JPH10182261A - 無機系多孔質体の製造方法 - Google Patents
無機系多孔質体の製造方法Info
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- JPH10182261A JPH10182261A JP8347772A JP34777296A JPH10182261A JP H10182261 A JPH10182261 A JP H10182261A JP 8347772 A JP8347772 A JP 8347772A JP 34777296 A JP34777296 A JP 34777296A JP H10182261 A JPH10182261 A JP H10182261A
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Abstract
な無機系多孔質を製造する方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニル
エーテルなどの非イオン性界面活性剤を酸性水溶液に溶
かし、それに加水分解性の官能基を有する金属化合物を
添加して加水分解反応を行い、生成物が固化した後、次
いで乾燥し加熱することを特徴とする。
Description
製造方法に関する。この発明の製造方法は、クロマトグ
ラフィー用充填剤、薄層クロマトグラフィー用固定相、
血液分離用多孔質、吸湿性多孔質、消臭等低分子吸着用
多孔質あるいは酵素担体用多孔質の製造に好適に利用さ
れる。
しては、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体等の有機
ポリマーよりなるものと、シリカゲル等の無機系充填剤
を筒内に充填したものが知られている。
度のために耐圧性が低い、溶媒により膨潤・収縮してし
まう、加熱殺菌不可能である等の難点がある。従って、
こうした難点がない無機系のもの、特にシリカゲルが、
汎用されている。
相反応であるゾル−ゲル法によって作製される。ゾル−
ゲル法とは、重合可能な低分子化合物を生成し、最終的
に凝集体や重合体を得る方法一般のことを指す。例え
ば、金属アルコキシドの加水分解のほか、金属塩化物の
加水分解、カルボキシル基、β−ジケトンのような加水
分解性の官能基を持つ金属塩あるいは配位化合物の加水
分解、金属アミン類の加水分解が挙げられる。
は、孔の表面に担持されて機能を発現する物質の大きさ
に依存した、最適の中心細孔径とできるだけ狭い細孔径
分布とが必要である。従って、ゾル−ゲル法によって得
られる多孔体についても、ゲル合成時の反応条件を制御
することによって、細孔サイズを制御する試みがなされ
てきた。
で得られる従来の多孔体は、典型的な平均細孔径が数ナ
ノメートル以下で、しかも分布が広いものに限られてい
た。すなわち、細孔サイズとその分布を自在に制御する
ことができなかった。これは、細孔が3次元的に束縛さ
れた網目の中に存在しているので、ゲル調製後に非破壊
的な手段で外部から細孔構造を変えることができないか
らである。
イ素アルコキシドからシリカゲルを製造する場合には塩
基性触媒のもとでゲル化を行うことにより、平均細孔径
を大きくできることが知られているが、これらの材料は
せいぜい中心細孔径20ナノメートル以下の細孔のみを
持ち、しかもおもに細孔径の小さい側へ広がった分布を
示す。
粉砕物を結着させた状態で、フィルターや担体材料とし
て利用可能であるが、粉砕物の充填や結着によって生じ
る多孔体粒子間の隙間は一般に不規則である上、細孔の
分布状態そのものを変える有効な手段とはなり得ない。
は、水溶性高分子を酸性水溶液に溶かし、それに加水分
解性の官能基を有する金属化合物を添加して加水分解反
応を行い、生成物が固化した後、次いで乾燥加熱あるい
は溶媒置換する方法を提案している(特公平8−299
52号、特開平7−41374号)。しかし、この方法
は、水溶性高分子を用いるので、反応溶液の調製に時間
がかかる、生成物の特性が分子量分布に依存する等の課
題があり、しかもゲルを作る段階と溶媒置換の段階が別
々であり、製造プロセスが複雑になっていた。
溶性高分子の代わりに非イオン性界面活性剤を用い、ま
ず約100ナノメートル以上の巨大空孔となる溶媒リッ
チ相を持つゲルをゾル−ゲル法によって作製し、その湿
潤状態のバルク状ゲルを粉砕せずに加熱することによ
り、ゲル調製時にあらかじめ溶解させておいた低分子化
合物を熱分解させ、これによってゲルと共存する溶媒に
シリカが溶解しやすくなることにより、巨大空孔の内壁
が最大50ナノメートル程度の狭い細孔分布を持った、
二重気孔の多孔質体に変化することが分かった。
れたものである。その目的は、従来の多孔体において避
け得なかった広い細孔径分布ではなく、所望する中心細
孔径と狭い分布を持つ細孔構造を再現性良く与える、無
機系多孔質体の製造方法を確立することにある。
界面活性剤を酸性水溶液に溶かし、それに加水分解性の
官能基を有する金属化合物を添加して加水分解反応を行
い、生成物が固化した後、次いで乾燥し加熱することを
特徴とする。
