JPH10182743A - 樹脂用紫外線吸収剤、樹脂組成物、および成形体 - Google Patents

樹脂用紫外線吸収剤、樹脂組成物、および成形体

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JPH10182743A
JPH10182743A JP6494597A JP6494597A JPH10182743A JP H10182743 A JPH10182743 A JP H10182743A JP 6494597 A JP6494597 A JP 6494597A JP 6494597 A JP6494597 A JP 6494597A JP H10182743 A JPH10182743 A JP H10182743A
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polymerized unit
resin
group
vinyl chloride
resin composition
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JP6494597A
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English (en)
Inventor
Yuriko Kaida
由里子 海田
Hirotsugu Yamamoto
博嗣 山本
Mika Yokoyama
みか 横山
Atsuo Ogawara
淳夫 大河原
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塩化ビニル系樹脂等の樹脂に優れた耐候性と撥
水性を付与しうる紫外線吸収剤を提供する。 【解決手段】紫外線吸収性有機残基を含有する重合性単
量体の重合単位(b1)、フッ素原子を含有する重合性
単量体の重合単位(b2)、および単独重合体とした場
合に塩化ビニル系樹脂と相溶性を有する重合性単量体の
重合単位(b3)の3種の重合単位を必須とするランダ
ム共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐候性、撥
水性、防汚性を有する樹脂用紫外線吸収剤およびそれを
含む樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、樹脂は、紫外線の影響により劣
化する。樹脂のうち塩化ビニル系樹脂はプラスチック材
料中では耐候性が比較的優れるが、使用目的によっては
充分ではなく、耐候性を向上させるために紫外線吸収剤
が添加されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般の紫外線
吸収剤は塩化ビニル系樹脂等の樹脂に比べると低分子量
であるので、長期間屋外で使用していると徐々にブリー
ドアウトしたり、また、紫外線吸収剤の融点が樹脂の成
形温度に比べて低いため成形時に揮散して、紫外線吸収
剤の含有濃度が低下する問題があった。また、重合体連
鎖中に紫外線吸収剤を共重合させる提案もあるが、樹脂
の物性を低下させる欠点があり、また、紫外線吸収剤の
運動が束縛され充分に特性が発現しない問題もあった。
また、着色、チョーキング等の防止効果についても持続
性に乏しく、長期使用が求められる建築材料用途には問
題があり、耐候性の改善が求められている。
【0004】また、表面活性を有するセグメントと紫外
線吸収剤を分子内に含有するグラフトポリマーによりポ
リスチレン系樹脂の耐候性を改善する試みもある(塚原
安久他、「高分子論文集」47,361(199
0))。しかし、グラフトポリマーは多段階の重合反応
を要するため製造に手間がかかり、製造コストも高く、
実用性に問題がある。また、表面へのグラフトポリマー
の濃縮率が不充分であるため満足する耐候性が得られな
い問題もある。
【0005】一方、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加し
た軟質塩化ビニル系樹脂は、低コストで加工性などの取
扱い性がよく、高周波ウエルダー溶着や縫製が容易であ
る等の長所があるため、トラックの幌等の各種シート、
テント、農業用ハウス、野積シート、フレキシブルコン
テナ等に使用されている。しかし、これらは屋外で長期
間使用すると軟質塩化ビニル系樹脂シート自体や被装物
が黄変劣化する欠点や、大気中の煤煙、塵埃などの汚染
物質が付着して汚れやすく、除去できない等の現象が認
められ、美観や透明性が低下する原因となっていた。
【0006】上記現象の原因は、耐候性を目的として添
加される有機系の老化防止剤や紫外線吸収剤が軟質塩化
ビニル系樹脂の表面にブリードアウトすること、樹脂の
柔軟性を改善する目的で配合する可塑剤がシート表面に
移行し粘着性を有することから汚れが付着しやすく、除
去がし難くなること、にあると考えられる。
【0007】上記欠点を改善する目的で、(1)軟質塩
化ビニル系樹脂に無機系の添加剤を添加する方法、
(2)軟質塩化ビニル系樹脂に紫外線吸収剤を添加し、
これをフィルム状に成形して、380nm以下の光の透
過を防ぎ黄変劣化を防止する方法(特開昭61−293
244)、(3)有機溶剤に溶かしたアクリル系または
ウレタン系樹脂をコーティングする方法、(4)塩化ビ
ニル樹脂シートにポリメタクリル酸系フィルムをラミネ
ートする方法(特開昭56−167445)、(5)塩
化ビニル樹脂シートにフッ素系樹脂を接着積層する方法
(特開昭59−171649)等の汚染を防止するため
の方法、が提案されている。
【0008】しかし、(1)の方法では、著しく透明性
が低下する欠点があり、(2)の方法では、効果が長期
間持続しない欠点があり、(3)の方法では、軟質塩化
ビニル系樹脂中の可塑剤が有機溶剤中に溶出したり、コ
ーティング樹脂層に移行して表面が粘着性になり、防汚
効果が期待できない問題があり、(4)の方法は可塑剤
のフィルム層への移行を防げず、長期間の防汚性は期待
できず、また、ウエルダー溶着性が弱く、シワが入りや
すい欠点があり、(5)の方法は、コストが高く、溶着
縫製が非常に困難である欠点があった。すなわち、樹脂
の物性を保持したまま、満足な耐候性および防汚性を付
与しうる方法は提供されていなかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決すべく検討した結果、特定の3種の重合単位、すな
わち、紫外線吸収性有機残基を有する重合単位、表面移
行性を有する重合単位、塩化ビニル系樹脂との相溶性を
有する重合単位の3つ、を必須の重合単位として含むラ
ンダム共重合体を樹脂に配合して樹脂組成物にすると、
樹脂組成物の表面近傍に高濃度の紫外線吸収性有機残基
を濃縮でき、樹脂組成物内部への紫外線透過を抑制し、
