JPH10180115A - 光触媒粒子体およびその製造法 - Google Patents

光触媒粒子体およびその製造法

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JPH10180115A
JPH10180115A JP8343373A JP34337396A JPH10180115A JP H10180115 A JPH10180115 A JP H10180115A JP 8343373 A JP8343373 A JP 8343373A JP 34337396 A JP34337396 A JP 34337396A JP H10180115 A JPH10180115 A JP H10180115A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光触媒粒子の表面に光劣化の発生を高度に防止
しうる被膜を形成すると共に、被膜による光量の低下が
少なく、光触媒粒子自体の機能を充分に発揮させること
ができる光触媒粒子体およびその製造法を提供すること
を課題とする。 【解決手段】本発明は、光触媒粒子の表面にSiO2被膜を
形成してなる光触媒粒子体に関するものであり、具体的
には、アルコキシシランを加水分解して光触媒粒子の表
面にSiO2を析出させることにより、SiO2被膜が形成され
たガラス質コートの光触媒粒子体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルコキシシランを加
水分解して光触媒粒子表面にSiO2を析出させてSiO2被膜
を形成してなる光触媒粒子体およびその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から水処理、大気処理、土壌処理な
どの処理技術において、安全で、安価で、操作が簡単な
処理方法が要望されている。例えば、殺菌、悪臭物、流
出した原油、農薬の分解などの水処理や、NOX 、悪臭、
病院内の空気中の細菌の分解などの大気処理や、畜産場
・砂場の殺菌、悪臭分解などの土壌処理において、多く
の提案がなされているが、光触媒活性を利用した光触媒
粒子を用いる方法が一つの有利な処理方法と言われてい
る。この方法に用いられる光触媒粒子としては、酸化チ
タン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄などが知ら
れており、また該光触媒粒子の内部およびその表面にV
、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Pt、Auから
なる群から選ばれた少なくとも一種の金属および/また
は金属酸化物を含有してなる粒子も知られている。しか
しながら、光触媒粒子を壁紙、カーテン、塗料などの有
機物材料に結着させたり、混入すると、有機物材料が光
分解して劣化や崩壊するという問題がある。この様な光
分解への対策として、例えば、特開平7−171408
号公報には水ガラス、セメントなどの無機系結着剤、フ
ッ素系ポリマー、シリコン系ポリマーなどの有機系結着
剤などの難分解性結着剤に、光触媒粒子を混合した塗料
組成物が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、無機系結着剤
の場合には光触媒粒子の均一な混合が困難であったり、
光透過性の低下を避けられず、また有機系結着剤の場合
には長期的には結着剤ポリマーの劣化、および結着剤ポ
リマーと光触媒粒子との屈折率が異なるため、光透過率
が低くなり、光量の不足による機能低下が避けられない
ことが判った。従って、光触媒粒子を難分解性結着剤に
分散して、該粒子を直接結着したのでは光学的特性およ
び光劣化に問題を残すことになる。本発明は、光触媒粒
子の表面に光劣化の発生を高度に防止しうる被膜を形成
すると共に、被膜による光量の低下が極めて少なく、光
触媒粒子自体の機能を充分に発揮させることのできる光
触媒粒子体およびその製造法を提供することを課題とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、光触媒粒子の
表面にSiO2被膜を形成してなる光触媒粒子体に関するも
のであり、具体的には、アルコキシシランを加水分解し
て光触媒粒子の表面にSiO2を析出させることにより、Si
O2被膜が形成されたガラス質コートの光触媒粒子体を提
供する。本発明に使用される光触媒粒子としては、紫外
線を含有する光を照射すると光触媒機能を発揮する粒子