界面活性剤、熱分解性化合物を酸性水溶液に溶かし、そ
れに加水分解性の官能基を有する金属化合物を添加して
加水分解反応を行い、生成物が固化した後、次いで湿潤
状態のゲルを加熱することにより、ゲル調製時にあらか
じめ溶解させておいた低分子化合物を熱分解させ、次い
で乾燥し加熱することを特徴とする。
することができる無機多孔質の作製法としては、金属ア
ルコキシドを出発原料とし、非イオン性界面活性剤を原
料に添加して、巨大空孔となる溶媒リッチ相を持つ構造
を生じせしめる、ゾル−ゲル法を挙げることができる。
ここで、金属アルコキシドは、ケイ素アルコキシドが好
ましく、ケイ素アルコキシドとしては、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シランを用いることができるが、これらに限定されな
い。
移と相分離過程とを同時に誘起する働きをもつ物質であ
り、これによって溶媒リッチ相と骨格相とに分離すると
同時にゲル化する。非イオン性界面活性剤は、ポリオキ
シエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部
を含むもの、例えばポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、親水部とし
てポリオキシプロピレンを含むもの、例えばポリオキシ
プロピレンアルキルエーテルなどが好ましいが、これら
に限定されない。添加する非イオン性界面活性剤の量
は、界面活性剤の種類、金属アルコキシドの種類、量に
も左右されるが、金属アルコキシド10gに対し、1.
0〜10.0g、好ましくは1.5〜6.0gである。
酸性水溶液に溶かし、それに加水分解性の官能基を有す
る金属化合物を添加して加水分解反応を行うと、溶媒リ
ッチ相と骨格相とに分離したゲルが生成する。生成物
(ゲル)が固化した後、適当な熟成時間を経た後、湿潤
状態のゲルを加熱することによって、反応溶液にあらか
じめ溶解させておいた熱分解性化合物が熱分解し、骨格
相の内壁面に接触している溶媒のpHが上昇する。そし
て、溶媒がその内壁面を浸食し、内壁面の凹凸状態を変
えることによって細孔径を徐々に拡大する。
性あるいは中性領域においては変化の度合は非常に小さ
いが、熱分解が盛んになり水溶液の塩基性が増すにつれ
て、細孔を構成する部分が溶解し、より平坦な部分に再
析出することによって、平均細孔径が大きくなる反応が
顕著に起こるようになる。
孔のみを持つゲルでは、平衡条件としては溶解し得る部
分でも、溶出物質が外部の溶液にまで拡散できないため
に、元の細孔構造が相当な割合で残る。これに対して巨
大空孔となる溶媒リッチ相を持つゲルにおいては、2次
元的にしか束縛されていない細孔が多く、外部の水溶液
との物質のやり取りが十分頻繁に起こるため、大きい細
孔の発達に並行して小さい細孔は消滅し、全体の細孔径
分布は顕著に広がることがない。
件下に置き、熱分解生成物の蒸気圧が飽和して溶媒のp
Hが速やかに定常値をとるようにすることが有効であ
る。
しては、尿素あるいはホルムアミド、N−メチルホルム
アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミ
ド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセト
アミド等の有機アミド類を利用できるが、後述する実施
例にも示すように、加熱後の溶媒のpH値が重要な条件
であるので、熱分解後に溶媒を塩基性にする化合物であ
れば特に制限はない。また、熱分解によってフッ化水素
酸のようにシリカを溶解する性質のある化合物を生じる
ものも、同様に利用できる。共存させる熱分解性化合物
は、化合物の種類にもよるが、例えば尿素の場合には、
反応溶液10gに対し、0.1〜1.5g、好ましくは
0.2〜0.6gである。また、加熱温度は、例えば尿
素の場合には60〜200℃で、加熱後の溶媒のpH値
は、9.0〜11.0が好ましい。
に対応する細孔構造を得るために要する、加熱処理時間
は、巨大空孔の大きさや試料の体積によって変化するの
で、それぞれの処理条件において実質的に細孔構造が変
化しなくなる、最短処理時間を決定することが必要であ
る。例えば、加熱処理時間は、共存させる熱分解性化合
物の種類として尿素を用いた場合には、加熱温度60〜
200℃で、60℃に対して30日間〜200℃に対し
て100時間が好ましい。
とによって収縮を伴って乾燥し、乾燥ゲルとなる。この
乾燥ゲル中には、出発溶液中の共存物質が残存する可能
性があるので、適当な温度で熱処理を行い、有機物等を
熱分解することによって、目的の無機系多孔質体を得る
ことができる。本発明の方法により得られた無機系多孔
質体は、孔径200nm以上で3次元網目状に連続した
貫通孔と、この貫通孔の内壁面に形成された孔径5〜1
00nmの細孔を有する。この無機系多孔質体の用途と
しては、例えば、クロマトグラフカラム、吸着剤、フィ
ルターなどが考えられるが、これらに限定されない。
ニルフェニルエーテル(オキシエチレン部の平均重合度
70、日本油化( 株) 製、以下NS270と略記)1.
