JPH1018082A - 金属材料の酸化チタン被覆方法 - Google Patents

金属材料の酸化チタン被覆方法

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JPH1018082A
JPH1018082A JP8171217A JP17121796A JPH1018082A JP H1018082 A JPH1018082 A JP H1018082A JP 8171217 A JP8171217 A JP 8171217A JP 17121796 A JP17121796 A JP 17121796A JP H1018082 A JPH1018082 A JP H1018082A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アノード電解法により、複雑な形状の金属材
料の表面に、均一で十分な厚さを有する光触媒性酸化チ
タン皮膜を形成する。 【解決手段】 チタン酸及びペルオキソチタン酸の少な
くとも1種のコロイド陰イオン0.3〜200g/リッ
トル、又は前記コロイド陰イオン0.5〜100g/リ
ットルと、アナターゼ及びルチル型酸化チタンの少なく
とも1種の粒子0.3〜200g/リットルを含み、2
mS/cm未満の電気電導度を有するコロイド溶液中で、金
属材料を陽極体とするアノード電解を行い、形成された
皮膜を乾燥又は焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料の酸化チ
タン被覆方法に関するものである。さらに詳しく述べる
ならば、本発明は、ステンレススチール、アルミニウ
ム、銅、および鉄、などの金属材料の表面上に、アノー
ド電解処理により光触媒機能を有する酸化チタン皮膜を
形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンは、固体材料の表面に高い光
触媒効果を付与させることが可能である。このため、金
属、ガラス、セラミックなどの素材の表面に光触媒効果
を有する酸化チタン皮膜を形成させることにより、付着
汚れの分解、大気および水質の浄化、防錆、並びに細菌
および藻類の繁殖防止、などの各種用途に有用な金属材
料が得られることが知られている。
【0003】このため、より良好な酸化チタン皮膜を素
材表面に形成することを目的とする各種の酸化チタン被
覆方法が、これまでに提案されてきた。
【0004】各種材料表面を酸化チタンにより被覆する
方法のうち、チタンのアルコキシドを加水分解し、その
生成物を塗布する方法として知られているゾル−ゲル法
が最も一般的である。またこれに類する方法としては、
例えば特開平4−83537号公報に示されているよう
に、チタンアルコキシドにアミド、グリコールを添加
し、その生成物を塗料として利用する方法や、特開昭7
−100378号公報に示されているように、チタンア
ルコキシドにアルコールアミン類を添加し、その生成物
を塗布する方法が知られている。
【0005】また、この他には特開平6−293519
号公報に記載されているように、水熱処理により結晶化
させた酸化チタン微粒子を分散剤を使用して分散させ、
この分散液を塗布する方法や、結晶性酸化チタン粒子
に、水ガラス、コロイダルシリカ、弗素系樹脂などのバ
インダーを混和し、この混和液を塗布する方法が知られ
ている。
【0006】しかし、上記のゾル−ゲル法を用いた場
合、塗料の粘度や塗布条件によって形成される皮膜の厚
さが変化し易いこと、および皮膜の性能を高めるために
皮膜の厚さを厚くすると、乾燥の際に、皮膜の収縮が大
きいため皮膜が基体表面から剥離したり、或は密着性が
低下すること、などのために、1μm以上の厚さを有す
る皮膜を形成することが困難であり、このため得られる
皮膜の光触媒性能にも限界がある。
【0007】また、結晶成長させた酸化チタン粒子をバ
インダーと混合し、この混合液を塗布する方法では、得
られる皮膜中の酸化チタン含有率が低いため、光触媒能
が充分に発揮されないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属材料表