高い耐候性が発現されることを見いだした。
【0010】さらに、本発明の紫外線吸収剤は、優れた
耐候性を有し、該紫外線吸収剤を含む樹脂組成物は成形
加工性にも優れ、得られた成形体は、表面外観性、防汚
性等に優れることを見いだした。
【0011】すなわち本発明は、下記重合単位(b
1)、下記重合単位(b2)、および下記重合単位(b
3)を含むランダム共重合体(B)からなる樹脂用紫外
線吸収剤、樹脂と該紫外線吸収剤を含む樹脂組成物、該
樹脂組成物を成形した成形体を提供する。 重合単位(b1):紫外線吸収性有機残基を含有する重
合性単量体に基づく重合単位。 重合単位(b2):フッ素原子を含有する重合性単量体
に基づく重合単位であり、かつ、重合単位(b1)以外
の重合単位。 重合単位(b3):重合単位(b1)および重合単位
(b2)以外の重合単位であり、かつ、単独重合体とし
た場合に塩化ビニル系樹脂との相溶性を有する重合性単
量体に基づく重合単位。
【0012】
【発明の実施の形態】共重合体(B)は、特定の3種の
構成単位、すなわち、重合単位(b1)、重合単位(b
2)、および重合単位(b3)を含むランダム共重合体
である。以下、それぞれの構成単位を順に説明する。
【0013】重合単位(b1)は、紫外線吸収性有機残
基を含有する重合性単量体に基づく重合単位である。該
紫外線吸収有機残基を含有する重合性単量体[以下、単
量体(b1)という]は、公知の化合物である。単量体
(b1)は、重合性不飽和基の1個と紫外線吸収基含有
基の1個とを含む化合物が好ましい。
【0014】重合性不飽和基としては、CH2 =CH
−、CH2 =C(CH3 )−、またはこれらの基に結合
する水素原子の1個以上がハロゲン原子や炭化水素基に
置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、
フッ素原子または塩素原子が好ましく、該炭化水素基と
してはアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基が特
に好ましい。紫外線吸収基としては、ベンゾフェノン骨
格を含む基、ベンゾトリアゾール骨格を含む基、サリチ
ル酸骨格、またはベンゼン骨格を含む基等が挙げられ、
ベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾトリアゾール骨格
を含む基が好ましい。
【0015】単量体(b1)は、特に下式(b1−1)
で表される化合物が好ましい。 CR12 =CR3 −Q1 −U1 ・・式(b1−1)
【0016】ただし、式(b1−1)におけるR1 、R
2 、およびR3 は、それぞれ同一であっても異なってい
てもよく、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、また
はハロゲン化炭化水素基を示す。式(b1−1)におけ
る「CR12 =CR3 −」部分は、CH2 =CH−、
または、CH2 =C(CH3 )−が好ましい。
【0017】Q1 は単結合または2価連結基を示す。2
価連結基としては、酸素原子(−O−)、−CO(CH
2k O−(kは1〜4の整数)、−COO−、−CO
O(CH2k O−(kは1〜4の整数)、−CONH
−、−CONR10−(R10は低級アルキル基)、−SO
2 −O−等が好ましく、特に−COO−が好ましい。
【0018】U1 は1価の紫外線吸収基含有基を示し、
ベンゾフェノン骨格、サリチル酸骨格、ベンゾトリアゾ
ール骨格、またはベンゼン骨格を含む基が好ましく、特
にベンゾフェノン骨格を含む1価の基またはベンゾトリ
アゾール骨格を含む1価の基が好ましい。
【0019】さらに、式(b1−1)としては、下式
(b1−1a)で表される場合が好ましい。 CH2 =CR4 −Q1 −U1 ・・・式(b1−1a)
【0020】ただし、式(b1−1a)におけるR4
は、水素原子またはメチル基を示し、Q1 、および、U
1 は、式(b1−1)における意味と同じ意味を示す。
1 は、ベンゾフェノン骨格を含む1価の基、または、
ベンゾトリアゾール骨格を含む1価の基が好ましい。
【0021】なお、以下において、式(b1−1a)に
おけるU1 がベンゾフェノン骨格を含む基である場合の
化合物を「重合性ベンゾフェノン系化合物」と記し、下
式(b1−BZ )で表される。また、U1 がベンゾトリ
アゾール骨格を含む基である場合の化合物を「重合性ベ
ンゾトリアゾール系化合物」と記し、下式(b1−T
r )で表される。
【0022】 CH2 =CR4 −Q1 −BZ ・・式(b1−BZ ) CH2 =CR4 −Q1 −Tr ・・式(b1−Tr
【0023】ただし、式(b1−BZ )および式(b1
−Tr )におけるR4 およびQ1 は上記(b1−1a)
における意味と同じ意味を示し、BZ はベンゾフェノン
骨格を含む1価の基、Tr はベンゾトリアゾール骨格を
含む1価の基を示す。
【0024】重合性ベンゾフェノン系化合物[式(b1
−BZ )]におけるBZ は、通常の場合、ベンゾフェノ
ン骨格の2つのベンゼン環の少なくとも一方に1個以上
の水酸基を有する(通常水酸基はベンゾフェノン骨格の
2位に存在する)場合が好ましい。該水酸基は、Q1
結合したベンゼン環に存在していてもよく、他のベンゼ
ン環に存在していてもよく、Q1 が結合したベンゼン環
に存在するのが好ましい。さらに、水酸基はベンゾフェ
ノン骨格の2位に存在することが好ましい。
【0025】またベンゾフェノン骨格の2つのベンゼン
環には他の置換基が1個以上存在していてもよく、該他
の置換基としてはアルキル基などの炭化水素基、アルコ
キシ基、ハロゲン原子などが好ましい。炭化水素基やア
ルコキシ基の炭素数は6以下が好ましい。
【0026】さらに重合性ベンゾフェノン系化合物にお
けるBZ は、下式(BZ −1)で表される基が好まし
い。ただし、式(BZ −1)におけるR11およびR
12は、それぞれ、水素原子、水酸基、炭化水素基、アル
コキシ基、またはハロゲン原子を示す。
【0027】
【化1】
【0028】重合性ベンゾフェノン系化合物[式(b1
−BZ )]は、Q1 が2価連結基である場合が好まし
く、2価連結基としては、酸素原子(−O−)、−CO
O−、−COO(CH2k O−(kは1〜4の整数)
が好ましい。さらに、重合性ベンゾフェノン系化合物
[式(b1−BZ )]における「CH2 =CR4 −Q1
−」部分は、アクリロイル基またはメタクリロイル基で
ある場合が好ましい。
【0029】以下において、アクリロイル基とメタクリ
ロイル基とを総称して(メタ)アクリロイル基と記載す
る。また、アクリレートとメタアクリレートとを総称し
て(メタ)アクリレートと記す。他の化合物についても
同様に記す。
【0030】重合性ベンゾフェノン系化合物の具体例と
