離(溝幅)が変化し、それに伴って、両者の間に巻き掛けられた金属ベルト20が径方向に移動し回転半径を変化させることで、ドライブプーリ16からドリブンプーリ18への駆動力の変速比が変更される。
一方、ドリブンプーリ18は、図1に示されるように、ドリブンシャフト14に固設された円板状の第2固定側プーリ半体(固定側プーリ半体)70と、該第2固定側プーリ半体70に対してドリブンシャフト14の軸方向(矢印A、B方向)に摺動自在な円板状の第2可動側プーリ半体(可動側プーリ半体)72とを有し、前記第2固定側プーリ半体70が前記ドリブンシャフト14の軸方向他方側(矢印B方向)、前記第2可動側プーリ半体72が前記第2固定側プーリ半体70に対して軸方向一方側(矢印A方向)となるように配置される。
また、第2可動側プーリ半体72は、後述するピストン室40bに供給される作動油の油圧により、第2固定側プーリ半体70との間の溝幅(ドリブンプーリ18の溝幅)が可変となるように設けられる。
なお、ドリブンプーリ18は、図1に示されるように、ドライブプーリ16と同一の構成で軸方向に対称となるように配置されるものであるため、同一の構成要素には同一の参照符号を付すと共に、その詳細な説明については省略する。
第2可動側プーリ半体72には、プーリ片32に臨み作動油の供給されるピストン室40bと、隔壁36を挟んで前記ピストン室40bと隣接する遠心補償圧室42bとを備え、前記ピストン室40bは、ドリブンシャフト14の外周側において、プーリ片32、ボス部30、筒部34及び隔壁36に囲まれることで環状に形成され、前記ドリブンシャフト14の外周面に開口した接続路24を介して油供給路22bと連通している。
そして、隔壁36には、遠心補償圧室42bに臨む端面に形成されピストン室40b側へと窪んだバルブ収容部52を有し、前記バルブ収容部52には第1連通路48の連通状態を切替可能な第1切替バルブ54が設けられている。
また、第2可動側プーリ半体72のカバー部38には、筒部34に近接する外縁部近傍に厚さ方向(軸方向)に貫通した第2連通路62を備え、前記第2連通路62を通じてカバー部38の内部に形成された遠心補償圧室42bと外部とが連通すると共に、第2連通路62に臨むカバー部38の外側には、該第2連通路62の連通状態を切替可能な第2切替バルブ64を備えている。
そして、ドリブンプーリ18は、ピストン室40bに供給された作動油によって第2可動側プーリ半体72が第2固定側プーリ半体70側(矢印B方向)へと付勢され前記ドリブンシャフト14に沿って前記第2固定側プーリ半体70側へ接近するように移動する、一方、ピストン室40bへの作動油の供給量を減少させることで、第2可動側プーリ半体72が第2固定側プーリ半体70から離間する方向(矢印A方向)へと移動する。
これにより、第2可動側プーリ半体72と第2固定側プーリ半体70との間の軸方向距離(溝幅)が変化し、それに伴って、両者の間に巻き掛けられた金属ベルト20が径方向に移動し回転半径を変化させることで、ドライブプーリ16からドリブンプーリ18への駆動力の変速比が変更されて伝達される。
本発明の実施の形態に係る無段変速機10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、無段変速機10の搭載された車両が停止した状態を初期状態として説明する。
先ず、図示しないエンジンが既に駆動しており駆動力が車両の駆動輪へと伝達されていない初期状態において、前記車両を発進させるために運転者が図示しないセレクトレバーを操作することで、電子制御ユニット(図示せず)からの指令に基づいて前記エンジンからの駆動力(トルク)が無段変速機10のドライブシャフト12へと伝達され、該ドライブシャフト12と共にドライブプーリ16が一体的に回転する。
また、車両を停止状態から発進させる際、無段変速機10では、ドライブプーリ16の溝幅を大きくして金属ベルト20の回転半径を小さくすると共に、ドリブンプーリ18の溝幅を小さくして前記金属ベルト20の回転半径を大きくすることで、変速比を大きくする制御が行われる。
