JPH10195427A - 蛍光体粒子の外面の組成物を化学的に変性する方法、ランプの光束維持の改善方法、蛍光体粉末、および蛍光体被覆組成物 - Google Patents

蛍光体粒子の外面の組成物を化学的に変性する方法、ランプの光束維持の改善方法、蛍光体粉末、および蛍光体被覆組成物

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JPH10195427A
JPH10195427A JP9360442A JP36044297A JPH10195427A JP H10195427 A JPH10195427 A JP H10195427A JP 9360442 A JP9360442 A JP 9360442A JP 36044297 A JP36044297 A JP 36044297A JP H10195427 A JPH10195427 A JP H10195427A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光体粒子の外面の組成物の化学変性および
ランプの光束維持の改善のための方法、蛍光体粉末、お
よび蛍光体被覆組成物を提供する。 【解決手段】 蛍光体粒子表面を金属またはメタロイド
のイオンを用いて化学的に変性し、これを用いてランプ
エンベロープ内面を被覆する。 【効果】 この蛍光体は、改善された光束維持、紫外線
フィルター性、低い水親和性または反応性、低い酸素脱
着性、または水銀または水銀化合物に対する低い静電誘
引性を示すこともできる。この方法は、信頼性があり、
コスト的に有利である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本出願は、同時提出出願〔代理人の整理番
号GR97P5401〕に関連する主題を含み、ここに
同時に共通して譲渡および提出されている。出願〔GR
97P5401〕は、引用文献として本出願に含まれ
る。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランプ蛍光体、か
つ特には、ランプに使用した場合に向上した光束維持を
示す表面変性蛍光体粉末、ならびに蛍光体粒子表面を変
性するための方法に関する。
【0003】
【従来の技術】蛍光ランプは、ランプを長く使用すると
明るさが徐々に低下することは公知である。この低い光
束維持に寄与する多くの因子があり、それには、ランプ
陰極からランプエンベロープへの不純物の沈着、原子相
互および原子間反応による蛍光体自体の変化、およびエ
ンベロープのガラス内の変化、例えば紫外線放射への暴
露によるものが含まれる。低い光束維持の主原因の一つ
は、ランプエンベロープの内面を被覆している蛍光体の
表面上への水銀化合物の沈着である。蛍光体がエンベロ
ープ内に含まれる水銀の原子およびイオンにより衝撃を
受けると、種々の水銀化合物が形成される。このような
水銀化合物の沈着は、特に、低コスト、低維持性蛍光
体、例えばオルトケイ酸亜鉛(合成ウイルマイト)また
はケイ酸バリウム蛍光体に有害である。水銀に対して反
応性が低いか、または高エネルギー紫外線照射に対して
フィルターとして作用する吸収能力を有する蛍光体粒子
表面は、蛍光ランプにおいて改善された光束維持を示す
であろう。
【0004】蛍光体粒子の表面を、例えば不活性物質、
例えばアルミナまたはその他の酸化物を用いて、ランプ
製造に使用する前に被覆して変性して、ランプ内の光束
維持を改善する試みがなされている。しかし、これらの
被覆の試みのあるものは、蛍光体への被覆の不良な接着
となっていた。また、高温における蛍光体本体物質中へ
の酸化物成分の固相拡散は、酸化物層と蛍光体基体との
間に新しい相境界を生成することがある。望ましくない
相は、例えばその結晶構造内に高濃度の転位または欠陥
を有する相となることがある。このような過剰の転位ま
たは欠陥は、固相拡散熱力学のある条件下では蛍光体に
対するエネルギートラップとして作用することがあり、
蛍光体の光束出力を低下し、かつ被覆の目的を損なう。
【0005】さらに、蛍光体粒子へ酸化物被覆を適用す