であり、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸
化鉄など、および該光触媒粒子の内部やその表面に金属
および/または金属酸化物を含有する公知の光触媒粒子
を使用することができる。特に、酸化チタンは良好な光
触媒機能を有し、化学的に安定、かつ無害であるため好
ましい。また、本発明の光触媒粒子体は、アルコキシシ
ラン、水およびアルコール系溶媒を含有する液中に、光
触媒粒子を分散させた状態で加水分解反応を行ない、次
いで前記液から光触媒粒子を分離し、加熱することによ
り、光触媒粒子の表面にSiO2被膜を形成することによっ
て製造することができる。
【0005】使用するアルコキシシランとしては、下記
の一般式 R1-Si(-OR2)3 、または Si(-OR3)4 (ただし、R1、R2、R3は、同種または異種の炭素数が1
〜4のアルキル基)で表されるアルコキシシランが好ま
しく用いられる。前記の一般式で表されるアルコキシシ
ランの具体例としては、例えばテトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトラ-n- プロポキシシラン、
テトライソプロポキシシラン、テトラ-n- ブトキシシラ
ン、テトラ-sec- ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキ
シシランの如きテトラアルコキシシラン、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピ
ルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラ
ン、イソプロピルトリメトキシシランの如きモノアルキ
ルトリアルコキシシランなどが挙げられる。アルコール
系溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-
ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert- ブチ
ルアルコールなどが例示される。
【0006】光触媒粒子の表面にSiO2被膜を形成するに
は、光触媒粒子を上記アルコキシシラン、水およひアル
コール系溶媒を含有する液中に投入し、均一に分散する
ように十分に攪拌して、加水分解反応を行なわせた後、
前記液から処理済みの光触媒粒子を分離し、分離した粒
子を加熱することによりSiO2被膜が形成された光触媒粒
子体が得られる。加熱処理は、200℃以下の温度で処
理する乾燥処理でも被膜強度の向上が見られるが、20
0℃程度で1〜3時間加熱するのが被膜強度の向上に効
果的である。前記説明のアルコキシシラン、水およびア
ルコール系溶媒を含有する液には、加水分解・重縮合反
応を促進するため、塩基または酸を加えるとよい。塩基
としては、アンモニア化合物、有機のアミノ化合物など
が用いられ、酸としては硝酸、塩酸、硫酸などの無機
酸、酢酸、蟻酸、蓚酸などの有機酸を用いることができ
る。上記のSiO2被膜の形成において、液中のアルコキシ
シランと水の割合(モル比)は1:25〜100するの
がよく、また光触媒粒子の量は、該光触媒粒子とSiO2
膜の合計量に対して容量基準で5〜95%、就中、50
〜95%とするのが、被膜強度、光触媒粒子自体の機能
低下が生じさせないので好ましい。
【0007】このようにして調整した光触媒粒子体は、
そのまま又は溶媒に分散させた溶媒分散液とした後、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、ホリエステル樹脂などの高分子からなる塗料組成物
に分散混合させて、塗膜の形態で光触媒活性を発現させ
ることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニルなどの高分子中に分散させてフィル
ムやシートの形態で使用することもできる。
【0008】
【実施の態様】
実施例1 テトラエトキシシラン30ml、エチルアルコール25
0mlおよび水200mlからなる溶液の調整を行な
い、その溶液中に平均粒子径5μmの酸化チタン粒子3
0gを混合して攪拌機で攪拌しながら水酸化アンモニウ
ム7mlを添加した。次いで、加水分解反応を3時間行
なった後、水洗、濾過し、200℃で2時間加熱乾燥し
た。その結果、表面にSiO2被膜が形成された酸化チタン
粒子が得られた。次に、前記SiO2被膜の酸化チタン粒子
9.8gと酢酸ビニル−アクリルコポリマー(大日本イ
ンキ化学工業社製、ボンコート6290)0.7gと水
