JP4392868B2 - 多段スリップ型湿式伸線方法 - Google Patents

多段スリップ型湿式伸線方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多段スリップ型湿式伸線機を用いた線材の伸線方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多段スリップ型湿式伸線方法は、ダイスとそのダイスを通過した線材に引抜力を与えるキャプスタンとからなる伸線パスを複数段備える伸線装置を用いて、線材を連続して順次引き抜いて縮径することにより、所望の直径の線を製造するものであり、少なくとも一部の段において、ダイスおよびキャプスタンを潤滑液中に浸漬し、キャプスタンと引き抜かれる線材との間に速度差が設けられるところに特徴がある。
【0003】
この多段スリップ型湿式伸線方法は、乾式潤滑剤を用いてキャプスタン周速と引き抜かれる線材の速度とが同じである、ノンスリップ型乾式伸線方法に比べて、伸線装置が簡単かつコンパクトにできること、表面の平滑性が良好な線材を製造できること等の利点があり、特に、スチールコード用鋼線等の細線の製造に広く用いられている。しかしながら、キャプスタンと引き抜かれる線材との間に速度差があるため、線材表面の損傷、線材速度および張力の変化による断線、ダイスの早期摩耗等の問題が生じやすく、ダイス減面率の設定とともに、キャプスタン周速と引き抜かれる線材の速度との差を設定することが肝要とされている。
【0004】
例えば、特許第2614950 号公報には、ダイスの仕事率を特定範囲に設定するとともに、第1ダイスを通過した線材速度をv1 、その線材を引き抜くキャプスタンの周速をV1 として、スリップ率をS1 =(1−v1 /V1 )×100 %と定義し、S1 を30%以下とする多段スリップ型湿式伸線法が開示されている。
【0005】
また、特開平9−24413 号公報には、最終キャプスタンの周速をVc0 、最終ダイスを通過した金属線材の速度をVw0 としてVc0 =Vw0 となし、任意のダイスを通過した金属線の速度をVwn 、これを引き抜くキャプスタンの周速をVcn としてスリップ速度率Sn をSn ={(Vcn −Vwn )/Vc0 }×100 %と定義し、Sn を3%〜8%とする多段スリップ型湿式伸線法が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記のような技術を適用しても、線材の表面の損傷、線材速度および張力の変化による断線、ダイスの早期摩耗等の問題が解決されない場合が多々あり、特に、伸線速度の増加を図る場合や高強力鋼線を製造する場合に顕著な問題となる。
【0007】
一方、高強力鋼線を製造する際のダイス減面率の設定方法として、例えば特開平9−99312 号公報には、捻回特性の良好な高強度鋼線を得るべく、伸線加工歪εを=21n(d0 /d)(ただし、d0 :出発線径、d:伸線工程中の各段の線径、1nは自然対数)とし、▲1▼0≦ε≦0.3 の段ではダイス減面率を10%〜20%とし、▲2▼0.3 <ε<3.0 の段ではダイス減面率を15%〜25%とし、▲3▼ε≧3.0 の段ではダイス減面率を2%〜15%とする伸線方法が開示されている。
【0008】
また、特開平7−305285号公報には、延性の良好な高強度鋼線を得るべく、最終ダイスでの伸線加工歪εが4.0 以上となる伸線加工を行うに当たり、▲1▼εが0.75未満の伸線加工で用いるダイスの減面率を(22.67 ε+3)%から29%に、▲2▼εが0.75以上2.25以下の伸線加工で用いるダイスの減面率を20%〜29%に、▲3▼εが2.25をこえる伸線加工で用いるダイスの減面率を(−6.22ε+43)%〜(−5.56+32.5)%とする伸線方法が開示されている。
【0009】
しかしながら、上記のようなダイス減面率を多段スリップ型湿式伸線方法に適用した場合でも、キャプスタンと引き抜かれる鋼線との速度差の設定が不適正であると、鋼線の表面の損傷、断線、ダイスの早期摩耗等の問題が生じ、捻回特性等の延性もさほど改善されない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、上記の従来技術の問題点をふまえ、多段スリップ型湿式伸線方法において、キャプスタンと引き抜かれる線材との速度差を適正に設定することにより、伸線速度を増加した場合でも、線材表面の損傷、断線、ダイスの早期摩耗等の問題を生じることなく伸線を実現する手段を提供することにある。
