JPH10194014A - 自動変速機のクリープ防止装置 - Google Patents

自動変速機のクリープ防止装置

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JPH10194014A
JPH10194014A JP9003703A JP370397A JPH10194014A JP H10194014 A JPH10194014 A JP H10194014A JP 9003703 A JP9003703 A JP 9003703A JP 370397 A JP370397 A JP 370397A JP H10194014 A JPH10194014 A JP H10194014A
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engagement
control
creep
friction element
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卓 村杉
Hiromasa Sakai
弘正 酒井
Motoharu Nishio
元治 西尾
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H61/20Preventing gear creeping ; Transmission control during standstill, e.g. hill hold control
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
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    • F16H2061/0477Smoothing ratio shift by suppression of excessive engine flare or turbine racing during shift transition

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦要素をクリープ防止用スリップ状態から
締結する時の遅れに伴うエンジンの空吹けを防止するエ
ンジン出力低減制御の解除を、支障のない範囲で早いタ
イミングで指令し、発進遅れ感を運転者に与えないよう
にする。 【解決手段】 アクセル踏み込み瞬時t1 以降、クリー
プ防止用にスリップ状態にされていたフォワードクラッ
チの油圧Pc を上昇させることで該クラッチの再締結を
進行させ、締結完了瞬時t2 に油圧Pc を最大値にす
る。上記再締結によりタービン回転数Nt は低下し、瞬
時t2 に0になる。エンジン回転数Ne とタービン回転
数Nt との差であるトルクコンバータスリップ量が設定
値Aに増大した瞬時tS に再締結が開始されたと判定
し、空吹け防止用に全閉にされていたサブスロットルバ
ルブを全開にするエンジン出力低減制御の解除指令を発
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体伝動装置の引
き摺り伝動により生ずる自動変速機のクリープ現象を防
止するための、自動変速機のクリープ防止装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機においては、エンジン回転を
流体伝動装置を介して入力するため、自動変速機を走行
レンジにした動力伝達可能な状態での停車中に、該流体
伝動装置の引き摺りトルクが車両を微速走行させる、所
謂クリープ現象が発生するのを免れない。この微速走行
を運転者はブレーキを作動させて防止するが、この間、
燃費の悪化や、振動の問題を生じ易い。
【0003】そこで、上記走行レンジで自動変速機を動
力伝達可能な状態にするために油圧作動されている摩擦
要素の作動油圧を低下させ、該作動中の摩擦要素をスリ
ップ状態にすることで、流体伝動装置によるクリープト
ルクの伝達を低減するようにしたクリープ防止装置が提
案されている。
【0004】そして当該クリープ防止装置にあっては、
車両の発進に際しアクセルペダルを踏み込むことで、エ
ンジンが無負荷状態から負荷状態に切換えられる時、上
記作動油圧を上昇させることにより上記スリップ状態の
摩擦要素を再締結させてクリープ防止制御を終了し、そ
の後上記作動油圧を最大値にすることで自動変速機を所
定の動力伝達が可能な状態にする。
【0005】スリップ状態の摩擦要素を再締結させる時
の動作をタイムチャートにより示すと図7のごとくにな
る。同図に実線で示すごとく、ブレーキを釈放してブレ
ーキスイッチがONからOFFに切り換わり、且つ、ア
クセルペダルの踏み込みによりアイドルスイッチがON
からOFFに切り換わる瞬時t1 に、上記摩擦要素の作
動油圧Pc を所定棚圧ΔPだけ上昇させる。
【0006】この所定棚圧ΔPにより、スリップ状態だ
った摩擦要素の再締結が進行するにつれ、流体伝動装置
の出力回転数であるタービン回転数Nt が瞬時t1 〜t
2 間の実線で示すように低下し、遂には瞬時t2 に摩擦
要素の再締結が完了することで、タービン回転数Nt
ほぼ0になる。
【0007】一方でエンジン回転数Ne は、アクセルペ
ダルの踏み込み瞬時t1 から固有の応答遅れ(例えば1
50msec程度)の後に上昇し始め、アクセルペダルの踏
み込み具合に応じた勾配をもって実線で示すように上昇
する。
【0008】そして摩擦要素の再締結が完了する瞬時t