具体的には、ドライブプーリ16では、作動油で満たされたピストン室40aに対して作動油が供給されることがなく、前記作動油の圧力が上昇することがないため第1可動側プーリ半体28が第1固定側プーリ半体26から離間する方向(矢印B方向)へと移動することとなる。そのため、第1固定側プーリ半体26と第1可動側プーリ半体28との溝幅(軸間距離)が大きくなり、第1可動側プーリ半体28及び第1固定側プーリ半体26の傾斜面に沿って金属ベルト20が径方向内側へと移動して回転半径が小さくなる。
さらに、上述したように車両が停止又は低速で走行しており、それに伴って、ドライブプーリ16が低回転で回転している状態では、第1可動側プーリ半体28の第1及び第2切替バルブ54、64に対して働く遠心力が小さいため、該第1及び第2切替バルブ54、64が共に傾動することがなく、前記第1切替バルブ54によって第1連通路48が閉じられ、前記第2切替バルブ64によって第2連通路62の開放された状態が維持される。
また、ドライブプーリ16の回転に伴ってピストン室40a内の作動油に遠心力が働き、前記ピストン室40aにおける径方向外側近傍の圧力が上昇するが、その圧力上昇は、ドライブプーリ16が高回転した状態と比較してわずかなものとなる。そのため、遠心力による圧力上昇に伴った第1可動側プーリ半体28に対する軸方向一方側(矢印A方向)への遠心押圧力はわずかなものとなり、該第1可動側プーリ半体28を第1固定側プーリ半体26側へと押圧するほどの大きさとはならない。
さらに、遠心補償圧室42a内の作動油に対しても遠心力が働くが、第2切替バルブ64によって第2連通路62が開放されているため、前記第2連通路62を通じて前記作動油が外部へと排出されることで前記遠心補償圧室42aにおける圧力上昇が回避され、前記遠心力による圧力上昇に伴ってカバー部38を軸方向他方側へと押圧する遠心押圧力(キャンセル圧ともいう)が発生することがない。
一方、ドリブンプーリ18では、電子制御ユニット(図示せず)からの指令に基づいて図示しない油圧供給装置から油供給路22bへと作動油が供給され、接続路24を通じて第2可動側プーリ半体72のピストン室40b内へと供給されることで、前記作動油の油圧によって前記第2可動側プーリ半体72のプーリ片32が第2固定側プーリ半体70側(矢印B方向)へと押圧され、それに伴って、前記第2可動側プーリ半体72が第2固定側プーリ半体70側(矢印B方向)へと接近する。
これにより、第2可動側プーリ半体72と第2固定側プーリ半体70との間の溝幅(軸間距離)が小さくなり、金属ベルト20が、前記第2可動側プーリ半体72及び前記第2固定側プーリ半体70の傾斜面に沿って径方向外側へと移動することで回転半径が大きくなる。その結果、ドライブプーリ16からドリブンプーリ18へと伝達される駆動力の変速比が大きくなる。
そして、エンジンからドライブシャフト12へと伝達された駆動力は、ドライブプーリ16において第1固定側プーリ半体26と第1可動側プーリ半体28との間に挟み込まれた金属ベルト20へと伝達され、前記金属ベルト20が回転することで第2固定側プーリ半体70と第2可動側プーリ半体72との間に該金属ベルト20を挟み込んだドリブンプーリ18へと所定の変速比で伝達される。
この際、ドリブンプーリ18が回転し始めて低回転である場合には、第2可動側プーリ半体72の第1及び第2切替バルブ54、64に対して働く遠心力が小さいため、前記第1及び第2切替バルブ54、64が傾動することがなく、前記第1切替バルブ54によって第1連通路48が閉じられ、前記第2切替バルブ64によって第2連通路62の開放された状態が維持される。そのため、ピストン室40bに供給された作動油が第1連通路48を通じて遠心補償圧室42b側へと流入することがなく、ピストン室40bに供給された全ての作動油の油圧によって第2可動側プーリ半体72が第2固定側プーリ半体70側(矢印B方向)へと所定のバルブ制御圧(押圧力)で付勢される。
また、ドリブンプーリ18の回転に伴ってピストン室40b内の作動油に遠心力が働き、前記ピストン室40bにおける径方向外側近傍の圧力が上昇するが、その圧力上昇は、前記ドリブンプーリ18が高回転した状態と比較してわずかなものとなる。そのため、遠心力による圧力上昇に伴った第2可動側プーリ半体72に対する軸方向他方側(矢印B方向)への遠心押圧力はわずかなものとなり、該第2可動側プーリ半体72を第2固定側プーリ半体70側へと押圧するほどの大きさにはならない。