24.8mlを3時間攪拌して十分に混合して、前記Si
O2被膜の酸化チタン粒子が均一に分散した塗料組成物を
得た。この塗料組成物を20cm2 のガラス板に塗布し
た後、120℃で10分間乾燥させて厚さ1mmの光触
媒体を得た。この光触媒体の試料片に、紫外光強度が7
mW/cm2 となるように紫外線光を5時間照射した。
この紫外線照射前後の光触媒体中のポリマーの重量変化
を測定した結果、重量変化は認められず、ポリマーは分
解していなかった。
【0009】実施例2 テトラメトキシシラン30ml、エチルアルコール12
5mlおよび水100mlからなる溶液の調整を行な
い、その溶液中に平均粒子径5μmの酸化チタン粒子3
0gを混合して攪拌機で攪拌しながら硝酸13mlを添
加した。次いで、加水分解反応を3時間行なった後、水
洗、濾過し、200℃で2時間加熱乾燥した。その結
果、表面にSiO2被膜が形成された酸化チタン粒子が得ら
れた。SiO2被膜の厚さを調整するため、上記SiO2被膜が
形成された酸化チタン粒子について、上記と同様のSiO2
被膜形成処理を2回繰り返して光触媒粒子体を得た。次
に、前記SiO2被膜の酸化チタン粒子9.8gと酢酸ビニ
ル−アクリルコポリマー(大日本インキ化学工業社製、
ボンコート6290)0.7gと水24.8mlを3時
間攪拌して十分に混合して、前記SiO2被膜の酸化チタン
粒子が均一に分散した塗料組成物を得た。この塗料組成
物を20cm2 のガラス板に塗布した後、120℃で1
0分間乾燥させて厚さ1mmの光触媒体を得た。この光
触媒体の試料片に、紫外光強度が7mW/cm2 となる
ように紫外線光を5時間照射した。この紫外線照射前後
の光触媒体中のポリマーの重量変化を測定した結果、重
量変化は認められず、ポリマーは分解していなかった。
【0010】比較例1 実施例1で使用した未被覆の酸化チタン粒子9.8gと
酢酸ビニル−アクリルコポリマー(大日本インキ化学工
業社製、ボンコート6290)0.7gと水24.8m
lを3時間攪拌して十分に混合して、酸化チタン粒子が
均一に分散した塗料組成物を得た。この塗料組成物を2
0cm2 のガラス板に塗布した後、120℃で10分間
乾燥させて厚さ1mmの光触媒体を得た。この光触媒体
の試料片に、紫外光強度が7mW/cm2 となるように
紫外線光を5時間照射した。この紫外線照射前後の光触
媒体中のポリマーの重量変化を測定した結果、85%の
重量変化が認めら、酸化チタン粒子の光触媒機能によっ
てポリマーの大部分が分解されていた。
【0011】
【発明の効果】本発明は、光触媒粒子の表面にガラス質
のSiO2被膜を形成してなる光触媒粒子体およびその製造
法を提供するものであり、光触媒粒子体を担持する紙、
高分子ポリマー等の光劣化の発生を高度に防止しうると
共に、被膜による光量の低下も極めて少ないため、光触
媒粒子自体の機能を充分に発揮させることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒粒子の表面にSiO2被膜を形成して
    なる光触媒粒子体。
  2. 【請求項2】光触媒粒子が、酸化チタンの粒子であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光触媒粒子体。
  3. 【請求項3】 光触媒粒子が、該触媒粒子の内部および
    / またはその表面にV、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、P
    d、Ag、Pt、Auからなる群から選ばれた少なくとも一種
    の金属および/または金属酸化物を有することを特徴と
    する請求項1記載の光触媒粒子体。
  4. 【請求項4】 アルコキシシラン、水およびアルコール
    系溶媒を含有する液中に、光触媒粒子を分散させた状態
    で加水分解反応を行ない、次いで前記液から光触媒粒子
    を分離し、加熱することにより、光触媒粒子の表面にSi
    O2被膜を形成することを特徴とする光触媒粒子体の製造
    法。
  5. 【請求項5】液中のアルコキシシランと水の割合(モル
    比)が1:25〜100であることを特徴とする請求項
    4記載の光触媒粒子体の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3の光触媒粒子体を高分子中
    に分散させてなる塗料組成物。
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