JPH1017975A

JPH1017975A - 鋳物用アルミニウム合金

Info

Publication number: JPH1017975A
Application number: JP18882596A
Authority: JP
Inventors: Tomoaki Isayama; 知明諌山
Original assignee: Kyushu Mitsui Aluminum Industries Inc
Current assignee: Kyushu Mitsui Aluminum Industries Inc
Priority date: 1996-06-27
Filing date: 1996-06-27
Publication date: 1998-01-20

Abstract

(57)【要約】【課題】引張強さ、耐力を低下させずに靱性を改善し
た鋳物用アルミニウム合金を得る。【解決手段】不純物としてＦｅを０．０００５〜０．
０１ｗｔ％、Ｓｉを０．０００５〜０．０１ｗｔ％と
し、かつＣｕ２．０〜６．５ｗｔ％、Ｍｎ０．００１〜
１．０ｗｔ％、Ｔｉ０．１０〜０．５０ｗｔ％、Ｂ０．
００２〜０．０１ｗｔ％、その他の不純物を０．０１ｗ
ｔ％以下に制限し、残部がＡｌよりなる鋳物用アルミニ
ウム合金。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は鋳物用アルミニウム
合金に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、航空機材料や産業用回転体等にア
ルミニウム鍛造品が多く使用されている。しかし、形状
の複雑なものや大型の部品については、鍛造の難しさ、
高コスト等の問題がある。このような問題を解決する方
法として、Ａｌ−Ｃｕ系、及びＡｌ−Ｃｕ−Ｍｇ系アル
ミニウム合金鋳物が使われ始めてきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらＡｌ−Ｃ
ｕ系、及びＡｌ−Ｃｕ−Ｍｇ系アルミニウム合金鋳物
は、高強度であるが靱性（伸び）が鍛造品に比べ低いと
いう問題があり、信頼性の必要な部品には使用を制限さ
れている。そこで本発明では引張強さ、耐力を低下させ
ずに靱性を改善した鋳物用アルミニウム合金の開発を目
的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、次の如き組成のアルミニウム合金を提
供する。即ち、１．不純物としてＦｅの含有量を０．０００５〜０．０
１ｗｔ％、Ｓｉの含有量を０．０００５〜０．０１ｗｔ
％に制限し、且つＣｕ２．０〜６．５ｗｔ％、Ｍｎ０．
００１〜１．０ｗｔ％、Ｔｉ０．１０〜０．５０ｗｔ
％、Ｂ０．００２〜０．０１ｗｔ％、その他の不純物を
０．０１ｗｔ％以下に制限し、残部がＡｌより構成され
ることを特徴とする。２．不純物としてＦｅの含有量を０．０００５〜０．０
１ｗｔ％、Ｓｉの含有量を０．０００５〜０．０１ｗｔ
％に制限し、且つＣｕ２．０〜６．５ｗｔ％、Ｍｇ０．
１〜３．０ｗｔ％、Ｍｎ、Ｃｒ、Ｚｒのうち少なくとも
１元素を０．００１〜１．０ｗｔ％、Ｔｉ０．１０〜
０．５０ｗｔ％、Ｂ０．００２〜０．０１ｗｔ％、その
他の不純物を０．０１ｗｔ％以下に制限し、残部がＡｌ
より構成されることを特徴とする。３．不純物としてＦｅの含有量を０．０００５〜０．０
１ｗｔ％、Ｓｉの含有量を０．０００５〜０．０１ｗｔ
％に制限し、且つＣｕ２．０〜６．５ｗｔ％、Ｍｇ０．
１〜３．０ｗｔ％、Ｍｎ、Ｃｒ、Ｚｒのうち少なくとも
１元素を０．００１〜１．０ｗｔ％、Ｔｉ０．１０〜
０．５０ｗｔ％、Ｂ０．００２〜０．０１ｗｔ％、Ｎｉ
０．０３〜３．０ｗｔ％又はＶ０．０５〜０．３０ｗｔ
％のいずれか、又は両方を含み、その他の不純物を０．
０１ｗｔ％以下に制限し、残部がＡｌより構成されるこ
とを特徴とする。

【０００５】以下、本発明にかかわるアルミニウム合金
の各成分組成の限定理由について述べる。Ｆｅは鋳造凝
固時にＡｌ−Ｆｅ−Ｓｉ、Ａｌ−Ｃｕ−Ｆｅ化合物を形
成し、靱性を低下させるため０．０１ｗｔ％以下とする
が、０．０００５ｗｔ％未満にしてもその効果の向上は
認められないため０．０００５〜０．０１ｗｔ％とす
る。

【０００６】ＳｉもＦｅ同様Ａｌ−Ｆｅ−Ｓｉ化合物を
形成し、靱性を低下させるため０．０１ｗｔ％以下とす
るが、０．０００５ｗｔ％未満にしてもその効果の向上
は認められないため０．０００５〜０．０１ｗｔ％とす
る。

【０００７】ＣｕはＣｕＡｌ₂の析出硬化のため２ｗｔ
％以上が必要であるが、６．５ｗｔ％を越えると凝固時
に粗大なＣｕＡｌ₂が晶出しやすくなり、機械的性質が
低下するため２．０〜６．５ｗｔ％とする。