2 に摩擦要素の作動油圧Pc を最大値にすることで摩擦
要素のスリップを完全に防止し、瞬時t2 以降における
タービン回転数Nt の実線で示す上昇傾向および変速機
出力軸回転数No の1点鎖線で示す上昇傾向から明らか
なように、そして変速機出力軸トルクの実線で示す上昇
傾向から明らかなように発進を可能にする。
【0009】ところで、上記摩擦要素の作動油圧管路内
に空気が混入したりするなどの原因で、摩擦要素の作動
油圧Pc が破線で示すように大きな応答遅れをもって上
昇する場合や、上記摩擦要素の作動油圧管路内に空気が
混入したりする等の他に、低温で作動油の粘度が高くな
るなど、2重の原因で摩擦要素の作動油圧Pc が2点鎖
線で示すように更に大きな応答遅れをもって上昇する場
合、エンジン回転数が空吹けてしまい、結果としてター
ビン回転数Nt の破線や2点鎖線で示す不安定な時系列
変化や、変速機出力軸トルクの破線や2点鎖線で示す不
安定な時系列変化から明らかなように、大きな再締結シ
ョックを生じて自動変速機の商品価値を著しく低下させ
る。
【0010】なお上記作動油圧Pc の上昇遅れは、上記
だけに限らず、クリープ防止制御の不良で摩擦要素がス
リップ状態を越えて作動油圧Pc を低下され過ぎ、開放
状態(所謂、中込め不良状態)になっている状態のもと
で、アクセルペダルの踏み込みによるクリープ防止制御
の終了がなされる時にも、上記の中込め不良分だけ生ず
るものである。
【0011】そこで従来、例えば特開昭62−2447
25号公報や特開平3−82638号公報に記載されて
いるように、作動油圧Pc の上昇が大きく遅れてエンジ
ン回転数が空吹けるような場合、エンジン出力を低減さ
せることで当該空吹けを防止し、摩擦要素の再締結ショ
ックを防止するような技術が提案された。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この場合におけるエン
ジン出力低減制御は、図7の実線波形を移記した図8に
示すようにクリープ防止制御終了指令瞬時t1 より開始
し、摩擦要素の再締結が完了してタービン回転数Nt
ほぼ0になる瞬時t2 に終了させるために、以下の問題
が生ずる懸念を払拭し切れない。
【0013】つまり、例えば摩擦要素の再締結完了瞬時
2 がエンジン回転数Ne の上昇開始に調時するよう棚
圧ΔPを決定する場合について説明すると、エンジン回
転数Ne がアクセルペダルの踏み込み瞬時(クリープ防
止制御終了指令瞬時)t1 から固有の応答遅れ(例えば
150msec程度)の後に上昇し始めるため、瞬時t1
ら当該固有の応答遅れに対応した再締結完了目標時間Δ
1 (150msec程度)が経過した瞬時t2 に丁度、摩
擦要素の再締結が完了してタービン回転数Ntがほぼ0
になる。よって、上記のエンジン出力低減制御は図8に
示すように、瞬時t1 から再締結完了目標時間Δt
1 (150msec程度)が経過する瞬時t2 まで実行され
る。
【0014】しかして、瞬時t2 にエンジン出力低減制
御の終了が指令されても、実際にエンジン出力がアクセ
ルペダル操作に対応した値に向け復帰し始めるのは、エ
ンジン回転数Ne およびタービン回転数Nt の破線で示
す上昇傾向から明らかなように、瞬時t2 から応答遅れ
時間Δt2 (150msec程度)が経過した瞬時t3 であ
る。従って従来の装置によれば、アクセルペダルの踏み
込み瞬時t1 から実際にエンジン出力が上昇し始めるの
は、Δt1 (150msec程度)とΔt2 (150msec程
度)との和値である300msec程度もの後であって、体
感的に遅れを感じ始める50msecを大きく越えており、
アクセルペダルを踏み込んでもなかなか加速しないとい
う不満を運転者に与える懸念がある。
【0015】請求項1の発明は、前記エンジンの空吹け
を防止するエンジン出力低減制御が必要なのは実質的に
摩擦要素が再締結を開始するまでであり、再締結の開始
が確認されれば、上記したようにエンジン出力の回復応
答遅れもあることからエンジン出力低減制御の終了を指
令しても何ら差し支えないとの事実認識に基づき、その
分、エンジン出力低減制御の終了指令を早めて上述の問
題を解消することを目的とする。
【0016】請求項2の発明は、上記摩擦要素の再締結
開始の確認を、エンジン駆動補機などの始動にともなう
エンジンのアイドルアップ制御でエンジン回転数が変化
する場合も、正確に行い得るようにすることを目的とす
るものである。
【0017】請求項3の発明は、エンジン出力低減制御
を一層安価な構成により実現することを目的とするもの
である。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された第
1発明による自動変速機のクリープ防止装置は、流体伝
動装置を介してエンジンの回転を入力され、複数の摩擦
要素の選択的油圧作動により選択された変速段でエンジ
ン回転を変速して出力する自動変速機に用いられ、前記
流体伝動装置によるクリープトルクの伝達を低減するた
めに、前記作動中の摩擦要素の作動油圧を低下させるこ
とで該摩擦要素をスリップ状態にするようにし、エンジ
ンの無負荷状態から負荷状態への切換え時、前記作動油
圧を上昇させることにより前記スリップ状態の摩擦要素
を再締結させてクリープ防止制御を終了すると共に、該
再締結の応答遅れによるエンジンの空吹けを防止するた
めにエンジンの出力を低減させるようにした自動変速機
のクリープ防止装置において、前記エンジンの無負荷状
