JPH10183245A - 耐食性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方法 - Google Patents
耐食性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方法Info
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- JPH10183245A JPH10183245A JP8341486A JP34148696A JPH10183245A JP H10183245 A JPH10183245 A JP H10183245A JP 8341486 A JP8341486 A JP 8341486A JP 34148696 A JP34148696 A JP 34148696A JP H10183245 A JPH10183245 A JP H10183245A
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Abstract
が劣化することのない無方向性電磁鋼帯を得る。 【解決手段】 Ca脱硫を施した無方向性電磁鋼帯につい
て、仕上げ焼鈍後、水中または酸、アルカリ水溶液中に
2秒以上浸漬して、鋼板表面を洗浄する。
Description
気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方法に関し、特
に金属CaやCa合金を用いて脱硫した場合に従来懸念され
た耐食性の劣化を効果的に防止しようとするものであ
る。
鉄損が低いことであり、この鉄損は、冷間圧延後の仕上
げ焼鈍によって得られる再結晶粒径に依存し、最も低い
鉄損は再結晶粒径が 150〜250 μm のとき得られること
が知られている。
化物、硫化物のような微細な析出物を極力低減する必要
がある。これら析出物のうち、窒化物については、鋼中
に0.15wt%以上のAlを含有させることによってAlNを比
較的大きな粒径で析出させることができるため、仕上げ
焼鈍に際して再結晶の粒成長を妨げることは少ない。一
方、硫化物については、希土類元素の添加によって硫化
物を熱力学的に安定で固溶・再析出することのない、ま
たは比較的大きな析出物として固定することにより鉄損
値を改善することのできることが、特開昭51-62115号公
報に報告されている。
emと同様、熱力学的に安定な硫化物を造ることに着目
し、適正な量のCaを電磁鋼板に含有させることによっ
て、その特性の向上を図っている。すなわち、無方向性
電磁鋼板中に不可避に混入するSを所定量以下に低減す
ると共に、このS量に対する比が所定範囲を満足する量
のCaを含有させることによって、鉄損特性が極めて効果
的に改善されることが報告されている。
使用中における特性の劣化を防止する観点から、使用の
上で発錆が無いことが絶対条件である。しかしながら、
Caを用いて脱硫した場合には、しばしば錆が発生し、耐
食性が劣化するという問題を生じる。
もので、Ca等を用いて脱硫した場合であっても、耐食性
が劣化することのない無方向性電磁鋼帯の有利な製造方
法を提案することを目的とする。
緯について説明する。図1に、Caを含有する電磁鋼帯と
含有しないものの耐食性について調査した結果を比較し
て示す。なお、耐食性試験は、塩水噴霧試験 (JIS Z 23
71) に準拠して行った。図1に示したとおり、Caの残留
量が多いものは、Caが残留しないものに比べて発錆程度
は極めて高い。この理由は、CaまたはCaS等のCa化合物
は吸湿性が強いため、表層に存在する化合物の吸湿によ
り、まずその点を起点として発錆が生じ、それらが周囲
に転食して行くため、Caを含有しない鋼板と比較すると
発錆速度が非常に高くなることによるものと考えられ
る。
改善のために、鋼中に添加または残存するCaまたはCa
S,CaO等のCa化合物は、無方向性電磁鋼帯の耐食性を
劣化させる。これは、CaまたはCaS,CaO等のCa化合物
が H2Oとの親和性、反応性に非常に富むことに起因す
る。この反応の一例を以下に示す。 Ca +2H2O → CaH(OH)+H2O → Ca(OH)2+H2 CaS+2H2O → Ca(OH)2+H2S CaO+nH2O → CaO・n(H2O) これらの反応は常温で容易に右に進むことは知られてい
る。上掲式で生成したCaH(OH), Ca(OH)2またはCaOは吸
湿性が非常に高く、板表面への H2Oの吸着を誘発し、発
錆度を増加させる。
和性、反応性に着目し、逆にこの現象を利用することを
考えた。すなわち、仕上げ焼鈍後、絶縁コーティング塗
布前に、予め板表面を H2Oを含む水溶液に浸漬させるか
あるいは該水溶液を吹き付けて吸着反応を生じさせ、Ca
またはCaS,CaO等の化合物を板の外に洗い流すように
したところ、所期した目的の達成に関し、望外の成果が
得られたのである。この発明は、上記の知見に立脚する
ものである。
下、 Si:3.5 wt%以下、Mn:1.5 wt%以下、
Al:2.5 wt%以下、S:0.05wt%以下、 P:0.