るための多くの従来のプロセスは、被覆のMOCVD
(有機金属化学蒸着)のために流動床中での蛍光体粉末
の懸濁を含む。このMOCVDプロセスは、流動床内の
粉末の懸濁を成功させるために、流動床反応器の使用、
複雑な計装、注意深い空気流と温度の監視、および非常
に狭い蛍光体粒子サイズ範囲の分離取り出しを必要とす
る。これらのプロセスの大部分では、酸化物被覆は、全
体を加熱した蛍光体基体上に沈着され、被覆を適用する
ために余分の工程を必要とし、このために蛍光体製造プ
ロセスのコストを高くする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、従来の技術に
よる不利を克服する蛍光体および蛍光体製造方法の提供
が本発明の課題である。
【0007】変性された表面性質を有する蛍光体の提供
も本発明の別の目的である。
【0008】改善された光束維持性を有する蛍光体の提
供も本発明の別の目的である。
【0009】水銀および水銀化合物に対して低い親和性
および反応性を示す蛍光体の提供も本発明の別の目的で
ある。
【0010】低い水親和性および水反応性を示す蛍光体
の提供も、本発明の別の目的である。
【0011】ランプ使用の間に低い酸素脱着性を示す蛍
光体の提供も本発明の別の目的である。
【0012】改善された維持性を示す表面変性蛍光体の
製造のために、信頼性があり、コスト的に有利な化学反
応プロセスの提供も本発明の別の目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】これらの課題の基づき、
本発明の一つの態様は、蛍光体粒子外面の組成物を化学
的に変性するための方法である。この方法は、イオン交
換反応による、粒子表面上における蛍光体の陽イオンの
選定された陽イオンによる置換である。より狭い態様に
おいては、反応は、溶液中に選定された陽イオンを含む
液状媒体、例えば水性媒体中で起きる。他のより狭い態
様においては、陽イオンが、蛍光体が化合物であるもの
とは異なる、金属またはメタロイド、例えばアルミニウ
ム、バリウム、カルシウム、ランタン、マグネシウム、
ストロンチウム、イットリウム、亜鉛、チタン、タンタ
ル、ホウ素、またはケイ素のイオンである。金属または
メタロイドイオンは、代表的には、水溶性塩、例えば金
属またはメタロイドの酢酸塩、ハロゲン化物、ギ酸塩、
酪酸塩、または硝酸塩により供給される。
【0014】別のより狭い態様においては、陽イオン置
換は、溶液中に金属またはメタロイドイオンを含む液状
媒体中の蛍光体粒子の懸濁液の形成を含む。蛍光体懸濁
液は、上記のイオン交換反応を可能にして、蛍光体粒子
外面に金属またはメタロイドの化合物の層を形成させる
ために十分な時間、撹拌される。粒子は、懸濁液からろ
別、乾燥して、変性された表面組成物を有する蛍光体粒
子を生成することができる。液状媒体中の金属またはメ
タロイド塩の量は、有利には、液状媒体中に懸濁してい
る蛍光体の重量に対して、約0.5〜1.5重量%であ
る。
【0015】他の態様においては、本発明は、ランプの
光束維持の改善方法である。この方法は、金属またはメ
タロイドの陽イオンを含む液状媒体中の蛍光体粒子の懸
濁液を形成して第一懸濁液の形成することよりなる。金
属またはメタロイドは、蛍光体が化合物であるものとは
異なる、例えば上記のものである。第一懸濁液は、金属
またはメタロイド陽イオンが蛍光体外面にある蛍光体の
陽イオンを置換して変性した表面組成物を有する蛍光体
粒子を生成するイオン交換反応を可能とするために十分
な期間、撹拌される。ランプエンベロープ内面は、結合
剤と水性媒体の溶液中に懸濁している変性粒子を含む懸
濁液の層で被覆される。蛍光体層は、蛍光体層がランプ
エンベロープ表面に接着するために十分なほど乾燥させ
る。次いで、ランプエンベロープを徐冷して、結合剤を
バーンアウトし、かつランプエンベロープ上に蛍光体粒
子の被覆を生成させ、それぞれの粒子は、その外面に金
属またはメタロイドの化合物を含む層を有する。
【0016】別の態様においては、本発明は、蛍光体物