態から負荷状態への切換え後、前記摩擦要素の再締結開
始を検知した時に、前記エンジン出力低減制御の解除指
令を発するよう構成したことを特徴とするものである。
【0019】請求項2に記載された第2発明による自動
変速機のクリープ防止装置は、上記第1発明において、
前記摩擦要素の再締結開始を、前記流体伝動装置のスリ
ップ量が設定値以上の大きさになった時をもって検知す
るよう構成したことを特徴とするものである。
【0020】請求項3に記載された第3発明による自動
変速機のクリープ防止装置は、上記第1発明または第2
発明において、前記エンジンの出力低減制御を、アクセ
ルペダル操作に連動するメインスロットルバルブに対し
直列に設けられて、車輪駆動スリップを防止するトラク
ションコントロール用にエンジンの出力を低減するため
のサブスロットルバルブによって行うよう構成したこと
を特徴とするものである。
【0021】
【発明の効果】第1発明において自動変速機は、複数の
摩擦要素の選択的油圧作動により選択された変速段で、
流体伝動装置からのエンジンの回転を変速して出力す
る。
【0022】クリープ防止装置は、上記流体伝動装置に
よるクリープトルクの伝達を低減するに際し、上記作動
中の摩擦要素の作動油圧を低下させることにより該摩擦
要素をスリップ状態にし、所定のクリープ防止を行う。
【0023】そしてクリープ防止装置は、エンジンの無
負荷状態から負荷状態への切換え時、上記作動油圧を上
昇させることにより上記スリップ状態の摩擦要素を再締
結させてクリープ防止制御を終了すると共に、この再締
結の応答遅れによりエンジンの空吹けが発生しようとす
る時、エンジン出力の低減により当該エンジンの空吹
け、およびこれに伴う摩擦要素の再締結ショックを防止
する。
【0024】ところで第1発明においては、上記エンジ
ン出力低減制御を終了させるに際し、エンジンの無負荷
状態から負荷状態への切換え後、上記摩擦要素の再締結
開始を検知した時に、当該エンジン出力低減制御の解除
指令を発するようにしたから、摩擦要素の再締結完了時
にエンジン出力低減制御の解除指令を発する従来装置に
較べて、摩擦要素の再締結開始から再締結完了までの時
間分だけエンジン出力低減制御の解除を早めることがで
き、その分、エンジンの無負荷状態から負荷状態への切
換えに応答したエンジン出力の立ち上がりを高応答なも
のにし得て、アクセルペダルを踏み込んでもなかなか加
速しないという不満を運転者に与えるような懸念をなく
すことができる。
【0025】なお、摩擦要素が再締結を開始したら、上
記懸念の原因となっている前記の中込め不良状態は解消
されているため、また、エンジン出力低減制御の解除指
令から実際にエンジン出力が回復するまでには応答遅れ
があることもあって、上記のごとく、摩擦要素の再締結
開始時にエンジン出力低減制御の解除を指令したとして
も、摩擦要素の再締結完了前にエンジン出力が回復され
ることはなく、実質上第1発明によるエンジン出力低減
制御解除指令の上記タイミングが問題にならないことを
確かめた。
【0026】第2発明においては、上記摩擦要素の再締
結開始を、流体伝動装置のスリップ量がクリープ防止制
御終了指令時における流体伝動装置のスリップ量よりも
設定値以上大きくなった時をもって検知することから、
流体伝動装置の出力回転数が低下し始めた時を再締結開
始と判断する場合に較べて、エンジン駆動補機などの始
動にともなうエンジンのアイドルアップ制御でエンジン
回転数(流体伝動装置の入力回転数)が上昇して流体伝
動装置の出力回転数が上昇する場合も、摩擦要素の再締
結開始を正確に検知することができて、上記の作用効果
を一層確実に達成することができる。
【0027】第3発明においては、上記エンジンの出力
低減制御を、アクセルペダル操作に連動するメインスロ
ットルバルブに対し直列に設けられて、車輪駆動スリッ
プを防止するトラクションコントロール用にエンジンの
出力を低減するためのサブスロットルバルブによって行
うことから、トラクションコントロール装置を搭載する
車両の場合、トラクションコントロール用のサブスロッ
トルバルブを流用して上記のエンジン出力低減制御を行
うことができ、当該エンジン出力低減制御を一層安価な
構成により実現することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態
になる自動変速機のクリープ防止装置を示すシステム図
である。本実施の形態において自動変速機のクリープ防
止装置10は、自動変速機の前進第1速で締結作動され
るべき発進用摩擦要素であるフォワードクラッチ(発進
クラッチ)11を半締結状態(スリップ状態)にしてク
リープ防止を行うよう構成する。
【0029】図1において、12はトルクコンバータ
(流体伝動装置)を示し、ポンプインペラ12pと、タ
ービンランナ12tと、ステータ12sとで構成する。
そしてトルクコンバータ12は、ポンプインペラ12p
をエンジンクランクシャフト13に、また、タービンラ
ンナ12tを自動変速機の入力軸14に結合し、ステー
タ12sを変速機ケース15上にワンウエイクラッチ1
2oを介して乗せることにより実用する通常のものとす
る。
【0030】ここでトルクコンバータ12は、内部作動
流体を介してクランクシャフト13からのエンジン回転
(回転数Ne )を、トルク増大しつつ自動変速機の入力
軸14に伝達するもので、自動変速機への入力回転数を
t とする。
【0031】自動変速機は、フォワードクラッチ11を
含む複数の摩擦要素(図示せず)を具え、これらフォワ