しては以下の化合物がある。2−ヒドロキシ−4−(メ
タ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロ
イルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジ
ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(2−(メタ)
アクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン。
【0031】一方、式(b1−1a)が重合性ベンゾト
リアゾール系化合物である場合の式(b1−Tr )で表
される化合物において、Tr は、通常の場合、ベンゾト
リアゾール環の2位に1つのベンゼン環が結合している
骨格を有する。すなわち、2−フェニルベンゾトリアゾ
ールを骨格と、しかもこのフェニル基の2位に水酸基を
有する。Tr 部分の構造は、2−フェニルベンゾトリア
ゾールを骨格とし、しかもそのフェニル基の2位に水酸
基を有するものであることが好ましい。
【0032】ベンゾトリアゾール骨格の4〜7位および
フェニル基の3〜6位のCH2 =CR4 −Q1 −基の存
在しない位置には置換基が1個以上存在していてもよ
く、置換基としてはアルキル基などの炭化水素基、水酸
基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが好ましい。炭化
水素基やアルコキシ基の炭素数は6以下が好ましい。
【0033】式(b1−Tr )における「CH2 =CR
4 −Q1 −」部分は、ベンゾトリアゾール骨格の4〜7
位に存在していてもよいが、フェニル基の3〜6位に存
在するのが好ましい。
【0034】さらにベンゾトリアゾール骨格としては、
下式(Tr −1)で表される基が好ましい。ただし、R
13、R14は、それぞれ、水素原子、水酸基、炭化水素
基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を示す。さら
に、式(Tr −1)で表される基は、該基における2−
ヒドロシキフェニル基の5位にQ1 が連結するのが好ま
しい。
【0035】
【化2】
【0036】重合性ベンゾトリアゾール系化合物におけ
る「CH2 =CR4 −Q1 −」部分は(メタ)アクリロ
イルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル
基、((メタ)アクリロイルオキシ)アルコキシ基が好
ましく、後2者の(メタ)アクリロイルオキシ基部分以
外の炭素数は1〜4が好ましい。
【0037】重合性ベンゾトリアゾール系化合物の具体
例としては以下の化合物がある。2−{2−ヒドロキシ
−5−((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル}ベン
ゾトリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−3−メチル−
5−((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル}ベンゾ
トリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−3−t−ブチル
−5−((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル}ベン
ゾトリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−
(メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾ
トリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−5−(3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピル)フェニル}ベンゾト
リアゾール、2−{2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−
5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニ
ル}ベンゾトリアゾール。
【0038】2−{2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−
5−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)フェ
ニル}ベンゾトリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−3
−メチル−5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2−ヒドロ
キシ−3−メチル−5−(3−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−
{2−ヒドロキシ−5−(2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチル)フェニル}−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル)フェニル}−5−メチルベンゾト
リアゾール、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−(2−
(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニル)エチ
ル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2−ヒドロ
キシ−5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキ
シ)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2−ヒドロ
キシ−5−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキ
シ)フェニル}ベンゾトリアゾール。
【0039】ベンゾフェノン系重合性化合物およびベン
ゾトリアゾール系重合性化合物以外の式(b1−1a)
で表される化合物としては、(2−シアノ−2−エチル
−3,3−ジフェニル−ヘキシル)(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。
【0040】本発明における、上記単量体(b1)はそ
れぞれ1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
