JPH10184700A - 耐摩耗性に優れた転がり軸受 - Google Patents
耐摩耗性に優れた転がり軸受Info
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- JPH10184700A JPH10184700A JP8338177A JP33817796A JPH10184700A JP H10184700 A JPH10184700 A JP H10184700A JP 8338177 A JP8338177 A JP 8338177A JP 33817796 A JP33817796 A JP 33817796A JP H10184700 A JPH10184700 A JP H10184700A
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- lubrication
- rolling bearing
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C23/00—Bearings for exclusively rotary movement adjustable for aligning or positioning
- F16C23/06—Ball or roller bearings
- F16C23/08—Ball or roller bearings self-adjusting
- F16C23/082—Ball or roller bearings self-adjusting by means of at least one substantially spherical surface
- F16C23/086—Ball or roller bearings self-adjusting by means of at least one substantially spherical surface forming a track for rolling elements
Landscapes
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】多量に水が浸入する条件下で、耐摩耗性に優れ
た転がり軸受を提供する。 【解決手段】内輪及び外輪の少なくとも一方を、転動体
よりも耐摩耗性が相対的に高い材料を用いて形成する。
油潤滑と水潤滑における転がり軸受の摩耗状態を比較す
ると、油潤滑の場合、軸受内に生成した摩耗粉が摩耗面
に付着する力が弱く、一旦は付着しても簡単に剥がれて
しまう。一方、水潤滑の場合は、生成した摩耗粉が摩耗
面に強固に付着し剥がれなくなる。また、水潤滑におい
ては、耐摩耗性が異なる材料からなる転がり軸受部品同
士を組み合わせると、生成した摩耗粉が耐摩耗性の優れ
た材料からなる部品の方に選択的に付着し易くなり、付
着摩耗粉の保護作用により、その後の摩耗量が極端に減
少する。そこで、摩耗し易い固定輪の方により耐摩耗性
の高い材料を用いる。
た転がり軸受を提供する。 【解決手段】内輪及び外輪の少なくとも一方を、転動体
よりも耐摩耗性が相対的に高い材料を用いて形成する。
油潤滑と水潤滑における転がり軸受の摩耗状態を比較す
ると、油潤滑の場合、軸受内に生成した摩耗粉が摩耗面
に付着する力が弱く、一旦は付着しても簡単に剥がれて
しまう。一方、水潤滑の場合は、生成した摩耗粉が摩耗
面に強固に付着し剥がれなくなる。また、水潤滑におい
ては、耐摩耗性が異なる材料からなる転がり軸受部品同
士を組み合わせると、生成した摩耗粉が耐摩耗性の優れ
た材料からなる部品の方に選択的に付着し易くなり、付
着摩耗粉の保護作用により、その後の摩耗量が極端に減
少する。そこで、摩耗し易い固定輪の方により耐摩耗性
の高い材料を用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転がり軸受の耐摩
耗性の改善に係り、特に、連続鋳造機におけるガイドロ
ール用軸受のように軸受内部に水が混入する場合にも好
適な耐摩耗性に優れた転がり軸受に関する。
耗性の改善に係り、特に、連続鋳造機におけるガイドロ