ードクラッチ11を含む複数の摩擦要素を選択的に油圧
作動(締結)させることで対応変速段を選択するもので
ある。
【0032】本実施の形態においては、自動変速機を走
行レンジにして停車している間に締結作動されて自動変
速機を前進第1速選択状態にするフォワードクラッチ1
1を半締結状態(スリップ状態)にしてクリープ防止を
行うようにするために、フォワードクラッチ11の作動
油圧PC を制御するオイルプレッシャモジュレータ16
を設ける。
【0033】このオイルプレッシャモジュレータ(以
下、OPMと称する)16は、自動変速機のライン圧P
L を油路17から入力ポート18に供給され、出力ポー
ト19を油路20を経てフォワードクラッチ11の作動
油圧室11aに接続し、ドレンポート21を有するもの
で、スプール22の一端にソレノイド(アクチュエー
タ)23による電磁力を図中左向きに作用させ、スプー
ル22の他端が臨む室24にポート22aを経てポート
19の出力圧、つまり、フォワードクラッチ11の作動
油圧PC をフィードバックさせる。
【0034】かかるOPM16は、入力ポート18への
ライン圧PL を元圧として、ソレノイド23への電流値
X に応じた電磁力に対応する油圧PC を作りだすリニ
ヤソレノイド弁として機能し、この油圧PC を油路20
によりフォワードクラッチ11の作動油圧室11aにフ
ォワードクラッチ作動油圧として向かわせるものとす
る。ここで、フォワードクラッチ11は作動油圧PC
比例した締結力を発生することができる。
【0035】ソレノイド23への電流値iX は、コント
ロールユニット30によりこれを制御することとし、こ
のコントロールユニット30には、後述する入力センサ
群31からの信号を供給する。
【0036】なおコントロールユニット30は、マイク
ロコンピュータを用いた車載型のものであり、入力回路
151、RAM152、ROM153、CPU154、
クロック回路155および出力回路156を具える周知
のものとする。
【0037】入力回路151は、センサ群31の各セン
サからの入力信号をCPU154で演算処理し得るデジ
タル信号に変換して入力する回路である。またRAM1
52は、読み書きし得るメモリであり、各センサからの
入力信号の書き込みや、CPU154で演算中の情報の
書き込みや、書き込まれた情報の読み出しが行われる。
更にROM153は、読み出し専用メモリであり、CP
U154での演算処理に必要な情報等が予め記憶されて
おり、該情報は必要に応じてCPU154からの指令に
より読み出される。
【0038】CPU154は、各種入力情報を所定処理
条件に従って演算処理する装置であり、クリープ防止制
御や、フォワードクラッチ作動制御等における入力情報
の処理を行うものであり、また、クロック回路155
は、CPU154における演算処理時間を設定する回路
である。出力回路156は、CPU154からの演算結
果信号に基づいてアクチュエータであるソレノイド23
に対し制御電流信号iX を出力する回路である。
【0039】出力回路156は更に、CPU154から
の演算結果に基づいて、車輪駆動スリップを防止するた
めのトラクションコントロール装置(TCS)40にも
制御信号を出力するもので、トラクションコントロール
装置40は、日産自動車(株)発行「新型車解説書(N
ISSANシーマ)FGY32型系車の紹介」の第B−
6頁,第B−29頁,第C−90頁に第2スロットルバ
ルブとして開示されているサブスロットルバルブ(図示
せず)を開度制御するサブスロットルバルブコントロー
ラ41と、これからの信号を増幅する駆動回路42と、
この駆動回路からの増幅信号により作動されて上記のサ
ブスロットルバルブを駆動するアクチュエータ43とで
構成する。
【0040】サブスロットルバルブは図示しなかった
が、アクセルペダルに連動するエンジンのメインスロッ
トルバルブに対して直列的に配置され、車輪が駆動スリ
ップを生ぜず、トラクションコントロールが不要な走行
状態のもとでは全開にされ、エンジン出力をメインスロ
ットルバルブの開度のみにより決定し、車輪が駆動スリ
ップを生ずるとサブスロットルバルブの開度を駆動スリ
ップの程度に応じて第1スロットルバルブの開度よりも
小さくし、所定のトラクションコントロールを行うもの
である。
【0041】これがため、サブスロットルバルブコント
ローラ41は各車輪の車輪速信号をもとに駆動スリップ
の程度を判定し、この駆動スリップを防止するのに必要
なサブスロットルバルブの開度を演算する。駆動回路4
2は、この演算結果に対応した信号をアクチュエータ4
3に供給してサブスロットルバルブの開度を演算値にマ
ッチした開度にし、駆動スリップを防止する。
【0042】サブスロットルバルブコントローラ41
は、上記のトラクションコントロールの他に、出力回路
156から後述するクリープ防止用のエンジン出力低減
制御指令や、エンジン出力低減制御解除指令を入力され
ると、これら信号に応答してサブスロットルバルブを全
開から全閉にしたり、逆に全閉から全開に戻す制御をも
行うものとする。
【0043】入力センサ群31を構成するセンサとし
て、本実施の形態では、セレクト位置スイッチ161、
アイドルスイッチ162、油温センサ163、出力軸回
転数センサ164、エンジン回転数センサ165、ター
ビン回転数センサ166、およびブレーキスイッチ16
7を用いることとする。
【0044】セレクト位置スイッチ161は、自動変速
機の選択レンジ(選択位置)に応じた信号を出力するス
