JPH10192953A - 極細金属線の伸線装置および伸線方法 - Google Patents
極細金属線の伸線装置および伸線方法Info
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Abstract
線が得られる伸線装置とその伸線方法を開発する。 【解決手段】 湿式スリップ型連続伸線機の、それぞれ
ダイスを挟んで相対する2つの巻取りブロックの直径と
回転数とから計算される伸線装置の設計リダクションの
全てを、入線側と仕上がり線側とに2分し、2分した入
線側の設計リダクションの平均値を、仕上がり線側の設
計リダクションの平均値より小さくする。
Description
ム補強用やその他の極細金属線の伸線装置とその伸線方
法に係り、特に高強度・高延性の極細金属線を有利に製
造できる改良された経済性に優れる湿式スリップ型連続
伸線装置および伸線方法を提案するものである。
る直径が0.10〜0.40mm程度の極細金属線は、通常湿式ス
リップ型連続伸線装置により仕上げ伸線が施され製造さ
れる。この湿式スリップ型連続伸線装置は、大幅な装置
の単純化を計るため同軸多段の巻取りブロックからなる
コーン形キャプスタンの対を用い、通常1対ないし3対
が組込まれていて、これらのキャプスタンおよびその中
間に配する伸線用のダイスは循環する潤滑液中に浸漬さ
れている。
れ、被伸線材の単位体積あたりの長さが長くなるので、
1対のコーン形キャプスタンで考えた場合、巻取りブロ
ック径は仕上がり線側に行くに従って順次大きくなって
いる。そしてそれぞれの巻取りブロック径は、ダイスを
挟んで対向する巻取りブロックの径と回転数とから算出
できる伸線装置の設計リダクションを設定することによ
って決定される。
は、設計リダクションを下回る伸線リダクションで伸線
すると巻取りブロック間で被伸線材に過大な張力が生じ
被伸線材が破断する恐れがあるので、通常は、使用され
るダイススケジュールのそれぞれの伸線リダクションよ
りも数%低い設計リダクションが設定されている。この
ため、最終の巻取りブロックを除き、被伸線材の張力が
緩む方向に巻取りブロックと被伸線材との間でスリップ
が生じる。
設計リダクションは、スリップの均等化などの観点から
ダイススケジュールに合わせ、仕上がり線側の1〜3パ
ス程度を除きほぼ一定の設計リダクションが設定される
(スチールコード用フィラメントの伸線装置の場合、通
常15%前後の設計リダクション)のが一般的であった。
は、1対のコーン形キャプスタンで考えると、入線側で
はより小さい径の巻取りブロックにより大きい径の被伸
線材が巻付けられ、仕上がり線側ではより大きい径の巻
取りブロックにより小さい径の被伸線材が巻付けられる
ことになる。
た場合、入線側の最初の巻取りブロックでは、被伸線材
の曲げ歪が過大となり、塑性きずが生じたり、ゴムとの
接着性を改善するための表面被覆たとえばブラスめっき
が脱落してゴムとの接着性を損ねたり、ダイス摩耗が増
進したりするなどの問題が生じる。
細径化した被伸線材がスリップを伴いながら過大な径の
巻取りブロックに巻付けられ高速で引き取られると、振
動が発生して過大な発熱を招き、ダイス摩耗や仕上がり
線での品質劣化が著しくなるなどの問題がある。したが
って、上記理由により入線側の巻取りブロック径を単に
大きくすることは、仕上がり線側のブロック径もそれに
ともなって大きくなり、かつ、装置が大型化することか
らも好ましくない。
ブロック径を大きくし、仕上がり線側の巻取りブロック
径を小さくすることが理想であるが、このために、必要
以上にコーン形キャプスタンの対を増やしたり、極端な
場合として巻取りブロックを個別に駆動するなどの手段
を採用することは、伸線装置が大型化かつ複雑化するの
で、単純化した湿式スリップ型連続伸線装置を用いる極
細金属線には経済性、作業性などの観点から適さない。
問題点を有利に解決しようとするものであり、この発明
のうち、請求項1の発明は、伸線装置の設計リダクショ
ンを適正化することによる、また、請求項2または3の
発明は、請求項1の発明に加えて被伸線材の線径に対す
る巻取りブロック径を適正化することによる、品質特性
が良好で、かつ、生産性、経済性に優れる極細金属線の