【0011】
また、この発明の目的は、さらにダイス減面率を適正に設定し、とりわけ高強度鋼線の高速伸線にも好適に適用し得る伸線方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ダイスとそのダイスを通過した黄銅めっき鋼線材を引抜くキャプスタンとからなる伸線パスを複数段用いる多段スリップ型湿式伸線方法において、最終段を除く各段の伸線パスにおける、下記式で定義される、平均スリップ速度Si を、5〜80m/min の範囲に設定し、かつ総伸線加工歪の40%以上に相当する伸線加工を、減面率が20%以上のダイスを用いて行うことを特徴とする多段スリップ型湿式伸線方法。

i =Vci −Vwi
ここで、Vci :各段のキャプスタンの周速
Vwi :各段のダイス通過後の線材の平均速度
【0014】
【発明の実施の形態】
さて、この発明で用いる多段スリップ型湿式伸線装置は、図1に示すように、ダイス1およびその出側に配置したキャプスタン2を1つの伸線パスとして、この伸線パスを多段に設けて成る。この装置に導入された線材3は、伸線パスの各段において、ダイス1を通過後にキャプスタン2に巻き付けられ、ダイス1での引抜力を与えられて伸線加工が行われる。そして、この伸線パスを複数段でわたって最終の第n段まで行うことによって、所望の径まで縮小された線が得られる。
【0015】
ここで、最終段の伸線パスを除く各段、例えば第i段目の伸線パスについて、そのダイス1の孔径および第i段目のダイス1で引き抜かれた線材3の直径をDi 、第i段目のダイス1で引き抜かれた線材3の平均速度をVwi 、そして第i段目目のキャプスタン2の周速をVci とし、そこでの平均スリップ速度Si を、
i =Vci −Vwi
と定義したとき、この平均スリップ速度Si を5〜80m/min に設定することが、肝要である。ここで、停止状態から所定の定常伸線速度に達するまでの過渡期においては、Vci とVwi とはともに変化し、従って平均スリップ速度Si も変化するから、この発明では、少なくとも定常伸線速度における平均スリップ速度Si を5〜80m/min に設定する。
【0016】
なお、第i段目のダイス1を通過後の線材の平均速度Vwi は、Vwi =Vwn ×(Di /Dn 2 で計算される。ただし、Vwn は最終の第n段における最終ダイス1n で引き抜かれた線の平均速度およびDn は最終ダイス1n で引き抜かれた線4の直径である。
【0017】
ところで、多段スリップ型湿式伸線方法におけるスリップ条件の設定は、キャプスタン周速に対するスリップ速度の比に注目して行われてきた。これに対して、この発明の伸線方法は、最終段を除く各段の伸線パスにおいて、平均スリップ速度の値そのものを、5〜80m/min の範囲に設定することを特徴とする。この要旨構成は、次の知見に基づくものである。
【0018】
まず、一般に、多段スリップ型伸線方法においては、最終段では実質的にVwn =Vcn とするが、最終段以外の各段では、キャプスタンにより線材を引き抜くためにVci >Vwi として操業を行う。また、定常伸線速度における各段のキャプスタンの周速を一定にすることも通例である。ところが、Vci >Vwi である段での線速は常に一定とは限らず、Vwi を平均値として、その上下に時間的に変動し得る。
【0019】
例えば、第i段目において、線材の速度(以下、線速と示す)がVwi よりも大きくなったとする。この状態は、Vci >Vwi であるがために起こり得る状態である。すると、その上流の第i−1段目の線材の張力が上昇し、キャプスタンと線材との接触圧の増加による線速の増加が生じ、さらに上流の段への伝播も起こり得る。そして、ある段における線速の増加に、その上流の段の線速増加が追随できない場合は、断線が生じる。一方、下流の第i+1段目ではダイス後方張力(第i+1段目のダイスに入線する線材の張力)が減少し、ダイス面圧の上昇、引抜力の減少等が生じ、さらに下流の段への伝播も起こり得る。この第i段目における線速がVwi よりも大きくなった状態は、定常状態として持続するものではない。つまり、前段目から第i段目へと引き抜かれる線材の量が、第i段目から次段目へと引き抜かれる線材の量よりも大きいために、第i段目のキャプスタン後の張力が減少し、次いで第i段目の線速が逆に平均線速Vwi よりも小さくなるという状態を生じるのである。