1 wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物よ
りなる溶鋼を、金属CaまたはCa合金を用いて脱硫したの
ち、スラブとし、ついで熱間圧延、冷間圧延、仕上げ焼
鈍を施したのち、水中または酸、アルカリ水溶液中に2
秒以上浸漬して、鋼板表面を洗浄することを特徴とする
耐食性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造
方法である。
へ鋼帯を浸漬することに替えて、水または酸、アルカリ
水溶液を鋼板面に吹き付けることによって、鋼板表面を
洗浄するようにしても良い。
処理の後、濡れた状態下で、ブラシロールにより、周速
比:3.0 以上のブラッシングを施すことが、表面清浄化
の上で一層有利である。
る。まず、この発明において素材成分を前記の範囲に限
定した理由について説明する。 C:0.01wt%以下 Cは、γ域を拡大し、α−γ変態点を低下させる。焼鈍
中にγ相がα粒界にフィルム状に生成しα粒の成長を抑
制するため、Cは基本的に少なくする必要がある。ま
た、SiやAl等のα相安定化元素を多量に含有し、全温度
域でγ相が生成しない場合でも鉄損特性の時効劣化を引
き起こすので、C含有量は0.01wt%以下とする必要があ
る。なお、下限は特に限定されないが、コスト等の面か
ら0.0005wt%以上とすることが望ましい。
り、目標とする磁気特性に応じて含有量を変化させる。
しかしながら、同時に硬度も上昇させ、冷間圧延性を悪
化させるので、上限を 3.5wt%とした。なお、下限は特
に定めるものではないが、比抵抗を高める観点から0.05
wt%以上含有させることが望ましい。
元素であり、目標とする磁気特性に応じて含有量を変化
させる。しかしながら、その含有量が多い場合には連続
鋳造時にモールドとの潤滑性が低下し、鋳造が困難とな
るので、上限を2.5 wt%に定めた。
低下させる効果があり、また熱間圧延性を改善する効果
もある。しかしながら、多量に含有すると冷間圧延性が
劣化するので、上限を 1.5wt%に定めた。
で、極力低減すべき元素である。この発明は、CaSiを脱
硫に用い、Sの析出形態を制御するによってSを無害化
するものであるが、鋼中における残存量が多い場合に
は、介在物の粒子数が増え、またSを固定するためのCa
が相対的に不足すると介在物中のMnSの割合が増え、や
はり粒成長性に悪影響を及ぼすので、Sは0.05wt%以下
まで低減するものとした。
低下させる効果があるだけでなく、粒界偏析により冷延
再結晶後の集合組織を改善して磁束密度を向上させる効
果がある。しかしながら、過度に添加すると粒界偏析量
が多くなってかえって粒成長性を阻害し鉄損を劣化させ
るので、0.1 wt%以下で含有させるものとした。
他にも各種の公知元素を添加することが可能であり、例
えば磁気特性改善成分としてB,Ni, Cu, Sn, Sn, Biお
よびGe等を添加することができる。
たとおり、この発明では、溶製段階において、金属Caや
CaSi,CaAl等のCa合金(以下単にCa合金という)を用い
て脱硫を施す。ここに、かようなCa合金の添加量は、鋼
中残存量が5〜100 ppm 程度となる量が好ましい。とい
うのは、残存量が5 ppmに満たないと満足いくほど十分
な脱硫(S≦0.001 wt%)を達成できず、一方 100 ppm
を超えると、後述する洗浄処理によっても、鋼板表面に
残留するCa化合物を完全には除去できなくなるからであ
る。
件、冷間圧延条件および仕上げ焼鈍条件については、特
に限定されることはなく、常法に従い行えば良い。
面に存在するCaまたはCaS,CaO等の化合物を、その特
性である H2Oとの親和性、反応性を利用して、水中また
は水溶液中に浸漬させるかまたは該水溶液を板面に吹き
付けるかの方法によって、Caを洗浄除去することが肝要
であり、かような洗浄処理を施すことによって、Caを含
有する無方向性電磁鋼帯の耐食性を改善するのである。
洗浄時間と無方向性電磁鋼帯(Ca含有量:15〜50 ppm)
の耐食性との関係を、塩水噴霧耐食性促進試験によって
評価した結果を示す。同図に示したとおり、洗浄時間
(H2O との接触時間)を2秒以上とすることによって、
耐食性が急激に改善されている。従って、この発明で
は、処理液中への浸漬による洗浄時間につき、2秒以上
に限定したのである。とはいえ、洗浄時間が 100秒を超
えると、水溶液中に含まれる酸素との反応で絶縁コーテ
ィング前にすでに錆が発生してしまい、コーティング後
の耐食性が劣化するので、処理時間は 100秒以内とする
ことが好ましい。
洗浄した場合における無方向性電磁鋼帯(Ca含有量:15
〜50 ppm)の耐食性の違いについて調べた結果を、比較
して示す。同図に示したとおり、未洗浄あるいは有機溶
媒(アセトン)による洗浄に対し、水または酸、アルカ
リ水溶液を用いて洗浄することにより、無方向性電磁鋼
帯の耐食性は著しく改善されている。ここで重要なの
は、洗浄液に H2Oが含まれているということであり、pH
(酸性度、アルカリ度)の値はこの発明の本質では無
い。
状態で、ブラシロールを用いてブラッシングを施した場
合における、周速比(ブラシ周速/板速)と耐食性との
関係について調査した結果を示す。同図に示したとお
り、洗浄処理後に、ブラシロールによるブラッシングを
施すことによって耐食性は一層改善され、とくに周速比
を 3.0以上とすることによって、発錆面積率を3%以下
まで低減することができた。
シングを併用することによって、耐食性が一層改善され
る理由は、ブラッシングにより、板表面に残るCaやCa化
合物のよりきめ細やかな洗浄除去が可能となるためと考
えられる。なお、ブラシ材質は特に制限されるものでは
ないが、板面に過剰な歪または疵を入れるものであって
はならない。また、ロール径については周速比が重要で
あり、ロール径そのものが制限されることはない。さら
に、図4では、洗浄液として水を用いた場合について主
に説明したが、洗浄液として酸やアルカリ水溶液を用い
た場合でも同様の効果が得られることが確かめられてい
る。
表的な鋼種について、Caを含有する無方向性電磁鋼帯の