質の個別の粒子を含む蛍光体粉末であり、それぞれの粒
子の外面は、蛍光体物質の陽イオンが蛍光体物質陽イオ
ンとは異なる陽イオンにより置換されている層である。
より狭い態様においては、異なる陽イオンは、金属また
はメタロイド、例えばアルミニウム、バリウム、カルシ
ウム、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、イッ
トリウム、亜鉛、チタン、タンタル、ホウ素、およびケ
イ素のイオンである。
【0017】さらに別の態様において、本発明は、ラン
プエンベロープの内面を被覆するための蛍光体被覆組成
物である。この組成物は、結合剤と水性媒体を含む溶液
中の蛍光体粉末の懸濁液を含む。蛍光体粉末は、蛍光体
物質の個別の粒子を含み、それぞれの粒子の外面は、蛍
光体物質の陽イオンが、例えば上記の蛍光体物質の陽イ
オンとは異なる金属またはメタロイドの陽イオンにより
置換されている層である。上記の金属またはメタロイド
は、例えば、アルミニウム、バリウム、カルシウム、ラ
ンタン、マグネシウム、ストロンチウム、イットリウ
ム、亜鉛、チタン、タンタル、ホウ素、またはケイ素で
あってもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】一つの例としての実施態様におい
て、蛍光体は、選択された陽イオンと蛍光体組成物自体
との間の反応により、蛍光体の物質とは異なる金属化合
物を含む層を用いて、表面変性または被覆されている。
この反応は、それぞれの個別の蛍光体粒子の表面で直接
起きる。このプロセスは、希望する陽イオン、例えば金
属イオンを、それぞれの蛍光体粒子の表面にある蛍光体
物質の陽イオンと置換するイオン交換反応を含む。ここ
に使用する用語「金属」は、金属またはメタロイド、例
えばケイ素またはホウ素を意味すると考える。
【0019】得られた変性粒子表面は、同様に被覆に対
して作用するが、蛍光体粉末の粒子に化学的に接着して
いる。従って、蛍光体は、改善された接着および改善さ
れた光束維持を示す。その上、蛍光体物質および陽イオ
ンを適切に選択することにより、蛍光体表面は、紫外線
フィルター性、低下した水親和性または水との反応性、
低下した酸素脱着、または水銀または水銀化合物に対す
る低下した静電吸引性を示すように適合させて製造でき
る。
【0020】イオン交換反応は、蛍光体粉末の懸濁液を
液体、例えば溶液中に希望する陽イオンを含む水性媒体
中で、希望する反応の進行度となるために十分な時間、
撹拌して行わせてもよい。選択された液状媒体は重要で
はないが、陽イオン含有成分を実質的に溶解させるが、
その中に蛍光体化合物が著しくは溶解しないようなどの
ような液体であってもよい。有利には、溶液中の陽イオ
ンの量および時間は、それぞれの蛍光体粒子の表面にお
いて、置換された陽イオンの高い濃度となるために十分
である。イオン交換の最適な程度とするための溶液中の
陽イオン量は、不適切な実験ではなく、経験的に決定で
きる。あるいは、その量は、蛍光体化合物物質、その表
面積、交換すべきイオンの相対価、および希望する表面
化学配合を考慮して実験の前に推定できる。有利には、
陽イオン成分、例えば水溶性金属塩の過剰量を添加し
て、最大の表面変性を行わせる。代表的には、懸濁液中
の蛍光体の重量に対して、約0.5〜1.5重量%の金
属塩添加物が、最大の表面変性を行わせるために十分で
ある。可溶性金属塩は、例えば、選択された媒体中に溶
ける酢酸塩、ハロゲン化物、ギ酸塩、酪酸塩、または硝
酸塩またはその他の公知の金属塩であってもよい。溶液
中に過剰の陽イオンが存在している場合には、反応は、
自己限定性、すなわち、十分の時間を与えた場合に、イ
オン交換の範囲は、表面組成および温度などの因子に依
存する。
【0021】代表的には、撹拌時間2〜25時間がイオ
ン交換を行わせるためには十分であり、4〜16時間が
最も代表的である。特定の陽イオン/蛍光体の組合せに
対する最適反応時間は、経験的に決定される。有利に
は、反応時間は、表面性質に測定できる変化、例えば表
面変性蛍光体と非変性蛍光体を用いて製造されたランプ