さらに、遠心補償圧室42b内の作動油に対しても遠心力が働くが、第2切替バルブ64によって第2連通路62が開放されているため、前記第2連通路62を通じて作動油が外部へと排出されることで前記遠心補償圧室42bにおける圧力上昇が回避され、遠心力による圧力上昇に伴ってカバー部38を軸方向一方側へと押圧する遠心押圧力(キャンセル圧)が発生することがない。
そして、ドライブプーリ16からドリブンプーリ18へと所望の変速比で伝達された駆動力は、第2固定側プーリ半体70に固設されたドリブンシャフト14から図示しないディファレンシャルギア等を介して車両の駆動輪へと伝達される。
次に、上述した車両の走行中において、図示しないエンジンから無段変速機10へ伝達される駆動力の変速比を変更することで、前記無段変速機10が高回転で回転する場合について説明する。この車両の高速での走行中において、無段変速機10では、ドライブプーリ16の溝幅を小さくすることで金属ベルト20の回転半径を大きくすると共に、ドリブンプーリ18の溝幅を大きくすることで前記金属ベルト20の回転半径を小さくすることで変速比を小さくする制御が行われる。
先ず、図示しない電子制御ユニット(図示せず)からの指令に基づいてドリブンプーリ18への作動油の供給量を減少させる一方、ドライブプーリ16に対する作動油の供給量を増加させる。これにより、ドリブンプーリ18では、第2可動側プーリ半体72におけるピストン室40bの油圧が低下することで第2可動側プーリ半体72が第2固定側プーリ半体70から離間する方向(矢印A方向)へと移動し、両者の軸間距離(溝幅)が徐々に大きくなることで金属ベルト20の回転半径が小さくなっていく。
一方、ドライブプーリ16では、図3に示されるように、油供給路22aを通じて第1可動側プーリ半体28のピストン室40aに作動油が供給されることで、前記第1可動側プーリ半体28が第1固定側プーリ半体26側(矢印A方向)へと付勢され所定距離だけ移動する。これにより、第1可動側プーリ半体28と第1固定側プーリ半体26との軸間距離(溝幅)が小さくなり、それに伴って、第1可動側プーリ半体28及び第1固定側プーリ半体26の傾斜面に沿って金属ベルト20が径方向外側へと移動して回転半径が大きくなることで、ドライブプーリ16からドリブンプーリ18へと伝達される駆動力の変速比が変更される。
また、ドライブプーリ16が高回転することでピストン室40a内の作動油に遠心力が働き、該ピストン室40aにおける径方向外側近傍の圧力が上昇すると共に、第1及び第2切替バルブ54、64にも同様に遠心力が働く。そのため、第1及び第2切替バルブ54、64は、その外端に設けられたウェイト58、68が該遠心力によって径方向外側へと引っ張られ、第1切替バルブ54がバルブ収容部52から遠心補償圧室42a側(矢印B方向)へと傾動して第1連通路48を開放し、第2切替バルブ64はカバー部38側(矢印A方向)へと傾動することで第2連通路62の軸方向他端を閉塞する。
これにより、ピストン室40aと遠心補償圧室42aとが第1連通路48を通じて連通し、前記遠心補償圧室42aと外部への第2連通路62を通じた連通が遮断され、ピストン室40aにおける作動油の一部が第1連通路48を通じて遠心補償圧室42a側へと流入し、前記遠心補償圧室42a内の作動油が増加する。また、第2連通路62を通じた遠心補償圧室42aと外部との連通が遮断されているため、前記遠心補償圧室42aから外部へと作動油が排出されることがなく、該作動油の油圧が上昇することなる。
その結果、図3に示されるように、ピストン室40aでは、供給された作動油によって第1可動側プーリ半体28のプーリ片32に対して第1固定側プーリ半体26側(矢印A方向)へと付勢するバルブ制御圧MPが付与されると共に、遠心力に起因して径方向外側近傍で最も大きくなり軸方向一方側(矢印A方向)へと付勢する遠心押圧力CP1が発生する。
一方、遠心補償圧室42aでは、該遠心補償圧室42a内の作動油に対して遠心力が働き、径方向外側近傍で最も大きくなる遠心押圧力CP2が発生し、該遠心押圧力CP2が、カバー部38を軸方向他方側(矢印B方向)へと押圧するように付与される。なお、遠心押圧力CP2は、ピストン室40aにおける径方向外側で最大となるように軸方向両側へと働くが、隔壁36がドライブシャフト12に対して固定されているため、移動自在な第1可動側プーリ半体28を押圧するように軸方向一方側へ付勢される。