単量体(b1)の種類は必要に応じて適宜変更されう
る。
【0041】重合単位(b2)は、フッ素原子を含有す
る重合性単量体[以下、該重合性単量体を単量体(b
2)と記す]に基づく重合単位であり、かつ、重合単位
(b1)以外の重合単位である。重合単位(b2)は、
フッ素原子を含有するため、樹脂組成物とした場合に、
共重合体(B)を表面に移させる機能を有すると考えら
れる。単量体(b2)としては、フッ化ビニル等のフッ
素置換オレフィン、分子内に重合性の基およびフッ素原
子含有基を含有する化合物が好ましい。フッ素原子含有
基としてはポリフルオロアルキル基が好ましい。
【0042】以下において、ポリフルオロアルキル基を
f 基といい、分子内にRf 基と重合性の基とを含有す
る化合物をRf 基含有単量体(b2)という。また、ア
クリレートとメタアクリレートとを総称して(メタ)ア
クリレートと記す。他の化合物についても同様に記す。
【0043】単量体(b2)としては、Rf 基含有単量
体(b2)が好ましく、たとえばRf 基を有する(メ
タ)アクリレート、Rf 基を有するビニル化合物、Rf
基を有するアリル化合物等があり、特に好ましい単量体
は下式(b2−1)で表されるRf 基を有する(メタ)
アクリレートである。 CH2 =CR5 COO−Q2 −Rf ・・式(b2−1)
【0044】ただし、式(b2−1)において、R5
水素原子またはメチル基を示し、Q 2 は単結合または2
価連結基を示し、Rf はRf 基を示す。Q2 は2価連結
基が好ましく、特に、後述の具体例中に挙げるものが好
ましい。
【0045】また、Rf 基は、アルキル基の水素原子の
2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。Rf 基中
のフッ素原子の数は、(Rf 基中のフッ素原子の数)/
(Rf 基に対応する同一炭素数)×100(%)で表現
した場合に60%以上が好ましく、80%以上が特に好
ましい。また、Rf 基の炭素−炭素単結合間には、エー
テル性の酸素原子(−O−)が挿入されていてもよい。
たとえば、オキシポリフルオロエチレン、オキシポリフ
ルオロプロピレン等のオキシポリフルオロアルキレン部
分を含有するRf 基が挙げられる。
【0046】Rf 基の炭素数は1〜20が好ましく、4
〜16がより好ましく、6〜12が特に好ましい。Rf
基は、直鎖または分岐の構造であり、直鎖の構造が好ま
しい。分岐の構造である場合には、分岐部分がRf 基の
末端付近に存在し、かつ、炭素数1〜3程度の短鎖であ
る場合が好ましい。また、末端部分に塩素原子が存在し
ていてもよい。Rf 基の末端部分の構造としては、CF
3 −、CF2 H−、CF2 Cl−、(CF32 CF−
等の構造が挙げられる。
【0047】本発明におけるRf 基は、アルキル基の水
素原子の実質的にすべてがフッ素原子に置換されたパー
フルオロアルキル基(以下、RF 基と記す。)が好まし
い。RF 基の炭素数は1〜20が好ましく、4〜16が
特に好ましい。また、RF 基は直鎖または分岐の構造の
F 基であり、F(CF2n −[nは4〜16の整
数]で表される直鎖のRF 基が好ましく、nが7〜13
のものは特に好ましい。また、RF 基は、該基中の炭素
−炭素結合間にエーテル性の酸素原子(−O−)が挿入
されていてもよい。
【0048】Rf 基の具体例としては、以下の構造が挙
げられるがこれらに限定されない。なお、以下の例にお
いては、同一分子式を有する構造の異なる基である「構
造異性の基」を含むものとする。
【0049】C25 −、C37 −[F(CF23
−、および(CF32 CF−の両者を含む。]、C4
9 −[F(CF24 −、(CF32 CFCF2
−、(CF33 C−、CF3 CF2 CF(CF3 )−
を含む]、C511−[F(CF25 −、(CF3
2 CF(CF22 −、(CF33 CCF2 −、CF
3 CF2 CF(CF3 )CF2 −等の構造異性の基を含
む]、C613−[F(CF23 C(CF32 −等
の構造異性の基を含む]、C817−、C1021−、C
1225−、C1531−、HCt2t−(ここで、tは1
〜18の整数である。)、(CF32 CFCs2s
(ここで、sは1〜15の整数である。)等。
【0050】CF3 (CF24 OCF(CF3 )−、
F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2
CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 O]v CF(CF
3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]w CF2 CF2
−、F(CF2 CF2 CF2O)x CF2 CF2 −、F
(CF2 CF2 O)y CF2 CF2 −、C65 −、C
65 CF=CF−、CH2 =CHC612−(ただ
し、u、vは1〜10の整数、wは2〜6の整数、xは
1〜11の整数、yは1〜11の整数である。)等。
【0051】本発明におけるRf 基を含有する(メタ)
アクリレートの例としては、下式の化合物が挙げられ
る。ただし、下式におけるR5 は、水素原子またはメチ
ル基を示し、Rf はRf 基を示す。
【0052】CH2=C(R5)COOCH2CH2Rf CH2=C(R5)COOCH2CH2N(C3H7)CORf CH2=C(R5)COOCH(CH3)CH2Rf CH2=C(R5)COOCH2CH2N(CH3)SO2Rf CH2=C(R5)COOCH2CH2N(CH3)CORf CH2=C(R5)COOCH2CH2N(C2H5)SO2Rf CH2=C(R5)COOCH2CH2N(C2H5)CORf CH2=C(R5)COOCH2CH2N(C3H7)SO2Rf CH2=C(R5)COOCH(CH2Cl)CH2OCH2CH2N(CH3)SO2Rf
【0053】本発明における単量体(b2)は1種また
は2種以上を使用できる。単量体(b2)としてRf
を含有する(メタ)アクリレートを用い、これを2種以
上を用いる場合には、異なる構造の化合物を2種以上用
いてもよく、Rf 基の炭素数が異なる化合物の2種以上
を用いてもよい。
【0054】Rf 基含有単量体(b2)は、式(b2−
1)におけるRf が、炭素数4〜16のRF 基である化
合物が好ましい。式(b2−1)のRf の炭素数が少な
いと、樹脂中、特に塩化ビニル系樹脂中での表面移行性
が不充分となるおそれがある。一方、Rf の炭素数が多
すぎると式(b2−1)で示される化合物と、他の単量
体との相溶性が低くなり、共重合時の収率が低下するお
それがある。また、樹脂、特に塩化ビニル系樹脂に対す
る相溶性が低下し、これにより表面移行性が低下するお