イッチであり、本実施の形態では、選択レンジがニュー
トラルレンジ(Nレンジ)のときスイッチONとなり、
選択レンジが走行レンジ(ドライブレンジ;Dレンジ)
のときのみスイッチOFFとなってスイッチ信号PSW
出力するものとする。
【0045】なお、セレクト位置スイッチ161が出力
するスイッチ信号PSWは、NレンジからDレンジに切り
換わったこと(N→Dセレクト操作がなされたこと)を
示すため、ライン圧供給開始時期を決定する信号として
用いられる。
【0046】アイドルスイッチ162は、エンジンのス
ロットルバルブが全閉状態(アイドル状態)か否かを検
出するスイッチであり、スロットルバルブが開状態(エ
ンジン負荷状態)のときスイッチOFFとなり、全閉状
態(エンジン無負荷状態)のときのみON信号によるス
イッチ信号Idを出力する。
【0047】油温センサ163は、変速機作動油温(A
TF温度)Tm を検出するセンサであり、油温信号T
atf を出力し、出力軸回転数センサ164は、変速機出
力軸の回転数Noを検出するセンサであり、この出力軸
回転数センサ164から出力される信号は車速を表わす
信号として用いる。
【0048】エンジン回転数センサ165は、クランク
シャフト13の回転数(エンジン回転数)Ne を検出す
るセンサであり、タービン回転数センサ166は、変速
機入力軸14の回転数(タービン回転数)Nt を検出す
るセンサである。
【0049】ブレーキスイッチ167は、ブレーキペダ
ル等に配置され、フットブレーキまたはサイドブレーキ
の作動を検出するセンサであり、ブレーキ作動時にはブ
レーキ作動信号Bを出力する。
【0050】CPU154は、上記入力センサ群31か
らの入力情報を基に、図2および図3のメインルーチ
ン、および図4のサブルーチンを実行してクリープ防止
制御およびクリープ防止からの発進制御を以下のごとく
に行うものとする。
【0051】先ず、図2のステップ51で、入力センサ
群31の対応するセンサより夫々、信号PSW,Id,T
m ,No ,Bを読み込み、次のステップ51において、
信号PSWの有無により走行レンジ(Dレンジ)か否かの
判別を行い、走行レンジであれば制御をステップ53に
進め、走行レンジでなければ制御をステップ57に進め
て通常の走行制御を行う。
【0052】ステップ53では、信号Idの有無により
アイドルスイッチONのアイドル状態か否かを判別し、
アイドル状態であれば制御をステップ54に進め、アイ
ドル状態でなければ制御をステップ57に進めて通常の
走行制御を行う。
【0053】ステップ54では、信号Bの有無によりブ
レーキONか否かを判別し、ブレーキONであれば制御
をステップ55に進め、ブレーキOFFであれば制御を
ステップ57に進めて通常の走行制御を行う。
【0054】ステップ55では、車速(変速機出力軸回
転数)No がほぼ0の停車中か否かを判別し、No がほ
ぼ0であれば、ステップ58でサブスロットルバルブを
全閉にする指令をコントローラ41に出力するとすると
共に、ステップ56でクリープ防止制御の作動を開始
し、No がほぼ0でなければ制御をステップ57に進め
て通常の走行制御を行う。
【0055】結局、ステップ58,56でのサブスロッ
トル全閉操作およびクリープ防止制御の作動が開始され
るのは、「走行レンジ、アイドル状態、ブレーキON、
車速がほぼ0」という4つの条件が全て満たされた場合
だけであり、それ以外の場合は通常の走行制御がなされ
ることになる。
【0056】ここで、クリープ防止制御の開始と同時に
サブスロットル全閉操作を行うのは、アイドル状態であ
るが故にもともとメインスロットルバルブが全閉にされ
ているからサブスロットルバルブを全閉にしても支障が
ないためと、発進に際してフォワードクラッチ11の締
結遅れに伴うエンジンの空吹けが発生した時にこれを防
止するようサブスロットルバルブを全開から全閉にする
のでは応答性が悪くなるためである。
【0057】ステップ56でのクリープ防止に当たって
は、フォワードクラッチ11の作動油圧Pc を先ず、ク
ラッチが滑り出さない範囲内で定めた初期設定圧まで急
減させるよう、ソレノイド23への電流値iX を決定
し、その後、作動油圧Pc がクラッチの滑り始めまで所
定勾配で漸減するようソレノイド23への電流値iX
決定し、当該瞬時以後は、トルクコンバータ12の入出
力回転数差で表されるトルクコンバータスリップ量が一
定値(例えば、50rpm程度)に保たれるよう作動油
圧Pc を制御すべくソレノイド23への電流値iX を決
定する。
【0058】上記のように作動油圧Pc を初期設定圧ま
で急減させ、以後、フォワードクラッチ11が滑り始め
るまで所定勾配で漸減させることにより、フォワードク
ラッチ11を開放ショックなしに速やかにスリップ状態
にして、クリープ防止を高応答で開始させることがで
き、また以後は、トルクコンバータスリップ量が一定値
に保たれるよう作動油圧Pc をフィードバック制御する
ことにより、確実なクリープ防止を実現することができ
る。
【0059】上記ステップ56を実行した後、制御を図
3に示す発進制御プログラムのステップ61に進める。
図3のステップ61では、アイドルスイッチ162から
信号Id、出力軸回転数センサ164からの信号No
ブレーキスイッチ167からの信号Bを読み込み、次の
ステップ62では、信号Idの有無によりアイドルスイ
ッチONのアイドル状態(エンジン無負荷状態)か否か
を判別し、アイドル状態(アクセルOFF)であれば制