湿式スリップ型連続伸線装置を提案することを目的とす
るものであり、請求項4または5の発明は、請求項1な
いしは3の発明の、伸線装置を用い、伸線ダイススケジ
ュールを適正化して伸線することによる、品質特性の良
好な極細金属線の伸線方法を提案することを目的とする
ものである。
ころは以下の通りである。 伸線用のダイス群を挟んで対向する同軸多段の巻取り
ブロックからなるコーン形キャプスタンの対を1対また
は2対以上備え、かつ、10個以上のダイスを配置できる
湿式スリップ型連続伸線装置であって、それぞれのダイ
スを挟んで相対する2つの巻取りブロックの直径と回転
数とから計算して得られる伸線装置の設計リダクション
の全てを、入線側と仕上がり線側とに2分したとき、2
分した入線側の設計リダクションの平均値が仕上がり線
側の設計リダクションの平均値よりも小さいことを特徴
とする極細金属線の伸線装置(第1発明)。
プスタンの巻取りブロックの直径が、該巻取りブロック
に巻取られる被伸線材の直径の50倍以上である第1発明
の極細金属線の伸線装置(第2発明)。
形キャプスタンの巻取りブロックの直径が、該巻取りブ
ロックに巻取られる被伸線材の直径の1100倍以下である
第1または2発明の極細金属線の伸線装置(第3発
明)。
線装置を用いて、金属線を伸線するにあたり、伸線装置
の設計リダクションに比し、伸線リダクションを大きく
したダイススケジュールを用いることを特徴とする極細
金属線の伸線方法(第4発明)。
線装置を用いて、金属線を伸線するにあたり、伸線装置
の全設計リダクションを入線側と仕上がり線側とに2分
したとき、2分した入線側の設計リダクションの平均値
とそれに対応するより大きい伸線リダクションの平均値
との差を、2分した仕上がり線側の設計リダクションの
平均値とそれに対応するより大きい伸線リダクションの
平均値との差より大きくしたダイススケジュールを用い
ることを特徴とする極細金属線の伸線方法(第5発
明)。
入線側と仕上がり線側とに2分できいとき、その中央に
あたる設計リダクションの値は、入線側または仕上がり
線側のどちらか一方の平均値の計算に入れても、また、
両者の平均値の計算に重複して入れてもそれらの計算か
ら除外してもかまわない。
あたり、まず、湿式スリップ型連続伸線装置の詳細につ
いて述べる。図1(a), (b), (c) は、一例とし湿式スリ
ップ型連続伸線機の説明図を示すもので、(a) は上面
図、(b) は側面図および(c) は巻取りブロックの分解図
である。
線装置本体5内に入った被伸線材Wは、ダイスD1 で縮
径され巻取りブロックC1 で引き取られ、つづいて巻取
りブロックC1 で引き取られた被伸線材WはダイスC2
でさらに縮径され巻取りブロックC2 で引き取られる。
このようにしてD3 −C3 ,D4 −C4 ----- とダイス
および巻取りブロックを順次通過しながら縮径された被
伸線材は、仕上げダイスD11を経て伸線装置本体5外の
最終巻取りブロックC11で引き取られ巻取りリール6に
巻取られる。
材の直径がdi-1 からdi に縮径されるとき、それらの
断面積をそれぞれSi-1 ,Si とするとiパス目の伸線
リダクション(減面率)Ri は下記式(1) であらわすこ
とができる。 Ri =1−(Si /Si-1 )=1−(di-1)2 /(di )2 ---(1)
Vi-1 ,Vi であらわすと、単位時間内に通過する被伸
線材の体積は一定であるから、 Vi /Vi-1 =Si-1 /Si の関係が成立し、したがって、伸線リダクションRi は
下記式(2) であらわすことができることから、iパス前
後の巻取りブロックの周速度をそれぞれYi-1 ,Yi と
して、伸線装置におけるリダクションri をあらわすと
下記式(3) のようになりこのri を伸線装置の設計リダ
クションと定義する。 Ri =1−(Vi-1 /Vi ) ---(2) ri =1−(Yi-1 /Yi ) ---(3)
の伸線に際しては、前にも述べたように、伸線リダクシ
ョンが伸線装置の設計リダクションを下回ると、被伸線
材の前段の巻取りブロックによる送り出し速度より速い
速度で後段の巻取りブロックが引取られる現象が生じ、
