JP5954347B2 - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変圧器およびその他の電気機器の鉄心などに用いて好適な、被膜密着性に優れた方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料で、鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有するものである。このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程中、二次再結晶焼鈍の際にいわゆるゴス(Goss)方位と称される(110)〔001〕方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる、いわゆる二次再結晶を通じて形成される。
従来、このような方向性電磁鋼板は、4.5質量%以下のSiと、MnS,MnSe,AlNなどのインヒビター成分を含有するスラブを、1300℃以上の高温に加熱してインヒビター成分を一旦固溶させたのち、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、ついで湿潤水素雰囲気中で一次再結晶焼鈍を施して、一次再結晶と脱炭を行い、ついでマグネシア(MgO)を主剤とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶およびインヒビター成分の純化のために、1200℃で5h程度の最終仕上焼鈍を行うことによって製造されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
上述したとおり、従来の方向性電磁鋼板の製造に際しては、MnS,MnSe,AlNなどの析出物(インヒビター成分)をスラブ段階で含有させ、1300℃以上の高温のスラブ加熱により、これらのインヒビター成分を一旦固溶させ、後工程で微細に析出させることにより、二次再結晶を発現させるという工程が採用されてきた。
しかしながら、スラブの高温加熱は、加熱を実現する上で設備コストが嵩むだけでなく、熱延時に生成するスケール量が増大して歩留りが低下し、さらには設備のメンテナンスが煩雑になる等の問題があり、近年の製造コスト低減の要求に応えることができないところに問題を残していた。
この問題を解決するために、スラブにインヒビター成分を含有させずに二次再結晶を生じさせる技術について検討が進められた。
その結果、スラブにインヒビター成分を含有させない場合であっても、二次再結晶を発現させることができる技術(インヒビターレス法)が開発され、特許文献4において開示された。このインヒビターレス法は、より高純度化した鋼を利用し、テクスチャー(集合組織の制御)によって二次再結晶を発現させる技術である。
一方、インヒビターレス法を用いた場合には、フォルステライト被膜(いわゆる下地被膜)の形成に問題が生じることがあった。
これに対し、特許文献5では、Sr化合物を焼鈍分離剤中に添加し、かつ最終仕上げ焼鈍工程においてフォルステライト被膜の形成に必要な温度条件を規定することにより、密着性の高いフォルステライト被膜の形成に成功している。
また、インヒビターレス法では、高温のスラブ加熱が不要であるため、低コストでの方向性電磁鋼板の製造が可能であるとはいえ、インヒビターを含有しないが故に製造時、途中工程での温度ばらつきなどの影響を受け、製品でも磁気特性がばらつくという問題が生じる場合があった。
これに対しては、二次再結晶を安定して発現させる技術として、一次再結晶焼鈍後、二次再結晶焼鈍前に、地鉄中のS量を増加させる、いわゆる増硫処理を施す技術が開発され、特許文献6において開示された。この増硫法によれば、一次再結晶から二次再結晶までの間に増硫処理を施すことにより、一次再結晶粒界に偏析するS量が増すため、インヒビターレス技術で最も重要な集合組織に起因する結晶の粒界性格の差異を強めることとなり、ゴス方位以外の方位粒を囲む粒界の移動が適度に抑制され、その結果、二次再結晶が安定化するものと考えられる。
しかしながら、二次再結晶の安定化のために増硫法を用いた場合には、再び下地被膜の形成が不安定となって被膜密着性が劣化する場合があるという新たな問題を生じ、工業的生産という観点から、その改善が求められていた。
米国特許第1965559号明細書 特公昭40−15644号公報 特公昭51−13469号公報 特開2000−129356号公報 特許第4258185号公報 特許第4321120号公報
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、増硫法を用いる製造技術において、下地被膜の被膜密着性を効果的に改善した方向性電磁鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の問題を解決するために、下地被膜の形成状況と被膜密着性との関係について研究を重ねた。