【0020】
上記のような線速の変動は、引き抜かれる線材の劣化、断線あるいはダイスの早期摩耗等の原因となるものであり、各段の線速がなるべく変動しない状態、すなわち線速とキャプスタン周速との速度差がなるべく変動しない状態にて、多段スリップ型の伸線を行うことが望ましい。
【0021】
そこで、発明者らは、キャプスタン周速Vci に対する平均線速Vwi の設定条件と線速変動量との関係について鋭意調査、研究したところ、最終段以外の各段における平均スリップ速度の絶対値Si (Si =Vci −Vwi )を5m/min 以上80m/min 以下に設定することにより、各段における線速の変動が少ない安定した状態で多段スリップ型湿式伸線を行い得ることを見出した。
【0022】
すなわち、Si が80m/min を超えると、キャプスタンが線速を増加させようとする作用が大きくなり、線速が不安定となる。また、例え線速が平均線速Vwi に近い値に安定したとしても、キャプスタン周速との差が大きいため、線材表面の損傷、消費エネルギーの増加等の問題が付随する。これに対して、Si を80m/min 以下に設定した場合は、線速の変動が少ない安定した状態で伸線される。特に好ましいのは、Si を50m/min 以下に設定することであり、線材表面状態や消費エネルギーについても良好な結果を得ることができる。
【0023】
一方、Si の下限値について、各段のSi を0に設定してノンスリップ型伸線のように常にキャプスタン周速と同じ線速で伸線することも、理論的には考えられるが、実際には、ダイス孔径のばらつきやダイスの摩耗により、常に各段のSi を0にしておくことは非常に困難である。そこで、最終段以外の各段では、Vci >Vwi すなわちSi >0として操業することになる。この場合、Si の値を5m/min 未満に設定すると、起こり得る線速変動幅は小さくなるが、キャプスタン周速と線速との差が小さいため、Si >0ですべり摩擦により引き抜く状態のみならず、Si =0で静止摩擦により引き抜く状態も生じ得る。従って、キャプスタンと線材との間の摩擦係数が、すべり摩擦係数と静止摩擦係数との間で大きく変動し、キャプスタン出側での張力変動が大きくなる結果、次段のダイスにおける後方張力が大きく変動し、ダイスの摩耗、線材の品質劣化等をもたらす。この張力変動は、さらに上流の段へも伝播し得る。以上の現象を防止するには、常にすべり摩擦により引き抜くことが有効であり、そのために、最終段以外の各段でのSi を5m/min 以上に設定する必要がある。
【0024】
また、Si >0と設定したときのキャプスタンが線速を増加させようとする作用は、キャプスタンへの線材の巻付け回数が多いほど大きくなる。このため、線速の変動を小さくするためには、線材をダイスから引き抜くことが可能な範囲内で、キャプスタンへの線材の巻付け回数をなるべく少なく設定することが望ましい。ただし、引抜力過剰による断線を防止すべく、最終段を含む各段のダイスにおける引抜力Zi とダイス通過後の線材の引張強さTi との比Zi /Ti (i=1〜n)が60%以下となるように、各段のダイス減面率およびキャプスタンへの線材の巻付け回数を設定することが望ましい。
【0025】
次に、この発明の伸線方法におけるダイス減面率の設定について説明する。なお、説明にあたり、以下の用語を、次の通りに定義して用いる。
(1)「ダイス加工歪εD 」は、一段の伸線パスにおける伸線加工歪とする。すなわち、i−1段目のパスで引き抜かれた線材の直径Di-1 、i段目のパスで引き抜かれた線材の直径をDi とすれば、i段目の伸線パスにおけるεD は、εD =2×1n(Di-1 /Di )である。
(2)「累積伸線加工歪εc 」は、ある伸線パスで引き抜かれるに至った線材の伸線加工歪とする。すなわち、初段の伸線パスで引き抜かれる前の線材の直径をD0 、i段目の伸線パスで引き抜かれた線材の直径をDi とすれば、i段目の伸線パスを通過した線材のεc は、2×1n(D0 /Di )であり、i段目以前の伸線パスのダイス加工歪εD の合計値に相当する。
(3)「総伸線加工歪εT 」は、最終段の伸線パスで引き抜かれるに至った線材の伸線加工歪とする。すなわち、初段の伸線パスで引き抜かれる前の線材の直径をD0 、最終段の伸線パスで引き抜かれた線材の直径をDn とすれば、総伸線加工歪εT は、εT =2×1n(D0 /Dn )であり、全伸線パスのεD の合計値に相当する。
【0026】