このため被伸線材の張力が急増し、急増した張力は巻取
りブロックでの摩擦力を増大させて牽引力をさらに高め
て張力の上昇が止まらなくなり、ついには被伸線材が断
線すことになる。
加工の誤差や摩耗、さらには潤滑状態による張力の変動
などにより変化し、一定に保つことは不可能であるの
で、工業的には伸線中の伸線リダクションの変化に対応
させるため、伸線装置の設計にあたっては、使用される
ダイススケジールの各伸線リダクションに対して数%低
めのリダクションを設計リダクションとしている。
との差のために、最終の巻取りブロックを除き、各パス
間では、被伸線材の線速と巻取りブロックの周速とに差
を生じ、伸線リダクションより低い設計リダクションで
あるため、被伸線材がダイスを介してその後段の巻取り
ブロックで引き取られた分必要となる送り出し速度より
常に速い速度で送り出し側の巻取りブロックは送り出す
ことになるので、被伸線材の張力は緩まり、巻取りブロ
ックと被伸線材との間でスリップが生じて両者の速度差
が調節されることになる。また、このスリップは仕上が
り線側から入線側に順次送られ入線側ほど累積される。
よるスチールコード用フィラメントのような高加工度伸
線においては、前記した問題点を含め以下のような問題
がある。
ダクションにすると、スリップ量が増加し、そのため消
費エネルギやダイス摩耗の増加ならびに仕上げ線での品
質劣化などが生じる。
材の径に対する比が小さすぎると、被伸線材の表面性状
を損ねる。例えば、曲げ歪により塑性きずを生じたり、
表面のめっきが剥離したりし、このためダイスの摩耗も
増進したりする。したがって、被伸線材の径に対し十分
に大きい巻取りブロック径とすることが重要になる。
く、かつ被伸線材の径が大きく弾性限も低い入線側の伸
線初期段階で特に問題となるもので、縮径加工が進んだ
段階では、被伸線材の径が縮径され弾性限も高くなり、
巻取りブロック径も大きくなることなどあって、巻取り
ブロックによる曲げの影響は無視できる。
は、ばねとしての挙動を示すようになり、伸線中に大き
な振動が発生するという現象がある。ダイス荷重の変化
を圧電素子により測定する実験を行ったところ、この振
動の大きさとダイス出側被伸線材の温度上昇に正の相関
があること、温度の上昇した仕上り線は捻回特性が劣化
し、スチールコードへの撚り線プロセスで断線を引き起
こすことなどが明らかとなった。また、この振動はダイ
ス摩耗も増進させる。したがって、品質の良好な仕上が
り線を得るためには、被伸線材の振動を抑制することが
重要になる。
線材の張力を高めること、被伸線材の支点間隔をできる
だけ短くすることが有効であることが判明したが、張力
を高める対策は断線増加につながるため限界がある。そ
こで伸線装置として、伸線後半の被伸線材が高弾性化し
た部分での部品間の寸法を詰めることが重要になってく
る。この場合巻取りブロック径を小さくするとが軸間距
離を詰め易く有効になる。また、軸間距離が同じであっ
ても巻取りブロック径の小さい方が振動の発生が少ない
ことが実験により確かめられた。これは巻取りブロック
径が大きい方が巻付けた被伸線材の拘束力が弱くなり、
張り渡した伸線材の有効長が長くなる作用があるためと
考えられる。
を同時に解決する。すなわち、従来の伸線装置に比し、
入線側の巻取りブロック径を大きくし、仕上がり線側の
巻取りブロック径を小さくする最も簡単な方法は多軸化
してコーン形キャプスタンの対を増加することである。
しかし、この多軸化は部品点数の増加や装置の大型化、
設置スペースの増加などのコストアップ要因があり、経
済的見地から有効な手段ではない。
全設計リダクションをほぼ一定の値にしている(仕上り
線側の1〜3パス程度を小さくしている)のに対し、入
線側の設計リダクションを仕上がり線側の設計リダクシ
ョンより小さくする、すなわち、全設計リダクションを
入線側と仕上がり線側に2分したとき、2分した入線側
の設計リダクションの平均値を2分した仕上がり線側の
設計リダクションの平均値より小さくするものであり、
かくして、仕上がり線側の巻取りブロック径を大きくす
ることなしに入線側の巻取りブロック径を大きくするこ
とができ、かつ、そのためにコーン形キャプスタンを多
軸化することもないので経済性を損うこともなくなる。