その結果、被膜密着性には、表層の下地被膜から鋼板中にいたるMnおよびMgの分布状態が大きく影響を及ぼしていることを突き止め、その最適制御により下地被膜の密着性が安定して向上するとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、Si:4.5%以下およびMn:0.5%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなるフォルステライト下地被膜付き方向性電磁鋼板であって、
上記下地被膜付き方向性電磁鋼板の表面から板厚中心方向へのMgおよびMnの成分プロファイル分析において、
Mgの濃度変化が鋼板表層部においてピークを呈し、
一方、Mnの濃度変化は、鋼板表層部の濃度が板厚中心部の地鉄に比べて低いか、または鋼板表層部に板厚中心部の地鉄に比べて高い濃度ピークを有する場合には、鋼板表面からMnおよびMgの濃度ピーク位置までの距離をそれぞれt(Mn)、t(Mg)とするとき、t(Mn)>t(Mg)の関係を満足する
ことを特徴とする方向性電磁鋼板。
(2)前記鋼板が、さらに質量%で、
Cu:0.005〜0.20%、
Ti:0.0005〜0.0050%、
Ca:0.0001〜0.0050%、
Mg:0.0001〜0.0050%および
Na:0.0001〜0.0050%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする前記(1)に記載の方向性電磁鋼板。
(3)前記鋼板が、さらに質量%で、
Ni:0.02〜0.50%、
Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.20%、
Cr:0.005〜1.5%および
P:0.005〜0.20%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板。
(4)質量%で、C:0.08%以下、Si:4.5%以下およびMn:0.5%以下を含有し、sol.Alを100ppm未満およびNを60ppm未満ならびにS,SeおよびOをそれぞれ50ppm未満に抑制し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、ついで酸洗後、脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を施したのち、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
前記熱延板焼鈍後の鋼板表面に対してショットブラストを施したのち、一次再結晶焼鈍前の鋼板の最表面のMn濃度が板厚中心部のMn濃度の0.85倍以下となるように、酸洗処理により表面のMn濃度を調整し、かつ焼鈍分離剤中に硫化物および/または硫酸塩を0.2〜15質量%の範囲で含有させ、さらに最終仕上焼鈍での最高到達温度を1250℃以下とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

(5)前記鋼板が、さらに質量%で、
Cu:0.005〜0.20%、
Ti:0.0005〜0.0050%、
Ca:0.0001〜0.0050%、
Mg:0.0001〜0.0050%および
Na:0.0001〜0.0050%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする前記(4)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(6)前記鋼スラブが、さらに質量%で、
Ni:0.02〜0.50%、
Sn:0.01〜0.50%、
Sb:0.005〜0.20%、
Cr:0.005〜1.5%および
P:0.005〜0.20%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする前記(4)または(5)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、下地被膜の不安定形成を有利に解消して、下地被膜の被膜密着性ひいては磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を安定して得ることができ、その工業的価値は極めて高い。
GDSで測定した、一次再結晶焼鈍前の冷延板の表面から鋼板内部へ向けてのMn濃度の変化を示すグラフである。 GDSで測定した、製品板の絶縁被膜を剥離した下地被膜表面から鋼板内部へ向けてのMg,Mn濃度の変化を示すグラフである。 GDSで測定した、製品板の絶縁被膜を剥離した下地被膜表面から鋼板内部へ向けてのMg,Mn濃度の変化の他の例を示すグラフである。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
実験1