の光束維持の測定できる相違を起こさせるために十分な
時間である。代表的には、反応時間は、例えば、希望す
る表面性質の測定できる変化の図表示における漸近的な
到達により、または反応時間を延長しても希望する表面
性質がそれ以上変化しなくなることにより測定できるよ
うな、イオン交換を最大とするために十分である。懸濁
液中の液体の量は、陽イオンによる蛍光体粒子表面の最
大の接触のために、懸濁液を半径方向に容易に撹拌でき
るために十分でなければならない。
【0022】ランプ製造のために、表面変性蛍光体は、
結合剤、および、代表的には接着促進化合物を含む水性
溶液中に懸濁され、かつランプエンベロープ内面に適用
される。あるいは、希望する陽イオンを含む水溶性化合
物を、蛍光体を含むランプ被覆スラリーに加え、ランプ
エンベロープに適用する前に必要な時間撹拌してもよ
い。被覆したランプエンベロープのバーンアウトは、ラ
ンプ表面上に接着した蛍光体被覆を残す。蛍光体/結合
剤スラリーを用いるランプ被覆プロセスのこのタイプ
は、この分野では公知である。
【0023】粒子表面に化学的に結合した陽イオンは、
蛍光体の表面特性を変化させる。従って、蛍光体の表面
性質は、特定の用途に合わせて調製でき、この蛍光体を
用いて製造されたランプの光束維持を増加できる。例え
ば、ケイ酸バリウム蛍光体(BaSi25:Pb)の場
合には、陽イオンは、水性懸濁液中に溶解した塩化ラン
タン(LaCl3)により供給されるランタンイオンで
あってもよい。懸濁液中のランタンイオンは、それぞれ
の蛍光体粒子の表面で起きるイオン交換反応における蛍
光体物質中のバリウムイオンと置換する。同様の反応機
構は、他の蛍光体の表面上におけるイオン交換反応にも
使用できる。例えば、蛍光体は、白色(Cool White)ハロ
リン酸蛍光体〔Ca5(PO43(F,Cl):Sb,
Mn〕、オルトケイ酸亜鉛蛍光体(Zn2SiO4:M
n)、カルシウムアパタイト蛍光体〔Ca5(PO43
F:Sb〕、または酸化イットリウム蛍光体(Y23
Zn)であってもよい。あるいは、陽イオンは、他の金
属、例えばアルミニウム、バリウム、カルシウム、ラン
タン、マグネシウム、ストロンチウム、イットリウム、
亜鉛、チタンまたはタンタル、またはメタロイド、例え
ばホウ素またはケイ素であってもよい。これらの成分の
代表的な組合せは、下記の表Iに記載してある。
【0024】
【表1】
【0025】特に、置換に価値があるのは、沈着してい
る水銀および水銀化合物から蛍光体の改善された保護を
与え、ランプの改善された光束維持となる陽イオンであ
る。これらの陽イオン交換は、カルシウムまたはバリウ
ムに対するランタン、カルシウムまたはバリウムに対す
るイットリウム、カルシウムに対するバリウム、または
カルシウムに対するアルミニウムを含む。
【0026】本明細書に記載した陽イオン交換の影響の
二三の実例は、下記である。(1)バリウムイオンで処
理したハロリン酸カルシウムは、紫外線フィルター効果
を示す。水銀により放射される高エネルギー紫外線の一
部、例えば低圧水銀ランプにおける185nmのHg線
は、ハロリン酸バリウムによりろ別され、ハロリン酸カ
ルシウム蛍光体をその作用から保護する。(2)カルシ
ウムアパタイト蛍光体粉末の親水性表面は、ランタンイ
オンによる処理により、親水性をさらに低することがで
きる。蛍光体粒子表面における水への親和性または水と
の反応性は低下し、これは蛍光体中の残留水を減らし、
かつ寿命を延長し、またこの蛍光体から製造されたラン
プの光束維持を改善する。(3)二ケイ酸バリウム蛍光
体から脱着する酸素は、ランタンイオンによる処理で減
少できる。ランタンイオンによるケイ酸塩表面における
末端酸素の低下は、ランプ使用の間の酸素損失による蛍
光体中の欠陥形成を低下させる。(4)二ケイ酸バリウ
ムまたはカルシウムアパタイト蛍光体の水銀に対する静
電誘引性は、ランタンイオンによる処理で低下でき、末
端ケイ酸塩基を除き、追加してSi−O−SiまたはS
i−O−Ca架橋を作る。蛍光体粒子表面における水銀
に対する低下した静電ポテンシャルは、蛍光体の光束維