り線側の設計リダクションより小さくし、かつ、各伸線
リダクションをほぼ均一なダイススケジュールで伸線し
た場合、入線側ほど累積される上記項のスリップによ
る問題の発生が考えられる。
するため、その巻取りブロックの周速と被伸線材の線速
との比で見れば大きな値になるが、入線側では絶対的な
速度が遅いため、スリップの影響の度合いは逆に小さく
なる。例えば、スチールコード用フィラメントを伸線す
る場合のように大幅な縮径を行う場合の入線側と仕上が
り線側との速度比は40〜70倍にもなり、入線側の初期の
パスで巻取りブロックの周速と被伸線材の線速とに30%
の差つけたとしても、仕上がり側終段近くのパスでの1
%の差にも満たないことになる。したがって、伸線装置
の入線側の設計リダクションを小さくしても、入線側で
のスリップによる影響は全く問題にすることはない。そ
してさらに、仕上がり線の品質劣化防止やダイス摩耗の
抑制などのためには、入線側巻取りプロック径を該巻取
りブロックに巻付く金属線の径の50倍以上、仕上がり線
側巻取りブロック径を該巻取りブロクに巻付く金属線の
径の1100倍以下とすることがよい。
ブロック径に関する実験例について以下に述べる。
径のダイスを用いて伸線(減面率:10%)するにあた
り、異なる径の巻取りブロックを用いてそれぞれ引き抜
き、引き抜かれた各鋼線について、断面形状(真円
度)、表面粗さ、めっき剥離量などを測定した。
よび4に示す。図2は、異なる巻取りブロック径で引抜
いた各鋼線の断面形状の測定図、図3は、巻取りブロッ
ク径と鋼線表面粗さとの関係のグラフ、図4は、巻取り
ブロック径とめっき剥離量との関係のグラフである。
ロック径が95mm(巻付け線径の55倍)から70mm(巻付け
線径の41倍)と小さくなると、鋼線の断面形状や表面粗
さは大幅に劣化し、めっき剥離量も増加している。
らに、6軸のコーン形キャプスタンを有する湿式スリッ
プ型連続伸線装置を用いて、線径が0.30mmの仕上がり線
にそれぞれ連続伸線し、最終ダイス通過直後の鋼線表面
温度および仕上がり線の捻回特性を調査した。図5に入
線側巻取りブロック径と最終ダイス通過直後の鋼線温度
との関係のグラフを、図6に入線側巻取りブロック径と
仕上がり線の捻回値指数との関係のグラフを示す。
が小さいほど、最終ダイス通過直後の鋼線表面温度は上
昇し、仕上がり線の捻回値指数は低下する傾向を示して
いて、その傾向は入線側巻取りブロック径が70mm(巻付
け線径の41倍)になると特に顕著になることがわかる。
りブロック径は、巻付く鋼線径の50倍以上とすることが
好ましいことがわかる。
響を、2パス伸線実験装置を用いて調査した。図7は2
パス伸線実験装置の説明図である。
線機で最終2パス前まで連続伸線した鋼線を用い、図7
に示した2パス伸線実験装置により巻取りブロック径を
変化させて2パスの伸線を行い、それぞれ線径:0.200m
m の仕上がり線とし、最終ダイス通過直後の鋼線表面温
度および仕上がり線の捻回特性を調査した。図8に巻取
りブロック径と最終ダイス通過直後の鋼線表面温度との
関係のグラフを、図9に巻取りブロック径と捻回値指数
との関係のグラフを示す。
仕上がり線側の巻取りブロック径がある程度以上大きく
なると鋼線の振動が激しくなって鋼線の発熱が大きくな
り、捻回値指数が低下することが明らかであり、その巻
取りブロック径は巻付く鋼線の1100倍以下とすることが
望ましいことがわかる。
金属線を伸線するにあたっては、被伸線材に多大な張力
が発生することによる断線を防止するため、従来の伸線
装置を用いる場合と同様に、伸線装置の設計リダクショ
ンより大きい伸線リダクションのダイススケジュールで
伸線することが重要である。なお、一部の巻取りブロッ
クで設計リダクションより伸線リダクションを小さく
し、その分被伸線材に張力を付与して伸線することも可
能であるが、安定した伸線を行うためには、各パスとも
設計リダクションより伸線リダクションを大きくして伸
線することがよい。
線側と仕上がり線側とに2分したとき、2分した入線側
の設計リダクションの平均値とそれに対応するより大き
な伸線リダクションの平均値との差を、2分した仕上が
り線側の設計リダクションの平均値とそれに対応するよ