それもある。
【0055】重合単位(b3)は、重合単位(b1)お
よび重合単位(b2)以外の重合単位であり、単独重合
体とした場合に塩化ビニル系樹脂との相溶性を有する重
合性単量体[以下、該単量体を単量体(b3)と記
す。]に基づく重合単位である。単量体(b3)は、樹
脂に対するアンカーとしての機能を有すると考えられ
る。
【0056】一般に、Sp 値(solubility parameter)
の差が小さいときに相溶性を有するといえる。単量体
(b3)としては、単独重合体とした場合のSp 値と塩
化ビニル系樹脂のSp 値との差が−2〜+2程度である
ものが好ましく、特に−1〜+1であるものが好まし
い。特に、後述の樹脂として、特定の塩化ビニル系樹脂
を採用する場合には、該塩化ビニル系樹脂とのSp 値の
差が、前記範囲内にあるのが好ましい。さらに、単量体
(b3)は、その単独重合体が塩化ビニルの単独重合体
と相溶性であるのが好ましく、単量体(b3)の単独重
合体のSp 値の絶対値は7.5〜11.5程度であるの
が好ましく、特に8.5〜10.5の範囲にあるのが好
ましい。
【0057】単量体(b3)としては、たとえば(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単
量体、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体
またはこれらの組合せが挙げられ、特に(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体が好ましい。
【0058】(メタ)アクリル酸エステル系単量体の例
としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ま
しい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキ
ル基部分の炭素数が1〜8であるものが好ましく、1〜
6であるものがより好ましく、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チル等が特に好ましい。
【0059】ビニルエステル系単量体の例としては、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げら
れる。シアン化ビニル系単量体の例としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。芳香族
ビニル系単量体の例としては、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、クロロスチレン等が挙げられる。
【0060】本発明の共重合体(B)は上記の重合単位
(b1)、(b2)、および(b3)以外の重合単位
[以下、他の重合単位と記す。]を含んでいてもよい。
他の重合単位としては、単量体(b1)〜(b3)以外
の単量体(以下、他の単量体という。)に基づく重合単
位が好ましい。
【0061】他の単量体としては、エチレン、酢酸ビニ
ル、スチレン、p−メチルスチレン、ビニルアルキルエ
ーテル、アルキル基部分の炭素数が9以上の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル等が挙げられる。他の重合単
位を含ませる場合には、共重合体(B)中に30重量%
以下とするのが好ましく、特に0重量%超〜10重量%
とするのが好ましい。
【0062】本発明の共重合体の構造は、上記の重合単
位(b1)〜(b3)を含むランダム共重合体である。
共重合体(B)中の重合単位(b1)の割合は5〜90
重量%が好ましい。重合単位(b1)の割合が90重量
%超では、重合単位(b2)および重合単位(b3)の
割合が相対的に少なくなるため、樹脂中での表面移行性
が低下するおそれがある。また重合単位(b1)の割合
が5重量%未満では、樹脂の紫外線吸収性能が不充分と
なるうえ、紫外線吸収剤の大量添加が必要となって樹脂
の物性を低下させるおそれがある。
【0063】共重合体(B)中の重合単位(b2)の割
合は、共重合体(B)中から、重合単位(b1)を除い
た部分の10〜60重量%[すなわち、共重合体(B)
中に1〜57重量%]が好ましく、特に30〜40重量
%[すなわち、共重合体(B)中に3〜38重量%]が
好ましい。
【0064】共重合体(B)中の重合単位(b2)の割
合が1重量%未満では、共重合体(B)中のフッ素含量
が少なくなり、フッ素原子に由来する表面移行性が発現
されず、共重合体(B)の樹脂表面近傍への濃縮が充分
でなくなるおそれがある。また、重合単位(b2)の割
合が57重量%超では、共重合体(B)の樹脂に対する
相溶性が上がりすぎ、表面移行性が低下するために、表
面近傍の共重合体(B)の濃度が低下するおそれがあ
る。
【0065】共重合体(B)中の重合単位(b3)の割
合は、共重合体(B)中から、重合単位(b1)を除い
た部分の40〜90重量%[すなわち、共重合体(B)
中に4〜86重量%]が好ましく、特に60〜70重量
%[すなわち、共重合体(B)中に24〜67重量%]
が好ましい。
【0066】共重合体(B)の合成法は特に制限され
ず、公知ないしは周知の共重合方法を採用できる。たと
えば、単量体(b1)〜(b3)、および必要に応じて
他の単量体を、アゾビスイソブチロニトリル(以下、A
IBNと記す)や過酸化ベンゾイル等のラジカル開始剤
を用いて、懸濁重合、乳化重合、または溶液重合する方
法が挙げられる。溶液重合に用いられる溶液としては、
トルエン、テトラヒドロフラン(以下、THFと記
す)、アセトン、1,1,2−トリクロロトリフルオロ
エタン等が挙げられる。
【0067】共重合体(B)の数平均分子量Mn は50
00〜30000が好ましい。Mnが5000未満で
は、樹脂に対するアンカー効果が不充分であるおそれが
あり、Mn が30000超では、分子の運動性が低く表
面への濃縮率が不充分となるおそれがある。
【0068】共重合体(B)からなる本発明の樹脂用紫
外線吸収剤は、種々の樹脂に含ませて樹脂組成物とする
ことにより、樹脂に優れた性能を付与できる。該樹脂と
しては、本発明の共重合体(B)と相溶性の樹脂であれ
ば特に限定されず種々の樹脂を使用できる。
【0069】このうち、樹脂としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエ
ステル樹脂、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6
6、ナイロン6等のポリアミド樹脂、ポリメチルメタク
リレート等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル
とスチレンとの共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリ
ルとスチレンとブタジエンとの共重合体(ABS樹
脂)、塩化ビニル系樹脂等が好ましく、特にポリエステ
ル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリウレタン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、
塩化ビニル系樹脂が好ましく、とりわけ塩化ビニル系樹
脂が好ましい。
【0070】塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの
単独重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩化
ビニリデン共重合体などであり、この重合体は1種であ
っても2種以上の混合物であってもよい。塩化ビニル系
樹脂の平均重合度は、好ましくは400〜3500、さ
らに好ましくは600〜2500の範囲のものが使用さ
れる。平均重合度が小さすぎると樹脂そのものの耐候性
が低下し、また、耐衝撃性、弾性率等の機械的特性や、
熱安定性が低下することがあるので好ましくない。平均
重合度が大きすぎると成形性が低下することがあるので
好ましくない。
【0071】本発明の紫外線吸収剤の樹脂に対する量
は、樹脂組成物中に0.5〜20重量%となる量が好ま
しい。0.5重量%未満では目的の表面特性が得られな
いおそれがあり、20重量%超では樹脂の物性を低下さ
せるおそれがある。
【0072】共重合体(B)のガラス転移温度Tg は8
0℃以下であるのが好ましい。共重合体(B)のSp
は6〜8であるのが好ましい。
【0073】本発明における樹脂として、特に好ましい
塩化ビニル系樹脂は、すなわち懸濁重合法、乳化重合
法、塊状重合法等の公知の製造法により得られるものが
好ましい。さらに、塩化ビニル系樹脂としては、可塑剤
が配合された軟質塩化ビニル系樹脂であってもよい。
【0074】軟質塩化ビニル系樹脂中に含まれる可塑剤
としては、一般に塩化ビニル系樹脂用の可塑剤として使
用されているものを使用できる。例えば、フタル酸エス
テル系の可塑剤として、ジブチルフタレート、ジエチル
フタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘ
キシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノ
ニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシ
ルフタレート、ブチルベンジルフタレートなど。脂肪族
二塩基酸系エステル系の可塑剤として、ジメチルアジペ
ート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、
ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジ
ペート、ジブチレングリコールアジペート、ジ−2−エ
チルヘキシルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブチ
ルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等。
【0075】エポキシ系の可塑剤として、エポキシ化大
豆油、オクチルエポキシステアレートなど。リン酸エス
テル系の可塑剤として、トリメチルホスフェート、トリ
エチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−
2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチル
ホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシ
レニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘ
キシルジフェニルホスフェート等。
【0076】ポリエステル系の可塑剤として、2−メチ
ル−1,8−オクタンジオール、1,2−プロパンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、2−エチルヘキサノー
ル、n−オクタノールなどのヒドロキシ化合物とアジピ
ン酸とのエステルなど。トリメリット酸系の可塑剤とし
てトリ−2−エチルヘキシルトリメリレート、トリイソ
デシルトリメリレートなど。その他、2−エチルヘキシ
ルピロメリレートなどのピロメリット酸系の可塑剤、ビ
フェニルテトラカルボン酸エステル系の可塑剤などを例
示できる。これらの可塑剤は1種または2種以上を使用
できる。
【0077】軟質塩化ビニル系樹脂中の可塑剤の量は、
塩化ビニル系樹脂100重量部に対して30〜100重
量部とするのが好ましい。また、塩化ビニル系樹脂に可
塑性を付与しうる重合体を添加して軟質塩化ビニル系樹
脂としてもよい。可塑性を付与しうる重合体としては、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸
エステル共重合体、およびこれらに一酸化炭素を導入し
たELVALOY(商品名:三井デュポンポリケミカル
株式会社製)等が挙げられる。塑性を付与しうる重合体
を用いる場合は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て50〜120重量部使用するのが好ましい。
【0078】本発明の樹脂中には、他の配合剤が含まれ
ていてもよい。他の配合剤としては、塩化ビニル系樹脂
用安定剤等の樹脂用安定剤、耐衝撃改良剤、滑剤、顔
料、帯電防止剤、老化防止剤、充填剤、発泡剤、難燃
剤、防カビ剤等が挙げられ、これらの配合剤から必要に
応じて選択使用できる。他の配合剤の代表例としては、
以下のものが挙げられる。
【0079】ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレ
ート等の有機錫系熱安定剤、ステアリン酸、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪族カルボン酸
または脂肪族カルボン酸塩、無機安定剤、エポキシ化大
豆油等のエポキシ化合物、有機リン酸塩等の安定剤、M
BS(メチルメタクリレートとブタジエンとスチレンと
の共重合体)、アクリルシリコーン等の耐衝撃改良剤、
高級脂肪酸等の滑剤、フェノール系抗酸化剤、カーボン
ブラック、シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤、リン酸
チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど
の無機系化合物からなる難燃剤や、2,4,5,6−テ
トラクロロイソフタロニトリル、10,10’−オキシ
ビスフェノキシアルシンなどの防カビ剤、フタロシニア
ンブルー、フタロシニアングリーン、アリザリンレー
キ、亜鉛華、カーボンブラックなどの顔料等。
【0080】本発明の樹脂組成物は、目的に応じた成形
加工により、種々に加工できる。脂組成物の成形方法と
しては、熱可塑性樹脂一般に適用される射出成形法、押
し出し成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、コー
ティング法、Tダイ押し出し法等の方法が採用できる。
樹脂組成物が軟質塩化ビニル系樹脂組成物である場合に
は、シート状に成形して用いるのが好ましい。該シート
は、外壁材、屋根材、農業用ハウス等に用いることがで
きる。さらに、本発明においては、樹脂組成物を成形し
た後に、樹脂のTg 付近の温度で数時間加熱することに
より、成形体の表面に共重合体(B)を効率的に濃縮さ
せることもできる。
【0081】
【実施例】実施例で用いた重合性単量体、重合溶媒、再
沈溶媒、およびラジカル開始剤は、全て未精製のものを
用いた。また、各種測定は、以下の条件で行った。
【0082】(1)数平均分子量、分子量分布 数平均分子量Mn 、分子量分布Mw /Mn は、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフ[東ソー社製 HLC80
20]を用い、下記の条件で測定した。 カラム:東ソー社製 TSKゲルカラム、 検出器:UVおよびRI、 溶離液:THF、 流速:1.0ml/分、 温度:40℃、 基準物質:スチレン。
【0083】(2) 1H−NMR 重溶媒にCDCl3 、基準物質にTMSを用い、室温で
測定した。 (3)ガラス転移温度Tg (℃) DSC3200[マックサイエンス社製]を用いて測定
した。
【0084】[塩化ビニル系樹脂の合成例]部分ケン化
ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、商品名:ゴ
ーセノールKH−20)3g、AIBNの0.174
g、およびイオン交換水1170gを加圧型反応器に加
え、窒素ガスで置換後、塩化ビニル単量体300gを仕
込んだ。65℃で6時間反応させた後、未反応の単量体
を回収した。つぎに、脱水、乾燥し、粉末状の塩化ビニ
ル系樹脂285gを得た。得られた塩化ビニル系樹脂の
重合度は800であった。以下、この重合体を重合体A
という。重合体AのSp値は9.5である。
【0085】[合成例1]共重合体B1 の合成 内部を窒素置換した1リットルのガラス製フラスコに、
F 基の平均炭素数が9であるパーフルオロアルキルエ
チルアクリレート[CH2 =CHCOOCH2CH2F
、以下、FAと記す]100g、メタクリル酸メチル
(以下、MMAと記す。MMAの単独重合体のSp 値は
9.5。)200g、2−(2−ヒドロキシ−4−メタ
クリロキシ−2’−ヒドロキシプロピル)ベンゾフェノ
ン(大塚化学社製、以下、UVAと記す)300g、A
IBN5.0g、トルエン2500gを仕込み、60℃
で8時間反応させた。フラスコを冷却後、内容物をメタ
ノール中に注ぎ込み共重合体を得た。
【0086】得られた共重合体のMn は12000、M
w /Mn は1.86であった。 1H−NMRより共重合
体の組成比を求めた結果、FA/MMA/UVA=98
/205/297(重量比)であった。以下、この共重
合体を重合体B1 という。
【0087】[合成例2〜6、比較合成例1〜2]共重
合体B2 〜B6 、共重合体C1 〜C2の合成 表1、表2に示す仕込み組成(量、単位:g)の重合性
単量体、重合開始剤、およびトルエン2500gを仕込
み、合成例1と同様の条件で共重合体B2 〜B6 、C1
〜C2 を合成した。得られた共重合体のMn 、組成比
(単位:重量比)、Tg (単位:℃)を表1、表2に示
す。
【0088】ただし、表1、表2においてアクリル酸ブ
チルをBA、2−(2−ヒドロキシ−5’−メタクリロ
キシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールをU
VABT、と略記した。なお、BAの単独重合体のSp
値は8.6である。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】[試験片1H〜24Hの作成例]上記で得
た塩化ビニル系重合体A、および、共重合体B1 〜B
6 、ジブチル錫マレート(堺化学社製、商品名:TN1
000、以下、TNと記す) 、ステアリン酸(以下、S
tAと記す)、酸化チタン、カーボンブラック(以下、
CBと記す)を、それぞれ、表3または表4に示す割合
(単位:重量部)で配合し、2軸ロ−ルで180℃で混
練した後、180℃、200kg/cm2 でプレス成形
し、厚さ3mmの塩化ビニル系樹脂系組成物の試験片1
H〜24Hを得た。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】[比較試験片31H〜42Hの作成例]上
記で得た塩化ビニル系重合体A、共重合体C1 〜C2
紫外線吸収剤(チバガイギー社製、商品名:チヌビン
P、以下、TPと記す)、TN、StA、酸化チタン、
CBを表5に示す割合(単位:重量部)で配合し、試験
片1Hの作成例と同様の方法で、比較試験片31H〜4
2Hを得た。
【0095】
【表5】
【0096】[試験片1S〜24Sの作成例]上記で得
た塩化ビニル系重合体Aに、エポキシ化大豆を2.0重
量部、Ba/Zn系安定剤を2.5重量部、ジブチル錫
ジラウレート系安定剤を0.2重量部添加し、さらにジ
オクチルフタレート(以下、DOPと略す)、および、
共重合体B1 〜B6 、酸化チタン、CBを、それぞれ、
表6または表7に示す割合(単位:重量部)で配合し、
0.8mm厚みの塩化ビニル系樹脂層を、180℃の温
度でカレンダー法により加工してシート状の試験片1S
〜24Sを得た。
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】[比較試験片31S〜42Sの作成例]上
記で得た塩化ビニル系重合体A、共重合体C1 〜C2
TP、酸化チタン、CBを表8に示す割合(単位:重量
部)で配合し、試験片1Sの作成例と同様の方法で、シ
ート状の比較試験片31S〜42Sを得た。
【0100】
【表8】
【0101】得られた試験片1H〜24H、1S〜24
S、比較試験片31H〜42Hおよび31S〜42Sの
物性および特性はつぎの方法で評価した。結果を表9〜
14に示す。なお、表中の「−」は、未評価であること
を示す。
【0102】(1)溶融粘度(単位:104 ポイズ):