御をステップ63に進め、アイドルスイッチOFFのア
クセルON状態(エンジン負荷状態)となった場合には
制御をステップ65に進めて、アクセルON時における
(エンジンが無負荷状態から負荷状態に切り換わった時
における)所定のフォワードクラッチ再締結制御(発進
制御)を、図4につき後述するように行う。
【0060】ステップ63では、信号Bの有無によりブ
レーキONか否かを判別し、ブレーキONであれば制御
をステップ64に進め、ブレーキOFFであれば制御を
ステップ66に進めてアクセルOFF時における所定の
フォワードクラッチ再締結制御を行う。
【0061】ステップ64では、車速No がほぼ0か否
かを判別し、No がほぼ0であれば制御を上記ステップ
61以降に戻し、No がほぼ0よりも大きくなったら制
御をステップ66に進めてアクセルOFF時のフォワー
ドクラッチ再締結制御を行う。
【0062】結局、「クリープ防止制御作動中で、且
つ、アイドル状態」の場合であって、「ブレーキOF
F、またはNo >0」となった場合に限り、ステップ6
6でアクセルOFF時のフォワードクラッチ再締結制御
がなされることになり、このフォワードクラッチ再締結
制御では、フォワードクラッチ11を緩やかに締結させ
る。
【0063】このフォワードクラッチ再締結制御は、次
のステップ67でフォワードクラッチの締結が完了した
と判定されるまで繰り返される。なお、上記フォワード
クラッチ締結完了の判定は、タービン回転数Nt がほぼ
0になった時をもって、または、タービン回転数N
t と、出力軸回転数No およびフォワードクラッチ締結
時におけるギヤ比iの乗算値との差(Nt−No ・i)
がほぼ0になった時をもって、締結完了と判定するよう
にする。
【0064】上記ステップ67の判定がYESとなるフ
ォワードクラッチの締結完了時に行われ、また、上記ア
クセルON時のフォワードクラッチ再締結制御を行うス
テップ65の後に行われるステップ68では、クリープ
防止制御の作動を終了(OFF)する。
【0065】次に、本発明の要旨に係わる図3のステッ
プ65で行う、アクセルON時のフォワードクラッチ再
締結制御、および当該再締結の応答遅れに伴うエンジン
の空吹けを防止するためのエンジン出力低減制御を説明
する。この処理は図4に明示するごときもので、図6に
示すようにアイドルスイッチ162がアクセルON操作
に呼応してON→OFF切換えされる瞬時t1 (図6で
はブレーキスイッチ167もON→OFF切換えされた
ものとして示した)に開始され、先ずステップ71にお
いて、エンジン回転数Ne およびタービン回転数Nt
それぞれ読み込む。
【0066】次のステップ72においては、これら読み
込んだエンジン回転数Ne およびタービン回転数Nt
それぞれ、上記アクセルON操作(クリープ防止終了指
令)の瞬時t1 におけるエンジン回転数NeSおよびター
ビン回転数NtSとしてメモリする。
【0067】ステップ73では、図6にも例示したが、
フォワードクラッチ11をクリープ防止用のスリップ状
態から再締結完了状態にするのにどの位の時間をかける
かを決定する再締結目標時間Δt1 を決定するに際し、
エンジンの1運転サイクル(吸入行程、圧縮行程、爆発
行程、排気行程)に相当する時間を表す定数A0 と、上
記のクリープ防止終了指令時t1 のエンジン回転数NeS
とを用いて、Δt1 =A0 /NeSの演算により再締結目
標時間Δt1 を求める。
【0068】ここにおける再締結目標時間Δt1 は、ク
リープ防止終了指令時t1 (アクセルペダル踏み込み瞬
時)からエンジン回転数が実際に上昇を開始するまでの
応答遅れ(150msec程度)に相当し、当該エンジン回
転数の上昇開始に調時してフォワードクラッチ11の再
締結を完了させることを狙った時間である。
【0069】ステップ74においては、図6のごとく上
記の再締結目標時間Δt1 が経過する瞬時t2 に丁度、
フォワードクラッチ11の再締結が完了してタービン回
転数Nt をほぼ0にするような目標棚圧ΔPを演算す
る。この目標棚圧ΔPは、トルクコンバータ12のター
ビン系イナーシャトルクと、ストールトルクとの和値に
比例することから、タービンイナーシャIt 、図5に例
示したトルクコンバータ性能線図から求め得るストール
トルク比tS およびストールトルク容量係数τS、クリ
ープ防止終了指令時t1 におけるエンジン回転数NeS
よびタービン回転数NtS、再締結目標時間Δt1 、およ
び定数Bを用いて、ΔP=〔(It ・NtS/Δt1 )+
(tS ・τS ・NeS 2 )〕・Bにより算出することがで
きる。
【0070】ステップ75においては、図6に示すごと
くクリープ防止制御中のOPM電流iX に、目標棚圧Δ
Pに対応した電流値Δiを加算して出力し、ステップ7
6でOPM電流iX をこの値に保持し、この保持を、ス
テップ77で読み込んだタービン回転数Nt が、ステッ
プ80でほぼ0になったと判定される図6の瞬時t2
で継続することにより、フォワードクラッチ11の作動
油圧Pc を図6に示すごとく、瞬時t1 〜t2 の間、目
標棚圧ΔPだけ上昇させる。
【0071】これによりフォワードクラッチ11は瞬時
1 以前のスリップ状態から再締結を進行され、タービ
ン回転数Nt を徐々に低下させる。フォワードクラッチ
11が再締結を完了してタービン回転数Nt をほぼ0に
する瞬時t2 に至ると、ステップ80は制御をステップ
81,82に進め、図6の瞬時t2 以降におけるように