C:0.03%、Si:3.4%、Mn:0.05%、sol.Al:45ppm、N:35ppm、S:20ppm、Se:20ppmおよびO:10ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる連鋳スラブを、1200℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.5mmの熱延板としたのち、1050℃で30秒の熱延板焼鈍を施した。この時、熱延板焼鈍後の鋼板表面をショットブラスト処理したのち、80℃の5%塩酸水溶液を用いて60秒または150秒の2条件で酸洗を行って表面スケールを除去した。ついで、冷間圧延により板厚:0.30mmとしたのち、840℃で120秒間均熱する脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を、水素分圧:50%、窒素分圧:50%、露点(DP):45℃の条件で行った。
その後、MgOを主剤とし、MgSO4を10%含有する焼鈍分離剤を、一次再結晶板の表面に12.5g/m2塗布し、乾燥したのち、昇温速度:15℃/h、雰囲気ガス:900℃までN2ガス、900℃以上はH2ガス、均熱処理:1160℃,5hの条件で二次再結晶焼鈍を施した。なお、最高到達温度(板温)は1190℃とした。
ついで、残留した焼鈍分離剤を除去後、絶縁コーティング処理液を塗布し、焼付けとヒートフラットニング処理を兼ねた850℃、30秒の焼鈍を施して、最終製品とした。
かくして得られた製品絶縁被膜を除去したのち、圧延方向に300mm、圧延直角方向に30mmの長さを有する試験片を採取し、下地被膜の被膜密着性について調査した。この被膜密着性は、試験片を種々の径を有する丸棒に押し付けながら180°折り曲げ、折り曲げ部分が剥離しない最小径で評価した。
その結果、酸洗時間が60秒と短い条件では最小径は20mmと良好であったのに対し、酸洗時間が150秒と長い条件では最小径が55mmと大幅に劣化することが判明した。
そこで、発明者らは、これらの現象が如何なる機構により生じるのかを明らかにするために、上記の実験で得られた一次再結晶焼鈍前の冷延板および下地被膜付き鋼板の表層を種々の方法で調査した。
その結果、酸洗条件の違いにより冷延板表層のMn分布に差異が認められること、また製品板の表層ではMnとMgの分布状態が大きく異なることが判明した。そして、形成された下地被膜の密着性の良否は、この製品板の表層におけるMnおよびMgの濃度分布と強い相関があることが究明された。
図1に、一次再結晶焼鈍前の冷延板の表面から鋼板内部へ向けてのMn濃度の変化をGDS(Glow Discharge Spectrometer)で測定した結果を示す。図1(a)は酸洗時間が60秒の場合、(b)は酸洗時間が150秒の場合である。
図1に示したとおり、Mn濃度の分布は酸洗時間の影響を受けており、Mnは最表面で濃度が低下する傾向にあるものの、酸洗時間が長くなると濃度低下の程度が小さくなることが認められた。
次に、図2に、製品板の絶縁被膜を剥離した下地被膜表面から鋼板内部へ向けてのMg,Mn濃度の変化をGDSで測定した結果を示す。
いずれの酸洗条件においても、下地被膜から鋼板にかけてMg,Mnの濃度分布にピークが認められたが、酸洗時間が60秒と短い条件では、表層近傍にMgのピークが存在し、このMgのピークよりさらに鋼板内部側に入ったところでMnのピークを存在していたのに対して、酸洗時間が150秒と長い条件では、表層近傍におけるMgのピークよりもさらに表面側にMnのピークが存在していることが判明した。
なお、Mn強度およびMg強度のピーク位置は、GDSを用い板厚方向の強度分布を調べることによって測定したが、測定法としてはこのGDSのみに限るものではなく、Mn強度やMg強度のピーク位置を評価できる測定法であれば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)等の物理分析やその他の化学分析であってもかまわない。
以上の結果から、製品板におけるこのようなMg,Mnの濃度分布の差が下地被膜の密着性に影響を及ぼしていること、そしてこの変化は一次再結晶前の冷延板のMn濃度プロファイルの影響を受けることが考えられた。
そのため、次に、これを確認する実験を行った。
実験2
C:0.03%、Si:3.4%、Mn:0.05%、sol.Al:45ppm、N:35ppm、S:20ppm、Se:20ppmおよびO:10ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる連鋳スラブを、1200℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.2mmの熱延板としたのち、1050℃で30秒の熱延板焼鈍を施した。この時、熱延板焼鈍後の鋼板表面に対してショットブラストを施したのち、表1に示す7条件(条件A〜G)で表面スケールの除去状態の異なる鋼板を作製した。ついで冷間圧延により板厚:0.30mmとしたのち、840℃で120秒間均熱する脱炭・一次再結晶焼鈍を、水素分圧:50%、窒素分圧:50%、露点:45℃の条件で行った。
Figure 0005954347
