JPH10192602A - 軽成分を釜残液より分留する方法 - Google Patents

軽成分を釜残液より分留する方法

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JPH10192602A
JPH10192602A JP1583497A JP1583497A JPH10192602A JP H10192602 A JPH10192602 A JP H10192602A JP 1583497 A JP1583497 A JP 1583497A JP 1583497 A JP1583497 A JP 1583497A JP H10192602 A JPH10192602 A JP H10192602A
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽成分を高沸点釜残液より分留するさいに高
純度でかつ回収率の高い減圧精留方式を提供する。 【構成】 低圧損失の充填物を設置した精留塔13の前
段にフラッシュ蒸留器3を設けて原液を適当な液ガス比
にフラッシュして減圧精留塔の中段に供給し、塔底部1
9には攪拌膜型蒸留器33を設けて軽成分を釜残液より
留出して塔へ返送する。 【効果】 上記目的を低い設備費によって達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は主として化学工業の分
野において、混合物を分留して比較的沸点の低い軽成分
を沸点の高い釜残液より能率よく分離,回収する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術として一般に分留に使用され
るのは図2に示すような減圧精留塔13によるのもであ
る。
【0003】図2において原液は1より予熱器44によ
り伝熱面を介して加熱用スチーム等により所定の温度ま
で加熱された後、減圧精留塔13の中間にある供給段2
2に送られる。そのさい供給される液の一部または全部
が気化される場合もある。
【0004】塔内には供給段22を挟んで上下に濃縮段
16と回収段18が設けられ、各々の中で降下する液と
上昇する蒸気が接触し、双方に含まれる各々の成分が気
液平衡に向かって移動する間に、揮発性の高い軽成分は
気相側に、揮発性の低い重成分は液相側に分離濃縮し、
それぞれ塔頂部14と塔底部19より流出する。
【0005】14を出た塔頂蒸気24は、コンデンサー
25において冷却水26等による間接冷却を受けて凝縮
液27となり、還流調節器45により所定の還流比Rに
従ってその一部は還流液として14に灌液されて塔内を
流下し、他は留出液受器28へ収納される。
【0006】一方塔底液は、リボイラー46により伝熱
面を介して外部よりのスチームその他の熱源により間接
加熱され、その一部は気化して再び19に戻って塔内を
上昇するが、他は釜残液として釜残受器41へ収納され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図2の従来の技術を用
いて通常に高沸点の混合物を処理する場合には、減圧精
留塔内の濃縮段16,回収段18に圧縮損失の少ない充
填物を用い塔頂部を高度の減圧下で運転することによ
り、予熱器44とリボイラー46を通過する液体温度を
下げることで各液体が高温にさらされて変質することを
避け、同時に各々伝熱面の加熱側の温度も下げることで
通常の加圧スチームを熱源として使用することが可能と
なる。
【0008】しかるに混合物を構成する成分の沸点が次
第に上昇するにつれて、このような加熱手段のみでは分
留操作を順調に行うことは困難となる。例えばナフタレ
ン(C108 ,分子量 128.2 ,沸点 218.0 ℃,融点 8
0.3 ℃)を軽成分に、アントラセン(C1410 ,分子
量 178.2 ,沸点 342.0 ℃,融点216 ℃)を重成分とす
る混合物を考えると、圧力 15.0 mmHgの減圧下において
も純品の沸点は各々 95.4 ℃ ,197.2 ℃ となり、とく
にアントラセンはなお高沸下にある。
【0009】したがってこの圧力下で図2の減圧精留塔
を用いてナフタレン〜アントラセンの混合物を分留して
高純度のナフタリンを回収しようと計画するさいは、ア
ントラセンとの沸点差が約100 ℃と離れているので分留
自体は原理的に容易である。そのさい塔頂温度 95 ℃付
近を保ちつつコンデンサー25の伝熱面や留出配管等の
おける凝固閉塞の防止の配慮を行えば、冷却自体は温水