持を改善する。代表的には、この反応は、室温で行われ
る。しかし、20〜80℃の範囲が上記の表に記載した
陽イオン/蛍光体の組合せに好適である。乾燥蛍光体粉
末を、陽イオン含有水溶液中に懸濁しても、または陽イ
オン含有化合物を蛍光体懸濁液に加えてもよい。別の態
様においては、陽イオンは、蛍光体製造装置の洗浄タン
クから直接採取した製造したままの蛍光体スラリーに加
えられる。他の別の態様においては、陽イオン含有化合
物を、ランプエンベロープ被覆のために製造した蛍光体
スラリーに加える。一部の陽イオン/蛍光体組合せで
は、例えばフッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、ま
たは硝酸(HNO3)の溶液を用いて、溶液のpHを調
整すると有効である。陽イオン交換反応機構は、溶液の
pHにより影響を受け、例えば酸触媒水素化/脱水素で
金属イオンの組み込みを促進する。また、HFは、一部
のSi−O結合をより高いエネルギーのSi−F結合に
置換して、化学結合を強化する。最適のpHは、経験的
に決定できる。
【0027】下記の実施例は、この分野の専門家に、本
発明をさらに明確に理解し、実施させるために記載する
ものである。これらの実施例は、本発明の範囲に対する
制限ではなく、その例示および代表的なものと考えるべ
きである。
【0028】
【実施例】
実施例1 白色蛍光体〔Ca5(PO43(F,Cl)〕:Sb,
Mn〕100gおよび硝酸ランタン(La(NO33
添加剤約1gを脱イオン水約600ml中に撹拌して混
入し、試料1を調製した。この蛍光体懸濁液を室温で約
4時間撹拌し、次いでろ過、乾燥、およびふるい分け
(378メッシュ)した。
【0029】試料2は、酢酸バリウム〔Ba(C23
23〕で硝酸ランタンを置換したことを除いて、試料1
と同様に調製した。
【0030】試料3は、白色蛍光体100gと、硝酸ラ
ンタン約1gを水約600ml中に撹拌して混入して、
試料1の場合と同様に調製した。しかし、懸濁液を約5
分間撹拌した後に、28.9Nフッ化水素酸(HF)2
滴を懸濁液に加えて、表面における末端Si−O結合の
除去を助けた。次いでさらに撹拌を4時間続けた。実施
例1と同様にして懸濁液をろ過、乾燥、およびふるい分
けした。
【0031】試料4は、製造プロセスからの蛍光体スラ
リーから直接調製した。塩化ランタン(LaCl3)約
1gを、蛍光体製造装置の洗浄タンクから直接採取した
白色蛍光体スラリー、比重(SPG)=1.330、1
300ml中に撹拌して混入した。このスラリーを約4
時間撹拌し、次いで、実施例1の記載のようにして、ろ
過、乾燥およびふるい分けした。
【0032】試料5は、ケイ酸バリウム蛍光体から調製
した。量約50gのケイ酸バリウム蛍光体と、LaCl
3・7H2O約0.358gとを水200ml中に撹拌し
て混入し、4時間撹拌した。この懸濁液を、実施例1の
記載のようにして、ろ過、乾燥およびふるい分けした。
【0033】試料1〜5と、未使用の白色ハロリン酸塩
蛍光体(「CW1〕および「CW2」と呼ぶ)の2種の
対照試料および未使用の酸バリウム蛍光体(「BS」と
呼ぶ)の1種の対照試料とを、ESCA(化学分析用電
子分光法)で試験して、蛍光体粒子表面における原子組
成を測定した。その結果を表IIに記載する。
【0034】
【表2】
【0035】試料1〜5およびそれぞれの対照蛍光体の
試料をSNMS(スパッタリング中性質量分析法)プロ
ファイリングによっても試験して、粒子表面から種々の
深さにおける蛍光体の組成を測定した。以下に結果を考
察する。
【0036】試料1〜3および4のESCA結果を、そ
れぞれ対照試料CW1およびCW2の結果と比較する
と、白色蛍光体の粒子表面において、ランタンまたはバ
リウムイオンのかなりの数が、カルシウムイオンを置換
していることが分かる。試料5のESCA結果を、対照
試料BSのものと比較すると、ケイ酸バリウム蛍光体の
粒子表面において、ランタンのかなりの数が、バリウム
イオンを置換していることが分かる。SNMS試験は、
白色蛍光体粒子の表面は、蛍光体粒子のコアと比較し
