JPH10183839A - 床又は屋根用ａｌｃパネルの取付構造及び取付金具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接作業を必要とせず、ＡＬＣパネルの敷設
作業に手間のかからない床又は屋根用ＡＬＣパネルの取
付構造を提供すること。 【解決手段】 複数のＡＬＣパネル１，１・・を平行な
一対の横架材２，２間に敷設してなる床又は屋根用ＡＬ
Ｃパネルの取付構造において、一対の上記横架材２，２
それぞれの水平面２２，２２端部に取付金具３，３が係
合立設され、該取付金具３，３を挟むようにＡＬＣパネ
ル１，１が配設され、隣り合う該ＡＬＣパネル１，１の
接合部上部に形成される溝内に、該取付金具３，３に形
成された挿通孔を挿通して目地鉄筋４が配設され、該溝
内に、モルタル等の充填材５が充填されてなることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、溶接作業を必要と
せず、ＡＬＣパネルの敷設作業に手間のかからない床又
は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造、及び該取付構造に用
いられる取付金具に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、軽量気泡コンクリート等から形
成されるＡＬＣパネルは、鉄骨建造物や鉄筋コンクリー
ト建造物の床又は屋根として敷設される。図５に示され
るように、従来の床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造
においては、複数の上記ＡＬＣパネル１０，１０・・
は、その端部を揃えてＨ形鋼等の横架材２０上に敷設さ
れ、それぞれの上記ＡＬＣパネル１０，１０・・の間に
は、モルタル等の充填材７０が充填され、また、上記Ａ
ＬＣパネル１０，１０・・のコーナー部に対応した上記
横架材２０上面にスラブプレート４０を立設し、該スラ
ブプレート４０には目地鉄筋５０を挿通して該目地鉄筋
５０を上記充填材７０中に埋設させた状態として、床部
又は屋根部の剛性を確保している。従って、このような
上記スラブプレート４０や上記目地鉄筋５０によって、
床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造が維持されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図５に
示されるような従来の床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付
構造では、上記スラブプレート４０は溶接により上記横
架材２０上に立設させていたため、火災等の危険があっ
た。また、該スラブプレート４０を予め横架材２０上に
立設していたため、運搬の際に該スラブプレートが折れ
曲がる等によりＡＬＣパネルの敷設ができない、あるい
は敷設作業が困難になるといった問題が生じていた。ま
た、スラブプレート４０が突出していたため、運搬の際
に邪魔になるという欠点もあった。更に、位置出しに精
度が要求され、ＡＬＣパネルの敷設作業が全般的に手間
のかかるものであった。

【０００４】従って、本発明の目的は、溶接作業を必要
とせず、ＡＬＣパネルの敷設作業に手間のかからない床
又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造、及び該取付構造に
用いられる取付金具を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、複数のＡＬＣパネルを平行な一対の横架材間に敷設
してなる床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造におい
て、一対の上記横架材それぞれの水平面端部に取付金具
が係合立設され、該取付金具を挟むようにＡＬＣパネル
が配設され、隣り合う該ＡＬＣパネルの接合部上部に形
成される溝内に、該取付金具に形成された挿通孔を挿通
して目地鉄筋が配設され、該溝内に、モルタル等の充填
材が充填されてなることを特徴とする床又は屋根用ＡＬ
Ｃパネルの取付構造を提供することにより、上記目的を
達成したものである。

【０００６】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
の床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造に用いられる取
付金具であって、上記横架材の水平面端部に係合可能な
切欠部を有する下部板状部と、上記目地鉄筋挿通用の挿
通孔が形成され且つ上記溝内に配置される上部挿通部と
を備えており、上記挿通孔は、上記目地鉄筋を上記横架
材に対して直交方向に配設可能に形成されていることを
特徴とする取付金具を提供することにより、上記目的を
達成したものである。

【０００７】請求項３に記載の発明は、請求項２に記載
の発明において、略矩形の鋼板を上下方向の中央部より
も上端よりの位置で略９０度捻り、該捻り部より上部を
上記上部挿通部とし、該捻り部より下部を上記下部板状
部としたことを特徴とする取付金具を提供することによ
り、上記目的を達成したものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の床又は屋根用ＡＬ
Ｃパネルの取付構造の一実施形態を図面を参照して説明
する。ここで、図１は本実施形態の床又は屋根用ＡＬＣ
パネルの取付構造を示す斜視図であり、図２は図１のＡ
−Ａ線断面図であり、図３は該取付構造における取付金
具を示す斜視図である。

【０００９】本実施形態における床又は屋根用ＡＬＣパ
ネルの取付構造は、図１に示されるように、複数のＡＬ
Ｃパネル１，１・・を平行な一対の横架材２，２間に敷
設してなる点において従来の床又は屋根用ＡＬＣパネル
の取付構造と同様である。

【００１０】而して、本実施形態の床又は屋根用ＡＬＣ
パネルの取付構造は、図１に示されるように、一対のＨ
形鋼２，２それぞれの水平面２２，２２の端部に取付金
具３，３が係合立設され、該取付金具３，３を挟むよう
にＡＬＣパネル１，１が配設され、隣り合う該ＡＬＣパ
ネル１，１の接合部上部に形成される溝内に、該取付金
具３，３に形成された挿通孔３１ａ，３１ａを挿通して
目地鉄筋４が配設され、該溝内に、モルタル等の充填材
５が充填されてなる。