その後、MgOを主剤とし、MgSO4を10%含有する焼鈍分離剤を、一次再結晶板の表面に12.5g/m2塗布し、乾燥したのち、昇温速度:15℃/h、雰囲気ガス:900℃までN2ガス、900℃以上はH2ガス、均熱処理:1160℃,5hの条件で二次再結晶焼鈍を施した。なお、最高到達温度(板温)は1190℃とした。
ついで、残留した焼鈍分離剤を除去後、絶縁コーティング処理液を塗布し、焼付けとヒートフラットニング処理を兼ねた850℃、30秒の焼鈍を施し、最終製品とし、評価試験に供した。
下地被膜の密着性は、実験1と同様に、圧延方向に300mm、圧延直角方向に30mmの長さを有する試験片を採取し、種々の径を有する丸棒に試験片を押し付けながら180°折り曲げ、折り曲げ部分が剥離しない最小径で評価した。なお、曲げ剥離最小径が小さいほど下地被膜の密着性が良好ということであり、通常の用途では50mm以下が求められている。
また、一次再結晶焼鈍前の冷延板表層のMn濃度プロファイルと、製品板表層のMn,Mg濃度プロファイルをGDSで測定した。なお、製品板表層の測定は、絶縁被膜を剥離した後に行った。
図3に、製品板の絶縁被膜を剥離した下地被膜表面から鋼板内部へ向けてのMg,Mnの濃度の変化をGDSで測定した結果を示す。
図3に示したとおり、Mnの濃度プロファイルは、図2で得られたような表層近傍でピークを有する結果の他に、表層近傍では明確なピークが認められないものの地鉄に比べて低下している結果も得られた。
そして、この表層近傍で明確なピークが認められないものの地鉄に比べてMn濃度が低下している状態が実現されている場合には、酸洗時間が60秒と短い条件で処理し、表層近傍にMgのピークが存在し、幾分鋼板内部側に入ったところでMnのピークが存在している場合と同様に、十分な密着性が得られることが判明した。
表2に、得られた結果をまとめて示す。
表中の一次再結晶焼鈍前の冷延板最表面と地鉄内部のMn濃度は、表面をGDSで深さ方向分析した時の最表面でのMn強度と、スパッタ時間120〜150秒間のMn強度の平均値で定義し、その強度比から濃度比を評価した。また、表2には、下地被膜付き鋼板の被膜外観について調べた結果も併せて示す。
Figure 0005954347
表2に示したとおり、鋼板最表面のMn濃度が地鉄内部のMn濃度の0.85倍を超える場合は被膜密着性は劣っているが、最表面のMn濃度が地鉄内部のMn濃度の0.85倍以下の場合には、被膜密着性は大幅に改善されていることが分かる。しかも、この被膜密着性の安定化に伴って、磁気特性も良好なレベルに到達していることが分かる。さらに、被膜外観も改善されていることが分かる。
そして、下地被膜の被膜密着性が劣る材料では、Mgの濃度ピーク位置よりも表面側にMn濃度のピークが存在していた。これに対し、被膜密着性が良好であった材料では、Mnの濃度変化は鋼板表層部の濃度が板厚中心部の地鉄に比べて低いか、または表層部に板厚中心部の地鉄に比べて高い濃度ピークを有する場合は、Mgのピーク位置よりも鋼板内部側にMnのピーク位置が存在していた。
すなわち、Mnの濃度変化は、鋼板表層部の濃度が板厚中心部の地鉄に比べて低いか、または表層部に板厚中心部の地鉄に比べて高いMn濃度ピークを有するときは、表面からMn強度のピーク位置およびMg強度のピーク位置までの距離をそれぞれt(Mn)、t(Mg)とするとき、これらがt(Mn)>t(Mg)の関係を満足する場合に、良好な被膜密着性が得られることが判明したのである。
本発明において鋼板表層部とは、下地被膜付き鋼板の最表面から0.5μm〜8μmの深さ位置までの領域を指し、おおよそ下地被膜の厚みに相当する。
鋼板表層部におけるMnおよびMgの濃度プロファイルが、上記した要件を満足する場合に被膜密着性が良好となる理由は、まだ明確に解明されたわけではないが、発明者らは次のように推察している。
フォルステライト被膜(Mg2SiO4)形成の際には、(Mg,Mn)2SiO4や(Mg,Fe)2SiO4のような固溶体を経由することで、フォルステライト被膜の形成がより速やかに進行することが知られている。酸化雰囲気では、鋼板の極表層近傍のMnは安定なMnOを形成するために表層側へ拡散し、その後上述したような固溶体を形成することで被膜形成にも有効に働く。
一般的には、フォルステライト被膜形成時に鋼板表層のMn量が高いという状態(t(Mn)<t(Mg))は、このような固溶体を作りやすく、被膜形成が促進されることを意味すると考えられる。しかしながら、増硫処理によって浸硫を行った場合、MnとSの親和力も高いため、鋼板に浸入しようとするSの一部がMnと結合し、MnSとして固定され、さらに表層近傍で成長し、粗大なMnSが形成される可能性が考えられる。しかも、最終仕上焼鈍は、1100℃を超える高温で実施されるが、この際に粗大に成長したMnSが一部固溶することで、フォルステライト被膜中に欠陥が生じることが懸念される。このことは、増硫法を適用しようとした場合にのみ、被膜不良が生じやすくなることと一致する。Mnは、熱間圧延時における圧延性を確保するために、相当量スラブ中に含有されることから、形成されるMnSは粗大に成長しやすくなり、問題となると予想される。