さて、平均スリップ速度Si を、この発明の適合範囲に設定し、かつ総伸線加工歪の40%以上に相当する伸線加工を、減面率を20%以上に設定したダイスにて行うことにより、鋼線の表面の損傷、断線、ダイスの早期摩耗等の問題を生じることなく、延性に優れた高強度鋼線をより有利に製造することができる。具体的には、減面率を20%以上に設定したダイスにおけるダイス加工歪εD の合計値が、総伸線加工歪εT の40%以上となるように、パススケジュールを設計するのである。
【0027】
上記のようにパススケジュールを設定するのは、多段伸線の過程において減面率を20%以上に設定したダイスでの加工の割合を40%以上とすることにより、その割合が40%未満のときに比べて、線材表層部への加工歪の集中的蓄積を大幅に抑制するためである。特に、ゴム物品補強用高強度鋼線等に好適であり、ゴムの加硫に伴う加熱による延性低下が少なく、耐久性の高い高強度鋼線を得ることができる。
【0028】
上記の条件を満足するパススケジュールを設定するにあたり、減面率を20%以上に設定したダイスでの伸線加工は、高い減面率での伸線加工が比較的容易である伸線パス、すなわち累積伸線加工歪εc が0.5 以上かつ2.5 未満の線材を伸線する伸線パスにて行うことが好ましい。なぜなら、εc が0.5 未満の線材は、表面の潤滑性が未だ良好でなく、εc が小さくなる上流の伸線パスほど、高い減面率での伸線加工が困難になるためである。特に、ゴム物品補強用高強度鋼線製造のための黄銅めっき鋼線材の伸線において顕著である。一方、εc が2.5 以上の線材を加工する伸線パスにおいては伸線速度が速くなり、かつ線材の変形抵抗も高くなるため、εc が大きくなる下流の伸線パスほど、高い減面率での伸線加工が困難となるためである。
【0029】
より具体的には、線材のεc を横軸に、これを伸線するダイスの減面率を縦軸にとって図示したときに、εc が0.5 以上かつ2.5 未満である領域に20%以上の最大減面率を持つ、山なりの形状となるように、パススケジュールを設定することが特に好ましい。
【0030】
なお、ダイスには、一般に使用されている形状のものが適用でき、例えば鋼線材を伸線する場合には、アプローチ角が8°から15°およびベアリング長さがダイス孔径の0.3 倍から0.8 倍のものが使用できる。また、ダイス材質は、焼結ダイヤモンドのほか、安価な超硬合金ダイスも使用できる。
【0031】
【実施例】
約0.82重量%の炭素を含有する、直径が約5.5 mmの高炭素鋼材に、乾式伸線を施して直径が約1.72mmの鋼線材を製造した。この鋼線材にパテンティング処理と黄銅めっき処理とを施し、黄銅めっき鋼線材を製造した。得られた黄銅めっき鋼線材に、多段スリップ型湿式伸線を施し、直径が0.30mmの黄銅めっき鋼線を製造した。なお、定常伸線速度における最終ダイス通過後の鋼線の速度は、800 m/min とした。また、ダイスには、アプローチ角が約12°およびベアリング長さがダイス孔径の約0.5 倍の超硬合金ダイスを用いた。
【0032】
多段スリップ型湿式伸線を行うに当たり、キャプスタン周速比の異なる2種類の伸線装置aおよびbと、累積伸線歪εc とダイス減面率との関係がほぼ山なりである5種類のパススケジュールA,B,C,DおよびEとを組み合わせ、表1に示す7種類の条件を適用した際の、最終ダイス直前の線速張力の変動情況および伸線量当たりの最終ダイス摩耗量を測定して比較した。なお、用いた2種類の伸線装置のキャプスタン周速比を表2に、5種類のパススケジュールの詳細およびキャプスタンへの線材巻付け回数を表3ないし表7に示す。ここで、表2において、ドラフト番号とは、最終段を〔1〕とし、上流に向かって順に付した伸線装置の伸線パスの各段に固有の番号である。また、あるドラフトにおけるキャプスタン周速比とは、(そのドラフトのキャプスタン周速−直上流のキャプスタン周速)/(直上流のキャプスタン周速)×100 (%)で求められる値である。
【0033】
表1に示す各条件における各伸線パスの平均スリップ速度を図2に、また各パススケジュールの累積伸線歪εc とダイス減面率との関係を図3に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004392868
【0035】
【表2】
Figure 0004392868
【0036】
【表3】
Figure 0004392868
【0037】
【表4】
Figure 0004392868