面を光触媒性を有する酸化チタンセラミックにより金属
材料表面を被覆する場合に、従来のゾル−ゲル法などで
は困難とされていた1μm以上の厚さを有し、かつ金属
材料表面に対する密着性の良い酸化チタン被覆層を形成
することにより、皮膜の光触媒性をさらに改善し得る金
属材料の酸化チタン被覆方法を提供しようとするもので
ある。また同時に、本発明はアノード電解法を用いるこ
とにより、皮膜の厚さの制御が容易で、複雑な形状を有
する物品に対しても、均一な厚さの皮膜を形成すること
を可能とする、金属材料の酸化チタン被覆方法を提供し
ようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の技術
的課題を解決するための手段について鋭意検討した結
果、皮膜成分である酸化チタンを、チタン酸およびペル
オキソチタン酸から選ばれた少なくとも1種のコロイド
陰イオンを含み、かつ低い電気電導度を有するコロイド
溶液中に、ステンレス鋼等の金属材料を浸漬し、この金
属材料を陽極体として前記コロイド溶液に通電すること
によって、陽極体金属材料表面に、前記チタン化合物を
含み、緻密で密着性の良い皮膜を形成し、さらにこの皮
膜を乾燥し、250℃以上で焼成することにより、1μ
m以上の厚さを有し、かつ、良好な密着性と光触媒性お
よび透明性を有する二酸化チタン皮膜が得られることを
新たに見出した。
【0010】また、さらに本発明者は、チタン酸および
ペルオキソチタン酸から選ばれた少なくとも1種のコロ
イド陰イオンを含み、さらにアナターゼ型およびルチル
型の酸化チタンから選ばれる少なくとも1種の粒子を含
み、且つ2mS/cm未満の電気電導度を有するコロイド溶
液中に、金属材料を浸漬し、この金属材料を陽極体とし
て前記コロイド溶液に通電すると、得られた酸化チタン
含有皮膜がより優れた光触媒性を示し、この場合、20
0℃未満の温度における乾燥でも十分な効果が得られる
ことを見出した。
【0011】即ち、本発明に係る金属材料の酸化チタン
被覆方法(1)は、チタン酸およびペルオキソチタン酸
から選ばれた少なくとも1種のコロイド陰イオンを、
0.3〜200g/リットルの合計濃度で含み、且つ2
mS/cm未満の電気電導度を有するコロイド溶液中に、金
属材料を浸漬し、この金属材料を陽極体として前記コロ
イド溶液に通電して、前記金属材料の表面上に、前記チ
タン化合物を含有する皮膜を形成し、この皮膜を乾燥ま
たは焼成することを特徴とするものである。
【0012】また、本発明の金属材料の酸化チタン被覆
方法(2)は、チタン酸およびペルオキソチタン酸から
選ばれた少なくとも1種のコロイド陰イオンを0.5〜
100g/リットルの合計濃度で含み、さらに、アナタ
ーゼ型およびルチル型酸化チタンから選ばれた少なくと
も1種の粒子を0.3〜200g/リットルの合計濃度
で含み、且つ2mS/cm未満の電気電導度を有するコロイ
ド溶液中に、金属材料を浸漬し、この金属材料を陽極体
として前記コロイド溶液に通電して、前記金属材料の表
面上に、前記チタン化合物および酸化チタンを含有する
皮膜を形成し、この皮膜を乾燥または焼成することを特
徴とするものである。本発明でいうチタン酸とは、オル
トチタン酸およびメタチタン酸も包含するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明方法に使用することができ
る金属材料は、例えばステンレススチール、銅、チタ
ン、鉄、アルミニウム、亜鉛めっき鋼、およびすずめっ
き鋼を含む材料などである。これらの中でもステンレス
スチール、銅、および亜鉛めっき鋼材料などのように耐
食性の高い金属材料を用いることがより好ましい。
【0014】本発明の酸化チタン被覆方法は、電解液と
して特定の組成を有するコロイド溶液を使用し、この液
中に浸漬された被処理金属材料を陽極体として、このコ
ロイド溶液に通電してアノード電解が行われる。陰極体
としてはステンレススチール、カーボン、白金めっきチ
タン等を使用することができるが、これらの中でも、性
能、および経済性を考慮すればステンレススチール、ア
ルミニウム、またはチタンを用いることがより好まし