て、カルシウムが低下し、ランタンまたはバリウム(な
らびにリン)が増加しているが、ケイ酸バリウム蛍光体
粒子の表面は、粒子のコアと比較して、ランタン(なら
びにケイ素および酸素)が増加し、バリウムが低下して
いることを示している。このように、ESCAとSNM
Sの結果は、上記の各種プロセスのそれぞれにおいて、
イオン交換反応の有効性を実証している。
【0037】実施例2 試料6は、製造プロセスの蛍光体スラリーから直接、試
料4の記載と同様にして調製した。酢酸ランタン〔La
(C2323〕約1gを、蛍光体製造装置の洗浄タン
クから直接採取した白色蛍光体スラリー(SPG=1.
330)1300ml中に撹拌して混入した。この懸濁
液を約4時間撹拌し、次いでろ過したが乾燥はしなかっ
た。ランプ加工に使用する前に、湿潤蛍光体ケークを手
で破砕した。
【0038】試料7は、酢酸ランタンを酢酸マグネシウ
ム〔Mg(C2323〕で置換した他は、試料6と同
様にして調製した。
【0039】試料8は、撹拌の後で、ランプ加工に使用
する前に、実施例1の記載と同様にして、蛍光体を乾
燥、ふるい分けした他は、試料6と同様にして調製し
た。
【0040】試料9は、酢酸ランタンを酢酸マグネシウ
ム〔Mg(C2323〕で置換し、かつ実施例1の記
載と同様にして、蛍光体を乾燥、ふるい分けした他は、
試料6と同様にして調製した。
【0041】試料10は、酢酸ランタンを酢酸ストロン
チウム〔Sr(C2323〕で置換し、かつ撹拌の後
に実施例1の記載と同様にして、蛍光体を乾燥、ふるい
分けした他は、試料6と同様にして調製した。
【0042】試料6〜10と対照試料CW3およびCW
4とを、標準F40T12蛍光ランプ中に組み込み、ラ
ンプ維持を測定した。ランプの試験データは、表III
に記載してあり、これは、ランプ使用100時間後の光
束出力、およびそれぞれの表面変性蛍光体の光束出力
と、適当な対照試料のそれとの間の差異(Δルーメン)
を表示している。
【0043】
【表3】
【0044】試料11は、白色蛍光体400gと酢酸カ
ルシウム〔Ca(C2323〕約4gとを混合して、
乾燥粉末として調製した。試料11および対照試料CW
5とを、ランプ被覆スラリーを調製するためにユニオン
・カーバイド(Union Carbide, South Charleston, West
Virginia)から入手したポリオックス(Polyox)有機結合
剤と用い、ランプエンベロープを被覆する前にこのスラ
リーを約4時間撹拌して標準F40T12蛍光ランプ中
に組み込んだ。ランプの試験データは、表IIIに記載
してある。
【0045】試料12は、試料1と同様にして調製し
た。量400gの白色蛍光体を水1200ml中に懸濁
させた。臭化亜鉛(ZnBr2)約1gをこの懸濁液中
に混入し、懸濁液を約4時間撹拌し、次いでろ過、乾燥
およびふるい分けした。
【0046】試料13は、臭化亜鉛を硝酸亜鉛〔Zn
(NO32〕で置換したほかは、試料12と同様にして
調製した。
【0047】試料14は、臭化亜鉛を塩化バリウム(B
aCl2)で置換したほかは、試料12と同様にして調
製した。
【0048】試料15は、臭化亜鉛を塩化ランタン(L
aCl2)で置換したほかは、試料12と同様にして調
製した。
【0049】試料11〜15および対照試料CW5、C
W6およびCW7とを標準F40T12蛍光ランプ中に
組み込んだ。ランプの試験データは、表IIIに記載し
てある。
【0050】試料16は、製造プロセスから採取した湿
潤蛍光体ケークから直接調製した。湿潤白色蛍光体ケー
ク(水12.6重量%含有)約450gを、蛍光体製造
装置のフィルタープレスから直接採取し、手で破砕し
た。酢酸ランタン〔La(C2323〕約4gを湿潤
蛍光体と一緒に十分なポリオックス結合剤溶液中に混入
し、この組成物を標準F40T12蛍光ランプ中に組み
込んだ。ランプエンベロープを被覆する前に、ランプ被
覆スラリーを4時間撹拌した。
【0051】試料17は、酢酸ランタンを酪酸マグネシ
ウム〔Mg(C3532〕で置換したほかは、試料1
6と同様にして調製した。
【0052】試料16〜17および対照試料CW8とを