によるかまたは空冷が可能である。
【0010】これに対してリボイラー46で加熱を受け
る釜液温度は、その中のナフタレンの残留濃度を10.0
%,5.0 %,2.5%,0.0% mol と低下を目指すにつれ
て圧力15 mmHg の下で 153 ℃,169 ℃,181 ℃,197
℃ と上昇する。従ってナフタレンの釜残液中の残留濃
度を低下させてその回収率を上げるためには、リボイラ
ーによる加熱温度を少なくとも上記のように高める必要
があり、それにつれて伝熱面上に滞留する釜液が過熱に
よって変質する傾向が増加し、伝熱面自体も汚れるおそ
れが生じる。
【0011】このような高温下における釜残の変質を防
ぎながら、かつ伝熱面の加熱効率すなわち 伝熱係数=
伝熱量/(伝熱面積×温度差)を 高める目的のため
に、従来より攪拌膜型蒸留器が工夫され実用化されてい
る。これは機械的に攪拌される羽根の先端により伝熱面
上に滞留する液を、高速下で擾乱することで前記目的を
果たすものである。
【0012】この手段を上記のような問題をもつ減圧精
留塔のリボイラーに使用すれば原理的に釜残温度を上げ
てに残留する軽成分濃度を下げることで、その回収率の
向上が予測されるが実際にはあまり行われていない。
【0013】その理由の1つはこの装置自体が能力に対
して高価であるためである。第2の問題は、仮に図2に
おいてリボイラー46にこのような手段を用いて釜残液
を処理して所定量の蒸気を塔底部19へ送り込むことが
できても、前記のごとく回収段18はつねに高減圧下で
かつ高温下で操作されるために、塔内を上昇する蒸気速
度[m3 /h]は増大し、それに見合った塔の断面積ある
いは塔径が必然的に増大するためである。このために充
填物への降下液量が塔断面積に対して不足となり気液接
触効率が減退するおそれを生じる。
【0014】本発明を実施するには以上のように、減圧
精留塔においては圧力損失の少ない充填物を用いること
は、塔圧力、とくに塔底部の絶体圧力を下げ、釜温の上
昇を防ぐために必要である。そのために塔内の気液接触
手段としては1理論段数当りの圧力損失の少ない充填物
を選択することは本発明の実施にあたって必須である。
成形加工した薄い金属板または金網を規則的に重ね合わ
せた構造形規則充填物と称されるものはこの目的に適っ
ている。例えばスルツァー社(スイス)が提供する商品
名メラパック 250Yは、その性能が1理論段数当り 0.3
mmHg の圧損失といわれる。このようないわゆる規則充
填物に対して、従来から知られている不規則充填物の中
にも塔の所要理論段数が少ないときは実用できるものも
ある。例えばノートン社(米国)が発売している商品名
インタロックスメタル #25,#15 等も実用に供され
る。以上図2の減圧精留塔に、(圧損失/理論段数)の
少ない充填物を用い、リボイラー46に前記攪拌膜型蒸
留器を並用してその利点を発揮することが有効である
が、さらに要求される分留性能に対して設備費を下げる
ために46の発生する蒸気量自体を大幅に低減すること
が前記の理由で必要である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、図2に示す従
来よりの減圧精留塔に低圧損失の充填物を用いる濃縮段
16および回収段18を設け、かつそのリボイラー46
に攪拌膜型蒸留器を並用することで軽成分を高沸点釜残
液より分留するさいに、さらに原液の予熱器44に減圧
下で運転するフラッシュ蒸留器を採用することで全シス
テムの性能と経済性を各段に向上する方法を見い出し
た。
【0016】図1は、本発明を実施態様の概略を示す1
例である。原液タンク1にある混合液は、連続的に減圧
下にあるフラッシュ蒸留器3に吸引供給される。3は、
図2における予熱器44に相当するもので、上部液室
4,シェル5,気液分離室7等より構成される。7は1
0により減圧精留塔13の供給段22に連結しており、
ほぼ同一の減圧度に保たれる。シェル5の内部にはこれ
と並行して伝熱管群6が取り付けられ6の上下は管板を
貫いて固定されている。4に流入した原液は、6の内部
に均一に配分されるように工夫され管壁を流下する。
【0017】一方、5の内部には加熱用スチーム8が流
入し、6を外部より加熱すると共に自身は凝縮し、生じ
たドレンは9より排出される。原液は6の管壁を流下す
る間に管壁を薄膜で濡らしつつ発生する蒸気にともなわ
れて大きな線速度で通過するので、6の外部の加熱スチ
ームとの間に大きな総括伝熱係数が期待できる。かくて