フォワードクラッチ11の作動油圧Pc を最高値にする
ようOPM電流iX を最大値にして、フォワードクラッ
チ11のスリップを完全に防止する。
【0072】ところで前記したように、アクセルペダル
踏み込み瞬時t1 からエンジン回転数が実際に上昇を開
始するまでの応答遅れに相当する再締結目標時間Δt1
が経過する瞬時t2 に丁度、フォワードクラッチ11の
再締結が完了してタービン回転数Nt をほぼ0にするよ
う目標棚圧ΔPを定めたために、図6に示すごとく、エ
ンジン回転の上昇開始に調時してフォワードクラッチ1
1の再締結が完了することとなり、フォワードクラッチ
11の再締結が遅れて発進遅れを生じたり、フォワード
クラッチ11の再締結が不必要に速すぎて再締結ショッ
クを生ずるなどの弊害を回避することができる。
【0073】しかして、フォワードクラッチ作動圧回路
中に空気が混入したり、低温のため作動油粘度が高くな
ったり、クリープ防止制御の不良でフォワードクラッチ
11がスリップ状態を越えて開放されてしまった時は、
図7につき前述したように作動油圧Pc が上昇遅れを生
じてフォワードクラッチ11の再締結が上記の理論通り
に進行せず、エンジンの空吹けに伴いフォワードクラッ
チ11の大きな再締結ショックが発生してしまう。
【0074】かかるエンジンの空吹けを回避するための
エンジン出力低減制御を、本実施の形態においては以下
の如くにこれを行う。つまり、図4のステップ77にお
いてエンジン回転数Ne およびタービン回転数Nt を読
み込み、次のステップ78においては、これらエンジン
回転数Ne およびタービン回転数Nt 間における回転数
差で表されるトルクコンバータ12のスリップ量ΔNを
ΔN=Ne −Nt により算出すると共に、このスリップ
量ΔNが設定値A以上になる図6の瞬時tS に至ったか
否かを判定する。
【0075】ここで上記のスリップ量設定値Aは、フォ
ワードクラッチ11が再締結を開始(中込めを完了)し
たかどうかの判断をするためのスリップ量とし、誤判定
防止用の余裕を見込んで、例えばクリープ防止用のスリ
ップ量である50rpmの2倍程度(100rpm位)
に設定するのが良い。
【0076】トルクコンバータスリップ量ΔNが設定値
Aに満たない図6の瞬時tS までの間は、ステップ78
がステップ79をスキップして制御をステップ80に進
めるようにすることで、図2のステップ58におけるサ
ブスロットルバルブの全閉指令を有効にし、再締結開始
瞬時tS までの間は、前記サブスロットルバルブを全閉
にするエンジン出力低減制御を実行する。かかるエンジ
ン出力低減制御により、作動油圧Pc の前記上昇遅れで
フォワードクラッチ11の再締結が遅れてもエンジンの
空吹けを生ずることがなくなり、これに起因したフォワ
ードクラッチ11の再締結ショックを防止することがで
きる。
【0077】ステップ78において、トルクコンバータ
スリップ量ΔNが設定値A以上になったと判別する、フ
ォワードクラッチ11の再締結開始瞬時tS 以降は、ス
テップ79を経て制御をステップ88に進め、このステ
ップ79において、前記サブスロットルバルブを全開に
する指令をコントローラ41に出力する。これによりエ
ンジンは瞬時tS 以降、アクセルペダル操作に連動する
メインスロットルバルブの開度に応じて出力を決定され
るようになり、エンジン出力低減制御を解除される。
【0078】そして、エンジン出力低減制御の解除指令
瞬時tS から固有の応答遅れ(150msec位)が経過し
たところでエンジンは、図6に1点鎖線で示すエンジン
回転数Ne 、タービン回転数Nt 、および変速機出力軸
トルクの上昇波形から明らかなように出力を回復し、車
両の発進を可能にする。
【0079】ところで、フォワードクラッチ11の再締
結完了瞬時t2 からのエンジン出力回復遅れΔt3 は、
フォワードクラッチ11の再締結開始を検知するのに必
要な時間t1 〜tS に相当する僅かな時間であり、図8
に示す従来のエンジン出力回復遅れΔt2 (150msec
位)に較べて大幅に短縮され、アクセルペダルを踏み込
んでもなかなか発進しないという不満を運転者に与える
惧れをなくすことができる。
【0080】なお、フォワードクラッチ11が再締結を
開始した瞬時tS 以降は、上記発進遅れの原因となるフ
ォワードクラッチ11の中込め不良状態は解消されてい
るため、また、エンジン出力低減制御の解除指令から実
際にエンジン出力が回復するまでには応答遅れがあるこ
ともあって、上記のごとく、フォワードクラッチ11の
再締結開始瞬時tS にエンジン出力低減制御の解除(サ
ブスロットルバルブの全開)を指令したとしても、フォ
ワードクラッチ11の再締結完了瞬時t2 の前にエンジ
ン出力が回復されることはなく、実質上、上記した実施
の形態によるエンジン出力低減制御解除指令のタイミン
グが問題になることはない。
【0081】なお、フォワードクラッチ11の再締結開
始を検知するに際しては、図6にαで示すようにタービ
ン回転数Nt がアクセルペダル踏み込み瞬時t1 の時の
回転数NtSから所定量低下した時をもって再締結開始で
あると判定することもできる。しかしこの場合、瞬時t
1 の直後にエンジン駆動補機が作動されてアイドルアッ
プがなされる等のためにエンジン回転数Ne が上昇した
時、タービン回転数N t も上昇することから、再締結開
始の判定が不正確になる懸念がある。
【0082】ところで上記実施の形態においては、エン
ジン回転数Ne とタービン回転数N t との間の偏差とし