標準F40T12蛍光ランプ中に組み込んだ。ランプの
試験データは、表IIIに記載してある。
【0053】試料6〜17のランプ維持データは、表面
変性蛍光体試料が、それぞれの対照試料に対して、10
〜62光束の増加、すなわち0.33〜2.08%の改
善であることを示している。このように、結果は、処理
前またはランプ加工前に蛍光体を乾燥およびふるい分け
していなくても、蛍光体に対するランプ維持データの改
善において、このプロセスの有効性を実証している。
【0054】これらの実施例は、陽イオン含有化合物が
液状媒体に粉末として添加されていることを示している
けれども、陽イオンは、この分野で公知のいかなる形、
例えばすでに溶解している溶液として、または気体(例
えば金属フッ化物)として液状媒体をバブリングして加
えてもよい。
【0055】
【発明の効果】本明細書に記載した本発明は、蛍光ラン
プ蛍光体の製造に特に有用な新規で改善された蛍光体、
および蛍光体粒子の表面を変性するための方法をこの分
野に提供している。化学的に表面変性された蛍光体は、
改善された光束維持を示す。その上、蛍光体物質および
選択した、変性に使用する陽イオンに依存して、この蛍
光体は、紫外線フィルター性、低下した水との親和性ま
たは水との反応性、低下した酸素脱着、または水銀また
は水銀化合物に対する低下した静電誘引性を示すことが
できる。表面変性法は、改善された維持性質を示す表面
変性蛍光体のための信頼性があり、コスト的に有利な化
学吸着プロセスである。
【0056】本発明の有利な実施態様として現在考えら
れるものを記載してあるが、この分野の専門家にとって
は、前記の請求項に記載されているような本発明の範囲
から外れることなく、変化や変更ができることは明らか
である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光体粒子の外面の組成物を化学的に変
    性する方法において、イオン交換反応による上記の表面
    上における上記の蛍光体の陽イオンを選定された陽イオ
    ンで置換することを特徴とする、蛍光体粒子の外面の組
    成物を化学的に変性する方法。
  2. 【請求項2】 反応を溶液中に上記の選定した陽イオン
    を含む液状媒体中で行う、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 液状媒体が水性媒体である、請求項2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 陽イオンが、蛍光体が化合物であるもの
    とは異なる金属またはメタロイドのイオンである、請求
    項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 金属またはメタロイドが、アルミニウ
    ム、バリウム、カルシウム、ランタン、マグネシウム、
    ストロンチウム、イットリウム、亜鉛、チタン、タンタ
    ル、ホウ素、およびケイ素から成る群から選ばれてい
    る、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 金属またはメタロイドイオンが、金属ま
    たはメタロイドの酢酸塩、ハロゲン化物、ギ酸塩、酪酸
    塩、および硝酸塩から成る群から選ばれている水溶性塩
    により供給される、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 陽イオン置換が、 液状媒体中で蛍光体粒子の懸濁液を形成し、上記の液状
    媒体は溶液中に金属またはメタロイドイオンを含み、 金属またはメタロイドイオンが、上記の蛍光体の陽イオ
    ンを置換し、上記の蛍光体粒子の外面に上記の金属また
    はメタロイドの化合物を含む層を形成するイオン交換反
    応をさせるために十分な時間、上記の蛍光体懸濁液を撹
    拌することよりなる、請求項4記載の方法。
  8. 【請求項8】 さらに、 懸濁液から粒子をろ過して取り出し、かつ上記の粒子を