【0038】
【表5】
Figure 0004392868
【0039】
【表6】
Figure 0004392868
【0040】
【表7】
Figure 0004392868
【0041】
その結果、最終段を除く各伸線パスの平均スリップ速度が5〜80m/min の範囲にある、実施例1から4の条件での伸線においては、最終ダイス直前の線材張力の変動が著しく少なく、ほぼ一定の張力で伸線することができた。これに対し、比較例3から5の条件での伸線は、線材張力のスパイク状変動が検出された。また、実施例1および2における伸線量当たりの最終ダイス摩耗量は、比較例3から5におけるそれのほぼ2分の1であった。
【0042】
また、各実施例および各比較例の条件で製造された鋼線の、加熱後捻回値を次の条件で測定して比較した。
(1)加熱条件:ゴムの加硫のための加熱を想定し、145 ℃で40分間とした。
(2)捻回条件:加熱した鋼線を、試験長を50mmとし、軸線方向に約1.0 kgの張力をかけながら約60回/分の回転速度で捻った。
(3)捻回値:鋼線が表面クラック発生または破断に至るまでに、鋼線の直径の100 倍の長さ当たりに加えた捻り量を捻回値とした。捻回値が大きいほど捻回特性に優れる。
【0043】
その結果を、図4に示すように、減面率20%以上のダイスによる伸線加工の割合が40%以上である鋼線は、減面率20%以上のダイスによる伸線加工の割合が40%未満である鋼線よりも、著しく優れた加熱後捻回特性を示した。しかしながら、比較例4および5においては、減面率20%以上のダイスによる伸線加工の割合は比較例よりも大きいが、最大平均スリップ速度が比較例よりも大きく、鋼線の加熱後捻回特性は比較例1よりも劣るもとなった。これに対し、平均スリップ速度がこの発明の条件を満たし、かつ減面率20%以上のダイスによる伸線加工の割合が40%以上である実施例1および2による鋼線は、比較例よりもさらに優れた加熱後捻回特性を示した。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の多段スリップ型湿式伸線方法に従って、キャプスタン周速と引き抜かれる線材の速度との差を適正に設定することにより、伸線中の線速および張力の断続的変動が抑制され、ダイスの早期摩耗、断線、線材の損傷等の問題を解決することができ、高品質の線材を効率的に製造することができる。
【0045】
さらに、この発明の多段スリップ型湿式伸線方法において、総伸線加工歪の40%以上に相当する伸線加工を、減面率が20%以上のダイスにて行うことにより、延性が良好でかつ加熱時効によっても延性が劣化し難い線を製造することができる。このため、例えば高強度鋼線の高速伸線に好適であり、得られる鋼線は、高い耐久性が要求されるゴム物品補強材等として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多段スリップ型湿式伸線装置を示す図である。
【図2】実施例および比較例における各伸線パスの平均スリップ速度を示すグラフである。
【図3】実施例および比較例に用いたパススケジュールの、累積伸線歪εc とダイス減面率との関係を示すグラフである。
【図4】実施例および比較例による鋼線の、加熱後捻回値を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ダイス
1n 最終ダイス
2 キャプスタン
2n 最終キャプスタン
3 線材
4 線

Claims (2)

  1. ダイスとそのダイスを通過した黄銅めっき鋼線材を引抜くキャプスタンとからなる伸線パスを複数段用いる多段スリップ型湿式伸線方法において、最終段を除く各段の伸線パスにおける、下記式で定義される、平均スリップ速度Si を、5〜80m/min の範囲に設定し、かつ総伸線加工歪の40%以上に相当する伸線加工を、減面率が20%以上のダイスを用いて行うことを特徴とする多段スリップ型湿式伸線方法。

    i =Vci −Vwi
    ここで、Vci :各段のキャプスタンの周速
    Vwi :各段のダイス通過後の線材の平均速度
  2. 請求項において、減面率が20%以上のダイスを用いた伸線加工は、初段からの累積伸線加工歪が0.5 以上かつ2.5 未満の線材を伸線する伸線パスにて行うことを特徴とする多段スリップ型湿式伸線方法。
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