本発明は、表層近傍に、本来被膜形成に有用なMnの欠乏層をあえて残すことにより、フォルステライト被膜形成中におけるMnSの析出とその成長を抑制し、その効果を介して、MnSに起因したフォルステライト被膜の欠陥を抑制することにより、被膜密着性の改善を図るものである。
このようにして得られたフォルステライト被膜は、Mnのフォルステライト被膜中への取り込みが抑制される結果、鋼板表面からMnおよびMgの濃度ピーク位置までの距離をそれぞれt(Mn)、t(Mg)とするとき、t(Mn)>t(Mg)の関係を有するフォルステライト被膜を有することとなる。
上記の仮説を証明するものではないが、MnよりもSとの親和力が強い元素、たとえばCu(Cu2S)、Ti(TiS)、Ca(CaS)、Mg(MgS)、Na(NaS)を鋼中に微量に含有させた場合、フォルステライト被膜の密着性が改善されることが新たに知見された。これらは、Sが鋼中へ拡散する際、より親和力の強い元素と結びつくことが予想されるが、対象となる元素を極微量とすることにより、析出物を微細に析出させ、最終的にフォルステライト被膜に生じる欠陥を小さくすることができたためと考えられる。
次に、本発明の鋼板および素材である鋼スラブの成分組成を、前記の範囲に限定した理由について説明する。
まず、本発明鋼板の成分組成について説明すると、次のとおりである。
Si:4.5 %以下
Siは、鋼の電気抵抗を高めて鉄損の低減に有効に寄与するが、含有量が4.5%を超えると加工性が著しく劣化して冷間圧延が困難になるので、Si量は4.5%以下に限定した。鉄損の観点から望ましい添加量は2.0〜4.0%の範囲である。なお、要求される鉄損レベルによっては、Siを添加しなくても良い。
Mn:0.5%以下
Mnは、熱間加工性を改善するために有用な元素であるが、含有量が0.5%を超えると一次再結晶集合組織が悪化して磁気特性の劣化を招くので、Mn量は0.5%以下に限定した。
また、本発明では、上記した成分以外に、被膜密着性改善成分として、次に述べる元素を含有させることが有用である。
Cu:0.005〜0.20%、Ti:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0001〜0.0050%、Mg:0.0001〜0.0050%およびNa:0.0001〜0.0050%のうちから選んだ少なくとも一種
これらの元素はいずれも、増硫処理を行う際の浸硫温度域において、MnSよりも熱力学的に安定な硫化物を形成することができる元素であり、これらの元素を適正量添加することにより、フォルステライト被膜の鋼板との密着性を改善することができる。一方で、インヒビターレス鋼においては、これらの元素は鋼中に存在する微量のSと析出物を形成し、インヒビターのような挙動を呈して特性を劣化させることがあるため、過剰の添加は差し控える必要がある。また、過剰に添加した場合には、MnがMnSを形成する場合と同じく、フォルステライト被膜中に粗大な硫化物を形成することにつながり、最終的にフォルステライト被膜の欠陥を促進することになるため、それぞれ上記の範囲に限定した。
これらの元素群のうち、特にCuは、他の元素に比べて添加量が多くても同様な効果が得られ、磁気特性の改善効果も認められた。その詳細なメカニズムは明確ではないが、析出形態がCu2Sのように他の元素とは異なり、置換型元素で拡散速度が速くないCuの役割が強く影響し、粗大析出しにくいことが原因と推察している。
さらに、本発明では、上記した成分以外に、磁気特性改善成分として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.02〜0.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005〜0.20%、Cr:0.005〜1.5%およびP:0.005〜0.20%のうちから選んだ少なくとも一種
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させる有用元素である。しかしながら、含有量が0.02%未満では磁気特性の改善効果が小さく、一方0.50%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するので、Ni量は0.02〜0.50%とした。
また、Sn,Sb,CrおよびPはそれぞれ、鉄損の向上に有用な元素であるが、いずれも上記範囲の下限値に満たないと鉄損の向上効果が小さく、一方上限量を超えると二次再結晶粒の発達が阻害されるので、それぞれSn:0.01〜0.50%、Sb:0.005〜0.20%、Cr:0.005〜1.5%、P:0.005〜0.20%の範囲で含有させるものとした。
次に、鋼スラブの成分組成について説明すると、次のとおりである。
なお、Si含有量およびMn含有量は、本発明鋼板について規定した成分組成範囲と同じである。