00gを1mol/L 硝酸水溶液10.0gに溶解し、得ら
れた均一溶液にテトラメトキシシラン5.15gをかく
はん下で加えて加水分解反応を行った。数分かくはんし
たのち、得られた透明溶液を密閉容器に移し、40℃の
恒温漕中に保持したところ約170分後に溶液の白濁に
引き続いて固化した。
いで60℃において溶媒を蒸発させて除去し、そののち
100℃/hの昇温速度で600℃まで加熱した。これ
によって、非晶質シリカよりなる多孔質体を得た。
(=2000nm)程度の揃った貫通孔と太さ約1μmのゲル
骨格が3次元網目状に絡み合った構造で存在しているこ
とが電子顕微鏡および水銀圧入測定によって確かめられ
た。その空孔分布を図1に示す。そして、その貫通孔の
内壁に直径3nm以下の細孔が多数存在し、400m2/g
以上の比表面積を有していることが、窒素吸着測定によ
って確かめられた。
70gから1.20gまで変化させて同様にゲルを作製
したところ、NS270の量が1.00〜1.10gの
範囲においては中心孔径3μm(=3000nm)程度の揃っ
た貫通孔と太さ約1μmのゲル骨格が3次元網目状に絡
み合った構造が形成されたが、この範囲からNS270
の量が増えても減っても中心孔径は減少し、0.70g
および1.20gにおいては約0.5μmとなった。
び60℃においてゲルを作製したところ、30℃におい
ては巨視的に不均一なゲルが、50℃および60℃では
直径0.1μm以上の貫通孔をもたないゲルが得られ
た。実施例1と同様に連続貫通孔をもつゲルの得られる
組成は、それぞれの温度において以下の通りである。 反応温度30℃の場合、テトラメトキシシラン5.15
gに対してNS270:0.70〜1.80g、1mol/
L 硝酸水溶液:8.4〜12.0g 反応温度50℃の場合、テトラメトキシシラン5.15
gに対してNS270:0.80〜1.40g、1mol/
L 硝酸水溶液:10.24〜12.4g 反応温度60℃の場合、テトラメトキシシラン5.15
gに対してNS270:1.00〜1.35g、1mol/
L 硝酸水溶液:12.0〜15.2g。
キシエチレン部の重合度がより短いものを用いた場合に
は、連続貫通孔をもつゲルの得られる出発組成は、40
℃において以下の通りである。 NS240(オキシエチレン部の平均重合度40)を用
いた場合、テトラメトキシシラン5.15gに対してN
S240:1.00〜1.60g、1mol/L 硝酸水溶
液:10.0〜12.4g NS220(オキシエチレン部の平均重合度20)を用
いた場合、テトラメトキシシラン5.15gに対してN
S220:1.00〜1.80g、1mol/L 硝酸水溶
液:9.28〜10.80g NS210(オキシエチレン部の平均重合度10)を用
いた場合、テトラメトキシシラン5.15gに対してN
S210:1.20〜3.00g、1mol/L 硝酸水溶
液:10.80〜12.4g NS208.5(オキシエチレン部の平均重合度8.