コーティング前における洗浄法の違いによる耐食性を評
価したものである。評価した板の製造条件は、15〜50 p
pmのCaを含有する3種類の無方向性電磁鋼帯について、
コーティング前に決められた時間(0,1,2,10, 10
0 秒)だけ(A)水(工業水)、(B)3%塩酸水溶
液、(C)10%苛性ソーダ溶液、(D)有機溶媒に浸漬
し、場合によっては浸漬後、濡れた状態でブラシロール
を用い周速比を5.0 としてブラッシングを行った後、水
切り、乾燥、コーティングを行ったものである。
まま(歪取焼鈍前)と窒素雰囲気中にて 750℃, 2時間
の歪取焼鈍を行ったものについて、コーティングままの
ものは塩水噴霧 (JIS Z 2371, 5時間) 試験により、歪
取焼鈍後のものは恒温恒湿試験(50℃, 14日 湿潤率:
80%)によって板表面の発錆を促進させ、発錆部分の面
積率によって耐食性を評価した。評価基準は、表中の◎
印が発錆面積率2%以下、○印が3〜10%、□印が11〜
20%、Δ印が21〜50%、×印が51%以上で結果を区別し
ている。
性に差は無く、2秒以上、(A)水、(B)塩酸、
(C)苛性ソーダに浸漬したものは、未洗浄、有機溶媒
による洗浄あるいは2秒未満の洗浄を行ったものと比較
して、耐食性は改善され良好な結果が得られている。特
に、ブラッシングを併用したものについては、より一層
の耐食性の改善が達成されている。なお、上記の実施例
では一部の場合について説明したが、この発明はこれだ
けに限られるものでなく、浸漬する替わりに水溶液を吹
き付けることによっても、同様の効果が得られることが
確認されている。また使用する液も H2Oを含むことが重
要であり、pHに差があったり、他の成分を含んでいて
も、Caに対する効果は同じである。
無方向性電磁鋼帯について、絶縁コーティング前に、水
または酸、アルカリ水溶液によって鋼表面のCaまたはCa
S,CaO等の化合物を洗浄除去することにより、磁気特
性のみならず耐食性に優れた電磁鋼帯を得ることができ
る。
る。
である。
すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】C:0.01wt%以下、 Si:3.5 wt%以
下、 Mn:1.5 wt%以下、 Al:2.5 wt%以下、 S:0.05wt%以下、 P:0.1 wt%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物よりなる溶鋼
を、金属CaまたはCa合金を用いて脱硫したのち、スラブ
とし、ついで熱間圧延、冷間圧延、仕上げ焼鈍を施した
のち、水中または酸、アルカリ水溶液中に2秒以上浸漬
して、鋼板表面を洗浄することを特徴とする耐食性およ
び磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、鋼帯を処理液中に浸
漬させる替わりに、水または酸、アルカリ水溶液を鋼板
面に吹き付けて洗浄することを特徴とする耐食性および
磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または2において、鋼帯の洗浄
処理後、濡れた状態下で、ブラシロールにより、周速
比:3.0 以上のブラッシングを施すことを特徴とする耐
食性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34148696A JP3383532B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | 耐食性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP34148696A JP3383532B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | 耐食性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10183245A true JPH10183245A (ja) | 1998-07-14 |
JP3383532B2 JP3383532B2 (ja) | 2003-03-04 |
Family
ID=18346437
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34148696A Expired - Lifetime JP3383532B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | 耐食性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼帯の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3383532B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101067482B1 (ko) | 2004-12-21 | 2011-09-27 | 주식회사 포스코 | 무방향성 전기강판의 냉각방법 |
JP2022002247A (ja) * | 2020-06-19 | 2022-01-06 | 日亜化学工業株式会社 | 異方性磁性粉末の製造方法および異方性磁性粉末 |
-
1996
- 1996-12-20 JP JP34148696A patent/JP3383532B2/ja not_active Expired - Lifetime
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KR101067482B1 (ko) | 2004-12-21 | 2011-09-27 | 주식회사 포스코 | 무방향성 전기강판의 냉각방법 |
JP2022002247A (ja) * | 2020-06-19 | 2022-01-06 | 日亜化学工業株式会社 | 異方性磁性粉末の製造方法および異方性磁性粉末 |
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