【００１１】本実施形態の床又は屋根用ＡＬＣパネルの
取付構造を更に詳しく説明する。尚、以下には主とし
て、２本の平行な上記Ｈ形鋼２，２及び該Ｈ形鋼２，２
間に敷設される上記ＡＬＣパネル１，１・・を例に説明
するが、上記Ｈ形鋼２，２・・は、２本だけでなく複数
本平行に配されており、これらの何れの間にも上記ＡＬ
Ｃパネル１，１・・が敷設されることは言うまでもな
い。

【００１２】先ず、本実施形態の床又は屋根用ＡＬＣパ
ネルの取付構造における各構成部材について説明する。
上記ＡＬＣ(Autoclaved Light-weight Concrete)パネル
１は、図１及び図２に示されるように、軽量気泡コンク
リートから形成されるパネルであり、断熱性、遮音性、
耐火性に優れている。上記ＡＬＣパネル１の両側縁上部
には、切欠部１１，１１（図２参照）が形成されてお
り、隣接する他のＡＬＣパネル１の切欠部１１とによ
り、上記溝が形成されるようになしてある。上記ＡＬＣ
パネル１，１・・は、既存のものを使用することがで
き、従来からあるＡＬＣパネルと何等変わることが無
く、本実施形態の取付構造に適用するにあたって、特別
な加工等は必要ない。

【００１３】上記Ｈ形鋼２は、図１〜図３に示されるよ
うに、Ｈ字形の断面形状を有する通常の既存のＨ形鋼
で、ウェブプレート２１の上下端にフランジプレート２
２，２２が結合した形態を有している。上端側の上記フ
ランジプレート２２が本発明における上記水平面を構成
している。尚、該Ｈ形鋼２の上記上端のフランジプレー
ト２２上には、従来のようなスラブプレートは溶接され
ていない。

【００１４】上記取付金具３は、図３に示されるよう
に、略矩形の鋼板を上下方向の中央部よりも上端よりの
位置で略９０度捻り、該捻り部３ａより上部を上部挿通
部３１とし、該捻り部３ａより下部を下部板状部３２と
してある。上記上部挿通部３１には、その中央部に上記
目地鉄筋４挿通用の挿通孔３１ａが形成されている。該
挿通孔３１ａは、上記目地鉄筋４を上記横架材２に対し
て直交方向に配設可能に形成されている。上記下部板状
部３２の一側縁には上記横架材２の水平面２２端部に係
合可能な切欠部３２ａが形成されている。該切欠部３２
ａの上下方向の幅は、上記水平面２２端部の肉厚にほぼ
等しいか若干狭く形成されている。上記目地鉄筋４は、
複数本の上記Ｈ形鋼２，２・・に亘って配設されるよう
な長さを有している。

【００１５】次いで、本実施形態の床又は屋根用ＡＬＣ
パネルの取付構造について詳述する。上記取付金具３，
３は、図１に示されるように、上記Ｈ形鋼２，２の互い
に対向する上記フランジプレート２２の端部に上記切欠
部３２ａを係合させて立設されている。該切欠部３２ａ
の該フランジプレート２２の端部への係合は、該切欠部
３２ａを該水平面２２の端部に当て反対側の側縁をハン
マー等で打撃すること等によりなされる。このため、該
切欠部３２ａの上下方向の幅は、上記フランジプレート
２２の端部の肉厚より若干狭く形成されているのが好ま
しい。該取付金具３，３は、上記目地鉄筋４をＨ形鋼
２，２の長さ方向に直交して配設することができる位置
に立設される。上記取付金具３は、隣接する上記ＡＬＣ
パネル１，１の側端面間に上記下部板状部３２が位置
し、隣接する該ＡＬＣパネル１，１の接合部上部に形成
される上記溝内に上記上部挿通部３１，３１が位置する
ようになされている。

【００１６】上記ＡＬＣパネル１，１・・は、図１及び
図２に示されるように、その両端が、一対の上記Ｈ形鋼
２，２の上端フランジプレート２２上に載置されてお
り、それらの両側面は、隣接する他の上記ＡＬＣパネル
１，１の側面に上記取付金具３，３の下部板状部３２，
３２を挟んで接合されている。上記ＡＬＣパネル１，１
・・の両側縁上部には、上述した上記切欠部１１，１１
が形成されているため、隣接する該ＡＬＣパネル１，１
の接合部上部には、図１及び図２に示されるように、上
記溝が形成される。該溝は、隣接されて敷設された複数
の上記ＡＬＣパネル１，１・・のそれぞれの接合部に形
成されるため、複数の該溝が平行に形成されている。

【００１７】上記目地鉄筋４は、上記取付金具３，３に
形成された挿通孔３１ａ，３１ａに挿通されて上記溝内
に配設される。そして、上記溝内と上記ＡＬＣパネル
１，１・・両端の隙間とには、モルタル等の上記充填材
５が充填され、床部又は屋根部下地が平坦とされると共
に、上記取付金具３や上記目地鉄筋４を一体的に固定し
て、床部又は屋根部の水平剛性を強固なものとしてい
る。