この遠心補償圧室42aの遠心押圧力CP2は、第1連通路48を通じてピストン室40aの作動油を前記遠心補償圧室42a側へと導入することで、ピストン室40aで発生する遠心押圧力CP1の絶対値と同じとなるように設定される(CP1=CP2)。
詳細には、第1連通路48の内部にオリフィス50を設けることで、無段変速機10の高回転時において第1連通路48を通じてピストン室40aから遠心補償圧室42a側へと流通する前記作動油の流量を制御している。
これにより、ピストン室40aにおいて第1可動側プーリ半体28のプーリ片32を軸方向一方側(矢印A方向)へ押圧する遠心押圧力CP1と、遠心補償圧室42aで前記第1可動側プーリ半体28のカバー部38を軸方向他方側(矢印B方向)へと押圧する遠心押圧力CP2とが同一の大きさで、互いに反対方向に働くこととなるため好適に相殺される。換言すれば、互いに軸方向反対側へと働く遠心押圧力CP1と遠心押圧力CP2とが釣り合うことで相殺される。
そのため、無段変速機10の高回転時において、遠心力の影響によって第1可動側プーリ半体28がバルブ制御圧MPに加えて遠心押圧力CP1によって第1固定側プーリ半体26側(矢印A方向)へと押圧されてしまうことが防止され、所望のバルブ制御圧MPのみで軸方向一方側(矢印A方向)へと押圧される。
一方、ドライブプーリ16からの駆動力が金属ベルト20を介して高回転でドリブンプーリ18へと伝達される際、前記ドリブンプーリ18が高回転で回転することで生じる遠心力によってピストン室40b内の径方向外側近傍で作動油の圧力が上昇すると共に、第1及び第2切替バルブ54、64のウェイト58、68がそれぞれ前記遠心力によって径方向外側へと引っ張られ、第1切替バルブ54によって第1連通路48が開放され、第2切替バルブ64によって第2連通路62が閉塞される。
これにより、第2可動側プーリ半体72におけるピストン室40bと遠心補償圧室42bとが第1連通路48を通じて連通し、前記遠心補償圧室42bと外部への第2連通路62を通じた連通が遮断され、ピストン室40bにおける作動油の一部が第1連通路48を通じて遠心補償圧室42b側へと導入されて前記遠心補償圧室42b内の作動油が増加する。
そして、ピストン室40bでは、遠心力によって生じる遠心押圧力CP1で第2可動側プーリ半体72のプーリ片32が第2固定側プーリ半体70側(矢印B方向)へと押圧されるが、遠心補償圧室42bにおいて、前記遠心力によってカバー部38を前記第2固定側プーリ半体70側とは反対方向(矢印A方向)へ付勢し、且つ、遠心押圧力CP1と同じ絶対値となる遠心押圧力CP2によってカバー部38が押圧されることで、前記遠心押圧力CP1と前記遠心押圧力CP2とが好適に相殺される。そのため、第2可動側プーリ半体72が所定位置から軸方向に移動することがない。
このように、エンジンからドライブシャフト12へと高回転で伝達された駆動力は、ドライブプーリ16において第1固定側プーリ半体26と第1可動側プーリ半体28との間に挟み込まれた金属ベルト20へと伝達され、前記金属ベルト20が回転することで第2固定側プーリ半体70と第2可動側プーリ半体72との間に該金属ベルト20を挟み込んだドリブンプーリ18へと所望の変速比で伝達される。そして、ドリブンプーリ18の第2固定側プーリ半体70に固設されたドリブンシャフト14から図示しないディファレンシャルギア等を介して車両の駆動輪へと伝達される。
なお、上述した第1及び第2切替バルブ54、64は、板ばねから構成される場合に限定されるものではなく、ドライブプーリ16及びドリブンプーリ18の遠心力を利用して開閉可能な構成であればよい。
以上のように、本実施の形態では、エンジンからの駆動力を変速して車両の駆動輪へと伝達するための無段変速機10において、ドライブプーリ16及びドリブンプーリ18を構成する第1及び第2可動側プーリ半体28、72には、作動油が供給され隔壁36によって前記軸方向に分離されるピストン室40a、40b及び遠心補償圧室42a、42bをそれぞれ有し、前記隔壁36には、前記ピストン室40a、40bと前記遠心補償圧室42a、42bとを連通する第1連通路48と、ドライブプーリ16及びドリブンプーリ18の回転によって生じる遠心力によって前記第1連通路48を開放する第1切替バルブ54とが設けられている。一方、第1及び第2可動側プーリ半体28、72のカバー部38には、遠心補償圧室42a、42bと外部とを連通する第2連通路62と、前記遠心力によって第2連通路62を閉じる第2切替バルブ64とが設けられている。