また、上記した任意成分についても、本発明鋼板の場合と同じである。
C:0.08%以下
Cは、一次再結晶組織の改善に有効に寄与するが、含有量が0.08%を超えると、製品板において磁気時効の起こらない0.0050%(50ppm)以下まで低減することが困難になるので、C量は0.08%以下に制限した。なお、C量が0.02%に満たないと、一次再結晶組織の劣化によって磁気特性が劣化するおそれがあるので、Cは0.02%以上含有させることが好ましい。
sol.Al:100ppm未満
Alは、過剰に存在すると二次再結晶を困難とする。特に、sol.Al量が100ppm以上になると、低温スラブ加熱条件では二次再結晶し難くなり、磁気特性が劣化するので、Alはsol.Al量で100ppm未満に抑制するものとした。
N:60ppm未満
Nも、Alと同様、過剰に存在すると二次再結晶を困難にする。特にN量が60ppm以上になると、二次再結晶が生じ難くなり、磁気特性が劣化するので、Nは60ppm未満に抑制するものとした。
S,SeおよびO:それぞれ50ppm未満
S,SeおよびO量がそれぞれ50ppm以上になると、二次再結晶が困難となる。この理由は、粗大な酸化物や、スラブ加熱によって粗大化したMnSやMnSeが一次再結晶組織を不均一にするためである。従って、S,SeおよびOはいずれも50ppm未満に抑制するものとした。好ましくはいずれも40ppm以下である。
その他、窒化物形成元素であるNb,B,TaおよびV等についても、それぞれ60ppm以下に低減することが、鉄損の劣化を防止し、良好な加工性を確保する上で有効である。
次に、本発明の製造方法について説明する。
上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、転炉、電気炉などを用いる公知の方法で精錬し、必要に応じて真空処理などを施したのち、通常の造塊法や連続鋳造法を用いてスラブを製造する。また、直接鋳造法を用いて100mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造してもよい。スラブは、通常の方法で加熱して熱間圧延を行うが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を行っても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
本発明では、スラブ中にインヒビター成分を含有していないため、熱間圧延前のスラブ加熱温度は1250℃以下に抑えることが、熱延時に生成するスケール量を低減する上で特に有効である。また、結晶組織の微細化および不可避的に混入するインヒビター成分の弊害を無害化して、均一な整粒一次再結晶組織を実現する意味でもスラブ加熱温度の低温化が望ましい。
ついで、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度は800〜1100℃の範囲が好適である。というのは、熱延板焼鈍温度が800℃未満では熱延でのバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を実現することが困難になる結果、二次再結晶の発達が阻害され、一方熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、不可避的に混入するインヒビター成分が固溶し冷却時に不均一に再析出するため、整粒一次再結晶組織を実現することが困難となり、やはり二次再結晶の発達が阻害されるからである。また、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎることも、整粒の一次再結晶組織を実現する上で不利である。
その後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終冷延板とする。
上記の冷間圧延において、圧延温度を100〜250℃に上昇させて圧延を行うことや、冷間圧延の途中で100〜250℃の範囲での時効処理を1回または複数回行うことは、ゴス組織を発達させる上で有効である。
ついで、酸洗を施すが、本発明では、この酸洗工程が重要である。
すなわち、この酸洗により、一次再結晶焼鈍前の冷延板の最表面のMn濃度が、板厚中心部のMn濃度の0.85倍以下となるように表面のMn濃度を調整するのである。
上記の規定を満足するのであれば、処理液や処理時間は特に規定しないが、好適な処理液およびその濃度ならびに酸洗時間については、次のとおりである。
(1) 処理液
HCl,H2SO4,HNO3
(2) 処理液の濃度
3〜18%水溶液
(3) 酸洗時間
2〜120秒
上記の酸洗後、脱炭・一次再結晶焼鈍を施して、Cを磁気時効の起こらない50ppm以下好ましくは30ppm以下まで低減する。
この脱炭・一次再結晶焼鈍は、湿潤雰囲気を使用して700〜1000℃の温度で行うことが好適である。なお、脱炭・一次再結晶焼鈍後に浸珪法によってSi量を増加させる技術を併用してもよい。