管群を出た気液混相流は気液分離室7において分離さ
れ、フラッシュ蒸気10と濃縮液11に分かれる。上記
の3は、流下液膜式蒸留器と呼ばれる型式のもので、液
の伝熱面での滞留時間が短かくかつ圧力損失による過熱
が少なくてすむ長所をもち、また処理量に対する設備費
が安い特徴を持つものであるが、本発明はこの形式に限
られるものではなく、上記の特徴をもつものであればよ
い。例えば図1の7の液をポンプにより4へ汲み上げて
循環することも伝熱能力を向上させ同一の機能を発揮す
る場合がある。
【0018】次に減圧精留塔13の構成について述べる
と、塔は、塔頂部14,部分凝縮器15,濃縮段16,
供給段22,回収段18,塔底部19等よりなる。1
6,18は各々気液接触部であり、上昇蒸気の流れに対
して、(圧損失/理論段数)の値の少ない、例えば前記
[0014]で述べたような塔充填物が用いられる。さ
て3で得られたフラッシュ蒸気10は22に送られ、濃
縮段16を上昇し、部分凝縮器15に達し冷却水21の
調節により所定量が冷却凝縮したのち、残りの未凝縮分
は14より塔頂蒸気24として留出する。一方15にて
凝縮した液は、還流液として16の上面に均一に灌液
し、16の内部を降下する面に上昇する蒸気と向流的に
接触し、軽成分は上方に追い上げられる。かくて16の
下端を出た降下液は22を通過して回収段18に向か
う。
【0019】一方、7を出た濃縮液11は、送液ポンプ
12により22の内部に設けられた液分配器17を経て
回収段18の上面に16より降下する還流液と共に均一
に灌液される。18の内部では、このように降下する液
と攪拌膜型蒸留器33より発生し蒸気ライン39を経て
蒸気分散器20により塔内に分配されて上昇する蒸気と
が向流的に接触し、軽成分は上方に追い上げられる。1
8を出た降下液は、塔底部19より塔排出液23として
次工程に向かう。一方、18の上端を出た蒸気は22を
通過する間に前記10と合体して16の下端より内部を
通過する。かくて得られる塔頂蒸気24は、コンデンサ
ー25に至り、冷却水26で冷却され、凝縮液27とし
て留出液受器28に収納された後、留出液ライン29に
より所定場所に送られる。
【0020】図1は、塔頂部よりの還流に部分凝縮器1
5を用いる例が示され、これは留出液がナフタレンのよ
うに凝固し易い場合に還流液が配管中で閉塞するあそれ
のある処理の場合に有効である。その他、一般的形式と
して部分凝縮器15を排し、図2に示すようにコンデン
サー25よりの凝縮液27を還流調節器45により2分
し、その一部は還流液として14へ、他は28に送るこ
とももちろん可能である。
【0021】塔内を減圧に保つためには真空ポンプ32
が設置され、留出液受器28は減圧タンク30,減圧ラ
イン31を経て32に接続されている。
【0022】攪拌膜型蒸留器33は、図2におけるリボ
イラー46に相当する機能を持つものであり、次のよう
に構成される。すなわち伝熱筒35とそれを囲む加熱ジ
ャッケット36,35の上部には、気液分離室34,下
部には底部室40が接続し、35の中心部には回転羽根
37が設置される。羽根の先端は35の内周と僅少の間
隙を保って回転するように37の上下端のシャフトは軸
受で支えられ、シャフトの上部は34の天井を貫いて外
部のモーター38に連結する。図3は、35,36,3
7の相互配置を示す横断図面である。
【0023】塔排出液23は気液分離室34より系内に
給液され、伝熱筒35の内面を降下する間に、液は回転
羽根の先端が35の表面に密着して急速な回転運動する
のにともなわれて激しい攪拌を受ける。そのさい35の
表面に滞留する液量自体は僅少であるためにその滞留時
間も極めて短い。この攪拌膜型の特徴、すなわち激しい
攪拌による短時間の均一加熱により、このリボイラー部
における釜残液の熱変質は最小限に抑えられる。
【0024】加熱ジャケット36には、通常加熱源とし
て熱媒ライン42が配設され、これにより35の伝熱面
は所定の高温度に維持される。加熱源としては状況によ
り高圧スチームまたは電熱等の利用の場合もある。
【0025】以上の手段で発生した蒸気は34でミスト
が分離されたのち、蒸気ライン39を通って塔底部19
に設けられた蒸気分散器20により均一な流れとして回
収段18内を上昇する。一方、蒸留残液は流下して底部
室40より釜残受器41に収納される。41には釜残液
ライン43が配設されている。図示されていないが、こ
の釜残液の熱変質や固化等を防ぐために、40と41の