ール用軸受のように軸受内部に水が混入する場合にも好
適な耐摩耗性に優れた転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】製鋼工場において、機械化の困難な造塊
工程を省き、溶鋼から直接にスラブやビレット或いは丸
棒のような単純な断面形状の製品を連続的に生産するた
め、連続鋳造法が行われている。図3に示すものは溶鋼
からスラブを連続的に形成する連続鋳造機の一例で、複
数のレードル1をタレット2上に配設し、各レードル1
内の溶鋼を底部開口からノズル3を介して順次にタンデ
ィシュ4に注ぎ、そのタンディシュ4内の溶鋼5をモー
ルド6を通して流出させることで、例えば帯状のスラブ
7に成形するとともに表面を冷却するようになってい
る。その後、スラブ7は、その表裏両面側にスラブ進行
方向に沿い間隔をおいて配列されている多数のガイドロ
ール10に導かれ、搬送されながら徐々に冷却される。
工程を省き、溶鋼から直接にスラブやビレット或いは丸
棒のような単純な断面形状の製品を連続的に生産するた
め、連続鋳造法が行われている。図3に示すものは溶鋼
からスラブを連続的に形成する連続鋳造機の一例で、複
数のレードル1をタレット2上に配設し、各レードル1
内の溶鋼を底部開口からノズル3を介して順次にタンデ
ィシュ4に注ぎ、そのタンディシュ4内の溶鋼5をモー
ルド6を通して流出させることで、例えば帯状のスラブ
7に成形するとともに表面を冷却するようになってい
る。その後、スラブ7は、その表裏両面側にスラブ進行
方向に沿い間隔をおいて配列されている多数のガイドロ
ール10に導かれ、搬送されながら徐々に冷却される。
【0003】当該ガイドロール10は、各ロール毎にそ
れぞれ、図1に示すように、ガイドロール用軸受を介し
て回転自在にハウジングHに支持されている。そのガイ
ドロール用軸受として、ロール本体11aの両端のロー
ルネック部11bには、ロールのたわみによる内外輪の
傾きがあるために自動調心性のある球面ころ軸受J1が
使用されている。また、ロール本体11aの中間部は、
例えば総ころタイプ二つ割り円筒ころ軸受J2が使用さ
れている。
れぞれ、図1に示すように、ガイドロール用軸受を介し
て回転自在にハウジングHに支持されている。そのガイ
ドロール用軸受として、ロール本体11aの両端のロー
ルネック部11bには、ロールのたわみによる内外輪の
傾きがあるために自動調心性のある球面ころ軸受J1が
使用されている。また、ロール本体11aの中間部は、
例えば総ころタイプ二つ割り円筒ころ軸受J2が使用さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記連続鋳造機のガイ
ドロール用軸受は、極低速度回転で使用されるため、軌
道輪と転動体の間に潤滑剤が引き込まれにくい。その
上、使用条件から、転がり軸受の内部にまで水が浸入す
ることが避けられない。そのために、更に潤滑状態が悪
化して、金属接触により摩耗が生じる。
ドロール用軸受は、極低速度回転で使用されるため、軌
道輪と転動体の間に潤滑剤が引き込まれにくい。その
上、使用条件から、転がり軸受の内部にまで水が浸入す
ることが避けられない。そのために、更に潤滑状態が悪
化して、金属接触により摩耗が生じる。
【0005】特に、球面ころ軸受においては、差動滑り
が生じない純転がり部(トルーローリング)と、差動滑
りが生じる部分とでは摩耗量が大きく異なる。その結
果、摩耗量が少ない純転がり部に応力の集中が生じる。
ことに固定輪として用いられる外輪では摩耗量の差が激
しく、その純転がり部には大きな応力が集中することに
よる剥離が発生し、遂には割れに至るという問題があ
る。
が生じない純転がり部(トルーローリング)と、差動滑
りが生じる部分とでは摩耗量が大きく異なる。その結
果、摩耗量が少ない純転がり部に応力の集中が生じる。
ことに固定輪として用いられる外輪では摩耗量の差が激
しく、その純転がり部には大きな応力が集中することに
よる剥離が発生し、遂には割れに至るという問題があ
る。
【0006】このような軸受損傷に起因するトラブルを