り大きい伸線リダクションの平均値との差より大きくし
たダイススケジュールで伸線することがよい。
ップが増加してもあまり問題にする必要がないことか
ら、入線側の設計リダクションが小さくともそれに比例
して伸線リダクションを小さくすることなく伸線する
(設計リダクションと伸線リダクションの差が大きくな
ることにより、スリップも増加する)ものであり、かく
して、入線側の設計リダクションが小さくとも伸線の総
リダクションを減少することなく、ダイス摩耗の増加お
よび消費電力の増加を抑制し、仕上がり線の品質の向上
が計れる好適な伸線を行うことができる。
量の少ない伸線装置の場合には、巻取りブロック径など
についての問題が軽度であるため、従来技術に比し、こ
の発明により特に著しい効果を発揮することは難しい。
(a)はこの発明に適合する4軸湿式スリップ型連続伸
線装置の説明図、図10(b)は従来の4軸湿式スリップ
型連続伸線装置の説明図である。
あり、この中には循環する潤滑液が充満している。同軸
多段の巻取りブロックCからなるコーン形キャプスタン
は、それぞれキャプスタン軸1,2,3および4に取り
付けられている。キャプスタン軸1と2および3と4に
取り付けられたコーン形キャプスタンがそれぞれ対とな
り、対となるコーン形キャプスタン間にはダイスDが各
巻取りブロックCに対応して設置されている。
ロックC1 −1に巻付けられたのちダイスD2 を通って
巻取りブロックC2 −1に巻付けられ、さらにダイスD
3 を通って巻取りブロックC1 −2に巻付けられる。こ
のようにしてダイス群Dを順次通って縮径されて仕上が
り線Wf となり巻取り装置のリール(図示省略)に巻取
られる。
よってほぼ等リダクションで縮径されるのでそれに伴
い、若干小さい設計リダクションとなるように巻取りブ
ロックCの径が定められていた。従って図10(b)に示
すように巻取りブロック径は、C1 −1,C1 −2,C
1 −3あるいはC2 −1,C2 −2,C2 −3と被伸線
材が縮径伸長されることに対応して増径されている。
の発明に適合する伸線装置では、入線側の巻取りブロッ
ク径は、C1 −1,C1 −2,C1 −3あるいはC2 −
1,C2 −2,C2 −3間で増径がなく、この場合、そ
れらの間の設計リダクションは0とし、入線側の設計リ
ダクションの平均値を仕上がり線側の設計リダクション
より小さくしている。
素材として、中間伸線後、仕上げ熱処理(パテンティン
グ)ののちブラスめっきを施した線径:1.94mmのブラス
めっき鋼線を、設計リダクションの異なる伸線装置を用
い、伸線リダクション(ダイススケジュール)は一定に
して線径:0.27mmのスチールコード用フィラメントに伸
線した。伸線装置の設計リダクションは、この発明に適
合する適合例2例、従来とほぼ同等の従来例1例および
比較例3例の6種類とした。
対応する各設計リダクションを表1にまとめて示し、表
1に示した設計リダクションとするために採用した各パ
ス毎の巻取りブロック径を表2に示す。
No.23 (仕上げ)の巻取りブロックは伸線装置本体外に
設けた単独のものである。また、最終伸線後の各ブラス
めっき鋼線の捻回値、それぞれの伸線におけるダイス寿
命、消費電力量および伸線装置の製作コストなどを、従
来例の場合を100とする指数で表3にまとめて示す。
(指数値は大きいほど好ましいことを示す。)
計リダクションをこの発明に従って小さくしたものであ
るが、従来例に比し特に捻回値指数、ダイス寿命指数で
良好な値を示している。そして、さらに適合例1は、伸
線のダイススケジュールに合わせてそれぞれの巻取りブ
ロック径を選択し、各巻取りブロック間の周速比すなわ
ち設計リダクションをより最適化したものであり、その
結果、入線側の巻取りブロック径をより大きくでき、従
来例はもとより適合例2と比べても優れた値が得られて
いる。
設計リダクションを従来例よりも小さくして入線側の巻
取りブロック径を多少大きくしたものであるがその効果
はほとんど見られなく、比較例2は、全設計リダクショ
ンを従来例よりも小さくして入線側の巻取りブロック径
を大きくしたものであるが、仕上がり線側のスリップが
大きくなったため従来例より悪い結果が得られている。