5)を用いた場合、テトラメトキシシラン5.15gに
対してNS208.5:1.20〜3.00g、1mol/
L 硝酸水溶液:10.8〜11.6g。
ルキル基鎖長がより短いP210(ポリオキシエチレン
オクチルフェニルエーテル、オキシエチレン部の平均重
合度10、日本油化( 株) 製)を用いた場合には、連続
貫通孔をもつゲルの得られる出発組成は、40℃におい
て若干溶媒相の少ない領域に変化したが、ほぼ同様の構
造を持つゲルが得られた。
て、その他の条件は同様にしてゲルを調整したところ、
ゲル化時間は約80分に短縮された。固化した試料をさ
らに数時間熟成させ、続いて80℃において密閉条件下
で種々の時間保持した後、60℃において溶媒を蒸発さ
せて除去し、そののち100℃/hの昇温速度で600
℃まで加熱した。
(=1000nm)程度の揃った貫通孔と太さ約1μmのゲル
骨格が3次元網目状に絡み合った構造で存在しているこ
とが電子顕微鏡および水銀圧入測定によって確かめられ
た。その空孔分布を図2に示す。そして、その貫通孔の
内壁に中心細孔径5〜12nmのメゾ細孔が狭い分布で
多数存在し、それぞれ400m2/g以上の比表面積を有し
ていることが、窒素吸着測定によって確かめられた。メ
ゾ細孔の累積細孔容積は、ゲル作製の出発組成にほぼ無
関係に約1cm3/g であった。図3に種々の時間80℃に
おいて保持したゲルのメゾ細孔領域の微分細孔径分布を
示す。
あるいは200℃に変化させた以外は上記と同一条件で
多孔質体を製造したところ、貫通孔の空孔分布は変わら
ないが、窒素吸着法によって計られる中心細孔径の最大
値はそれぞれ、約25nmあるいは50nmに変化し
た。このことから、ゲルの加熱温度が高いほど大きい中
心細孔径が得られることが分かった。
NS210としたところ、メゾ細孔の中心細孔径につい
ては同様であるが、累積細孔容積が出発組成中の非イオ
ン性界面活性剤の量にしたがって変化した。すなわち、
テトラメトキシシラン5.15g、1mol/L 硝酸水溶
液:10.0gに対してNS210を1.40〜1.8
0gの範囲で変化させることにより、累積細孔容積は
1.2〜1.6cm3/g になった。図4にいくつかの異な
る濃度のNS210を含む組成から得られたゲルのメゾ
細孔の累積細孔径分布を示す。これによって、非イオン
性界面活性剤の種類と量を適切に選ぶことにより、メゾ
細孔の細孔容積を制御できることがわかる。
孔分布に制御された多孔質体を製造することができる。
しかも巨大空孔と細孔との二重気孔構造の多孔質体であ
ることから、筒内に粒子を充填してなる充填型カラムの
充填剤としてのみならず、それ自体でカラムとなる一体
型カラムとしても適用可能である。
より、メゾ細孔の容積を約2.0cm3 ・g-1までの範
囲で再現性良く制御することができる。
ある。白抜きが累積空孔容積を、黒抜きが微分空孔容積
を表す。
せて作製しそののち80℃において加熱したゲルの、乾
燥・熱処理後の連続貫通孔の孔径分布である。
せて作製しそののち80℃において加熱したゲルの、乾
燥・熱処理後のメゾ細孔領域の累積細孔径分布である。
0を1.40〜1.80g用いて作製したゲルの、乾燥
・熱処理後のメゾ細孔領域の累積細孔径分布である。
Claims (4)
- 【請求項1】 非イオン性界面活性剤を酸性水溶液に溶
かし、それに加水分解性の官能基を有する金属化合物を
添加して加水分解反応を行い、生成物が固化した後、次
いで乾燥し加熱することを特徴とする無機系多孔質体の
製造方法。 - 【請求項2】 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエ
チレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部を含
むことを特徴とする請求項1記載の無機系多孔質体の製
造方法。 - 【請求項3】 非イオン性界面活性剤がポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルである請求項1又は2記載の無機
系多孔質体の製造方法。 - 【請求項4】 非イオン性界面活性剤、熱分解性化合物
を酸性水溶液に溶かし、それに加水分解性の官能基を有
する金属化合物を添加して加水分解反応を行い、生成物
が固化した後、あらかじめ反応溶液に溶解させておいた
熱分解性化合物を熱分解させてゲルの微細構造を改変さ
せ、次いで乾燥し加熱することを特徴とする無機系多孔
質体の製造方法。
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