未然に防止するため、定期的に連続鋳造機の運転を停止
して軸受のメインテナンスや交換を行う必要があるが、
これにより生産性が低下し、またメインテナンスにかか
る人件費や軸受の交換に要する費用がかさむので、鉄鋼
メーカーからのメインテナンス期間延長やメインテナン
スフリー化によるコストダウンの要求が高まっている。
未然に防止するため、定期的に連続鋳造機の運転を停止
して軸受のメインテナンスや交換を行う必要があるが、
これにより生産性が低下し、またメインテナンスにかか
る人件費や軸受の交換に要する費用がかさむので、鉄鋼
メーカーからのメインテナンス期間延長やメインテナン
スフリー化によるコストダウンの要求が高まっている。
【0007】こうした要求に応えるべく、従来から耐摩
耗性の転がり軸受の提案が行われてきた。例えば、特開
平08−27542号には、軸受を構成する内輪,外輪
及び転動体の少なくともいずれかの材料組成中のV/C
の含有比を一定の範囲に規制してVC炭化物を表面に析
出させるようにした高温環境下での使用に耐えうる耐摩
耗性転がり軸受が開示されている。また、特開平08−
49057号には、時軸受材料の組成中のC量と(Cr
+V)の含有量との関係を特定することにより、異物混
入潤滑下での耐摩耗性に優れた転がり軸受が開示されて
いる。
耗性の転がり軸受の提案が行われてきた。例えば、特開
平08−27542号には、軸受を構成する内輪,外輪
及び転動体の少なくともいずれかの材料組成中のV/C
の含有比を一定の範囲に規制してVC炭化物を表面に析
出させるようにした高温環境下での使用に耐えうる耐摩
耗性転がり軸受が開示されている。また、特開平08−
49057号には、時軸受材料の組成中のC量と(Cr
+V)の含有量との関係を特定することにより、異物混
入潤滑下での耐摩耗性に優れた転がり軸受が開示されて
いる。
【0008】しかしながら、これら従来の低速回転で使
用される転がり軸受の耐摩耗性向上の技術は、多量に水
が浸入する条件下での耐摩耗性に関する考慮が不十分で
ある。また、近年は潤滑不良を防止するためにオイルエ
アー潤滑装置等が採用されているが、新規設備にこれを
設置することは容易であっても、既存設備に対しては設
計上の制約のために設置が困難であったり、あるいは膨
大な費用がかかってしまうという未解決の課題があっ
た。
用される転がり軸受の耐摩耗性向上の技術は、多量に水
が浸入する条件下での耐摩耗性に関する考慮が不十分で
ある。また、近年は潤滑不良を防止するためにオイルエ
アー潤滑装置等が採用されているが、新規設備にこれを
設置することは容易であっても、既存設備に対しては設
計上の制約のために設置が困難であったり、あるいは膨
大な費用がかかってしまうという未解決の課題があっ
た。
【0009】本発明は、このような従来の転がり軸受の
未解決の課題に着目してなされたものであり、多量に水
が浸入する条件下での耐摩耗性に優れた転がり軸受を提
供することを目的としている。
未解決の課題に着目してなされたものであり、多量に水
が浸入する条件下での耐摩耗性に優れた転がり軸受を提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の耐摩耗性に優れた転がり軸受は、内輪及
び外輪の少なくとも一方が、転動体よりも耐摩耗性の高
い材料からなることを特徴とする。
めに、本発明の耐摩耗性に優れた転がり軸受は、内輪及
び外輪の少なくとも一方が、転動体よりも耐摩耗性の高
い材料からなることを特徴とする。
【0011】本願発明者らは、転がり軸受の耐摩耗性に
及ぼす水の影響について、鋭意研究を重ねてきた。その
結果、油潤滑において優れた耐摩耗性を示す材料であっ
ても、水中においては、同種材料の組み合わせでは必ず
しも油潤滑の場合と同様な耐摩耗性は得られないことが
判明した。
及ぼす水の影響について、鋭意研究を重ねてきた。その
結果、油潤滑において優れた耐摩耗性を示す材料であっ
ても、水中においては、同種材料の組み合わせでは必ず
しも油潤滑の場合と同様な耐摩耗性は得られないことが
判明した。
【0012】すなわち、転がり軸受の内部にまで多量に
水が浸入した場合には、たとえ油潤滑においては優れた