い。
【0015】本発明方法(1)において、電解液中に
は、チタン酸、およびペルオキソチタン酸から選ばれた
少なくとも1種のコロイド陰イオンが含まれることが必
要である。これらの化合物のコロイド粒子は負の電荷を
有していることが必要であるが、その電荷の量には特に
限定がない。チタン酸およびペルオキソチタン酸のコロ
イド粒子が負の電荷を有していることはゼータ電位(界
面動電位)計などによって確認することができる。
【0016】これらチタン化合物のコロイド陰イオンの
1次粒子径は、10nm未満であることが、得られる皮膜
の密着性の点から好ましく、10〜100nmであること
がより好ましい。本発明方法(1),(2)に用いられ
るコロイド溶液中に、コロイド陰イオンの1次粒子が凝
集して形成された2次粒子が多量に含まれることは好ま
しくないが、2次粒子の含有量が少量である限り、その
粒径が100nmより大きな数値となっていても、得られ
る皮膜の密着性に及ぼす影響は小さい。
【0017】コロイド陰イオンを形成するチタン酸(水
和酸化チタン)は、例えば、塩化チタン、硫酸チタンな
どの酸性チタン塩水溶液を好ましくは60〜80℃で加
熱処理し、水酸化アルカリなどで中和して生じた沈澱を
濾過、洗浄し、水または希酸中に再分散したり、透析や
イオン交換によって脱イオン処理することにより得られ
る。
【0018】一方コロイド陰イオンを形成するペルオキ
ソチタン酸も前記と同様に塩化チタン、硫酸チタンなど
の酸性チタン塩水溶液を原料とし、水酸化アルカリで中
和して濾過し、得られたチタン酸を過酸化水素水に溶解
する方法などによって得ることができる。
【0019】チタン酸、およびペルオキソチタン酸の中
では、ペルオキソチタン酸がより安定なコロイド陰イオ
ンを形成するため、これを用いてより緻密で密着性の良
い酸化チタン皮膜を得る事ができる。
【0020】本発明方法(1)において、電着液中にお
けるコロイド陰イオンの合計濃度は、0.3〜200g
/リットルであることが必要であり、好ましい濃度の範
囲は3〜60g/リットルである。また、この濃度が
0.3g/リットル未満では皮膜の形成が困難になり、
またそれが200g/リットルを超えると、得られるコ
ロイド溶液の粘性が増加して持ち出し損失が多くなり、
不経済なため好ましくない。
【0021】また、本発明方法(1)および(2)にお
いて、コロイド溶液(電解液)の電気電導度は2mS/cm
未満であることが必要であり、好ましい電気電導度は
0.6mS/cm未満であり、最も好ましい電気電導度の範
囲は0.003〜0.3mS/cmである。電気電導度が2
mS/cmを超えると、陽極金属材料表面からの金属イオン
の溶出量が多くなり、得られる酸化チタン皮膜の密着性
が低下したり皮膜の光触媒性を低下させるため好ましく
ない。
【0022】本発明方法(1)および(2)において、
コロイド溶液(電解液)中に、チタン化合物コロイド成
分以外にCl- などの夾雑イオンを多く含むことは得ら
れる皮膜の性質を低下させることになるため好ましくな
い。
【0023】本発明方法(1)および(2)において、
コロイド溶液(電解液)のpH値は、液中のイオン濃度が
低いため、通常は4〜10の弱酸〜弱アルカリ性の範囲
内にあるが、特にこの範囲に限定されるものではない。
電気電導度が0.1mS/cm未満の場合には、コロイド溶
液のpH値はより中性に近い値になる。
【0024】本発明方法(1)および(2)において、
電解電圧は、3〜250Vであることが好ましく、8〜
80Vがより好ましい。電解電圧が3V未満では成膜速
度が遅く、皮膜の密着性も低下することがあるため好ま
しくない。
【0025】本発明方法(1)および(2)において、
好適な通電時間は電圧により変動するが数秒〜180秒
であることが好ましく、3〜60秒がより好ましい。コ
ロイド溶液の温度は25〜45℃であることが好まし
い。
【0026】本発明方法(1)および(2)において、
通電が終了した後、金属材料上に形成された皮膜を、水
洗したのち乾燥、焼成することが好ましいが、コロイド
溶液(電解液)の電気電導度が低い場合、(例えば0.