従って、無段変速機10を構成するドライブプーリ16及びドリブンプーリ18の低回転時には、第1切替バルブ54によって第1連通路48を閉じ、第2切替バルブ64によって第2連通路62を開放することで、ピストン室40a、40bに供給された作動油の圧力(バルブ制御圧MP)によって第1及び第2可動側プーリ半体28、72を第1及び第2固定側プーリ半体26、70側へと所望の圧力で押圧して移動させることができる。また、遠心補償圧室42a、42bにおける作動油を外部へと排出可能な構成とすることで、キャンセル圧(遠心押圧力CP2)の発生を防止することができる。
一方、ドライブプーリ16及びドリブンプーリ18の高回転時には、第1連通路48を開放し第2連通路62を閉じることで、ピストン室40a、40bにおける作動油の一部を遠心補償圧室42a、42bへと供給することで、遠心力によってピストン室40a、40bの作動油に生じる第1及び第2固定側プーリ半体26、70側への遠心押圧力CP1に対し、遠心力によって遠心補償圧室42a、42bの作動油に生じる前記第1及び第2固定側プーリ半体26、70と反対側への遠心押圧力CP2を同一として好適に相殺させることができる。
その結果、油圧室へ作動油を供給するための通路と、調整油室に調整油を供給するための通路とを別の構成としていた従来の無段変速機と比較し、ドライブシャフト12及びドリブンシャフト14にそれぞれピストン室40a、40bに作動油を供給可能な単一の油供給路22a、22b(接続路24)を設けるという簡素な構成で、第1及び第2可動側プーリ半体28、72に付与される遠心押圧力CP1を好適に相殺させて所望のバルブ制御圧MPで移動させることができる。そのため、無段変速機10の小型化及び製造コストの削減を図ることが可能となると共に、第1及び第2可動側プーリ半体28、72による過剰な押圧力によって金属ベルト20が第1及び第2固定側プーリ半体26、70との間に挟まれて損傷してしまうことも防止できる。
また、作動油を貯留するためのピストン室40a、40b及び遠心補償圧室42a、42bをドライブシャフト12及びドリブンシャフト14の軸方向に沿うように配置しているため、調整油を貯留可能な調整油室を油圧室の外周側に配置している従来の無段変速機と比較し、径方向寸法を抑制して小型化を図ることができる。
さらに、無段変速機10の高回転時において、オイルポンプ等の油圧供給装置を駆動させることなくピストン室40a、40bから遠心補償圧室42a、42bへと供給される作動油によってキャンセル圧(遠心押圧力CP2)を発生させることができるため、前記油圧供給装置を駆動させるための消費電力を削減して省エネルギー化を図ることができると共に、作動油の供給される複数の通路をプーリ軸に設けていた従来の無段変速機と比較し、単一の油供給路22a、22bを容易に加工して製造することができるため、無段変速機10の製造コストを削減することが可能となる。
さらにまた、第1及び第2可動側プーリ半体28、72において、第1連通路48及び第1切替バルブ54を、第2連通路62及び第2切替バルブ64に対して径方向内側となるように配置しているため、例えば、無段変速機10が低回転で回転しており、遠心力による遠心押圧力CP1がピストン室40a、40bにおいて発生せず、遠心補償圧室42a、42bにおけるキャンセル圧(遠心押圧力CP2)の発生が必要となされない場合に、前記遠心補償圧室42a、42b内における作動油の貯留量を少なくしておくことが可能となる。
またさらに、無段変速機10の低回転時において、第1切替バルブ54によって第1連通路48を閉じ、第2切替バルブ64によって第2連通路62を開放することで、ピストン室40a、40bへ供給された作動油が遠心補償圧室42a、42b側へと流入することを防止し、前記ピストン室40a、40bへ供給された作動油によって第1及び第2可動側プーリ半体28、72のプーリ片32を第1及び第2固定側プーリ半体26、70側へ向けて所望のバルブ制御圧MPのみで確実に押圧して移動させることができ、さらに、遠心補償圧室42a、42b内の作動油によるキャンセル圧(遠心押圧力CP2)の発生を確実に回避することができる。