耐摩耗性を示す材料であっても、その効果を十分に発揮
することができないのである。
水が浸入した場合には、たとえ油潤滑においては優れた
耐摩耗性を示す材料であっても、その効果を十分に発揮
することができないのである。
【0013】油潤滑と水潤滑における転がり軸受の摩耗
状態を比較すると、油潤滑の場合、軸受内に生成した摩
耗粉が摩耗面に付着する力が弱く、一旦は付着しても簡
単に剥がれてしまう。一方、水潤滑の場合は、生成した
摩耗粉が摩耗面に強固に付着し剥がれなくなることがわ
かった。
状態を比較すると、油潤滑の場合、軸受内に生成した摩
耗粉が摩耗面に付着する力が弱く、一旦は付着しても簡
単に剥がれてしまう。一方、水潤滑の場合は、生成した
摩耗粉が摩耗面に強固に付着し剥がれなくなることがわ
かった。
【0014】また、水潤滑においては、耐摩耗性が異な
る材料からなる転がり軸受部品同士を組み合わせると、
生成した摩耗粉が耐摩耗性の優れた材料からなる部品の
方に選択的に付着し易くなり、その強固に付着した摩耗
粉の保護作用により、その後の摩耗量が極端に減少する
ということがわかった。
る材料からなる転がり軸受部品同士を組み合わせると、
生成した摩耗粉が耐摩耗性の優れた材料からなる部品の
方に選択的に付着し易くなり、その強固に付着した摩耗
粉の保護作用により、その後の摩耗量が極端に減少する
ということがわかった。
【0015】内輪,外輪および転動体からなる転がり軸
受においては、軸受にかかる負荷を一定の限られた狭い
面積で受け持つ固定輪の摩耗量に対して、複数個の広い
面積で受け持つ転動体1個当たりの摩耗量は非常に小さ
い。したがって、転動体の耐摩耗性は殆ど問題にならな
い。
受においては、軸受にかかる負荷を一定の限られた狭い
面積で受け持つ固定輪の摩耗量に対して、複数個の広い
面積で受け持つ転動体1個当たりの摩耗量は非常に小さ
い。したがって、転動体の耐摩耗性は殆ど問題にならな
い。
【0016】また、固定輪に対して、回転輪が負荷を受
ける面積は広く、固定輪に比べると回転輪の耐摩耗性が
問題となることは少ないが、転動体と比較すると回転輪
が負荷を受ける面積は非常に小さい。
ける面積は広く、固定輪に比べると回転輪の耐摩耗性が
問題となることは少ないが、転動体と比較すると回転輪
が負荷を受ける面積は非常に小さい。
【0017】そこで、内輪,外輪及び転動体のうち、内
輪及び外輪の少なくとも一方、すなわち摩耗が問題とな
る軌道輪の方に転動体よりも耐摩耗性が優れた材料を使
用すれば、多量に水が浸入しても軸受全体として良好な
耐摩耗性が確保される。
輪及び外輪の少なくとも一方、すなわち摩耗が問題とな
る軌道輪の方に転動体よりも耐摩耗性が優れた材料を使
用すれば、多量に水が浸入しても軸受全体として良好な
耐摩耗性が確保される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
る。図1は、連続鋳造機のガイドロール用軸受ユニット
の一実施形態の正面図で、ケーシングH内に自動調心の
球面軸受1が装着されている。この球面軸受1に用いた
複数の素材A〜Gの主要合金化学成分の組成(重量%)
を表1に示す。
る。図1は、連続鋳造機のガイドロール用軸受ユニット
の一実施形態の正面図で、ケーシングH内に自動調心の
球面軸受1が装着されている。この球面軸受1に用いた
複数の素材A〜Gの主要合金化学成分の組成(重量%)
を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1に示す組成の各素材A〜Gを用いて、
二円筒摩耗試験用のリング状の試験片を作成した。試験
片は、素材を所定の寸法形状に加工した後、熱処理を施
して表面硬さをHRC59〜63に調整し、更に研削仕
上げにより試験面の表面粗さを0.1〜0.15μmR
aに調整して試験に供した。
二円筒摩耗試験用のリング状の試験片を作成した。試験
片は、素材を所定の寸法形状に加工した後、熱処理を施
して表面硬さをHRC59〜63に調整し、更に研削仕
上げにより試験面の表面粗さを0.1〜0.15μmR
aに調整して試験に供した。