間には冷却器が、41には保温ジャケットが必要に応じ
て設けられる。
【0026】以上攪拌膜型蒸留器33は、本発明におい
て減圧精留塔13のリボイラーの役割を荷う重要不可欠
なものであるが、その形式,構造については図1,図3
の図面と説明に限定しない。伝熱筒35,回転羽根37
を縦型でなく、横型または傾斜型に設置したもの、或は
回転羽根37の先端にブラシを取り付けて伝熱面に接触
して摺動する形式のもの等多くの選択が可能である。
【0027】
【作用】本発明は前述の通り、図2の一般原理にもとず
く減圧精留塔を構成する主要部分の予熱器44,リボイ
ラー46および塔本体に独自の形式を選択した上で、さ
らにそれ等の運転条件,操作を独自方法で結合すること
により高い分離効率の下で混合物を軽成分と高沸点釜残
液に分留することを可能とした。またこれにより大幅な
エネルギー消費減と設備費の低下を可能ならしめた。
【0028】これを数字的に説明するために、前述の
[0008]〜[0010]で述べたナフタレンとアン
トラセンの混合物を分留して各々を高純度で得る例につ
いて述べる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】表3は、表1の要求仕様に対して、表2に
示す設備仕様のものを準備して実施をするさいの予想運
転結果を示している。この中のケース2は、図2の常法
手段により、予熱器44の運転を原液からその沸点まで
昇温する場合に相当し、フラッシュ蒸留器3の液ガス比
を 100/0 ,すなわち蒸気の発生直前の沸点にとどめた
場合である。一方ケース1は、本発明の成果を示すべ
く、液ガス比を 50/50 に設定した場合である。以上の
加熱源はいづれも10kg/cm2 G 以下の通常の飽和スチー
ムで可能である。
【0033】表3で得られたケース1とケース2の数字
を比較する。
【0034】(1)常法のケース2の原液の予熱をその
沸点でとどめる方法に比べて、本発明のケース1の気液
混相液を得るフラッシュ蒸留法は、加熱量が約 30,000
kcal/h ,25 % 程度増加し、温度も 111 ℃より 144
℃と上昇するが、いづれも加熱源にスチームを使用でき
る。
【0035】(2)一方リボイラー部は、取り扱われる
液の圧力と温度条件は両者同一であり、いづれも熱媒体
による加熱が望ましい。そのさいの伝熱量は、ケース1
は、ケース2に比べ大幅に削減され約1/3である。こ
の部分は高価な攪拌膜型蒸留器を使用するため、加熱用
の熱媒体ボイラーを含めて設備比の削減効果が大きい。
これは本発明の大きな長所である。
【0036】(3)リボイラーよりの発生蒸気は、39
より20を経て精留塔の回収段18を上昇する。したが
ってこれが前記[0035]の(2)のように1/3に
縮減されることは、回収部の塔断面積,すなわち塔径の
縮小につながるので設備費の大きな低下をもたらす。
【0037】(4)以上のように本発明においては、精
留塔に付帯する予熱器44(または3)およびリボイラ
ー46(または33)の熱量負荷の分担割合を大きく変
更することで優れた分離性能を保ちつつ、設備費の大幅
な低減を可能ならしめる。一方、予熱器44とリボイラ
ー46を合計した総加熱量は、表3によれば常法のケー
ス2に比して本発明のケース1は 16 %増しとなるが、
高温系の熱媒体系の負荷が少ないので、それに対応する
熱損失を含めると実際的には変わりはない。
【0038】
【発明の効果】前述の[作用]の中で、ナフタレン/ア
ントラセンの混合物を例としてその作用を述べた。
【0039】本発明は、軽成分と高沸点釜残との分留に
あたり相互の成分の分離度を高めるために要する熱量
費,設備費を最低限に抑えることを目的とする。そのた
めに精留塔自体の外、それへの原液予熱及び塔底部の加
熱に特殊な手段を要し、さらに原液の組成と分留結果の
要求仕様に合わせて精留塔自体の性能たとえば減圧度,
所要理論段数,還流比等が選択されるべきは当然である
が、これに連動して前記原液の予熱条件すなわちフラッ
シュ後の液ガス比とリボイラーの負荷量も同時に算定す
ることで運転条件が得られる。表4は、表3に関してさ
らにこれを広域の運動条件下でシュミレーション計算を
行った結果であり、これを分析することにより発明の効
果を以下のように数字的に示すことができる。
【0040】
【表4】
【0041】(1)フラッシュ蒸留が進み、蒸留比 L
/Gが 100/0 より 50/50 を経て0/100に変化するに