6mS/cm以下)、水洗を省略して直ちに乾燥・焼成して
もよい。乾燥を120℃未満で行ったのち、250〜5
00℃で焼成することがより好ましい。
【0027】次に、本発明方法(2)においては、コロ
イド溶液(電解液)がチタン酸およびペルオキソチタン
酸から選ばれた少なくとも1種のコロイド陰イオンを含
み、さらに酸化チタン粒子を含むことが必要である。こ
の酸化チタン粒子は、アナターゼまたはルチル型の結晶
性粒子であることが必要で、このうちアナターゼ型が好
ましく、次いでルチル型が好ましい。酸化チタン粒子の
粒子径は0.01〜0.5μmであることが好ましい。
酸化チタン粒子の粒子径が0.01μm未満では、得ら
れる皮膜を低温で乾燥した場合、その光触媒性が不十分
となることがあるため好ましくなく、またそれが0.5
μmを超えると粒子がコロイド溶液(電解液)中で沈降
しやすくなることがあるため好ましくない。
【0028】アナターゼまたはルチル型酸化チタン粒子
は、前述と同様に、塩化チタン、硫酸チタンなどの酸性
チタン塩水溶液を原料とし、これを60〜90℃程度に
数十分程度保持して酸化チタン結晶粒子を成長させ、こ
れをミクロフィルター等で濾別して水洗し、水中に再分
散させることによって得られる。
【0029】また、酸化チタン粒子は負電荷を有するこ
とが、その分散安定性を高くするために好ましく、この
目的のために、酸化チタン粒子含有コロイド溶液中に、
ノニオン、アニオン、または両性界面活性剤や、縮合り
ん酸塩などの分散剤を少量添加することは許容される。
【0030】本発明方法(2)においては、コロイド溶
液中のチタン酸コロイド陰イオン及び/又はペルオキソ
チタン酸コロイド陰イオンの合計濃度が0.5〜100
g/リットルであり、かつアナターゼ及び/又はルチル
型酸化チタン粒子の合計濃度が0.3〜200g/リッ
トルであることが必要である。チタン酸コロイド陰イオ
ン及び/又はペルオキソチタン酸コロイド陰イオンの合
計濃度が0.5g/リットル未満では得られる皮膜の密
着性が低下するため好ましくなく、またそれが100g
/リットル以上では得られるコロイド溶液の粘性が増加
し、持ち出し損失量が多くなるため好ましくない。ま
た、酸化チタン粒子の合計濃度が0.3g/リットル未
満では、その添加効果が不十分であり、またそれが20
0g/リットルを超えると持ち出し損失量が大きくなり
不経済なため好ましくない。
【0031】本発明方法(2)において、コロイド溶液
(電解液)の電気電導度は本発明方法(1)と同様に2
mS/cm未満であることが必要であり、その好ましい範囲
も本発明方法(1)のそれと同様である。
【0032】本発明方法(2)における電解条件、コロ
イド溶液温度も本発明方法(1)と同様であるが、乾燥
後の焼成は必ずしも必要でなく、200℃未満の温度に
おける乾燥により実用的に十分な密着性および光触媒性
を有する皮膜を得ることが可能である。
【0033】本発明方法(1)および(2)において、
乾燥、または焼成後の皮膜は主として二酸化チタンから
なり、特にアナターゼ型二酸化チタンを主成分とする
が、電解、焼成条件によっては、アナターゼ型酸化チタ
ンの他、ルチル型酸化チタン、無定型酸化チタンも含ま
れることがある。
【0034】
【作用】本発明方法(1)および(2)は、金属表面に
酸化チタン皮膜層を形成するため、電解液として、チタ
ン酸およびペルオキソチタン酸から選ばれた少なくとも
1種のコロイド陰イオンを含むコロイド溶液を使用して
いる。前記の方法等により作製されたこれらのコロイド
は、粒子が負電荷を帯びる性質を持ち、この負電荷によ
ってコロイド陰イオンとなった粒子がクーロン力によっ
て相互に反発し、コロイド粒子が凝集沈降することなく
電解液中に分散して安定な状態を保っている。
【0035】金属材料をこのコロイド溶液中に浸漬し、
この金属材料を陽極として分極させ、コロイド溶液に通
電すると金属表面近傍の負荷電コロイド粒子が金属表面
に電荷を奪われて析出がはじまる。また、電解液中のコ
ロイド陰イオンも電気泳動により陽極表面に到達し、電
荷を奪われて析出する。また、この際金属表面から溶出
する微量の金属イオンも、コロイド陰イオンの電荷を中
和してゲル化析出を促進する作用を示す。金属表面に析
出した粒子は、当初ゆるやかな網目状結合組織を形成
し、この段階ではまだ完全には負電荷を失っていないた
め、電場の効果で電気浸透が起き、しだいに内部の水が
皮膜外部に追い出され、粒子間の結合がより強固にな
り、それとともに皮膜の組織も緻密で高密度なものとな
る。
【0036】このように金属材料表面に生成した皮膜
は、1μm以上の厚さを有しているにもかかわらず、そ
の含水率が低いため、乾燥、焼成の際の体積収縮が少な
く、金属材料表面との密着性に優れ、皮膜組織欠陥が少