【0021】各素材に対する熱処理の条件は次の通りで
ある。 材料A:840℃で焼入れした後、180℃で2時間の
焼戻しを施した。
ある。 材料A:840℃で焼入れした後、180℃で2時間の
焼戻しを施した。
【0022】材料B〜材料F:930〜950℃で4〜
6時間の浸炭を行った後、840〜950℃で焼入れ、
160〜180℃で2時間の焼戻しを施した。
6時間の浸炭を行った後、840〜950℃で焼入れ、
160〜180℃で2時間の焼戻しを施した。
【0023】なお、材料Cに950℃で4時間の浸炭窒
化を施した後、860℃の焼入れ、180℃,2時間の
焼戻しを施した材料C’も作製した。 材料G:1050℃で焼入れた後、−80℃でサブゼロ
処理を施し、次いで170℃で2時間の焼戻しを施し
た。
化を施した後、860℃の焼入れ、180℃,2時間の
焼戻しを施した材料C’も作製した。 材料G:1050℃で焼入れた後、−80℃でサブゼロ
処理を施し、次いで170℃で2時間の焼戻しを施し
た。
【0024】こうして作成した試験片を用いて、二円筒
摩耗試験機による摩耗試験を実施して、その結果を比較
する。二円筒摩耗試験機は、図2に示すように、上下に
対向させた一対の回転軸6,6にそれぞれリング状の試
験片7,8を取り付けて、上から加重Pを加えながら両
試験片7,8の外周面を接触状態で互いに逆方向に異な
る速さの低速で回転させ、試験前後の試験片7,8の重
量を測定することにより摩耗量を求めるものである。
摩耗試験機による摩耗試験を実施して、その結果を比較
する。二円筒摩耗試験機は、図2に示すように、上下に
対向させた一対の回転軸6,6にそれぞれリング状の試
験片7,8を取り付けて、上から加重Pを加えながら両
試験片7,8の外周面を接触状態で互いに逆方向に異な
る速さの低速で回転させ、試験前後の試験片7,8の重
量を測定することにより摩耗量を求めるものである。
【0025】本実施形態では、試験条件を次のように設
定して行った。 加重P :130kgf 回転数 :低速側試験片7は7rpm 高速側試験片8は10rpm 滑り率 :30% 試験時間:20時間 温度 :常温 潤滑剤 :油潤滑の場合はスピンドル油 水潤滑の場合はイオン交換水 供給量は2cc/min 試験は、〔A〕同種素材同士の組合せ試験と、〔B〕異
種素材同士の組合せ試験とに分けて行い、その結果を比
較検討した。 〔A〕同種素材同士の組合せ試験 比較例として、試験片7,8とも同種の素材からなるも
のを用いて、油潤滑二円筒摩耗試験および水潤滑二円筒
摩耗試験を行い、低速側の試験片7と高速側の試験片8
の摩耗量(mg)をそれぞれ測定して結果を検討する。
定して行った。 加重P :130kgf 回転数 :低速側試験片7は7rpm 高速側試験片8は10rpm 滑り率 :30% 試験時間:20時間 温度 :常温 潤滑剤 :油潤滑の場合はスピンドル油 水潤滑の場合はイオン交換水 供給量は2cc/min 試験は、〔A〕同種素材同士の組合せ試験と、〔B〕異
種素材同士の組合せ試験とに分けて行い、その結果を比
較検討した。 〔A〕同種素材同士の組合せ試験 比較例として、試験片7,8とも同種の素材からなるも
のを用いて、油潤滑二円筒摩耗試験および水潤滑二円筒
摩耗試験を行い、低速側の試験片7と高速側の試験片8
の摩耗量(mg)をそれぞれ測定して結果を検討する。
【0026】試験結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表の油潤滑試験の結果をみると、同種素材
同士の場合は低速側試験片7と高速側試験片8との間の
摩耗量に殆ど差が認められない。そして低速側と高速側
との双方の試験片の摩耗量の平均値を求めて材料別に比
較したところ、焼入・焼戻処理のみの試験No.1のも
のに比べて、浸炭処理などの表面硬化処理を施した試験
No.2の摩耗量は1/2、試験No.3〜No.8の
摩耗量は1/3以下となり、試験No.1よりそれぞれ
2倍ないし3倍以上の優れた耐摩耗性を示した。
同士の場合は低速側試験片7と高速側試験片8との間の
摩耗量に殆ど差が認められない。そして低速側と高速側
との双方の試験片の摩耗量の平均値を求めて材料別に比