また、第1及び第2切替バルブ54、64が、第1及び第2可動側プーリ半体28、72の径方向に沿って設けられ、その内周端が第1及び第2可動側プーリ半体28、72の隔壁36、カバー部38にそれぞれ支持され外周端側が傾動自在な片持ち構造からなり、前記外周端側にウェイト58、68がそれぞれ設けられている。
そのため、ドライブプーリ16及びドリブンプーリ18の高回転時に、遠心力によってウェイト58、68の設けられた外周端を径方向外側へと好適に引っ張って前記第1及び第2切替バルブ54、64を容易且つ確実に傾動させ第1及び第2連通路48、62の連通状態を切り替えることができると共に、簡素な構成であるため製造コストの削減を図ることができ、しかも、軸方向への大型化を抑制することが可能である。
また、ピストン室40a、40bに隣接する遠心補償圧室42a、42b、前記ピストン室40a、40bと前記遠心補償圧室42a、42bとを連通する第1連通路48、前記第1連通路48を開閉する第1切替バルブ54、前記遠心補償圧室42a、42bと外部とを連通する第2連通路62、前記第2連通路62を開閉する第2切替バルブ64は、上述したようにドライブプーリ16及びドリブンプーリ18にそれぞれ設けられる場合に限定されるものではなく、例えば、ドライブプーリ16及びドリブンプーリ18のいずれか一方のみに設けられていてもよい。
なお、本発明に係る無段変速機は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…無段変速機 16…ドライブプーリ
18…ドリブンプーリ 20…金属ベルト
22a、22b…油供給路 26…第1固定側プーリ半体
28…第1可動側プーリ半体 36…隔壁
38…カバー部 40a、40b…ピストン室
42a、42b…遠心補償圧室 48…第1連通路
54…第1切替バルブ 62…第2連通路
64…第2切替バルブ 70…第2固定側プーリ半体
72…第2可動側プーリ半体

Claims (5)

  1. 固定側プーリ半体及び該固定側プーリ半体に対して軸方向に相対移動可能な可動側プーリ半体を有したドライブプーリ及びドリブンプーリと、前記ドライブプーリと前記ドリブンプーリとの間に巻き掛けられた無端部材とを備え、前記ドライブプーリの溝幅と前記ドリブンプーリの溝幅とをそれぞれ作動油の油圧で変化させることで変速比を変化させる無段変速機において、
    前記可動側プーリ半体は、隔壁によって前記軸方向に分離され前記作動油の供給される油圧室及び遠心補償圧室と、
    前記隔壁に形成され前記油圧室と前記遠心補償圧室とを連通する第1連通路と、
    前記遠心補償圧室と前記可動側プーリ半体の外部とを連通する第2連通路と、
    前記ドライブプーリ又は前記ドリブンプーリの回転によって生じる遠心力によって前記第1連通路を開放する第1切替バルブと、
    前記ドライブプーリ又は前記ドリブンプーリの回転によって生じる遠心力によって前記第2連通路を閉じる第2切替バルブと、
    を備える、無段変速機。
  2. 請求項1記載の無段変速機において、
    前記第1連通路及び第1切替バルブは、前記第2連通路及び前記第2切替バルブよりも前記可動側プーリ半体の径方向内側に配設される、無段変速機。
  3. 請求項1又は2記載の無段変速機において、
    前記ドライブプーリ又は前記ドリブンプーリの非回転時において、前記第1切替バルブが前記第1連通路を閉じ、前記第2切替バルブが前記第2連通路を開放する、無段変速機。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の無段変速機において、
    前記第1及び第2切替バルブは、前記可動側プーリ半体の径方向に沿って設けられ、その内周端が前記可動側プーリ半体に支持され外周端側が傾動自在な片持ち構造からなり、前記外周端側に重りが設けられる、無段変速機。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の無段変速機において、
    前記第1切替バルブは前記遠心補償圧室の内部に設けられ、前記第2切替バルブは前記遠心補償圧室の外部に設けられる、無段変速機。
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