その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を施すことにより二次再結晶組織を発達させると共に下地被膜を形成させる。
この際、増硫処理によって地鉄中のS量を増加させ磁気特性の向上を図るために、焼鈍分離剤中に、硫化物および/または硫酸塩を0.2〜15%含有させることが重要である。
なお、上記の硫化物や硫酸塩としては、Ag,Al,Ba,Ca,Co,Cr,Cu,Fe,In,K,Li,Mg,Mn,Na,Ni,Sn,Sb,Sr,ZnおよびZrの硫化物や硫酸塩などが有利に適合する。これらは、単独で添加しても複合で添加してもいずれでも良い。
また、最終仕上焼鈍における最高到達温度を1100℃以上、1250℃以下とすることも重要である。
というのは、最高到達温度が上記の範囲から外れると、鋼板表層部におけるMnおよびMgの濃度プロファイルが発明の適正範囲を満たさなくなり、その結果、良好な被膜密着性ひいては良好な磁気特性が得られないからである。
上記の最終仕上焼鈍は、二次再結晶発現のために800℃以上の温度で行う必要があるが、800℃までの加熱速度は、磁気特性に大きな影響を与えないので任意の条件でよい。
なお、上記の増硫効果により磁気特性が向上する現象は、スラブ中にインヒビター成分を含有しない鋼の場合に特有な現象である。すなわち、鋼中にAlNやMnSなどのインヒビター成分(析出物)が存在しない場合、一次再結晶組織中のゴス方位粒を囲む粒界は、他の方位の粒を囲む粒界に比べて易動度が大きくなり、その結果ゴス方位が優先成長(二次再結晶)するのである。
その後、平坦化焼鈍を施して鋼板の形状を矯正する。
ついで、上記の平坦化焼鈍後、鉄損の改善を目的として、鋼板表面に張力を付与する絶縁コーティングを施すことが有利である。
さらに、公知の磁区細分化技術を適用できることはいうまでもない。
(実施例1)
表3に示す種々の成分組成からなる連鋳スラブを、1230℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.2mmの熱延板としたのち、1050℃で30秒の熱延板焼鈍を施した。この時、熱延板焼鈍後の鋼板表面をショットブラスト処理したのちに、80℃の5%塩酸水溶液を用い80秒間の酸洗を行って表面スケールを除去した。ついで、冷間圧延により板厚:0.23mmとしたのち、850℃、180sの脱炭・一次再結晶焼鈍を施した。ついで、MgO:87%、MgSO4:10%、TiO2:3%の組成からなる焼鈍分離剤を、一次再結晶板の表面に12.5g/m2塗布し、乾燥したのち、昇温速度:10℃/h、雰囲気ガス:950℃まではArガス、950℃以上はH2ガス、均熱処理:1100℃、10hの条件で二次再結晶焼鈍を施した。その際の最高到達温度は1150℃とした。
その後、リン酸塩とコロイダルシリカを主成分とする張力被膜処理液を塗布し、800℃で焼き付けて、張力被膜を被成したのち、平坦化焼鈍を施した。
かくして得られた製品板の磁気特性および下地被膜密着性を調べた。また、冷延板表層のMn濃度プロファイルを求め、最表面と内部のMn濃度比(最表面/内部)を調べた。さらに、製品板表層のMn,Mg濃度プロファイルについても調査した。
得られた結果を、表3に併記する。
なお、磁気特性は、800℃で3時間の歪取り焼鈍を行ったのち、800A/mで励磁したときの磁束密度B8および50Hzで1.7Tまで励磁したときの鉄損W17/50で評価した。
また、下地被膜密着性は、実験1と同様、圧延方向に300mm、圧延直角方向に30mmの長さを有する試験片を採取し、種々の径を有する丸棒に試験片を押し付けながら180°折り曲げ、折り曲げ部分が剥離しない最小径で評価した。なお、曲げ剥離最小径が小さいほど下地被膜の密着性が良好ということであり、通常の用途では50mm以下が求められている。好ましくは30mm以下である。
さらに、冷延板表層のMn濃度プロファイルと、製品板表層のMn,Mg濃度プロファイルは、GDSで測定した。なお、製品板表層のGDS測定は、絶縁被膜を剥離した後に行った。
Figure 0005954347
同表から明らかなように、本発明に従い得られた方向性電磁鋼板はいずれも、下地被膜の被膜密着性に優れるだけでなく、優れた磁気特性が得られている。
(実施例2)
表4に示す種々の成分組成からなる連鋳スラブを、1150℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.0mmの熱延板としたのち、1000℃で60秒の熱延板焼鈍を施した。この時、熱延板焼鈍後の鋼板表面をショットブラスト処理したのちに、実施例1と同様のMn濃度比(最表面/内部)が得られるように、80℃の5%塩酸水溶液を用い80秒間の酸洗を行って表面スケールを除去し、いずれもMn濃度比(最表面/内部)が0.6〜0.7の範囲にあることを確認した。