較したところ、焼入・焼戻処理のみの試験No.1のも
のに比べて、浸炭処理などの表面硬化処理を施した試験
No.2の摩耗量は1/2、試験No.3〜No.8の
摩耗量は1/3以下となり、試験No.1よりそれぞれ
2倍ないし3倍以上の優れた耐摩耗性を示した。
【0029】そこで、油潤滑における低速側摩耗量と高
速側摩耗量との平均値を各試験No.ごとにとり、通常
の熱処理(焼入・焼戻のみ)を施した試験No.1のも
のを基準にして摩耗量比を算出し比較検討した。算出結
果を表2に併記する。
速側摩耗量との平均値を各試験No.ごとにとり、通常
の熱処理(焼入・焼戻のみ)を施した試験No.1のも
のを基準にして摩耗量比を算出し比較検討した。算出結
果を表2に併記する。
【0030】摩耗量比は次式で求めた。 同種素材同士の油潤滑状態での各試験の摩耗量比の値
は、試験No.1に対して、試験No.2は0.5、試
験No.2〜8は0.28〜0.18と1/3以下に大
幅に減少していることがわかる。
は、試験No.1に対して、試験No.2は0.5、試
験No.2〜8は0.28〜0.18と1/3以下に大
幅に減少していることがわかる。
【0031】ところが、他方の水潤滑試験の結果は、油
潤滑に比べていずれの試験片も摩耗量がかなり大きくな
っており、良好な耐摩耗性は得られないことがわかる。 〔B〕異種素材同士の組合せ試験 試験片7,8に、それぞれ異種の素材からなるものを用
い、水潤滑二円筒摩耗試験を実施して、低速側の試験片
7と高速側の試験片8の摩耗量(mg)をそれぞれ測定
した。低速側摩耗量,高速側摩耗量の測定結果を表3に
示す。
潤滑に比べていずれの試験片も摩耗量がかなり大きくな
っており、良好な耐摩耗性は得られないことがわかる。 〔B〕異種素材同士の組合せ試験 試験片7,8に、それぞれ異種の素材からなるものを用
い、水潤滑二円筒摩耗試験を実施して、低速側の試験片
7と高速側の試験片8の摩耗量(mg)をそれぞれ測定
した。低速側摩耗量,高速側摩耗量の測定結果を表3に
示す。
【0032】
【表3】
【0033】表3中の試験No.11は比較例であり、
試験No.12〜18は、本発明例である。この結果か
ら、異種素材部品の組合せによる摩耗量は、高速側試験
片8の方はあまり変化しないが、低速側試験片7の方に
は摩耗量の顕著な減少が認められ、摩耗低減効果が大き
いことがわかる。例えば、発明例の試験No.12の場
合、低速側摩耗量は、表2の油潤滑で大きい耐摩耗性を
示している試験No2の素材B(油潤滑時の耐摩耗性は
素材Aの約2倍)を素材Aと組み合わせたことにより、
水潤滑であっても素材A同士の場合に比し約半分の摩耗
量に減少している。
試験No.12〜18は、本発明例である。この結果か
ら、異種素材部品の組合せによる摩耗量は、高速側試験
片8の方はあまり変化しないが、低速側試験片7の方に
は摩耗量の顕著な減少が認められ、摩耗低減効果が大き
いことがわかる。例えば、発明例の試験No.12の場
合、低速側摩耗量は、表2の油潤滑で大きい耐摩耗性を
示している試験No2の素材B(油潤滑時の耐摩耗性は
素材Aの約2倍)を素材Aと組み合わせたことにより、
水潤滑であっても素材A同士の場合に比し約半分の摩耗
量に減少している。
【0034】また、発明例の試験No.13〜18の場
合、表2の油潤滑で素材Aの3倍以上の耐摩耗性を示し
ている試験No.3〜8の素材C〜Gを素材Aと組み合
わせたことにより、水潤滑であっても素材A同士の比較
例の場合に比し極端に摩耗量が減少している。因みに、
水潤滑時の低速側の試験No.11の場合の摩耗量に対
する本発明例である試験No.2〜18の摩耗量の比を
算出してみると、表3の( )内のようになる。
合、表2の油潤滑で素材Aの3倍以上の耐摩耗性を示し
ている試験No.3〜8の素材C〜Gを素材Aと組み合
わせたことにより、水潤滑であっても素材A同士の比較
例の場合に比し極端に摩耗量が減少している。因みに、
水潤滑時の低速側の試験No.11の場合の摩耗量に対
する本発明例である試験No.2〜18の摩耗量の比を
算出してみると、表3の( )内のようになる。
【0035】すなわち、同種素材同士の場合には摩耗量