【０００８】ＭｎはＦｅの析出形態を針状のＡｌ−Ｆｅ
−Ｓｉ化合物から板状のＡｌ−Ｆｅ−Ｓｉ−Ｍｎ化合物
に変えて靱性の低下を防止するために０．００１ｗｔ％
以上添加するが、１．０ｗｔ％を越えると粗大な晶出物
が生成し機械的強度が低下するので、０．００１〜１．
０ｗｔ％とする。又、Ｍｎ、Ｃｒ、Ｚｒは耐応力腐食割
れ性改善のため０．００１〜１．０ｗｔ％とする。

【０００９】Ｔｉは鋳造組織を微細化し、機械的性質の
向上のために０．１０ｗｔ％以上添加するが、０．５０
ｗｔ％を越えると粗大なＴｉ化合物が生成し、靱性の低
下を招くので、０．１０〜０．５０ｗｔ％とする。

【００１０】ＢはＴｉと相まって鋳造組織を微細化し、
鋳造性の向上のため０．００２ｗｔ％以上添加するが、
０．０１ｗｔ％を越えてもその効果の向上は認められな
いので、０．００２〜０．０１ｗｔ％が最適である。

【００１１】Ｍｇを添加する場合は、ＣｕＡｌＭｇ₂化
合物の析出硬化のために０．１〜３．０ｗｔ％の範囲と
する。Ｎｉ、Ｖは高温強度向上の効果があり、その場合
はＮｉ０．０３〜３．０ｗｔ％又はＶ０．０５〜０．３
０ｗｔ％のいずれか、又は両方の添加が望ましい。

【００１２】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例及び比
較例を示し乍ら説明する。表１に示す各種アルミニウム
合金を溶製し、金型に大気鋳造し、熱処理後、（１）引
張試験、（２）硬度測定を行った。下記に試験条件を示
す。

【００１３】（１）引張試験装置インストロン型引張試験機試験片ＪＩＳ４号試験片（２）硬度試験装置ブリネル硬度計

【００１４】

【表１】

【００１５】実施例表２に金型に鋳造し、切出した試験片の引張試験、硬度
測定結果を示す。

【００１６】

【表２】

【００１７】本発明合金は、比較材と同等の引張強さ、
耐力、硬度を示し、伸びは約１５％の向上が認められ
た。

【００１８】実施例で明らかなように、本発明合金が比
較材同等以上の性能を示す理由は、不純物であるＦｅ、
及びＳｉの含有量を０．０００５〜０．０１ｗｔ％に制
限したことによるものと考えられる。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば含有Ｆｅ量、及びＳｉ量
を０．０００５〜０．０１ｗｔ％に制限し、且つＣｕ、
Ｍｎ、Ｔｉ、Ｂを適量添加、調整した合金、あるいは含
有Ｆｅ量、及びＳｉ量を０．０００５〜０．０１ｗｔ％
に制限し、且つＣｕ、Ｍｇ、Ｍｎ、Ｔｉ、Ｂを適量添
加、調整した合金を各種鋳造法（砂型、金型、ロストワ
ックス、シェルモールド等のあらゆる鋳造プロセス）に
て鋳造、熱処理すれば、比較材並みの引張強さ、耐力、
硬度を示すと共に、伸びの改善がはかられるため、靱性
を必要とする製品に最適な合金である。

【手続補正書】

【提出日】平成８年９月１２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１４

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１４】

【表１】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１６

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１６】

【表２】

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】不純物としてＦｅを０．０００５〜０．０
１ｗｔ％、Ｓｉを０．０００５〜０．０１ｗｔ％とし、
かつＣｕ２．０〜６．５ｗｔ％、Ｍｎ０．００１〜１．
０ｗｔ％、Ｔｉ０．１０〜０．５０ｗｔ％、Ｂ０．００
２〜０．０１ｗｔ％、その他の不純物を０．０１ｗｔ％
以下に制限し、残部がＡｌよりなる鋳物用アルミニウム
合金。
【請求項２】不純物としてＦｅを０．０００５〜０．０
１ｗｔ％、Ｓｉを０．０００５〜０．０１ｗｔ％とし、
かつＣｕ２．０〜６．５ｗｔ％、Ｍｇ０．１〜３．０ｗ
ｔ％、Ｍｎ、Ｃｒ、Ｚｒのうち少なくとも１元素を０．
００１〜１．０ｗｔ％、Ｔｉ０．１０〜０．５０ｗｔ
％、Ｂ０．００２〜０．０１ｗｔ％、その他の不純物を
０．０１ｗｔ％以下に制限し、残部がＡｌよりなる鋳物
用アルミニウム合金。
【請求項３】不純物としてＦｅを０．０００５〜０．０
１ｗｔ％、Ｓｉを０．０００５〜０．０１ｗｔ％とし、
かつＣｕ２．０〜６．５ｗｔ％、Ｍｇ０．１〜３．０ｗ
ｔ％、Ｍｎ、Ｃｒ、Ｚｒのうち少なくとも１元素を０．
００１〜１．０ｗｔ％、Ｔｉ０．１０〜０．５０ｗｔ
％、Ｂ０．００２〜０．０１ｗｔ％、Ｎｉ０．０３〜
３．０ｗｔ％又はＶ０．０５〜０．３０ｗｔ％のいずれ
か、又は両方を含み、その他の不純物を０．０１ｗｔ％
以下に制限し、残部がＡｌよりなる鋳物用アルミニウム
合金。