を1対増やし3対とすることにより、入線側の巻取りブ
ロック径を大きくしたので従来例に比し捻回値指数、ダ
イス寿命指数等は良好な値を示しているが、装置の製作
費用が高価となるほか、装置の設置面積も広げる必要が
あり、さらに装置の保持点検工数も増加するなどコスト
アップ要因が多く経済性が大幅に劣化する。
に比し良好な品質の鋼線が得られ、かつ、経済性にも優
れていることを示している。
は、設計リダクションを、仕上がり線側の平均値に対し
て入線側の平均値を小さくするものであり、この伸線装
置によれば、伸線された金属線の品質を改善し、かつ、
ダイス寿命を延長でき、キャプスタン軸を増やす必要が
ないことなどから製造コストも低減できるという効果を
有する。
線側の巻取りブロック径および/または仕上がり線側の
巻取りブロック径を特定するものであり、かくすること
により上記の効果をより顕著に発揮させることができ
る。
請求項1ないし3の伸線装置を用い、伸線リダクション
を特定したダイスケジュールにより伸線するものであ
り、かくして上記効果を有利に発現させるものである。
(a)は、上面図である。(b)は、側面図である。
(c)は、巻取りブロックの分解図である。
断面形状の測定図である。
ラフである。
ラフである。
の鋼線温度との関係のグラフである。
指数との関係のグラフである。
表面温度との関係のグラフである。
フである。
ップ型連続伸線装置の説明図である。(b)は、従来の
4軸湿式スリップ型連続伸線装置の説明図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 伸線用のダイス群を挟んで対向する同軸
多段の巻取りブロックからなるコーン形キャプスタンの
対を1対または2対以上備え、かつ、10個以上のダイス
を配置できる湿式スリップ型連続伸線装置であって、そ
れぞれのダイスを挟んで相対する2つの巻取りブロック
の直径と回転数とから計算して得られる伸線装置の設計
リダクションの全てを、入線側と仕上がり線側とに2分
したとき、2分した入線側の設計リダクションの平均値
が仕上がり線側の設計リダクションの平均値よりも小さ
いことを特徴とする極細金属線の伸線装置。 - 【請求項2】 入線側の少なくとも最初のコーン形キャ
プスタンの巻取りブロックの直径が、該巻取りブロック
に巻取られる被伸線材の直径の50倍以上である請求項1
に記載の極細金属線の伸線装置。 - 【請求項3】 仕上がり線側の少なくとも最初のコーン
形キャプスタンの巻取りブロックの直径が、該巻取りブ
ロックに巻取られる被伸線材の直径の1100倍以下である
請求項1または2に記載の極細金属線の伸線装置。 - 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の極細金属
線の伸線装置を用いて、金属線を伸線するにあたり、 伸線装置の設計リダクションに比し、伸線リダクション
を大きくしたダイススケジュールを用いることを特徴と
する極細金属線の伸線方法。 - 【請求項5】 請求項1、2または3に記載の極細金属
線の伸線装置を用いて、金属線を伸線するにあたり、 伸線装置の全設計リダクションを入線側と仕上がり線側
とに2分したとき、2分した入線側の設計リダクション
の平均値とそれに対応するより大きい伸線リダクション
の平均値との差を、2分した仕上がり線側の設計リダク
ションの平均値とそれに対応するより大きい伸線リダク
ションの平均値との差より大きくしたダイススケジュー
ルを用いることを特徴とする極細金属線の伸線方法。
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JP00370697A JP3749326B2 (ja) | 1997-01-13 | 1997-01-13 | 極細金属線の伸線装置および伸線方法 |
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JP00370697A JP3749326B2 (ja) | 1997-01-13 | 1997-01-13 | 極細金属線の伸線装置および伸線方法 |
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