が大きい素材であっても、異種素材同士の組合せにする
と、水潤滑においても摩耗量が大幅に低減されることが
明らかである。そして具体的には、同種素材同士の組合
せによる油潤滑二円筒試験において、一方の素材とこれ
に組み合わせる他方の異種素材との摩耗量比が、好まし
くは1/2(0.5)、より好ましくは1/3(0.3
3)以下となる組合せを選択することにより、水潤滑時
の摩耗量を同種素材同士の場合に比し半分以下から1/
6以下に減少させ得るのである。
が大きい素材であっても、異種素材同士の組合せにする
と、水潤滑においても摩耗量が大幅に低減されることが
明らかである。そして具体的には、同種素材同士の組合
せによる油潤滑二円筒試験において、一方の素材とこれ
に組み合わせる他方の異種素材との摩耗量比が、好まし
くは1/2(0.5)、より好ましくは1/3(0.3
3)以下となる組合せを選択することにより、水潤滑時
の摩耗量を同種素材同士の場合に比し半分以下から1/
6以下に減少させ得るのである。
【0036】なお、表3における低速側材料と高速側材
料とを入れ換えた組合せとしても、同様の効果を確認し
ている。上記試験の結果をまとめると、円筒ころ軸受に
水が多量に浸入するような使用態様においては、特に摩
耗し易い軌道輪(例えば低速側試験片に相当する固定
輪)に転動体よりも耐摩耗性に優れた素材を用いれば、
非常に優れた耐摩耗性が得られるといえる。
料とを入れ換えた組合せとしても、同様の効果を確認し
ている。上記試験の結果をまとめると、円筒ころ軸受に
水が多量に浸入するような使用態様においては、特に摩
耗し易い軌道輪(例えば低速側試験片に相当する固定
輪)に転動体よりも耐摩耗性に優れた素材を用いれば、
非常に優れた耐摩耗性が得られるといえる。
【0037】なお、このような本発明における作用・効
果は、材料の化学成分に基づくものではなく、耐摩耗性
の組合せにより得られるものであり、使用する材料は実
施形態で示した材料でなくても、耐摩耗性の組合せさえ
考慮すれば同様の効果が得られる。すなわち、軌道輪の
耐摩耗性を転動体よりも向上させるだけではなく、相対
的に転動体の耐摩耗性を低下させることによっても、同
様に水混入潤滑下での耐摩耗性に優れた転がり軸受が得
られるのである。
果は、材料の化学成分に基づくものではなく、耐摩耗性
の組合せにより得られるものであり、使用する材料は実
施形態で示した材料でなくても、耐摩耗性の組合せさえ
考慮すれば同様の効果が得られる。すなわち、軌道輪の
耐摩耗性を転動体よりも向上させるだけではなく、相対
的に転動体の耐摩耗性を低下させることによっても、同
様に水混入潤滑下での耐摩耗性に優れた転がり軸受が得
られるのである。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
転がり軸受の少なくとも一方の軌道輪の耐摩耗性を転動
体の耐摩耗性よりも優れたものとしたことにより、水潤
滑環境下において生成した摩耗粉が耐摩耗性の優れた軌
道輪に強固に付着し、その保護作用により摩耗量が極端
に減って、その結果軸受全体として良好な耐摩耗性を有
する転がり軸受が得られるという効果を奏する。
転がり軸受の少なくとも一方の軌道輪の耐摩耗性を転動
体の耐摩耗性よりも優れたものとしたことにより、水潤
滑環境下において生成した摩耗粉が耐摩耗性の優れた軌
道輪に強固に付着し、その保護作用により摩耗量が極端
に減って、その結果軸受全体として良好な耐摩耗性を有
する転がり軸受が得られるという効果を奏する。
【図1】連続鋳造機のガイドロール用軸受ユニットの一
実施形態の正面図(半断面)。
実施形態の正面図(半断面)。
【図2】二円筒摩耗試験機の概念を示す模式図。
【図3】連続鋳造機の一例を示す全体図。
1 転がり軸受
Claims (1)
- 【請求項1】 内輪及び外輪の少なくとも一方が、転動
体よりも耐摩耗性の高い材料からなることを特徴とする