【００１８】本実施形態の床又は屋根用ＡＬＣパネルの
取付構造は上述のように構成されており、本実施形態の
取付構造によれば、横架材上に予めスラブプレートを設
けておく必要がないので、該スラブプレートが折れ曲が
る等によりＡＬＣパネルの敷設ができない、あるいは困
難になるといった問題が生じない。また、取付金具３
は、溶接を伴わずに横架材に係合立設することができる
ので、火災等の危険がない。また、取付金具の取付位置
を現場で変更することも可能で、位置出しが容易で、敷
設作業全体が手間のかからないものとなる。

【００１９】また、上記該ＡＬＣパネル１，１・・を、
上記溝内に充填された上記充填材５を介して上記目地鉄
筋５により上記横架材２，２・・に一体化して固定でき
るため、建物全体に水平方向の荷重がかかっても、上記
Ｈ形鋼２，２・・のズレ及び上記ＡＬＣパネル１，１・
・のズレを防止することができ、水平方向の荷重に対し
て対抗しうる水平剛性を得ることができる。また、本実
施形態の床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造を得るた
めに、上記ＡＬＣパネル１，１・・自体に複雑な加工を
必要としないという利点もある。

【００２０】本発明の床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付
構造は、上記実施形態に制限されることはない。例え
ば、上記実施形態においては、上記ＡＬＣパネル１，１
同士の接合部には上記取付金具３の下部板状部３２が介
在するため、上記ＡＬＣパネル１，１の側端面同士間に
は該下部板状部３２の厚さに略等しい間隙が形成されて
いるが、該ＡＬＣパネル１，１の該下部板状部３２に対
応する位置に下部板状部３２収容用の溝ないし凹陥部を
形成し該ＡＬＣパネル１，１の側端面同士が当接するよ
うにしても良い。

【００２１】また、本実施形態においては、上記溝は、
上記ＡＬＣパネル１，１に予め加工された上記切欠部１
１，１１によって形成され、このように行われるのが好
ましいが、該切欠部１１，１１のような加工が施されて
いないＡＬＣパネルを敷設した後に、それらの接合部に
溝を後から形成するようになしても良い。また、本実施
形態における取付金具３は、一枚の略矩形の鋼板の捻
り、該捻り部より上部を上部挿通部３１とし、下部を下
部板状部３２としているが、図４（ａ）（ｂ）に示され
るように、上部挿通部及び下部板状部をそれぞれ異なる
部材により構成し、これを溶接等により一体化して形成
しても良い。また、上記切欠部３２ａも、上記水平面２
２に係合可能な形状であれば良く、例えば図４（ｃ）に
示すように、上記水平面２２端部への当接面に脱落防止
用の突起３３を備えたものであって良い。その他の点に
関しても、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可
能である。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、溶接作業を必要とせ
ず、ＡＬＣパネルの敷設作業に手間のかからない床又は
屋根用ＡＬＣパネルの取付構造、及び該取付構造に好適
に用いられる取付金具を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造
の一実施形態の斜視図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図３】本発明の取付金具の一実施形態を示す斜視図で
ある。

【図４】本発明の取付金具の他の実施形態を示す斜視図
である。

【図５】従来の床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造を
示す斜視図である。

【符号の説明】

１ ＡＬＣパネル １１ 切欠部 ２ 横架材（Ｈ形鋼） ２２ 水平面（上端フランジプレート） ３ 取付金具 ３ａ 捻り部 ３１ 上部挿通部 ３１ａ 挿通孔 ３２ 下部板状部 ３２ａ 切欠部 ４ 目地鉄筋 ５ 充填材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のＡＬＣパネルを平行な一対の横架
   材間に敷設してなる床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構
   造において、 一対の上記横架材それぞれの水平面端部に取付金具が係
   合立設され、該取付金具を挟むようにＡＬＣパネルが配
   設され、隣り合う該ＡＬＣパネルの接合部上部に形成さ
   れる溝内に、該取付金具に形成された挿通孔を挿通して
   目地鉄筋が配設され、 該溝内に、モルタル等の充填材が充填されてなることを
   特徴とする床又は屋根用ＡＬＣパネルの取付構造。
2. 【請求項２】 上記請求項１に記載の床又は屋根用ＡＬ
   Ｃパネルの取付構造に用いられる取付金具であって、 上記横架材の水平面端部に係合可能な切欠部を有する下
   部板状部と、上記目地鉄筋挿通用の挿通孔が形成され且
   つ上記溝内に配置される上部挿通部とを備えており、 上記挿通孔は、上記目地鉄筋を上記横架材に対して直交
   方向に配設可能に形成されていることを特徴とする取付
   金具。
3. 【請求項３】 略矩形の鋼板を上下方向の中央部よりも
   上端よりの位置で略９０度捻り、該捻り部より上部を上
   記上部挿通部とし、該捻り部より下部を上記下部板状部
   としたことを特徴とする請求項２に記載の取付金具。