なく、光触媒効果も優れている。このような良質の酸化
チタン皮膜は、ゾル−ゲル法をはじめとする従来方法で
は未だ得る事ができなかったものである。
【0037】酸化チタン、チタン酸、およびペルオキソ
チタン酸の中ではペルオキソチタン酸がより安定なコロ
イド陰イオンを形成するため、より緻密で密着性の良い
皮膜を得ることができる。析出したペルオキソチタン酸
は、加熱乾燥、または200〜600℃で焼成すること
により2酸化チタンとなる。
【0038】本発明方法(2)においては、チタン酸コ
ロイド陰イオンおよびペルオキソチタン酸コロイド陰イ
オンのうちの少なくとも1種と、これよりも粒子径が大
で、光触媒活性の高いアナターゼまたはルチル酸酸化チ
タン粒子を混合分散したコロイド溶液(電解液)を使用
している。このため、電解液中の酸化チタン粒子にチタ
ン酸やペルオキソチタン酸のコロイド陰イオンが吸着し
てこれに負電荷を付与し、分散を安定化させる。
【0039】また、本発明方法(2)において、前記コ
ロイド溶液を電解液として使用し、被処理金属材料を陽
極としてアノード電解することにより、コロイド陰イオ
ンおよびコロイド陰イオンの吸着した酸化チタン粒子
は、ともに被処理金属表面に泳動して共析し、複合皮膜
を形成する。こうして形成された皮膜は、優れた密着性
と良好な光触媒性を兼ね備えており、高温の焼成を施さ
なくとも優れた酸化チタン光触媒皮膜として実用可能で
ある。
【0040】また、本発明方法(1)および(2)にお
いて、コロイド溶液(電解液)の電気電導度も重要なフ
ァクターであり、電気電導度が高過ぎる場合、電解時に
過剰の電流が流れるため、陽極を構成する金属材料表面
から金属イオンが多量に溶出して皮膜中に入り込み、皮
膜の特性を劣化させたり、陽極表面からの酸素ガスの発
生により、皮膜にピンホールが生じたりする。このため
電気電導度は2mS/cm未満でなければならない。また、
コロイド溶液の電気電導度が低い方が電解電圧を高くで
きるため、それによってより密度の高い酸化チタン皮膜
を形成することができる。
【0041】また、本発明方法(1)および(2)によ
れば、用いられた電解電圧、および電解時間に応じて析
出量が決まるため、均一な厚さの皮膜を正確に得ること
も可能となる。
【0042】
【実施例】本発明の金属材料の酸化チタン被覆方法を、
下記実施例により具体的に説明する。
【0043】実施例1〜8および比較例1〜4 金属材料板の作製 (前処理)100mm×50mmの大きさの、ステンレスス
チール(SUS304)板、鋼板(SPCC)、銅板、
チタン板、アルミニウム板(5052)、又は亜鉛めっ
き鋼板を使用し、その電解処理前に、アルカリ性水系脱
脂剤(FC−W1120:日本パーカライジング(株)
製)の20g/リットル濃度の水溶液で60℃×3分間
脱脂を施し、水洗した。
【0044】(電解液)実施例および比較例の各々に使
用された電解液の組成および電解条件を表1に示す。実
施例および比較例に使用されたチタン酸コロイド陰イオ
ン、ペルオキソチタン酸コロイド陰イオンは下記方法に
より調製して電解液に添加した。また、酸化チタン粒子
は、日本アエロジル社製、二酸化チタンP−25(アナ
ターゼ:70%、ルチル型30%の混合物:平均粒子径
0.02μm)を使用した。
【0045】コロイド陰イオンの調製 チタン酸コロイド陰イオン:チタン酸(水和酸化チタ
ン)コロイド陰イオンは、硫酸チタン水溶液(30%)
を水で希釈し、70℃の温度で10分間加熱処理し、1
0%水酸化ナトリウムで中和して、生じた沈澱を濾紙で
濾過し、洗浄したものを水に再分散して20%溶液とし
て調製された。この液を水で希釈し、サブミクロン粒子
分析装置((株)日科機製)でコロイドの平均粒子径を
測定したところ、その1次粒子径は0.01μmであっ
た。
【0046】ペルオキソチタン酸コロイド陰イオン:ペ
ルオキソチタン酸コロイド陰イオンは、硫酸チタン水溶
液(30%)を水で希釈し、10%水酸化ナトリウムで
中和して生じた沈澱を濾過、洗浄し、得られたチタン酸
を過酸化水素水に溶解して20%溶液として調製され
た。この液を水で希釈し、サブミクロン粒子分析装置
((株)日科機製)でコロイドの平均粒子径を測定した
ところ、その1次粒子径は0.01μm未満であった。
【0047】(電解処理)前処理した金属材料板を30
℃に保持した電解液中に浸漬し、これを陽極体とし、ス
テンレススチール板を陰極体として、極間距離10cmで
コロイド溶液に通電して電解処理を行った。下記の条件
で電解処理し、脱イオン水によりすゝぎ洗いしたのち1
20℃で5分間乾燥した。実施例1〜5、比較例2〜4
においては、乾燥後にさらに400℃で5分間焼成を行
った。
【0048】(電解条件) 実施例1、実施例3、および比較例1:電流密度 2.