つれ、一般的には予熱用のフラッシュ蒸留器3の熱量負
荷は増加するが、反面リボイラーの攪拌膜型蒸留器33
の熱量負荷は減少する。
【0042】(2)ただし33の熱負荷は、L/Gが 5
0/50 位に下がるまではそれにともなって大幅に低下す
るが、それ以降は大きく低下しない。
【0043】(3)一方フラッシュ蒸留器3の熱負荷
は、L/Gの低下で急ピッチで増大する。3と33の合
計加熱量は、L/Gが 50/50 付近まではほぼ一定であ
るが、それ以降は次第に増加することが分かる。
【0044】(4)還流比は、フラッシュ蒸留比 L/
Gが 25/75 程度までは 0.1 以下であるが、50/50 で
0.42 、その後は 1.70 まで増加する。したがってL/
Gが 50/50 を超えるに従って塔直径の増大が起こる。
【0045】(5)逆に低還流比、例えば 0.3の条件下
では、濃縮段における降下液量が少ないために、(降下
液量/塔断面積)が最低値 300kg/m3に達しないので気
液接触効率は激減するので避けなければならない。従っ
て表1〜表4を総合して、このケースでは、表4のL/
G= 50/50 が最適条件と判断される。
【0046】以上は本発明の効果の一例を、ナフタレン
/アントラセンの分留について述べたものであるが、本
発明はその他多数の応用が考えられる。例えば、 (1)有機化学反応の終了液より目的とする反応生成物
(軽成分)を蒸留して高純度かつ高収率で回収し、その
さい熱変質による副生釜残生成物の発生を防ぐことがで
きる。例えば、エチレングリコール(分子量 62.1 沸
点 198 ℃/常圧),プロピレングリコール(分子量 7
6.1 沸点 188 ℃/常圧 ),グリセリン(分子量 92.1
沸点 290 ℃/常圧)等の多価アルコール類を製造する
さいに、蒸留により他の高沸点釜残より回収するには本
発明は効果的である。 (2)高沸点の各種有機溶剤、例えば炭化水素系,高級
アルコール,エーラル,フェノール類,含窒素系溶剤を
使用後、蒸留により釜残より効率的に回収する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す流れ図である。
【図2】図1において、36,35,37を示すAA’
間断面図である。
【図3】一般の連続式精留塔の流れ図である。
【符号の説明】
1 原液タンク 5 シェル 2 送液ライン 6 伝熱管 3 フラッシュ蒸留器 7 気液分離室 4 上部液室 8 加熱用スチー
ム 9 ドレイン 28 留出液受器 10 フラッシュ蒸気 29 留出液ライ
ン 11 濃縮液 30 減圧タンク 12 送液ポンプ 31 減圧ライン 13 減圧精留塔 32 真空ポンプ 14 塔頂部 33 攪拌膜型蒸
留器 15 部分凝縮器 34 気液分離室 16 濃縮段 35 伝熱筒 17 液分配器 36 加熱ジャケ
ット 18 回収段 37 回転羽根 19 塔底部 38 モーター 20 蒸気分散器 39 蒸気ライン 21 冷却水 40 底部室 22 供給段 41 釜残受器 23 塔排出液 42 熱媒ライン 24 塔頂蒸気 43 釜残液ライ
ン 25 コンデンサー 44 予熱器 26 冷却水 45 還流調節器 27 凝縮液 46 リボイラー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混合物を分別蒸留(以下分留と称す)に
    より軽成分留分と高沸点釜残液に分けるさいに、原液を
    まず間接加熱手段を備えた減圧フラッシュ蒸留器3に送
    り、所定比率のフラュシュ蒸気10と濃縮液11を得
    て、各々を減圧精留塔13の供給段22に送り、供給さ
    れたフラッシュ蒸気10は濃縮段16を上昇する間に軽
    成分がさらに濃縮され塔頂部14より留出し、コンデン
    サー25を経て所定の軽成分濃度の留出液を得る一方
    で、供給された濃縮液11は回収段18を流下する間に
    軽成分を失って塔底部19より攪拌膜型蒸留器33に至
    り、その伝熱面を流れるさいに攪拌羽根等により擾乱を
    受けつつ減圧下で一部気化され、発生した蒸気は、蒸気
    ライン39を経て再び塔底部19より回収段18に返送
    すると共に、その他は所定濃度の高沸点釜残液となり釜
    残液ライン43より排出することを特徴とする軽成分を
    釜残液より分留する方法。
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