    乾燥して、変性された表面組成物を有する蛍光体粒子を
    生成させることを含む、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 金属またはメタロイドイオンが、上記の
    金属またはメタロイドの酢酸塩、ハロゲン化物、ギ酸
    塩、酪酸塩、および硝酸塩から成る群から選ばれている
    水溶性塩により供給され、かつ液状媒体中の金属または
    メタロイド塩の量が、上記の液状媒体中に懸濁している
    蛍光体の重量に対して、約0.5〜1.5重量%であ
    る、請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 金属またはメタロイドの陽イオンを含
    む液状媒体中に蛍光体粒子の第一懸濁液を形成し、上記
    の金属またはメタロイドは、上記の蛍光体が化合物であ
    るものとは異なり、 蛍光体粒子の外面上において、上記の金属またはメタロ
    イド陽イオンが上記の蛍光体の陽イオンと置換されて、
    変性された表面組成物を有する蛍光体粒子を生成するイ
    オン交換反応をさせるために十分な時間、上記の第一懸
    濁液を撹拌し、 結合剤および水性媒体を含む溶液中に懸濁された上記の
    変性された粒子を含む第二懸濁液の層を用いて、ランプ
    エンベロープの内面を被覆し、 上記の蛍光体層を十分に乾燥させて、上記の蛍光体層を
    上記のランプエンベロープ面に接着させ、かつ上記のラ
    ンプエンベロープを徐冷して上記の結合剤をバーンアウ
    トさせ、かつ上記のランプエンベロープ上に蛍光体粒子
    の被覆を生成させ、それぞれの粒子はその表面上に上記
    の金属またはメタロイドの化合物を含む層を有すること
    を特徴とする、ランプの光束維持の改善方法。
  11. 【請求項11】 さらに、 結合剤/水性媒体溶液中に変性粒子を懸濁させて第二懸
    濁液を形成し、 第一懸濁液から上記の蛍光体粒子をろ別し、 上記の粒子を乾燥して、上記の変性蛍光体粒子を生成さ
    せ、かつ上記の結合剤/水性媒体溶液中に上記の変性粒
    子を懸濁させて上記の第二懸濁液を形成することを含
    む、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 蛍光体物質の個別の粒子を含む蛍光体
    粉末において、上記の粒子のそれぞれの外面は、上記の
    蛍光体物質の陽イオンが上記の蛍光体物質の陽イオンと
    は異なる陽イオンにより置換されている層であり、 上記の異なる陽イオンは、金属またはメタロイドのイオ
    ンであり、かつ上記の金属またはメタロイドは、アルミ
    ニウム、バリウム、カルシウム、ランタン、マグネシウ
    ム、ストロンチウム、イットリウム、亜鉛、チタン、タ
    ンタル、ホウ素、およびケイ素を含む群から選ばれてい
    ることを特徴とする蛍光体粉末。
  13. 【請求項13】 ランプエンベロープの内面を被覆する
    ための蛍光体被覆組成物において、上記の組成物は、結
    合剤および水性媒体を含む溶液中の蛍光体粉末の懸濁物
    を含み、上記の蛍光体粉末は蛍光体物質の個別の粒子を
    含み、上記の粒子のそれぞれの外面は、上記の蛍光体物
    質の陽イオンが上記の蛍光体物質陽イオンとは異なる陽
    イオンにより置換されている層であることを特徴とする
    蛍光体被覆組成物。
  14. 【請求項14】 異なる陽イオンが金属またはメタロイ
    ドのイオンである、請求項13記載の蛍光体被覆組成
    物。
  15. 【請求項15】 金属またはメタロイドがアルミニウ
    ム、バリウム、カルシウム、ランタン、マグネシウム、
    ストロンチウム、イットリウム、亜鉛、チタン、タンタ
    ル、ホウ素、およびケイ素から成る群から選ばれてい
    る、請求項14記載の蛍光体被覆組成物。
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