0A/dm2 、 実施例2、実施例5、および比較例2:電流密度 1.
2A/dm2 、 実施例4、実施例7、および比較例3:電流密度 3.
5A/dm2 、 実施例6、実施例8、および比較例4:電流密度 7A
/dm2
【0049】皮膜の評価 作製された酸化チタン被覆金属材料板の皮膜の厚さを測
定し、また皮膜の密着性および光触媒性について試験
し、下記のように評価した。 皮膜密着性:JIS K 5400碁盤目試験法により
カッターナイフで皮膜に1mm角の碁盤目のカットをいれ
たのち、その上にセロハン粘着テープ((株)ニチバン
製)を貼付け、引き剥がして剥離面積を測定し、その測
定値から下記の基準により判定した。 評価点数 剥離面積 ↑ 良 10 剥離なし 8 <5% 6 5〜15% 4 15〜35% 2 35〜65% ↓ 劣 0 >65%
【0050】光触媒性:金属材料板上の皮膜の表面に、
試験油としてトリステアリン酸を塗布し、UVライト
(15W)で紫外線を72時間照射し、塗布油の分解量
(g/m2 )を紫外線照射前後の重量差から算出した。
皮膜の厚さおよび性能試験結果を表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】表1および表2から明らかなように、本発
明の方法による実施例1〜8においては、十分な厚さを
有する酸化チタン皮膜が得られ、その密着性および光触
媒性はともに優れていた。これに対し、本発明範囲外の
処理条件による比較例1〜4において、比較例1,2で
は十分な厚さの皮膜が得られないため、その光触媒性は
不十分であり、また比較3,4では、皮膜の密着性が不
十分であった。
【0054】
【発明の効果】本発明の方法により、密着性および光触
媒性が良好で、十分な厚さを有する酸化チタン皮膜を金
属材料上に形成することができる。光触媒性に優れてい
る酸化チタン皮膜は、汚れの付着防止、抗菌、防錆、並
びに大気および水質浄化等の用途に利用し得るものであ
ることから、本発明方法の産業上の利用価値はきわめて
高いものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸およびペルオキソチタン酸から
    選ばれた少なくとも1種のコロイド陰イオンを、0.3
    〜200g/リットルの合計濃度で含み、且つ2mS/cm
    未満の電気電導度を有するコロイド溶液に、金属材料を
    浸漬し、この金属材料を陽極体として前記コロイド溶液
    に通電して前記金属材料の表面上に、前記チタン化合物
    含有皮膜を形成し、この皮膜を乾燥または焼成すること
    を特徴とする金属材料の酸化チタン被覆方法。
  2. 【請求項2】 チタン酸およびペルオキソチタン酸から
    選ばれた少なくとも1種のコロイド陰イオンを0.5〜
    100g/リットルの合計濃度で含み、さらに、アナタ
    ーゼおよびルチル型酸化チタンから選ばれた少なくとも
    1種の粒子を0.3〜200g/リットルの合計濃度で
    含み、且つ2mS/cm未満の電気電導度を有するコロイド
    溶液中に、金属材料を浸漬し、この金属材料を陽極体と
    して前記コロイド溶液に通電して、前記金属材料の表面
    上に、前記チタン化合物及び酸化チタンを含有する皮膜
    を形成し、この皮膜を乾燥又は焼成することを特徴とす
    る金属材料の酸化チタン被覆方法。
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