キャピログラフにより温度180℃、ノズル径1mm、
L/D=10、シェアーレート121.6Sec-1の条
件で求めた。 (2)ヘイズ:JIS K6301に準拠して求めた。
【0103】(3)撥水性(単位:度(°)):水に対
する20℃での接触角を自動接触角測定器で測定した。 (4)濃縮率(単位:倍):ESCAによりフッ素/塩
素の原子比を求め決定した。均一に分布する場合の理論
値に対しての倍率を示す。
【0104】(5)耐候性:JIS−A1415の方法
で行った。試験片をWS形の加速暴露試験サンシャイン
ウェザオーメーターにより、250時間(WOM25
0)、1000時間(WOM1000)、2000時間
(WOM2000)加速暴露した。着色およびチョーキ
ングを以下の基準で評価した。 着◎:イエローインデックスにおけるΔYI値が2未
満、 着○:ΔYI値が2以上4未満、 着△:ΔYI値が4以上6未満、 着×:ΔYI値が6以上、 チ◎:表面に変化が認められなかった、 チ○:表面面積の半分未満が白化した、 チ△:表面面積の半分以上が白化した、 チ×:表面が全面にわたって白化した。
【0105】(6)熱変形温度(単位:℃):JIS−
K7207に準拠し、曲げ応力18.5kg/cm2
測定した。
【0106】(7)屋外曝露汚染試験:JIS−A14
10に規定される方法で360日間実施した。汚染性を
以下の基準で評価した。 ◎:表面に変化が認められなかった、 ○:表面面積の半分未満が変色した、 △:表面面積の半分以上が変色した、 ×:表面が全面にわたって変色した。
【0107】
【表9】
【0108】
【表10】
【0109】
【表11】
【0110】
【表12】
【0111】
【表13】
【0112】
【表14】
【0113】
【発明の効果】本発明のランダム共重合体からなる樹脂
用紫外線吸収剤は、製造方法が簡単であり、かつ、紫外
線吸収作用に加えて、耐候性および撥水性にも優れるこ
とから、実用上、経済性、物性の点において非常に優れ
た紫外線吸収剤である。また、樹脂組成物の表面に効率
的に濃縮される性質を有する。
【0114】該紫外線吸収剤を含む樹脂組成物もまた、
耐候性、撥水性、および防汚性に優れた成形体を与えう
る組成物であり、溶融粘度等の点から、射出成形、押し
出し成形等にも採用できる優れた組成物である。さら
に、該組成物は、成形性および加工性においても優れ
る。また、該樹脂組成物を成形した成形体は、外観およ
び加工性においても優れた成形体である。
【0115】さらに、本発明の樹脂用紫外線吸収剤は、
樹脂として塩化ビニル系樹脂を採用した場合に特に優れ
た上記性能を発揮し、とりわけ、樹脂との相溶性にも優
れるため、樹脂組成物表面に濃縮された紫外線吸収剤を
安定に存在させうる。また、塩化ビニル系樹脂が、可塑
剤を含む軟質塩化ビニル系樹脂である場合には、該樹脂
を用いたシート状成形体は、透明性を損なうことなく、
優れた防汚性と紫外線吸収能を発揮する。
フロントページの続き (72)発明者 大河原 淳夫 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記重合単位(b1)、下記重合単位(b
    2)、および下記重合単位(b3)を含むランダム共重
    合体(B)からなる樹脂用紫外線吸収剤。 重合単位(b1):紫外線吸収性有機残基を含有する重
    合性単量体に基づく重合単位。 重合単位(b2):フッ素原子を含有する重合性単量体
    に基づく重合単位であり、かつ、重合単位(b1)以外
    の重合単位。 重合単位(b3):重合単位(b1)および重合単位
    (b2)以外の重合単位であり、かつ、単独重合体とし
    た場合に塩化ビニル系樹脂との相溶性を有する重合性単
    量体に基づく重合単位。
  2. 【請求項2】重合単位(b1)が、下式(b1−1)で
    表される重合性単量体に基づく重合単位である、請求項
    1記載の樹脂用紫外線吸収剤。 CR12 =CR3 −Q1 −U1 ・・式(b1−1) ただし、式(b1−1)におけるR1 、R2 およびR3
    は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素
    原子、炭化水素基、ハロゲン原子、またはハロゲン化炭
    化水素基を示し、Q1 は単結合または2価連結基を示
    し、U1 は1価の紫外線吸収基含有基を示す。
  3. 【請求項3】重合単位(b2)が、下式(b2−1)で
    表される重合性単量体に基づく重合単位である、請求項
    1または2記載の樹脂用紫外線吸収剤。 CH2 =CR5 COO−Q2 −Rf ・・式(b2−1) ただし、式(b2−1)において、R5 は水素原子また
    はメチル基を示し、Q2 は単結合または2価連結基を示
    し、Rf はポリフルオロアルキル基を示す。
  4. 【請求項4】重合単位(b3)が、アルキル基部分の炭
    素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルまたは
    アルキル基部分の炭素数が1〜8であるメタクリル酸ア
    ルキルエステルに基づく重合単位である、請求項1、2
    または3記載の樹脂用紫外線吸収剤。
  5. 【請求項5】ランダム共重合体(B)中に、重合単位
    (b1)を5〜90重量%、重合単位(b2)を1〜5
    7重量%、重合単位(b3)を4〜86重量%含む、請
    求項1、2、3または4記載の樹脂用紫外線吸収剤。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4または5記載の樹脂
    用紫外線吸収剤と樹脂とを含む樹脂組成物。
  7. 【請求項7】樹脂が塩化ビニル系樹脂である請求項6記
    載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】塩化ビニル系樹脂が可塑剤を含む軟質塩化
    ビニル系樹脂である請求項7記載の樹脂組成物。
  9. 【請求項9】樹脂組成物中に、樹脂用紫外線吸収剤を
    0.5〜20重量%含む請求項6、7または8記載の樹
    脂組成物。
  10. 【請求項10】請求項6、7、8、または9記載の樹脂
    組成物を成形してなる成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020097665A (ja) * 2018-12-17 2020-06-25 日本ゼオン株式会社 塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体および積層体

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