耐摩耗性に優れた転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8338177A JPH10184700A (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 耐摩耗性に優れた転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8338177A JPH10184700A (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 耐摩耗性に優れた転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10184700A true JPH10184700A (ja) | 1998-07-14 |
Family
ID=18315653
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8338177A Pending JPH10184700A (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 耐摩耗性に優れた転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10184700A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007139197A1 (ja) | 2006-05-31 | 2007-12-06 | Nsk Ltd. | 転動装置 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07216508A (ja) * | 1994-02-04 | 1995-08-15 | Daido Steel Co Ltd | 軸受鋼 |
JPH0853735A (ja) * | 1994-08-11 | 1996-02-27 | Daido Steel Co Ltd | 軸受用鋼 |
JPH08238549A (ja) * | 1995-02-28 | 1996-09-17 | Nippon Seiko Kk | 連続鋳造設備用分割ロール支持軸受組立体 |
JPH08311603A (ja) * | 1994-09-29 | 1996-11-26 | Nippon Seiko Kk | 転がり軸受 |
-
1996
- 1996-12-18 JP JP8338177A patent/JPH10184700A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07216508A (ja) * | 1994-02-04 | 1995-08-15 | Daido Steel Co Ltd | 軸受鋼 |
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JPH08311603A (ja) * | 1994-09-29 | 1996-11-26 | Nippon Seiko Kk | 転がり軸受 |
JPH08238549A (ja) * | 1995-02-28 | 1996-09-17 | Nippon Seiko Kk | 連続鋳造設備用分割ロール支持軸受組立体 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007139197A1 (ja) | 2006-05-31 | 2007-12-06 | Nsk Ltd. | 転動装置 |
US8454241B2 (en) | 2006-05-31 | 2013-06-04 | Nsk Ltd. | Rolling device |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060721 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060905 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061023 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070227 |