て表されるトルクコンバータスリップ量ΔNを基にし
て、これが設定値A以上の大きさになった時をもって再
締結開始と判定することから、瞬時t1 の直後にエンジ
ン駆動補機が作動されてアイドルアップがなされる等の
ためにエンジン回転数Ne が上昇しても、トルクコンバ
ータスリップ量ΔNには大きな影響がなくて、再締結開
始の判定を正確に行うことができ、前記の作用効果を一
層確実に達成することができる。
【0083】また上記実施の形態においては、エンジン
の出力低減制御を、アクセルペダル操作に連動するメイ
ンスロットルバルブに対し直列に設けられて、車輪駆動
スリップを防止するトラクションコントロール用にエン
ジンの出力を低減するためのサブスロットルバルブによ
って行うことから、トラクションコントロール装置を搭
載する車両の場合に、トラクションコントロール用のサ
ブスロットルバルブを流用して上記のエンジン出力低減
制御を行うことができ、当該エンジン出力低減制御を一
層安価な構成により実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になるクリープ防止装置
を具えた自動変速機の制御システム構成図である。
【図2】同実施の形態においてコントロールユニットが
実行する、自動変速機のクリープ防止制御および変速制
御プログラムを、前半について示すフローチャートであ
る。
【図3】同制御プログラムの後半を示すフローチャート
である。
【図4】クリープ防止制御プログラムにおけるアクセル
ON時のフォワードクラッチ再締結処理および空吹け防
止用エンジン出力低減制御に関したサブルーチンを示す
フローチャートである。
【図5】トルクコンバータの性能曲線を例示する性能線
図である。
【図6】図4に示すアクセルON時のフォワードクラッ
チ再締結処理および空吹け防止用エンジン出力低減制御
を、フォワードクラッチ作動油圧、エンジン回転数、タ
ービン回転数、変速機出力軸回転数、および変速機出力
軸トルクの時系列変化として示すタイムチャートであ
る。
【図7】従来のクリープ防止装置によるアクセルON時
のフォワードクラッチ再締結処理を、フォワードクラッ
チ作動油圧が正規に上昇した時と、中くらいの上昇遅れ
を生じた時と、大きな上昇遅れを生じた時とで比較して
示す、図6と同様なタイムチャートである。
【図8】従来のクリープ防止装置によるアクセルON時
のフォワードクラッチ再締結処理および空吹け防止用エ
ンジン出力低減制御を示す、図6と同様なタイムチャー
トである。
【符号の説明】
10 自動変速機のクリープ防止装置 11 フォワードクラッチ(作動中の摩擦要素) 12 トルクコンバータ(流体伝動装置) 12p ポンプインペラ 12t タービンランナ 12S ステータ 13 クランクシャフト 14 変速機入力軸 16 オイルプレッシャモジュレータ 23 ソレノイド 30 コントロールユニット 31 入力センサ群 40 トラクションコントロール装置 41 サブスロットルバルブコントローラ 42 アクチュエータ駆動回路 43 サブスロットルバルブアクチュエータ 161 セレクト位置スイッチ 162 アイドルスイッチ 163 油温センサ 164 出力軸回転数センサ 165 エンジン回転数センサ 166 タービン回転数センサ 167 ブレーキスイッチ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体伝動装置を介してエンジンの回転を
    入力され、複数の摩擦要素の選択的油圧作動により選択
    された変速段でエンジン回転を変速して出力する自動変
    速機に用いられ、 前記流体伝動装置によるクリープトルクの伝達を低減す
    るために、前記作動中の摩擦要素の作動油圧を低下させ
    ることで該摩擦要素をスリップ状態にするようにし、エ
    ンジンの無負荷状態から負荷状態への切換え時、前記作
    動油圧を上昇させることにより前記スリップ状態の摩擦
    要素を再締結させてクリープ防止制御を終了すると共
    に、該再締結の応答遅れによるエンジンの空吹けを防止
    するためにエンジンの出力を低減させるようにした自動
    変速機のクリープ防止装置において、 前記エンジンの無負荷状態から負荷状態への切換え後、
    前記摩擦要素の再締結開始を検知した時に、前記エンジ
    ン出力低減制御の解除指令を発するよう構成したことを
    特徴とする自動変速機のクリープ防止装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記摩擦要素の再締
    結開始を、前記流体伝動装置のスリップ量が設定値以上
    の大きさになった時をもって検知するよう構成したこと
    を特徴とする自動変速機のクリープ防止装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記エンジ
    ンの出力低減制御を、アクセルペダル操作に連動するメ
    インスロットルバルブに対し直列に設けられて、車輪駆
    動スリップを防止するトラクションコントロール用にエ
    ンジンの出力を低減するためのサブスロットルバルブに
    よって行うよう構成したことを特徴とする自動変速機の
    クリープ防止装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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