ついで、冷間圧延により板厚:0.27mmとしたのち、830℃、120sの脱炭・一次再結晶焼鈍を施した。得られた実機コイルから100mm×400mmの試験片を切り出し、ラボにて、MgO:87%、TiO2:3%の組成に加え、増硫用添加剤としてMgSを9%、12%、15%の3水準で添加した焼鈍分離剤を、一次再結晶板の表面に12.5g/m2塗布し、乾燥した。その後、昇温速度:12℃/h、雰囲気ガス:950℃まではN2ガス、950℃以上はH2ガス、均熱処理:1100℃、10hの条件で二次再結晶焼鈍を施した。その際の最高到達温度は1150℃とした。
その後、リン酸塩とコロイダルシリカを主成分とする張力被膜処理液を塗布し、800℃で焼き付けて、張力被膜を被成したのち、平坦化焼鈍を施した。
かくして得られた試験片の中央部から30mm×300mmのサンプルを切り出し、下地被膜密着性を調べた。なお、下地被膜密着性は、実施例1と同様の方法で評価した。また、800℃、3hの歪取り焼鈍を行ったのち、800A/mで励磁したときの磁束密度B8について調査した。
得られた結果を表4に併記する。
Figure 0005954347
同表から明らかなように、本発明に従い得られた方向性電磁鋼板はいずれも、40mmφ以下の被膜密着性に優れた下地被膜が得られており、特に適正量の添加元素を加えることにより、増硫量の多い条件下でも優れた被膜密着性を確保できることが確認された。

Claims (6)

  1. 質量%で、Si:4.5%以下およびMn:0.5%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなるフォルステライト下地被膜付き方向性電磁鋼板であって、
    上記下地被膜付き方向性電磁鋼板の表面から板厚中心方向へのMgおよびMnの成分プロファイル分析において、
    Mgの濃度変化が鋼板表層部においてピークを呈し、
    一方、Mnの濃度変化は、鋼板表層部の濃度が板厚中心部の地鉄に比べて低いか、または鋼板表層部に板厚中心部の地鉄に比べて高い濃度ピークを有する場合には、鋼板表面からMnおよびMgの濃度ピーク位置までの距離をそれぞれt(Mn)、t(Mg)とするとき、t(Mn)>t(Mg)の関係を満足する
    ことを特徴とする方向性電磁鋼板。
  2. 前記鋼板が、さらに質量%で、
    Cu:0.005〜0.20%、
    Ti:0.0005〜0.0050%、
    Ca:0.0001〜0.0050%、
    Mg:0.0001〜0.0050%および
    Na:0.0001〜0.0050%
    のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
  3. 前記鋼板が、さらに質量%で、
    Ni:0.02〜0.50%、
    Sn:0.01〜0.50%、
    Sb:0.005〜0.20%、
    Cr:0.005〜1.5%および
    P:0.005〜0.20%
    のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板。
  4. 質量%で、C:0.08%以下、Si:4.5%以下およびMn:0.5%以下を含有し、sol.Alを100ppm未満およびNを60ppm未満ならびにS,SeおよびOをそれぞれ50ppm未満に抑制し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、ついで酸洗後、脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を施したのち、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記熱延板焼鈍後の鋼板表面に対してショットブラストを施したのち、一次再結晶焼鈍前の鋼板の最表面のMn濃度が板厚中心部のMn濃度の0.85倍以下となるように、酸洗処理により表面のMn濃度を調整し、かつ焼鈍分離剤中に硫化物および/または硫酸塩を0.2〜15質量%の範囲で含有させ、さらに最終仕上焼鈍での最高到達温度を1250℃以下とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記鋼板が、さらに質量%で、
    Cu:0.005〜0.20%、
    Ti:0.0005〜0.0050%、
    Ca:0.0001〜0.0050%、
    Mg:0.0001〜0.0050%および
    Na:0.0001〜0.0050%
    のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記鋼スラブが、さらに質量%で、
    Ni:0.02〜0.50%、
    Sn:0.01〜0.50%、
    Sb:0.005〜0.20%、
    Cr:0.005〜1.5%および
    P:0.005〜0.20%
    のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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